MLDv2 スヌーピングの機能概要
ここでは、MLDv2 スヌーピングについて説明します。
• 「MLDv2 スヌーピングの概要」
• 「MLDv2 メッセージ」
• 「送信元ベースのフィルタリング」
• 「明示的なホスト トラッキング」
• 「MLDv2 スヌーピング プロキシ レポート機能」
• 「IPv6 マルチキャストグループへの加入」
• 「マルチキャスト グループからの脱退」
• 「MLDv2 スヌーピング クエリアの概要」
MLDv2 スヌーピングの概要
MLDv2 スヌーピングにより、Catalyst 6500 シリーズ スイッチで MLDv2 パケットを調べ、パケットの内容に基づいて転送先を決定できます。
MLDv2 または MLDv2 スヌーピング クエリアからの MLDv2 クエリーを受信するサブネットで、MLDv2 スヌーピングを使用するように、スイッチを設定できます。MLDv2 スヌーピングは、IPv6 マルチキャスト トラフィックが受信対象のポートだけに転送されるようにレイヤ 2 LAN ポートをダイナミックに設定し、それによって、レイヤ 2 で IPv6 マルチキャスト トラフィックを抑制します。
MLDv2 は、マルチキャスト ルータのレイヤ 3 で稼動し、マルチキャスト トラフィックのルーティングが必要なサブネットでレイヤ 3 MLDv2 クエリーを生成します。MLDv2 スヌーピング クエリアをスイッチに設定して、マルチキャスト ルータ インターフェイスがないサブネットにおいて MLDv2 スヌーピングをサポートできます。MLDv2 スヌーピング クエリアの詳細については、「MLDv2 スヌーピング クエリアのイネーブル化」を参照してください。
MLDv2(マルチキャスト ルータ上)または MLDv2 スヌーピング クエリア(スーパーバイザ エンジン上)は、スイッチが VLAN のすべてのポートを通じて転送する、一般的な MLDv2 クエリーを定期的に送信し、ホストがそれに応答します。MLDv2 スヌーピングは、レイヤ 3 MLDv2 トラフィックをモニタします。
(注) PFC/DFC 3B/3BXL は送信元だけのレイヤ 2 エントリをサポートしません。このため、送信元だけのネットワークでは IPv6 マルチキャスト フラッディングを防げません。
(注) マルチキャスト グループで、VLAN 中に送信元だけがありレシーバーがない場合は、MLDv2 スヌーピングはマルチキャスト トラフィックをマルチキャスト ルータ ポート宛てだけに抑制します。
MLDv2 メッセージ
MLDv2 メッセージは次のとおりです。
• マルチキャスト リスナー クエリー
– 一般クエリー:どのマルチキャスト アドレスにリスナーがいるかを学習するためにマルチキャスト ルータから送信されます。
– マルチキャスト アドレス固有クエリー:特定のマルチキャスト アドレスにリスナーがいるかどうかを学習するためにマルチキャスト ルータから送信されます。
– マルチキャスト アドレスおよび送信元固有クエリー:特定のマルチキャスト アドレス用指定リストの送信元に、リスナーがいるかどうかを学習するために、マルチキャスト ルータから送信されます。
• マルチキャスト リスナー レポート
– 現在のステート レコード(送信請求):ホストが関係するすべてのマルチキャスト グループの INCLUDE または EXCLUDE モードを指定するために、クエリーに対する応答でホストから送信されます。
– フィルタ モード変更レコード(非送信請求):1 つまたは複数のマルチキャスト グループの INCLUDE または EXCLUDE モードを変更するためにホストから送信されます。
– 送信元リスト変更レコード(非送信請求):マルチキャスト送信元に関する情報を変更するためにホストから送信されます。
送信元ベースのフィルタリング
MLDv2 は送信元ベースのフィルタリングを使用します。これによりホストおよびルータは、特定のマルチキャスト グループで許可またはブロックされる送信元アドレスを特定できます。送信元ベースのフィルタリングでは、MLDv2 メッセージ内にある以下の情報に基づいてトラフィックの許可またはブロックを行います。
• 送信元リスト
• INCLUDE または EXCLUDE モード
レイヤ 2 テーブルが(Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)グループ、VLAN)ベースのため、MLDv2 のホストを使用する場合、マルチキャストの送信元は、各 MAC グループごとに 1 つだけ設定することを推奨します。
(注) 送信元ベースのフィルタリングは、ハードウェアではサポートされません。このステートはソフトウェアだけで維持され、明示的なホスト トラッキングおよび統計情報収集に使用されます。
明示的なホスト トラッキング
MLDv2では、ポート上のメンバシップ情報の明示的なホスト トラッキングをサポートします。明示的なトラッキング データベースは、高速脱退処理、プロキシ レポート機能、統計情報収集に使用されます。VLANで 明示的なトラッキングがイネーブルの場合、MLDv2 スヌーピング ソフトウェアはホストから受信する MLDv2 通知を処理し、次の情報を含む 明示的なトラッキング データベースを作成します。
• ホストに接続されたポート
• ホストによって通知されたチャネル
• ホストによって通知された各グループのフィルタ モード
• ホストによって通知された各グループの送信元リスト
• 各グループのルータ フィルタ モード
• 送信元を要求するグループごとのホスト リスト
(注) • 明示的なホスト トラッキングをディセーブルにすると、高速脱退処理およびプロキシ レポート機能がディセーブルになります。
