ネットワーク インフラストラクチャ

IP NGN キャリア イーサネット デザイン:ゼタバイト時代のコネクテッド ライフを支援

ホワイトペーパー





IP NGN キャリア イーサネット デザイン:ゼタバイト時代のコネクテッド ライフを支援



概要

キャリア イーサネットと IP/MPLS(Multiprotocol Label Switching)テクノロジーが次世代ネットワークの道を切り開くという意見には、世界中のどのサービスプロバイダーも同意することでしょう。しかし、キャリア イーサネット ネットワークを設計するためのアプローチは1つではありません。このドキュメントでは、IP Next-Generation Network(NGN)キャリア イーサネット インフラストラクチャの設計にあたってシスコが推奨する事項を紹介します。

サービスプロバイダーには、サービスの統合や厳しい市場競争によってもたらされる課題が次々と突き付けられています。サービスプロバイダーが成長と利益を維持していくためには、以下に対応していく必要があります。

  • ブロードバンド サービスへの増大する要求への対応
  • 家庭向けおよび企業向けの競争力のあるサービス商品
  • 新しいプレミアム サービスを提供することにより、サービスのコモディティ化を防止
  • TOC(総所有コスト)を軽減しつつ収入を増やすことにより、収益力を強化
  • 既存の ATM/フレーム リレーから、コスト効率の高いキャリア イーサネット サービスへの移行
  • 企業向けサービスの保護および強化と同時に、家庭向けサービスを強化

Cisco® IP NGN キャリア イーサネット デザインは、コンバージェンス、復元力、インテリジェンス、スケーラビリティ、管理性という 5 つの柱により、これらのビジネス目標をサポートします。

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインは、最新および将来のサービスを高いコスト効率で提供する統合ネットワーク インフラストラクチャの確立を促進します。このネットワーク インフラストラクチャは、ブロードキャスト TV ビデオ(BTV)やビデオ オン デマンド(VoD)などのサービスで必要となる帯域幅およびネットワークの要件を満たしています。次のようなあらゆるネットワーク サービスが全面的にサポートされます。

  • 個人向けおよび家庭向けサービス
  • 企業向けサービス
  • ブロードバンド モビリティ サービス
  • ホールセール サービス

サービスプロバイダーは、Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインを使用することにより、高い一貫性と信頼性の下で収益力の高いサービスをネットワーク上に実現して、まったく新しい世代の加入者に高い QoE(Quality of Experience)を提供できます。

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインの概要

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインを採用したサービスプロバイダー ネットワークは、一貫した信頼性と可用性でそれぞれのサービスの固有の要求に応えることができます。このネットワーク デザインでは、アクセス レイヤから IP/MPLS コアまで、サービス トランスポートの基盤がエンドツーエンドで提供されます。サービス レイヤ コンポーネントとアプリケーション レイヤ コンポーネントの統合により、将来の要件に合わせて拡張可能な、インテリジェントで統合的なネットワーク モデルが実現します。

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインの重要な原理の 1 つは、現在および次世代のサービス商品に対応する最高の柔軟性を提供するために、複数のネットワーキング テクノロジーが使用可能になっているということです。これらのテクノロジーには、イーサネット、IP、MPLS 関連の新しいテクノロジーに加えて、EoMPLS(Ethernet over MPLS)、レイヤ 3 PIM-SSM(Protocol Independent Multicast-Source Specific Multicast)、MPLS VPN、IPoDWDM(IP over Dense Wavelength-Division Multiplexing)、H-VPLS(Hierarchal Virtual Private LAN Service)、IEEE 802.1ad などがあります。このような設計によって、ネットワーク インフラストラクチャに関連する資本コストと運用コストを最小限に抑えつつ、幅広いアプリケーションをサポートすることができます(キャリア イーサネット デザインのビジネス ケースおよび ROI 分析については、www.cisco.com/en/US/netsol/ns561/networking_solutions_white_papers_list.html [英語] を参照してください)。

ネットワーク デザインにおけるこのような柔軟なアプローチは、すべてのサービスを統合する際のテクノロジーとして H-VPLS だけを使用することを提案する、やや硬直的なアプローチ(一部のネットワーク設計者が支持)とは対照的です。H-VPLS は、一部のマルチポイント ビジネス イーサネット サービスには適したテクノロジーですが、すべてのアプリケーションとサービスに最適というわけではありません。例えば H-VPLS はブロードキャスト ビデオの配布にはあまり適していません。これは、H-VPLS で要求される独自規格のマルチキャスト テクノロジーが、本質的にスケーラブルでないためです。シスコはネイティブなレイヤ 3 IP マルチキャストを推奨します。これは、IP マルチキャスト トラフィックを配信するためのアプローチとして実証済みであり、スケーラビリティを備えている上、IETF 標準に準拠しています。同様に、ホールセール サービスを作成する際は、多くの場合、レイヤ 3 MPLS VPN が最良のアプローチです。これは、MPLS VPN がサービスプロバイダー ネットワークに広く浸透しているためです。このような理由で、シスコは、IP NGN キャリア イーサネット デザインにおいては柔軟なアプローチを提唱しています。また、この方法により、アクセスおよびアグリゲーション ネットワークの総所有コストを最小限に抑えながら、高い一貫性と信頼性を備えたサービス トランスポートをサポートして、幅広いアプリケーションおよびサービスに対応することができます。

IP NGN キャリア イーサネット デザインでは、家庭用 IPTV を実現するにあたって、標準ベースの IP マルチキャストを使用してブロードキャスト ビデオを IP ネットワークで配信するという、きわめてスケーラブルな方法を採用しています。PIM(Protocol Independent Multicast)は、大規模で確実に動作することが立証されている唯一の IP マルチキャスト プロトコルです。また、IP NGN キャリア イーサネット デザインは、企業と個人どちらのビデオ サービス加入者からも求められる、一貫性のある高速ルーティング コンバージェンス機能および高速チャンネル変更機能をサポートしています。

IP NGN キャリア イーサネット デザインと Cisco Service Exchange Framework(SEF)とを組み合わせて使用することにより、家庭向け、企業向け、モバイル、ホールセールといった幅広いサービスを提供するための堅牢かつ柔軟なアプローチが可能になります。

ネットワーク サービスの進化

サービスプロバイダーが長期的に成功するためには、サービス提供における機敏性と柔軟性が不可欠です。大規模サービスプロバイダーのほとんどが、家庭向け、企業向け、モバイル、およびホールセールのサービスを提供する柔軟性を必要としています。ここでは、現在のサービス要件について概説し、将来に向けたロードマップを示します。

家庭向けサービス

サービスの収益を最大化し、加入者の離脱を最小限に抑えるための一般的な戦略は、トリプルプレイ サービスを含む包括的なセットを個人加入者に提供することです。その中には、次のようなサービスが含まれます。

