ハードウェアの設置
ここでは、ML シリーズ カードのブートなど、ハードウェアの設置作業について説明します。ONS 15454 SONET/SDH のカード スロットはあらかじめ ML シリーズ ラインカード用に設定されているので、次の物理的な手順は、これらのスロットを設定する前でも後でも実行できます。
1. ONS 15454 SONET/SDH に ML シリーズ カードを取り付けます。詳細については、『 Cisco ONS 15454 Procedure Guide 』 または 『 Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide 』 の第 2 章「Install Cards and Fiber-Optic Cable」を参照してください。
2. ML シリーズ カードにイーサネット ケーブルを接続します。
3. ML シリーズ カードにコンソール端末を接続します(オプション)。
(注) ML シリーズ カードが挿入済みの場合、Cisco IOS の有効な起動設定ファイルが存在しないと、CTC の Alarms ペインの下に NO-CONFIG 状態がレポートされます。この状態をクリアするには、このファイルをロードまたは作成します。このファイルのロードまたは作成については、「起動設定ファイル」を参照してください。
ML シリーズ カード上の Cisco IOS
ML シリーズ カードで使用する Cisco IOS のソフトウェア イメージは、ML シリーズ カードに永続的に保存されず、TCC2 カードのフラッシュ メモリに保存されます。ハード リセット中に、カードを物理的にいったん取り外して再度挿入すると、Cisco IOS のソフトウェア イメージが TCC2 のフラッシュ メモリから ML シリーズ カードのメモリ キャッシュにダウンロードされます。キャッシュされたイメージは、ML シリーズ カードによって解凍され、使用できるように初期化されます。
ソフト リセット中に、CTC または Cisco IOS の command line interface(CLI; コマンド行インターフェイス) コマンドを使用して ML シリーズ カードをリセットすると、ML シリーズ カードはキャッシュ内で Cisco IOS のソフトウェア イメージを検索します。有効で最新の Cisco IOS イメージが検出されると、ML シリーズ カードはそのイメージを解凍し、初期化します。適切なイメージが検出されない場合は、ML シリーズ カードは TCC に Cisco IOS イメージの新しいコピーを要求します。Cisco IOS イメージをキャッシュすると、ウォーム リセットの実行時間が大幅に短縮できます。
ML シリーズ カードの Cisco IOS 設定を表示するには、 4 種類の方法(CTC で Cisco IOS セッションを開く方法、IP アドレスとスロット番号に 2000 を加えた値に Telnet 接続する方法、 設定済み管理ポートに Telnet 接続する方法、およびコンソール ポートに直接接続する方法)が使用できます。
CTC を使用して Cisco IOS セッションを開く方法
CTC を使用して ML シリーズ カードに対する Cisco IOS の CLI セッションを開始できます。カード レベルの CTC ビューで IOS タブをクリックし、Open IOS Command Line Interface (CLI) ボタンをクリックします(図 3-1 参照)。ウィンドウが開き、標準の Cisco IOS CLI User EXEC コマンド モードのプロンプトが表示されます。
(注) CTC で Cisco IOS CLI セッションを開く前に、あらかじめ Cisco IOS の起動設定ファイルをロードし、ML シリーズ カードを取り付けて初期化しておいてください。詳細については、「起動設定ファイル」を参照してください。
図 3-1 CTC IOS ウィンドウ
ノードの IP アドレスとスロット番号に Telnet 接続する方法
ONS 15454 SONET/SDH の IP アドレスとスロット番号に 2000 を加えた値を使用して Cisco IOS CLI に Telnet 接続できます。
(注) IP アドレスとスロット番号に 2000 を加えた値を使用して Telnet 接続する前に、あらかじめ Cisco IOS の起動設定ファイルをロードし、ML シリーズ カードを取り付けて初期化しておいてください。詳細については、「起動設定ファイル」を参照してください。
(注) ONS 15454 SONET/SDH ノードがプロキシ サーバとして設定されている場合は、そのリング内の 1 つの ONS 15454 SONET/SDH ノードが同じリング内の他のノードの gateway network element(GNE; ゲートウェイ ネットワーク エレメント)として機能します。そのため、GNE ファイヤウォール経由で GNE 以外のエレメントまたは end network element(ENE; 終端ネットワーク エレメント)の IP アドレスとスロット番号に Telnet 接続するには、ユーザの Telnet クライアントが SOCKS v5 を認識できる必要があります(RFC 1928)。それには、Telnet セッションの GNE を Socks v5 プロキシとして認識し、ENE をホストとして認識できるように、この Telnet クライアントを設定します。
ステップ 1 ONS 15454 SONET/SDH 本体の前面にある LCD でノードの IP アドレスを物理的に確認するか、または、CTC ノード ビューの IP Addr フィールドで IP アドレスを確認します(図 3-2 参照)。