• 明示的なホスト トラッキングがイネーブルでスイッチが report-suppression モードで動作している場合、マルチキャスト ルータは VLAN インターフェイスを介してアクセスされるホストをすべてトラッキングできない場合があります。
MLDv2 スヌーピング プロキシ レポート機能
MLDv2 にはレポート抑制がないので、すべてのホストがクエリーに応じて詳細なマルチキャスト メンバシップ情報をルータに送信します。スイッチは応答をスヌーピングし、データベースを更新し、レポートをルータに転送します。マルチキャスト ルータがレポートで過負荷になるのを防止するために、MLDv2 スヌーピングはプロキシ レポート機能を実行します。
プロキシ レポート機能は、マルチキャスト グループの最初のレポートだけをルータに転送し、同じマルチキャスト グループの他のレポートをすべて抑制します。
プロキシ レポート機能は、送信請求レポートと非送信請求レポートの両方を処理します。プロキシ レポート機能はイネーブルで、ディセーブルにはできません。
(注) 明示的なホスト トラッキングをディセーブルにすると、高速脱退処理およびプロキシ レポート機能がディセーブルになります。
IPv6 マルチキャストグループへの加入
ホストは、IPv6 マルチキャスト ルータからの一般的なクエリーに応じて、非送信請求 MLDv2 レポートを送信するか、または MLDv2 レポートを送信して、IPv6 マルチキャスト グループに参加します(スイッチは、一般的なクエリーを、IPv6 マルチキャスト ルータから VLAN 中のすべてのポートに転送します)。スイッチは、これらのレポートをスヌーピングします。
スヌーピングされた MLDv2 レポートに応じて、スイッチは、レポートを受信した VLAN のレイヤ 2 転送テーブルにエントリを 1 つ作成します。このマルチキャスト トラフィックに関係する別のホストが MLDv2 レポートを送る場合、スイッチは、レポートをスヌーピングして既存のレイヤ 2 転送テーブル エントリにそれを追加します。スイッチは、MLDv2 レポートをスヌーピングする各マルチキャスト グループ用レイヤ 2 転送テーブルで、VLAN あたり 1 つのエントリだけを生成します。
MLDv2 スヌーピングは、マルチキャスト グループごとに 1 つを除いたすべてのホスト レポートを抑制し、その 1 つのレポートを IPv6 マルチキャスト ルータに転送します。
スイッチは、レポートで指定されたマルチキャスト グループ用のマルチキャスト トラフィックを、レポートを受信したインターフェイスに転送します(図 26-1を参照)。
MLDv2 スヌーピングを通じて学習されるレイヤ 2 マルチキャスト グループは、ダイナミックです。ただし、 mac-address-table static コマンドを使用して、レイヤ 2 マルチキャスト グループをスタティックに設定することもできます。マルチキャスト グループ アドレスのグループ メンバシップをスタティックに指定した場合、そのスタティックな設定は、MLDv2 スヌーピングの学習よりも優先されます。マルチキャスト グループ メンバシップのリストは、スタティックな設定値と、MLDv2 スヌーピングによって学習された設定値の両方で構成できます。
図 26-1 内部 MLDv2 リスナー レポート
マルチキャスト ルータ A が MLDv2 一般クエリーをスイッチに送信し、スイッチがそのクエリーを、同じ VLAN の全メンバーのポート 2 ~ 5 に転送します。ホスト 1 は、IPv6 マルチキャスト グループに加入する意思があり、MLDv2 レポートを 0x0100.5E01.0203 と同じ MAC 宛先アドレスを持つグループにマルチキャストします。スイッチは、ホスト 1 スイッチによる MLDv2 レポート マルチキャストをスヌーピングすると、MLDv2 レポート内の情報を利用して、 表 26-1 に示すように転送テーブル エントリを作成します。これには、ホスト 1 のポート番号、マルチキャスト ルータ、スイッチが含まれます。
表 26-1 MLDv2 スヌーピング転送テーブル
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0100.5exx.xxxx |
MLDv2 |
0 |
0100.5e01.0203 |
!MLDv2 |
1, 2 |
スイッチハードウェアは、MLDv2 情報パケットを、マルチキャスト グループ用の他のパケットと区別できます。テーブルの最初のエントリは、MLDv2 パケットだけを CPU に送信し、スイッチがマルチキャスト フレームで過負荷にならないようにすることを示します。2 番目のエントリは、に、0x0100.5E01.0203 マルチキャスト MAC アドレス宛ての、MLDv2 パケット(!MLDv2)ではないフレームをマルチキャスト ルータおよびグループに参加しているホストに送信することを示します。
別のホスト(たとえば、ホスト 4)が、同じグループ用に非送信請求 MLDv2 レポートを送る場合(図 26-2 を参照)、スイッチがそのメッセージをスヌーピングし、ホスト 4 のポート番号を転送テーブルに追加します( 表 26-2 を参照)。転送テーブルはスイッチ宛てにだけみ MLDv2 メッセージを送るので、メッセージは他のポートへフラッディングされません。認識されているマルチキャスト トラフィックは、スイッチ宛てではなくグループ宛てに転送されます。
図 26-2 2 番目のホストのマルチキャスト グループへの加入
表 26-2 更新された MLDv2 スヌーピング転送テーブル
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0100.5exx.xxxx |
MLDv2 |
