802.11n の設計および導入に関するガイドライン

設計ガイド





802.11n の設計および導入に関するガイドライン



ファスト イーサネットの速度を Wi-Fi の世界でも実現する可能性のある 802.11n の提案以来、業界は期待感を持ちながらその動向に注目してきました。そして今、IEEE は 802.11 ワーキング グループによる承認を受け、ドラフト 2.0 という形で、標準規格を一般市場向けに提供できる段階を迎えています。

802.11n 規格対応として販売されているこれまでのコンシューマ製品では相互運用性が十分に保証されておらず、早期の導入者はシングル ベンダー ソリューションを選ばざるを得ませんでした。また、エンタープライズ レベルでの導入を検討させるだけの機能や性能も欠けていました。ドラフト 2.0 では、安定性に関する条項を規格に導入したことで流れが大きく変化し、より大きく802.11n の可能性が開かれました。また、Wi-Fi Alliance は、この規格の高速パフォーマンスをサポートする製品の相互運用性の承認を開始しています。相互運用性と安定性が結びついたことで仕様は新しく生まれ変わり、WLAN での幅広い利用に向けた条件が整いました。

802.11 には、どんなに初歩的な WLAN も、またどんなに単純なモビリティ ニーズも一気に進化させる力があります。その力をエンタープライズ クラスのワイヤレス LAN 市場向け製品として結実させたのが、シスコの新製品、Cisco Aironet® 1250 シリーズ アクセス ポイントです。

Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントは、高度な耐久性を実現した、802.11n ドラフト 2.0 に準拠したモジュラ プラットフォームです。2.4 GHz スペクトルの 802.11b/g/n デバイスと 5 GHz スペクトルの 802.11a/n デバイスに、すべてライン レートで同時にサービスを提供できます。このプラットフォームは Enhanced Power over Ethernet(PoE)とギガビット対応イーサネット アップリンクをサポートし、クライアントのアクセスが必要なすべての場所で、802.11n によって拡張されたアクセス機能を保証します。そのため、クライアントおよびアプリケーションは、タイムリーな信頼性の高い方式でコンテンツを受信できます。Cisco Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントは、ユーザが WLAN が抱えるあらゆるタイプの課題へ対応するため、現在だけでなく将来のワイヤレス テクノロジーについても、他に類を見ない柔軟な導入をサポートすることに特化して設計されています。

速度だけではない 11n のメリット


新しいテクノロジーが登場すると、過大な期待をあおる宣伝が行われることも少なくありません。しかも、実証的なデータがない時期には、それが唯一の情報源となることもしばしばです。ところが、802.11n という技術に関していえば、そのような期待の正しさが証明された、数少ない一例といえます。採用が進めば、この新たな標準がもたらす、予想を超えたメリットを享受できるようになるでしょう。

11n に至る道のりを知るには、WLAN の進歩の歴史を振り返ってみるとわかりやすいかもしれません。最初の 802.11 の仕様ではピーク時のスループットがわずか 2 Mbps しか出なかったため、この標準は広く採用されるには至りませんでした。その後継となった 802.11b では、未加工データ レートに関しては、当時の標準であった 10 Mbps というイーサネットの有線ネットワークの仕様を上回っていました。イーサネット プロトコルのデータ レートの向上によって、(接続先の実際のデータ レートには達していなかったものの)11b の採用が促進されました。しかし、カバレッジのニーズを満たすために導入数が増加し、利用量が臨界値に達した段階で、ユーザはさらに高速な接続を必要とするようになりました。スループットに関する性能は 11a で飛躍的に向上しましたが、ミッションクリティカルな WLAN を実現しながらワイヤレス化を推進する、説得力のある理由をユーザに提供するためには、11b との下位互換性をもったアップグレードである 11g の登場を待たなければなりませんでした。その後、802.11n が登場したのです。

この新しい標準では、高速化、それも大幅な高速化が実現されたわけですが、11n は従来のように業務を加速するだけではなく、パフォーマンスを向上させる以上の意味を持っています。11n によって、多くの無線ネットワークの管理者が課題を抱えていた、信頼性と予測性という 2 つの領域に飛躍的な進歩がもたらされます。

無線ネットワークのプロトコルはその性質上、多くの理由により、信頼性の面では有線による伝送に劣ります。そのため、設計者はそれを前提として WLAN のアーキテクチャを設計してきたという経緯があります。たとえば、従来のセルでは音声ハンドセットが増えればそれだけ 802.11 のリトライ(とそれによる遅延)が増加するため、帯域幅を重視しなければならないにもかかわらず、レガシーなアクセス ポイントの設置にあたり、VoIP クライアントの数を制限する、といったことは普通に行われていました。11n では、そのような制約はなくなります。802.11n では、11n の新しい無線技術による物理層の強化、複数アンテナ、空間ストリームの追加などにより、メディア アクセス層の信頼性が向上し、レガシーの 11a/b/g デバイスの信頼性も向上します。その結果、最初の 1 回の送信で、データを送信先に到達させることができるようになりました。シスコで実施したテストによれば、Cisco Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントは、レガシーのアクセス ポイントでレガシーの伝送方式を使用した場合と比較すると、11n クライアントと 11a/b/g クライアントのどちらについても、802.11 の伝送量が半減しています。