ステップ 2 ONS 15454 SONET/SDH の本体または CTC で対象となる ML シリーズ カードを取り付けたスロットの番号を確認します(図 3-2 参照)。スロット番号の例は、「スロット 13」などです。
図 3-2 IP アドレスとスロット番号が表示された CTC ノード ビュー
ステップ 3 使用する通信プログラムでこの IP アドレスとスロット番号に 2000 を加えた値を Telnet アドレスとして使用します。たとえば、IP アドレスが 10.92.18.124 でスロット番号が 13 の場合は、 10.92.18.124 2013
を入力するか Telnet します。
管理ポートへの Telnet
他の Cisco IOS プラットフォームと同様に標準の Cisco IOS 管理ポート経由で ML シリーズ カードに接続できます。管理アクセス用のポートと回線の設定については、『 Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide 』を参照してください。
セキュリティの観点から、Telnet 接続に使用する vty 回線の設定は完了していません。ML シリーズ カードに Telnet 接続するには、シリアル コンソール接続によって vty 回線を設定するか、または、vty 回線を設定する起動設定ファイルをあらかじめロードしておく必要があります。ML シリーズのポートは、まず、管理ポートとして設定する必要があります。詳細については、「管理ポートの設定」または「CTC での Cisco IOS 起動設定ファイルのロード」を参照してください。
ML シリーズの IOS CLI コンソール ポート
ML シリーズ カードの前面プレートには、CONSOLE. というラベルが貼られた RJ-11 シリアル コンソール ポートが用意されています。このコンソール ポートは、data circuit-terminating equipment(DCE; データ回線終端機器)として配線されています。このポートにより、端末エミュレーション ソフトウェアを実行中の PC またはワークステーションのシリアル ポートから特定の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI に通信することができます。
RJ-11/RJ-45 コンソール ケーブル アダプタ
ML シリーズ カードの前面プレートのスペースに制約があるため、コンソール ポートにはより一般的な RJ-45 モジュラ ジャックではなく、RJ-11 モジュラ ジャックを使用しています。シスコでは、各 ML シリーズ カード向けに RJ-11/RJ-45 コンソール ケーブル アダプタ(P/N 15454-CONSOLE-02)を用意しています。このアダプタを接続すると、コンソール ポートが標準の Cisco RJ-45 コンソール ポートと同様に機能します。図 3-3 に RJ-11/RJ-45 コンソール ケーブル アダプタを示します。
図 3-3 コンソール ケーブル アダプタ
表 3-1 に RJ-11 と RJ-45 のピンの対応関係を示します。
表 3-1 RJ-11 と RJ-45 のピンの対応関係
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1 |
1 |
2 |
2 |
3 |
3 |
4 |
4 |
なし |
5 |
5 |
6 |
なし |
7 |
6 |
8 |
PC または端末からコンソール ポートへの接続
同梱の RJ-11/RJ-45 コンソール ケーブル アダプタと DB-9 アダプタを使用して、PC を ML シリーズのコンソール ポートに接続します。
PC では VT100 端末エミュレーションがサポートされている必要があります。端末エミュレーション ソフトウェア(通常は HyperTerminal や Procomm Plus などの PC アプリケーション)によって、セットアップ プログラムの実行中に ML シリーズ カードと PC または端末の間の通信が可能になります。
ステップ 1 PC または端末のデータ レートと文字形式をコンソール ポートのデフォルト設定に合わせて設定します。
• 9600 Bps
• 8 データ ビット
• 1 ストップ ビット
• パリティなし
ステップ 2 同梱ケーブルの RJ-45 コネクタを同梱のコンソール ケーブル アダプタのメス側に接続します。
ステップ 3 同梱のコンソール ケーブル アダプタの RJ-11 モジュラ プラグ側を、ML シリーズ カードの前面プレートにある CONSOLE というラベルが付いた RJ-11 シリアル コンソール ポートに接続します。図 3-4 に ML1000-2 前面プレートとコンソール ポートを示します。ML100-12 のコンソール ポートは、カードの前面プレートの下部にあります。
図 3-4 コンソール ポートへの接続
ステップ 4 同梱の RJ-45/DB-9 メス側 DTE アダプタを PC にある 9 ピンの DB-9 シリアル ポートに接続します。
ステップ 5 接続したアダプタに、この同梱ケーブルの反対側を挿入します。
起動設定ファイル
