この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この付録では、Cisco uBR10000 シリーズ Cable Modem Termination System(CMTS; ケーブル モデム ターミネーション システム)の機能およびパフォーマンスに重点をおいて、DOCSIS の全般的なアーキテクチャと拡張機能の概要を説明します。
DOCSIS の概要および機能についての包括的な説明は、Cisco.com の次のマニュアルを参照してください。
• 『 DOCSIS 1.1 for Cisco uBR7200 Series Universal Broadband Routers 』
• 『 Cable FAQs 』
(注) このマニュアルの発行時には、DOCSIS 1.1 仕様の作業はまだ完了していませんでした。この資料では、http://www.cablemodem.com/specifications.htmlにある DOCSIS 1.0 および 1.1 仕様を引用しています。
データは北米 DOCSIS 仕様に基づいて変調および復調されます。この仕様では、ダウンストリーム 6 MHz チャネルの範囲は 54 ~ 860 MHz、アップストリームの範囲は 5 ~ 42 MHz です。ケーブル インターフェイスは、EIA-S542 準拠の STD(標準)、Harmonic Related Carrier(HRC)、または Incremental Related Carrier(IRC)の各周波数プランを使用する NTSC チャネル運用をサポートします。
NTSC では、6 MHz 幅の変調信号を 25 フレーム/秒および 525 本/フレームのインターレース フォーマットで使用します。NTSC は、ドイツ、英国、オランダ、オーストラリア、その他で使用する Consultive Committee for International Radio(CCIR)標準 M. PAL と互換性があります。
(注) Cisco 6 MHz 製品は、Cisco 8 MHz ケーブルプラントで使用できます。ただし、27 Mbps の最大ダウンストリーム帯域幅で動作し、利用できるチャネル幅のうちの 2 MHz は無視されます。また、アップストリームのチャネル選択は、42 MHz 未満の範囲に限定されます。
DOCSIS RF 仕様では、CMTS と CM(または STB 内蔵 CM)間の RF 通信経路が定義されています。DOCSIS RF 仕様では、物理レイヤ、リンクレイヤ、およびネットワークレイヤの観点から、通信インターフェイスが定義されています。この仕様には、出力レベル、周波数、変調、符号化、多重化、およびコンテンション制御に関する仕様が含まれています。シスコシステムズは、すべての DOCSIS エラー訂正符号化、変調タイプ、フォーマットをサポートし、DOCSIS Annex B 動作をサポートする製品を提供しています。
北米のチャネルプランをサポートする DOCSIS 準拠のケーブルプラントでは、ITU J.83 Annex B RF を使用します。図A-1に、DOCSIS 双方向アーキテクチャを示します。
大規模なケーブル会社は通常、次のケーブル会社機構間でインターネットデータ、音声、ビデオを伝送する高速光ファイババックボーンを導入しています。
光ファイババックボーンは、OC-3 ~ OC-48(155 ~ 2488 Mbps)Synchronous Optical Network(SONET; 光同期伝送網)または Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)リングで構成できます。バックボーン ネットワークは、Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆交換電話網)を含めた他のネットワーク、他のケーブル システム バックボーン、または複数の ISP が使用するパブリックなインターネット インターコネクト ポイントに接続できます。
CMTS MAC ドメインには、通常、1 つまたは複数のダウンストリームパスおよび 1 つまたは複数のアップストリームパスが含まれます。CMTS の構成に応じて、1 つのケーブル インターフェイス ライン カードにダウンストリームを設定し、別のカードにアップストリームを設定するように CMTS MAC ドメインを定義することができます。また、各ケーブル インターフェイス ライン カードに 1 つまたは複数の CMTS MAC ドメインを定義できます。
シスコシステムズでは、ヘッドエンドの内部ネットワーク内のバックボーンとイーサネット間で、対話型トラフィックをルーティングする高速ルータを提供しています。シグナリング プロトコルにより、トラフィックを転送するためのルーティングテーブルを自動生成して保守し、障害を通知してネットワーク内で再ルーティングを行うなど、トラフィックを最適にルーティングするために必要なネットワーク インテリジェンスが提供されます。
