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東洋大学、運用管理の利便性と仮想化を踏まえたシステム構築を重視し、Cisco UCS を採用

東洋大学では学内事務システムの刷新にあたり、運用管理の利便性と仮想化を踏まえたシステム構築を重視し、Cisco UCSを選択した。また、同校が推進するシンクライアント導入の基盤としてもシスコのソリューションが採用されている。
東洋大学

導入の経緯
事務システムをサーバ仮想化で共有インフラとし
アプリケーションのレイヤで業務別要件の実現を図る


 東京都文京区に本部を構える東洋大学は、2012年で創立125周年を迎えた、日本でも屈指の歴史を誇る私立大学だ。 同校では近年、学内事務システムの一大刷新が行われた。その背景について、東洋大学 情報システム課 兼 管財部 用度課 課長 青山敦史氏は次のように説明する。

 「2002年に、大学業務向けの統合パッケージ製品をハードウェアとともに一括導入したのですが、導入時にカスタマイズを多く施したため、パッケージのバージョンアップが事実上できない状態に陥っていました。それに引きずられてミドルウェアとハードウェアのバージョンアップも見送られ、やむなく老朽化したハードウェアを運用し続けていました」

 こうした状況を打破するため、2009年に各業務ごとに個別にマルチベンダ方式を採用するという基本方針のもと、新システムの構築が始まった。そこで同校が採用したのが、いわゆる「プライベートクラウド」に近いアプローチだ。OSから上のレイヤ、つまりミドルウェアとアプリケーションに関しては、各業務部門がそれぞれのニーズに合わせて個別に調達・運用する。一方、ハードウェアとOSに関しては、サーバ仮想化技術を駆使してインフラを一元化し、情報システム部門が一括管理する。インフラの調達や運用管理を極力効率化しながら、アプリケーションのレイヤでは業務部門ごとの要件を満たすことができる。

 「運用管理の省力化や、限られた要員体制の中でシステムの運用管理をしていくためには、サーバ集約が必要でした」(青山氏)

 2010年5月、インフラ構築ベンダの選定が始まった。複数のベンダを検討した結果、採用されたのはシスコが提供する「Cisco UCS(ユニファイド コンピューティング システム)」だった。リリースされたばかりのCisco UCSの説明を受けた東洋大学 情報システム部 情報システム課 主任 藤原喜仁氏は、直感的に「これは良い」と感じたという。

 「非常にシンプルなアーキテクチャで、背面の配線もすっきりしている。基本的なスペックも非常に高く、仮想化を前提とした作りになっているので、より多くの仮想サーバを効率よく集約できるはずだと感じました。また、1つのコントローラで複数のブレードシャーシを管理できるという管理性の高さも魅力的です」

 当時はまだ採用事例が少なかったCisco UCSを導入することに対して、学内からは懸念の声も挙がったという。しかし藤原氏は、粘り強く説得に当たった。

 「決して目新しい技術に惹かれただけでなく、基本的なアーキテクチャや性能に優れているからこそ、Cisco UCSを推しました。また当時であっても、大規模ISPでの採用例や、大学での採用例も出てきていたので、実績が無いわけではありませんでした。唯一、製品が今後も安定的に供給されるかどうかだけが心配でしたが、これもシスコの方々とじっくり話し合った結果、本気で長期的に取り組む覚悟があることを知りました」(藤原氏)

 また、シスコがストレージベンダや仮想化ソフトウェアベンダと密接に連携するオープンな戦略をとり、製品の組み合わせを事前検証して動作を保証していた点も、CiscoUCS採用の大きな決め手になったという。

導入効果
安定稼働だけでなくシンクライアントの基盤として
UCS の利用も視野に


 こうして2010 年、Cisco UCSによるサーバ基盤を中核に据えた新事務システムの構築がスタートした。実際に導入されたサーバ製品は、ブレードシャーシ「Cisco UCS 5108」が3台に、ブレードサーバ「Cisco UCS B200 M2」を12基(うち2基は予備用)格納し、その上で計25台の仮想サーバを稼働させるという構成が採用された。本番運用を開始して約1年半が経つが、その間ハードウェアのトラブルはほとんどなく、極めて安定的に稼働しているという。ただし1度だけ、ブレードサーバの障害が発生した。青山氏は、そのときのことを次のように振り返る。

 「入試システムが載ったブレードに障害が発生したのですが、VMware HAの仕組みが動作して、何の問題もなく縮退運転に移行できました。さらに、UCS Managerの簡単な手順に従ってサービスプロファイルを予備ブレードに読み込むだけで、迅速に本番機として立ち上げることができました。その間、エンドユーザーは障害が起こったことに一切気が付いていないはずです。入試システムという重要なシステムが稼働していただけに、これが物理サーバだったら大変なことになっていたかもしれません。このときは、UCSを選んでおいて本当に良かったと思いました」

 また、同校が進めるシンクライアント化においてシスコの「VXC(Virtualization Experience Client) 2200シリーズ」が端末として採用されている。情報システム部 情報システム課松島功樹氏はは次にように説明する。

 「試験導入したシンクライアント端末には専用OSが入っていたのですが、バグやバージョン違いにまつわるトラブルに悩まされました。その点、シスコのVXCには最小限のソフトウェアしか搭載されていないため、ソフトウェア関連のトラブルがかなり減るのではないかという期待がありました。また、すべての端末をWebの管理コンソールから一括管理できる点も魅力的でした。このような初動時間の短縮、リモートによる状況把握も、積み重ねると大きな効果です。電源も集中管理できるのでON・OFFの手間も省けます」

 同校では現在、このVDI環境の構築作業を順次進めており、2013年4月からの本番稼働を目指している。これに加え、学内の事務用PC約700台のVDI移行も計画しており、最終的には学内に存在するクライアント環境すべてを、Cisco UCS上のVDI環境に移行することを視野に入れている。

東洋大学

東洋大学
所在地
東京都文京区白山5-28-20
URL
http://www.toyo.ac.jp/

導入ソリューション

  • Cisco UCS B シリーズ ブレードサーバ
  • UCS 5100シリーズ ブレードサーバシャーシ
  • VXC 2200 シリーズ

導入前の課題、検討事案

  • 運用管理の省力化や、限られた要員体制の中でシステムの運用管理をしていくために、サーバ集約が必要になった
  • インフラを一元化しながら、部門ごとに個別のミドルウェアやアプリケーションを運用するため、仮想化に適した仕組みが求められていた

導入効果

  • 本番運用開始後、8ヶ月間大きなトラブルなしに安定稼働
  • 障害発生時も、予備ブレードにサービスプロファイルを読み込むだけで本番機として迅速に起動
  • シンクライアント環境の基盤としても活用
東洋大学 情報システム課
兼 管財部 用度課 課長
青山 敦史 氏

東洋大学 情報システム課
兼 管財部 用度課 課長
青山 敦史 氏

東洋大学 情報システム部
情報システム課 主任
藤原 喜仁 氏

東洋大学 情報システム部
情報システム課 主任
藤原 喜仁 氏

東洋大学 情報システム部
情報システム課
松島 功樹 氏
東洋大学 情報システム部
情報システム課
松島 功樹 氏
ラック内にはブレードシャーシ「Cisco UCS5108」が3 台、ブレードサーバ「Cisco UCSB200 M2」を12 基(うち2 基は予備用)格納。その上で計25 台の仮想サーバを稼働させている。
ラック内にはブレードシャーシ「Cisco UCS5108」が3 台、ブレードサーバ「Cisco UCSB200 M2」を12 基(うち2 基は予備用)格納。その上で計25 台の仮想サーバを稼働させている。