ML シリーズ カードのリセット時にデフォルト設定以外の値を設定するには、起動設定ファイルが必要です。TCC2 フラッシュ メモリに起動設定ファイルがない場合は、カードのブート時にデフォルト設定が適用されます。ML カードへの Telnet 接続を確立するには、あらかじめ起動設定ファイルを ML シリーズ カードにロードしておく必要があります。この起動設定をロードしていない場合にカードにアクセスするには、コンソール ポート経由で接続する方法以外にはありません。起動設定ファイルを手動でセットアップするには、シリアル コンソール ポートまたは Cisco IOS CLI 設定モードから操作するか、または、Cisco IOS で提供される起動設定ファイルを CTC からロードします。
(注) ユーザは、ML シリーズ カードの read-only memory monitor mode(ROMMON; 読み取り専用モニタ モード)にアクセスすることはできません。ML シリーズ カードの ROMMON は、ML シリーズ カードに Cisco IOS ソフトウェア イメージを正しくブートできるように、あらかじめ設定されています。
(注) 実行設定ファイルを変更すると、CTC に RUNCFG-SAVENEED 状態が表示されます。この状態が表示された場合は、Cisco IOS CLI に copy running-config startup-config コマンドを入力する必要があります。このコマンドを入力しないと、ML シリーズ カードを再度ブートしたときに変更内容が失われます。
シリアル コンソール ポートを使用して手動で起動設定ファイルを作成する方法
Cisco IOS を使用して他の製品を操作したことがあるユーザにとって、シリアル コンソール ポート経由で設定する方法は、馴染み深い方法です。設定手順の最後に、 copy running-config startup-config コマンドを使用して起動設定ファイルを保存します。
シリアル コンソール ポートを使用すると、ML シリーズ カードのブート プロセス全体を表示できます。ML シリーズ カードの初期化中には、まず、ローカルでキャッシュされた Cisco IOS の有効なコピーが検索されます。次に、TCC2 から Cisco IOS のソフトウェア イメージがダウンロードされるか、または、有効なイメージの解凍と初期化が直接実行されます。Cisco IOS の初期化が完了すると、CLI プロンプトが表示されます。このプロンプトで、Cisco IOS の CLI 設定モードを入力して、ML シリーズ カードの基本設定をセットアップできます。
パスワード
ML シリーズ カードに設定できるパスワードは、2 種類(イネーブル パスワードとイネーブル シークレット パスワード)あります。セキュリティを強化するために、イネーブル パスワードとイネーブル シークレット パスワードは別の値にしてください。
• イネーブル パスワード:暗号化されていないパスワードです。このパスワードには、任意の長さの英数字(大文字および小文字)を指定できます。イネーブル パスワードは、 ML シリーズ カードに対する設定変更を許可したユーザだけに通知してください。
• イネーブル シークレット パスワード:安全で暗号化されたパスワードです。暗号化されたパスワードを設定することで、設定が不正に変更されるのを防ぐことができます。Cisco IOS ソフトウェアを実行中のシステムでグローバル設定モードを開始するには、あらかじめイネーブル シークレット パスワードを入力しておく必要があります。
イネーブル シークレット パスワードには、1 ~ 25 文字の英数字(大文字および小文字)を使用できます。最初の文字として数字を指定することはできません。このパスワードにはスペースを含めることができます。先行のスペースは無視されますが、後続のスペースは認識されます。
パスワードの設定方法については、「管理ポートの設定」を参照してください。
管理ポートの設定
ML シリーズ カードには独立した管理コンソール ポートがないため、ファーストイーサネット インターフェイス(ML100T-12 カードの 0~11)、ギガビットイーサネット インターフェイス(ML1000-2 カードの 0~1)、または packet over SONET(POS)インターフェイス(ML シリーズ カードの 0~1)を管理ポートとして使用できます。POS インターフェイスを作成するには、まず、CTC または TL1 から STS または STM 回線を作成する必要があります。
ML シリーズ カードをリモートから管理ポート経由で設定することができますが、その前に、ML シリーズ カードに到達するための IP アドレスを設定しておくか、または、起動設定ファイルをロードしておく必要があります。Cisco IOS CLI からシリアル コンソール接続経由で管理ポート インターフェイスを手動で設定できます。
リモート管理アクセス用に Telnet を設定するには、ユーザ EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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ユーザ EXEC(イネーブル)モードを開始します。 # プロンプトは、イネーブル モードが開始されていることを表します。 |
ステップ 2 |
Router#
configure terminal
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グローバル設定モードを開始します。このコマンドを config t と短縮することもできます。Router(config)# プロンプトは、グローバル設定モードが開始されていることを表します。 |
ステップ 3 |
Router(config)#
enable password
password
|
イネーブル パスワードを設定します。「パスワード」を参照してください。 |
