起動時の問題の解決
Cisco Unified IP Phone をネットワークにインストールし、Cisco Unified CallManager に追加すると、電話機は「電話機の起動プロセスの確認」で説明したとおりに起動します。電話機が正常に起動しない場合は、次の項のトラブルシューティング情報を参照してください。
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「症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない」
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「症状: Cisco Unified IP Phone を Cisco Unified CallManager に登録できない」
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「症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない」
症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない
Cisco Unified IP Phone をネットワーク ポートに接続している場合、電話機は「電話機の起動プロセスの確認」で説明した通常の起動プロセスを実行し、LCD スクリーンに情報を表示します。電話機が起動プロセスを実行しない場合、その原因としてはケーブルの欠陥、接続不良、ネットワークの停止、電力の不足などが考えられます。または、電話機が機能していない可能性もあります。
電話機が機能しているかどうかを判断するには、次の手順に従い、考えられるその他の問題を体系的に除外していきます。
1.
ネットワーク ポートが機能していることを確認します。
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イーサネット ケーブルを動作確認済みのイーサネット ケーブルと交換する。
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他のポートで機能している Cisco Unified IP Phone を取り外し、このネットワーク ポートに接続して、ポートがアクティブであることを確認する。
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正常であることが分かっている別のネットワーク ポートに起動しないCisco Unified IP Phone を接続する。
–
起動しない Cisco Unified IP Phone を、オフィスのパッチ パネル接続を経由せず、スイッチ上のポートに直接接続する。
2.
電話機に電力が供給されていることを確認します。
–
外部電源を使用している場合は、コンセントが機能していることを確認する。
–
インラインパワーを使用している場合は、代わりに外部電源を使用する。
–
外部電源を使用している場合は、正常に動作しているユニットに切り替える。
–
Cisco Unified IP Phone 7971G-GE を使用している場合は、IEEE 802.3af Class 3(スイッチ ポートで 15.4 W のインラインパワー)をサポートしているスイッチに電話機が接続されていることを確認する。詳細については、「電話機への電源供給」を参照してください。
3.
電話機がまだ正常に起動しない場合は、ハンドセットをオフフックして電話機に電源を入れます。この方法で電源を投入すると、電話機はバックアップ ソフトウェア イメージの起動を試みます。
4.
電話機がまだ正常に起動しない場合は、電話機を工場出荷時の状態にリセットします。手順については、「工場出荷時の状態へのリセットの実行」を参照してください。
上記の解決策を試みた後、5 分以上経過しても Cisco Unified IP Phone の LCD スクリーンに文字が何も表示されない場合は、シスコのテクニカルサポート担当者に連絡して、サポートを依頼してください。
エラー メッセージの特定
電話機が起動プロセスを繰り返している場合は、問題の原因に関する情報を提供するステータス メッセージにアクセスできます。ステータス メッセージにアクセスする手順と、発生する可能性があるエラー、その説明、およびその解決策のリストについては、「ステータス メッセージ画面」を参照してください。
ネットワーク接続の確認
電話機と TFTP サーバまたは Cisco Unified CallManager との間でネットワークがダウンしている場合、電話機は正常に起動できません。ネットワークが現在稼働中であることを確認します。
TFTP サーバ設定の確認
電話機の 設定 ボタンを押して、 [ネットワークの設定] を選択し、 [TFTPサーバ1] オプションまでスクロールすることで、電話機が使用している TFTP サーバの IP アドレスを判別できます。
固定 IP アドレスを電話機に割り当てている場合は、[TFTPサーバ1]オプションの設定値を手動で入力する必要があります。「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、電話機は DHCP サーバから TFTP サーバのアドレスを取得します。オプション 150 で設定した IP アドレスを確認します。手順については、『 Configuring Windows 2000 DHCP Server for Cisco Unified CallManager 』を参照してください。これは、次の URL から入手可能です。
http://www.cisco.com/warp/customer/788/AVVID/win2000_dhcp.html
電話機による代替 TFTP サーバの使用を有効にすることもできます。この設定を有効にしておくと、特に、電話機が場所を移動して間もない場合などに役立ちます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
IP アドレッシングおよびルーティングの確認
