Cisco Exclusive Interview「ハートにブレーキをかけるな! ~赤信号を渡れない人間に未来はない」片山右京

INDEX

  1. たかが F1、ボクにはもっと大切なことがある
  2. 対決! 黒右京 vs 白右京
  3. チャレンジとは、本来の自分を取り戻す行為
  4. まずは小さなことから不良してみませんか?
  5. その人の限界は、自分の予測を遥かに超えたところにある

その人の限界は、自分の予測を遥かに超えたところにある

― 今後も、右京さんのチャレンジは続くのでしょうか。

もちろんです! この秋はネパール・ヒマラヤのマナスル (8000 メートル級) 登頂を目指しています。長く下界にいると、なんか生ぬるい感じがして、自分がサビついていくような気分になるんです。だから、ボクのチャレンジには人工的に荒行を求めるような側面もあるのかもしれませんね。

何事も体験しなければわからない。だから、トライするしかないんです。何かに挑むには時間もかかりますし、相当な根気が必要。だけど、ボクの経験からいえることは、自分が限界だと思っているレベルは、本当の限界じゃないということ。たぶん、それはまだ、その人の本当の限界の入口にも立っていない地点だと思います。

たとえば、下界にいるときのボクはコンビニがないと一日も生きていけないような甘やかされた男なのに、山にいるときのボクはテントが壊れても全然平気なんですよ。それどころか「よっしゃあ、お楽しみはこれからだ~っ」みたいな感じになってしまう。これって、ふだんは怖いオバケでも毎日顔を見てたらさすがに怖くなくなる、みたいな感覚かもしれませんけど、慣れってスゴイもんですよ (笑) 。

ボクの次のテーマは、「判断の基本」を身につけること。自分の状態をできる限りニュートラルに保っておきたいんです。頭でわかって、ハートで感じる、それが理想的ですね。だけど、いつもそこに感情が介入してきて邪魔をする…ボクの人生はほとんどそれに尽きるかもしれない。それでも、最近は少しずつ下界の生活でもキレにくくなってきたような気がします。40歳を過ぎて、さすがのボクも「人間のプロ」に近づいてきたのかもしれません (笑) 。

― 最後に、右京さんの人生にとって、最も大切なこととは何でしょうか。

単純すぎるかもしれないけれど、一番大切なのはやっぱり愛かなあ。それを全うするためにも、ボクみたいな生き方をしている人間は「とにかく死なないこと」が何より大事なことになるのかもしれません。

今、興味があるのは、伝えたい、つなげたい、ということ。山登りやスポーツは、そのためのコンテンツ、すごく豊かなコンテンツの一つだと思っています。

太古の昔から、人間の DNA は変化も進化もしていない。でも、フィロソフィーとか空気感とか思いを共有して、それを次世代につないでいくことは、人間にしかできないことだと思うんです。個人の力なんてごく小さなものだけど、チームを組んで周囲や未来に何かをつなげていくことはできる。だとしたら、ボクは何をしたらいいんだろう、何ができるんだろう? そんなふうに思いが展開していって、最近はボク個人のチャレンジだけでなく、さまざまなスポーツイベントの企画など、たくさんの人とふれあう機会を多く設けるようになりました。

こうしたイベントを通じて、大人にも子供にも、男性にも女性にも、とにかくあきらめないで自分の限界にチャレンジすることを学んでほしい。そして「実際にやってみたらわかる」という、単純だけどすごい真理に、できるだけ多くの人に気づいてほしいんです。

自分の肉体を通して実感したことは必ず身になります。そうした積み重ねがその人の自信になり、その強さが優しさを生み、やがては「真のバリアフリー」につながっていく…ボクはそんなふうに考えています。

片山右京氏 公式サイト
<TeamUKYO.com> http://www.team-ukyo.com/
衣装協力 / エターナル・ライズ
問い合わせ先:プルドゥ (株) 03-5474-2791