ステップ 4 |
Router(config)#
enable secret
password
|
イネーブル シークレット パスワードを入力できます。「パスワード」を参照してください。ユーザがグローバル設定モードを開始するには、イネーブル シークレット パスワードを入力する必要があります。 |
ステップ 5 |
Router(config)#
interface
type number
|
指定したインターフェイスのインターフェイス設定モードを開始します。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)#
ip address
ip-address
subnetmask
|
ステップ 5 で指定したインターフェイスの IP アドレスと IP サブネット マスクを入力できます。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)#
no shutdown
|
インターフェイスを有効にします。 |
ステップ 8 |
|
グローバル設定モードに戻ります。 |
ステップ 9 |
Router(config)#
line vty
line-number
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仮想端末接続用の回線設定モードを開始します。このモードで入力したコマンドによって、ML シリーズ カードに対する Telnet セッションの動作が制御されます。 |
ステップ 10 |
Router(config-line)#
password
password
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Telnet セッションのパスワードを入力できます。 |
ステップ 11 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 12 |
Router#
copy running-config startup-config
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(オプション)設定の変更を NVRAM に保存します。 |
管理ポートでのリモート管理設定が完了すると、Telnet を使用して、設定をリモートで割り当てたり、確認したりできます。
ホスト名の設定
初期設定には、システム パスワードとイネーブル パスワードの他にホスト名を指定し、ML シリーズ カードを簡単に識別できるようにする必要があります。ホスト名を設定するには、イネーブル モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Router#
configure terminal
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グローバル設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config)#
hostname
name-string
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システム名を入力できます。この例では、ホスト名を「Router」に設定します。 |
ステップ 3 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
Router#
copy running-config startup-config
|
(オプション)設定の変更を NVRAM にコピーします。 |
CTC での Cisco IOS 起動設定ファイルのロード
CTC を使用すると、ML シリーズ カードに必要な起動設定ファイルをロードできます。Cisco ONS 15454 SONET/SDH のソフトウェア CD には、Cisco IOS 起動設定ファイルのサンプル Basic-IOS- startup-config.txt が収録されています。Cisco IOS CLI のデフォルトの回線パスワードと、この設定のイネーブル パスワードは、CISCO15 です。独自の起動設定ファイルを作成することもできます。詳細については、「シリアル コンソール ポートを使用して手動で起動設定ファイルを作成する方法」を参照してください。
CTC では、ML シリーズ カードをスロットに物理的に取り付ける前に、TCC2 カードのフラッシュ メモリに Cisco IOS の起動設定ファイルをロードできます。この場合、ML シリーズ カードを取り付けると、Cisco IOS ソフトウェア イメージとロード済みの Cisco IOS 起動設定ファイルがダウンロードされ、適用されます。起動設定ファイルをあらかじめロードしておくと、ML シリーズ カードを ONS 15454 SONET/SDH に取り付けた直後から完全に設定済みのカードとして運用できます。
Cisco IOS 起動設定ファイルを TCC2 カードのフラッシュ メモリにロードする前に ML シリーズ カードのブートが完了している場合は、ML シリーズ カードをリセットして Cisco IOS 起動設定ファイルが使用されるようにするか、または、Cisco IOS の CLI で copy start run コマンドを実行して、Cisco IOS 起動設定ファイルが使用されるように ML シリーズ カードを設定する必要があります。
CTC を使用して Cisco IOS 起動設定ファイルを初めてロードするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 ML シリーズ カードのカードレベルのビューで IOS タブをクリックします。