Border Gateway Protocol(BGP)は通常、ケーブル事業者の地域ネットワークと外部ネットワーク間で動作し、異なるネットワーク間でルーティング情報を交換できるようにします。Open Shortest Path First(OSPF)プロトコルは通常、地域ネットワークで使用されます。DOCSIS NTSP ケーブルプラントの場合の BGP の詳細については、 「DOCSIS NTSC ケーブルプラントの概要」 を参照してください。
ポリシー伝達(Policy Propagation)機能は BGP 属性を利用するパケット分類機能で、BGP ルーティング アップデートにより宛先ベースのパケット分類ポリシーを大規模ネットワーク全体に伝達する、優れた適応性のある手段です。
IP 優先順位クラスまたは QoS グループ ID を BGP の community 値と対応づけ、次に顧客がネットワーク管理者から購入したサービスクラスに基づく、該当する community 値で顧客のプレフィクスにタグを付けます。
次に、標準の BGP プロトコル動作ではパスが選択され、community 値が対応する IP 優先順位クラスにマップされ、対応するルーティング プレフィクスと共に高速転送テーブルに組み込まれます。それ以降、選択された宛先プレフィクスに高速転送されたパケットには、該当する IP 優先順位値でタグが付けられます。このように、パケット分類ポリシーは、多数のルータごとに複雑なアクセスリストを作成および配置することなく、BGP を介して段階別に伝達されます。これによって重要な顧客へのリターン トラフィックがネットワークによって重要トラフィックとして処理されます。
ダウンストリーム信号は、使用するcable interface カード、ケーブルプラント、およびデータの重要性に基づいて、QAM 64 または QAM 256 の QAM で変調されます。DOCSIS では、CMTS と CM(または STB 内蔵 CM)間の通信について、メッセージタイプとデータタイプを定義しています。CM はすべて、自身が登録されているダウンストリーム チャネル上で伝送される全フレームを待ち受け、宛先が装置または CM のサポートデバイスと一致するフレームを受け付けます。
Cisco uBR10000 シリーズ CMTSは、Protocol Independent Multicast(PIM)、Distance Vector Multicast Routing Protocol(DVMRP)、Internet Group Management Protocol(IGMP)などの標準プロトコルを使用するマルチキャストグループをサポートし、マルチキャスト ストリームを指定されたダウンストリーム CM または STB に転送するのか、またはマルチキャスト ルーティング ピアに転送するのかを判別します。
Cisco uBR10000 シリーズのソフトウェアは、ネットワーク上のすべての CM に対して、MAC 割り当ておよび管理メッセージ(別名 MAP)を定期的に送信し、特定時間内のチャネル伝送のアベイラビリティを定義します。MAP は固定レートです(2 ミリ秒間隔で送信されます)。
SID に関連して、それぞれ異なる伝送インターバルが定義されます。SID は、伝送デバイスを定義し、デバイス ID およびサービス管理クラスを設定します。インターバルの間に許可される伝送タイプは、ソフトウェアによって定義されます。
CMTS のシステム管理者は通常、CM が必要とするサービスクラスに応じて、1 つの CM に 1 つまたは複数の SID を割り当てます。各 MAP は、特定のアップストリーム チャネルに関連づけられます。SID の構想では、複数のデータフローがサポートされ、IP バックボーンの QoS 機能を CMTS まで拡張するプロトコルを使用できます。CMTS は、パケットの送受信に与えられる時間をスケジューリングし、定義されている場合は、QoS に合わせて IP パケットヘッダーの ToS フィールドを操作します。
(注) Cisco IOS Release 12.2XFのソフトウェアは DOCSIS 1.0 拡張をサポートしているので、同様に DOCSIS 1.0 拡張をサポートしている DOCSIS 1.0 準拠の CM またはケーブル RF CPE デバイス(Cisco uBR924 ケーブル アクセス ルータまたは Cisco uBR910 ケーブル データ サービス ユニットなど)と相互運用できます。
DOCSIS 1.0 拡張は、CMTS が音声対応 CM に送信する MAP ファイルにインテリジェンスを組み込み、ジッタおよび遅延に対処します。拡張仕様では、CMTS と CM の間の固定ビットレート形式のストリームの作成に使用される非送信請求の許可をサポートします。これは、アップストリームを伝送するには、先に CM の要求が CMTS から許可される一般のデータ アプリケーションとは対照的です。