電話機の IP アドレッシングおよびルーティングの設定を確認する必要があります。DHCP を使用している場合は、DHCP サーバがこれらの値を提供します。固定 IP アドレスを電話機に割り当てている場合は、これらの値を手動で入力する必要があります。
Cisco Unified IP Phone で、 設定 ボタンを押して [ネットワークの設定] を選択し、次のオプションを確認します。
•
DHCPサーバ:電話機に固定 IP アドレスを割り当てている場合は、[DHCPサーバ]オプションに値を入力する必要はありません。ただし、DHCP サーバを使用している場合、このオプションには必ず値が設定されていることが必要です。値が設定されていない場合は、IP ルーティングおよび VLAN の設定を確認してください。手順については、『 Troubleshooting Switch Port Problems 』を参照してください。これは、次の URL から入手可能です。
http://www.cisco.com/warp/customer/473/53.shtml
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IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトルータ:電話機に固定 IP アドレスを割り当てている場合は、これらのオプションの設定値を手動で入力する必要があります。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、DHCP サーバが配布した IP アドレスを確認してください。手順については、『 Understanding and Troubleshooting DHCP in Catalyst Switch or Enterprise Networks 』を参照してください。これは、次の URL から入手可能です。 http://www.cisco.com/warp/customer/473/100.html#41
DNS 設定の確認
DNS を使用して、TFTP サーバまたは Cisco Unified CallManager を参照する場合は、DNS サーバが指定されていることを確認する必要があります。電話機の 設定 ボタンを押して [ネットワークの設定] を選択し、 [DNSサーバ1] オプションまでスクロールすることで、この設定を確認できます。TFTP サーバおよび Cisco Unified CallManager システムに対応する DNS サーバの CNAME エントリが存在することも確認する必要があります。
また、DNS が逆ルックアップを実行するように設定されていることも確認する必要があります。Windows 2000 は、デフォルトでは、順方向のルックアップだけを実行するように設定されています。
Cisco Unified CallManager の設定の確認
Cisco Unified IP Phone で、 設定 ボタンを押して [ネットワークの設定] を選択し、 CallManager1 ~ 5 の各オプションを確認します。Cisco Unified IP Phone は、割り当てられた Cisco Unified CallManager グループに属するすべての Cisco Unified CallManager サーバへの TCP 接続を開こうとします。これらのオプションのいずれにも IP アドレスが含まれていないか、または[アクティブ]もしくは[スタンバイ]の状態も示されていない場合、電話機は Cisco Unified CallManager に正常に登録されていません。この問題を解決するヒントについては、「Cisco Unified CallManager への電話機の登録」を参照してください。
Cisco Unified CallManager および TFTP サービスが動作していない
Cisco Unified CallManager または TFTP サービスが動作していない場合は、電話機が正常に起動できない場合があります。ただし、このような状況では、システム全体に影響する障害が生じていたり、その他の電話機やデバイスも正常に起動できなかったりする可能性があります。
Cisco Unified CallManager サービスが動作していない場合は、このサービスを利用してコールを発信しているネットワーク上のすべてのデバイスが影響を受けます。TFTP サービスが動作していないと、多数のデバイスが正常に起動できません。
サービスを開始するには、次の手順に従います。
手順
ステップ 1
Cisco Unified CallManager Administration で、 Application > Cisco Unified CallManager Serviceability を選択します。
ステップ 2
Tools > Control Center を選択します。
ステップ 3
Servers カラムで、プライマリ Cisco Unified CallManager サーバを選択します。
このページには、選択したサーバのサービス名、サービスのステータス、およびサービスを停止または開始するサービス コントロール パネルが表示されます。
ステップ 4
サービスが停止している場合は、 Start ボタンをクリックします。
Service Status 記号が四角形から矢印に変わります。
新しい設定ファイルの作成
この章の他の方法でも解決できない問題が特定の電話機で存続する場合は、設定ファイルが破損している可能性があります。
新しい設定ファイルを作成するには、次の手順に従います。
手順
ステップ 1
Cisco Unified CallManager で、 Device > Phone > Find を選択して、問題の発生している電話を特定します。
ステップ 2
Delete を選択して、Cisco Unified CallManager データベースからその電話機を削除します。
ステップ 3
Cisco Unified CallManager データベースに電話機を再度追加します。詳細については、「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」を参照してください。
ステップ 4
電話機の電源投入サイクルを実行します。