CTC IOS ウィンドウが開きます(図 3-1)。
ステップ 2 IOS startup config ボタンをクリックします。
config file ダイアログボックスが表示されます。
ステップ 3 Local -> TCC ボタンをクリックします。
ステップ 4 Cisco IOS 起動設定ファイルのサンプルは、ONS 15454 SONET/SDH ソフトウェア CD、PC フォルダ、またはネットワーク フォルダからインストールできます。
•シスコが提供する起動設定ファイルを ONS 15454 SONET/SDH ソフトウェア CD からインストールするには、PC またはワークステーションの CD ドライブにこの CD を挿入します。CTC の config file ダイアログを使用して、PC またはワークステーションの CD ドライブに移動して、Basic-IOS-startup-config.txt ファイルをダブルクリックします。
•シスコが提供する起動設定ファイルを PC フォルダまたはネットワークフォルダからインストールするには、必要な Cisco IOS 起動設定ファイルが格納されたフォルダに移動して、その Cisco IOS 起動設定ファイルをダブルクリックします。
ステップ 5 Are you sure? ダイアログ ボックスで、Yes ボタンをクリックします。
configuration file ダイアログの Directory フィールドと Filename フィールドが更新され、TCC2 にロードされた Cisco IOS 起動設定ファイルが反映されます。
ステップ 6 TCC2 から ML シリーズ カードに IOS 起動設定ファイルをロードします。
a. ML シリーズ カードを取り付け済みの場合は、CTC のノード レベル ビューで ML シリーズ カードを右クリックし、Reset Card を選択します。
リセットが完了すると、新しくロードされた Cisco IOS 起動設定ファイルに基づいて ML シリーズ カードが動作します。
b. ML シリーズ カードを取り付けていない場合は、スロットに ML シリーズ カードを取り付けるだけで、Cisco IOS 起動設定ファイルが ML シリーズ カードにロードされ、実行されます。
(注) Cisco IOS 起動設定ファイルがダウンロードされ、初期化中の解析でこのファイルにエラーが検出されると、ERROR-CONFIG アラームがレポートされ、CTC の Alarms ペインの下、または TL1 内に表示されます。テキストの解析に関する他の Cisco IOS エラー メッセージは、CTC または TL1 内にはレポートされません。Cisco IOS を使い慣れている場合は、Cisco IOS CLI を開き、copy start run コマンドを実行して、解析エラーの原因となっている行を起動設定ファイル内で探して問題を解決できます。
(注) ONS 15454 SONET/SDH データベースを標準的な方法で復元すると、TCC2 にある Cisco IOS 起動設定ファイルが再インストールされます。ただし、ML シリーズ カードでは、この Cisco IOS 起動設定ファイルは実装されていません。ステップ 6 を実行して、TCC2 カードから ML シリーズ カードに Cisco IOS 起動設定ファイルをロードしてください。
複数のマイクロコード イメージ
ML シリーズ カードでのパケットの一時処理と転送は、ネットワーク プロセッサによって実行されます。ネットワーク プロセッサは、マイクロコードで制御されます。このマイクロコードは、命令セット(ソフトウェア)であり、ネットワーク プロセッサにロードされて、高速処理されます。ネットワーク プロセッサでは、マイクロコードの保存容量が限られています。
ML シリーズ カードに組み込まれたソフトウェア リリース 4.6 向けの機能によっては、新しいマイクロコードを大量に必要とし、これらの追加マイクロコードがネットワーク プロセッサの記憶許容量を超えることがあります。このような新しい機能は、新しいマイクロコード イメージ(別のマイクロコード プログラム)として追加されます。ネットワーク プロセッサに一度に保存できるマイクロコード イメージは、1 つだけです。ロードした マイクロコード イメージを変更するには、ネットワーク プロセッサをリセットする必要があります。
ML シリーズ カード用のマイクロコード イメージは、3 つの中から選択できます。デフォルトの基本イメージには、ソフトウェア リリース 4.1 IOS(Cisco IOS Release 12.1(19)EO)のイメージと同じ ML シリーズ カードの基本機能、および、ML シリーズ カードの virtual concatenation(VCAT)回線のようなマイクロコードに依存しないリリース 4.6 の追加機能が含まれています。基本イメージを使用すると、ML シリーズ カードの既存設定を変更せずに、ソフトウェア リリース 4.0 または 4.1 からソフトウェア リリース 4.6 にアップグレードできます。
