エンタープライズ ネットワーク

資産追跡アプリケーション:事業効率の向上は可能か?

ソリューション概要





資産追跡アプリケーション:事業効率の向上は可能か?



概要

競合の激しい今日のビジネス環境の中で、多くの企業が継続的にビジネス プロセスを改善し、競争力を維持する方法を模索しています。そのため、仕事の効率化を目指す人々は、それぞれの業界に特化したツールやデバイスを次々に導入するようになりました。また、これらのデバイスを利用するプロフェッショナルたちが常に移動して仕事するようになり、ツールやデバイスにも可動性が求められる時代になりました。モバイル機器は業務の遂行を円滑にする一方で、こうした機器が移動されて見つからないといった状況になった場合、仕事に大きな支障をきたすことになります。

こうした理由から、モバイル機器を資産追跡を使って検索できるようになっているということは、ビジネスの非効率性を低減し、生産性に直接的な影響を与えます。資産追跡にコンテキストアウェアな情報が統合されれば、メリットはさらに拡大します。コンテキスト アウェアなデータには、発生時間、資産の状況(温度、湿度、気圧など)や環境に加え、ビジネス プロセスやアプリケーションに関連するデータなどが含まれます。

資産追跡は、ビジネスに次のようなメリットをもたらします。

  • 機器が行方不明になることが減り、在庫量も少なくて済む
  • 必要に応じて最も近くにいるスタッフを派遣できるため、カスタマー サービスの質が向上する
  • 迅速な処理が求められる事態に素早く対応できる
  • 必要な機器が即座に見つかるため、患者ケアの質が向上する

これらは、資産追跡アプリケーションが資産の可用性と生産性を高めることを示したほんの一例です。

ビジネス上の課題

多くの企業は、組織全体で多数の物的資産を抱えており、モバイル資産への依存度が高くなるにつれ、こうしたモバイル機器が必要になったときに容易に見つけられるかどうかが企業の新たなる課題であり、それがビジネス効率に大きく影響するようになっています。それぞれの業界では、次のような質問に即座に答えられる仕組みを必要としています。

  • 一番近い輸液ポンプはどこにあるか。
  • このエンジンに搭載する必要不可欠なコンポーネントはどこにあるのか。
  • この資産はなくなったのか。

こうした問題を放置しておけば、ビジネスは資産の買い替えに不要なコストを払うことになり、足りないアイテムを探すだけでも無駄な時間やコストがかかります。たとえば、看護士なら輸液ポンプを探す作業よりも患者の処置に時間をかけたいと思うでしょう。患者ケアにもっと時間をかけることができれば回復も早くなるでしょうし、ケアに対する患者の満足度も向上することは間違いありません。

何かを探すという作業は、どの企業でも主に人の手によって行われるため、時間がかかるうえに、間違いを起こしやすいプロセスです。必要なときに、リアルタイムでそうした資産が探せないということは、必要な場所と状況でそれが利用可能かどうか確認できないということであり、対応時間と効率性の足かせとなります。効率性を改善するためにプロセスの自動化を目指す企業には、資産を適切に活用し、応答性を高めるためにも、資産とリソースの可視性を高めることが早急に必要です。

ソリューションの概要

シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションは、資産とリソースに関する情報をビジネス プロセスに提供します。これによって、次のような質問に迅速に対応できます。

  • 資産とリソースはここにあるのか。
  • 資産とリソースはどこにあるのか。
  • 資産とリソースはどのような状態なのか。
  • リソースの利用状況はどうなっているのか。
  • 資産とリソースはネットワークのどこにあるのか。

図 1 は、シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションがサポートしている資産追跡をはじめとする、各種アプリケーションをまとめたものです。

図 1.	シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションの一部である資産追跡アプリケーション

図 1. シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションの一部である資産追跡アプリケーション


この概要は、資産追跡アプリケーションに焦点を当てています。このアプリケーションは「資産やリソースはどこにあるのか」という問いに対する答えを提供し、企業の事業効率を高めます。企業は、Cisco Unified Wireless Network への投資を拡大することによって、ここで取り上げている資産の可視性というメリットを享受できます。