アップストリーム チャネルの特性は、CMTS に対して送信する多数の CM(または STB 内蔵 CM)によって決まります。これらの信号は通常、バーストモードで伝送されます。アップストリーム チャネルにはタイムスロット(時間枠)が設定されます。
CMTS はタイムスロットを提供し、各アップストリーム時間の運用を制御します。CMTS は、ダウンストリームのブロードキャスト MAP メッセージでミニスロット構造の標準マッピングを送信します。CMTS は、すべての CM が使用できるコンテンション ブロードキャスト スロットを割り当て、さらに、特定の CM からのユニキャストまたは非コンテンション データ用にアップストリーム ミニスロットを割り当てます。
CMTS は、アップストリーム上に 2 つの基本タイプのコンテンション スロットを割り当てます。
• CM がネットワークに加入するために初期化フェーズで使用する初期レンジング スロット。CMTS はこのタイプのスロットを使用する CM から初期レンジング要求を受け取ると、以後、稼働している他の CM と共に、この CM をユニキャストの非コンテンション ステーション メンテナンス スロットでポーリングします。
• 非コンテンション モードでアップストリーム データを送信するときに、CMTS にデータ認可を要求する目的で CM が使用する帯域要求ミニスロット。すべての CM はこのタイプのミニスロットを使用することによって、CMTS にデータ認可を要求できます。
初期レンジングスロットのストリームと帯域要求ミニスロットのストリームは、アップストリームで 2 つの独立したコンテンション サブチャネルを形成します。Cisco IOS Release 12.2XFのソフトウェアは、「MAP 単位のダイナミック帯域要求ミニスロット」アルゴリズムを使用して、初期レンジングおよび帯域要求に対応するコンテンション スロットのレートを動的に制御します。CMTS は共通アルゴリズムを使用して、2 つのアップストリーム コンテンション サブチャネル内で CM が使用するバックオフ パラメータを変更します。CMTS はこれらのアルゴリズムにより、スロット式アップストリームに割り当てる初期レンジングスロットおよび帯域要求ミニスロットを動的に決定します。
重大な電源障害後に電源が復旧すると、多数の CM が同時にネットワークに加入しようとします。その結果、初期レンジング サブチャネル上でインパルスロードが発生します。この状況になると、CM が迅速にネットワークに加入できるように、CMTS は初期レンジングスロットの周波数を増加します。
アップストリームのデータの負荷が大きい場合、CMTS は不十分なアップストリーム チャネルの帯域リソースを節約し、アップストリームの初期レンジングスロットの導入を控えます。CMTS は、アクセス遅延を少なくするために、負荷が少ない状態で帯域要求ミニスロットをスケジューリングします。アップストリームの負荷が大きくなると、CMTS はデータ許可を優先させるためにコンテンションベースの要求ミニスロット数を減らし、要求スロット数を最小限に抑えます。
(注) システムはデフォルトで、自動ダイナミック レンジング インターバル アルゴリズムおよび自動ダイナミック レンジング バックオフがイネーブルに設定され、ケーブル インターフェイスの各アップストリームにデータバックオフが設定されます。ダイナミック コンテンション アルゴリズムを設定するコマンドは、次のとおりです。
[no] cable insertion-interval [automatic [Imin [Imax]] in msecs
[no] cable upstream port number range backoff [automatic] | [start | end]
[no] cable upstream port number data-backoff [automatic] | [start | end]
Cisco uBR10000 シリーズは、すべての CM に対して、定期的に Upstream Channel Descriptor(UCD)メッセージをブロードキャストします。これらのメッセージには、アップストリーム周波数、シンボルレートおよび変調方式、FEC パラメータ、他の物理レイヤ値などのアップストリーム チャネル特性が定義されています。
アップストリーム信号は、QPSK または QAM を使用して復調されます。QPSK では、信号搬送波の位相で情報が伝達されるのに対して、QAM では位相と振幅の両方を使用して情報が伝達されます。
ヒント ケーブルプラントがイングレスまたはノイズの影響を受けやすい場合は、データの重要性に基づいて、QPSK を使用することを推奨します。20 MH z未満の周波数はノイズが発生しやすいので、シンボルレートを低くしなければならないことがあります。周波数が高いほどサポートされるレートも高くなるので、この場合には、QAM 変調を使用します。