(注) • Cisco Unified CallManager データベースから電話機を削除すると、その設定ファイルも Cisco Unified CallManager TFTP サーバから削除されます。電話機の電話番号は、Cisco Unified CallManager データベースに残ります。これらは「未割り当ての DN」と呼ばれ、その他のデバイスで使用できます。他のデバイスで未割り当ての DN を使用しない場合は、Cisco Unified CallManager データベースからそれらを削除します。ルート プラン レポートを使用すると、未割り当ての参照番号を表示して削除することができます。詳細については、『Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド』を参照してください。
•
電話ボタン テンプレートのボタンを変更するか、または電話機に別の電話ボタン テンプレートを割り当てると、その電話機から電話番号にアクセスできなくなることがあります。Cisco Unified CallManager データベース内では、引き続き電話番号は電話機に割り当てられたままですが、コールに応答可能なボタンが電話機上に存在しなくなるからです。これらの電話番号は電話機から消去し、必要に応じて削除します。
Cisco Unified CallManager への電話機の登録
Cisco Unified IP Phone は、電話機がすでに Cisco Unified CallManager サーバに追加されているか、自動登録が有効な場合にだけ、サーバに登録できます。「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」の情報と手順を参照して、電話機が Cisco Unified CallManager データベースに追加されていることを確認します。
電話機が Cisco Unified CallManager データベースに登録されていることを確認するには、Cisco Unified CallManager Administration で Device > Phone > Find を選択し、MAC アドレスに基づいて電話機を検索します。MAC アドレスの特定については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
電話機が Cisco Unified CallManager データベースにすでに存在している場合は、その設定ファイルが破損している可能性があります。手順の詳細については、「新しい設定ファイルの作成」を参照してください。
症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない
電話機が起動時に IP アドレスを取得できない場合は、電話機が DHCP サーバと同じネットワークまたは VLAN 上に存在していないか、電話機が接続されているスイッチ ポートが無効になっている可能性があります。
電話機が接続されているネットワークまたは VLAN が DHCP サーバにアクセス可能であり、スイッチ ポートが有効であることを確認します。
Cisco Unified IP Phone の突然のリセット
電話機がコール中または机上でアイドル状態のときにリセットされるという報告をユーザから受けた場合は、その原因を調査する必要があります。ネットワーク接続と Cisco Unified CallManager 接続が安定している場合は、Cisco Unified IP Phone が自身をリセットすることはありません。
一般に、電話機がリセットされるのは、イーサネット ネットワークへの接続、または Cisco Unified CallManager への接続で問題が発生した場合です。次の項は、ネットワークで電話機がリセットされる原因を特定する上で役立ちます。
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「物理的な接続の確認」
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「断続的なネットワークの停止の特定」
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「DHCP の設定の確認」
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「固定 IP アドレスの設定の確認」
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「ボイス VLAN の設定の確認」
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「電話機が意図的にリセットされていないことの確認」
•
「DNS エラーまたはその他の接続エラーの除去」
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「電源の接続の確認」
物理的な接続の確認
Cisco Unified IP Phone が接続されているイーサネット接続が稼働していることを確認します。たとえば、電話機が接続されている特定のポートまたはスイッチがダウンしているかどうか、さらにスイッチがリブート中でないかどうかを確認します。また、ケーブルが切断されていないことも確認します。
断続的なネットワークの停止の特定
断続的なネットワークの停止は、データ トラフィックと音声トラフィックにそれぞれ異なる影響を及ぼします。ネットワークでは、検出されないまま断続的な停止が発生していることがあります。その場合、データ トラフィックでは、喪失パケットを再送し、パケットの送受信を確認できます。ただし、音声トラフィックでは、喪失パケットを再度キャプチャすることはできません。電話機は、失われたネットワーク接続で再伝送するのではなく、リセットしてネットワーク接続の再確立を試みます。
音声ネットワークで問題が発生している場合は、単に既存の問題が表面化しているだけなのかどうかを調査する必要があります。
DHCP の設定の確認
次のプロセスは、電話機が DHCP を使用するように正しく設定されているかどうかを判断する上で役立ちます。
1.