他の 2 つのマイクロコード イメージ(拡張イメージと Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)イメージ)では、特定の機能が追加されますが、基本イメージの機能の一部が削除されます。拡張マイクロコード イメージを選択すると、IP 分割機能と IP マルチキャスト機能が削除され、Ethernet Relay Multipoint Service(ERMS; イーサネット リレー マルチポイント サービス)、および dual resilient packet ring interconnect(DRPRI; 二重復元パケット リング相互接続)とパフォーマンス モニタリングの拡張機能が追加されます。MPLS マイクロコード イメージを選択すると、IP マルチキャスト、IP 分割、および ERMS サポートが削除されますが、EoMPLS(MPLS ネットワーク経由のイーサネット フレームの転送機能)が追加されます。 表 3-2 は、各マイクロコード イメージで使用可能な機能の比較表です。
表 3-2 マイクロコード イメージの機能比較
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IP マルチキャスト |
○ |
× |
× |
IP 分割 |
○ |
× |
× |
IP 転送 |
○ |
○ |
× |
拡張パフォーマンス モニタリング |
× |
○ |
× |
拡張 DRPRI |
× |
○ |
× |
ERMS |
× |
○ |
× |
MPLS |
× |
× |
○ |
使用中のマイクロコード イメージの変更
マイクロコード イメージを変更するには、Cisco IOS CLI コマンドを実行し、CTC 経由で ML シリーズ カードをリセットします。使用中のマイクロコード イメージを設定するには、グローバル設定モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Router
(config)# microcode {base | enhanced | mpls}
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次の 3 つの マイクロコード イメージのどれかを使用して、ML シリーズ カードを設定します。 • 基本(デフォルト):基本機能だけを有効にします。基本機能には、マルチキャスト ルーティングと IP 分割が含まれます。 • 拡張:ERMS、拡張パケット統計、および拡張 DRPRI を有効にします。マルチキャスト ルーティングと IP 分割が無効になります。 • mpls:MPLS を有効にします。 IP マルチキャスト、IP 分割、および ERMS サポートが無効になります。 |
ステップ 2 |
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グローバル設定モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Router#
copy running-config startup-config
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設定の変更をフラッシュ メモリに保存します。新しいマイクロコード イメージを使用して設定した実行設定ファイルを ML シリーズ カードの起動設定ファイルとして保存し、新しいマイクロコード イメージで再度ブートします。 |
ステップ 4 |
Router# reload |
ML シリーズ カードをリセットし、新しいマイクロコード イメージをロードします。
注意 ML シリーズ カードをリセットすると、トラフィック損失の原因となり、カードへの Telnet セッションがすべて閉じられます。
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ステップ 5 |
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現在ロードされているマイクロコード イメージと、ML シリーズ カードをリセットした場合にロードされるマイクロコード イメージを表示します。 |
Cisco IOS のコマンド モード
Cisco IOS ユーザ インターフェイスには複数のモードがあります。使用できるコマンドは、使用中のモードによって異なります。モード別の使用可能コマンド リストを表示するには、システム プロンプトに疑問符(?)を入力します。
使用頻度が高いモード、そのモードを開始する方法、および表示されるシステム プロンプトを 表 3-3 に示します。システム プロンプトによって、どのモードを使用中であるかを簡単に識別できるため、使用可能なコマンドも容易に識別できます。
(注) プロセスが ML シリーズ カードの CPU を大量に消費すると、CPU の応答時間が長くなり、CPUHOG エラー メッセージがコンソールに表示されることがあります。このメッセージでは、イベントによりルーティング テーブル内の多数のルートを更新した場合など、CPU サイクルを大量に使用したプロセスが表示されます。 カードのリセットまたは頻繁に発生しないイベントを実行した結果としてこのメッセージが表示された場合は、問題ありません。
(注) マニュアル内では、ルータやスイッチを汎用プロンプトとして使用しています。実際のプロンプトは、異なることがあります。
表 3-3 Cisco IOS のコマンド モード
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ユーザ EXEC |
リモート装置への接続、一時的な端末設定値の変更、基本的なテストの実行、およびシステム情報の表示を行うことができます。 |
ログインします。 |
Router> |
特権 EXEC (イネーブル モードとも呼ぶ) |
操作パラメータを設定します。特権コマンド セットには、ユーザ EXECモードのコマンドと configure コマンドが含まれます。他のコマンド モードにアクセスするには、このコマンド モードを使用します。 |