0 |
0100.5e01.0203 |
!MLDv2 |
1, 2, 5 |
通常の脱退処理
関係するホストは、一般的 MLDv2 クエリーに定期的に応答を続ける必要があります。VLAN 中の少なくとも 1 つのホストが一般的 MLDv2 クエリーに定期的に応答しているかぎり、マルチキャスト ルータは引き続きマルチキャスト トラフィックを VLAN に転送します。ホストをマルチキャスト グループから脱退させたい場合は、そのホストで定期的な一般的 MLDv2 クエリーを無視するか(「暗黙的脱退」と言います)、またはグループ固有の MLDv2 フィルタ モード変更レコードを送信します。
MLDv2 スヌーピングが、グループの EXCLUDE モードを設定するホストからフィルタ モード変更レコードを受信すると、MAC アドレスの一般的なクエリーを送信して、そのインターフェイスに接続されている他のホストがその特定のマルチキャスト グループに対するトラフィックに関係があるかどうかを判断します。
MLDv2 スヌーピングが、この一般的クエリーに対して MLDv2 レポートを受信しなかった場合、インターフェイスに接続されている他のホストの中に、このマルチキャスト グループのトラフィックの受信に関与しているホストはないと見なし、指定されたマルチキャスト グループに対応するレイヤ 2 転送テーブル エントリからそのインターフェイスを削除します。
残りのインターフェイスのうち、グループに関係するホストが接続されたインターフェイスだけからフィルタ モード変更レコードが送信され、一般的なクエリーに応答する MLDv2 レポートを MLDv2 スヌーピングが受信しない場合、MLDv2 スヌーピングはグループ エントリを削除して、MLDv2 フィルタ モード変更レコードをマルチキャスト ルータにリレーします。マルチキャスト ルータが VLAN からレポートを受信しない場合、マルチキャスト ルータは MLDv2 キャッシュからその VLAN 用のグループを削除します。
テーブル エントリを更新するまでスイッチが待機する時間を、「最終メンバー クエリー時間」と呼びます。この時間を設定するには、ipv6 mld snooping last-member-query-interval interval コマンドを入力します。
高速脱退処理
高速脱退処理は、デフォルトでイネーブルに設定されています。高速脱退処理をディセーブルにするには、明示的なホスト トラッキングをオフにします。
高速脱退処理は、送信元グループ ベースのメンバシップ情報をソフトウェアに維持し、LTL インデックスを MAC GDA 単位で割り当てることによって実装されます。
高速脱退処理をイネーブルにすると、ホストは送信元からこれ以上トラフィックを受信しない場合に特定のグループに対し BLOCK_OLD_SOURCES{src-list} メッセージを送信します。スイッチがホストからこのメッセージを受信すると、スイッチは特定グループのホストの送信元リストを解析します。この送信元リストが Leave メッセージで受信されたリストとまったく同じである場合、スイッチは LTL インデックスからホストを削除し、このマルチキャスト グループ トラフィックをホストへ転送するのを停止します。
送信元リストが一致しない場合、ホストがいずれの送信元からのトラフィック受信にも関与しなくなるまで、スイッチはホストを LTL インデックスから削除しません。
(注) 明示的なホスト トラッキングをディセーブルにすると、高速脱退処理およびプロキシ レポート機能がディセーブルになります。
MLDv2 スヌーピング クエリアの概要
マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM および MLDv2 を設定していない VLAN 内で MLDv2 スヌーピングをサポートするには、MLDv2 スヌーピング クエリアを使用します。
IP マルチキャスト ルーティングが設定されたネットワークでは、IP マルチキャスト ルータが MLDv2 クエリアとして機能します。VLAN の IP マルチキャスト トラフィックに、レイヤ 2 スイッチングだけを行う必要がある場合、IP マルチキャスト ルータは必要ではありません。ただし、VLAN 上に IP マルチキャスト ルータがない場合には、クエリーを送信できるよう他のスイッチを MLDv2 クエリアとして設定する必要があります。
MLDv2 スヌーピング クエリアがイネーブルの場合、MLDv2 スヌーピング クエリアは、IP マルチキャスト トラフィックの受信を希望するスイッチから、MLDv2 レポート メッセージを開始する MLDv2 クエリーを定期的に送信します。MLDv2 スヌーピングはこれらの MLDv2 レポートを待ち受けて、適切な転送を確立します。
MLDv2 スヌーピング クエリアは、VLAN 内のすべての Catalyst 6500 シリーズ スイッチでイネーブルにできます。ただし VLAN が、MLDv2 を使用して IP マルチキャスト トラフィックの情報をレポートするスイッチに接続されている場合は、VLAN ごとに 1 つ以上のスイッチを MLDv2 スヌーピング クエリアとして設定する必要があります。
IP マルチキャスト ルーティングがイネーブルであるかどうかにかかわらず、VLAN 上で MLDv2 クエリーを生成するようにスイッチを設定できます。
MLDv2 スヌーピング設定時の注意事項および制約事項
MLDv2 スヌーピングを設定する際に、以下の注意事項と制約事項に従ってください。