電話機が DHCP を使用するように正しく設定されていることを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
2.
DHCP サーバが正しく設定されていることを確認します。
3.
DHCP リース期間を確認します。シスコでは、8 日間に設定することを推奨しています。
Cisco Unified IP Phone は要求タイプ 151 のメッセージを送信して、DHCP アドレス リースを更新します。DHCP サーバが要求タイプ 150 のメッセージを前提としている場合は、リースは拒否され、電話機は強制的に再起動され、DHCP サーバに新しい IP アドレスを要求するよう強制されます。
固定 IP アドレスの設定の確認
電話機に固定 IP アドレスが割り当てられている場合は、正しい設定値が入力されていることを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
ボイス VLAN の設定の確認
ネットワーク使用量が多いときに(たとえば、電話機と同じスイッチに接続されたコンピュータで Web サーフィンが過度に行われている場合)、Cisco Unified IP Phone がリセットされたように見える場合は、ボイス VLAN が設定されていない可能性があります。
電話機を個別の補助 VLAN 上に分離すると、音声トラフィックの品質が向上します。詳細については、「Cisco Unified IP Phone と VLAN 間の相互対話の概要」を参照してください。
電話機が意図的にリセットされていないことの確認
Cisco Unified CallManager へのアクセス権を持つ管理者が他にもいる場合は、他の管理者が意図的に電話機をリセットしていないことを確認します。
電話機の 設定 ボタンを押して、 [ステータス]>[ネットワーク統計] を選択することで、Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager からリセット コマンドを受信したかどうかを確認できます。電話機が最近リセットされた場合は、次のメッセージのいずれかが表示されます。
•
Reset-Reset:Cisco Unified CallManager Administration から Reset/Reset を受信したため、電話機が切断されました。
•
Reset-Restart:Cisco Unified CallManager Administration から Reset/Restart を受信したため、電話機が切断されました。
DNS エラーまたはその他の接続エラーの除去
電話機が連続してリセットされる場合は、次の手順に従い、DNS エラーまたはその他の接続エラーを除去します。
ステップ 1
[削除] ソフトキーを使用して、電話機の設定をデフォルト値にリセットします。詳細については、「Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元」を参照してください。
ステップ 2
DHCP および IP の設定を変更します。
a.
DHCP を無効にします。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
b.
固定 IP 値を電話機に割り当てます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能しているその他の Cisco Unified IP Phone と同じデフォルトのルータ設定を使用します。
c.
TFTP サーバを割り当てます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能しているその他の Cisco Unified IP Phone と同じ TFTP サーバを使用します。
ステップ 3
Cisco Unified CallManager サーバのローカル ホスト ファイルで、正しい Cisco Unified CallManager サーバ名が正しい IP アドレスにマップされていることを確認します。手順については、『 Configuring The IP Hosts File on a Windows 2000 CallManager Server 』を参照してください。これは、次の URL で入手可能です。
http://www.cisco.com/warp/customer/788/AVVID/cm_hosts_file.html
ステップ 4
Cisco Unified CallManager で、 System > Server を選択し、サーバが DNS 名でなく、IP アドレスで参照されていることを確認します。
ステップ 5
Cisco Unified CallManager で Device > Phone を選択して、この Cisco Unified IP Phone に正しい MAC アドレスが割り当てられていることを確認します。MAC アドレスを特定する情報については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
ステップ 6
電話機の電源投入サイクルを実行します。
電源の接続の確認
電話機は通常、外部電源を使用して電源が投入されたが、その接続が失われ、PoE に切り替わったときに再起動します。同様に、PoE を使用して電源が投入されてから、外部電源に接続されたときにも再起動することがあります。
Cisco Unified IP Phone のセキュリティのトラブルシューティング
表9-1 は、Cisco Unified IP Phone のセキュリティ機能に関するトラブルシューティング情報を示しています。これらの問題の解決策に関連する情報およびセキュリティに関する詳細なトラブルシューティング情報については、『Cisco Unified CallManager セキュリティ ガイド』を参照してください。