ユーザ EXEC モードで、 enable コマンドとイネーブル パスワードを入力します。 |
Router# |
グローバル設定 |
システム全体に影響する機能を設定します。 |
特権 EXEC モードで configure terminal コマンドを入力します。 |
Router(config)# |
インターフェイス設定 |
特定のインターフェイスの機能をイネーブルにします。インターフェイス コマンドでは、ファーストイーサネット ポート、ギガビットイーサネット ポート、または POS ポートの操作を有効にしたり、変更したりできます。 |
グローバル設定モードで interface type number コマンドを入力します。 たとえば、次のように入力します。 interface fastethernet 0 (ファーストイーサネット インターフェイス) または interface gigabitethernet 0 (ギガビット イーサネット インターフェイス)または interface pos 0 (Packet over SONET インターフェイス) |
Router(config-if)# |
回線の設定 |
直接接続したコンソールまたは Telnet 接続した仮想端末からコンソール ポートまたは vty 回線を設定します。 |
コンソール ポートを設定するには、グローバル設定モードで line console 0 コマンドを入力します。vty 回線を設定するには、グローバル設定モードで line vty line-number コマンドを入力します。 |
Router(config-line)# |
ML シリーズ カードでセッションを開始した場合は、ユーザ EXEC モードに設定されています。ユーザ EXEC モードで使用できるコマンドのサブセットは限られています。すべてのコマンドを実行するには、特権 EXEC モード(イネーブル モード)を使用する必要があります。特権 EXEC モードでは、すべての EXEC コマンドの入力またはグローバル設定モードへのアクセスが可能です。ほとんどの EXEC コマンドは、現在の設定ステータスを表示する show コマンド、カウンタやインターフェイスをクリアする clear コマンドなどのように、一度しか使用しないコマンドです。ML シリーズ カードを再度ブートすると、ブート前に実行した EXEC コマンドは、保存されません。
設定モードでは、実行中の設定を変更できます。設定を保存すると、ML シリーズ カードを再度ブートした後もコマンドが保存されます。最初は、グローバル設定モードから始める必要があります。グローバル設定モードでは、インターフェイス設定モード、サブインターフェイス設定モード、およびプロトコル固有のさまざまなモードに切り替えることができます。
ROMMON モードは、ML シリーズ カードを正しくブートできない場合に使用する独立したモードです。たとえば、ML シリーズ カードのブート時に有効なシステム イメージが検出されない場合、または起動時に設定ファイルが破損している場合、このカードは ROM モニタ モードに入ります。
コマンド モードの使用
入力したコマンドは、EXEC と呼ばれる Cisco IOS コマンド インタプリタにより解釈および実行されます。コマンドやキーワードは、他のコマンドと区別するのに十分な文字だけを入力して短縮することができます。たとえば、 show コマンドは sh に短縮できます。また、 configure terminal コマンドは config t に短縮できます。
終了
exit と入力すると、ML シリーズ カードのレベルが 1 つ上に戻ります。通常は、 exit と入力すると、グローバル設定モードに戻ります。設定モードを完全に終了し、特権 EXEC モードに戻るには、 end コマンドを入力します。
ヘルプの利用方法
どのコマンド モードでも、疑問符(?)を入力すると、使用可能なコマンドのリストを表示できます。
特定の文字列で始まるコマンドのリストを表示するには、その文字列の直後に疑問符(?)を続けて入力します。スペースは挿入しないでください。この形式のヘルプは、コマンド ワードの完全な形を表示するので、ワード ヘルプと呼ばれます。
キーワードまたは引数のリストを表示するには、キーワードまたは引数の代わりに疑問符(?)を入力します。疑問符の前に 1 つスペースを挿入します。入力したコマンド、キーワード、および引数に適用できるキーワードまたは引数が表示されるので、この形式のヘルプはコマンド シンタックス ヘルプと呼ばれます。
memory Configure from NV memory
network Configure from a TFTP network host
overwrite-network Overwrite NV memory from TFTP network host
terminal Configure from the terminal
1 つ前に入力したコマンドを再表示するには、上矢印キーを押します。上矢印キーを押しつづけると、過去に実行したコマンドがさらに表示されます。
ヒント コマンドの入力ができない場合は、システム プロンプトをチェックし、次に疑問符(?)を入力して利用可能なコマンドのリストを表示します。誤ったコマンド モードやシンタックスを使用している可能性があります。
どのモードからでも Ctrl-Z キーを押すか end を入力すると、特権 EXEC (イネーブル)モードに直接戻ることができます。代わりに exit を入力すると、直前のモードに戻ります。