シリアルWIC
ここでは、1ポートおよび2ポートのシリアルCisco WAN Interface Card(WIC;WANインターフェイス カード)をネットワークに接続する方法について説明します。具体的な内容は、次のとおりです。
• 「1ポートおよび2ポート シリアルWIC」
• 「2ポート非同期/同期シリアルWIC」
• 「1ポートおよび2ポート シリアルWICのネットワーク接続」
1ポートおよび2ポート シリアルWIC
1ポート シリアルWIC(WIC-1T)(図3-1)および2ポート シリアルWIC(WIC-2T)(図3-2)は、シスコ製モジュラ ルータに対してEIA/TIA-232、EIA/TIA-449、V.35、X.21、Data Terminal Equipment/Data Communications Equipment(DTE/DCE;データ端末装置/データ通信装置)、EIA-530 DTE、またはnonreturn to zero/nonreturn to zero inverted(NRZ/NRZI)シリアル インターフェイスを提供します。
(注) Cisco 3600シリーズおよびCisco 2600シリーズ ルータでは、2ポート シリアルWICは非同期(最大115.2 kbps)および同期(最大2.048 Mbps)の両方のデータ レートをサポートします。1ポート シリアルWICがサポートするのは、最大2.048 Mbpsの同期データ レートのみです。
(注) Cisco 1720シリーズ ルータでは、1ポートおよび2ポート シリアルWICによって、非同期(最大115.2 kbps)および同期(最大2.048 Mbps)の両方のデータ レートがサポートされます。
(注) Cisco 1600シリーズ ルータでは、1ポート シリアルWICは最大115.2 kbpsの非同期データ レートをサポートし、最大2.048 Mbpsの同期データ レートをサポートします。2ポート シリアルWICは、このルータではサポートされません。
各シリアルWICには、ポートごとにCONNというラベルのLEDが1つずつあり、シリアル ポートが接続されているときに点灯します。ポートがDTEモードの場合、CONN LEDはData Send Ready(DSR;データ送信可)、Data Carrier Detect(DCD;データ キャリア検知)、およびClear to Send(CTS;送信可)が検出されたことを示します。ポートがDCEモードの場合は、Data Terminal Ready(DTR;データ端末動作可能)およびReady To Send(RTS)が検出されたことを示します。
図3-1 1ポート シリアルWICの前面パネル(WIC-1T)
図3-2 2ポート シリアルWICの前面パネル(WIC-2T)
2ポート非同期/同期シリアルWIC
2ポートA/S(非同期/同期)WIC(WIC-2A/S)(図3-3)は、シスコ製モジュラ ルータに対してEIA/TIA-232、EIA/TIA-449、V.35、X.21、DTE/DCE、EIA 530、またはEIA 530Aシリアル インターフェイスを提供します。
注意 電磁適合性および安全性のためのTelcordia GR-1089 NEBS規格に準拠するため、2ポートA/S WIC(WIC-2A/S)は、建物内または屋内の配線またはケーブルにのみ接続するようにしてください。
(注) Cisco 3700シリーズ、Cisco 3600シリーズ、Cisco 2600シリーズ、Cisco 1720、およびCisco MWR 1941-DCルータでは、2ポートA/S WICは非同期(最大115.2 kbps)および同期(最大128 kbps)の両方のデータ レートをサポートします。
(注) 2ポートA/S WICは、Cisco 1600シリーズ ルータではサポートされません。
図3-3 2ポートA/SシリアルWICの前面パネル(WIC-2A/S)
1ポートおよび2ポート シリアルWICのネットワーク接続
1ポート シリアルWICでDB-60シリアル ポートが使われるのに対して、2ポート シリアルWICおよび2ポートA/S WICではCiscoスマート シリアル ポートが用いられます。お手持ちのシリアルWICに適したケーブルを使用してください。
スマート シリアル ポートに接続されたシリアル ケーブルは、ポートの電気的なインターフェイス タイプおよびモード(DTEまたはDCE)を判別します。
ヒント サージ保護機能を備えたケーブル(CAB-SS-SURGE)もシスコシステムズから入手できます。サージ保護ケーブルの接続手順については、「シリアルWICのネットワーク接続」を参照してください。
1ポートおよび2ポート シリアルWICのケーブル タイプ
シスコ システムズでは、1ポートおよび2ポート シリアルWIC用に、6種類のシリアル ケーブル(別名、 シリアル アダプタ ケーブル または シリアル変換ケーブル )を提供しています。
• EIA/TIA-232シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA/TIA-449シリアル ケーブル アセンブリ
• V.35シリアル ケーブル アセンブリ
• X.21シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA/TIA-530シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA/TIA-530Aシリアル ケーブル アセンブリ