  • 音声
  • 高速インターネット接続
  • ブロードキャスト TV およびビデオ オン デマンド(VoD)

このバンドル サービスを魅力的な価格で提供することで、加入者がすべてのサービスを同じプロバイダーから購入するのを促すことができます。マルチメディア サービスの統合は、ネットワークにおける IP コンバージェンスの重要な要素の 1 つです。音声サービスは VoIP を使用して提供され、ビデオ サービスは IPTV および IP VoD を使用して提供されます。トリプルプレイに対応するには、ネットワークが数十から数百 Gbps への拡張性を備えていることが必須です1

IPTV マルチキャスト接続および VoD ユニキャスト接続の上で提供される VoD および高解像度(HD)コンテンツの需要は着実に伸びているため、トラフィックの大幅な増加が見込まれています。現在のこのようなトレンドに応えるため、IP NGN キャリア イーサネット デザインではビデオ トランスポートの実質的なラインレートを 1 Gbps から 10 Gbps に拡大し、さらに 100 Gbps 以上に進化させると共に、サポートするマルチキャスト グループおよびブロードキャスト TV チャンネルの総数を大幅に増やしています。

企業向けサービス

企業の加入者は、多くのサービスプロバイダーにとって既存顧客層の中でも重要なセグメントです。今日のネットワークが提供しなければならない主な企業向けサービスは、次のとおりです。

  • MPLS VPN
  • キャリア イーサネット接続
  • マネージド サービス

キャリア イーサネット接続サービスは、サービス タイプとして E-Line、E-LAN、E-Tree を含むように Metro Ethernet Forum(MEF)によって定義されています。これらのサービス タイプは、以下のように定義されます。

  • E-Line:ポイントツーポイントのイーサネット仮想接続を基礎にしています。E-Line サービスには、以下の 2 つがあります。
    • イーサネット専用回線(EPL):非常に単純かつ基本的なポイントツーポイント サービスであり、フレーム遅延、フレーム遅延変動、およびフレーム損失率が低いという特徴があります。サービスの多重化はサポートされません。また CIR(Committed Information Rate)以外の CoS(Class of Service)帯域幅プロファイルも定義できません。
    • イーサネット仮想専用回線(EVPL):サービスの多重化(複数のイーサネット仮想接続)が許可されているポイントツーポイント サービスです。MEF が定義した帯域幅プロファイルおよびレイヤ 2 制御プロトコルの処理方法の豊富なセットを使用して、個々のイーサネット仮想回線を定義できます。
  • E-LAN:マルチポイントツーマルチポイントのイーサネット仮想接続に基づいています。サービスの多重化、つまり 1 つの UNI に複数のイーサネット仮想回線が存在できます。また、CIR や関連する CBS(Committed Burst Size)、EIR(Excess Information Rate)など、MEF が定義したパフォーマンス保証のための豊富なセットを使用できます。
  • E-Tree:ポイントツーマルチポイントの ELAN サービスです。このサービスでは、スポークの「リーフ」はハブまたは「ルート」の位置とは通信できますが、リーフどうしでは通信できません。E-Tree の典型的な用途は、フランチャイズ オペレーションです。

企業向けサービスでは通常、専用の QoS(Quality of Service)を備えた確実な帯域幅を提供します。これは、MPLS VPN2を使用してレイヤ 3 で行うか、レイヤ 2 キャリア イーサネット サービス3を使用してイーサネット上で直接行うことができます。また、WAN ルータおよびファイアウォールの管理については、多くの企業がサービスプロバイダーへのアウトソーシングを選択しています(www.cisco.com/en/US/netsol/ns546/networking_solutions_solution_category.html [英語]を参照)。キャリア イーサネット ネットワークでは、これらすべてのサービスを安全な専用の帯域幅の下で提供できる必要があります。

最適化されたブロードバンド モビリティ

モバイル ワイヤレス ネットワークは、幅広いコミュニケーション アプリケーションの主要な手段になりつつあります。サービスプロバイダーは、ビジネス クラスのデータ アプリケーションおよびサービスをサポートすることに加えて、多数のリアルタイム マルチメディア アプリケーションを提供できるネットワークの構築に注力しています。

モバイル バックホール

モバイル サービスプロバイダーは、パケットの効率性を活かした、堅牢でありながら柔軟性を備えた IP トランスポート ネットワークを構築する必要があります。同時に、ネットワーク アーキテクチャを Third-Generation Partnership Project(3GPP/3GGPP2)の推奨事項に引き続き準拠させつつ、2G、3G、および新しい 4G のテクノロジーをサポートすることも必要です。これらの目標を達成するために、モバイル サービスプロバイダーは、自社の Radio Access Network(RAN)トランスポートを従来の回線ベースのテクノロジーからパケット ベースのソリューションに進化させる必要があります。

Cisco Mobile Transport over Packet(MToP)ソリューションは、業界標準(PWE3)の擬似ワイヤを使用することにより、パケット ベースのコアの機能および利点を RAN に拡張します。IP NGN キャリア イーサネット デザインでは、従来型の 2G および 3G の無線機器と組み合わせて使用できる Circuit-Emulation-over-Packet(CEoP)Shared Port Adapter(SPA)を IP RAN バックホールに使用して、MToP ソリューションを統合します。

MPLS ベースの擬似ワイヤは、次世代 RAN の要件を満たすのに適しています。MPLS ベースの擬似ワイヤは、転送コストが低く、レイヤ 2 およびレイヤ 3 のパケットのスイッチングおよびルーティングの要件を柔軟にサポートすることができ、データ パケットおよび回線交換の音声の多様な QoS 要件を同時にサポートします。Cisco Mobile Transport over Pseudowires(MToP)ソリューションは、TDM、フレーム リレー、および ATM のトラフィックを MPLS 上でカプセル化して転送することにより、RAN の複数のレイヤを実質的に 1 つの MPLS ネットワークにまとめます。

シスコは MToP を使って IP/MPLS をコアから RAN に拡張します。MToP ソリューションは、コアからアグリゲーション ノードまでの共通アーキテクチャと OAM&P(Operations, Administration, Maintenance, and Provisioning)を提供する、きわめてスケーラブルで高パフォーマンスなプラットフォームです。MToP は、最高レベルの柔軟性を目指して設計されており、CDMA(Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)、および WiMAX のネットワーク向けに 2G、3G、および 4G のセルサイト アグリゲーションを同時にサポートします。

MToP ネットワーク機能を組み込みの Cisco Content Services Gateway(CSG)モジュールと組み合わせることで、トラフィック分析、データ マイニング、コンテンツ フィルタリング、およびその他のインテリジェントな機能の実行が可能になり、差別化された請求モデルを実現できます。

