無線 LAN 設計ガイドについて

この設計ガイドでは、高密度クライアント環境での無線 LAN(WLAN)の設計、プランニング、実装に関する最新のエンジニアリング ガイドラインおよび実用的技術について説明します。

高密度クライアントは、会議室、教室、講堂、ホール、競技場、会議場など、集中的なクライアントの数が多い(1 クライアント > 1.5 平方メートルあたり)環境として定義できます。概念は課題となる規模を問わず常に同じです。必要なツールと使用する方法の複雑さは、課題の複雑さ(規模)に応じて増大します。

管理が必要なものおよび管理が可能なものはほぼ同じです。高密度クライアント環境について言えることは次の 2 つです。
  • 使用可能な伝送量を超える帯域幅を提供することはできません。

  • 可能な帯域幅をすべて活用するには、適切なサイジングと効率的かつ調整された設計が重要です。

このガイドでは、規模と課題の異なる 3 つの使用例を紹介します。これらのソリューションを計画、設計、および実装する方法について説明します。各使用例の環境を特徴づける主な基準を確認し、ソリューションのすべてのフェーズで管理すべき主要な優先事項を説明します。これは、RF 物理層要件とその拡張方法に関するガイドです。成功させるには、DHCP、Radius/ISE などのコア サービスも必須であり、クライアント ベースでスケーリングする必要があります。これらの有線クライアントについては、以下の関連資料に記載されたガイドですでに十分に説明されているものとします。

ここでは、日常的に問題が発生するワイヤレス物理層に焦点を当てます。高密度クライアントは、ほとんどの Wi-Fi 専門家が毎日あるいは四半期ごとに設計するようなものではありません。スケールが大きくなると、結果をテストすることはラボ演習として実用的ではなくなります。5000 人を集めて椅子に座らせ、Wi-Fi を使用してもらう唯一の方法は、興味を抱きそうな何かをステージ上に配置することです。

このドキュメントは、現在の Wi-Fi ネットワークの設計、展開、および維持を担っているワイヤレス ネットワークの設計エンジニアを対象としています。Cisco ® ネットワーキングの概念、WLAN テクノロジーの基礎、シスコ ワイヤレス アクセスのアーキテクチャと機能に関する知識があり、基本設定を十分把握していることが前提条件です。

要約

このドキュメントの初回リリース以降、Wi-Fi 業界では多くの改善が行われてきました。802.11n は成熟し、802.11ac が市場で急増しています。無線テクノロジーの進歩(それまでとは桁違いの差)とともに、スマートフォンやタブレットも成熟しつつあり、より頻繁に利用されるアクセス方法となっています。アプリケーションの最適化と高性能なハードウェアにより、常に良好な最新の無線でクライアント ベースが迅速に更新されるようになりました。このドキュメントの当初の執筆時には、特定のネットワーク上でクライアントの 50% が 802.11n プロトコルを使用していることに充実感を覚えましたが、今では日常的に 98 ~ 99% 以上が 802.11n を使用し、70% 近くが 802.11ac 対応クライアントとなっています。

高密度クライアントの要件に対して計画および実行し、高い QOE(Quality of Experience)を提供することはこれまで以上に簡単です。ここで重要なのは、少ない場合もあり多い場合もある要件に応じて計画することです。ただし、ネットワークの意図的な目標を支持する選択が必要な場面もあります。適切なテクノロジーおよびリソースを決定するには、ネットワークがどのように使用されるかを理解する必要があるのです。ところが、ネットワークで提供される新しいサービスの詳細が要件に示されている場合は、最終的にネットワークが何にどのように使用されるかは誰にもわかりません。幸いなことに、シスコはこの分野で経験を蓄積しているので、サイジングと予想される結果、および設計に関する考慮事項について得られた知見を以下でご紹介します。全般的に、業界は Wi-Fi を進展させる面で飛躍的な進歩を遂げていますが、想定外の場所、さらにはインフラストラクチャが導入されていない場所で発生するフラッシュ モブへの不安があるため、一部のネットワーク管理者は夜も眠れない状況となっています。現在でも、Wi-Fi は構築しなければ提供できないことに変わりありません。ただし、そこには新たな希望があります。AP4800/3800/2800 などのイノベーションがこの懸念を和らげ、投資を最大限に生かします。フレキシブル ラジオ アーキテクチャは需要の増加を感知し、別の 5 GHz セルをオンラインにして同じイーサネット ポート(FRA クライアント選択を経由)を使用する同じスペースのキャパシティをオンデマンドで倍にするように、自身を自動的に再設定できます。とても優秀です。他にも多くのことを実現できるので、以降の使用例で詳しく説明します。

このドキュメントの初回リリース以降、高密度の成功事例が積み上げられてきました。5,000 人のユーザが 1 ユーザ/m の密度で座り、Wi-Fi によって高い QOE でマルチメディア アプリケーションが配信されるイベントがほぼ日常的に行われています。高密度クライアントの例には、世界中で(年に 4 回)開催されている CiscoLive イベントなどがあります。これは Wi-Fi の最も厳しい条件の中で行われ、世界中のすべてのイベントで優れた QOE を提供しています。数え切れないほどの大学、スタジアム、および企業オフィスで高密度クライアントが毎日利用されています。また、最近ではオール ワイヤレス オフィスが日常的に提供されるようになっています。現在のテクノロジーは、定員 100 名の研修室から、10 万人の最も親しい友人がパーティーに立ち寄る 37 万平方メートル(400 万平方フィート)のコンベンション センターに至るまで、極めて広範囲に信頼性を実証してきました。課題の規模が大きくなるのに比例して、もちろん計画と技術もより複雑になります。

次のガイドラインは、大小さまざまな会場の複数のイベントで集められた経験に基づいて作成されていますが、設計の原則は、あらゆる高密度クライアント環境に当てはまります。より一般的な高密度クライアントのシナリオには、教室、会議室、講堂など、多数のユーザが集まってコラボレーションする場所が該当します。

主要な課題を理解し、管理された方法でこれらを克服するシステムを設計および設定できるようになれば、成功につながります。このドキュメントでは、データに基づく決定を行うことが中心となります。優れた RF 性能に対するシスコの取り組みによって、1 平方フィートあたりの帯域幅の最大化が実現されるだけでなく、管理と拡張も可能になります。

このガイドでは、3 つの異なる使用例で、さまざまな規模の一般的なシナリオおよびソリューションを確認します。どの会場や異なる部屋にも固有の課題がありますが、以下のほとんどに適用できるソリューションがあります。課題の内容、計画の目的(地道に学んできました)、および適切にサイジングする方法について説明します。本書の目的は、エンジニアの皆様に、反復可能でスケーラブルな結果を生む設計と実装に関して決定するための情報を提供することです。

はじめに

有線ネットワークでの帯域幅のベースユニットはスイッチポート(1 Gbps 以上)です。より広い帯域幅が必要な場合は、ポートまたはポート タイプ(MGig、10 ギガビット、40 Gbps など)を追加します。Wi-Fi で帯域幅のベースユニットとなるのは、AP radio とそのセル(カバレッジ エリア)です。Wi-Fi セルの「潜在的な」帯域幅は、radio(802.11a、n、ac - 1ss ~ 3ss)、およびクライアントがセル内で AP/radio に関連付けられる場所の両方でサポートされているプロトコルに基づきます。1 つの AP radio は有限の潜在的な帯域幅を表します。この帯域幅は、セルのすべてのユーザと共有されます。ユーザの数が増えると、各ユーザが受信する潜在的な帯域幅は減少します。単純な計算では、使用できる帯域幅が 100 Mbps で、10 人のアクティブ ユーザが同時にアクセスした場合、すべてのステーションが同じ機能であると仮定すると、各ユーザは潜在的に 10 Mbps を取得します。ステーション機能の違いによって計算はそれほど単純ではなくなりますが、そこまでは扱いません。セル内のユーザの数が、ユーザごとに必要な帯域幅を満たせないほど多い場合は、別のセルを追加して帯域幅をさらに取得したうえで、提供される有限の潜在的な帯域幅の 2 つのプール間でユーザを分ける必要があります。2 つのインターフェイス間の無干渉銅管に帯域幅を確保する有線ポートとは異なります。セルは、メディア(電波)を介して伝搬される RF エネルギーに依存します。電波と銅線はどちらも、各メディアに関連付けられた信号レベルでの抵抗または減衰に関連する伝搬損失が発生します。銅線の方が損失が少なく、干渉が管理可能で安定しているため優れています。一方の電波は導電性が低く、干渉を管理することもできません。

重要なのは、効果的に通信するために、どちらのテクノロジーも SNR(信号対雑音比)に依存するということです。SNR について理解するために、大きな部屋に自分ともう 1 人だけがいると想像してください。静かな状況なら、数メートル離れていても適度な小声で会話することができます。一方、室内で会話する人が増えた場合は、話し続けるためにもっと近づく必要があります。ノイズ レベルが上がったため、言葉を同じように理解するには信号レベルも上げる必要があるからです。近づくと、ある一定の距離にわたって受信するエネルギーが増加し、声量を大きくすればさらに増加します。通信テクノロジーも SNR に依存します。クリーン ターミネーションと仕様が監視されていると仮定した場合、銅線の SNR は比較的一定しています。伝送距離が 100 メートルでも 3 メートルでも、もう一方の端で入力時と同じ 1 Gbps の出力が得られます。メディアとしての電波は RF エネルギーを銅線よりも大きく減衰させ、ノイズを制御することもできず、すべてに対してフリー メディアがオープンになります。ある距離にわたる帯域幅となると、より制限的で顕著になりますが、ワイヤに依存する必要はありません。Wi-Fi チャネルには周波数で区切られたセルが保持されるため、帯域幅を追加できます。要件を満たす十分な帯域幅/セルを提供するために、チャネルの再利用を開始する必要がある場合は、さらに複雑になります。スペクトラム(Wi-Fi チャネルを利用する上で重要となる無線周波数)と通信時間は、管理が必要な 2 つの重要なリソースです。次のページでは、これらのタスクを満たすための現在の方法を示します。エンジニアの皆様にとってはマジックの種明かしですが、他のすべての方にとってはまさにマジックとなることでしょう。

高密度クライアント

高密度クライアントは根本的に異なります。たとえば、1 AP あたり 20 ユーザが設計目標となるワイヤレス企業オフィスとは異なり、ユーザは互いにさらに近づいた状態となります。クライアントとユーザが密集し、相互のスペースが小さくなると、RF の物理特性には変わりがなくても相互関係は変化します。スペインのバルセロナで開催された最新の GSMA モバイル ワールド コングレス ショーでは、1200 台以上の AP が使用され、すべての AP の平均利用率は radio インターフェイスあたり 50 ~ 60 クライアントでした。Fira Barcelona での平均セル密度における数値は 230 平方メートル(2500 平方フィート)です。多くの AP におけるピーク アソシエーションを見ると、いずれかの場所でその個々のイベントに大きな関心が集まった場合、ショー実施時の 1 インターフェイスあたりのアソシエーションしているクライアント数は 100 ~ 150 に達しました。もちろんこれは極端な例ですが、2 つの使用例の違いを示しています。

高密度 AP と高密度クライアントの使用例での物理的な RF の違いは、AP とクライアントの相互の認識方法にあります。いわゆるそれぞれの現実的な RF のシフトです。無線での一般的な 2 つの用語として、LOS(ライン オブ サイト)と NLOS(ライン オブ サイト外)があります。オフィス環境では、AP が天井に取り付けられ、クライアントは床の上にあります。AP が高密度に展開されて壁や仕切りが少ない場合、クライアントと AP の両方が互いにほぼライン オブ サイト状態で、比較的オープンなスペースではクライアント間の見通しも良好です。

高密度クライアントの場合も、天井の AP はクライアントと比べて、LOS が比較的良好です。AP の感度とアンテナ ゲインは通常、フォーム ファクタ、使用可能な不動産および機能により、クライアント無線よりも優れています。クライアント感度はデバイスや実装によって異なりますが、良好な AP よりも常に劣っています。すべての Wi-Fi は競合メカニズムで動作してメディアにアクセスするため、デバイスがどれだけ受信できるかが重要です。通信する前に電波の取得というものが厳密に問われます。

無線でパケットを配信するには、まず相対的な CCA(クリア チャネル アセスメント)しきい値で待機する必要があります。すべての Wi-Fi 規格がそのしきい値の点で一致しますが、どれだけ受信(および復調)できるかは個々のデバイスの感度によって決まります。クライアント デバイスのキャリブレーション許容度は、一般に +/-3 dB です。キャリブレーションによって、実際の基準である -67 dBm でデバイスが信号を認識する方法が決まります(6 dB のマージンは -71 ~ -64 dB を意味します)。テストでは、リソースの制約が最も厳しい最新のスマートフォン間で 13 dB の違いがありました。