注: この文書では、802.11n の高度なスループット レートをサポートしていないすべてのデバイスを、「レガシー」デバイスと表現しています。具体的には、802.11、802.11b、802.11g、および 802.11a PHY タイプをサポートしているすべてのクライアントおよびアクセス ポイントを指します。

ネットワーク全域に一貫して信頼性の高い接続を提供する機能は、拡張された無線機能の一部として 802.11n に取り入れられています。この機能により、ヌル転送や回線の混乱、その他マルチパスによる悪影響などにより、以前であればデータを到達させることのできなかった場所でも、時間や移動に左右されない一貫性のある高度な信頼性を実現できます。これは、Wi-Fi の世界に予測性がもたらされたことを表します。社内で実施されたテストによれば、Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントでは、クライアントの遅延やリトライによる変動が半分に減少しました。

Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントを追加することによって、Cisco Unified Wireless Network が最適化され、移動中のユーザやアプリケーションをサポートできます。

11n の詳細


802.11n は数多くの機能によって構成されており、それらの機能を結びつけることによって、パフォーマンス、信頼性、および予測性の向上を計ります。基本的に、これらのメリットは無線の強化、MIMO アンテナ テクノロジー、および 802.11 MAC の強化によって実現されています。

無線の強化

この新しい標準に未加工データ レートの向上、つまりアプリケーションの実行速度を向上させる機能を提供するため、802.11n では、PHY(物理層)に対する強化が行われました。これは 2 つの重要な部分から構成されており、どちらも仕組みとしては非常に単純で理解しやすいものとなっています。

最も顕著な強化点は、新しい 802.11n PHY では、既存の 802.11a/b/g をサポートしながら、従来以上に高速なデータ レートがサポートされていることです。実際、11n PHY では、Modulation Coding Scheme(MCS)と呼ばれる、非常に幅広い範囲の異なる速度をサポートしています。

図 1 11n では、異なる多数のデータ速度(MCS レート)を多数利用できます。

図 1 11n では、異なる多数のデータ速度(MCS レート)を多数利用できます。
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他の点がすべて同じであった場合でも、802.11n PHY では、それ以前の 802.11 より多くのデータを送出できます。ただし、さらに高い接続レートを得るためには、次に説明する 2 つの拡張された無線技術をクライアント側がサポートしている必要があります。

より高速な PHY 速度を実現するために、802.11n 標準では、レガシーと同じように 20 MHz チャネルをサポートするだけでなく、40 MHz で動作する拡張チャネルについても定義されています。プロプライエタリな方式を利用していたこれまでの規格とは異なり、11n ではチャネル ボンディングをサポートする条項が標準に追加されました。これは、使用している帯域幅のスペクトル効率を向上させるために、非オーバーラップ チャネルの間にある予約された空間を利用します。環境によっては、2 つのチャネルを結合するだけで、2 倍以上のスループットが実現される場合があります。

図 2 5 GHz 帯域では、2.4 GHz 帯よりスペクトル効率が高いため、40 MHz チャネルの結合にも十分対応できます。

図 2 5 GHz 帯域では、2.4 GHz 帯よりスペクトル効率が高いため、40 MHz チャネルの結合にも十分対応できます。
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データ レートの高速化と合わせて、この仕様が 802.11 PHY に追加されたことによって、それぞれのネットワーク ノードのデータ レートを向上させることに成功しています。

MIMO 転送の使用と MAC 層への 802.11 プロトコルの追加で、11n ではこれらのデータ レートをより効率的に向上させることができます。

MIMO

Multiple Input, Multiple Output(MIMO)は、802.11n の中心的な機能です。これは、指定した転送を、通常の PHY だけの動作よりさらに高速なデータ レートで動作できるようにします。

Spatial Division Multiplexing(SDM; 空間分割多重)は、11n の機能の 1 つです。これは、複数の無線およびアンテナを使用して、同一の受信者に異なる信号を転送します。受信者は、複数の分離した信号を元の信号に戻します。その結果、単一の伝送無線だけで達成できる速度より高速なデータ レートを実現できます。

さらに上位の層にも注目してみましょう。11n で拡張された MAC では、帯域幅を消費するアプリケーションであっても、利用可能な転送時間を効率的に利用できるようになるため、さらにスループットを効率的に高めることができます。

MAC の拡張

802.11n での MAC 層の拡張は、結果として得られるオーバーヘッドの飛躍的な減少と比較すると、拍子抜けするほど単純な概念に基づいて実施されます。フレームの集約とブロック確認応答のサポートは、どちらもレガシーの Wi-Fi ネットワークに見られたプロトコル オーバーヘッドを減少させるのに役立ち、結果的に高速化につながります。集約によってデータ フレームの連結が可能になり、コンテンションやフレーム間隔の発生が飛躍的に減少します。