IP NGN キャリア イーサネット デザインは PDSN/GGSN ネットワークを使ったブロードバンド サービス統合をサポートしています。そのため、プロバイダーはバックホール ワイヤラインおよびモバイル トラフィックに IP ネットワークを使用することで、高コストな TDM ネットワークで追加のキャパシティに対応する必要がなくなり、さらにコストを軽減することができます。セル サイトへのモバイル バックホール サービスは、Cisco Mobile Wireless Router(MWR)プラットフォームによって補完され、新しい 4G テクノロジーをサポートするトラブルのない拡張がサポートされます。

IP RAN の最適化

Cisco IP RAN 最適化ソリューションは、IP を使用して GSM および UMTS のトラフィックをセル サイトで最適化し、エンドツーエンドの IP サービスの実現を支援します。一般的な展開では、モバイル ワイヤレス アクセス ルータによって GSM および UMTS のトラフィックをセル サイトで最適化および集約します。これにより、専用 T1/E1 回線への依存度を軽減します。ルータは、従来のナローバンド(T1/E1)と、高速 IP ブロードバンド(xDSL、WiMAX、ネイティブ イーサネット)の RAN バックホール ネットワークをサポートしているため、高いスケーラビリティとネットワークの柔軟性が得られます。IP ルーティング デバイスのネットワーク インテリジェンスをセル サイトに置くことで、監視用の IP カメラ、IP テレフォニー、Wi-Fi/WiMAX アクセス、インターネット接続、ロケーション ベースのサービスなどの新しいサービスを展開して、新しい顧客を獲得できます。

また、Cisco ONS 15454 Multiservice Provisioning Platform(MSPP)は、スケーラブルなトランスポート アグリゲーションおよび最適化サービスを、Base Station Controller/Radio Network Controller(BSC/RNC)サイトでバックホール トラフィックに提供します。このプラットフォームは、複数のセルサイト モバイル ワイヤレス ルータを BSC/RNC に接続するため、ネットワーク オペレータは数百のモバイル トラフィック接続を単一のキャリア クラス プラットフォーム上で集約することができます。また、Cisco ONS 15454 MSPP は TDM および IP のさまざまな機能をサポートしているため、BSC/RNC サイトで専用の TDM クロス接続や ATM プラットフォームが不要になります。

モバイル IP:WiMAX

WiMAX は、新興成長市場、急成長市場、および先進市場で高度なブロードバンド ワイヤレス サービスを配信するための、IEEE 802.16e 標準に基づく第 4 世代(4G)ワイヤレス ソリューションです。モバイル IP テクノロジーを使用すると、ユビキタス サービスを提供することが可能になり、サービスプロバイダーはユーザの場所に関係なく持続的な接続を提供することができます。IP NGN キャリア イーサネット デザインは、統合されたブロードバンド ワイヤレス ゲートウェイ(BWG)をサポートすることで、エンドツーエンドの QoS、アドミッション コントロール、モビリティ、およびセキュリティのためにアクセス サービス ネットワーク(ASN)ゲートウェイ IP 機能をサポートします。

メトロポリタン Wi-Fi メッシュ ネットワーキング

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインは、メトロポリタン Wi-Fi メッシュ ネットワーキングなどのサービスをイーサネット上で統合する、ユニークな機能を備えています。Cisco 7600 シリーズ ルータに組み込まれている Wireless Services Module(WiSM)は、安全な Wi-Fi アクセスポイント アグリゲーション機能を提供するため、プロバイダーはメトロポリタン Wi-Fi メッシュ ネットワークを拡張および管理することができます。WiSM は、Lightweight Access Point Protocol(LWAPP)をサポートすると同時に、Wi-Fi Protected Access 2(WPA2)などの広範な統合型セキュリティ機能や、Protected EAP(PEAP)を含むさまざまなタイプの Extensible Authentication Protocol(EAP)を提供します。

Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザインは、進化を続けるさまざまなブロードバンド モビリティ サービスをサポートするだけでなく、Long-Term Evolution(LTE)など、将来の高帯域幅モバイル アプリケーションをサポートする適合力も持っています。このデザインは、容易で安全なローミングをサポートし、モバイル ユーザのエクスペリエンスを最適化する統合的な QoS 機能を提供します。

ホールセール サービス

多くのサービスプロバイダーは、家庭向けと企業向けのどちらについても、ホールセール サービスを他のリテール サービスプロバイダーに提供しています。リテール サービスプロバイダーは通常、加入者との間でトンネルまたは VPN による相互接続を必要としています。またホールセール サービスプロバイダーは、リテール サービスプロバイダーのインターネット顧客向けに、DSL アクセスのネットワーク インフラストラクチャを提供することがあります。このホールセール プロバイダーが各加入者をリテール プロバイダーに接続する際には、インターネット上のレイヤ 2 トンネリング プロトコル(L2TP)バックホール トンネルを使用することが考えられます。IP NGN キャリア イーサネット デザインは、MPLS トンネルまたはレイヤ 2 VPN を使用して、ホールセール トランスポート サービスをサポートします。サービスプロバイダーがリテール インターネットまたはアプリケーション サービスプロバイダーに対して、総合的なアクセスとアグリゲーション ネットワークをホールセール サービスとして提供することを計画している場合、IP NGN キャリア イーサネット デザインは、イーサネット、IP/MPLS、および VPN テクノロジーを使用して一貫したサービス提供をサポートし、リテール サービスプロバイダーおよびその末端の顧客に必要なレベルのセキュリティと QoS を提供します。そのため、リテール サービスプロバイダーはネットワーク トランスポート機器や施設を一切所有する必要がなく、これらの機能についてはホールセール プロバイダーに依存することができます。末端の顧客との関係が締結されるのはリテール サービスプロバイダーですが、サービス トランスポートはホールセール サービスプロバイダーが提供します。

サービスの進化

家庭向け、企業向け、およびモバイル向けのサービスは、今後も統合が進むでしょう。現在、ほとんどの顧客はモバイルと固定回線の電話サービスを別々に使用しています。しかし将来は、多くのサービスプロバイダーが固定とモバイルを統合したサービスを提供するようになります。顧客が契約した 1 つのサービスから、場所や設定に応じて携帯電話、固定電話、または PC 上のソフト IP フォンに電話サービスが提供されます。同様に、サービスプロバイダーが提供する統合型ビデオ サービスは、顧客の設定に応じて HDTV、PC、携帯電話、またはワイヤレス PDA に配信されます。業界の全体的なトレンドは、ビジネスとエンターテインメントのどちらにおいても、完全にパーソナル化されたサービスと統合されたマルチメディア アプリケーションを利用した「エニー サービス、エニー スクリーン(any sercie, any screen)」です。