天井に取り付けた全方向性アンテナ AP は、そのセル半径内およびそれを越えてほぼすべて受信できます。ただし、人に囲まれた感度の低い(アンテナ ゲインがプラスではなくマイナス)クライアント デバイスの場合、フリー メディアの認識がまったく異なる場合があります。クライアントは、(クライアントから見て)キャリアがフリーのときに引き続き送信します。ただし床の RF 密度が高い環境では、密集したユーザのシールドも追加されて、スペースの少ないデバイスは本質的に RF で互いを認識しません。その結果、頭上の空きスペースにはクライアント間のコリジョンがさらに存在することになります。これにより、ノイズ フロアが上昇して SNR が低くなります。そのすべてが速度の低下と通信時間使用率の上昇につながります。この特性については、次の使用例でその管理方法を詳しく説明します。

提供する必要がある帯域幅については、一般的なアプリケーションの標準的なガイドラインに関する次の表を確認してください。これらは「一般的な例」です。特定のアプリケーションを念頭に置く場合は、ラボ設定でテストし、許容可能な QOE しきい値を下回る適切な値を見つけてください。

802.11ac(AP とクライアント)と適切に設計および設定された境界が想定されるほとんどのケースでは、50 クライアントに 10 ~ 20 Mbps を問題なく提供できます。通常、最も高密度の状況では、4 ~ 8 Mbps(radio あたりのクライアント利用率 100)に制限するように帯域幅を形成します。

表 1. 一般的なアプリケーションの帯域幅要件

アプリケーション

スループット

Web:一般

500 Kbps

Web:教育

1 Mbps

音声:一般

100 Kbps

音声:教育

1 Mbps

オンデマンドまたはストリーミング ビデオ:一般

1 Mbps

オンデマンドまたはストリーミング ビデオ(1080p)

2 ~ 5 Mbps

オンデマンドまたはストリーミング ビデオ(4 K) 15 ~ 18 Mbps
ファイル共有:一般 1 ~ 2 Mbps
ファイル共有:教育 2 ~ 8 Mbps
オンライン テスト 2 ~ 4 Mbps
デバイス バックアップ 10 ~ 50 Mbps

まずは 3 つの異なる使用例で増加している高密度クライアントと複雑さを見てみましょう。主要な設計基準とその違いの理由を特定し、管理すべき設計要素と使用するソリューションだけでなく、ベスト プラクティスと使用する設定の選択肢およびその理由を確認します。いずれの場合も、想定とソリューションは、現在の 802.11ac Wave 1 および Wave 2 インフラストラクチャ ハードウェアに基づいています。同じ概念が 802.11n にも適用されますが、使用可能な帯域幅が少ないため、経験に基づいて調整する必要があります。

セルの縮小、無線の追加、帯域幅の拡大

効果的にセル サイズを縮小(または拡大)するには、次の 4 つを制御します。
  1. 送信出力
    1. 出力を減らすことでターゲット RSSI の対象エリアを縮小し、有効なカバレッジを削減します。

    2. ただし、高い SNR(25dBm)を維持する必要があるため、削減できる出力量には限りがあります。一般にすべてのクライアントは 10 ~ 12 dBm で送信し、送信を成功させるために安定した出力レベルを必要とします。

    3. 送信出力を減らしても、受信セルのサイズは縮小されません。クライアントは引き続き同じ出力レベルで送信し、以前と同じ距離で受信します。

  2. 使用される最小データ レート
    1. 使用される必要最小限のデータ レートを増やすと、サポートに必要な SNR が増加して、有効なセルのサイズが縮小されます。この結果、クライアントがアソシエーションと認証を実行するためには、中心に近づく必要が生じます。

    2. より高いデータ レートに必要な SNR が増加して、別の AP が信号を復調できる距離が短縮されます。復調できない信号はノイズになり、復調された Wi-Fi パケットに対するチャネル使用率が節約されて、効率が向上します。

    3. RF でセルが物理的に小さくなるため、より適切なクライアント ロード バランシングが促されます。

    4. AP が受ける干渉には影響がなく、有効な信号から周囲の AP のノイズへの影響のみが変化します。

  3. 室内の信号の減衰
    1. これは、座席の下に AP を配置して人の体を AP 間の減衰器として使用し、明らかにライン オブ サイト外の信号を作ることで実現します。この方法はある程度機能しますが、セル内で不整合が発生する要因になる可能性があります。

    2. 座席の下に AP があるため、AP の相互認識は座席の構造に左右されます。金属製の座席の下に信号の包括的な導波管がある場合、AP の相互認識は天井に設置された場合よりも良好です。

    3. いずれの場合も、この方法によってセルのダイナミック レンジは削減されますが、効果があるのは、一時的な低~中レベルの使用モデル(20 ~ 30% の同時使用)です。

  4. アンテナ選択
    1. アンテナは、最終的な AP の送受信パターンを形成します。ほとんどの内蔵アンテナ AP モデルには、比較的丸いパターンで最大カバレッジを提供する全方向性アンテナが含まれていますが、あらゆる種類の効果を発揮するさまざまなタイプのアンテナがありますので、これについては後で説明します。

    2. 天井取り付けは、干渉拒否に加えて LOS カバレッジに優れています。また、設計が対応するダイナミック レンジを最大化します。今は必要ないと思うかもしれませんが、時を経ても一貫したままの要件を最後に手にしたのはいつでしたか。ネットワークにおいては常に、時間が経つにつれて多くを求められます。

セル サイズを制御する送信出力

AP の送信出力の調整は、セルのサイズを削減する直感的な方法のように思われています。実際に、かつては(現在も)単純に絶対最小出力レベルを考慮した設計が、高密度クライアントで問題になりうるすべてを管理するための「正しい」方法であると考えられていました。直感的に低出力(または最低限必要な出力)であることが干渉を減らします。混雑した大きな部屋で小さな声で話せば、全員が自由に話せますが、小さな声で話すことに全員が同意するかどうかが問題です。これと同様に、クライアントの出力は制御できません。あるクライアントの検出状態と、別のメーカーのクライアントや、同じクライアントでもポケットに入っていたり角度によって体の影になったりする場合の AP の検出状態は異なります。すべてのデバイスが異なる内部アーキテクチャを備えています。したがって、アンテナ タイプ/配置、出力バジェットなど、すべてが無線パフォーマンスに関する最終結果において役割を果たします。2 つの異なるデバイスで同じクライアント無線チップを使用し、RF の観点から実際の違いを確認できます。SNR が管理を必要とする要素になったことについても説明しました。クライアント側では、SNR はクライアントとその現在のローカル条件(変化する可能性があります)に完全に依存します。

出力が十分かどうかはどのようにすればわかるでしょう。十分でなければ、あらゆる場所のユーザから手当たり次第に苦情が寄せられることになります。インフラストラクチャの送信出力を減らすと同一チャネル干渉は改善されますが、管理が必要な装置が設置された床の SNR が下がります(クライアント側の見解については、上記の「高密度クライアントの特性」を参照してください)。

セル サイズ、および必要最小限のデータ レート

Wi-Fi メッセージ交換で使用されるデータ レートは通常、SNR の観点から接続の質に基づいてデバイスによって選択されます。同時に、クライアントは単純に信号の大きい AP を優先します。アルゴリズムがかなり改善され、SNR や再試行率などのすべての要因が、より実用的な判断の一因となっています。2.4 GHz の方が信号が大きかったために、多くのクライアントが 5 GHz ではなく 2.4 GHz に自動的にアソシエーションしていた時がありました。

Cisco AP 上のデータ レートは、3 つの状態のいずれかで設定できます。
  • 必須(Mandatory)

  • サポートされている(Supported)

  • 無効(Disabled)

「必須(Mandatory)」は、クライアントもこのデータ レートをサポートしていない限り、許可されないことを意味します。「サポートされている(Supported)」は使用できるかどうかを意味し、「無効(Disabled)」はサポート対象外で使用されることもないことを意味します。

各データ レートが高くなるにつれて、動作に必要な SNR が高くなり、効果的または論理的な大小のセルを作成する能力に直接関連します。特記事項:「効果的または論理的」は、同じ距離で RF エネルギーを引き続き受信できる、つまり干渉できるという意味です。ただし、復調できないほど高いデータ レートは単なるノイズと見なされ、時間とチャネルの使用率を実際の RF ノイズに追加する cw-min および nav の数式にコピーされません。

「必要最小限(Minimum Mandatory)」のデータ レートとは、必須(Mandatory)として設定される最小のデータ レートのことで、このデータ レートにはいくつかの特殊なプロパティが含まれています。セル内に配置するどのクライアントも、セル上でアソシエーションおよび認証を行うために、「必ず」それ以上のデータ レートをサポートして使用する必要があります。これにより、設計者はクライアントをセル内に配置するにはどの程度近づける必要があるのかを判断できます。ここで選択したデータ レートは、ビーコンだけでなくすべての管理トラフィックを送信するために使用されるため、非常に重要かつ特殊です。

レガシー 802.11a/802.11g データ レート(OFDM レート)に焦点が当てられていることに注意してください。

下の図は、セル サイズごとのデータ レートの影響を表しています。

図 1. 使用可能なセル サイズとデータ レートの比較

上記の例の図と表でわかるように、データ レートごとに必要な SNR と最小感度コンポーネントがあります。各 radio の特性が異なるため、感度データは一般化されます。すべてのシスコ radio に関するデータは、AP3800 向けドキュメントのように、最小感度として各 radio のデータ シートに記載されています。データ レートは、有効なセル サイズを制御するだけでなく、セル全体の効率性も高めます。高いデータ レートは通信時間を削減し、すべてに対してより多くの帯域幅を許可します。データ レートが高くなれば、セルは小さくなり、カバレッジの効率が上がります(帯域幅が広がる)。

データ レートは全体的な通信時間可用性にどの程度影響するのでしょうか。参考として、さまざまな変調/データ レートで通信時間とパケット サイズを比較したプロットを示します。
図 2. データ レート/ペイロード サイズごとの通信時間

Y 軸はマイクロ秒単位(1,000 マイクロ秒 = 1 ミリ秒)の時間で、さまざまなサイズのパケットを対象に OFDM データ レートの範囲で使用される通信時間を示します。データ レートが高くなるほど、1 秒あたりの Mbps が大きくなります。

内蔵アンテナ モデルを使用した座席下への設置

簡単な一時設置用の取り付けは、室内に AP を追加して、座席の下に配置すれば実現できます。これらの AP を接続するためのケーブルが床にありますが、ケーブルの長さのダクト テープ 3 本で通常は固定できます。この方法は機能しますが、セル内での応答が遅くなる傾向があり、特定の AP から離れるほど受信する帯域幅が通常より少なくなります。人をさらに入室させ AP アンテナに対して角度をつけると、実際に帯域幅が変わる AP の周囲の円が互いに近づき、LOS 展開の場合よりも顕著になります。AP から離れるとパス損失が急増するため、ピーク キャパシティに達することはありません。必要最小限のデータ レートが低くなり、使用される通信時間がより長くなります。

この方法でイベントを乗り切るわけですが、成功と失敗の差は、アンテナ オーバーヘッドを使用した LOS 設置の場合よりもはるかに小さくなります。また、これは一時的なものなので、イベントごとに設置する必要があります。一般に、座席は間で使用されない場合でも、イベントごとに移動されます。

このメソッドは最後の手段として使用してください。これは確実な方法ではありません。イベントがいったん開始されたらその間にわたって固定されます。事態が変わっても、ケーブルが破損しても、接続が切断されても同様です。


(注)  

以前に、RF 被曝に対する根拠のない懸念を理由に、一部の出席者によって AP の接続が切断されたことがありました。AP とユーザの最低距離に関するローカル ルールと心情をよく理解してください。これらは規制ドメインおよび地域によって異なります。

アンテナの選択

外部アンテナは高密度クライアントの王ですが、すべてのアンテナが該当するわけではありません。アンテナについて考える場合、例として役立つのはステレオ システムとスピーカーです。良好なスピーカーのセットまたは相応のアンプが設置されていると仮定します。スピーカーは空気を使用するアナログ インターフェイスで、優れたスピーカーはローエンド アンプのサウンドでもその質を向上させます。同様に、アンテナも電波をまとめて扱うアナログ インターフェイスであるため、優れたアンテナが重要です。

