学認参加のためのオンプレミス機器の運用が負担
大学には、論文を検索する学術データベースや電子ジャーナル、教務システムなど、学生や教職員が日常的に利用する様々なサービスがあります。こうしたサービスを所属する大学のIDで安全に利用できるようにする仕組みが、国立情報学研究所(NII)が運営する学術認証フェデレーション「学認(GakuNin)」です。
学認に参加する大学は、利用者を認証し、その結果を各サービスに伝えるIdP(Identity Provider)を自ら構築し、運用しなければなりません。同志社女子大学は、このIdPをSAMLに対応したオンプレミスの機器で構築していました。しかし、その運用が次第に負担となっていました。
オンプレミスの機器であるため、バージョンアップや脆弱性への対応、SSL証明書の更新といった作業が定期的に発生します。さらに新しい学認SPの利用を開始する際には、フェデレーションメタデータの更新を含む設定作業も必要です。メタデータには、大学やSPの識別子、認証リクエストの送信先となるURLなども含まれており、その扱いには専門的な知識が求められます。
「作業が複雑なため、これまでは外部に委託しており、その都度コストが発生する上、どうしても時間がかかっていました。また、年度の途中で急遽、新しい学認SPの利用を開始することも少なくありませんが、その際は、計画外の予算を確保するのに苦労することがありました。システムやコストの都合で、研究や教育の妨げになるのは本末転倒です。現場の『使いたい』という前向きな姿勢にすぐに応えられないことを歯がゆく感じていました」と同大学の長南 敏彦氏は言います。
また、同大学は、Microsoft 365をはじめとするさまざまなサービスをセキュアに利用するためにCisco Duoを導入し、多要素認証を実装しています。Cisco Duoは、ポータル機能である「Duo Central」に複数のサービスを集約することができ、同大学の学生や教職員は1つの画面から、それらをシングルサインオン(SSO)で利用できるようになっています。
一方、学認SPはCisco Duoとは認証の経路が異なるため、このSSO環境に統合できず、学生や教職員の利便性を低下させる要因となっていました。「Cisco DuoのSSO環境の中で学認SPにもスムーズにアクセスできないか。常々、そう考えていました」と同大学の明石 健治氏は言います。