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FCoE(Fibre Channel over Ethernet)ストレージ ネットワーキングの進化

ホワイトペーパー





FCoE(Fibre Channel over Ethernet)ストレージ ネットワーキングの進化



イントロダクション

ビジネス要件の進化に伴い、データセンターのスケーラビリティと管理性を高めると同時に IT コストを抑制できる高密度、高速、低遅延の統合ネットワークに対する需要が高まっています。

データセンターでは一般に、複数の独立したネットワークが運用されています。たとえば、クライアント/サーバ通信およびサーバ間通信に使用されるイーサネット ネットワークと、ファイバ チャネル ストレージ エリア ネットワーク(SAN)です。さまざまなタイプのネットワークをサポートするために、データセンターではネットワークごとに別の冗長インターフェイス モジュールを使用しています。たとえば、サーバにはイーサネットのネットワーク インターフェイス カード(NIC)とファイバ チャネル インターフェイスの両方があり、ネットワーク アーキテクチャの各レイヤにスイッチの冗長ペアがあります。複数のインフラストラクチャを並行して利用することで資本コストは増加し、データセンターの管理は複雑になり、ビジネスの柔軟性が損なわれます。

データセンターの I/O を統合することで、ファイバ チャネル ネットワークとイーサネット ネットワークが単一の統合インフラストラクチャを共有できるようになり、企業はこれらの課題に効率的に対処できます。この統合型アプローチの重要な柱となるのが、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)です。このドキュメントでは、ユニファイド I/O の必要性、ユニファイド I/O と FCoE の展開フェーズ、および各フェーズの利点について説明します。

ユニファイド I/O の必要性

図 1 に示すように、現在のデータセンターに展開されたサーバには、独立した I/O インターフェイスが多数あり、それぞれが特定のアプリケーション要件をサポートしています。

  • イーサネット NIC(LAN):クライアント/サーバ接続、サーバ間接続、およびアウトオブバンド管理に使用されます。10/100/1000 Mbps イーサネット NIC が一般的です。
  • ファイバ チャネル ホスト バス アダプタ(HBA)(SAN):サーバ/ストレージ接続に使用されます。ロスレス処理と高レベルのネットワーク復元性およびアベイラビリティを兼ね備えている点が他とは異なります。1/2/4 Gbps ファイバ チャネル HBA が一般的です。

図 1 データセンター環境での一般的なサーバ接続

図 1 データセンター環境での一般的なサーバ接続

データセンターの一般的なサーバには、5 〜 7 個の I/O インターフェイスがあります。データセンター アプリケーションの独特で多様なトラフィック要件を的確にサポートするユニファイド I/O アダプタを導入すれば、ネットワーク デバイス、サーバ/ネットワーク インターフェイス、およびこれらを接続するケーブルの数を減らすことができます。ユニファイド I/O には、データセンター消費電力の大幅削減という利点もあります。今日のデータセンター管理者にとって、限りある資源の最たるものは電力です。

ユニファイド I/O のための FCoE(Fibre Channel over Ethernet)
FCoE(Fibre Channel over Ethernet)は、サーバ上でのユニファイド I/O 接続を可能にするためにファイバ チャネル フレームをイーサネット パケットにカプセル化するプロトコル仕様です(図 2)。

図 2 ファイバ チャネル フレームのイーサネット パケットへのカプセル化

図 2 ファイバ チャネル フレームのイーサネット パケットへのカプセル化

FCoE テクノロジーによって、従来のサーバが持つ LAN および SAN トラフィック用の複数の独立した I/O アダプタは、LAN とファイバ チャネル SAN の両方のトラフィックをサポートする少数の統合型ネットワーク アダプタ(CNA)で置き換えられます(図 3)。

図 3 SAN と LAN の両方をサポートする統合型ネットワーク アダプタを備えたサーバ

図 3 SAN と LAN の両方をサポートする統合型ネットワーク アダプタを備えたサーバ

FCoE をサポートするイーサネット ネットワークは、パケット損失が発生しない(ロスレス)イーサネット ネットワークであることが必要です。イーサネット インフラストラクチャを通過するパケットがドロップすることなく転送されるには、スイッチング デバイスの内部アーキテクチャ設計に、ノードロップ パケット転送とネットワーク フロー制御のメカニズムが組み込まれている必要があります。

