プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
車載用高容量/高出力角形電池の開発・製造・販売。車載用次世代電池(新原理によるものを含む)の開発・製造・販売。その他付帯・関連事業
プライムプラネットエナジー&ソリューションズは、電動車の普及を背景に車載用電池の生産を拡大し続けています。さらなる生産拡大に備え、姫路工場を高容量電池の“マザープラント”と位置付け、設計思想と技術仕様を標準化しました。これからのAI・データ活用を支える基盤としても位置付けられています。
車載用高容量/高出力角形電池の開発・製造・販売。車載用次世代電池(新原理によるものを含む)の開発・製造・販売。その他付帯・関連事業
電動車シフトの加速により、車載用電池の需要が急増。速やかな生産拡大が急務
データ量の増加、高速生産、24 時間365 日稼働に対応できる工場ネットワークが必要
姫路工場を高容量電池の“マザープラント”と位置付け、Cisco Validated Design(CVD)ベースに「製造業向けアーキテクチャであるCpWE(Converged Plantwide Ethernet)も参照しながら設計思想や技術仕様を標準化
各自動車メーカーが電動車へのシフトを急速に進めており、その影響で車載用電池の需要が急増しています。その需要に対応するため、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ (PPES)は新規生産ラインの立ち上げを加速させています。
「PPESは、2020年の設立以降、過去のやり方にとらわれず、仕事のやり方を見直すことで、より競争力のある会社に変わっていこうとしています。新規生産ラインの立ち上げ計画においては、姫路工場を高容量電池の“マザープラント” と位置付け、2022 年から時間をかけてその設計思想や技術仕様を標準化し、今後、事業拡大時に展開する生産ラインの基準とする方針を定めました」と同社の寺島 純平氏は言います。
標準化の対象には、生産ラインを支えるネットワークも含まれます。同社は慎重に議論を重ね、これからの工場ネットワークにおいて重視すべき要件を3つに整理しました。
1つ目は、データ量増加への対応です。電池製造は自動化率が高く、製造トレーサビリティ確保のために大量のデータを扱います。
2つ目は、高速生産と検査頻度の高さへの対応です。「電池は自動車の他部品と比較して生産速度が速く、検査工程も多いという特徴があります。そのため、画像データやセンサーデータを含むトラフィックが非常に多くなります。ネットワークは、その大量トラフィックを遅延なく安定的に処理できなければなりません」と同社の福山 普士氏は言います。
3つ目は、24時間365日稼働への対応です。生産量を確保するためには、生産ラインが止まらないことが大前提。ネットワークには、高い可用性と耐障害性、そしてセキュリティが不可欠となります。
こうした要件を踏まえ、PPES は、これからの生産ラインを支えるネットワークの設計を行いました。構想の段階から、それを支援したのがシスコとスマートファクトリー領域に強みを持つ岡谷鋼機です。
検討段階では複数の提案を比較しましたが、製品力、技術力、対応力などを総合的に評価して両社を選定しました。特に設計から運用までを一貫して支援する体制決め手となりました。「シスコと岡谷鋼機グループが連携し、設計から導入、稼働開始後の運用までを見据えた支援体制を提案しました」と岡谷鋼機の笠原 康平氏は言います。
両社が提案した体制についてPPES の塚本 正志氏は、次のように語ります。「提案の初期には、工場内の複雑なマルチパス環境における無線設計や、セキュリティ設計について、私たちの話を丁寧に聞きながら改善策を共に考え、提案してくれる場面がありました。単に製品を提供するだけでなく、企画・設計段階から積極的に参画し、標準仕様の策定に共に取り組む姿勢はとても心強く感じました」。
シスコと岡谷鋼機は、シスコが事前検証と最適化を行ったネットワーク設計のリファレンスモデル「Cisco ValidatedDesign(CVD)」をベースにPPES のマザープラントにふさわしい次世代ネットワークを構築しました。
ネットワークスイッチには、耐環境性能やDIN レールマウント対応など、産業用途に適したCisco Catalyst IE スイッチを採用し、物理構成は、リングトポロジーをベースとした冗長構成としました。可用性を高め、単一障害点を排除する設計です。「いずれかの経路に障害が発生しても、即座に代替経路で通信を継続できます」と岡谷システムの藤井 弘作氏は話します。
セキュリティ設計では、Cisco ISE(Cisco Identity Services Engine)により、接続デバイスの可視化とアクセス制御を強化。さらにネットワークを役割やリスクレベルに応じてゾーン化してアクセスレベルを定義しました。
ほかにも実装面で複数の工夫を行っています。通信要件の厳しいCC-LINK などのプロトコルは個別環境として整理し、画像データのようにトラフィック量の大きい通信はレイヤ2スイッチで集約して幹線と分離。幹線を経由する通信には優先度制御を実装し、重要通信を保護しています。「工場ネットワークの構築は、多くの設備メーカーやベンダーが関与するプロジェクトですが、シスコと岡谷鋼機は他ベンダーとの調整や連携を積極的に行い、プロジェクトをスムーズに進めてくれました」と同社の赤井 良寛氏は言います。
今後は、この標準化した設計思想や技術仕様を活かし、事業拡大に合わせて生産拠点の立ち上げを行っていきます。「工場ネットワークの標準仕様を確立したことで、拠点展開時の立ち上げを迅速化し、需要拡大にも機動的に対応できる体制を整備できました。また、今回整備したネットワークはデータ収集の基盤でもあります。クラウドとのシームレスな接続を実現し、AI 活用に積極的に取り組むことで、工場内スタッフの非正味作業を削減し、より付加価値の高い業務に集中できる環境を整えていきたいと考えています」と同社の楠田 征哉氏は語ります。
PPES が姫路工場で確立した次世代ネットワークは、車載用電池の生産体制だけでなく、AI・データ活用の基盤としても同社のビジネスを支えていきます。事業拡大とともに国内外の拠点に展開しながら、同社は生産基盤の高度化に取り組んでいく構えです。
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