上記のシリアル ケーブルはすべて、インターフェイス カード側にユニバーサル プラグを装備しています。各ケーブルのネットワーク側は、そのインターフェイスで最も一般的な物理コネクタを装備しています。たとえば、EIA/TIA-232シリアル ケーブルのネットワーク側は、EIA/TIA-232コネクタでは最も普及しているDB-25コネクタです。
EIA-530以外のシリアル インターフェイス タイプはすべて、DTEまたはDCEのどちらのモードでも使用できます。DTEはネットワーク側がプラグ コネクタ、DCEはネットワーク側がレセプタクルです。V.35は、ネットワーク側でオス/メスを使い分け、どちらのモードでも使用できます。EIA-530はDTE専用です。
シリアルWICのネットワーク接続
シリアルWICを取り付けたあとで、適切なシリアル ケーブルを使用して、WICのシリアル ポートを次の装置タイプのどちらか一方に接続します(図3-5を参照)。
• 非同期モデム(アナログ電話回線に接続する場合)
• 同期モデム、DSUまたはCSU、またはその他のDCE(デジタルWAN回線に接続する場合)
(注) 接続の制限事項については、「1ポートおよび2ポート シリアルWIC」および「2ポート非同期/同期シリアルWIC」を参照してください。
WANにシリアル カードを接続する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 ルータの電源がオフになっていることを確認します。
Cisco MWR 1941-DCルータでは、回路ブレーカーのDC電源をオフにし、回路ブレーカーをオフの位置にテープで固定して、ルータの電源を切断します。
注意 電磁適合性および安全性のためのTelcordia GR-1089 NEBS規格に準拠するため、2ポートA/S WIC(WIC-2A/S)は、建物内または屋内の配線またはケーブルにのみ接続するようにしてください。
ステップ 2 (任意)カードの前面プレート上のコネクタに、サージ保護ケーブルを接続します(図3-4を参照)。
ステップ 3 (任意)サージ保護ケーブルのもう一方側に、該当するシリアル ケーブルの片側を接続します(図3-4を参照)。
図3-4 Ciscoサージ保護ケーブル(CAB-SS-SURGE)のシリアルWICへの接続
ステップ 4 カードの前面プレートのコネクタに、該当するシリアル ケーブルの一方を接続します。
ステップ 5 ケーブルのもう一方の側を適切なタイプの装置に接続します(図3-5を参照)。
図3-5 モデムまたはDSU/CSUへのシリアルWANポートの接続
ステップ 6 電源スイッチをON( | )の位置にして、ルータの電源をオンにします。
Cisco MWR 1941-DCルータでは、回路ブレーカーのDC電源をオンすることにより、ルータの電源をオンにします。
ステップ 7 CONN LEDが点灯し、カードのシリアル ポートでWANのシリアル接続が検出されたことを確認します。
シリアルHWIC
CiscoシリアルHigh-speed WIC(HWIC)は5個あります。この項ではHWICについて説明し、ネットワークへの接続方法についても説明します。具体的な内容は、次のとおりです。
• 「4ポート マルチプロトコル高速HWIC」
• 「4ポート マルチプロトコル低速非同期/同期HWIC」
• 「8ポートRS-232非同期/同期HWIC」
• 「8ポート非同期HWIC」
• 「16ポート非同期HWIC」
• 「LEDステータス」
• 「シリアルHWICのケーブル タイプ」
• 「シリアルHWICのネットワーク接続」
4ポート マルチプロトコル高速HWIC
図3-6で、4ポート マルチプロトコル高速HWIC(HWIC-4T)の外形を示します。サポートされるプロトコルは、Async(SLIP)、Async(PPP)、HDLC、Bisync、およびトランスペアレントなプロトコルです。
サポートされるインターフェイスは次のとおりです。
• DTE形式とDCE形式の両方: V35、X21、RS-232、およびRS-449
• DTE形式のみ: EIA-530およびEIA-530A
サポートされる最大データ レートは、ポートあたり8 Mbpsです。
図3-6 4ポート マルチプロトコルHWICの前面パネル(HWIC-4T)
4ポート マルチプロトコル低速非同期/同期HWIC
図3-7で、4ポート マルチプロトコル低速非同期/同期HWIC(HWIC-4A/S)の外形を示します。サポートされるプロトコルは、Async(SLIP)、Async(PPP)、HDLC、Bisync、およびトランスペアレントなプロトコルです。
サポートされるインターフェイスは次のとおりです。
• DTE形式とDCE形式の両方: V35、X21、RS-232、およびRS-449
• DTE形式のみ: EIA-530およびEIA-530A
サポートされる最大データ レートは、ポートあたり256 kbpsです(同期)。
図3-7 4ポート マルチプロトコルA/S HWICの前面パネル(HWIC-4A/S)
8ポートRS-232非同期/同期HWIC
図3-8で示す8ポートRS-232非同期/同期HWIC(HWIC-8A-RS232)では、DCE形式およびDTE形式の両方で使用できる、8個の非同期/同期RS-232インターフェイスが提供されます。非同期モードでは230.4 kbpsまでのデータ レートがサポートされ、同期モードでは256 kbpsまでがサポートされます。
図3-8 8ポートRS-232非同期/同期HWICの前面パネル(HWIC-8A/S-RS232)
8ポート非同期HWIC