表9-1 Cisco Unified IP Phone のセキュリティのトラブルシューティング
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デバイス認証エラー |
CTL ファイルに Cisco Unified CallManager 証明書がないか、または証明書が不正です。 |
電話機が CTL ファイルを認証できない |
更新された CTL ファイルに署名したセキュリティ トークンが電話機の CTL ファイルに存在していません。 |
電話機が CTL ファイル以外の設定ファイルを認証できない |
TFTP レコードが不正です。 |
電話機が TFTP 認証の失敗を報告する |
• 電話機の TFTP アドレスが CTL ファイルに存在していません。 • 新しい TFTP レコードを含む新しい CTL ファイルを作成した場合は、電話機の既存の CTL ファイルに新しい TFTP サーバのレコードが含まれていないことがあります。 |
電話機が Cisco Unified CallManager に登録されない |
CTL ファイルに Cisco Unified CallManager サーバの正しい情報が含まれていません。 |
電話機が署名付き設定ファイルを要求しない |
CTL ファイルに、証明書付きの TFTP エントリが含まれていません。 |
一般的なトラブルシューティングのヒント
表9-2 は、Cisco Unified IP Phone の一般的なトラブルシューティング情報を示しています。
表9-2 Cisco Unified IP Phone のトラブルシューティング
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IP Phone のデイジーチェーン接続 |
ディジーチェーン接続(アクセス ポートを介して IP Phone どうしを接続)はサポートされていません。各 IP Phone はスイッチ ポートに直接接続する必要があります。 |
G.729 プロトコルを使用してデジタル携帯電話で通話した場合の音声品質が悪い |
Cisco Unified CallManager では、G.729 プロトコルを使用するようにネットワークを設定できます(デフォルトは G.711)。G.729 を使用すると、IP Phone とデジタル携帯電話間のコールの音声品質は悪くなります。必要不可欠な場合のみ、G.729 を使用してください。 |
長時間ブロードキャスト ストームが続くと、IP Phone がリセットされるか、またはコールを発信/受信できなくなる |
ボイス VLAN 上で長時間レイヤ 2 ブロードキャスト ストーム(数分間継続)が続くと、IP Phone がリセットされたり、アクティブ コールが失われたりすることがあります。また、コールを発信/受信できなくなる場合もあります。電話機は、ブロードキャスト ストームが終了するまで復帰できません。 |
電話機からワークステーションにネットワーク接続を移行する |
ネットワーク接続を介して電話機に電力を供給している場合は、電話機のネットワーク接続を切断し、ケーブルをデスクトップ コンピュータに接続する際に注意が必要です。
注意 コンピュータのネットワーク カードにネットワーク接続を介して電力を供給することはできません。接続を介して電力を供給すると、ネットワーク カードが破損する可能性があります。ネットワーク カードを保護するため、電話機からケーブルを取り外した後、10 秒以上待機してから、ケーブルをコンピュータに接続してください。この間に、スイッチは、回線上に電話機が存在しなくなったことを認識し、ケーブルへの電力の供給を停止することができます。
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電話機の設定を変更する |
デフォルトでは、ネットワーク接続に影響する可能性のある変更をユーザが加えないように、ネットワーク設定オプションはロックされています。システム管理者は、ネットワーク設定を変更する前に、ネットワーク設定オプションをロック解除する必要があります。詳細については、「オプションのロック解除とロック」を参照してください。 |
LCD ディスプレイの問題 |
ディスプレイで線が歪んで見えたり波打って見えたりする場合は、建物内にある特定の旧式の蛍光灯と干渉している可能性があります。電話機を蛍光灯から離れた場所に移動するか、蛍光灯を交換すると、問題は解決します。 |
DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)遅延 |
キーパッド入力が要求されるコールで、キーの押下が早すぎると、入力の一部が認識されない場合があります。 |
電話機と別のデバイスとのコーデックの不一致 |
RxType および TxType 統計情報には、Cisco Unified IP Phone とその他のデバイスとの間の対話に使用されているコーデックが示されます。これらの統計情報の値は一致している必要があります。一致していない場合は、他のデバイスがコーデックの対話を処理できるか、またはサービスを処理するためにトランスコーダが配置されていることを確認します。 これらの統計情報の表示の詳細については、「コールの統計画面」を参照してください。 |
電話機と別のデバイスの音声サンプルの不一致 |
RxSize および TxSize 統計情報には、Cisco Unified IP Phone とその他のデバイスとの対話で使用される音声パケットのサイズが示されます。これらの統計情報の値は一致している必要があります。 これらの統計情報の表示の詳細については、「コールの統計画面」を参照してください。 |
