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株式会社セガ、伝説のオンラインRPG アクションゲームのサーバ基盤にCisco UCS を採用

ITインフラ運用担当者が語る選定と運用の経緯
セガの「ファンタシースターオンライン2」を支えるサーバ仮想化基盤とは 株式会社セガ

伝説のオンラインRPGアクションゲームが新バージョンで復活した。登録IDは約3カ月の間に100万を突破したという。これを支える基盤として、セガが選択したサーバとは。

 株式会社セガ(以下、セガ)はいわずと知れた、日本を代表するゲームメーカーの1社である。家庭用ゲームコンテンツからアーケードゲーム機、さらには各種アミューズメント施設の運営まで、日本国内はもとより海外においても、幅広い分野でアミューズメントビジネスを展開している。

 そんなセガの代表的なゲームコンテンツの1つに、オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」がある。国内初のオンラインRPGアクションゲームとして多くのユーザーを獲得した前作「ファンタシースターオンライン」の新バージョンとして、2012年7月にサービスが開始された。サービス公開後、わずか3カ月の間に登録ユーザー数が100万を突破するなど、大ヒットを記録している。

 この最新オンラインゲームを裏で支えるシステム基盤には、実に多くの最新テクノロジーが投入されているという。特にそのサーバ基盤には、これだけ多くのユーザーがプレイするコンテンツだけあり、極めて高い処理能力とスケーラビリティが求められる。これを支える主要な技術がサーバ仮想化、そしてシスコのサーバ製品「Cisco Unified Computing System(UCS)」だ。セガが「ファンタシースターオンライン2」で、シスコのサーバを選択するに至った背景は何か。これを紹介する。

元祖RPGアクションゲームゲームが帰ってきた

 「ファンタシースターオンライン」(以下、PSO1)は、世界中で流行しているオンラインRPGアクションゲームの先駆けともいえる、セガの往年のヒット作だ。2000年にドリームキャスト用ソフトとして提供開始。2010年12月に惜しまれつつサービスを終了した。だが2012年7月、その名作の続編である「ファンタシースターオンライン2」(以下、PSO2)がサービス開始された。

 PSO2は、前作と比べコンテンツがはるかにリッチになった上、PCだけでなくゲーム専用機、さらにはスマートフォンからもプレイが可能な「マルチデバイス対応」という画期的な試みでも話題を呼んでいる。当然のことながら、前作と比較するとコンテンツデータ量、同時接続数ともに大幅に増大することが予想された。こうなると自ずと、ゲームコンテンツを裏で支えるサーバ基盤にも、前作とは比べものにならないほど大きな負荷が掛かることになる。

 同社では、2010年にPSO2のための新たなサーバ基盤の検討を開始したが、このとき前提となったのが、サーバ仮想化の導入だった。PSO1のサーバ基盤は全て物理サーバで構成されていたが、PSO2では全面的に仮想化基盤上でサービスを運用することにしたのだ。これは、サーバの調達に掛かる時間とコストを節約するのが狙いだったと、セガでオンラインゲームのシステム基盤の運用管理を担当する、同社 研究開発ソリューション本部 開発支援部 運用技術セクションの小宮康幸氏は説明する。

 「オンラインゲームでは、アップデートやイベントをきっかけに、一気にユーザー数が増えることがある。そうなると、すぐにでもサーバを増設する必要に迫られる。そのたびに新たに物理サーバの調達を手配していたのでは間に合わない。その点、仮想サーバであれば、ホストサーバのリソースに余裕があればすぐにでもサーバを立ち上げられる。スピードは、われわれにとって極めてメリットが大きい」

 そのため、サーバ製品の選定においても、なるべく多くの仮想サーバを集約でき、かつ仮想化環境の運用管理性に優れた製品が望まれていた。そこで同社が選んだのが、シスコシステムズ(以下、シスコ)のブレードサーバ製品「Cisco UCS Bシリーズ ブレード サーバ」だった。

仮想化とネットワークとの親和性を考慮しCisco UCSを採用

 サーバ製品の選定に当たり、同社ではCisco UCS以外にも複数のブレードサーバ製品を比較検討したという。それらの中から、Cisco UCSが最終的に選ばれた理由はどこにあったのだろうか。小宮氏はその主な理由として、「シンプルな物理構成によるネットワークとの親和性の高さ」と「メモリ搭載量」の2点を挙げる。どちらも、サービスの安定的な提供と集約率に大きく影響するポイントだ。

 商用のオンラインゲームサービス運用では、ゲームサーバソフトウェアがネットワーク帯域を最大限に活用して安定した通信を行えることが重要だ。この点、Cisco UCSはサーバとネットワークが融合したユニークな設計であり、スムーズな通信が可能と、セガでは判断した。

 また、Cisco UCSの各サーバブレードに装着するネットワークアダプターは、その通信帯域を最大256まで論理的に分割して利用できる。この点も仮想化環境をベースとしてゲームを運用する上で、非常にメリットが大きかったと小宮氏は述べる。

 「弊社のインフラでは、サーバとストレージの間の接続にファイバーチャネルは使わず、全てNFSあるいはiSCSIを利用している。従って、仮想サーバごとにIPネットワーキングとストレージ接続を細かく分けて管理するためには、サーバブレードのネットワークアダプターを細かく論理分割できる方が使い勝手がいい」