図 1 グローバルな IP トラフィックの成長予測

図 1 グローバルな IP トラフィックの成長予測

IP NGN キャリア イーサネット デザイン

IP NGN キャリア イーサネット デザインは、Cisco Intelligent Services Gateway(ISG)などの Service Exchange Framework(SEF)コンポーネントを取り入れています。キャリア イーサネット ネットワークは、図 2 に示すように階層化された要素から構成されています。これらの要素は以下のとおりです。

  • アクセス:個人および企業の顧客へのアクセスを、DSL、ファイバ、ケーブル、またはワイヤレスで提供します。
  • キャリア イーサネット アグリゲーション:キャリア イーサネット ネットワーク全体にわたってアクセス ネットワークを集約し、IP/MPLS エッジおよび IP/MPLS コアへの相互接続を提供します。
  • IPoDWDM オプティカル ネットワーク:MPLS/IP over Dense Wavelength Division Multiplexing(IPoDWDM)を使用して、インテリジェントなイーサネット多重化によるオプティカル アグリゲーション サービスを実現します。
  • インテリジェント サービス エッジ:IP/MPLS コアとの間のインターフェイス サービスです。これは、家庭向けおよび企業向けの加入者サービスのプロバイダー エッジです。
  • IP/MPLS コア:コア ネットワーク内でスケーラブルな IP/MPLS ルーティングを提供します。
  • ポリシー/サービス レイヤ:サービスの提供を制御するブロードバンド ポリシー管理を行います。Service Exchange Framework の主要なコンポーネントです。

図 2 IP NGN キャリア イーサネット デザイン

図 2 IP NGN キャリア イーサネット デザイン

アクセス

ネットワークのアクセス コンポーネントは、加入者に対して固定通信またはワイヤレスの物理的なアクセスを提供します。キャリア イーサネット ネットワークは、あらゆるタイプのアクセス ネットワークおよびデバイス向けにトランスポートを提供する必要があります。これには、SONET および SDH MSPP ネットワーク、ケーブル、DSL、PON、E-FTTx、WiMAX、3G ワイヤレス、Wi-Fi ホットスポットおよびホットゾーン ネットワークが含まれます。さらに、顧客のタイプとアクセス ネットワークのタイプに基づいてサービスを作成する必要があります。

キャリア イーサネット アグリゲーション

キャリア イーサネット アグリゲーション ネットワークは、IP NGN キャリア イーサネット デザインの基盤です。キャリア イーサネット アグリゲーション ネットワークは、あらゆるタイプのサービス、顧客、アクセス テクノロジーに対応したイーサネット トランスポートを提供し、1 〜 10 Gbps のラインレート サービスのトランスポートをサポートするスケーラビリティを持ち、100 Gbps を超える容量に進化していきます。キャリア イーサネット デザインは、イーサネット トランスポート ネットワークで複数のレイヤ 2/レイヤ 3 テクノロジーをサポートするため、すべてのサービスを個別に最適化することができます。サポートされるテクノロジーやプロトコルには、以下が含まれます。

  • PIM-SSM によるレイヤ 3 ルーティング
  • レイヤ 3 MPLS VPN およびマルチキャスト VPN(RFC 2547bis)
  • H-VPLS
  • EoMPLS(擬似ワイヤ)
  • IEEE 802.1q、802.1ad、802.1ah
  • IPoDWDM

アグリゲーション ネットワークで複数のプロトコルをサポートすることが欠かせない理由の 1 つは、顧客、サービス、およびアプリケーションごとに固有の要件があり、それらは単一のユニバーサルなネットワーク設計アプローチでは解決できないということです。複数のプロトコルとテクノロジーをサポートしなければならないもう 1 つの理由は、サービスプロバイダーがネットワークの構築と設計において独自のアプローチを採用していることです。IP NGN キャリア イーサネット デザインは柔軟性を備えているので、サービスプロバイダーは、特定のベンダーの設計ガイドラインとアーキテクチャではなく、自社の設計ガイドラインとアーキテクチャに基づいてネットワークを設計できます。

前述した任意のプロトコルを任意のサービスに対して使用できますが、家庭用のビデオ ブロードキャスト サービスは例外です。ビデオ ブロードキャスト サービスでは QoE(Quality of Experience)要件が重要になるため、最適なサービス提供テクノロジーは、FRR(Fast Reroute)を備えた MPLS 上での PIM-SSM によるレイヤ 3 IP マルチキャストです。これにより、ブロードキャスト TV サービスのためのスケーラブルで信頼性の高いアーキテクチャが実現します。同様に、ホールセールの家庭用ブロードキャスト ビデオ サービスでは、MPLS VPN(RFC 2547bis)上でのレイヤ 3 マルチキャストを使用して、スケーラビリティと、他のリテール ネットワークおよび顧客からの論理的な分離とを実現する必要があります。

サービスプロバイダーは、ネットワーク アーキテクチャおよびアプリケーションに最も適したトランスポート プロトコルを自由に選択できますが、シスコは、サービス提供を最適化するために推奨されるプロトコルを提示しています(表 1)。一般に、イーサネット トランスポートで QoS の差別化を求めるサービスでは、多くの場合、EoMPLS 擬似ワイヤ トランスポートが推奨されます。EoMPLS は IETF の擬似ワイヤ標準を使用するため、スケーラブルである上に QoS 特性も拡張されます。

表 1 さまざまなサービスに推奨されるプロトコル

サービス 推奨されるトランスポート プロトコル トランスポート機能
家庭向け高速インターネット接続 EoMPLS または IEEE 802.1ad AAA およびサービス制御を行うために、インターネット トラフィックをアクセス ネットワークからブロードバンド リモート アクセス ルータにバックホールします。QoS、階層型、割り当てベース、および利用ベースのインターネット アクセスを提供します。
家庭向け VoIP EoMPLS、または MPLS FRR 上のレイヤ 3 IP ルーティング シグナリング トラフィックをソフトスイッチに接続し、RTP トラフィックをインターネットまたはコア IP ネットワークに接続します。QoS を提供します。
家庭向け IPTV MPLS FRR 上のレイヤ 3 PIM SSM きわめて高いスケーラビリティ、障害からの高速リカバリ、および優れた QoE を備えたブロードキャスト TV サービス。
家庭向けビデオ オン デマンド MPLS FRR 上のレイヤ 3 IP ルーティング きわめて高いスケーラビリティ、障害からの高速リカバリ、および優れた QoE を備えたビデオ オン デマンド サービス。
企業向けイーサネット専用回線(EPL) EoMPLS または IEEE 802.1ad 統計多重化を行わない、フル データ レートでのイーサネット回線のトランスポート。これには、QoS が必要です。
企業向けイーサネット仮想専用回線(EVPL) EoMPLS または IEEE 802.1ad CIR/EIR と統計多重化による利点を備えたイーサネット仮想接続のトランスポート。
企業向け MPLS VPN MPLS または IEEE 802.1ad MPLS VPN サービスのプロバイダー エッジである MSE ルータへの加入者イーサネット仮想接続のトランスポート。CIR/EIR によって帯域幅が保証されます。
企業向け E-LAN H-VPLS または IEEE 802.1ad 企業顧客向けのマルチポイント仮想 LAN サービス。CIR/EIR によって帯域幅が保証されます。
モバイル バックホール EoMPLS または IEEE 802.1ad 3G、WiMAX、および Wi-Fi のネットワーク向けの擬似ワイヤ バックホール。
ホールセール家庭向け高速インターネット接続 EoMPLS または IEEE 802.1ad アクセス ネットワークからリテール サービスプロバイダーへの擬似ワイヤ バックホール。
ホールセール IPTV および VoD マルチキャスト機能を伴う RFC 2547bis MPLS VPN リテール サービスプロバイダーをアクセス ネットワークと相互接続する、マルチキャスト機能を伴うプライベート IP ネットワーク。
ホールセール企業向けサービス EoMPLS または IEEE 802.1ad 企業顧客からリテール サービスプロバイダーへのトランスポートを EIR/CIR の帯域幅保証と共に提供します。