多くの人が内蔵アンテナ モデル AP に関する知識を持っています。内蔵アンテナモデル AP はあらゆる場所に展開されており、使いやすく、簡単に設置できるうえ、デザインも魅力的です。適切な環境であれば高いパフォーマンスを発揮します。高密度クライアントは、内蔵アンテナモデルが失敗する可能性がある環境です。これは、非常に高性能でよく使用され、ほとんどの場合に寛容なためです。ただし、スモール セル要件を考慮して設計されていないことに注意してください。次に、上記の同じ研修室の 2.4 メートル(8 フィート)の高さに設置された、全方向性(内蔵)モデル AP と優れた指向性 AP の例を示します。

図 3. 全方向性アンテナと指向性アンテナの比較

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上記の図では、下のアンテナ パターンが上のパターンよりも優れている(小さい)ことが明確にわかります。右側の画像は、どちらもセルの -60 dBm のラインを示しています。ダーク グレーのエリアは、-60 dBm と -65 dBm の境界です。したがって、パターンが小さくなるだけでなく、使用可能な境界を作成すれば、より小さくなり速くなります。これは、高密度向けに設計されたアンテナにとって重要です。

まずは、アンテナ理論、そして適切なアンテナを選択および比較する方法とその理由について少し説明します。同じ仕様に見えても、すべての指向性アンテナが同等に作成されるわけではありません。次の AIR-ANT2566D4M-R 指向性パッチ アンテナの仕様シートおよび極性プロットを参考に、それらの意味を確認していきましょう。

図 4. 指向性アンテナの極性プロット
ここでは、方位角プレーン プロットのみを使用するため、2.4 GHz を省略して 5 GHz のみに重点を置きます。
  • アンテナ タイプ:デュアル偏波または偏波ダイバーシティは、4 素子の MIMO アンテナ(802.11ac の 4 X 4 radio)でアンテナ素子が水平と垂直の両方であることを示します。

  • 動作周波数範囲、公称入力インピーダンス、および VSWR は、Wi-Fi に適したアンテナ アプリケーションの場合と同じであり、ここでは特に重要ではありません。

  • ピーク ゲイン:指向性アンテナと全方向性アンテナの比較を示します(ゲインについては下記を参照)。

  • 偏波:偏波向けに設計された個々の要素を示します。垂直または水平要素はフェーズの関係(MIMO システムのデュアル偏波または偏波ダイバーシティが優先される)を示します。

  • 仰角および方位角のビーム幅:ここで初めて、ゲインの「形状」を特徴づける、高密度に必要なものが判別されます。詳細については下記を参照してください。

  • 前面から背面への比率:極性プロットの最小ゲインに対するピーク ゲインの比率。指向性アンテナの非ゲイン部分で提供される分離を示します。

アンテナ ゲイン

RF エネルギーとは、上記の仕様でのエネルギーです。アンテナのゲインは dBi を使って表します。dBi は i(等方向性)アンテナに関する dB(デシベル)です。スペース内の圧縮された 1 つのポイントからある量の RF エネルギーを瞬時にリリースできた場合、すべての方向で均等かつ永続的に同位体として放射されます。物理上は、特定の量のエネルギーが常に同じ量に保たれ、状態が変化しても決して消失することはありません。RF 伝搬を風船に例えた場合、風船は膨らませると大きくなりますが、ゴムの量は変わりません。大きくなるにつれてゴムは薄くなり、より多くの空気を含んで膨張します。これがいわゆる、送信元から電波が伝搬するということです。RF の効果を dBm(デシベル/メーター)または Mw(メーターあたり)として測定するか、1 メートルのスペースにわたる RF エネルギーの密度として測定します。値が大きいほど、特定のエリアでの RF の密度が高い(濃い)ことを表します。簡単に言えばこれが RF 伝搬です。存在するエネルギー量は常に同じですが、どのポイントにどれだけのエネルギーがあるかは、送信元またはそのエネルギーの最初のリリース元との距離によって異なります。

ゲインの参考として、等方性モデル(dBi)ではアンテナ設計の形状に対する変更の参考となる定数が提供されます。

図 5. 各種アンテナのさまざまなパターン

ビッグバン(間違いなく 1 回限りの方法です)以外に、結果のパターンを変更するポイントを挿入せずにエネルギーの解放を生み出す方法はありません。これは、結果としての形状を変更し、ゲインとして等方性モデルの一方向または別の方向に反映されます。膨らんだ丸い風船の端を強くつかむと、もう一方の端がこれに反応して伸長します。これはアンテナ ゲインでも同様で、既知の量のエネルギーがすべての方向に均等に放射されます。1 箇所でエネルギーに圧力を加えてもエネルギー量は減らず、エネルギーの一方向への指向性が強くなって全体的に球状的な特徴が小さくなります。アンテナ設計は、全方向性として説明されているものであっても等方性ではなく、その必要もありません。全方向性アンテナはほぼ 360 方位角の放射が必要で、垂直方向の角度を上下させて結果としてのゲインを増減できます。

上記のダイポール アンテナは利用できる等方向性アンテナに類似していますが、横にある全方向性の対象は、天井から床までです。上下からパターンを圧迫することでゲインを高め、これを実現しています。アンテナ ゲインは、アンテナで送受信するあらゆる信号に適用することで、送受信の両方で機能します。

したがって、指向性アンテナは全方向性アンテナとは異なり、特定のパターンを生成するように単に最適化され、一方向をもう一方よりも優先することで、結果として円の部分のみゲインが高くなります。ゲイン(dBi)が高いほど、形状の指向性が強くなります。ゲインの低いエリアは受信するエネルギーが少なくなり、結果的にセルの形状および感度が変化します。

ビーム幅

データ シートでは、3 dB ビーム幅が方位角プレーンの 55 度として示されています。ここで説明するのは、上記の図 8 の極性プロットにある 2 つの黄色い点で表されたピーク アンテナ ゲインのポイントから -3 dB までを測定したビームの幅です。ただし、市場にはビーム幅が 55 または 60 度のアンテナが多く存在しています。高密度アプリケーションのセル サイズを削減しようとするときに本当に重要なのは、その -3 dB 時点以降はどうなるのか、つまり、さらに 3 dB が失われる前にビームの幅がどれだけ広くなるかです。当社のプロットでは約 92 度で、感度はそれ以後急速に低下します。2 つ目の 3 dB によって 120、140 にとどまらず、180 度も消費され、高密度のセル エッジで取得する結果が完全に変わってしまうアンテナが多く存在するため、これは重要です。目標は、明確なセル エッジ(高いゲイン)と、スイート スポット外での迅速な減衰を実現することです。

前面から背面への比率

ゲインの反対の概念は損失です。指向性アンテナは一方向でゲインが得られます。それとは反対にゲインにおける損失が生じます。つまり感度です。前面から背面への比率とは、フォワード ゲインのバックサイドつまり反対側のローブ ゲインに対する比率です。その比率が高いほど、バック ローブ分離が高くなります。これを利用して、たとえば図 8 のアンテナを背中合わせで比較的近くに取り付けると、2 つのアクティブなアンテナ間で 40 dB の分離が得られます。これは大きな意味を持ちます。または、そのアンテナを高密度エリアで室内に向けて取り付ければ、室外にある残りの AP から 20 dB の分離を取得できます。繰り返しますが、これをうまく利用すれば、分離を増やして顧客エクスペリエンスを向上させることが可能です。

アンテナとパターンの情報について詳しくは、Antenna Patterns and Their Meaning を参照してください。

使用例 1:チーム ルーム/会議室/小規模教室

オフィス WLAN の計画と導入では通常、待合室や会議室など、ユーザ密度が高くなることが予想されるエリアの周辺に AP を配置します。共有エリアはトラフィックが一時的に通過する傾向にあるため、低密度カバレッジのまま残します。この方法によって、高密度クライアント エリアの簡単な事前計画を予想し、準備します。ほとんどの会議室はまとまって配置されています。そのため、周囲が通常の乾式壁(3 dB)であると仮定した場合、会議室を連結したときの最大キャパシティのために設計することをお勧めします。たとえば、この例では 2 つの会議室の最大収容人数(消防規則の最大キャパシティを使用)が 30 人未満で、ユーザ密度は 1 ユーザ/1.5 平方メートル(17 平方フィート)です。

図 6. 企業の小会議室

1 ユーザ/1.5 平方メートルの場合、各々のユーザがオフィスの別の場所にいるとき(平均 1 X 8 平方メートル)よりも互いの距離が近くなります。これは重要なことではありますが、特に難しい点ではありません。上記の会議室のような小さな収容スペースでは、1 台の AP の一つの 5 GHz radio で 30 人のユーザに簡単に対応できます。結果も良好です。


(注)  

有線のコラボレーション ディスプレイや、マルチメディア/ビデオ会議装置を設置することをお勧めします。これらは多くの帯域幅(1080p = 4 ~ 5 Mbps、4K = 12 ~ 16 Mbps)を消費し、ジッターに対する耐性が低いため、電波外に移動しないものを使用してください。頻繁に移動する 30 人の利用者に対して十分な帯域幅を確保するのに役立ちます。


当然ながら、上記の「十分」という推定は、同一チャネル干渉を受けていない良好なクリーン チャネルを想定しています。帯域幅に関しては、実際の帯域幅と潜在的な帯域幅があります。実際の帯域幅とは、実装後に使用中の室内で実際に得られる帯域幅のことです。潜在的な帯域幅とは、802.11ac レートを検索したときに得られる帯域幅のことです。最大(シグナリング)速度と、設計ルールに従ってセルが提供する必要があるすべての通信時間を使用することを前提とします。

同一チャネル干渉の基本と定義については、『Enterprise Mobility 8.5 Design Guide』の「WLAN RF design considerations」を参照してください。

次の使用例では、同一チャネル干渉がより深い意味を持つため、詳しく見てみましょう。ここでは、ネットワークが正常なチャネル計画で実行されていることを確認し、先に進んでください。

標準的な屋内用 3802i/2802i/4800 AP は、このスペースを十分にカバーして、考え得る要件を上回ります。要件は次のとおりです。

  1. 帯域幅要件/ユーザ対インターフェイス率

    1. 帯域幅要件では、2 つの 802.11ac Wave2 X 5 GHz インターフェイスがサポートされます。オプションで 802.11ac を想定してクライアントあたり 10 Mbps 以上が簡単にサポートされるため、30/1 または 15/1 のユーザ対インターフェイス率で十二分の帯域幅となります。

    2. FRA クライアント認識は、リリース 8.5 以降の 2800/3800/4800 アクセス ポイントで使用できます。FRA またはサービスの優先順位でこれを設定すると、モニタ ロールを使って、5 GHz を処理するクライアントに XOR radio をダイナミックに再設定できます。また、専用のチャネル使用率がユーザ設定可能なトリガーに達すると、マクロ/マイクロ デュアル 5 GHz セルが作成されます。

    3. デュアル 5 GHz モードを永続的に有効にして、以後のキャパシティを倍にできます。これが投資保護です。

  2. チャネル スペース:radio インターフェイスごとに少なくとも 1 つの 20 MHz チャネルが必要

    1. 40 MHz のチャネル幅の場合、デュアル 5 GHz モードで 4 つのチャネルが使用されます。RRM によってかなり良好なチャネル分離が提供される必要があります。周囲の AP 密度が高く、チャネルが少ない場合は、20 MHz チャネルとして動作します。

    2. 同一チャネル干渉の問題が発生しているか、またはその疑いがある場合は、AP を追加しても問題は解決されません。この場合はチャネル幅を減らします(20 MHz = 1 チャネル、40 Mhz = 2 チャネル、80 MHz = 4 チャネル、160 MHz = 8 チャネル)。次の項でチャネル計画と同一チャネル干渉の評価について説明します。

会議室/教室の使用例の設定に関する推奨事項

  1. AP グループおよび RF プロファイルの使用

    1. 独自の AP グループの類似した設定をすべての会議室に配置すると、クライアント密度の高いスペースのさまざまな要件を満たすために異なる RF プロファイル設定を適用することができ、設定およびその影響がメイン オフィスから切り離されます。

    2. RF プロファイルを使用すると、AP グループ内の AP の独立した RF および機能の制御が可能です。デフォルトの 802.11a 高密度プロファイルを使用し、次のように変更できます。

    3. わかりやすい名前(conference rooms 1 など)で保存してください。

    図 7. 小規模会議室の設定プロファイル
  2. RF プロファイルの設定(上記の表を参照してください)