資産追跡アプリケーションのコンポーネント

資産追跡アプリケーションに必要なコンポーネントは次のとおりです。

  • シスコのテクノロジー パートナーが提供するデバイスやタグなどのモバイル資産
    • デバイス:WLAN に接続するすべての Wi-Fi デバイスから、関連するコンテキスト情報を取得することができます。
    • タグ:WLAN に接続するすべての Wi-Fi タグから、関連するコンテキスト情報を取得することができます。このタグは、モバイル資産に取り付けられます。
  • Cisco Compatible Extensions Program for Tags:このプログラムはシスコのテクノロジー パートナーを対象としており、RFID タグが所定の形式に確実に準拠するためのものです。これにより、RFID タグから送信される高度な情報(動きや湿度、その他の変数など)を取得して、他のパートナーのビジネス アプリケーションを含む他のソリューションでも利用することが可能になります。
  • Cisco Unified Wireless Network:この多目的ネットワークは、コンテキスト アウェア情報のニーズに加え、企業が直面しているワイヤレス ネットワークのセキュリティ、展開、管理、および制御の問題をコスト効率よく解決する、有線と無線を統合した業界で唯一のネットワーク ソリューションです。
  • Cisco モビリティ サービス エンジン:複数のワイヤレス ネットワークからのコンテキスト情報を取得、保存、および分析する Cisco Context-Aware Software は、このプラットフォームに組み込まれます。
  • TDoA(到着時間差)受信機:主に屋外または RF 要件の厳しい環境で使用され、資産に取り付けられたタグの場所を算出します。
  • Cisco オープン API:Cisco Context-Aware Software はすべてのコンテキスト情報を取得、計算、保存し、Simple Object Access Protocol/Extensible Markup Language(SOAP/XML)プロトコルに基づく Cisco オープン API を介して、これらの情報を必要とするビジネス アプリケーションに提供します。この API には、すべてのテクノロジー パートナーがアクセス可能で、顧客のビジネス プロセスと全面的に統合することができます。

シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションは、ビジネス上のさまざまな問題に対するソリューションを提供する、広範なワイヤレス テクノロジーを備えているだけでなく、顧客の構内で展開されているあらゆる種類のモバイル資産およびビジネス アプリケーションにとって開かれたプラットフォームとして機能します。また、適応性が高く俊敏で、インテリジェントなサービス指向型ネットワーク アーキテクチャ(SONA)ソリューションであり、優れたエンドユーザ エクスペリエンスを提供するため、企業は大幅な効率性の向上を実現できます。図 2 は、ソリューションのアーキテクチャを表しています。

図 2 シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションのアーキテクチャ

図 2 シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションのアーキテクチャ


テクニカル ソリューション

シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションは、Cisco Unified Wireless Network に基づくソリューションです。このネットワークは、資産やリソースに関する情報を取得するワイヤレス カバレッジを提供します。資産管理が必要とされる場所の環境、およびどの程度正確な場所の特定が必要なのかによって、異なる方法や展開について考える必要があります。

まず、「資産やリソースはどこにあるのか」に答えるためには、資産が存在する場所(店舗や病院)をカバーするだけの広範なワイヤレス カバレッジが必要です。このワイヤレスがカバーする範囲内においては、クライアント デバイスやタグについての位置情報が算出できます。

タグからのシグナルが収集されると、別の算出方法で場所が特定されます。シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションには、受信信号強度(RSSI)や到着時間差(TDoA)のような資産追跡に必要なテクノロジーが採用されています。こうしたテクノロジーは Cisco Unified Wireless Network によって収集された情報を基に資産の場所を算出するアルゴリズムを使用します。

