Knocking on the Dream
日本発、究極のドリームカーが世界に羽ばたく日

INDEX

  1. クリーンカー開発で世界をリードする日本
  2. 低温対策とコスト低減に加えて水素インフラの整備がFCV普及のカギ
  3. 日本のドリームカーが世界に羽ばたく日

日本のドリームカーが世界に羽ばたく日

写真
JHFC パーク

FCV が一般に普及するにはコスト低減も大きな課題だ。そのためには、FCV を大量に普及する必要があり、認知度向上も欠かせない。現在は低公害車であれば買いたいというユーザが増えているので、FCV の良さをアピールすることが普及の大きな条件となる。そこでJHFCでは、一般の人が見学そして実際に FCV に同乗できる JHFC パークを一般に公開している。

最後にドリームカーのもう一つの条件である ITS (コラム 2 参照) に関しても日本は世界のトップランナーだ。日本自動車研究所では、FCV の実証実験のほか、運転中の安全性向上やより円滑な交通環境の実現を目指した ITS の研究も行っている。また日本の自動車メーカも、ITS の一環として車線を認識する LKAS (車線維持支援機能) や、速度や車間距離を認識する装置、衝突を事前に検知してブレーキをかける「プリクラッシュセーフティ」、闇夜でも歩行者を検知する「インテリジェント・ナイトビジョン」搭載車を発売するなど、安全面でも世界をリードしている。

さらに ITS では、次世代インターネット技術 (Mobile IPv6) によって車とネットワーク社会を密接に結ぶ情報基盤のシステム開発などを行っている。その一つがプローブ情報システムで、車を動くセンサーとして活用し、収集したデータを蓄積・加工することにより新たな情報を生み出し、車両運行管理や公共サービス等に役立てようとするシステムだ。

また、安全運転支援システムでも、路車間通信 (道路に設置されたセンサーと車載システム間の通信) を利用して道路上のセンサーから得られた危険情報を車に提供する、あるいは車間通信を利用して警告を行うことなど、車の外部からの情報を利用することなども研究されている。いずれにせよ、IT ネットワークが大きな役割を果たすことは間違いない。近い将来、日本がリードする FCV と ITS によって実現する究極のドリームカーが、世界に羽ばたくことが期待される。


ジャーナリスト・光月 晃

取材先:
財団法人日本自動車研究所 (http://www.jari.or.jp/)

* 本記事に使用している写真はすべて「JHFC」サイト (http://www.jhfc.jp/) から転載したものです。