医療

Wi-Fi 7で医療DXを加速する相澤病院

可視化とAI活用で運用管理の属人性も解消

医療機器の位置・稼働管理など医療DXに挑戦


長野県松本市の相澤病院は、医療DXの推進に伴う端末数の増加と機器の経年劣化で無線LANの不具合が増加していました。そこでCisco Catalyst 9100アクセスポイントを導入し、Wi-Fi 7を採用した新無線LANを構築。安定した通信を実現し、職員向けマニュアルの動画化など、新たなDXの取り組みも動き出しています。また、Cisco Catalyst CenterとCisco AI Assistantの活用により、運用管理の属人性解消にもつなげています。

社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院

社会医療法人財団 慈泉会が運営する急性期中核病院。起源は1908年の相澤医院創設に遡る。ERを入り口とする「相澤型救急医療」を掲げ、救命救急センターやがん診療連携拠点病院としての機能を担っている。

課題

職員向けiPhoneの導入など、端末の増加と機器の経年劣化に伴い無線LANのトラブルが顕在化

  • ネットワーク運用は高いスキルが求められる。外部委託が増えるとコストに跳ね返るため、人材確保とコストの課題を解消したい

ソリューション

長期間利用しても陳腐化しない最新規格としてWi-Fi 7対応のCisco Catalyst 9100アクセスポイントを採用

  • Cisco Catalyst Centerで無線の電波も可視化し、運用管理を効率化
  • Wi-Fi 7 APに付帯するCisco Spacesにより、位置情報を活用するDXの基盤も確保

効果

無線LANの安定

多数の端末が接続しても安定して通信できるようになった

トラブル対応

Cisco Catalyst Centerで無線LANのトラブルも即座に対応。運用管理の属人性を解消

AI活用

Cisco AI Assistantがネットワークの状況を把握した上で、トラブル対応を支援

医療DX

マニュアルの動画化などに続き、Cisco Spacesを利用した位置情報の活用や医療機器の管理など、医療DXを加速していく

端末数の増加などで無線LANトラブルが増加

相澤病院はDX に積極的に取り組んでいます。DXを支える重要なインフラの1つが無線LAN です。相澤病院の既存の無線LANは、数年前までは大きな問題なく稼働していましたが、構築時に想定していなかった端末数の増加や、機器の経年劣化もあり、トラブルが発生する場面が目立つようになってきました。

「ノートパソコンが2~300 台だった頃は大きな問題はありませんでした。しかし、DXの一環として職員向けにiPhoneを約800台導入し、接続台数1000台を超えるなど、利用状況が大きく変化したため、トラブルの頻度が増えてきました」と同院の小日向 隆行氏は言います。

背景には、基本性能の限界だけでなく、従来の無線LANがシングルチャネル方式だったこともありました。シングルチャネルは、複数の端末が同じチャネルを利用するため、1 台のアクセスポイント(AP)に多数の端末がアクセスすると、通信が混み合い、レスポンスが低下する傾向があります。

「1台のアクセスポイントに50台の端末がつながった途端、通信が停止。暫定的にキャリア通信に切り替えたこともありました。日中は病棟に散らばっている看護師が朝夕にはナースステーションに一斉に戻ってくる。大人数の講習会や会議を頻繁に開催するなど、業務上、アクセスが集中する状況は避けられません。無線LAN刷新の必要性が高まっていました」と小日向氏は言います。

DXへの貢献も期待してシスコを選定

新無線LANの構築に着手した同院が、まず決めたのが最新規格のWi-Fi 7の採用です。「次の更新まで最低でも7年間は利用することになります。陳腐化をできるだけ防ぐために、現在、導入可能な最新の規格を選んでおくべきと判断しました」(小日向氏)。Wi-Fi 7で強化された通信制御技術にも期待しました。

こうしたWi-Fi 7の特性を踏まえて、4 社の提案を比較し、最終的に採用したのがシスコです。ネットワークベンダーとしてのシスコの実績と信頼、Wi-Fi 7対応APのラインナップの多さ、天井ブラケットが世代を超えて統一されている点などを評価。加えて、運用管理性の高さも決め手の1 つとなりました。