I/O 統合に対する既存のアプローチよりも FCoE が優れている点は次のとおりです。

  • 既存のファイバ チャネル SAN との上位互換性。仮想 SAN(VSAN)、WWN(World Wide Name)、ファイバ チャネル ID(FCID)、サーバとストレージ アレイのゾーニングといった、よく知られたファイバ チャネルの概念が維持されます。
  • 現在のイーサネットおよびファイバ チャネル ネットワークのパフォーマンスに匹敵する高レベルのパフォーマンス。上位レイヤの TCP/IP プロトコルのオーバーヘッドによる制限を受けない、ハードウェア ベースのイーサネット ネットワーク インフラストラクチャを使用することによって達成されます。
  • 最高速度のイーサネットにも対応する優れたスケーラビリティ(1、10、および 40 ギガビット イーサネット、さらには 100 ギガビット イーサネット)
  • ゲートウェイを使用しないテクノロジー。上位レイヤの TCP/IP プロトコルのオーバーヘッドを回避し、運用と管理が簡単になります(SAN に現在展開されている管理インフラストラクチャを変更する必要はありません)。

FCoE ストレージ ネットワーキングの進化

他のネットワーキング テクノロジーと同様に、FCoE ベースのストレージ ネットワーキングも少しずつ発展していき、いくつかのフェーズにわけて実装されます。移行の速度を決定する要因には、標準規格の進捗状況や、相互運用可能なハードウェアおよびソフトウェア ドライバの公開状況などがあります。標準規格が承認され、製品が入手可能になると、FCoE は以下の 3 つのフェーズを経て採用されると考えられます。

  1. FCoE サーバの実用化
  2. FCoE サーバの普及
  3. FCoE アレイと SAN

フェーズ 1:FCoE サーバの実用化

FCoE テクノロジー実装の最初のフェーズでは、FCoE はネットワーク エッジで実用化され、データセンターのスタンドアロン サーバに実装されます。サーバ ベンダーおよび HBA や NIC のベンダーは、データセンター向け製品のファイバ チャネル接続機能やイーサネット接続機能に対する付加価値として FCoE のサポートを提供します。

FCoE 対応サーバをはじめとする FCoE デバイスは、サーバ上のユニファイド I/O をサポート可能なトップオブラック(ToR)ネットワーク スイッチと相互接続されます。この ToR スイッチを通して、既存のイーサネット LAN およびファイバ チャネル SAN へのアクセスが可能になります(図 4)。

図 4 FCoE サーバの実用化 - フェーズ 1

図 4 FCoE サーバの実用化 - フェーズ 1

フェーズ 1 の主な利点は次のとおりです。

  • サーバ I/O とケーブルがただ 1 つのインターフェイスに統合される。従来の構成には、イーサネットおよびファイバ チャネルのインターフェイスとケーブルが複数含まれます。
  • インターフェイスとアダプタの数が減るのでエネルギー効率が大幅に高まり、サーバ 1 台あたりの消費電力が削減される。
  • SAN に初めてアクセスするサーバが多い場合にも実現しやすいモデル
  • ファイバ チャネル SAN への投資の保護:SAN の運用管理モデルに変更を加える必要はありません。FCoE 対応サーバからは引き続き、SAN に接続されたファイバ チャネル ストレージにアクセスできます。

Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチと Cisco MDS 9000 ファミリによるフェーズ 1 の実装

Cisco® Nexus 5000 シリーズ スイッチは、Cisco Nexus ファミリに属するデータセンター クラスのスイッチ製品です。サーバが LAN、SAN、およびサーバ クラスタに接続するネットワーク アクセス レイヤまたはエッジでユニファイド ファブリックを実現します。データセンターにユニファイド ファブリックを展開するには、サーバ接続から始めるのが最適です。サーバ接続のテクノロジーの変化はコアにおける変化よりも急速であり、一般にアクセス レイヤまたはエッジには、統合の対象となる物理ネットワークの相互接続が多数あるからです。Cisco Nexus 5000 シリーズには、既存のインフラストラクチャとの統合を目的としたネイティブのファイバ チャネル アップリンクが用意されているので、設置済みの SAN と利用可能な SAN スイッチを容易に接続できます。その他のシスコ製品、たとえば Cisco MDS 9000 ファミリでも今後 FCoE をサポートする予定となっており、アクセス レイヤの先へと統合が進みます(図 5)。