ネットワーク上で DOCSIS 1.0 準拠の CM をサポートするには、TFTP サーバ、DHCP サーバ、および ToD サーバが必要です。DOCSIS 1.0 準拠の CM は、これらのサーバが利用できない場合は起動しません。
ログサーバおよびセキュリティサーバは、CM の設定および運用には必要ではありません。ログサーバまたはセキュリティサーバが存在しない場合、CM は警告メッセージを生成しますが、起動が停止することはなく、正常に動作します。
ToD サーバおよび TFTP サーバは、RFC 868 および RFC 1350 の標準インターネット実装仕様です。UNIX ベースのオペレーティング システムを実行しているコンピュータの多くは、標準ソフトウェア機能として、ToD サーバと TFTP サーバを装備しています。通常、ToD サーバは UNIX inetdに組み込まれているので、追加設定は不要です。TFTP サーバは、標準ソフトウェアでは通常ディセーブルになっていますが、inetd.conf ファイルを書き換えることによってイネーブルに設定できます。Microsoft NT サーバソフトウェアには、サービス コントロール パネルでイネーブルに設定できる TFTP サーバが含まれています。Microsoft NT には、ToD サーバは含まれていません。いくつかのサイトから、Microsoft NT 対応 ToD サーバのパブリック ドメイン バージョンをダウンロードすることができます。設定については、 第3章「Cisco uBR10012 ルータのケーブル インターフェイス機能の設定」 を参照してください。
アップストリーム データを確実に送信することは、重要な問題です。しっかりしたアップストリーム アーキテクチャを設計するには、システムパラメータのバランスをとり、加入者データ要件を設定し、その要件をサポートするようにネットワークを設定する必要があります。
アップストリーム スペクトルは、ケーブルプラント間で大幅に変化します。安定したリターンパスの維持方法もまた、イングレスノイズおよびインターフェイスのパターンやレベルの変更に応じて異なります。ケーブルプラントの一般的な問題には、次のものが挙げられます。
• Carrier to Noise(C/N; 搬送波対雑音比)不均衡
• 所定のチャネル周波数で発生するその他のチャネルによるイングレス
システムを設定する場合は、使用するファイバノード、CM または STB がサポートする必須サービス、データの重要性、必要なパフォーマンス機能に基づいて、ダウンストリームおよびアップストリーム パラメータを設定します。
ケーブルプラントによってデータパフォーマンスが決まります。最小のコストでパフォーマンスおよび機能を最大化するようにネットワークを設計し、加入者のデータ要件を満たします。システムを熟知し、ネットワークの特性を決定したら、帯域幅の効率とアップストリーム チャネルの耐性との間のトレードオフを最大化するようにアップストリーム プロファイルを選択またはカスタマイズします。たとえば、QAM 16 で QPSK と同じ Bit Error Rate(BER; ビットエラーレート)を達成するには、C/N 比を約 7 dB 高くする必要がありますが、QPSK の 2 倍の速度で情報を伝送できます。
(注) 古いプラントおよび増幅器カスケード接続の長いプラントは、新しいプラントよりイングレスの影響を受けやすくなります。このようなプラントではノイズや信号レベルの変動が大きくなります。
ヒント アップストリーム方向ではすべての増幅器に対する入力を同じパワーレベルに保ち、ダウンストリーム方向ではすべての増幅器の出力を同じパワーレベルに保つことを推奨します。これを単位利得と呼びます。増幅器およびその他の機器を適切な周波数に調整してください。ケーブルプラントの安定性の特性を評価して向上させるには、Cisco.com の『Cisco uBR10000 Series Universal Broadband Router Hardware Installation Guide』に記載されている手順に従ってください。
DOCSIS ケーブルプラントには、現在のサービスに基づいてサイズを調整する次のトラフィックグループがあります。
• 基本インターネット アクセス データ。非対称形です。非対称トラフィックは、一方向(ダウンストリーム)で、他方向よりも高いデータレートをサポートします。
• VoIP トラフィック。固定帯域幅を必要とし、レイテンシやジッタに対する許容値が低く、一般的に対称形、つまり、ダウンストリームおよびアップストリームの両方向で同じデータレートをサポートします。VoIP は、通常、位相同期とジッタ減衰を必要とします。
• VPN トラフィック。安全な伝送を必要とします。在宅勤務者が個人インターネット アクセス カスタマーより多くアップストリームデータを交換するので、トラフィックは一般的に対称形です。
• ビデオ。ネットワークのサービスに基づいてデジタル ビデオ チャネルを組み入れることができます。