音声コール間のギャップ |
AvgJtr および MaxJtr 統計情報を確認します。これらの統計情報の間に大きな違いがある場合は、ネットワーク上のジッタに問題があるか、またはネットワーク アクティビティが周期的に増加することを示しています。 これらの統計情報の表示の詳細については、「コールの統計画面」を参照してください。 |
ループバック状態 |
ループバック状態は、次の条件を満たす場合に発生することがあります。 • 電話機の[ネットワークの設定]メニューの[SWポート設定]オプションが 10 Half(10-BaseT/半二重)に設定されている。 • 外部電源から電話機に電力を供給している • 電話機の電源が入っていない(電源装置が切断されている) この場合、電話機のスイッチ ポートが無効になる可能性があり、次のメッセージがスイッチ コンソール ログに表示されます。 HALF_DUX_COLLISION_EXCEED_THRESHOLD この問題を解決するには、スイッチからポートを再度有効にします。 |
音声が一方向 |
通話の参加者の少なくとも一方が音声を受信できない場合は、電話機間の IP 接続が確立されていません。ルータとスイッチの設定をチェックし、IP 接続が正しく設定されていることを確認してください。 |
Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールの一般的なトラブルシューティングのヒント
表9-3 に、Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールの一般的なトラブルシューティング情報を示します。
表9-3 Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールのトラブルシューティング
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Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールに何も表示されない |
すべてのケーブルが正しく接続されていることを確認します。 Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールに電力が供給されていることを確認します。 |
1 番目の Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールで点灯しているボタンがすべて赤色である |
Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールが Cisco Unified CallManager で定義されていることを確認します。 |
2 番目の Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールで点灯しているボタンがすべてオレンジ色である |
Cisco Unified IP Phone 7914 拡張モジュールが Cisco Unified CallManager で定義されていることを確認します。 |
Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元
Cisco Unified IP Phone をリセットまたは復元する方法は、2 通りあります。
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「基本リセットの実行」
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「工場出荷時の状態へのリセットの実行」
基本リセットの実行
Cisco Unified IP Phone の基本リセットを実行すると、電話機でエラーが発生した場合にそれを復旧したり、各種設定およびセキュリティ設定をリセットまたは復元したりすることができます。
表9-4 は、基本リセットの実行方法を示しています。電話機がいったん起動した後は、いつでも次のいずれかの操作で電話機をリセットできます。状況に応じて適した操作を選択してください。
表9-4 基本リセットの方法
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電話機の再起動 |
メイン画面で、 設定 を押して、[設定]メニューを表示した後、**#** を押します。
(注) この工場出荷時の状態にリセットするシーケンスは、ユーザ入力を受け入れない別の画面から動作させることもできます。
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変更を加えたが、まだフラッシュ メモリに書き込まれていないユーザ設定およびネットワーク設定を、以前に保存された設定にリセットします。その後、電話機を再起動します。 |
[削除] ソフトキー |
[設定]メニューで、電話機のオプションをロック解除します(「オプションのロック解除とロック」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
ユーザ設定とネットワーク設定をデフォルト値にリセットし、電話機から CTL ファイルを削除して、電話機を再起動します。 |
[ネットワークの設定]メニューで、電話機のオプションをロック解除します(「オプションのロック解除とロック」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
ネットワークの設定をデフォルト値にリセットして、電話機をリセットします(この方法では、DHCP が電話機の IP アドレスを再設定します)。 |