図 5 Cisco Nexus と MDS 9000 ファミリを使用した I/O 統合

図 5 Cisco Nexus と MDS 9000 ファミリを使用した I/O 統合

フェーズ 2:FCoE サーバの普及

2 番目のフェーズでは、ユニファイド I/O 対応の組み込み型ブレード スイッチやエンドオブロー(EoR)ネットワーキング デバイスに接続されたブレード サーバやスタンドアロン サーバへと FCoE テクノロジーが広がります。また、既存のファイバ チャネル スイッチが進化し、ブレード スイッチや EoR ネットワーキング デバイスからの FCoE トラフィックをサポートできるようになります(図 6)。

図 6 FCoE サーバの普及 - フェーズ 2

図 6 FCoE サーバの普及 - フェーズ 2

フェーズ 1 の利点に加えて、フェーズ 2 では、データセンターで新しいアプリケーションやサービスを利用できるようになることで、俊敏性と柔軟性という利点が生まれます。データセンターの各サーバはコスト効率の高い方法で SAN に接続できるようになり、SAN 内の任意のファイバ チャネル ストレージ アレイを柔軟にマウントできるからです。

フェーズ 3:FCoE アレイと SAN

3 番目のフェーズでは、ストレージ アレイとテープ ライブラリがネイティブの FCoE インターフェイスをサポートするようになります(図 7)。

図 7 FCoE アレイと SAN - フェーズ 3

図 7 FCoE アレイと SAN - フェーズ 3

FCoE 対応のストレージ アレイとテープ ライブラリが FCoE スイッチに接続され、これによって作られる FCoE SAN には、FCoE に接続されたサーバからネイティブにアクセスできます。フェーズ 1 と同様に、すべてのネイティブ ファイバ チャネル デバイスは、引き続き既存のファイバ チャネル SAN にアクセスできます。FCoE の実装にはネイティブ ファイバ チャネルとの上位互換性が必要だからです。

ロスレス イーサネット ファブリックを実現するユビキタス イーサネット拡張機能のサポートを得て、FCoE トラフィックは現在のファイバ チャネル SAN と同じレベルの信頼性と配信保証で、ただしロスレス イーサネットを介して転送されます。この方法によって、将来は LAN と FCoE SAN のトラフィックを単一のユニファイド ネットワーク ファブリックに統合することが可能になります(図 8)。

ただし、FCoE SAN の最初の実装はおそらく、既存の LAN と並行して展開されると考えられます。復元力の高いファブリックを実現することで、ストレージ トラフィックに必要なパフォーマンスの確保に役立ちます。イーサネットが進化してロスレス ファブリックになれば、この 2 つのネットワークを組み合わせて 1 つの統合型ネットワークを形成し、データとストレージの両方のトラフィックを送受信できるようになります。FCoE の実装では、既存のファイバ チャネル SAN との上位互換性が確保されているので、SAN への投資が将来も保護されます。

図 8 ユニファイド I/O と FCoE の進化のロードマップ

図 8 ユニファイド I/O と FCoE の進化のロードマップ

まとめ

FCoE は、データセンターでのユニファイド I/O を実現できる強力なテクノロジーです。シスコは、この移行をスムーズに、かつ段階的に進めるのに必要な FCoE テクノロジーの開発、サポート、および促進に取り組んでいます。新しいネットワーキング テクノロジーがどれもそうであるように、FCoE ベースのストレージ ネットワーキングは少しずつ採用されます。つまり、FCoE サーバの実用化、FCoE サーバの普及、FCoE アレイと SAN というフェーズを経て進んでいきます。Cisco Nexus 5000 シリーズの登場と、コスト効率の高いサーバ向け 10 Gbps LAN テクノロジーの普及により、データセンターでのユニファイド I/O が実現します。経済的な効果を得られるインフラストラクチャ統合を開始する準備はすでに整っています。現在のシスコ FCoE ストレージ ネットワーキングが持つ利点を活用しながら、将来のユニファイド ファブリック実現に備えることができます。ユニファイド ファブリックによって運用効率とパフォーマンスが向上すれば、さらなる利点が得られます。

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