IPoDWDM オプティカル ネットワーク

ビデオ トラフィックと IPTV アプリケーションの激しい増加に対応するため、サービスプロバイダーは IP over Dense Wavelength-Division Multiplexing(IPoDWDM)テクノロジーを使用して、コア ネットワークおよびアグリゲーション ネットワークを強化しています。Cisco IPoDWDM ポートフォリオは、スケーラビリティと効率を強化する一連の強力な機能を含んでいるため、きわめて柔軟なエンドツーエンドのオプティカル プロビジョニングを保証するのに役立ちます。基盤となるオプティカル DWDM ネットワークを構成している Cisco ONS 15454 Multiservice Transport Platform(MSTP)は、アグリゲーション ノード、エッジ ノード、およびコア ノードと容易に統合できるため、コストの大きな節減につながります。

このオプティカル トランスポート アグリゲーションは、IPoDWDM 相互接続を通じてスムーズに IP NGN キャリア イーサネット デザインに統合されます。IP および DWDM をコア ネットワークおよびアグリゲーション ネットワークに統合することでトランスポンダが不要になり、信号に電気的な変換を行うことなく、オプティカル ドメインのまま扱うことが可能になります。IPoDWDM は、MSTP の波長アドドロップ機能を使用することで、物理トポロジに左右されない論理トポロジの作成をサポートします。ITU G.709 機能の組み込みにより、FEC(Forward Error Correction)/Extended FEC(E-FEC)および OAM 機能がサポートされます。これは、到達範囲の拡大に役立つと共に、パフォーマンス管理も提供します。

インテリジェント サービス エッジ

インテリジェント サービス エッジは、多数のネットワーク サービスにとって終端であり、管理される場所です。ここでは、主に次の 3 つの機能が実行されます。

  • ブロードバンド リモート アクセス サービス アグリゲーション
  • マルチサービス プロバイダー エッジ ルーティング
  • ディープ パケット インスペクション(DPI)

ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ

ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイは、主に家庭向け高速インターネット接続の加入者管理とホールセール サービスを扱います。家庭向けインターネット アクセスおよび VoIP テレフォニー サービス用に、Intelligent Services Gateway(ISG)機能を実装します。加入者トラフィックは、イーサネット アクセスとアグリゲーション ネットワークを介して転送され、ブロードバンド リモート アクセス ルータで終端されます。ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイによって提供される機能には、以下のものがあります。

  • 家庭向け高速インターネット接続サービスの終端
  • L2TP または MPLS VPN を使用したホールセール高速インターネット接続の終端、ルーティング、またはトンネリング
  • PPPoE および IPoE セッション用の RADIUS、AAA、および動的な加入者とポリシー制御

マルチサービス エッジ

ビジネス トラフィックは、キャリア イーサネット ネットワークを通じてマルチサービス エッジに転送されます。マルチサービス エッジでは、MPLS VPN サービス、既存のフレーム リレー サービス、および ATM サービスが終端されます。マルチサービス プロバイダー エッジは、仮想 IP ルーティング(RFC 2547bis)機能のほか、フレーム リレー、および ATM と MPLS の間の相互作用機能を実行します。

ディープ パケット インスペクション

ディープ パケット インスペクション(DPI)機能は、アプリケーション レイヤのトラフィック管理と、プレミアムなインターネット サービス配信制御を実装します。この機能は、トラフィックのポリシングおよび監視(P2P トラフィックのレート制限など)を実行するほか、Service Exchange Framework の必須部分でもあります。

IP/MPLS コア

IP/MPLS コアは、すべてのイーサネット アグリゲーション ネットワークを相互接続するバックボーン ネットワークです。このコア ネットワークは、きわめてスケーラブルな Cisco CRS-1 ルータを基盤にしています。コア ネットワーク内のすべてのパケット転送は、スケーラブルなレイヤ 3 IP/MPLS ルータによって実行する必要があります。

キャリア グレードのイーサネット管理

今日のサービスプロバイダーは、顧客からの受注をオペレーション ビジネス プロセスに対応付けし、装置の構成を決定するにあたり、迅速な自動化とアクティベーション機能を備えたサービス履行(フルフィルメント)機能を必要としています。統合ネットワークが一般的なものになるにつれて、サービス履行要件はますます複雑化し、その結果、数千にも達するネットワーク上のルータがそれぞれ、常時変化する独自の構成や主体を持つさまざまな顧客をサポートするといった状況につながる可能性があります。

キャリア イーサネット ネットワークは、個人、企業、ホールセール、VoIP、ビデオ、およびブロードバンド モビリティのサービスをサポートできる管理フレームワークによって、統合されたマルチサービス インフラストラクチャをサポートする必要があります。IP NGN キャリア イーサネット デザインには、マルチベンダー ネットワーク環境でワークフローおよびビジネス プロセスをサポートする、サービス アクティベーションおよび保証方法の包括的でオープンなインフラストラクチャが用意されています。主要なコンポーネントは以下のとおりです。

