Cisco Exclusive Interview「勝ち抜きたいなら、実現する夢を見よう ~宇宙の歴史の中に小さなひっかき傷を残したい」南場智子 (株)ディー・エヌ・エー代表取締役社長

INDEX

  1. 駆け出し時代の大きな転機
  2. 「花より団子」の社長業
  3. 「ビッダーズ」が拓いた新たな流通コード
  4. 「やっちまった」ことへの責任感で突っ走る
  5. 個のパワーとITネットワークの幸福な関係とは

「やっちまった」ことへの責任感で突っ走る

― 大手オークションサイトに真っ向から闘いを挑むなど、起業時の熱狂の時期を過ぎてもなお、常にチャレンジを続けている南場さんですが、そうした姿勢を支えるモチベーションとは何なのでしょう。

“2番手以降は生き残れないという業界の常識に対する挑戦”ですね。IT 世界は未だ石器時代ですから、そんな原始的な勢力図に追従する気はありません。もちろんずっと 2番手でいいと思っているわけではなく、1番になれると思ってやっているわけです。ジャンルによっては No.1 になれる可能性は十分にあると踏んでいます。

とにもかくにも「ビッダーズ」には 300万人のユーザーがいるという事実。これらのお客様に対して、もっと何かできることがあるんじゃないかという気持ちが常に私を突き動かしているような気がします。

あとは「やっちまった」ことに対する責任感ですね (笑) 。今の私の立場には辞めるというオプションはないので、一定の責任を果たすまでは突っ走るしかありません。イヤなことをガマンしてやっているわけではなく、信頼できる仲間たちと自分が楽しいと思うことをやっているから力が出る。そういう部分も非常に大きいように思います。

― 南場さんの仕事上の信条、勝ち抜くために外せないポイントがありましたら教えてください。

大事なのは、自分がそこで何を達成したいのかを明確にしておくことじゃないでしょうか。それがはっきりしたら、迷わずそれに向けて努力する。そして、自分のやっていることを思い切り楽しむことですね。

私はとにかく競争関係が好きなので、どんな場面でもとりあえずゲーム感覚で勝負に持ち込んでしまうというクセがあります (笑) 。そうすると、絶対に負けたくないからどんなくだらないことでもめちゃめちゃムキになれて、毎日が活性化するんですよ。職場ではスタッフを巻き込んで常になにがしかの勝負をやっていますが、一人で地味にコピー取りをするときにも、「30部のコピーを何分で作れるか」とか、「斬新で合理的なホチキスの留め方を編み出してやる!」とか、よく勝手にテーマをつくって自分と闘っています (笑) 。

あとは不義理をしないことですね。IT 社会だ、テクノロジーの進化だといったところで、最後は人と人のネットワーキングがすべて。どう考えても一人じゃ何もできませんから、信頼できる人たちには弱いところやダメなところをさらして助けてもらう。そういう「徳」も大事になってくると思います。

そして、他人を巻き込んだ以上は責任を取る。そのためには体を張ることも必要です。このあたりの姿勢は、徹底して安心を提供するという「ビッダーズ」の信条にも反映されています。

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