RSSI または TDoA のいずれのテクノロジーを採用するかは、焦点をあてるビジネス上の課題の性質によって異なります。RSSI の場合は、1 か所あるいは複数のアクセス ポイントから取得したデバイスや資産から発信される Wi-Fi 無線信号の強度に基づき、クライアントやタグの位置を算出します。より高い正確性が要求される場合には、より多くのアクセス ポイントを配置します。ライン オブ サイト(LOS)に依存しない RSSI は、病院や学校、オフィスなど障害物が多い環境で有用です。さらに、RSSI を使用したアクティブな追跡方法は、すでに定着しているデータ アクセス ネットワークを活用できるため、ネットワーク機器をあらたに追加する必要がありません。

TDoA テクノロジーは、時間をベースにして場所を算出する方法です。既知要因である無線周波数の速度を使って、同期している Wi-Fi TDoA 受信機同士が、それぞれのタグからのシグナルの到着時間をレポートします。Cisco モビリティ サービス エンジンは、すべての TDoA 受信機からのタグ シグナルすべての到着時間を相互に関連付け、予想される距離範囲を見つけ出します。算出に使用される受信機の数が多くなればなるほど、タグの検出精度は高くなります。通常 Wi-Fi TDoA 受信機は、製造や小売などの倉庫(機器が多いあるいは天井が高い、あるいはその両方を備えた環境)や、屋外、その他のライン オブ サイト環境で位置情報を算出するために使用されます。

医療業界

ビジネス上の課題:病院などの医療業界では、常に患者ケアの改善を模索しています。病院が患者ケアにかける看護士の時間を最大化したいと思う理由のひとつは、それが看護士の時間を最も有効に活用できると考えているからです。しかし実際、看護士は患者ケアの時間と輸液ポンプや車椅子といった機材を探す時間の調整に苦慮しています。

ソリューション:医療の現場では、シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションの一部である資産追跡機能を活用することで、車椅子や輸液ポンプ、その他機材を迅速に見つけることが可能になります。RF の観点からすると、病院は屋内のオフィス環境に似ているため、ロケーション算出には通常 RSSI 技術が使用されます。またこのソリューションは、資産追跡に状態の追跡機能を組み合わせて使用することも可能です。つまり、温度などの資産に関するコンテキスト情報の収集ができます。こうした組み合わせ機能を、たとえば薬剤の管理などに活用すれば、薬剤の保存温度が許容範囲を超えた場合などに、即座に対処するよう担当者に注意が喚起されます。

メリット:看護士が患者に薬剤を投与する際に、迅速に注入ポンプを探せるということは、より良い患者ケア、つまり患者の満足度向上につながります。また、看護士は効率よく働くことが可能になり、患者に細心のケアを提供できます。さらに、資産追跡に状態の追跡が加われば、治療の効率性が大幅に向上し、無駄になる薬剤の量を低減したり、無駄を出さない薬剤管理が実現します。Cisco オープン API を通じて Cisco パートナーが提供するソフトウェア アプリケーションによって、病院スタッフは資産追跡に関する状況を網羅した情報を活用し、シンプルな方法で日々の業務をこなし、ワークフローの自動化ができるようになります。たとえば看護士は、一番近くにある車椅子の場所を検索し、フロア マップ上でその位置と状況を確認したり、ナース ユニットに保管してあるポンプの在庫を確認し、自動的に補充を発注できるのです。

製造業

ビジネス上の課題:通常、製造業の施設は、大規模で広範囲に及んでいるものです。部品やツールの置き場所を頻繁に間違えたりすれば、製造ラインに支障がでたり、余分な在庫を抱えることになり、専門職者の生産性が低下するといった結果を招いてしまいます。また、工場には台数こそ少ないながら、高価なツールやテスト機器を備えている場合が多く、これらが何らかの理由により喪失したり使えなくなると、製造ラインの大きな妨げとなり、言うまでもなくツールや機器の買い替えにはさらにコストがかさむことになります。