    1. 802.11

      1. 使用する必要最小限のデータ レートを高めに指定し、それ未満のすべてのレートを無効にしてセル サイズを削減します。

      2. 会議室内のユーザからのトラフィックを会議室の境界に物理的に近づけます。最小データ レートを上げるには、アソシエーションに必要な高い SNR を取得できる AP にクライアントを近づける必要があります。これにより、使用可能なセル サイズが効果的に削減され、指定期間中に接続したすべてのクライアントがそれ以上のデータ レートのみを使用することになります。

      3. データ レートの高いトラフィックは通信時間および干渉範囲を削減します(信号の復調には高い SNR が必要で、そのレベル以下では単なるノイズと見なされます)。

      4. MCS 設定はすべて有効になっています(デフォルト)。MCS は 802.11n および 802.11ac の HT レートに適用されます。これらを変更する必要はありません。すべてのデータ レートで、管理とシグナリングに 802.11a が使用されます。これは変更する必要があります。

    2. RRM

      1. TPC

        • 11 dBm の設計出力レベルをサポートするように最小と最大を設定します(*例:マイレージは異なります)。最小は 6 dBm、最大は 30 dBm です。

        • TPC v1 ~ v2 の出力しきい値は -65 に設定されていますが、上記の最小と最大によってこの AP グループの設定が上書きされます。

      2. DCA

        • Avoid Foreign AP interference = オン

        • Channel Width:設計上の許容値に従う

        • High Speed Roam = 無効:これは想定どおりに機能しません。具体的には高速ローミング(電車が徐行ではなく高速でプラットフォームを通り過ぎるようなもの)のプロファイル内に含まれます。

        • DCA Channels(設計によって異なる):グローバル プロファイルですべてが有効になっている場合は、ここでもすべて有効にします。

      3. カバレッジ ホールの検出(変更なし)

      4. トラップのプロファイルしきい値

        • 干渉 20%

        • クライアントが 40 で、部屋の収容力は 30 です。収容力を 30% 上回ると警告されます。

        • ノイズ -65 dBm と使用率 65% の両方によって妨害アラームが削減されます。

    3. High Density:RX-SOP low

    4. Client Distribution:デフォルト値

  3. AVC:有効

    • デメリットはなく、メリットはクライアントによるネットワークの使用状況を把握できるということです。アプリケーション制御ポリシーは、同じアプリケーションを想定して周囲のスペースと同様である必要があります。

  4. FRA クライアントの認識

    • FRA を実行している 2800/3800/4800 AP の場合、5 GHz 専用インターフェイスで処理するクライアントをモニタし、キャパシティに対して必要な場合にモニタ XOR インターフェイスをオンラインにすることで、恐怖のフラッシュ モブを防止できます。これでゆっくり眠れるようになります。

使用例 2:企業の研修室(中規模ホール)

使用例 2 は、ある企業の 400 席を備えた研修室です。600 平方メートル(6,500 平方フィート)の大きさの中に 400 席を備えたこの部屋のユーザ密度は、前述の会議室と同じ 1 ユーザ/1.5 平方メートルです。ただし、(少なくとも現時点では)1 台の AP で 400 のクライアントをカバーできません。したがって、少なくとも数台のアクセス ポイントを追加する必要があります。

また、ユーザあたり 1.5 ~ 3 台のデバイスが主流であるため、1 座席を 1 クライアントとカウントするのには無理があります。一般的なリソース プランニングの観点から、1 ユーザを 1.5 ~ 3 クライアントと見なします。これは、IP アドレスおよび DHCP/ISE、ロケーション分析などのリソースに適用されます。ここでは、アクティブ スループットのみに焦点を当て、最悪(と想定される)のシナリオを取り上げています。2 台以上のデバイスを持つユーザでも、アクティブに使用できるのは一度に 1 台のデバイスだけです。(ここで対象となるのは一部の特殊なユーザではなく、一般ユーザです)。デバイスの合計数はやはり重要です。コア ネットワークや通信時間/スループットに関連しない他の部分のリソース カテゴリに直接関わるからです。エンド ユーザに提供される帯域幅に関して言えば、それよりも大きな懸念事項が無線での同時パケット数です。


(注)  

シスコ製 AP がサポートするアソシエーション クライアントの最大数は、インターフェイスあたり 200 台、AP あたり 400 台です(単一 AP で 400 のクライアントすべてに対応できる可能性はありますが、全クライアントが同時に使用された場合は効率が低下し)、高い QOE が望めない可能性があります。


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1 つの企業スペース内のユーザ数が 400 人の場合は、企業の高密度クライアントの「一般的な」ユーザ/AP 率である 50 ユーザ/radio インターフェイスを使用します。これは単に、クライアントが関与する可能性があるアプリケーションの種類およびアクティビティに関する経験に基づいた設計上の数字です。控えめな数字であり、バックグラウンド スキャン(ウイルス、バックアップ)およびシスコの内部ネットワークに接続したときに自動的に開始される IT 保守が関係しています。いずれも帯域幅要求は特に高くありませんが、オフィスでの使用頻度が低いコンピュータでこうしたバックグラウンド プロセスが 5 ~ 6 個実行されるだけで、帯域幅の使用量に大きな違いをもたらす可能性があります。ただし実環境における使用量は組織ごとに異なります。会議では、その場の発言者がブリッジ上でオンライン参加している相手とコラボレートするだけでなく、出席者が室内で頻繁に WebEx ブロードキャストを視聴します。意外にも、これで帯域使用量が上昇することはあまりありません。50 参加ユーザ/インターフェイスの場合、壁や通路で立ち聞きしている(特にコンテンツが優れている場合にこのような状況が多く発生します)ユーザに対しても余裕を確保できます。

設計ガイドラインとして 50 ユーザ/インターフェイスを使用すると、必要な 8 X 5 GHz インターフェイスが得られます。400(席)/50(席) = 8 つの 5 GHz radio です。

米国の FCC 規制では、25 チャネルを使用できます。この部屋には少なくとも 8 チャネルが必要で、40 MHz のチャネル幅で合計 16 チャネルになります。これは実現可能ですが、細部(周囲の AP による室内への影響など)にさらに注意する必要があります。8 台のすべての AP を 6,500 平方フィートの部屋に収めて、その下にある 400 以上の全クライアントが効率的に通信できるようにします。

前述のとおりに、成功は各セルを相互に分離できるかどうかにかかっています。AP を追加してチャネルを増やす必要がない(必要な場合もあります。次の使用例を参照してください)と考えて次に進む前に、いくつかの考慮事項を確認してください。建物内で AP が配置されている場所は、この部屋だけではありません。部屋の周囲にも AP が配置されており、上下の階からの影響も受けます。

別の考慮事項は、この部屋に 8 台の AP を配置した場合に、どのように 400 のクライアントを分散して、8 台の AP をすべて使用するかということです。互いに近すぎたり、1 台の AP からの信号が他の 3 台の AP からの信号と同程度に良好であったりする可能性もあります。

ここで問題なのは、最先端のクライアント ステアリング機能ではありません(これはシスコ以外の製品でも同様です)。問題なのは通信時間と効率です。

以下に示すのは、既存の 1 台の 3702i が控えめな出力(7 dBm)~ 11 dBm EIRP で動作している部屋のサイト サーベイです。この 1 台の AP が部屋全体をほぼカバーしていることに注目してください。

図 8. -67 dB カットオフでのサイト サーベイ結果

この研修室のような高密度クライアント環境では、人が入室すると状況が変わります。上記の「高密度クライアントの特性」を参照してください。

これらは、空室の状態で測定した、単一の AP による現在のカバレッジのヒートマップです。人が加わると、この密度では信号の RF 吸収が床で 5 dB 以上減衰します。これにより、SNR(信号対雑音比)に使用可能な認識される RSSI(信号)が低下します。また、このサイズの部屋(一般的な天井の高さでカーペット敷きのオフィス空間)では、400 の同時アクティブ クライアントによってノイズ フロアがさらに 5 dB 増加することが十分に予想されます。

したがって、信号で 5 dB を失ったうえにノイズ フロアが 5 dB 追加されるので、成功に必要な SNR に -10 dB の影響が及ぶことになります(信号が -67 dBm でノイズが -95 dBm の場合、SNR は 28 dB です。信号から 5 を減算して、ノイズに 5 を加算すると、SNR は 18 dB です)。これを軽減するために行えるのは、部屋の信号レベルを 10 dB 上げて対抗することだけです。この方法を事前に知っていることが重要です。予想される 10 dB の SNR 損失を補正するために必要なセル エッジのカットオフとして、-57 dB を使用します。既存のマップでこれを可視化するには、サーベイのヒートマップで -67 dB カットオフではなく -57 dB を使用します。

図 9. -57 dB カットオフでのサイト サーベイ結果

予想される状況に合わせて設定を調整しても、アンテナ内蔵モデルの AP が 1 台あれば広範囲がカバーされます。もちろん、これが AP の役割です。全方向性アンテナは、360 度のワイド パターンです。これは、上記のカバレッジ マップに示された 2 つの理由により、AP と高密度クライアント環境にとって問題となることがあります。

対象となるパターン(緑)は、カバーされたままか、床で -57 dBm 以上になっているものです。室内の AP のすべてのセルが、他の AP のセルと重複します。したがって、干渉の可能性が高まり、室内で検出される既存の AP の場合は、可能性が高確率になります。

1 台の AP が RSSI の観点から見て別の AP と同程度に良好と見られる場合、クライアントはどのように動作するでしょうか。ここでは、802.11K のしきい値である -70 dBm よりも高い信号レベルを扱います。ロード バランシングを実行する必要があります。実行しないと、ユーザ数が不均一になり、座っている場所によってユーザ エクスペリエンスの一貫性が損なわれます。

この部屋で 8 個の radio インターフェイスとセルを確保するには、セル サイズを小さくする必要があります。これによって 1 つのセルでカバーされる座席の数が制限され、より確実な方法で部屋の設計のバランスをとれるようになります。

企業の研修室向けの設計ソリューションと結果

この特定の企業の研修室では、ワイヤレス フィールド チームが年に 2 回バーチャル トレーニングを行います。ワイヤレス専門家が集まる部屋で Wi-Fi が使用されることを思い起こすと、リアルタイムで結果の徹底的なレビューに期待できることがわかるはずです。

AP3700 と AIR-ANT2566D4M-R アンテナをそれぞれ 8 台使用して、この課題に対応します。すべてのアンテナを天井に平に配置し、その上に AP3700 を取り付けることで整然とした設置が実現しました。次の図 10 に示す設計では、AP の配置と -60 に定義されたセル エッジを確認できます。この場合は、満室の場合に 5 dB の減衰に対応できます。2.4 GHz は無効になっていますが、室内で 2.4 Ghz が必要な場合は、3 つのチャネルをサポートできます。

図 10. 設計ソリューションのモデル

設計および実際の導入で使用される出力レベルは、必要最小限のデータ レートが 24 Mbps の場合に 11 dBm です。これまでの数年間、この設計は十分機能していました。この部屋で開催された最初の大きな会議で見つかった問題は、クライアントが室内の AP 間で期待どおりに均等に分散されなかったことです。599 のアソシエーションのうち、次の図 11 内の下部の左から 2 番目の AP には 38 クライアントのみがアソシエーションしています。後ろの壁に沿って立っている人がいたため、後ろの列の AP のクライアント数がやや多くなりました。理想的な部屋の専有状況が AP あたり平均 75 程度であるのに対し、メイン ステージの真正面では 38 クライアントのみでした。

図 11. AP あたりのアソシエーションしているユーザ数

ステージの正面(実際は上)にある AP を調査したところ、AP が正しく設置されていないことがわかりました。これは、次の図 12 で確認できます。ステージ上の埋め込み式天井にライトとカメラとともに設置されています。鋳鉄製の消火管のすぐ後ろにあり、AP のパターンが大幅に変更されています。最良の結果を期待する以外にできることはありませんでした。この事実を公開した理由は、実際に起こることだからです。設計された配置に従わなかったり、利便性のためにこれが変更されたりすると、当初の目的が満たされることはまずありません。

図 12. スプリンクラー管の背後に設置されたアンテナの画像

この問題にもかかわらず、室内でのエクスペリエンスについて苦情が寄せられることはありませんでした。そのため、AP あたり 50 ユーザの方法を見直すことになりました。なんらかの問題が発生し、その後も再び発生する場合、それを管理できるかどうかは適切な設計にかかっています。2 倍の座席数で部屋がフラッシュ モブ状態になっても、リソース(IP アドレス、DHCP キャパシティ、コアへのバックホール)が使い果たされない限り、Wi-Fi は使用可能です。