[セキュリティ設定]メニューで、電話機のオプションをロック解除します(「オプションのロック解除とロック」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
電話機から CTL ファイルを削除して、電話機を再起動します。 |
工場出荷時の状態へのリセットの実行
Cisco Unified IP Phone を工場出荷時の状態にリセットすると、次の情報は消去されるか、またはデフォルト値にリセットされます。
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CTL ファイル:消去されます。
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ユーザ設定:デフォルト値にリセットされます。
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ネットワーク設定:デフォルト値にリセットされます。
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コール履歴:消去されます。
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ロケール情報:デフォルト値にリセットされます。
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電話のアプリケーション:消去されます(電話機は term70.default.loads ファイルをロードすることで復旧します)。
工場出荷時の状態にリセットする前に、次の条件を満たしていることを確認します。
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電話機が DHCP 対応のネットワーク上に存在している
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有効な TFTP サーバが、DHCP サーバで DCHP オプション 150 またはオプション 66 に設定されている
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term70.default.loads ファイルまたは term71.default.loads ファイル、およびそのファイル内に指定されているファイルが、DHCP パケットで指定された TFTP サーバで使用可能である
電話機を工場出荷時の状態にリセットするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1
電話機から電源ケーブルを抜き、再度差し込みます。
電話機は電源投入サイクルを開始します。
ステップ 2
電話機に電源が投入され、スピーカ ボタンが点滅する前に、 # を押し、そのまま押し続けます。
各回線ボタンがオレンジ色で点滅し続けるまで、# を押し続けます。
ステップ 3
# を離して、 123456789*0# を押します。
キーを 2 回続けて押してもかまいませんが、順番どおりにキーを押さないと、工場出荷時の状態にはリセットされません。
一連のキーを押すと、電話機の回線ボタンはオレンジ色に点滅してから緑色に変わり、電話機は工場出荷時の状態へのリセット プロセスを実行します。このプロセスには数分間かかります。
工場出荷時の状態へのリセット プロセスが完了し、メイン画面が表示されるまで、電話機の電源を切らないでください。
Quality Report Tool の使用方法
Quality Report Tool(QRT)は、Cisco Unified IP Phone の音声品質と一般的な問題を報告するツールです。QRT 機能は、Cisco Unified CallManager のインストールの一環としてインストールされます。
QRT を使用して、ユーザの Cisco Unified IP Phone を設定できます。QRT を使用して設定した場合、ユーザは [品質] ソフトキーを押して、電話コールの問題を報告できます。このソフトキーは、Cisco Unified IP Phone が「接続しました」、「Connected Conference」、「Connected Transfer」、および「OnHook」の状態の場合だけ使用可能です。
ユーザが [品質] ソフトキーを押すと、問題カテゴリのリストが表示されます。ユーザが該当する問題カテゴリを選択すると、このフィードバックは XML ファイルに記録されます。記録される実際の情報は、ユーザの選択と宛先デバイスが Cisco Unified IP Phone かどうかによって異なります。
QRT の使用方法の詳細については、『Cisco Unified CallManager 機能およびサービス ガイド 』を参照してください。
コールの音声品質のモニタリング
ネットワーク内で送信および受信されるコールの音声品質を測定するために、Cisco Unified IP Phone は秘匿イベントに基づく、次の統計メトリックを使用します。DSP は、秘匿フレームを処理して、音声パケット ストリームのフレーム損失部分をマスクします。
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秘匿率のメトリック:音声フレームの総数に対する秘匿フレームの比率を示します。間隔秘匿率は、3 秒ごとに計算されます。
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秘匿された秒数のメトリック:フレームの損失により DSP が秘匿フレームを処理する場合の処理秒数を示します。厳密に「秘匿された秒数」は、DSP が 5 % を超える秘匿フレームを処理する場合の処理秒数です。