 さらには、なるべく多くの仮想サーバを物理サーバ上に集約するために、最大メモリ搭載量にもこだわったという。

「ゲームのシステムでは、サーバにどれだけメモリを積めるかによって、そのサーバ上で仮想サーバを幾つ動かせるかが決まる」(小宮氏)

同時接続数の増加に伴い、迅速に仮想サーバを増設する必要があるオンラインゲームのサーバ基盤にとって、最大メモリ搭載量は極めて重要な要件なのだ。この点、Cisco UCSはメモリ増設の余地が非常に大きい。

 こうしてセガは、同社の看板タイトルともいえるPSO2のサーバ基盤として、Cisco UCSの採用を決めた。

優れた管理性で構築・運用作業が大幅にシンプルに

 実際にCisco UCSを導入・セットアップする際には、同製品が備える「サービスプロファイル」機能が大いに役立った。これは、あらかじめサーバの設定情報をテンプレートとして用意しておき、それを適用するだけで簡単・迅速に新規サーバを立ち上げることができるという機能だ。

 「PSO2の環境では、ほとんどのサーバが同じ設定になっているので、同じテンプレートをブレードサーバに適用するだけで環境設定が完了する。この機能のおかげで、構築作業にかかる時間をかなり短縮できた。また、稼働開始後にブレードを追加する際にも、作業を極めて迅速に行うことができた。とにかく、ブレードの追加作業は本当に速い。オンラインゲームの世界では、『明日にでもサーバ(ブレード)を10台、20台といった規模で追加したい』という状況があり得る。今後の拡張においても、こうした自動化機能は便利」(小宮氏)

 こうして、PSO2用の仮想サーバ基盤は、Cisco UCSの機能をフル活用することにより無事本稼働を迎えた。商用サービス開始直後に拡張を行った結果、現在ではシャーシが合計3台、そして各シャーシに8基のブレードサーバを搭載し、合わせて24台の物理サーバが稼働する。各物理サーバ上では十数台の仮想サーバが載り、システム全体では300以上の仮想サーバが稼働している。

 このシステムは、利用開始から既に2年が経過しているが、その間致命的な障害は一度も発生していないという。実は小宮氏は、サーバ選定の時点では、発売後間もなかったCisco UCSについて否定的な見解を持っていた。実績が非常に少なかったため、どこまで安定的に動くのかが予想できなかったからだという。しかし結果的には、これまでに同氏が経験した他のサーバのどれよりも堅牢だったという。

 また小宮氏は、Cisco UCSが備える管理ツール「UCS Manager」の機能も高く評価する。

 「UCS Managerを使って、複数のシャーシを一箇所からまとめて管理できるのは、運用上の大きなメリットだと感じている。これなら、今後シャーシやネットワークを増設した際も、管理が煩雑になることはないはず。他の製品でも、同じような機能をうたったものはあるが、ネットワーク環境まで含めて一括管理できるのは、現時点ではCisco UCSだけではないだろうか」

他のゲームのサーバ基盤にもCisco UCSを

 セガでは現在、PSO2用のサーバ基盤の他にも、複数の小規模ゲームが相乗りしたサーバ基盤にCisco UCSを採用している。こちらも全面的に仮想化を導入しており、仮想サーバの集約率はPSO2用の環境より大幅に高いという。

 「スマートフォン向けの小規模ゲームなどは、人気の浮き沈みが激しいため、見込みよりユーザー数が大幅に増えたり減ったりする。従って、各ゲームの間をまたがってリソースをプールしておき、柔軟にリソースを融通し合えるプライベートクラウドのような環境が適している。その点Cisco UCSは、管理性の面でもサーバ集約率の高さの面でも、こうした環境を実現するのに最適だと判断した。現在、各物理サーバ上では平均30台ほどの仮想サーバが稼働している」

 さらに同社は現在、商用サービス用インフラ全体の標準化を進めているところだが、Cisco UCSはそのサーバ基盤を担うにふさわしい製品だと小宮氏は高く評価する。

 「ゲームの性格によっては、依然として物理サーバ環境が適しているものもあるが、それ以外のゲームに関しては、仮想化を前提としてインフラを構成していく。その際に選ぶサーバ製品としては、現時点ではCisco UCSがベストな選択ではないかと考えている」

Intel、インテル、Intel ロゴ、Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。

導入ソリューション

  • Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバ

導入前の課題、検討事案

  • 新作オオンラインゲームの提供にともなうコンテンツデータ量、同時接続数の増大に対応できるパフォーマンス
  • 同時接続ユーザー数の大幅な増減に対応するための迅速な構築

導入効果

  • サービスファイルの活用により、同じテンプレートを各ブレードに適用できたため、サーバ拡張を迅速に実行できた
  • 最大メモリ搭載量の大きな Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバを採用したことで、1 台の物理サーバ上で多数の仮想サーバが増設できた
  • 利用開始後の 2 年間で致命的な障害は 1 度もない
  • 複数シャーシの一元管理を UCS Manager で実現。ネットワーク環境も含めたシンプルな運用管理が可能になった
株式会社セガ 研究開発ソリューション本部
開発支援部 運用技術セクション 
小宮 康幸 氏

株式会社セガ 研究開発ソリューション本部
開発支援部 運用技術セクション
小宮 康幸 氏

株式会社セガ

株式会社セガ
本社所在地
東京都品川区東品川1丁目39番9号 カナルサイドビル
設立
昭和35年6月3日(創業昭和26年4月)
資本金
600億円(平成23年3月31日現在)
URL
http://sega.jp