もともと同院は、有線ネットワークの運用管理にCisco Catalyst Centerを活用しています。「目指したのはCLIからの脱却です。一般的な情報システム部員がCLIでネットワークを運用するのはハードルが高く、高度なスキルを備えたネットワーク人材を確保するのも容易ではありません。だからといって作業の外部委託が増えるとコストに跳ね返る。GUIで管理できるようにして、人材確保とコストの課題を解消しようと考えたのです」と小日向氏は言います。

無線LANを刷新し、有線も無線もCisco Catalyst Centerで効率的に管理できるようにすれば、この統合管理の構想をさらに前へ進め、ネットワークインフラ全体をプラットフォーム化することができるからです。「有線と違い無線は目に見えませんから運用管理の難易度はさらに高くなります。シスコのCisco Catalyst 9100アクセスポイントなら、Cisco Catalyst Centerを有効活用して、無線LANの効率的な運用管理が可能になります。具体的には、Cisco Catalyst 9100アクセスポイントとCisco Catalyst Centerは、ベンダーを問わず様々な端末から情報を収集し、可視化することが可能です。とりわけAppleとはアライアンスを組んでいることもあり、Apple製品からはより豊富な情報が取得できます。これにより専門的なスキルや勘、経験だけに頼らずとも、無線LANの状況を一目で把握し、トラブルにも迅速に対応できると期待しました」(小日向氏)。

このAPには、端末の位置情報を視覚的に把握できるCisco Spacesのライセンスが付帯します。この点も将来のDXに役立つと判断しました。

安定した通信が医療DX の加速につながる

新無線LANは、約230台のアクセスポイントで相澤病院の各施設をカバーしています。

検証では、ローミングやエリアごとの電波強度、自動調整時の挙動などを詳しく確認しましたが、基本的にはコントローラーの自動設定で無線LANを問題なく運用しています。「チャネル設計も電波強度の調整も任せられるところは任せるという考えです。5分間隔で周囲のノイズやクライアントの状況を見ながら、最適なチャネルや出力を自動で割り当ててくれます。また、Cisco Catalyst CenterとAI-Enhanced RRM機能を利用することで、従来の方式に加えてAIを利用した電波調整をすることもできます」と小日向氏は言います。

一部、さらに精緻なチューニングを行いたい場面では、Cisco Catalyst Centerを通じて電波の届き具合やAP同士の干渉状況を把握しながら、最適な設定を探りました。「どれだけ端末がアクセスしても、つながらないという声が出なくなりました」と小日向氏は、無線LAN刷新の成果を強調します。

この無線LANの安定性はDXの加速につながっており、例えば職員向けマニュアルの動画化などが進んでいます。無線LANの運用管理も大きく変わりました。つながらない、遅いという連絡を受けたら、とりあえずCisco Catalyst Centerを見る。そうすれば、どのエリアの電波が弱いのか、どのAPにトラブルが起こっているのか、あるいは端末側でトラブルが起こっているのかなどをすぐに把握できるようになっています。

この運用管理をさらに効率化できると期待しているのがCisco Catalyst Centerに組み込まれた対話型ツールCisco AI Assistantです。「ネットワークについて質問すると、一般的な回答ではなく、相澤病院のネットワークのログを見て、固有の回答を返してくれます。例えば、あるAPでオンボーディングの数値が悪い理由を聞くと、『認証 は通っているがDHCPでアドレスが割り当てられず止まっている』など、実際に起こっていることを教えてくれます。Cisco AI Assistantを使いこなせば、Cisco Catalyst Center 導入時に目指した属人性の解消をさらに加速できると感じています」と小日向氏は期待を述べます。

Cisco Spacesの本格活用も視野に入っています。具体的なテーマの一つが、シリンジポンプや輸液ポンプといった医療機器の位置・稼働管理です。「機器がどこにあるかを台帳で人手管理するのは負荷が大きい。動態から所在や使用状況を把握できれば、行方不明の防止や、機器が足りているかの分析にも使えます」(小日向氏)。

シスコのアクセスポイントでWi-Fi 7という無線LANの最新規格を導入し、Cisco Catalyst Center とCisco AI Assistant で運用管理を最適化。Cisco Spaces で新しいDX施策に挑戦する。同院は、シスコのソリューションを活かして、医療DXを着実に前へ進めていきます。

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