注: フレームの集約は、ある 11n デバイスから別のデバイスにデータが送信されるときにのみ使用されます。ブロードキャストやマルチキャストのトラフィックは集約されません。

ブロック確認応答(ACK)によって、1 つの ACK フレームでグループまたは複数フレームのブロックの確認応答ができるようになるため、さらにプロトコル オーバーヘッドが減少します。レガシーの Wi-Fi ネットワークでは、ユニキャストの管理とデータ フレームに対して、常に別々に確認応答する必要がありました。

その他の改善点

他にも、従来の 802.11 規格に追加された強化機能があります。それは、11n において設計された機能であり、より進んだメディア アクセス サービスと省電力性の実現を目指しています。802.11n では、WMM/11e の Quality of Service (QoS) プロトコルをサポートしたステーションが必要になります。それによって、管理者による適切な QoS ポリシーを実施できるだけでなく、集約フレームの転送を促進するための Wi-Fi Multimedia(WMM)サービスの基盤も確立できます。また、11n では、11e で追加された省電力方式がさらに拡張されていて、インテリジェントなトリガベースの Automatic Power Save Delivery(APSD)のサポートだけでなく、エンドポイントではトラフィック パターンに合わせてトランスミッタとレシーバ機能をディセーブルにし、多くの無線を使用して動作している 11n の電力消費を大幅に節約できます。

11n に対応した Cisco Unified Wireless Network を設計する際には、802.11n の構成要素、さらにパフォーマンス、信頼性、および予測性を強化するために、それらの機能がどのように統合されているかを理解することが不可欠です。

注: 802.11n に関する詳細な技術情報については、http://www.cisco.com/web/JP/solution/netsol/mobility/ngw/literature/wlpfmc_wp.html のホワイト ペーパー、『802.11n:次世代ワイヤレス パフォーマンス』 を参照してください。

インフラストラクチャの準備


1250 シリーズベースでの 11n WLAN のプランニングは、レガシー ネットワークのプランニングと大きな違いはありません。ただし、ネットワークに必要な「基礎工事」が行われていることを確認するために、いくつか検討を要することがあります。アクセス ポイント(AP)の配置を決定した後(配置および密度に関する詳細は次のセクションで説明します)は、必要な場所に電源があるかどうか、さらに十分に AP に電力が供給されているかどうかを確認する必要があります。

11n における電力に関する検討事項

AP に適切な電力を供給する方法は以前と変わりません。Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントでは、電力の供給に壁面の AC コンセント、ミッドスパン PoE、およびエンドスパン PoE を利用できます。ただし、11n の無線設計の仕様により、PoE に関する要件に関しては、多少の変更があります。

PoE の標準である 802.3af でデバイスに供給される電力は最大で 15.4 W です。しかし、11n で新しい標準の性能を最大に生かすためには、より高い電力が必要になります。結果として、Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントでは、フルで動作する際には 18.5 W の電力を必要とします。

注: この電力要件を満たせない場合には、無線バンドを 1 つ無効にするか(802.3af では、Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントは 1 つの無線だけでも実行できます)、11n の機能を犠牲にする必要があります。他社であればそのような選択をするでしょうが、シスコでは、既存 PoE インフラストラクチャによる電力供給のサポートのために 11n の主要な機能(空間分割多重のサポートや複数のトランスミッタ/レシーバなど)を犠牲にすることはしない、という選択をしました。

現在の標準で供給されるより高い電力を必要とする機器を PoE で利用するにはどうすればよいのでしょうか。最も簡単な対応策は、ミッドスパン PoE を使用して、パワー インジェクタで AP に電力を供給することです。その場合に重要なのは、より高い電力をサポートできるインジェクタを購入することです (インジェクタは Aironet 1250 と同時購入もできますし、個別注文も可能です。ミッドスパン PoE インジェクタの部品番号は AIR-PWRINJ4=、AC アダプタは AIR-PWR-SPLY1= です)。接続されたスイッチから AP に電力を供給するエンドスパン PoE を利用する場合には、もう少し詳細なプランニングが必要となります。

2005 年に、所要電力の増大という問題に対処するために、IEEE は連携しながら、高い電力に対応した PoE 標準を推進するための 802.3at ワーキング グループを結成しました。この新しい標準は、完全な、業界に認められたプロトコルとしては承認されるに至っていませんが、既存の Cat5 ケーブルを通して、最大 30 W の電力をデバイスに供給できるようにするための原案となる仕様を提供しました。802.3at は承認へと向かってはいますが、シスコは、代表的なスイッチング製品のいくつかで「Enhanced PoE」(PoE Plus とも呼ばれます)というオプションを利用できるようにしました。

デュアル無線運用の Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントに給電するためには、Cisco Discover Protocol(CDP)と堅牢な電源サブシステム技術によって(802.3af の仕様を超えた)追加機能をサポートする Cisco Catalyst® 3560E および 3750E をご利用いただけます。

2.4 GHz(11b/g/n)または 5 GHz (11a/n)のどちらかを断念してでも 802.2af で給電を行いたい場合は、RF 帯域をどちらか 1 つだけ選択することもできます。そのような場合には、まず 2.4 GHz 環境をサポートし(このスペクトルをサポートしているクライアントが大多数であるため)、予算、インフラストラクチャ、およびユーザのニーズといった条件が整った時点でアップグレードし、5 GHz をサポートします。