影響を受けているセルのクライアントが、近くにあるその他の AP に接続していることがよくわかります。つまり、その真後ろにある AP(124 クライアント)です。室内の通信時間パフォーマンスは期待どおりで、午前中には部屋が新規クライアントでいっぱいになり、高ピークにおける負荷時の 5 GHz のチャネル使用率が 40 ~ 45% に維持されていました。午前のセッションの数時間以内に部屋には総計 384 GB が供給されました。

図 13. 研修室の AP の総パフォーマンス量

現在、既存の AIR-ANT2566D4M-R アンテナを再利用して AP 3800 でアップグレードし、 AP の数を 8 台から 4 台に減らす設計が検討されています。これを実施するには、アンテナの取り付け方を変える必要があります。アンテナを部屋の中央に背中合わせで取り付け、古い設計と同じ 8 つのセクションを別の角度からカバーするようにします。アンテナを床と平行にするのではなく、60 o 下に傾けます。更新したアーキテクチャ向けの設計は次のとおりです。

図 14. AP3800 を使用した 8 つの 5 GHz セル向けの設計

図 14 に、予想されるカバレッジ全体を示します。下の図では、各セルのカバレッジがわかりやすいように 3 つのインターフェイスのみを示しています。うまく機能するでしょうか。はい。なぜそれがわかるのでしょうか。そのことについては、次の使用例で詳しく説明します。

企業の研修室と中規模ホールの設定に関する推奨事項

次に進む前に、上記の部屋の設定と、その設計を管理するために有効になっている機能について説明します。

  1. すべての AP は同じ AP グループに含まれ、設定はその AP グループに適用された RF プロファイルを使用して管理されます。
    図 15. 研修室または小規模ホール向けの RF プロファイルの設定
  2. RF プロファイルの設定

    1. 802.11

      1. 使用する必要最小限のデータ レートを高めに指定し、それ未満をサポート対象外としてセル サイズを削減します。

      2. 研修室内のユーザからのトラフィックを研修室の境界に物理的に近づける必要があります。最小データ レートを上げるには、高い SNR を取得してアソシエーションできる AP にクライアントを近づける必要があります。これにより、使用可能なセル サイズが効果的に削減され、指定期間中に接続したすべてのクライアントがそれ以上のデータ レートのみを使用することになります。

      3. データ レートの高いトラフィックは通信時間使用率および干渉範囲を削減します(信号の復調には高い SNR が必要で、そのレベル以下では、信号が送信アクセス タイマーを変更できないノイズと見なされます)。

      4. MCS の設定は、すべて有効になっています(デフォルト)。MCS は 802.11n および 802.11ac の HT レートに適用されます。これらを変更する必要はありません。すべてのプロトコル(802.11a/n/ac)で、管理とシグナリングに 802.11a が使用されます。管理フレームのみ変更する必要があります。

    2. RRM

      1. TPC

        1. 11 dBm の設計出力レベルをサポートするように最小と最大を設定します。最小は 6 dBm、最大は 30 dBm です。

        2. TPC v1 ~ v2 の出力しきい値は -65 に設定されていますが、上記の最小と最大によってこの AP グループの設定が上書きされます。

      2. DCA
        1. Avoid Foreign AP interference = オン

        2. Channel Width:設計上の許容値に従う

        3. High Speed Roam = 無効:これは想定どおりに機能しません。具体的には高速ローミング(電車が徐行ではなく高速でプラットフォームを通り過ぎるようなもの)のプロファイル内に含まれます。

        4. DCA Channels(設計によって異なる):グローバル プロファイルですべてが有効になっている場合は、ここでもすべて有効にします。

      3. カバレッジ ホールの検出(変更なし)

      4. トラップのプロファイルしきい値
        1. 干渉 20%

        2. クライアントは 75(会議室とは異なります)で、多くの人がこれらの AP を使用することが予測されます。ここで意味のあるトラップを設定すると、AP に不当に多くの負荷がかかった場合のみにアラートを受け取ります。

        3. ノイズ -65 dBm と使用率 65% の両方によって妨害アラームが削減されます。

    3. High Density:RX-SOP low

    4. Client Distribution:デフォルト値

  3. AVC:有効
    1. デメリットはなく、メリットはクライアントによるネットワークの使用状況を把握できるということです。

    2. アプリケーション制御ポリシーは、同じアプリケーションを想定して周囲のスペースと同様である必要があります。

Wi-Fi の RF の基礎を見直す場合は、『Enterprise Mobility 8.5 Design Guide』の「WLAN RF Design Considerations」を参照してください。

使用例 3:大規模なイベント/講義、基調講演、会場

問題の発生が考えられえるエリアを管理する使用例をいくつか取り上げ、課題に対処する方法に関してアイデアを紹介してきました。うまくいけば、対象で適切な帯域幅を取得できるパターンが最初から形成され、互いの RF から分離された正しい数のセルが役割を果たします。これは、対象が 1 つの会議室でも、サッカー スタジアム全体でも(もちろんアメリカン フットボールでも)変わりません。ここまでは、一般的な高さの天井(2.5 メートルほど)を扱ってきました。大きなリングに足を踏み入れれば、文字どおりすべてのサイズが大きくなります。

シスコが定期的におこなっていることの 1 つに、世界中で数回開催される会議とイベントがあります。当社はここから 2 つのものを得ています(イベントの成功に対する興奮と満足感とは別です)。
  1. 高い公開レベルで、変化しつづける業界に適宜触れることで、クライアント市場がどのように適応と採用の面で変化していくかがわかります。

  2. ソリューションを評価し、同じ会場(ほとんどの場合)で年を追うごとに生じるずれを特定できます。

CiscoLive や GTX といったシスコ独自の会議だけでなく、その他にシスコ内部のイベントも毎年いくつか行っています。会場にシスコ製品を展開した複数の大規模なショーの NOC に定期的にスタッフを配置しています。

スペインのバルセロナにある大規模な会場が、当社が定期的に参加するいくつかのショーの開催地になっています(CiscoLive ヨーロッパ 2018 と GSMA のモバイル ワールド コングレス)。ここでの焦点は、この設計ガイドの目的である基調講演ホールの高密度環境です。

この例はホール 1 です。ここは、コンベンション センター ホールの内部いっぱいに構築された大規模なシアターです(45 X 50 m に 1200 席)。防音材と断熱材を備えた大規模なテントのような構造で、夏にフィールドの中央に設営することもできます。コンベンション センターは、平均 12 メートルの高さの天井に取り付けされた AP 3702e モデルと AIR-ANT2513P4M-N(13 dBi 30 X 30 度)アンテナによって、280 平方メートル(3,000 平方フィート)のセルでホール全体をカバーしているため、かなり高性能な会場です。ただし、アルミニウム被覆のシートと屋根を覆う高密度フォームが使われているため、構造に含まれる絶縁体が RF の通過を妨げます。

このソリューションとして、ホール専用のオーバーレイを設計します。300 人~最大 1200 人収容できるホールが全部で 6 つあります。

最初の課題です。この規模の場合、毎年のホール配置とテーマ変更でフロア図面を用意するので、使用可能な CAD 図面が必ずあります。実際のホールのサイズは変わりませんが、レイアウト(ステージ、画面、AV)は定期的に変更されます。2018 年のレイアウトについては、以下の図 16 を参照してください。

図 16. モバイル ワールド コングレスのホール 1

図 17 の下のほうには 2 階を示した側面図があります。スタジアム席がホールの右側(後ろ)にあることがわかります。これは床よりも 3 メートル上にあり、床の上の座席が下に並んでいます。この図には、音声/ビデオ レールの位置とそこに取り付けられるコンポーネントも示されています。これが、AP とアンテナを取り付ける場所です。AP とアンテナは床上 7 メートルに設置します。

図 17. ホールの側面図の詳細

AV レールへの AP の取り付けは大変な作業のように思えますが、少しの計画と準備によってそれほどではなくなります。結局はすべての照明と AV 機器がレールに取り付けられるので、取り付けも取り外しも簡単です。詳細については別途記します。

当然ながら、もう 1 つの方法は座席の下への設置です。こちらの方が簡単でシンプルに感じるかもしれませんが、このホールの場合は床も持ち込まれます。メインの配線幹には床が設置される前にアクセスする必要があり、そのためには、座席が設置される前に正確な位置に穴をあける必要があります。要するに決して実用的な方法ではなく、使用していないときに座席底面がはね上がる金属製のシアター シートなので、ソリューションとしても堅牢ではありません。したがって、床の上で邪魔にならずに AP を置ける場所はどこにもありません。座席下メソッドは、ホテルの宴会場など、カーペット敷きの床に椅子を配置する環境ではより実用的です。座席下や手すりへの取り付けは、配管および NEMA ボックスがあるスタジアムで、必要な場所に信号を届ける方法が他にない場合に使用されています。最後にもう一度、radio がなければ Wi-Fi もありません。

この会場や類似の会場(コンベンション センター、競技場および多目的スタジアム、大規模なホール)で主に使用するアンテナは 3 つです。

ここでは、高密度向けに最も役立つアンテナをいくつか紹介します。AIR-ANT2566D4M-N は上記の使用例で登場しましたので、ここでは他のラインナップをご覧ください。これらはすべて 3800e DART コネクタで使用でき、デュアル セルのカバレッジを提供します。

図 18. 高密度専用アンテナ

データ シートへのリンクを次に示します。これらはすべて、優れた F/B 率と形状を備え、境界が明確で小規模なセルをサポートする高性能のアンテナです。「実際に」必要であったからこそ自分たちで製作しました。参考までに、データ シートですべての 4 つの要素がマッピングされていることを確認してください。さまざまな取り付け方法があります。

AIR-ANT2513P4M-N

AIR-ANT2566D4M-R

AIR-ANT2566P4W-R

大規模な見本市で、計画なしでうまくいくことなどあり得ません。通常は、それぞれの年の終わりに来年のイベントについて計画を開始します。多くの場合、ネットワークとロジスティクスの計画を 6 ヵ月で行い、若干の調整とマーフィーの法則の希望だけをイベントの前の週まで残しておきます。

ホール 1 は 5 GHz 専用に実装されます(1200 席)

AV レールを取り付ける高さは 7 メートル(22 フィート)です:28 X AIR-ANT2566D4M-R

radio あたり 50 で 1200 席 = 28 X 5 GHz インターフェイス = 14 X 2800e および DART ケーブル デュアル 5 GHz モード

20 Mhz で 28 X 5 GHz チャネルが必要 = BW 20 MHz

14 のスイッチ ポート + アップリンク

AV レールに取り付ける場合、レールの計画と吊り下げを担当するのは「吊り下げ担当者」です。天井からレールを「吊り下げる」ために使用する各ポイントには、重量の制限があります。AP とスイッチの位置に加え、各コンポーネントの重量情報を提供することはごく一般的です。LED 照明や、あらゆるものの小型化のおかげで、重量は大した問題ではなくなっています。また、AP とアンテナは他の装置やケーブルと比べても比較的軽量です。吊り下げ担当者のスケジュール調整が鍵になります。

デザインの考慮事項

どのような設計であれ、最初の手順は、上記に要約される要件(規模やユーザ数)を理解することです。次に、物理的に異なるエリアの数や、ホール内の配置とキャパシティの解決方法など、詳細を確認します。ホールの側面図を見ると、基本的に 3 つの異なるカバレッジ ゾーンがあることがわかります。

図 19. ゾーンの設計
  1. オープン フロア席:AV レールは均等に 7 メートルでカバーします。

  2. バルコニー:頭上に AV 構造はなく、近くの AV を使用します。座席は AV レール レベルの高さの 4 メートル下にあります。

  3. バルコニーの下:天井は 3 メートルで、天井と上に座る人の影になります。底上げが必要な場合があります。

    エリア 1 のオープン フロアについては、デュアル 5 GHz の AP とアンテナを真上に取り付ければ解決します。アンテナ傾きは -90 °または床と平行にします。2 つのアンテナの方位角と方向は、互いに若干相殺させてオーバーラップを軽減します。次のモデルは、床で -55 dBm のカットオフ値、高さが 7 メートルなので、92 平方メートル(1,000 平方フィート)のセルを示しています。

    図 20. オープン フロア エリアの -90 度下への傾きのカバレッジ

エリア 2 のバルコニーについては、もう少し創造性が必要です。真上に取り付けることはできず、カバーする座席はマウント AV レールの取り付け高さのわずか 4 メートル下にあります。座席をカバーするために、各セクションの正面に簡単に配置された最も近いレールに取り付けて、アンテナの下への傾きを使用して背後の座席にエネルギーを投入します。-21、-28、および -43 度の下への傾き角度を使用して、最も優れたカバレッジ計画を作成できたとしても、角度については注意が必要です。アンテナ間で角度をわずかに変更する場合、すべてを正しい角度にすることはほぼ不可能です。最も慎重な設置担当者にとっても難しい課題となることでしょう。-45、-60、および -90 が一般的な角度です。ほとんどのシナリオでは、デフォルトで -90 が使用されています。