図3-9で示す8ポート非同期HWIC(HWIC-8A)では、DTE形式の8個の非同期RS-232インターフェイスが提供されます。サポートされる最大データ レートは230.4 kbpsです。
図3-9 8ポート非同期HWICの前面パネル(HWIC-8A)
16ポート非同期HWIC
図3-10で示す16ポート非同期HWIC(HWIC-16A)では、DTE形式の16個の非同期RS-232インターフェイスが提供されます。サポートされる最大データ レートは230.4 kbpsです。
図3-10 16ポート非同期HWICの前面パネル(HWIC-16A)
LEDステータス
HWICの前面パネルではポート密度が高いため、ポートごとのステータスを表すLEDの数には制限があります。送信または受信アクティビティ、またはクロック ステータスを示すために、LEDを個別に装備するスペースはありません。
HWIC-4TおよびHWIC-4A/Sには2色LEDが1つあり、4つのポートのステータスが表示されます。HWIC-8AにはLEDが1つあり、8つのポートのステータスが表示されます。HWIC-8A/S-RS232には2つのLEDがあり、それぞれが4つのポート ステータスを表示します。HWIC-16Aには2つのLEDがあり、それぞれが8つのポート ステータスを表示します。
HWICのLEDステータスの定義については、 表3-1 を参照してください。
表3-1 HWICのLEDステータス
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グリーンの点灯 |
モニタ対象ポートがアクティブです(正常に初期化されました)。 |
イエローの点灯 |
最低1つのモニタ対象ポートがループバック モードになっています。 |
消灯 |
モニタ対象ポートがアクティブでないか、初期化に失敗しました。 |
シリアルHWICのケーブル タイプ
4ポートのシリアルHWICには26ピンの12-in-1 Ciscoスマート シリアル ポートがあり、8ポートおよび16ポートのシリアルHWICには68ピンのシリアル ポートがあります。お手持ちのシリアルHWICに適したケーブルを使用してください。
4ポート シリアルHWICのケーブル
4ポートのシリアルHWICにはCiscoスマート シリアル ケーブルを使用します。次の6種類のスマート シリアル ケーブルを使用できます。
• EIA/TIA-232シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA/TIA-449シリアル ケーブル アセンブリ
• V.35シリアル ケーブル アセンブリ
• X.21シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA-530シリアル ケーブル アセンブリ
• EIA-530Aシリアル ケーブル アセンブリ
上記のシリアル ケーブルではすべて、インターフェイス カード側に26ピンのプラグを装備しています。各ケーブルのネットワーク側は、そのインターフェイスで最も一般的な物理コネクタを装備しています。たとえば、EIA/TIA-232シリアル ケーブルのネットワーク側は、EIA/TIA-232コネクタでは最も普及しているDB-25コネクタです。
ケーブルのネットワーク側コネクタおよびピン割り当てについては、『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』を参照してください。
EIA-530およびEIA-530Aのシリアル ケーブルは、DTE形式でのみ使用できます。その他すべてのケーブルは、DTE形式またはDCE形式のいずれかで使用できます。
8ポートおよび16ポート シリアルHWICのケーブル
シスコ システムズでは、8ポートおよび16ポート シリアルHWIC用に次のケーブルを用意しています。
8ポートRS-232非同期/同期HWIC用ケーブル
8ポートRS-232非同期/同期HWICには、インターフェイス カード側の68ピン コネクタおよびシステム側の4つのDB-25コネクタから構成される、クワッド ケーブルを使用します(図3-11を参照)。このケーブルはDCE形式またはDTE形式のいずれかで使用できます。
図3-11 クワッド シリアル ケーブル
8ポートおよび16ポート非同期HWIC用ケーブル
8ポートおよび16ポート非同期HWICには、インターフェイス カード側の68ピン コネクタおよびシステム側の8つのRJ-45コネクタから構成される、オクタル ケーブルを使用します(図3-12を参照)。このケーブルはDTE形式でのみ使用できます。
図3-12 オクタル シリアル ケーブル
シリアルHWICのネットワーク接続
シリアルHWICを取り付けたあとで、適切なシリアル ケーブルを使用して、HWICポートを次のタイプの機器に接続します
• 非同期モデム(アナログ電話回線に接続する場合)
• 同期モデム、DSU/CSU(データ サービス ユニット/チャネル サービス ユニット)、またはその他のDCE(デジタルWAN回線に接続する場合)
シリアルHWICをネットワークに接続する手順は次のとおりです。
ステップ 1 ルータの電源がオフになっていることを確認します。
ステップ 2 カードの前面プレートのコネクタに、適正なシリアル ケーブルの一方の端を接続します。
ステップ 3 適切なタイプの機器にケーブルのもう一方の端(または複数の終端)を接続します。
ステップ 4 ルータの電源をオンにします。
ステップ 5 CONN LEDが点灯し、カードのシリアル ポートでWANのシリアル接続が検出されたことを確認します。