ソリューション:製造業の施設は、天井が高く、重機械や無線を妨害する可能性のあるその他の機器があるため RF 環境は厳しいものになります。このようなタイプの環境下では、TDoA テクノロジーが最も有用で、たとえば特別な機器を検索したり、施設内の在庫を確認できます。機械ツールやテスト機器にタグを付けることで、工場管理者は、これらの資産を屋内屋外からリアルタイムで追跡することが可能になります。

メリット:製造プロセスにおいて、それぞれの専門分野を担当する労働者が最も必要なツールや機器を迅速に探し出しすことが可能になるため、製造中断が最小限に抑えられ、生産性が向上します。部品の喪失が低減することで、再注文の必要性も少なくなり、無駄が省けるとともに監査による罰金の支払いも少なくてすみます。シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションを使用して機器にタグ付けをし、施設内のツールや機器の場所を一目で把握できるようにすれば、製造ラインにおける障害発生はわずかになり、流れのスムーズな作業が実現します。製造スタッフは、資産追跡に関する状況を網羅した情報を活用し、シンプルな方法で日々の業務をこなし、ワークフローの自動化ができるようになります。たとえば半導体を製造する工場オペレータは、作業順序に応じた生産中の未完成品在庫を検索し、フロア マップ上でその位置と状況を確認します。それによって、生産性が向上するとともに計画的なメンテナンスが可能になり、収益性に直接的なプラスの影響を与えます。

小売業

ビジネス上の課題:小売業者は、常に売上げ増を目標に掲げており、高いレベルの顧客ロイヤリティや満足度を維持したいと考えています。顧客は購入したい製品が入手できるかどうかだけでなく、知識豊富なスタッフがサポートしてくれるかどうかでサービスの質を評価します。小売業者は在庫管理機能を使用して、店舗の在庫量を知る必要があり、顧客が必要とする製品や顧客が求めるサービスを提供する能力を持ち合わせていなければなりません。

ソリューション:資産追跡機能によって、在庫とセールス アシスタントが使用する特殊デバイスの両方を検索できます。つまり、在庫や個々の製品のパレットに付けられたタグによって在庫を把握し、すでに Wi-Fi で使用中になっているデバイスを基にセールス スタッフの位置を把握できます。顧客に応対しているスタッフは、モバイル機器を使用して製品の場所を検索できるだけでなく、店舗内にいるその製品の担当者を見つけることも可能です。資産追跡と Cisco Presence のようなアプリケーションを組み合わせることで、セールス担当者は 1 度の検索で販売マネージャの位置も確認できます。

メリット:顧客にタイムリーな情報や製品を提供することができる小売業者は、顧客ロイヤリティや収益を増大できるというメリットを享受します。店頭でサポートを提供できることは、他の小売業者との差別化をはかり、顧客ロイヤリティの獲得と効率の良いスタッフによるサービスを実現できます。

まとめ

技術やデバイスに投資して生産性を向上し、ビジネスにプラスの影響を与える方法を必要とする企業が増えるなか、多くの企業が継続的にビジネス プロセスを改善し、競争力を維持し、ビジネス上の意思決定をサポートするロケーション サービスやコンテキスト情報を模索しています。すでに WLAN ネットワークを導入している企業は、シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションにより、資産追跡アプリケーションを容易かつシームレスに配備することが可能であり、資産の可用性を最大化することができます。プラットフォームとしてのネットワークを活用し、異なるワイヤレス技術を統合することでデータ収集を自動化し、ビジネス ニースに準拠することは、「資産やリソースはどこにあるのか」という質問に対する迅速な回答を可能にします。シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションは、企業が日々直面するこうした疑問に答えるだけでなく、WLAN を活用して総所有コストを低減させます。

関連情報

シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/contextaware/
モビリティ ソリューションの導入事例については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/web/JP/solution/netsol/mobility/success.html
Cisco オープン API の詳細については、次の URL を参照してください(Cisco パートナーのみ)[英語]。
http://www.cisco.com/cgi-bin/dev_support/access_level/product_support
Cisco モビリティ サービス エンジンの詳細は、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/mse/
Cisco Unified Wireless Network の詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/unifiedwireless/