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MOS-LQK のメトリック:数値スコアを使用して、相対的な音声の Listening Quality(LQK; リスニング品質)を見積もります。Cisco Unified IP Phone では、先行する 8 秒間でのフレーム損失が原因で発生した音声秘匿イベントに基づいて LQK ベースの Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点)を算出し、さらに、コーデック タイプやフレーム サイズなどの知覚的な重み係数を加味します。
MOS LQK のスコアは、ITU の暫定標準である P.VTQ を実装したシスコ独自のアルゴリズムにより生成されます。
(注) 秘匿率と秘匿秒数は、フレーム損失に基づく主要な測定値です。一方、MOS LQK のスコアは、LQK を 5 (優良) ~ 1(不良)の 5 段階で評価し、「人間の判断」によって同じ情報を測定した値です。
LQK のスコア(MOS LQK)は、受信した音声信号の明瞭さや音質に関連します。通話品質スコア(G.107 などの MOS CQ)には、通話の自然な流れを妨げる、遅延などの障害要因が含まれます。
電話機の音声品質メトリックの設定方法の詳細については、『Cisco Unified CallManager システム ガイド』の「Cisco Unified IP Phone」の章にある「電話機能」の項を参照してください。
[コールの統計]画面( 「コールの統計画面」 を参照)を使用して、Cisco Unified IP Phone から音声品質メトリックにアクセスできます。また、[ストリームの統計]( 「Cisco Unified IP Phone のリモート モニタ」 を参照)を使用してリモートで音声品質メトリックにアクセスすることもできます。
音声品質のモニタリングにメトリックを使用する場合は、パケット損失がない正常な状態で通常のスコアを記録し、比較のためのベースラインとしてそのメトリックを使用します。
メトリックを無作為に変更して、有意な変化がないか見分けることが重要です。有意な変化とは、スコアが 0.2 MOS 以上変化し、その状態がコールにおいて 30 秒以上継続する場合です。秘匿率が変化している場合、3 % を超えるフレーム損失が発生しています。
MOS LQK のスコアは、Cisco Unified IP Phone が使用するコーデックによって変わる場合があります。フレーム損失が発生しない通常の条件では、各コーデックの最大 MOS LQK スコアは次のとおりです。
•
G.711 は 4.5 スコア
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G.719A/ AB は 3.7 スコア
秘匿率 0 は、IP ネットワークが、損失も遅延もなくフレームとパケットを配信していることを示します。
メトリックに有意で持続的な変化が観測された場合は、 表9-5 の一般的なトラブルシューティング情報を参照してください。
表9-5 音声品質メトリックの変化
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MOS LQK スコアが大幅に減少 |
パケット損失や大きなジッタによるネットワークの機能的な障害 • 平均 MOS LQK の減少は、広範囲にわたって一様に障害が発生していることを示している場合がある • 個々の MOS LQK の減少は、集中的な障害を示している パケット損失およびジッタの有無を調べるには、秘匿率と秘匿秒数を照合します。 |
MOS LQK スコアが大幅に減少 |
• 想定したコーデック(RxType および TxType)とは異なるコーデックを電話機が使用しているかどうかを確認する • ファームウェアをアップグレードした後に MOS LQK バージョンが変更されたかどうかを確認する |
秘匿率および秘匿秒数が大幅に増加 |
• パケット損失や大きなジッタによるネットワークの機能的な障害 |
秘匿率が 0 または 0 に近いが、音声品質が劣悪である |
• 音声チャネルのノイズまたは歪み(エコー レベルやオーディオ レベルなど) • 複数のエンコード/デコードが実行されるタンデム コール(セルラー ネットワークやテレフォン カード ネットワークへのコールなど) • スピーカフォン、ハンズフリーの携帯電話、またはワイヤレス ヘッドセットに起因する音響問題 パケット送信カウンタ(TxCnt)およびパケット受信カウンタ(RxCnt)をチェックし、音声パケットが流れていることを確認します。 |
(注) 音声品質メトリックでは、ノイズや歪みは考慮されていません。フレーム損失だけを考慮しています。
Cisco Unified IP Phone のクリーニング
Cisco Unified IP Phone をクリーニングするには、乾いた柔らかい布で、電話機とタッチスクリーンをやさしく拭いてください。電話機に直接、液体や粉末をかけないでください。すべての非耐候性電子機器と同様、液体と粉末はコンポーネントを損傷したり、故障を引き起こしたりする可能性があります。
布で拭く際に、誤って機能を選択することのないように、クリーニングの前にタッチスクリーンを無効にします。スクリーンに触れても応答しないようにタッチスクリーンを無効にするには、 ディスプレイ ボタンを 1 秒以上押してください。電話機に「Touchscreen Disabled」と表示され、 ディスプレイ ボタンは緑色に点滅します。
1 分後、タッチスクリーンは自動的に再度有効になります。それ以前にタッチスクリーンを再度有効にするには、点滅している ディスプレイ ボタンを 1 秒以上押します。電話機に「Touchscreen Enabled」と表示されます。