図 21. バルコニー席の -45 度下への傾き

結果のモデルは同じセル サイズを示しています。床が技術的に近くなっても、角度によってカバレッジが適切に形成されます。現実的に、突出部分の正面に座っている人々もこれらのアンテナのカバレッジに入っています。これにより、アンテナから 5 ~ 12 メートル離れているユーザも問題なくアンテナを使用できます。

図 22. バルコニーのカバレッジの側面図

バルコニーの下になる 3 番目のエリアがカバーされずに残っています。特にスタジアム席が置かれて人が座った後は、信号がバルコニーの木製およびスチール製のフロアを通り抜けて使用できることはほぼ期待できません。ただし、一部の反射信号は得られます。設計では、くぼみが最も深い両側の突出部分の下に AP が取り付けられています。ただし後で、実際に 1 台の AP を取り付けて突出部分の下の隙間を埋める方法がないことが判明しました。希望する方法で解決できない場合もあります。ただしこれまでのところ、数式から取り残されているのはすべてこのホールの周囲にある廊下です。このホールの背後(実際には座席のすぐ近くで、バルコニー階の下)にオフィスがあります。さらに、薄い壁があります。次の図は、1 階のオフィスと、薄い仕切り壁の反対側の座席にある AP の場所を示しています。AP は 3800i モデルですが、そのカバレッジ(出力およびデータ レート)は、ホール内で提供されるカバレッジとバランスがとられ、非常によく機能していました。

図 23. 突出部分の問題を解決するその他の周辺 AP

図 24 に示したホール 1 の計画カバレッジは、デュアル 5 GHz radio AP のオーバーラップ セルで十分にカバーされています。右側は完全にカバーされていますが、左側ではセルの形状を示すために、一部の AP のみが有効になっています。

図 24. ホール 1 の最終的な設計カバレッジ

要件が解決されて、物理的な設置場所で取り組む作業を把握したら、設計上の AP を配置していきます。配置は、使用できる取り付け方法と一致している必要があります。カバレッジとキャパシティでバランスのとれた類似セルによって、一貫性のあるユーザ エクスペリエンスが実現されるため、常に均一なセルを目指してください。次に、このような密度の高いカバレッジによってこの部屋にもたらされたいくつかの課題を確認しましょう。

AP を配置する場所と方法がわかったら、次に検討すべき課題は、実際にクライアントですべての AP を使用するということです。クライアントは主に、特定の AP に参加するかしないかの基準を独自のルール、および条件の認識(AP 側の見識とは明らかに異なる)に基づいて決定します。クライアントはどのようにロード バランシングを行い、これらのセルに分散するのでしょうか。セルは正確にはオーバーラップしません。したがって、2 つの異なるカバレッジ領域を作成すると、その 2 つのちょうど真ん中に座らない限り、クライアント アンテナの 2 つの信号には若干の違いがあります。クライアントのローミング ロジックには、よく知られているものがあります。たとえば、Apple では信号が -70 dBm を下回るとローミングが開始されます。ただしこの部屋では、電話機を 2 ~ 3 人で使用しない限り発生することはありません。802.11v が役立ちます。クライアント デバイスは、信号品質、SNR、相対的なデューティ サイクル、およびその他のあまり知られていない項目にも基づいて、ローミングに関する決定を行います。データ レートが十分に高く設定されている場合は、使用可能な信号の違いがさらに強調されます。最後に、デバイス自体の特定のスキャン パターンがあります。各デバイスは、古いチャネルを変更する条件が満たされるとすぐに、新しいチャネルの検出を開始します。スペクトラムでのスキャンを開始するチャネルによって、最初に検出される AP/インターフェイスが決まります。いずれの場合も、AP 上のインターフェイスは最小で 100 MHz ごとに区切られるため、デバイスが同時に両方を検出することは考えられません。実際には、入室が行われて全員が移動し、約 5 ~ 10 分後に着席すると、設定が正しくて、データ レートの高さが十分であれば、AP のインターフェイス上のユーザのバランスが効果的に維持されます。

設計の調整

この設計は実際にインターフェイスに割り当て可能なチャネルの数を超えているため(これは ETSI 向けです。使用できるのは 21 チャネルのみで、インターフェイスは 28 あります)、セルの分離を評価して増やす方法について考えていきます。直接隣接している同じホール内に多くの AP がある場合、またはこのホール構造内でさまざまなタスクが実行されている場合、この設計はさらに複雑になります。同一チャネル干渉は、キャパシティに悪影響を及ぼします。

幸い、Cisco 802.11 ワイヤレス製品は、シスコの Neighbor Discovery Protocol を使用して他のすべての radio インターフェイスに関連するため、すべての radio インターフェイスの RF 距離に関して、RF グループ リーダーからシステム全体のビューを活用できます。その仕組みは、このマニュアルでは取り上げません。動作の対象、理由、方法については、RF グループ化および NDP プロトコルに関する『RRM (Radio Resource Management) White Paper』を参照してください。まずは、NDP はすべての Cisco AP によって送信される特殊なパケットであることを把握してください。これは、特に AP の動作に使用されるチャネルおよび出力を示したブロードキャスト メッセージです。同じ RF グループ内の Cisco AP はすべて、ネイバー NDP パケットの RSSI 値をリッスンして報告します。これにより、他の AP を認識する方法と他の AP から認識される方法の両方がわかります。

AP 間のネイバー メッセージングを確認する方法は複数あります。状況に応じて Cisco Prime マップに表示でき、WLCCA(WLC 構成アナライザ)で解析された show run-config ファイルを使用して完全に公開します。いずれの方法でも、先に進む前に評価する必要があります。

最初に、RRM を使用して、割り当てられた適切なチャネル計画を立てます。RRM の DCA(動的チャネル割り当て)アルゴリズムは、必要に応じて、簡単にチャネル割り当てを管理します。DCA アルゴリズムは安定した動作状態を前提に調整されることを理解しておくことが重要です。安定した状態では、Wi-Fi 通信のバースト特性により短時間にさまざまな干渉が発生します。短時間の「イベント」への瞬間的な応答としてチャネル変更が発生することはありませんが、「トレンド」への応答としては発生します。チャネル変更は、特にリアルタイム通信に悪影響を及ぼす可能性があります。

DCA のスタートアップ モードは、積極的な一連の DCA 実行によって安定した状態の条件を上書きし、可能な限りセル間の RF 距離を最大化して、チャネル割り当てを最適化できるキャリブレーション モードと見なされます。14 台の AP により、すでに高密度になっているチャネル環境に 28 の新しい 5 GHz インターフェイスが追加されます。DCA は最終的に時間をかけて新しいネットワークのバランスをとりますが、そのような時間の余裕はありません。AP を追加または除去する場合や、提案を大幅に変更する場合に、DCA を待つ必要はありません(推奨もされていません)。たとえば、通常のネットワークでチャネル帯域幅を 40 から 80 MHz に変更すると、使用可能なチャネル数が半減されます。これは大幅な変更にも該当します。この場合は、DCA の再起動をお勧めします。

すべての radio が起動して安定したら(NDP の解決に 30 分程度かかります)、RF グループ リーダー WLC の CLI から DCA の再起動を開始します。RF グループ リーダーとは、RF グループの RRM プロセスが存在し動作する場所です。RF グループ リーダー WLC の IP アドレスと名前は、GUI から確認できます([wireless] > [802.11a/b] > [RF Grouping])。CLI で次のコマンドを開始します(802.11a および 802.11b に対して 1 回ずつ実行。ただし 802.11b については必要な場合のみ)。

Config 802.11a/802.11b channel global DCA restart

これにより、10 分間隔で 100 分にわたる 10 回の DCA サイクルが開始され、安定した動作状態でサポートされるすべてのダンプニング メカニズムが中断されて、感度が上がります。進行状況を確認するには、Show advanced 802.11a/802.11b channel コマンドを発行して、残りのサイクルと完了までの時間の詳細を表示します。

これが完了すると、適切なチャネル ソリューションを得られます(または条件に基づいて適切なソリューションを得られます)。次に、結果を確認します。Cisco Prime(図は 3.2)を使用して AP をマップに配置している場合は、AP の動作の関係と全貌を簡単に確認できます。これは、状況に応じて、AP が物理的に配置されている場所について実行することもできます。

Prime には、割り当てられたチャネル、出力、チャネルの使用率、アソシエーションしているクライアント数をリアルタイムで確認するなど、複数のオプションが用意されており、マップ画面で直接実行できます。AP 自体に表示される情報タグを変更するだけで、利用可能なコンテキストをすべて確認できます。

図 25. Prime 3.2 のマップに表示された AP の情報とメトリック

RF ネイバー関係は、AP にカーソルを合わせてポップアップ メニューから RX ネイバーを選択するだけで簡単に表示できます。選択した AP と、各 RX ネイバーによる認識状況が表示されます。

図 26. Prime 3.2 の RX AP ネイバー関係

上記の図 26 に表示されているメトリックは、RAW NDP レコードです。NDP は常に規制チャネルで許可されている最大出力でパケットを送信するため、この情報は重要です。したがって、この測定値は最悪のシナリオを表しています。すべての AP の出力レベルが 1 の場合、表示される RSSI は実際の RF 距離を表します。

ここで重要なのは、自身のネットワークからの干渉です。なぜなら、これは管理できるためです。不正デバイスからの干渉は困難な問題で、管理可能性は低くなります。同じ部屋にチャネルを必要とするインターフェイスが 28 あり、近接しているので、同じチャネルを使用して、次の AP との RF 距離を知る必要があります。NDP は同じ装置(AP + アンテナ)で送受信され、AP 間の実際の伝送パスを表します。同じチャネルで -70 dBm より上で動作する装置があると問題が発生します。別の AP 上にカーソルを合わせると、現在選択している AP と同じ詳細データが表示されます。この方法で、設置されているすべての AP を確認します。

WLCCA ツールを使用してネイバー関連情報を表示することもできます。このツールはダウンロードして自由に使用でき、ネットワークを調整したり詳細を確認したりできる便利なツールです。Wireless Lan Controller Config Analyzer (WLCCA) で登録後、シスコ サポート コミュニティからダウンロードできます。これらのファイルを解析するクラウド ベースの自動 WLCCA プラットフォームもありますが、ここでは、ローカル ツールを使用してデータを変換します。シスコ サポート コミュニティのページには、次の場所にあるこのツールの最適なトレーニングが用意されています。 https://supportforums.cisco.com/t5/user/ssoregistrationpage?dest_url=https:%2F%2Fsupportforums.cisco.com%2Ft5%2Fwireless-mobility-videos%2Fwebcast-how-to-use-the-wireless-lan-controller-configuration%2Fba-p%2F3371495

コントローラから必要なファイルを収集するには 2 つの方法があります。CLI から SSH を使用する(負荷が少なくコントローラが 1 台で AP の数が少ない場合)、または GUI の [Commands] > [Upload File] で [Upload File] オプションを使用するか、コマンド ラインで support-bundle または run-config のいずれかのデータタイプを指定して transfer upload ユーティリティを使用します。サポート バンドルには、収集したデータの一部として show run-config ファイルが含まれています。RF グループ内のすべてのコントローラのファイルが必要です。WLCCA ツールで一度にすべてのファイルを開いて整理できます。

ツールへのロードが完了したら、[Devices] > [RF statistics] > [5 GHz] > [AP-Groups] を選択し、目的の AP グループを選択します(ここでは GV_Hall4_Aud1)。これにより、そのグループ内の AP のみが表示され、AP ごとに RF における一般的なヘルス状態に関する詳細情報が提供されます。次の図 27 を見ると、左から 11 列目に [Highest Neighbor on Channel] というラベルが付いており、この AP の稼働チャネルで検出された最大ネイバーの RSSI が dBm 単位で表示されています。その左の 3 つの列は [RX Neighbors] であり、ネイバーの合計数が表示されます。[RX Neighbors] の数値から、ネットワークの密度がわかります(ネイバーが多いほど高密度状態になります)。最も近いオンチャネル ネイバーの RSSI は潜在的な最悪の干渉を表します。

図 27. WLCCA の RF 統計情報の出力(5 GHz)