注: あるいは、そのように電源の制限が大きい環境では、1250 シリーズ AP を 5 GHz のみで導入し、エンドデバイスをすべて一度に 5 GHz のものに入れ替えてしまうか、2.4 GHz 帯はレガシーの AP で代用するほうが理にかなっている場合もあります。

スイッチポートの速度

11n の高速性によるメリットを十分に活用するには、Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントを接続するイーサネット ポートのスピードに注目する必要があります。Aironet 1250 シリーズ AP には 10/100/1000 Mbps のイーサネット ポートが搭載されています。低速なポートを使用してもトラフィックを通すことはできますが、最大限のパフォーマンスを得るには、ギガビット イーサネットを利用します。

注: パフォーマンスは導入環境によって異なりますが、1250 シリーズでは、両方の無線が使用されている場合には、簡単に 200 Mbps 以上のパフォーマンス(クライアント側の実効スループット)を達成できます。このことは、ギガビットへの移行を検討する大きな理由となります。

速度を考慮しなければならないのは、AP とのリンクだけではありません。AP からコントローラへのリンクについても、十分に考慮しなければなりません。また、スループットに関しては、導入するコントローラによって、期待できる結果が異なることに注意します。高いスループットが求められる状況では、4400 シリーズ Wireless LAN Contoller、Wireless LAN Controller Module、3750 シリーズ Integrated Wireless Lan Controller、および Catalyst 6500 シリーズ Wireless Services Module が、Aironet 1250 シリーズ AP の導入に最も適した選択となります。

11n の導入


WLAN を導入するときには、ケーブルを引き回したり、アクセス ポイントを設置したりする前に、まず AP の密度と配置を決定しておく必要があります。

AP の密度を決定するときに重要なのは、アクセス ポイントの最大範囲ではなく、ターゲットとするユーザのエクスペリエンスです。AP の密度によって、アプリケーションの機能が生きるかどうかが決まります。AP の到達範囲が狭ければ、WLAN のパフォーマンスは向上し、全体的なシステム キャパシティも改善します。エンドデバイスでのスループットは、同じ AP に接続しているデバイスの数に反比例します。さらに、セルの物理的末端部で動作しているデバイスが多いほどデータ レートが低下するため、アクセス ポイントでは集約スループットが低下し、遅延も増加します。

セルのサイズは小さく。WLAN の帯域幅を最大にし、遅延を最小限に抑え、リンクの復元力を高く保つには、主に 2 つの方法があります。まず、出力を低く設定(Radio Resource Management(RRM)で動的に設定できます)した AP を近接させて配置すること、もう 1 つは、可能な範囲で、レガシーのデータ レートを全体的にディセーブルにすることです。

注: 環境に配置されているクライアントによっては、レガシーのデータ レートを常にディセーブルにできるとは限りません。たとえば、802.11b のレートをすべてディセーブルにしてしまうと、802.11b を使用するレガシー クライアントは一切使えなくなってしまうため、これは避けるべきです。ただし、低めのレート(1 Mbps、2 Mbps、5.5 Mbps など)のディセーブルは検討に値する場合があります。

5 GHz の運用は戦略的に。セルが小さいほど、最適なキャパシティを得やすくなります。ただし、システム全体に最良のキャパシティをもたらすには、2.4 GHz より広い領域に目を向ける必要があります。11n の真の価値は、5 GHz 帯域での運用をサポートしたことにあります。

11n が 5 GHz 帯域をサポートしたことには、3 つの重要な意味があります。まず、レガシーの 11a クライアントのインストールベースは 11b/g ほど多くない、という単純な事実があります。つまり、5 GHz 帯域では、レガシー デバイスのサポートをさほど気にすることなく、11n 本来のレートで運用できるということです。次に、セルあたりのスループットが向上した分だけ、5 GHz では非 802.11 との干渉が減少します。そのため、衝突に起因する再転送ではなく、データの移動により多くの時間を使えるようになります。最後に、5 GHz を使用する最も重要なメリットとして、利用可能な帯域幅が 2.4 GHz より飛躍的に多いことが挙げられます。米国では、23 のチャネルをオーバーラップせずに使えます。つまり、導入時には密度とキャパシティのみに集中し、チャネル(および出力)については RRM の処理に任せてしまうことができます。

注: 可能であれば、2.4 GHz を使用するレガシー デバイスのサポートも計画に入れます。ただし、新しい、より広い帯域幅を使用するデバイスは 5 GHz への移行を前向きに検討してください。

AP の密度を高め、5 GHz のサポートを「あれば便利なもの」から「必要なもの」へと変えることで、カバレッジだけでなく、キャパシティを考慮した設計ができるようになります。

AP の配置と設置場所の調査

11n のキャパシティ戦略を決定し、導入する環境における Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントのカバレッジ パターンを明らかにした後は、適切なカバレッジを実現できる場所に配置する必要があります。

