大阪・関西万博
2025年4月13日から10月13日まで大阪・夢洲で開催された国際博覧会。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。世界約150の国・地域が参加した。
誰もが安全かつ快適に通信できることが求められた大阪・関西万博。シスコと共にOpenRoamingによるシームレスなWi-Fi 接続と、AI を駆使した高度な運用管理に挑みました。大きなトラブルなく稼働し続け、毎日1 万人以上のアクセスに対応したWi-Fi に関する高度な知見は、これからのまちづくりに受け継がれていきます。
2025年4月13日から10月13日まで大阪・夢洲で開催された国際博覧会。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。世界約150の国・地域が参加した。
人々が未来社会のビジョンを共有し、交流する場として、大きな成果を残した大阪・関西万博ですが、その舞台裏では、ネットワークが来場者体験を支え続けました。
「『People's Living Lab(未来社会の実験場)』というコンセプトの通り、大阪・関西万博は、チケットレスの入退場管理やインターネットを通じたパビリオン予約、店舗でのキャッシュレス決済など、運営のあらゆる場面でデジタル技術を積極的に活用しました。これらの仕組みのほとんどは、通信が前提となっており、通信が途切れれば、来場者の体験価値は大きく損なわれてしまいます。もちろん、通信を悪用したサイバー攻撃によって来場者が被害に遭うようなこともあってはなりません。安定かつ安全なネットワークがなければ来場者体験は成り立たないと言えるほど、ネットワークは万博成功のカギを握る重要なインフラの1つでした」と公益財団法人 2025 年日本国際博覧会協会の垣本 庸平氏は言います。
そこで、大阪・関西万博は、ネットワークにおいても大きな挑戦を行いました。独自のWi-Fi を整備して、あらゆる来場者が確実かつ安心して通信を行えるネットワークの実現を目指したのです。その挑戦に共に取り組んだのがシスコです。国や地域が抱える社会課題をテクノロジーで解決することを目的とする「カントリーデジタルアクセラレーション(CDA)」というプログラムのもと、大阪・関西万博も支援したのです。
1 つめの挑戦は、OpenRoaming の採用です。
複数のWi-Fi サービスを利用する場合、異なるWi-Fi ネットワークにアクセスする度に、ID やパスワードを求められ、ストレスがかかる。フリーWi-Fi などの中には、通信の暗号化がされていないものもあり、通信内容を傍受されるリスクがある。このようなWi-Fi の課題を解決するのがOpenRoaming です。ユーザーは一度プロファイルを登録すれば、それ以降、OpenRoaming に対応しているWi-Fi ネットワークなら、自動的に行き来できるようになる上、自動的に暗号化が行われ、安全性も担保できます。
「大阪府内で利用できるフリーWi-Fi『Osaka Free Wi-Fi』と連携し、万博会場だけでなく、夢洲に向かう道中まで、一貫してシームレスにWi-Fi が利用できる環境を目指しました」と垣本氏は言います。
安定した通信を継続し続けるために運用管理の高度化にも挑戦しました。そのためにシスコが提案したのがネットワーク管理装置「Cisco Catalyst Center」です。Cisco Catalyst Centerは、ネットワーク全体の稼働状況をリアルタイムに可視化し、AI による分析で異常の兆候を早期に検知。目に見えないWi-Fi の電波も可視化でき、トラブルを未然に防ぐことができます。
大阪・関西万博の独自Wi-Fi は、毎日、1 万人近くの来場者が利用しましたが、利用者からは「設定の手間がなく快適だった」「通信が安定していた」といった声が寄せられました。
Cisco Catalyst Center もWi-Fi の安定運用を支え、大阪・関西万博の大成功に貢献しました。「これだけ多くの人に安定した通信環境を提供し続けられたことに、私たちも達成感を感じました。支え続けてくれたシスコにも感謝しています」と垣本氏は言います。
今回の挑戦は、観光地や自治体、公共施設など、多くの人が利用する場所で、どのように快適かつ安全な通信を実現するかというテーマに対して、新たな示唆を与えました。「万博を通じて実証したのは、テクノロジーが人々の体験を豊かにできるということ。通信は目に見えないインフラですが、確実に“体験の質” を左右します。今回の成果をぜひ社会に還元していきたいですね」と垣本氏は語りました。