  • Network Management System(NMS):アクセス ネットワーク レイヤ、アグリゲーション ネットワーク レイヤ、およびエッジ ネットワーク レイヤの要素管理機能を提供するほか、保証やパフォーマンス管理などの付加価値アプリケーション(プラグイン)用のプラットフォームを作成します。理想的には、NMS はデバイス管理インターフェイスを容易にサポートおよび拡張できるように、「コア」ネットワーク管理ソフトウェアからマネージド デバイス インターフェイス(API)を「抽象化」する必要があります。これにより、直接ネットワーク通信に管理ソフトウェアが縛られることがなくなり、幅広い種類と数のネットワーク デバイスをサポートする柔軟性がサービスプロバイダーに与えられます。
  • アクティベーション管理:ユーザおよびハイアベイラビリティ指向のサービスをサポートし、サードパーティ機器にも柔軟に対応するネットワークにより、キャリア イーサネットを使った企業向けおよび家庭向けサービスをエンドツーエンドで作成することができます。
  • 保証管理:ネットワークの障害を 100 パーセントの精度で容易に検出および修復する機能を提供します。保証管理は、E-OAM 機能に基づいて検出およびパフォーマンス監視を行い、従来のイーサネットから EoMPLS、H-VPLS、レイヤ 3 VPN、モバイル バックホールなどの MPLS ベースのアプローチまで、複数のテクノロジーをサポートします。

Ethernet OAM(Operations, Administration, and Maintenance)4

Ethernet OAM には、サービスプロバイダーが標準化された方法でイーサネット リンクおよびサービスを作成、監視、およびトラブルシューティングすることができる機能が含まれています。Ethernet OAM は、IP/MPLS コア、メトロ イーサネット、および顧客構内にまたがるエンドツーエンドのサービス保証をサービスプロバイダーが提供するのを支援します。以下のプロトコルが Ethernet OAM の構成要素です。

  • IEEE 802.1ag:Connectivity Fault Management(CFM)
  • ITU-T Y.1731:イーサネット ベースのネットワークのための OAM 機能およびメカニズム
  • IEEE 802.3ah:イーサネット リンク OAM(EFM OAM)
  • MEF E-LMI:イーサネット ローカル管理インターフェイス
  • Cisco IP SLA(CFM に依存し、インバンド パフォーマンス管理に使用)

IP NGN キャリア イーサネット デザインは、Ethernet OAM 機能による包括的かつ自動化されたツール類を備えています。これにより、サービスプロバイダーは顧客構内までのすべての部分でサービスの接続性を管理できます。

ビデオ サービス

IP NGN キャリア イーサネット ネットワーク上で伝送される最も困難かつ重要なサービスの 1 つは、ビデオです。ビデオ サービスは、ブロードキャスト IPTV と VoD で構成されます。これらのサービスで伝送されるコンテンツには、標準解像度(SD)と高解像度(HD)があります。ビデオは、サービスプロバイダーの収益に大きく貢献するので重要です。ただし、大量のトラフィックが生成され、ストリーム配信されるため、ビデオを扱うのは容易ではありません。インターネット トラフィックと異なり、ビデオ トラフィックには遅延、パケットの損失、ネットワークの停止への耐性がありません。パケット損失率が 10-6 を上回ったり、停止が 2 〜 3 秒を超える状況では、ビデオの品質に重大な影響が出る可能性があります。

IP NGN キャリア イーサネット デザインの一部として、シスコは、高い品質とアベイラビリティを備えた IPTV および VoD を提供するための包括的なソリューションを用意しています。シスコの IP NGN ビデオ配信ソリューションの主な利点には、以下のようなものがあります。

  • 強化された PIM-SSM および IGMP を備えたレイヤ 3 ビデオ配信により、あらゆるタイプの障害シナリオで常に 1 秒未満のコンバージェンスおよび復旧を実現します。PIM は、大規模なマルチキャスト ネットワークで立証されている、きわめてスケーラブルかつ堅牢なプロトコルです。
  • IPTV と VoD は、堅牢な Cisco Integrated Video Admission Control(VCAC)ソリューションによって制御されます。このソリューションは、ネットワーク トポロジの変化とトラフィックを監視し、必要に応じてビデオ アドミッションを抑制します。これにより、ビデオ トラフィックがネットワークの容量を超えることによって発生するネットワーク メルトダウンを防ぐことができます。
  • シスコのソリューションは、高速なチャンネル切り替えをサポートします。この機能は、要求が行われた後にビデオ ストリームを 100 ミリ秒(ms)未満で開始することによって、チャンネル切り替え時間を数秒から 1 秒未満に短縮します。
  • Cisco Video Assurance Management Solution(VAMS)は、ブロードキャスト ビデオ トランスポートのリアルタイムの一元監視を提供します。ビデオ ストリームをリアルタイムで監視し、画像品質が低下すると予防的なアラートをプロバイダーに送信します。これにより、プロバイダーは品質低下の原因を判断し、コール センターに電話が殺到する前に問題を修正できます。さらに、ビデオ チャンネルとマルチキャスト アドレスの動的なマッピングを維持、追跡するため、プロバイダーはネットワークのあらゆる場所におけるビデオ品質の問題を容易に突き止める手段が得られます。

Service Exchange Framework

ネットワーク サービスが、トリプル プレイから、統合されたワイヤラインおよびモバイル ネットワーク上での「エニー サービス、エニー スクリーン」に移行していくと、サービス ポリシーの管理と制御がネットワーク インフラストラクチャに欠かせない要素になります。さらに、サービスは、デバイスにもアクセス方法にも依存しないものにならなければなりません。ネットワーク オペレータが真のアクセス非依存を実現するためには、加入者が誰であり、それらの加入者がどのサービスの使用を許可されているかなどを明らかにして、ネットワークの理解、可視性、および制御を高める必要があります。

サービスプロバイダーは、ネットワーク アクセスを動的に制御し、加入者の識別を行い、加入者が「その場で」利用するサービスを深く理解できる能力を備えている必要があります。より細かい可視性と制御を実現することで、サービスプロバイダーは、顧客の行動に対する洞察力を飛躍的に高めることができるだけでなく、差別化された新しい付加価値サービスを、より安全かつ収益性の高い方法で提供することが可能になります。

Cisco Service Exchange Framework(SEF)の主な利点のいくつかを以下に示します。

  • ポイントツーポイント(P2P)アプリケーションの管理
  • サービスのパーソナライズによる加入者の支援
  • ビデオ アドミッション コントロールの実装による高品質なビデオ配信の支援
  • サービスプロバイダーがプレミアムなサービスを作成するための新しいビジネス モデルの実現

SEF は、ポリシー管理レイヤと、パケット転送および処理レイヤの 2 つの主要なレイヤで構成されます。ポリシー管理レイヤは、加入者のプロファイルとサービス定義に基づいてサービスを構成し、パケット転送レイヤのコンポーネントを制御することでそれらのサービスを実装します。ポリシー管理レイヤはポリシー サーバを使用して実装され、パケット転送レイヤは以下を使用して実装されます。

  • Integrated Services Gateway(ISG):ルータおよびスイッチ上に常駐するソフトウェア コンポーネントであり、高度なサービスを可能にします
  • Service Control Engine(SCE):トラフィック シェーピング、監視、およびサービスの制御を提供する DPI エンジンです。