シスコでは、できるだけ円滑に11a/b/g から 11n へとシフトできるようにしています。1250 シリーズ AP のカバレッジ領域は、1242 とほぼ同じです。そのため、多くのお客様にとって、11n への移行は、RF カバレッジに関しては円滑に行われるはずです。2.4 GHz と 5 GHz のカバレッジ特性がほとんど同じであり、両方の帯域を計画するのも比較的容易なため、1250の展開はさらに簡単になります。

図 3 AirMagnet 社の調査ソフトウェアを使用した測定によれば、1240 シリーズの 2.4 GHz での到達範囲は、障害物がない状態で 68,000 平方フィート(6,120 平方メートル)です。

図 3 AirMagnet 社の調査ソフトウェアを使用した測定によれば、1240 シリーズの 2.4 GHz での到達範囲は、障害物がない状態で 68,000 平方フィート(6,120 平方メートル)です。
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図 4 1250 シリーズ AP の RF カバレッジは 1240 とほぼ同じですが、カバーするエリア全域において、より優れたスループットを達成しています。

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図 5 1250 シリーズ の 5 GHz でのカバレッジは、2.4 GHz と非常によく似たパターンを示しています。

図 5 1250 シリーズ の 5 GHz でのカバレッジは、2.4 GHz と非常によく似たパターンを示しています。
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注: 1250 シリーズ AP では、1242 と比較して、AP からの直線距離で約 10〜15% 距離が伸びています。1250 では、カバー領域全体でより高いデータ レートが維持されていることに注目してください。

1250 シリーズ AP の配置を決定するには、多くの方法が考えられます。WLAN を展開するときには、シスコのアドバンスドサービスまたは認定リセラーなどに、正式なサイト調査を依頼するのも役立つでしょう。自分でゼロから配置図を書いてみてもよいですし、Cisco Wireless Control System のネットワーク プランニング ツールを利用することもできます。その後、RRM を使用して、最適なチャネル計画、伝送パワー設定、および干渉やクライアントのカバレッジに関する問題点を動的に調整します。

注: RRM を利用すると、WLAN の導入およびメンテナンスに伴う面倒な作業の多くを省略できるだけでなく、1250 シリーズ AP に差分アップグレードを適用できるようになるため、作業はさらに簡単になります。RRM は、レガシーの 1000、1100、1200、および 1300 シリーズのすべてのアクセス ポイントで利用できます。

信号伝播およびセルの設計をより柔軟に行うために、シスコでは、1250 シリーズ AP で利用できるさまざまなタイプのアンテナ オプションを提供しています。各アンテナの帯域、部品番号、伝播タイプ、およびゲインを下図に示します。

図 6

図 6
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上図のアンテナを使用するときは、「A-Tx/Rx」と表記された、プライマリ アンテナ ポートに接続します。選択したアンテナでダイバーシティがサポートされている場合は、「B-Tx/Rx」ポートも使用できます。「C-Rx」はレシーバ専用ポートなので、このポートの使用は最終手段にします。

注: 11n/MIMO の機能を最大に活用するためには、アンテナを 3 本使用することを推奨します。

11n への段階的移行


既存の 11a/b/g ユニファイド アクセス ポイントから、11n に対応した 802.11 ネットワークに一度に移行することは、少々困難な仕事だと思われるかもしれません。既存のデバイスを一度に置き換えるタイプのアップグレードではなく、段階的なアップグレードを計画できるように、数多くの柔軟な機能がコントローラ アーキテクチャに組み込まれています。

1250 シリーズベースの Cisco Unified Wireless Network に移行するには、多くの方法があります。最もよく利用される手法は、1250 に対応した LWAPP AP に交換することです。また、キャパシティを増やしたい場所に、1250 シリーズ AP を追加することによって、従来のカバレッジを補完する方法も考えられます。

シスコのアーキテクチャはコントローラベースであるため、そうした柔軟なシナリオも可能です。1 つのコントローラで、従来の AP と 1250 シリーズ AP の両方を管理できます。RRM は、同じエリアに 1250 とレガシーの AP が設置されている場合でも、従来と同様に、最適な RF 設定を適切に設計できます。

注: 11n に対応したクライアントは、1250 シリーズ AP に接続しているときにより高いレートで動作します。ただし、レガシーの AP に移動した場合には、サポートされている従来の低いレートで動作します。従来の AP から 1250 AP に移動した場合では、これと逆になります。

802.11a/b/g/n ネットワークとの共存


11n の優れている点は、新しい標準をサポートしたクライアントのパフォーマンス、信頼性、および予測性を高めることができるだけでなく、下位互換性によって、レガシーのデバイスでもパフォーマンスの増加によるメリットを利用できることです。

注: テストの結果によると、レガシーのデバイスでもスループットが最大 10% 向上しており、AP の複数のアンテナと無線のメリットを利用することによって、リトライが飛躍的に減少しています。