同じチャネル上のネイバーの場合、カーペット敷きのオフィスではネイバーが -70 dBm 以内にある必要があります。この部屋の AP の密度は高いですが、指向性アンテナがあります。この部屋は、満員になったときにフロア レベルで 5 ~ 8 dB まで下がることが予想されます。-70 の場合、アセスメント用に調整されたターゲット値は、+5 dB で -65、+8 dB で -62 になります。

上記の図 27 に示した RF 統計情報出力の先頭は、チャネルの最大ネイバーです。これによると、オンチャネル ネイバーが -57 dBm の AP0051 が最悪のケースです。これが良いか悪いかを決定する前に、AP0051 の AP 隣接ネイバーを確認して、ネイバーの詳細を知る必要があります。そのためには、[AP Nearby Info]、[RX Neighbors]、[Find AP by Name in Nearby] の順に選択し、AP0051 を検索します。

図 28. AP 隣接情報の検索

多くの役立つ詳細情報が含まれている、AP0051 のネイバーのリストが生成されます。このリストに移動する方法は上記のとおりです。問題は、AP0051 のネイバー AP が我々のチャネルで -57 dBm で検出されることです。潜在的にかなり近いため、その RSSI で同一チャネル干渉が発生する可能性が高いです。次の図 29 に示した隣接レポートの例では、調査対象の AP に関する情報が左上隅に表示されています。関係する列について以下で説明します。

  1. Heard Channel:AP0051 で NDP が受信されたチャネル。

  2. Heard Power:AP0051 で受信された RAW NDP RSSI。これは、radio のチャネル/周波数帯の最大出力で送信されます。

  3. Compensated Heard Power:送信側の実際の送信出力に対して修正された NDP の出力です。

  4. Configured Channel:送信側 AP が動作しているチャネルです。
    図 29. 隣接ネイバー分析

最初に理解すべきことがいくつかあります。オフ チャネル動作中に無線が提供されることで、NDP がすべてのチャネルで送信されます。AP もまた、オフ チャネル動作中に受動的にリッスンしている間に、すべてのチャネルで NDP を受信します。

図 29 の赤い番号付きマーカーに沿って説明します。

  1. AP0051 の動作チャネルの 1 つにチャネル 40 があります。この AP はデュアル 5 GHz モードで動作しているため、実際には 2 つの動作チャネルが存在します(2 を参照)。

  2. 最初の 2 つが AP0051 のエントリです。radio はどちらも 5 GHz なので、それぞれが互いの最大ネイバーです。各エントリの設定チャネルに注目してください。AP0051 はチャネル 40 および 132 を使用しています。信号の大きいネイバーはいずれかで検出されます。

  3. AP0028 のエントリは、この AP がチャネル 132 で受信出力 -57 dBm で検出されたことを示しています。これは、懸念のあるネイバーです。チャネル 132 の -57 dBm は一致します。幸いなことに、実際に動作しているのはチャネル 52 であるため、干渉の問題はありません。たとえチャネル 132 で動作していたとしても、[Compensated Heard Power] の値によるとセルは -69 dBm で動作します。-69 であって -70 ではありません。対処法がなくても問題ないということです。[Compensated Heard Power] によって AP の現在の出力レベルに応じて NDP 値が調整され、セルの実際のトラフィックの受信レベルが示されます。

  4. 懸念されるその他の種類の干渉として、隣接チャネルがあります。これは、AP0051 のいずれかのチャネルの隣接にあるチャネルです。AP0051 のチャネル 40 に近いチャネル 44 で動作している AP のエントリが 2 つあります。ただし、近すぎるわけではありません。

  5. AP0028 のこれらのエントリと、その 3 行下にあるエントリは、AP0051 と AP0028 の両方がデュアル 5 GHz で動作し、AP0051 が合計 4 つの AP0028 エントリの両インターフェイスのネイバーとして、AP0028 の両方の radio を受信していることを示しています。

まとめると、上記の同じプロセスを使用して、黄色で色付けされた部分(-65 より上)について RF 統計情報出力から収集された AP のリストを作成し、上記のようにそれぞれを簡単に確認できます。

しかし、RRM が代わりにこれを実行してくれたら、確認する必要はなくなります。RRM は信頼できるでしょうか。もちろん信頼できます。この実例で説明したように、とても適切に機能します(DCA が再初期化され、最初にこのチャネル ソリューションを取得します)。ただし、会場には 1200 人の経営幹部が着席し、自由主義世界の報道陣の大部分が参加しますので、何度もチェックしました。

この実例では、データをすばやく除外するプロセスを示します。たとえばホール 1 の AP グループに属さない AP が、ホール内のいずれかの AP で検出されると、室内の AP の RF 統計情報にチャネル上のネイバーとして登録されます。上記の隣接 AP リストを確認すると、AP0318(バック オフィスの AP の 1 つ)が見つかります。これが問題の AP である場合は、RF グループのメンバーである限り表示されます。

最後は WLCCA と show run-config ファイルについてです。NDP は、非常に動的な環境で安定性を目的としてキャッシュされます。show run-config ファイルとは特定の時点のスナップショットで、含まれるデータはその期間を表します。AP はチャネル変更を検出できます。AP は除去されてもシステムに 15 分間~ 1 時間は表示され、その後削除されます。これを念頭に置き、実稼働中の AP を詳しく調べる際には古いファイルを使用しないようにしてください。

緩和策:現実的に評価してソリューションを工夫する

設計要件にとって潜在的な問題となる干渉源が室内に存在すると仮定しましょう。空中の障害物が必ずしも問題の原因とは限らないため、まずは問題を詳しく調べて明らかにします。たとえば、ヨーロッパの CiscoLive 基調講演では、2 ~ 3 年連続して巨大な 4K プロジェクタが登場しています。これに付属するブロードキャストする Wi-Fi インターフェイスは、160 MHz 802.11ac チャネルを使用します。しかし、「申し訳ありませんが、画像の視聴か、Wi-Fi の利用のいずれかを選んでください」というわけにもいきません。ところが、装置を操作する担当者に確認すると、Wi-Fi のスペクトルを維持するためにケーブル接続を使用していることがわかりました。室内で 160 MHz チャネルを視聴している間、ビーコン以外は何も発生せず、まったく問題はありませんでした。したがって、まずは「現実」を評価して、それから「何ができるか」を確認しましょう。

パフォーマンス:最重要

このホールがどう機能したのかを、その違いも含めて説明し、最後は設定とベスト プラクティスで締めくくります。次の図 30 の表を見ると、ホール 1 にある AP ではチャネルの使用率(通信時間使用率に相当)が 50% を超えていません。黄色は XOR フレキシブル ラジオ(スロット 0)、濃い青色は 5 GHz 専用(スロット 1)、赤色はクライアント数、および水色の線はグラフの Y 軸の 50% ラインです。

図 30. ホール 1 の AP のユーザ数を関連付けたチャネル使用率(1 週間)

情報開示:AP0017 はアンテナの DART コネクタが破損しています。これは設置後に発生することがありました。インターフェイスが 2.4 GHz に戻ったので、シャットダウンすることになりました。その範囲の座席では、AP に接続できませんでした。

下の図は、ホール 1 の 4 日間の合計ユーザ数を示しています。火曜日の午前(2 日目)に大規模な基調講演が行われ、そのイベント中に同時接続したクライアントは 1200 を超えています。室内の負荷はアクティビティによって異なるので、その部屋で実施されたあらゆるイベントにすべての AP が使用されたり、必要であったりしたわけではありません。備えあれば憂いなしということです。

図 31. 4 日間のショー中のホール 1 のユーザ数

この部屋はうまく機能し、会場内の他のホールも同様に機能しました。会場の全体図は、1 階構造を増強する AP のみを実質的に示す 1 層です。この会場に使われている都市のような構造のほとんどは 2 階建てで、頭上の AP は最上階と共有エリアに対してのみ有効です。したがって、1 階に AP が多く設置されます。

図 32. ホール 4 のその他の AP

200 m X 80 m のホールに 140 台の AP が設置され、壁と天井はすべて金属製、床は非常に硬いコンクリートです。これは、あらゆる点でファラデー ケージだと言えます。実際には、8 つのホールすべてが高密度設計ケースで、複数の小規模ソリューションと要件が機能しています。これは、ヨーロッパで GSMA のモバイル ワールド コングレスを主催したスペインの Fira Barcelona での実際の使用例です。毎年 10 万人以上の参加者が集まります。

ネットワーキングの観点から見たこの会場と 2018 ショーに関する興味深いデータ。

図 33. スペインのバルセロナで開催された GSMA モバイル ワールド コングレス 2018 の会場全体のネットワークに関する情報

設定に関する推奨事項:大規模なイベント/講義、基調講演、会場

図 34. 大規模な基調講演、ホール用の RF プロファイルの設定

最終的な設定は使用例によって若干異なりますが、馴染みのあるテーマもあるはずです。大規模なホールでのこの使用例と規模が 1/4 の場合の使用例との唯一の違いは、最小/最大出力の設定です。ここでは、6 dB ゲインのアンテナにもかかわらず、その取り付け高さのため、床への出力をもう少し追加する必要があります。干渉とクライアントのロード バランシングに関する現実的な懸念もあります。最大出力割り当てを定義することにより、1 つの AP の出力が誤って大きくなって、適切な割り当てを超えるクライアントを引き付けることがないようにします。

高密度における機能

高密度領域に実質的に適用される多くの機能がこれまでに開発されてきました。.『High Density Experience (HDX) Deployment Guide』を参照してください。ここでは、高密度クライアント機能に関することの一部を取り上げます。機能の概要全体については、HDX の完全なガイドを参照する必要があります。

何千ものデバイスが特定のサイトに導入される一般的な HDX(高密度「エクストリーム」)の導入シナリオでは、多数のローミング ワイヤレス デバイスの使用が想定されます。このような環境では、デバイスのプローブ頻度全体に大きな影響が及ぶため、可能な限り迅速にデバイスをワイヤレス ネットワークにアソシエーションさせることが常に最優先事項になります。したがって、デバイスで迅速にインターネットへの接続を検出し、可能な限り速やかに「オンボーディング」を完了します。どうしてですか。

アソシエーションせずにスタジアム上の数千のデバイスがプローブを行うと、チャネルの使用率やノイズ フロアはすぐに著しいレベルまで引き上げられます。そのため、できるだけ速くデバイスを接続して不要なアクティビティを軽減することが重要なのです。

ハイレベル アーキテクチャの場合、ほとんどの AP がローカル/クライアント サービング モード(中央スイッチング)で設置されます。これには、次のような理由があります。

  • キー キャッシングのスケーリングによって、100 台の AP(FlexConnect グループの現在の上限)だけでなくネットワーク全体をカバーできる

  • WLC と AP 間のパケット損失から生じる状況(アソシエーション フレーム、EAPoL、dot1x フレームの EAP、DHCP が送信中に失われることで、オンボーディングの遅れが生じたり、負荷が大きいときにアソシエーション/認証試行が失敗したりする)を回避できる

  • 基盤となるネットワーク構成が簡素化されるため、AP ポートを簡単にアクセス モードにして会場全体を適切に保護し、広く公開されている会場での「ポートの不正使用」を回避できる

設定の詳細

前述したように、できる限り速やかにネットワーク上でクライアントを取得することが第一です。一般的な考慮点を次に示します。

  • アソシエーションを遅延させる可能性がある機能(ロード バランシング、バンド セレクト、最適化されたローミングなど)を使用しないでください。これらの使用目的は HDX ではなくエンタープライズ導入なので、使用は絶対に避ける必要があります。

  • 一般に、2.4 GHz は適していません。最近の大規模なイベントのほとんどは、5 GHz のみでサービスを開催しています。そのようなイベントでは、限定的な重複しないチャネル数(国によっては 3、4)により、適切なキャパシティ密度の RF 設計をサポートできる十分なチャネルが確保されます。また、2.4 GHz では大量の干渉が発生する可能性があります。これに加え、2.4 GHz は伝搬距離がより長いことでカバレッジ エリアも広くなるため、HDX での選択には適していません。過去の経験に基づき、単に無効にするか、名前に「レガシー」とマーキングした、会場のヘルプ デスクでサポートされない別の SSID を作成することをお勧めします。

  • 2.4 がどうしても必要な極端なケースでは、11b レート(1、2、5.5、11 Mbps)を完全に無効化します。

  • 公共の会場の場合、通りすがりのデバイスが「偶発的」にアソシエーションしないように、通常は SSID が WPA2-PSK で保護されます。または、出展者固有のサポートが必要な会場では WPA2 dot1x が使用されます。これにより、dot1x プロビジョニング プロセスの処理に必要なサポートを提供できます。簡略性を考慮して最も多く使用されるのは PSK です。