• シグナリングおよびメンテナンス ― DOCSIS MAC レイヤのサポートには、DOCSIS カプセル化、初期メンテナンス、ステーション メンテナンス、登録、周波数ホップ、およびアップストリーム チャネル変更が含まれます。
ネットワーク設計には広範なオプションがあります。ケーブルファシリティ(ヘッドエンドまたは分散ハブ)と予想されるサービス、加入契約、および必要なサービスレベルに基づいてネットワークを定義します。また、サポートする加入者数および加入者の利用形態に基づいてデータ要件を定義します。データ要件およびリターンパス特性に基づいてアップストリーム シンボル レート、変調方式、およびその他のパラメータを選択します。
サービスが非対称形の場合は、ダウンストリーム対アップストリームのデータレート比を決定します。トラフィックの大部分が加入者に送信され、加入者が少量のアップストリームデータしか送信しない基本インターネットアクセスでは、5:1 ~ 10:1 の比率を使用します。
サービスがどのデータレートをサポートするかを決定します。次の質問に答えながら、最大および最小のデータレートを定義します。最大値を基準にして最小のデータレートを定義しますか。最小のデータレートを最大のレートと同じにしますか。最大値の百分率にしますか。最小のデータレートをゼロにしますか。
(注) 最小データレートは、ネットワークに対して最も大きな影響を与えます。ネットワークは、このレベルのトラフィックに対応するようにサイズを調整し、定義されたサービスデータ要件を満たす必要があります。加入者グループが利用できる帯域幅によって、定義された最大および最小データレート内でグループ内の 1 人の加入者が運用できる領域が設定されます。
ビデオトラフィックのプランニングの用途では、一般的なビットレートを使用してチャネル内のビデオストリームの密度を計算します。QoS 計算の場合は、チャネル単位のビデオストリームの数を制限し、パケットの廃棄を防止します。重要なトラフィック パラメータは、いくつの IP ビデオストリームが RF チャネルに収まるかを決定するものです。
最大のデータレートで同時にアクティブな、すべての加入者をサポートするようにネットワークのサイズを調整するのが理想的です。この結果、ネットワークが高価になりますが、このようなネットワークでは、特に個人加入者に対して最大容量までフルに使用されることはほとんどありません。一定レベルの加入契約超過をサポートするようにネットワークを設計することを推奨します。
(注) 一定のデータレートで全加入者のある割合をサポートするようにネットワークを設定します。このレベルでは、ネットワークはすべてのアクティブユーザの帯域幅要求をサポートします。加入契約超過比率が十分に低い場合は、サービス定義に合致するので、すべての加入者は契約したサービスを受けます。
加入契約超過レベルを決定するパラメータには、次のものがあります。
• 同時ユーザのピーク比率 ― 必ずしもすべての加入者が同時にネットワークにアクセスするわけではありません。加入者のアクセス形態は、プロファイル、つまり、勤務時間、家族デモグラフィックス、ユーザタイプ(在宅勤務者または個人のインターネット アクセス カスタマー)に応じて異なっています。所定の時間にアクティブなのは加入者の一部だけです。この数値が「同時ユーザパラメータのピーク比率」(混雑時の加入者数)となります。
• 加入者あたりの平均データレート ― すべての加入者が同時にアクティブではないだけでなく、ピークレートが継続するわけでもありません。アプリケーションとして基本インターネットアクセスを使用すると、加入者が要求してダウンストリーム/アップストリームで送信するデータは、バーストされることがあります。したがって、加入者のグループは、サービスによって定義された最大レートに満たない平均データレートになっています。
(注) 一部のサービスでは、平均値が最大レートである場合もあります。VoIP はそのような応用例です。
どのように帯域幅のコンテンションが処理されるかは、定義されたサービスと個々のサービス定義の混合によって異なります。
サービス加入予約を行った家庭の比率も考慮すべき別の要因です。このパラメータをかなり控えめに設定した場合は、ネットワークは設計不十分となり、サービスが増大するように変更する必要があります。設定が大胆すぎる場合は、設計過剰となり、サービスコストが本来のものより高くなります。
サービスレベルをフルに取り入れるには、スケジューリング、キューイング プライオリティ、帯域幅割り当てなどのさらに高度なレイヤの項目が必要になります。このような項目は DOCSIS 1.0 拡張で扱われています。詳細は、このマニュアルの「Cisco uBR10012 ユニバーサル ブロードバンド ルータ ソフトウェアの概要」および関連する章を参照してください。
設計計算の詳細については、CIsco.com の『 Multimedia Traffic Engineering for HFC Networks 』(PDF フォーマット)を参照してください。