802.11n は、従来の標準でサポートされている低いレートではありますが、レガシーの 11a/b/g クライアントを接続できます。この下位互換においては、「保護」という機能によって、低速デバイスとの共存時にも 11n デバイスが本来のスループットを得られるようになっています。そのような混合モードの環境では、集約のパフォーマンスは、11n デバイスのみで構成された場合より低下します。ただし、1250 では、低い規格のクライアントが混在している場合でも、全体のスループットに関しては最も低速なレガシーの標準を上回ります。

11n がレガシーのデバイスと共存する方法は、結果的なスループットの違いを除けば、11g が 802.11b と相互運用する方法と非常によく似ています。保護メカニズムでは、CTS-to-self フレーム(クライアントによっては RTS/CTS をフルに行います)を利用して衝突を防止します。低速なレガシー クライアントはこの HT(High Throughput)変調を解読することはできませんが、備えている仮想キャリア検知機能によって高速なクライアント(11g では ERP、11n では HT という用語が使用されます)がメディアを使用するタイミングを認識することはできます。

11n の導入によって、(特に、大量のレガシー デバイスが存在する 2.4 GHz 帯域では)さらに複雑化する要素もあります。共存がもたらすスループットへの影響は、クライアントの数、混在するクライアント(11a/b/g/n)、固有のトラフィック負荷の特性、AP からの距離の変動(距離が遠いほど、リンクは低速になります)、および個々のクライアントのレート変化の特性などの条件によって、さまざまに異なります。

従来のデバイスとの共存が 11n 全体のスループットにどのように影響を与えるのか、という問題に対する明確な回答はありません。ただ、パフォーマンスに何らかの変化が生じることは確かです。少なくとも、次の点については確実です。

  • 低いレートで動作するレガシー デバイスによって集約でのパフォーマンスが低下している場合でも、11n デバイスはすべて 11n 本来のレートで転送を行うため、11n AP を導入すれば、ある程度のパフォーマンス向上は確実に見込めます。また、1250 シリーズ AP で 11n デバイスをまったく使用しない場合でも、セルのパフォーマンスは 11n の MIMO 機能によってある程度は向上します。
  • 2.4 GHz デバイスに対する 5 GHz デバイスの比率が高いほど(802.11a クライアントでも)、全体的なパフォーマンスが向上します。
  • 11n デバイスの数は、将来必ず増加します。それに従って、集約スループットも向上します。実際に 11g への移行は、このような過程を経て行われました。あらゆる兆候から見て、11n への移行はそれよりさらに急速に進みつつあります。11n 機能を内蔵しているノート PC の現在の出荷台数を考えてみると、かつて 11g が広まっていった状況よりはるかに先を行っています。

11n を非常に魅力のあるものにしている下位互換性ですが、11n のスループットは期待したほどではなかった、という意見もあるかもしれません。ご理解いただきたいのは、AP を 11n 対応に変えてもクライアント本来の最高速を向上させることはできない、という点です。スループットを重視するのであれば、レガシー デバイスを 11n に移行させ、5 GHz 戦略を積極的に遂行することを検討してください。

帯域幅を消費する 11n に対応するためのユニファイド ワイヤレス ネットワークの拡張


ワイヤレス性能のアップグレードを検討しているお客様から、インフラストラクチャの拡張に関する質問をよくいただきます。Cisco Unified Wireless Network の設計に備わっている復元力とスケーラビリティになじみのないお客様が、そうした疑問をお持ちになる理由はよく理解できます。つまり、よりキャパシティの大きいコントローラを同時に購入しないのであれば、高速な AP を購入する意味はないのではないか、ということだと思います。それは当然だろう、とお考えになるかもしれませんが、シスコのコントローラのクラスタリング機能、そして有機的に進化する WLAN の利用形態についてご理解いただければ、疑問は氷解するでしょう。

802.11n の保護機能を利用した混合モードによる動作が発生する仕組み、またユーザの移動により混合モードのパフォーマンスが決定されることなどについての議論はひとまず保留して、ここではシスコ アーキテクチャにキャパシティを追加するのがどれほど簡単であるかを説明します。

システムのキャパシティおよび復元力の追加

Cisco Unified Wireless Network では、キャパシティおよびシステム全体の復元力の設計は互いに結びついています。これは、ネットワークのインテリジェンスを AP に移動することにより、AP が最も適格なコントローラを、事前定義されたリストからか、または負荷に基づいて動的に選択し、接続することで実現されています。あるコントローラまたはネットワークからそのコントローラに接続しているリンクに障害が発生した場合には、AP はすぐに別の動作中のコントローラを選択し、ユーザのアプリケーションのサポートを維持します。ですから、後述するような、システム全体を拡張する必要があるとき、つまり AP とコントローラの両方、またはコントローラだけを追加する場合には、システムに追加分のインフラストラクチャを導入するだけで済みます。

注: この洗練された設計のもう 1 つのメリットは、コントローラのクラスタ、またはモビリティ グループを形成しているすべての AP の間を、クライアントがシームレスに移動できることです。