• MLDv2 は、Internet Group Management Protocol version 3(IGMPv3)から派生したものです。MLDv2 プロトコル動作とステート移行、ホストとルータの動作、クエリーとレポート メッセージの処理、メッセージ転送ルール、タイマー動作は、IGMPv3 とまったく同じです。MLDv2 プロトコルの詳細については、draft-vida-mld-v2.02.txt を参照してください。
• MLDv2 プロトコル メッセージは、Internet Control Message Protocol version 6(ICMPv6)メッセージです。
• MLDv2 メッセージ形式は、IGMPv3 メッセージとほぼ同一です。
• Cisco IOS ソフトウェアの IPv6 マルチキャストは、MLD バージョン 2 を使用します。この MLD バージョンは、MLD バージョン 1 と完全な下位互換性があります(RFC 2710 で規定)。MLD バージョン 1 だけをサポートするホストは、MLD バージョン 2 を実行しているルータと相互運用します。MLD バージョン 1 と MLD バージョン 2 ホストの両方が混在する LAN はサポートされます。
• MLDv2 スヌーピングはプライベート VLAN をサポートします。プライベート VLAN は、MLDv2 スヌーピングに制約を課しません。
• MLDv2 スヌーピングは MAC マルチキャスト グループ 0100.5e00.0001 ~ 0100.5eff.ffff のトラフィックを抑制します。
• MLDv2 スヌーピングは、ルーティング プロトコルによって生成されたレイヤ 2 マルチキャストは抑制しません。
MLDv2 スヌーピング クエリア設定時の注意事項および制約事項
MLDv2 スヌーピング クエリアを設定する際に、以下の注意事項と制約事項に従ってください。
• グローバル コンフィギュレーション モードで VLAN を設定します( 第 12 章「VLAN の設定」 を参照)。
• VLAN インターフェイスの IPv6 アドレスを設定します( 第 19 章「レイヤ 3 インターフェイスの設定」 を参照)。MLDv2 スヌーピング クエリアがイネーブルの場合、IPv6 アドレスをクエリー送信元アドレスとして使用します。
• VLAN インターフェイスに IPv6 アドレスが設定されていないと、MLDv2 スヌーピング クエリアは起動しません。MLDv2 スヌーピング クエリアは、IPv6 アドレスが消去されるとディセーブルになります。MLDv2 スヌーピング クエリアは、イネーブルの場合、IPv6 アドレスを設定すると再起動します。
• MLDv2 スヌーピング クエリアをイネーブルにすると、IPv6 マルチキャスト ルータからの MLDv2 トラフィックを検出しても起動しません。
• MLDv2 スヌーピング クエリアをイネーブルにすると、IPv6 マルチキャスト ルータから MLDv2 トラフィックが検出されない場合、60 秒後に起動します。
• MLDv2 スヌーピング クエリアをイネーブルにしても、IPv6 マルチキャスト ルータからの MLDv2 トラフィックを検出するとディセーブルになります。
• MLDv2 スヌーピング をイネーブルにすると、QoS は MLDv2 パケットをサポートしません。
• VLAN 内の Catalyst 6500 シリーズ スイッチは、MLDv2 スヌーピング クエリアをサポートする場合はすべてで、MLDv2 スヌーピング クエリアをイネーブルにできます。1 つのスイッチをクエリアとして選択します。
MLDv2 スヌーピングの設定
(注) MLDv2 スヌーピングを使用するには、IPv6 マルチキャスト ルーティング用にサブネットでレイヤ 3 インターフェイスを設定するか、またはサブネットで MLDv2 スヌーピング クエリアをイネーブルにします(「MLDv2 スヌーピング クエリアのイネーブル化」を参照)。
ここでは、MLDv2 スヌーピングを設定する手順について説明します。
• 「MLDv2 スヌーピングのイネーブル化」
• 「マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続の設定」
• 「高速脱退処理のイネーブル化」
• 「明示的なホスト トラッキングの設定」
• 「レポート抑制の設定」
• 「MLDv6 スヌーピング情報の表示」
(注) グローバルにイネーブルにするコマンドを除き、すべての MLDv2 スヌーピング コマンドは VLAN インターフェイス上だけでサポートされます。
MLDv2 スヌーピングのイネーブル化
グローバルに MLDv2 スヌーピングをイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# ipv6 mld snooping |
MLDv2 スヌーピングをイネーブルにします。 |
Router(config)# no ipv6 mld snooping |
MLDv2 スヌーピングをディセーブルにします。 |
ステップ 2 |
Router(config)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Router# show ipv6 mld interface vlan vlan_ID | include globally |
設定を確認します。 |
次に、MLDv2 スヌーピングをグローバルにイネーブルにし、設定を確認する例を示します。
Router(config)# ipv6 mld snooping
Router# show ipv6 mld interface vlan 200 | include globally
MLD snooping is globally enabled
特定の VLAN で MLDv2 スヌーピングをイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping |
MLDv2 スヌーピングをイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping |
MLDv2 スヌーピングをディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router# show ipv6 mld interface vlan vlan_ID | include snooping |
設定を確認します。 |
次に、VLAN 25 で MLDv2 スヌーピングをイネーブルにし、設定を確認する例を示します。
Router# interface vlan 25
Router(config-if)# ipv6 mld snooping
Router# show ipv6 mld interface vlan 25 | include snooping
MLD snooping is globally enabled
MLD snooping is enabled on this interface
MLD snooping fast-leave is enabled and querier is enabled
MLD snooping explicit-tracking is enabled
MLD snooping last member query response interval is 1000 ms
MLD snooping report-suppression is disabled
マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続の設定
マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# mac-address-table static mac_addr vlan vlan_id interface type slot/port [ disable-snooping ] |
マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続を設定します。 |
Router(config)# no mac-address-table static mac_addr vlan vlan_id |
マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続を消去します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Router# show mac-address-table address mac_addr |
設定を確認します。 |
スタティックな接続を設定する場合、 disable-snooping キーワードを入力することで、スタティックに設定されたマルチキャスト MAC アドレスにアドレス指定されたマルチキャスト トラフィックが、同じ VLAN 内の別のポートに送信されるのも防止できます。
次に、マルチキャスト レシーバーへのスタティックな接続を設定する例を示します。
Router(config)# mac-address-table static 0050.3e8d.6400 vlan 12 interface fastethernet 5/7
マルチキャスト ルータ ポートのスタティックな設定
マルチキャスト ルータへのスタティックな接続を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping mrouter interface type slot/port |
マルチキャスト ルータへのスタティックな接続を設定します。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router# show ipv6 mld snooping mrouter |
設定を確認します。 |
ルータへのインターフェイスは、コマンドを入力する VLAN に存在する必要があります。インターフェイスは管理上アップ状態で、回線プロトコルはアップ状態である必要があります。
次に、マルチキャスト ルータへのスタティックな接続を設定する例を示します。
Router(config-if)# ipv6 mld snooping mrouter interface fastethernet 5/6
MLD スヌーピング クエリー時間の設定
特定のマルチキャスト グループにホストがまだ関係しているかどうかを判別するグループ固有のクエリーを送信したあとで、スイッチが待機する時間を設定できます。
(注) MLD スヌーピング高速脱退処理と MLD スヌーピング クエリー時間の両方を設定した場合は、高速脱退処理が優先されます。
スイッチによって送信される MLD スヌーピング クエリーの待機時間を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping last-member-query-interval interval |
スイッチによって送信される IGMP クエリーの待機時間を設定します。デフォルトは 1 秒です。有効な範囲は 1000 ~ 9990 ミリ秒です。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping last-member-query-interval |
デフォルト値に戻します。 |
ステップ 3 |
Router# show ipv6 mld interface vlan vlan_ID | include last |
設定を確認します。 |
次に、MLD スヌーピング クエリー時間を設定する例を示します。