  • Passpoint を使用するとユーザ エクスペリエンスが著しく簡素化されます。バルセロナで行われた GSMA の MWC2018 では、ユーザの 10% が HS2.0 と Passpoint を経由して参加しました。Fierce Wireless を参照してください。

  • コントローラからは、WebAuth や WEP などの機能を回避する必要があります。スプラッシュ ページが必要な場合は、拡張性のため、Web ページの挿入を処理する外部のアプライアンスを使用することをお勧めします。これには、ISE が最適です。

  • クライアント除外を有効にして、設定に誤りのあるデバイスによるネットワークへの悪影響を回避することを推奨します。

  • WLC コード 8.3 または 8.5 を使用する場合は、Adaptive FT が推奨されます。ダイレクト 802.11r/FT は、古いデバイスとの相互運用性という問題の要因になる可能性があるため使用しないでください。これは Adaptive オプションを使用することで回避できます。

  • 802.11w(PMF)は、一般にクライアント側のバグが原因で古いデバイスとの相互運用性に問題が生じる可能性があるため、使用しないでください。

  • 802.11k/v オプションを有効にして、デュアル バンド オプションの使用を回避する必要があります。

  • マルチキャスト転送またはブロードキャスト転送は有効にしないでください。mDNS が必要な場合は、mDNS プロキシ機能の使用を試みてください。

  • IPv6 転送は、使用しない場合は無効にします。

  • データ プレーン IP リアセンブルを最適化するには、TCP MSS オプション(通常、IPv4 の場合は 1300、IPv6 の場合は 1250)を有効にします。

  • Aironet 拡張機能を無効にします。

  • セキュリティ上の理由により、WLAN で DHCP 必須オプションを有効にすることをお勧めします。

  • ネットワーク エッジにある AP に悪影響が及ぶ可能性があるため、アイドル タイムアウトを増やさないでください(たとえば、クライアントが会場を離れた場合など)。

  • WLAN の Wi-Fi ダイレクト フィルタリングは有効にしないでください。現時点では、この機能によって一部の Android バージョンがブロックされます。

  • 顧客によっては、クライアント間の攻撃を回避するためにピアツーピア ブロック モードを使用しています。これは、クライアント間通信が不要な場合に適しています(たとえば、同じネットワークにアソシエーションしている 2 つのクライアント間の音声コールは中断されます)。

  • カバレッジ ホール検出は無効になっています。

  • CleanAir が有効になっていて、非 Wi-Fi 干渉に影響がある場合にフラグを設定して修正処置を実行するために、モニタリングが行われます。

  • 全体の負荷を軽減するために、WLAN AAA 中間アカウンティングは無効になっています(コード 8.2 以上では実際必要ありません)。

  • ブロードキャスト キー ローテーションを 24 時間に設定して、クライアント側の不具合を回避します。

  • GARP 転送は無効になっています。

  • モビリティ グループは MWC の共通 RF スペースを共有する WLC のみに制限されます。2 つの会場は離れていますが、ローミングする必要はありません。

セキュリティ

  • management via wireless は無効になっています。

  • SNMPv2 は使用されません。トラップに必要な場合は、IP アドレスによる読み取り専用を使用します。

  • CPU ACL は、クライアント サブネットワークをブロックするように設定されています。

  • デフォルトの SNMP コミュニティとユーザを削除します。

RF 処理

  • 不正 AP ポリシーは重要です。一般に、大規模な会場では、不正 AP を探して軽減するチームが編成されています。会場の RF ポリシーが、イベントの前に出展者によって承認されている必要があります。承認されていないと、結果的に混乱が生じる可能性があります。

  • すべてのチャネルをモニタするように DCA が設定されています。

  • 不正 AP の競合はどのような場合も回避する必要があります。

  • 自身の SSID を悪意のあるものとしてマーキングするルールを作成すると、この SSID を使用する不正 AP に対してアラートが発せられます。

  • Clean Air が有効になっていて、2.4 の BLE 署名は無効になっています。

  • 上記の設定に示されているとおりに、RX-SOP(Receive Start Of Packet)が使用されます。干渉が近くにあり、別の方法で調整できない場合は、中程度まで増やすことができます。

  • 一般に、最適化されたローミングは高密度クライアント環境では使用されません。カバレッジは、座ったまま動かない人を対象に設計されています。入退場と、その後のロード バランシングではローミングが必要です。AP 配置が均一で一貫している限り、当該のデータ レートで処理します。これに関して問題がないことを確認してください。問題がある場合は最適化されたローミングが適していますが、かなり緩めに設定してください。余分にオーバーラップしているセルを管理するしきい値を選択して、一貫した結果を得るのは困難です。

  • RF プロファイルの DCA は、必要な出展者ネットワークとのチャネル共有を調整するきめ細かなチャネル プランを提供するために使用できます。RF プロファイルから共有チャネルを削除します。AP は予約済みのチャネルを使用しません。

  • DBS(ダイナミック帯域幅選択)は適用できません。これは、キャパシティ要件およびチャネル可用性に基づいて 20/40 MHz 用に設計されています。

  • DFS(動的周波数選択)は常に有効になっています。

特別な状況とソリューション

必要な場所に AP を設置することは最も難しいことの 1 つのようですが、キャパシティへの到達ということを考慮すると、解決すべき最も重要な問題と言えます。「radio なしでの Wi-Fi はあり得ない」。皮肉めいた言い方に聞こえるかもしれませんが、これは絶対的な真実です。実際のところ、AP は扱いにくいと思われています。多くの場合、美意識の高い人(イベントの飾り付けのスタイルやカラー コーディネイトを担当する人達)は、スタイリッシュなデザインではない「何か」が目に入ると、すべてが台無しになると思い込みがちです。他にも回避する必要がある制約事項があり、そのすべては必要に迫られて作成された他のルールやポリシーと同様です。2 ~ 3 例を挙げると、安全性とセキュリティ、建築家などがあります。重要なのは、ポリシーの所有者に連絡することです。両当事者がすべての疑問点を理解すれば、妥協案が見つかります。代替策は必ず存在するのです。

場合によっては、重要なことを押し付けられて、計画が贅沢であると見なされることもあります。誰にでも起こることです。少しの時間があれば、より良い結果を出すためにできることが必ずあります。たとえば、これらは特に見栄えがよいわけではありませんがほとんど見えません。また、隅に単独で設置された屋内モデル AP よりもはるかによく機能します。

図 35. 手元にあるものを緊急時に使用する:問題の解決

忘れられない経験の 1 つに、ホール内の 2 つの階を使用した会議があります。2 階は接客と報道陣用に使用されました。この 2 箇所には十分に安定したインターネット アクセスが必要です。さもなければ、こちらが問題に気づく前に、その人々は接続を見つけてすべての友人にこのことを伝えてしまいます。残念ながら、この 2 階は特に、ホール内のプロバイダー ネットワークだけでなく、ベンダーの多数の RF が存在するオープン ホールの上にありました。2 階は事実上、電子レンジ内の棚でした。床自体は RF の観点から言うとそれほど厚くなく、結果として著しい干渉が発生しました。3602i モデルの AP を作業デスクの真下に上向きに取り付け、AP の背面を床および干渉の方に向けました。これは問題なく十分に機能していました。翌年、それらの両方のグループをマイクロ波の外に配置できる適切な場所が見つかりました。問題について考えてみると、たいていは改善するためにできる何か単純なことが見つかります。

上記の設計および AV 取り付けの場合は、AP2800e をデュアル 5 GHz モード(2 X 5 GHz セル、1 X イーサネット ケーブルおよびポート:より単純化されます)で使用します。アンテナと AP を Showtec 連結器と延長棒(メインの AV レールと同じサイズの器具)を使って個別に取り付け、これを室内の AV レールに連結します。

次の写真を見ると、連結器とアンテナ マウントがあります。2 つの間にある意図的に曲げられた金属部分によって、アンテナ マウントを連結器に取り付けることができます。連結器とアンテナの間の金属製ブラケットは特注品で、100 個を想定した場合は、地域の製造業者から 1 個あたり約 3 ドルで入手できます。連結器はインターネット上で常に 20 ドル未満で見つかります(最も重いものは必要なく、AP と両方のアンテナで 10 ポンド/4 kg を超えることはありません)。この投資により、支持具を基底部(地面)に置いたまま、全体を迅速に取り付けることができます。その他の部分を吊り下げる担当者との調整を効率的にうまく行う必要があります。レールを持ち上げるまで床で行う作業が多く、後からも同様に床上で行うことが多いため、これは常に慌ただしい作業となります。装置は一旦引き上げたら、ショーが終わるまで下ろしません。

図 36. AV レールのクイック連結とアンテナ アダプタによる迅速な吊り下げと引き下ろし

AP とアンテナに加えて、すべての接続と電源投入を行う必要があります。Cisco Catalyst 3560CX(8 または 12 ポート)コンパクト スイッチを使用します。カバレッジ プラン用の同じ図面で設置する前に、十分に実行計画を立てます。一般には、必要に応じてケーブル配線を行うケーブル スタッフが用意されますが、ケーブル配線を正しく把握すれば周到な準備も整います。最後に、電源が必要になります。支持具内にスイッチを置くか、徹底的な方法を使用するかで意見が分かれることがあります。これは、ある一定の距離または規模で論点になります。ただし私としては、動くものは壊れる可能性があるということを主張してきました。支持具で吊り下げられた 14 本の LAN ケーブルは、その労力に見合わない場合があります。2 本程度の(常にバックアップ アップリンク)LAN ケーブルと 1 本の電源ケーブルとともに持ち上げたほうが、その際の管理上の問題も少なくなります。結局、この方法はくまなくすべてのケーブルをテープで固定して AP を配置するよりも時間がかかりません。しかも、この方法はよりうまく機能します。

図 37. デュアル 5 GHz アンテナとともに AV レールに取り付けられている AP

最後に、言うまでもありませんが、吊り下げる前に必ずすべてをテストしてください。これは当然のことと思われるかもしれませんが、最初にテストしなかったために、高所が得意ではないのに高いはしごを使って作業している多くの人を見かけることがあります。

一般的な一時ソリューション

より一般的な一時的設置向けのその他のソリューションについて説明します。これらはすべて、オフィスのロビーや駐車場での大規模なイベントと同様に、小規模の一時的な要件に十分適用可能です。必要な場所に AP を配置することが重要です。

一時的な AP スタンドは、スピーカー スタンド(バンドや DJ が使用するタイプ)のようにシンプルです。土台は幅広で安定性があり、見栄えはとくに良いわけではありませんが、一般に黒色で周囲に溶け込みます。その他のソリューションも、会場内のいくつかのエリアで引き続き利用されています。特に多くのインフラストラクチャを使用する CiscoLive 向けの次のような簡易ディスプレイ スタンドなどがあります。

図 38. 必要な場所に AP を配置:見た目の良い AP スタンドの例。多くの場合、地域のディスプレイ会社からレンタルできます。

地域のディスプレイ専門企業は、デザイン性の高い製品を用意しているはずです。図 38 のスタンドの土台はスチールで、ある程度の重量があります。これは内蔵アンテナ モデルですが、ほとんどの場合、長い通路や下記のような共有エリアでは、AIR-ANT2566P4W-R などの指向性アンテナ モデルが使用されます。以下の図 39 と 40 に別の例を示します。支柱は、一般的な AV レールと同じ直径です。AV レール向けのホール ソリューションの場合と同じ取り付け方法を使用できることに注目してください。これなら、どこでも簡単に実施できます。

図 39. スタンドアロン AP スタンド専用ハードウェア:デュアル 5 GHz モード
図 40. 市販のハードウェアを使用したデュアル 5 GHz の取り付け

暗い場所に光(Wi-Fi スペクトラム タイプ ライト)を当てたり、隙間に小容量を追加したりする(床がスチール張りのダブル デッキ展示ブースの下の階など)別の方法では、AP1810/AP1815 のようなウォール プレート型 AP を使用します。これらで十分に代用できます。RRM の場合、これはむしろマイクロ/マクロ モデルになります。ただし、チャネルがある限りカバレッジを追加することができます。このモデルは、通常は展示ホールで使用されます。最初は、このソリューションが天井の高ゲイン アンテナとともにどのように反応するかという懸念がありました。RRM は十分機能し、結果のセルがかなりうまく抑制されて、管理が容易でした。

これが独自のアイデアを生み出すきっかけになることを願います。物事の組み合わせは、常に必要条件から生まれます。常に柔軟性と創造性を心がけ、ダクト テープ、粘着テープ、アメリカ製のテープを購入するためにもホームセンターなどへの道程を把握し、プロセスを楽しみましょう。