前述したように、11n へのクライアントの移行は新しいデバイスの購入とインストールベースの変動と歩調を合わせながら、急速に、しかし段階的に進むでしょう。レガシーの 802.11 標準から最新の仕様に転換していくということは、現在のスループット要件によって、将来における帯域幅が制限されてしまう可能性があるということです。この事実を考慮すれば、11n に合わせてシステムを拡張する方法は、非常に簡単であることがわかります。トラフィック要件およびパターンが必要になった時点で、さらに多くのコントローラを Cisco Unified Wireless Network クラスタに追加すればよいのです。その後に、一部のアクセス ポイントを選んで、新しいコントローラで運用するように設定すれば、帯域幅の制限という問題を、未然に解決することができます。

注: コントローラを追加することでシステムのキャパシティを増加する手法を「水平拡張」と呼びます。水平拡張により、ユーザはシステムが必要としているインフラストラクチャのみを購入できるようになります。11n の高いレートをサポートするのに、新しいネットワーク要素を必要としないだけでなく、それによって WLAN 全体の耐障害性も向上します。

1250 シリーズベースのネットワークと、それを利用するユーザおよびアプリケーションの規模が拡大していくのに合わせて、それらをサポートするコントローラ インフラストラクチャを拡大することができます。

11n に対応したネットワークの構成


Aironet 1250 シリーズ AP は、コントローラに関する限り、単なる Lightweight アクセス ポイントではありません。つまり、AP が IP アドレスを受信し、コントローラを検出することができれば、そのコントローラを通じて利用できるようになった設定を継承します。この機能を利用すれば、どんなに複雑な WLAN であっても、導入を飛躍的に簡素化できます。それだけではなく、4.2(またはそれ以上)のコントローラ コードを実行していることさえ確認できれば、AP はそのようなコントローラを検出し、加入することができます。ネットワーク管理者は、何もする必要がありません。

40MHz での運用

11n によってチャネルをボンディングする機能がもたらされ、それぞれのアクセス ポイントで利用できるスループットを向上させたことをご記憶でしょうか。速度を重視するユーザにとって、20 MHz チャネルで得られるスループットが不十分な場合、それぞれの 5 GHz の 11n 無線をボンディング チャネル設定に切り替えます。

注: 1250 シリーズ AP の 2.4 GHz 無線を 40 MHz で動作するように設定することもできますが、これは推奨もサポートもされません。その主な理由は、利用可能なスペクトルがきわめて少ない、干渉が発生しやすい帯域でワイド チャネルを利用する場合、1 台の AP のスループットを上げるために、隣接するすべてのアクセス ポイントのパフォーマンスを犠牲にすることになるためです。これは、明らかにエンタープライズ WLAN 本来の設計に則した使用法ではありません。また、Intel など、大多数のクライアントのチップセットでは、2.4 GHz 帯域での 40 MHz 動作をサポートする予定はありません。

ご使用の 1250 シリーズ AP を 40MHz モードで実行できるようにするには、コントローラのコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用する必要があります。ステップは簡単ですが、変更したいアクセス ポイントそれぞれについて実行しなければなりません。コントローラの CLI から、次のコマンドを入力します。

    (Cisco Controller) >show ap summary

このコマンドの出力結果から目的の AP の名前を特定し、その名前を以降のコマンドで使用します。

    (Cisco Controller) >config ap disable <AP_NAME>
    (Cisco Controller) >config 802.11a disable <AP_NAME>
    (Cisco Controller) >config 802.11a channel ap <AP_NAME> <channel #>
    (Cisco Controller) >config 802.11a txPower ap <AP_NAME> <power level>
    (Cisco Controller) >config 802.11a chan_width <AP_NAME> <20/40_ABOVE/40_BELOW>
    (Cisco Controller) >config 802.11a enable <AP_NAME>
    (Cisco Controller) >config ap enable <AP_NAME>

注: 40 MHz の設定で使用されている ABOVE および BELOW という指定は、拡張チャネルと設定されたチャネル(または制御チャネル)との関係を表します。たとえば、AP で チャネル 36 を 40 MHz に設定するには、「40_ABOVE」モード(拡張チャネルがチャネル 40 になる)で動作するように設定します。また、AP で チャネル 161 を設定する場合は、拡張チャネルがチャネル 157 になるように、「40_BELOW」に設定します。

この設定は、近日中にコントローラ GUI でもサポートされる予定です。1250 シリーズ AP を導入するまでには、利用できるようになるはずです。

11n の速度を活かすには


11n によるネットワークの運用を開始するのは非常に単純な作業ですが、意外と間違いやすい点があるのも事実です。そこで、何が問題なのか悩まないで済むように、11n のスループットに影響するいくつかの重要な要因について確認しておきます。すぐにデータを送信してもかまいませんが、新しく設置した環境で確実に最大の成果を得るには、以下の説明を読み、今のうちに確認しておくことは役に立つはずです。

速度を向上させるための条件

まず、11n では、WLAN の設定において、いくつかの新しい要件があります。それらが適切に設定されない限り、高速での通信はできません。これは、11n のレートをサポートするために既存の設定をアップグレードするときに、最も頻繁に起きる問題です。クライアントで 11n のレートを使用できるようにするには、クライアントが使用する WLAN で WMM をイネーブル(ユーザのニーズおよびクライアントのサポートによって異なりますが、「allowed」または「required」)にする必要があります。