Router(config-if)# ipv6 mld snooping last-member-query-interval 1000
Router# show ipv6 mld interface vlan 200 | include last
MLD snooping last member query response interval is 1000 ms
高速脱退処理のイネーブル化
VLAN 上で高速脱退処理をイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping fast-leave |
VLAN 上で高速脱退処理をイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping fast-leave |
VLAN 上で高速脱退処理をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router# show ipv6 mld interface vlan vlan_ID | include fast-leave |
設定を確認します。 |
次に、VLAN 200 インターフェイスで高速脱退処理をイネーブルにし、設定を確認する例を示します。
Router# interface vlan 200
Router(config-if)# ipv6 mld snooping fast-leave
Configuring fast leave on vlan 200
Router# show ipv6 mld interface vlan 200 | include fast-leave
MLD snooping fast-leave is enabled and querier is enabled
SSM セーフ レポート機能のイネーブル化
Source-Specific Multicast(SSM;送信元固有マルチキャスト)セーフ レポート機能をイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping ssm-safe-reporting |
SSM セーフ レポート機能をイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping ssm-safe-reporting |
設定を消去します。 |
次に、SSM セーフ レポート機能を設定する例を示します。
Router(config)# interface vlan 10
Router(config-if)# ipv6 mld snooping ssm-safe-reporting
明示的なホスト トラッキングの設定
(注) 明示的なホスト トラッキングをディセーブルにすると、高速脱退処理およびプロキシ レポート機能がディセーブルになります。
VLAN で明示的なホスト トラッキングをイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping explicit-tracking |
明示的なホスト トラッキングをイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping explicit-tracking |
明示的なホスト トラッキング設定を消去します。 |
ステップ 3 |
Router# show ipv6 mld snooping explicit-tracking vlan vlan_ID |
明示的なホスト トラッキングを表示します。 |
次に、明示的なホスト トラッキングをイネーブルにする例を示します。
Router(config)# interface vlan 25
Router(config-if)# ipv6 mld snooping explicit-tracking
Router# show ipv6 mld snooping explicit-tracking vlan 25
Source/Group Interface Reporter Filter_mode
------------------------------------------------------------------------
10.1.1.1/226.2.2.2 Vl25:1/2 16.27.2.3 INCLUDE
10.2.2.2/226.2.2.2 Vl25:1/2 16.27.2.3 INCLUDE
レポート抑制の設定
VLAN レポート抑制をイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface vlan vlan_ID |
VLAN インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ipv6 mld snooping report-suppression |
レポート抑制をイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ipv6 mld snooping report-suppression |
レポート抑制設定を消去します。 |
ステップ 3 |
Router# show ipv6 mld interface vlan_ID | include report-suppression |
レポート抑制のステータスを表示します。 |
次に、明示的なホスト トラッキングをイネーブルにする例を示します。
Router(config)# interface vlan 25
Router(config-if)# ipv6 mld snooping report-suppression
Router# Router# show ipv6 mld interface vlan 25 | include report-suppression