Service Exchange Framework(SEF)は IP NGN アーキテクチャの主要な要素で、IP NGN キャリア イーサネット デザインの専用プラットフォームに統合型インテリジェンスが組み込まれており、次世代のパーソナル化された加入者サービスおよびアプリケーション サービスを実現します。SEF の詳細については、http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/sce/index.html を参照してください。

まとめ

IP NGN キャリア イーサネット デザインは、現在および次世代のコンテンツをサポートする柔軟性と、増大するネットワーク トラフィックをサポートするスケーラビリティを備えています。サービスプロバイダー企業は、家庭向け、企業向け、モバイル バックホール、およびホールセールのサービスをコスト効果に優れた方法でサポートするように設計された、単一の統合キャリア イーサネット ネットワークにより、キャリア クラスの信頼性を備えたインフラストラクチャを構築し、一貫性のある高い QoE(Quality of Experience)をエンドユーザに提供することができます。サービス トランスポートを最適化するために多数のテクノロジーがサポートされており、サービスプロバイダーのエンジニアやアーキテクトは、対象とするサービス、アプリケーション、顧客に合わせて最適なネットワーク デザインを選択できます。

付録

シスコ製品

表 2 は、シスコ製品と IP NGN キャリア イーサネット デザインの要素の対応を示しています。

表 2 NGN キャリア イーサネット デザインの各要素をサポートするシスコ製品

キャリア イーサネット デザインの要素 シスコ製品
アクセス
  • Cisco ME 3400 および 3400E シリーズ イーサネット アクセス スイッチ
  • Cisco Catalyst 3750 Metro シリーズ スイッチ
  • Cisco Catalyst 4500 および 4500E シリーズ スイッチ
  • Cisco ME 4500 シリーズ スイッチ
  • Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ
  • Cisco ME 6524 イーサネット スイッチ
エッジ アグリゲーション
  • Cisco 7600 シリーズ ルータ
インテリジェント サービス エッジ
  • Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ(ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ)
  • Cisco 10000 シリーズ ルータ(ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ)
  • Cisco 7200 シリーズ ルータ(ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ)
  • Cisco 7300 シリーズ ルータ(ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ)
  • Cisco 12000 シリーズ ルータ(マルチサービス プロバイダー エッジ)
  • Cisco SCE 1010 Service Control Engine(DPI)
  • Cisco SCE 2020 Service Control Engine(DPI)
IP/MPLS コア
  • Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システム
IPoDWDM
  • Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システム
  • Cisco 7600 シリーズ ルータ
  • Cisco 12000 シリーズ ルータ
  • Cisco ONS 15454 Multiservice Transport Platform(MSTP)
モビリティ
  • Cisco MWR-1941-DC モバイル ワイヤレス エッジ ルータ
  • Cisco MWR-2941-DC モバイル ワイヤレス ルータ
  • Cisco 7600 シリーズ ルータ(Wireless Services Module [WiSM] 内蔵)
Service Exchange Framework
  • Cisco Intelligent Services Gateway(ISG)
  • Cisco SCE 1010 および 2020 Service Control Engine


