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この章では、ラインカード シャーシの冷却システムのコンポーネントについて説明します。内容は次のとおりです。
• ファン トレイ
冷却システムは、ラインカード シャーシにより生成された熱を発散させ、シャーシ コンポーネントの温度を制御します。冷却システムは、単一ファン障害が発生してもシャーシの動作を継続できるようにする冗長アーキテクチャで構成されています。詳細は、「冷却システムの冗長性」を参照してください。
完全なシャーシ冷却システムには、次のコンポーネントが含まれています。
• ファン トレイ× 1(4 つのファンおよびファン コントローラを搭載)
電源シェルフ内の電源モジュールにも、専用の内蔵冷却ファンおよびエアー フィルタが付いています。
ファン トレイの 4 個のファンはすべて、1 つのグループとして動作します。したがって、エアーフローを増加または低下させる必要がある場合には、トレイのすべてのファンの回転速度が同時に増加または低下します。
シャーシ全体のシステム ボードに配置されている温度センサー(吸気、排気、およびホットスポット)は、温度をモニタし、システムが適切に冷却されているかどうかを判別します。
ファンの動作は、複数のタイプの Service Processor(SP; サービス プロセッサ)モジュール上で実行されるソフトウェアによって制御されます。これらの SP モジュールは、内部イーサネットにより、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)上のシステム コントローラに接続しています。
図3-1 に、ラインカード シャーシ内のエアーフローを示します。シャーシ前面下部の空気取り入れ口から空気が取り込まれ、カード ケージを通過します。ファンを通過した暖気は、シャーシ背面上部から排出されます。吸気は電源シェルフの上にあるエアー フィルタによってフィルタリングされます。
図3-1 Cisco CRS-1 4 スロット ラインカード シャーシのエアーフロー
(注) シャーシ カード ケージの最大エアーフローは、1分間に 880 立方フィート(24,919 リットル)です。
シャーシ前面の電源シェルフの上にあるスライド式トレイには、交換可能なエアー フィルタが装着されています。 図3-2 に、シャーシ エアー フィルタを示します。
エアー フィルタは、必要に応じた頻度で交換する必要があります。空気が汚れている環境や、温度アラームが頻繁に発生する場合には、空気取り入れグリルの汚れを確認し、エアー フィルタを調べて、交換する必要があるかどうかを判別してください。
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ファン制御ソフトウェアおよび関連回路が、各ファンへのファン速度信号を調整し、回転速度を制御します。これにより、システムを適切な温度範囲で動作させるために必要なエアーフローが、増加または減少します。シャーシの冷却システムは、冷却、騒音、および消費電力を最適化するために複数のファン速度を使用します。
最初の電源投入時、ファンはデフォルトで 4000 RPM の速度で回転します。これにより、システムの初期設定中およびソフトウェア ブート中のエアーフローが供給され、ソフトウェアがブート中に停止した場合でも、シャーシを十分に冷却します。ファン制御ソフトウェアの初期設定は、ルーティング システム ソフトウェアのブート後に実行され、完了までに 3 ~ 5 分かかります。その後は、ファン制御ソフトウェアによってファン速度が適切に調整されます(最大 7500 RPM)。
正常動作時は、空気取り入れ口温度センサーにより感知された温度が平均化されます。現在の温度に適したファン速度を判別するために、ファン制御ソフトウェアは、平均吸気温度を、各温度に最適なファン速度がリストされた検索テーブルと照合します。さらに、現在の温度に最適な値になるように、ファン速度を設定します。ファン速度が動的に変動しないように、各ステップでファン速度制御が規定されています。
(注) アラームや障害が発生していない場合、ファン制御ソフトウェアは、2 ~ 3 分間隔で温度センサーをチェックします。
(各カード上の)ローカル熱センサーは、温度をモニタし、冷却システムにより適正に冷却されていない場合、熱アラームを生成します。温度センサーは、周囲温度の上昇、エアー フィルタの詰まり、他のエアーフロー障害、またはこれらの要因が重なることによっても反応します。ファン障害が発生すると障害メッセージが生成されますが、熱センサーが反応しなければ、ファン制御は変更されません。
熱センサーは、熱アラームを報告すると、障害状態をローカル SP に伝え、さらに RP 上のシステム コントローラに通知します。システム コントローラは、ファン コントローラ上の SP に障害状態を伝えます。その後、ファン制御ソフトウェアが、障害を解決するために適切な処置を行います。
熱センサーが反応すると、ファン制御ソフトウェアは(ファン速度の増加などにより)問題の解決を試みます。ソフトウェアは、シャーシ コンポーネントの信頼性が損なわれ、チップが破壊される温度にならないよう、一連の処理を実行します。障害が続く場合には、コンポーネントに永続的な破損が生じないようにするために、カードまたはモジュールがシャットダウンされます。
冷却システムの冗長アーキテクチャにより、冷却システムは、特定のコンポーネントに障害が発生しても動作を継続できます。冷却システムは、次のコンポーネントのいずれかに障害が発生しても、ラインカード シャーシを適切に冷却する動作を継続します。
• AC 電源シェルフ内の 4 つの AC 整流器の 1 つまたは 2 つ
• DC 電源シェルフ内の 4 台の DC 電源装置の 1 台または 2 台
(注) 冷却システムのコンポーネントに障害が発生した場合には、24 時間以内に交換する必要があります。
図3-3 に、シャーシの背面に接続されるファン トレイを示します。
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• ファン× 4 ― 各ファンは、入力電力として -36 ~ -72 VDC を使用します。ファンは、3500 ~ 7500 RPM の範囲で動作します。
• ファン コントローラ ― ファンとやりとりする信号を終端し、コモンモード ノイズをフィルタリングします。追跡機能とインジケータが搭載されています。ファン コントローラはユーザが取り扱ったり、現場で交換することができません。
• STATUS LED ― この LED は、次の状態を示します。
–イエロー ― ファン トレイまたはファンに障害が検出されたため、交換する必要があります。
–消灯 ― RP がブートしていないか、LED に障害があるか、または電力が供給されていません。