MLD snooping report-suppression is enabled
マルチキャスト ルータ インターフェイスの表示
IGMP スヌーピングをイネーブルにすると、スイッチはマルチキャスト ルータの接続先インターフェイスを自動的に学習します。
マルチキャスト ルータ インターフェイスを表示するには、次の作業を行います。
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Router# show ipv6 mld snooping mrouter vlan_ID |
マルチキャスト ルータ インターフェイスを表示します。 |
次に、VLAN 1 のマルチキャスト ルータ インターフェイスを表示する例を示します。
Router# show ipv6 mld snooping mrouter vlan 1
-----+----------------------------------------
1 Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router
MAC アドレス マルチキャスト エントリの表示
VLAN の MAC アドレス マルチキャスト エントリを表示するには、次の作業を行います。
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Router# show mac-address-table multicast vlan_ID [ count ] |
VLAN の MAC アドレス マルチキャスト エントリを表示します。 |
次に、VLAN 1 の MAC アドレス マルチキャスト エントリを表示する例を示します。
Router# show mac-address-table multicast vlan 1
vlan mac address type qos ports
-----+---------------+--------+---+--------------------------------
1 0100.5e02.0203 static -- Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router
1 0100.5e00.0127 static -- Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router
1 0100.5e00.0128 static -- Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router
1 0100.5e00.0001 static -- Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router,Switch
次に、ある VLAN について MAC アドレス エントリの総数を表示する例を示します。
Router# show mac-address-table multicast 1 count
Multicast MAC Entries for vlan 1: 4
VLAN インターフェイス用の MLDv2 スヌーピング情報の表示
VLAN インターフェイスの MLDv2 スヌーピング情報を表示するには、次の作業を行います。
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Router# show ipv6 mld snooping {{ explicit-tracking vlan_ID }| { mrouter [ vlan vlan_ID ]} | { report-suppression vlan vlan_ID } | { statistics vlan vlan_ID } |
VLAN インターフェイスの MLDv2 スヌーピング情報を表示します。 |
次に、VLAN 25 の明示的なトラッキング情報を表示する例を示します。
Router# show ipv6 mld snooping explicit-tracking vlan 25
Source/Group Interface Reporter Filter_mode
------------------------------------------------------------------------
10.1.1.1/226.2.2.2 Vl25:1/2 16.27.2.3 INCLUDE
10.2.2.2/226.2.2.2 Vl25:1/2 16.27.2.3 INCLUDE
次に、VLAN 1 のマルチキャスト ルータ インターフェイスを表示する例を示します。
Router# show ipv6 mld snooping mrouter vlan 1
-----+----------------------------------------
1 Gi1/1,Gi2/1,Fa3/48,Router
次に、VLAN 25 の IGMP スヌーピング統計情報の例を示します。
Router# show ipv6 mld snooping statistics interface vlan 25
Snooping staticstics for Vlan25
Source/Group Interface Reporter Uptime Last-Join Last-Leave
10.1.1.1/226.2.2.2 Gi1/2:Vl25 16.27.2.3 00:01:47 00:00:50 -
10.2.2.2/226.2.2.2 Gi1/2:Vl25 16.27.2.3 00:01:47 00:00:50 -