用語集

表 3 略語と定義

略語 定義
AAA コンピュータ セキュリティにおいて、AAA は「authentication, authorization, and accounting(認証、許可、アカウンティング)」を表します。
認証は、サービスを要求しているユーザが、要求されたネットワーク サービスの有効なユーザであることの確認を意味します。
許可は、ユーザの認証、ユーザが要求しているサービス、および現在のシステム状態に基づいて、ユーザに特定のタイプのサービスを付与する(「サービスなし」を含む)ことを意味します。
アカウンティングは、ユーザによるネットワーク リソースの消費を追跡することを意味します。この情報は、管理、計画、請求、またはその他の目的で使用できます。
CIR キャリア イーサネット ネットワークにおける Committed Information Rate(CIR)は、サービスプロバイダーによって保証されるイーサネット仮想回線の平均帯域幅です。
EIR EIR(Excess Information Rate; 超過情報レート)は、キャリア イーサネットの加入者が、平均では CIR を超えないという前提の下で、一時的に利用できる最大レートです。
EoMPLS MPLS 擬似ワイヤ上でのネイティブ イーサネットのトランスポートです。
H-VPLS 仮想専用 LAN サービス(VPLS)は、IP/MPLS ネットワーク上でイーサネット ベースのマルチポイントツーマルチポイント通信を提供する方法です。VPLS は、擬似ワイヤを通じてサイトを接続することにより、地理的に離れたサイト間でイーサネット ブロードキャスト ドメインを共有することを可能にします。擬似ワイヤとして使用できるテクノロジーは、Ethernet over MPLS、L2TPv3、GRE などです。VPLS の確立について記述する IETF 標準は 2 つあります。現在はインターネット ドラフト段階ですが、まもなく RFC として公開されると考えられます。VPLS にはフルメッシュの LSP が必要であり、これには指数関数的に増加するという問題があります。H-VPLS では、仮想 LAN を独立した階層に分割することにより、この問題を緩和しています。
IEEE 802.1ad IEEE 802.1ad(プロバイダー エッジ)は、IEEE 標準の IEEE 802.1Q-1998 に対する修正です。その目的は、ブリッジで接続されたローカル エリア ネットワークの複数の独立したユーザに対して、ユーザ間の協調が不要で、ユーザと MAC サービスプロバイダーの間の協調も最小限しか必要としない方法で、MAC サービスの独立したインスタンスを提供するアーキテクチャおよびブリッジ プロトコルを開発することです。IEEE 802.1ad は、シスコがキャリア イーサネット サービスに使用している Q-in-Q プロトコルの標準化バージョンです。
IEEE 802.1ah プロバイダー バックボーン ブリッジ(PBB)は、IEEE 802.1ah 標準によって形式が定められています。MAC アドレスの独立性は維持したまま、顧客およびプロバイダーのドメインにイーサネット ネットワークを重ねることが可能です。B-DA および B-SA を定義して、バックボーン送信元および宛先アドレスを示します。また、B-VID(バックボーン VLAN ID)および I-SID(サービス インスタンス VLAN ID)も定義します。
IEEE 802.1q IEEE 802.1Q は IEEE 802 標準プロセス内のプロジェクトの 1 つで、ブリッジで接続された複数のネットワークにおいて、ネットワーク間で情報を漏らすことなく、同じ物理ネットワーク リンクを透過的に共有することを可能にするメカニズム(すなわち、トランキング)を開発することを目的としていました。また IEEE 802.1Q は、このプロセスから生まれた標準の名前でもあり、一般的な用途としては、このメカニズムをイーサネット ネットワーク上で実装するために使用されるカプセル化プロトコルの名前です。また、IEEE 802.1Q は、MAC レイヤでのブリッジングを支える特定の概念モデルおよび IEEE 802.1D スパニング ツリー プロトコルという条件の下で、仮想 LAN、すなわち VLAN の意味を定義します。このプロトコルでは、個々の VLAN は、レイヤ 3(ネットワーク)ルータを使用して相互に通信できます。
IPoE IP over Ethernet は、DSL および PON のアクセス ネットワークで PPPoE の代わりに使用されます。
レイヤ 2 プロトコル スタックのレイヤ 2 です。これは通常、プロトコル スタックの IP レイヤの下で機能する一連のイーサネット プロトコルのことです。
L2TP レイヤ 2 トンネリング プロトコル(L2TP)は、仮想専用ネットワーク(VPN)をサポートするために使用されるトンネリング プロトコルです。
レイヤ 3 OSI プロトコル スタックのレイヤ 3 です。これは、インターネットでのルーティングに使用されるインターネット プロトコルのことです。
LTE(別名 4G) Long Term Evolution は、モバイル トラフィックのための「オール IP」標準のプロジェクト名です。このプロジェクトにより、ブロードバンド機能は現在の 3G モバイル テクノロジーの限界を超えて高められます。
MPLS VPN RFC 2547bis によって指定されているレイヤ 3 仮想 IP ネットワークです。BGP ルーティングと MPLS フォワーディングの組み合わせを使用して、サービスプロバイダーの物理 IP ネットワーク上に仮想 IP ネットワークを作成します。MPLS VPN サービスは、フレーム リレーおよび ATM サービスに取って代わりつつあります。
PIM SSM インターネット上で一対多および多対多のデータ配信を提供できる、マルチキャスト ルーティング プロトコルのファミリです。この名称のうち「PI」に対応する「プロトコル非依存(protocol-independent)」の部分は、PIM が独自のトポロジ検出メカニズムを持たず、代わりに Border Gateway Protocol(BGP)など、他の従来型のルーティング プロトコルによって提供されるルーティング情報を使用することを意味します。PIM Source Specific Multicast(PIM-SSM)では、1 つの送信元のみをルートとするツリーが構築され、限られたアプリケーション(ほとんどはコンテンツのブロードキャスト)に対して安全性の高いスケーラブルなモデルが提供されます。SSM では、IP データグラムが送信元 S によって SSM 宛先アドレス G に転送され、受信側はチャネル (S,G) をサブスクライブすることによってこのデータグラムを受信できます。詳細については、RFC 3569 を参照してください。
PPPoE PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)は、PPP フレームをイーサネット フレーム内にカプセル化するためのネットワーク プロトコルです。PPPoE は、主に ADSL サービスで使用されます。PPPoE は、認証、暗号化、圧縮などの標準的な PPP 機能を提供します。
擬似ワイヤ パケット交換ネットワーク(PSN)上でのネイティブ サービスのエミュレーションです。ここで言うネイティブ サービスとは、ATM、フレーム リレー、イーサネット、低レート TDM、SONET/SDH などであり、PSN とは MPLS、IP(IPv4 または IPv6)、L2TPv3 などです。最初の PW 仕様は、ATM PW の Martini ドラフトと、IP 上での E1/T1 のトランスポートの TDMoIP ドラフトでした。2001 年、IETF は、PWE3 ワーキング グループを立ち上げました。このグループには、サービスプロバイダーのエッジツーエッジ PW 用のアーキテクチャの開発と、カプセル化技法の詳細を示すサービス固有ドキュメントの作成という役割がありました。ITU や MFA Forum などの他の標準化フォーラムもまた、PW の標準および実装合意の作成に取り組んでいます。
Q-in-Q IEEE 802.1q の拡張。サービスプロバイダーはこれを使用してキャリア イーサネット VLAN を作成することで、企業の社内 VLAN で使用されている IEEE 802.1q ヘッダを保持することができます。
QoE Quality of Experience。ビデオおよび音声の配信における体感品質を表す、主観的な用語です。たとえば、テレビ画像がゆがんでいたり、フレームがフリーズする場合、QoE のレベルは低くなります。
QoS Quality of Service(QoS)は、ユーザやデータ フローごとに異なる優先順位を与えたり、アプリケーション プログラムからの要求に対応したレベルのパフォーマンスをデータ フローに対して保証することが可能な制御メカニズムを表します。
RTP Real-time Transport Protocol(RTP)は、インターネット上で音声およびビデオを提供するための標準化されたパケット形式を定義します。RTP は、IETF の Audio-Video Transport Working Group によって開発され、1996 年に RFC 1889 として初めて公開されましたが、2003 年に RFC 3550 に置き換えられました。
Wi-Fi Wi-Fi は、IEEE 802.11 仕様に基づくワイヤレス ローカル エリア ネットワーク(WLAN)の基盤テクノロジーを表すために、Wi-Fi Alliance によって最初にライセンスされたブランドです。Wi-Fi は、LAN 内のノートパソコンなどのモバイル コンピューティング デバイスに使用するものとして開発されましたが、現在は、インターネットおよび VoIP フォンのアクセス、ゲーム、さらにはテレビ、DVD プレーヤー、デジタル カメラなどの家庭用電化製品の基本接続など、ますます多くのサービスに使用されるようになっています。
WiMAX WiMAX は、IEEE 802.16 標準への準拠およびこの標準との相互運用性を推進するために 2001 年 6 月に作られた WiMAX Forum によって、Worldwide Interoperability for Microwave Access として定義されており、公式には WirelessMAN と呼ばれます。WiMAX Forum では、WiMAX を「ケーブルおよび DSL の代替としてラスト マイルのワイヤレス ブロードバンド アクセスの提供を可能にする、標準ベースのテクノロジー」と説明しています。
3G 3G(または 3-G)は、第 3 世代テクノロジーの略です。3G は、携帯電話の標準に関して使用される用語です。3G のサービスは、音声データ(通話)と非音声データ(情報のダウンロード、電子メールの交換、インスタント メッセージなど)を同時に転送する機能を提供します。3G ベースステーションには、イーサネット バックホールが必要です。


1 http://www.cisco.com/en/US/netsol/ns561/networking_solutions_white_papers_list.html(英語)
2 MPLS VPN サービスは、RFC 2547bis によって指定される標準です。MPLS VPN サービスにより、サービスプロバイダーは、MPLS ネットワーク インフラストラクチャの上位に位置する仮想 IP ネットワークを顧客に提供できます。顧客は、DSL、フレーム リレー、T1、イーサネットなどのさまざまなアクセス テクノロジーを使用して MPLS VPN に接続できます。
3 キャリア イーサネット サービスは、Metro Ethernet Forum(http://www.metroEthernetforum.org/)によって定められています。
4 Ethernet OAM の詳細については、http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/routers/ps368/prod_white_paper0900aecd804a0266_ns577_Networking_Solutions_White_Paper.html(英語)を参照してください。

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