また、11n では、すべての暗号化リンクで AES 暗号化を実行する必要があります。これは、暗号化されない WLAN では無視できる要件ですが、レイヤ 2 の暗号化機能を設定した場合には、(事前共有キーまたはバックエンドの認証、許可、アカウンティングにより)AES に対応した Wi-Fi Protected Access 2 を使用する必要があります。対応できない場合には、WLAN を 11n 本来のレートで運用することはできません。AES 対応 WPA2 が利用できる状態であれば、暗号化タイプを組み合わせて使用できます(WPA と TKIP、または AES と AES 対応 WPA2 など )。

WLAN の設定の確認後、クライアントが 11n の速度で実際に接続されているかどうかを確認する最も簡単な方法は、無線 LAN コントローラ GUI でクライアント レコードをチェックすることです。それには、[Monitor] を表示し、[Clients] 小見出しの内容を確認します。

下図は、11n のレートで接続されているクライアント(この例では、11n クライアントは 5 GHz を使用)を特定する方法を示しています。同じページでクライアントを個別に選択することによって、詳細な情報を表示できます。

注: 40 MHz の設定で使用されている ABOVE および BELOW という指定は、拡張チャネルと設定されたチャネル(または制御チャネル)との関係を表します。たとえば、AP で チャネル 36 を 40 MHz に設定するには、「40_ABOVE」モード(拡張チャネルがチャネル 40 になる)で動作するように設定します。また、AP で チャネル 161 を設定する場合は、拡張チャネルがチャネル 157 になるように、「40_BELOW」に設定します

11n を最大限に活用するには

802.11n に HT レートで接続した後は、常に達成したスループットの利点を得られるようにしたいものです。すべてをコントロールできるわけではありませんが、何がどのようにパフォーマンスに影響を与えるのかを理解していれば、WLAN の基本的性能を維持するのに役立ちます。

ノート PC の電源プラグを抜いた状態では、11n クライアントが積極的にバッテリ電源を節約しようとする可能性が高くなります。クライアントの無線およびチップセットによって異なりますが、パフォーマンスが 50% まで低下することもよくあります。この機能を無効にする他の方法を知っているのでない限り、パフォーマンスを最大に保つには、ラップトップを常に電源プラグを挿入した状態で使用します。

注: 省電力機能を無効にできても、ほとんどのラップトップのマザーボード/チップセットには自動省電力機能が搭載されているため、ラップトップの電源プラグを抜けば、自動的に機能がオンになってしまいます。これを無効にするのは、できたとしても簡単ではありません。そのため、バッテリで駆動しているクライアントでパフォーマンス テストを実施することは推奨できません。

すでに詳しくご説明したように、802.11n 環境にレガシー デバイスがあると、スループット パフォーマンスが変動します。これは想定の範囲内ですが、それでも新しい 11n WLAN のピーク性能をテストしたいときには、チャネルにレガシーの規格で転送されたデータが流れていないことを確認しておく必要があります。それが不可能な場合は、期待値の方を修正しなければなりません。

最後に、すでにご説明したことの繰り返しになりますが、スループットを向上させたいのであれば、Aironet 1250 シリーズ AP を、ギガビット スイッチを通して 4400 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ、ワイヤレス LAN コントローラ モジュール、3750 シリーズ Integratred Wireless LAN Controller、またはワイヤレス サービス モジュールに接続します。

まとめ


IEEE の 802.11n 仕様にドラフト 2.0 が登場したことで、WLAN 業界の成長にとって重要な転換点とは何なのかが、まもなく明らかになるでしょう。

WLAN の進歩は、たとえ足踏みをすることはあっても終息することはありません。散在するホットスポットによるアクセスからユビキタス化へと進んだ結果、密度の高い展開が必要なケースが増えると同時に、ネットワーク全体のキャパシティの向上が目指されるようになりました。帯域幅に関する心配はひとまず収まっていますが、ユーザにカバレッジ領域間を移動する物理的な自由を提供するモビリティへと関心は移行しています。

WLAN 分野はこれまで発展を続けてきましたが、上記のようなユーザ中心の技術的進歩によって、逆に WLAN が本来目指していたミッションクリティカルなメディアへの転換は阻害されてきました。しかし事実はその反対であり、アプリケーション中心のネットワーク設計が鍵となります。結局のところ、アプリケーションこそ WLAN の根幹だからです。

Cisco Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントには、次世代 WLAN に求められる比類のないパフォーマンス、範囲の広い、高品質なネットワーク アクセスを支援するのに必要な信頼性と予測性を提供することによって、この目的に大きな転換点をもたらすだけの力があります。

ホットスポットを越え、カバレッジ重視およびキャパシティ重視のネットワークを越え、さらに単純なモビリティを越えながら、Cisco Unified Wireless Network と新しい 11n に準拠した Aironet 1250 シリーズ アクセス ポイントSeries Access Point によって、今アプリケーションは、より自由に移動できるようになりつつあります。