HSRP 認識 PIM
このモジュールでは、ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)のアクティブ ルータ(AR)経由で転送するマルチキャスト トラフィックをイネーブルにし、PIM(Protocol Independent Multicast)を許可して HSRP の冗長性を活用し、潜在的なトラフィックの重複を回避し、フェールオーバーをイネーブルにできるように HSRP 認識 PIM 機能を設定する方法について説明します。
HSRP 認識 PIM の制約事項
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HSRP IPv6 はサポートされません。
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ステートフル フェールオーバーはサポートされません。PIM ステートレス フェールオーバー時は、HSRP グループの仮想 IP アドレスがスタンバイ ルータに転送されますが、mrouting ステート情報は転送されません。PIM はステート変更イベントをリッスンして応答し、フェールオーバー時に mroute ステートを作成します。
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各インターフェイスの PIM がトラッキングできる HSRP グループの最大数は 16 です。
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PIM DR の冗長性プライオリティは、同じ RSRP グループがイネーブルになるか、または HSRP アクティブが DR の選択で成功しないデバイスの PIM DR プライオリティの設定値またはデフォルト値(1)よりも大きくする必要があります。
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デンス モードはサポートされません。
HSRP 認識 PIM に関する情報
HSRP
Hot Standby Router Protocol(HSRP)はフォールトトレラント デフォルト ゲートウェイを確立するためのシスコ独自の冗長プロトコルです。
このプロトコルは、プライマリ ゲートウェイがアクセスできなくなった場合にデフォルト ゲートウェイのフェールオーバーを実現できるようにネットワーク デバイス間にフレームワークを確立します。複数のデバイスは、IP アドレスと MAC(レイヤ 2)アドレスを共有することで単一の仮想ルータとして機能できます。仮想ルータ グループのメンバは常にステータス メッセージを交換し、あるデバイスが予定されたまたは予定外の理由によって稼働しなくなった場合に、別のデバイスがルーティング処理を請け負うことができます。ホストは、一貫した IP および MAC アドレスに IP パケットを送信しつづけ、ルーティングを実行するデバイスは透過的に切り替えられます。
HSRP は、ホストが Router Discovery Protocol をサポートしておらず、選択されたデバイスのリロードや電源故障時に新しいデバイスに切り替えることができない場合に有効です。また、既存の TCP セッションはフェールオーバーが発生しても存続するため、このプロトコルでは IP トラフィックをルーティングするためにネクスト ホップを動的に選択するホストの回復をさらに透過的に実行できます。
HSRP をネットワーク セグメントに設定すると、HSRP が動作するデバイスのグループ間で仮想 MAC アドレスと IP アドレスを共有できるようになります。この HSRP グループのアドレスが仮想 IP アドレスと呼ばれます。このようなデバイスの 1 つが、アクティブ ルータ(AR)としてプロトコルによって選択されます。AR は、グループの MAC アドレス宛のパケットを受信してルーティングします。
HSRP では、プライオリティ メカニズムを使用して、デフォルトの AR にする HSRP 設定済みデバイスを決定します。デバイスを AR として設定するには、他のすべての HSRP 設定済みデバイスのプライオリティよりも高いプライオリティをそのデバイスに割り当てます。デフォルトのプライオリティは 100 です。したがって、100 よりも高いプライオリティを持つデバイスを 1 つだけ設定した場合、そのデバイスがデフォルトの AR になります。
HSRP を実行しているデバイスは、User Datagram Protocol(UDP)ベースのマルチキャスト hello メッセージを送信および受信して、デバイスの障害を検出したり、アクティブ デバイスとスタンバイ デバイスを割り当てたりします。AR が設定された時間内に hello メッセージを送信できなかった場合は、最高のプライオリティのスタンバイ デバイスが AR になります。このようにパケット転送機能が別のデバイスに移行しても、ネットワークのいずれのホストにもまったく影響はありません。
複数のホット スタンバイ グループをインターフェイスに設定できるので、冗長デバイスおよびロード シェアリングを余すところなく活用できるようになっています。
HSRP は IP ルートをアドバタイズせず、また、ルーティング テーブルに影響しないため、ルーティング プロトコルではありません。
HSRP には、デバイスの 1 つ以上のインターフェイスに障害が発生した場合にフェールオーバーをトリガーする機能があります。これは、ヘッドエンドに戻す 1 つのシリアル リンクをそれぞれ持つデュアル ブランチ デバイスに役立つ場合があります。プライマリ デバイスのシリアル リンクがダウンした場合、バックアップ デバイスがプライマリ機能を引き継ぎ、ヘッドエンドへの接続を保持します。
HSRP 認識 PIM
PIM(Protocol Independent Multicast)には固有の冗長性機能がなく、その動作は Hot Standby Router Protocol(HSRP)グループ ステートに依存しません。その結果、IP マルチキャスト トラフィックは、HSRP によって選択されたものと同じデバイスによって必ずしも転送されるとは限りません。HSRP 認識 PIM 機能は、イネーブルになっている仮想ルーティング グループの冗長ネットワークで一貫した IP マルチキャスト転送を実現します。
HSRP 認識 PIM は HSRPアクティブ ルータ(AR)経由でのマルチキャスト トラフィックを転送することができるため、デバイスの HSRP ステートによっては、PIM は HSRP 冗長性を活用し、潜在的なトラフィックの重複を回避し、フェールオーバーをイネーブルにすることができます。PIM 代表ルータ(DR)は HSRP AR と同じゲートウェイで実行し、mroute ステートを維持します。
マルチアクセス セグメントで(LAN など)では、PIM DR 選択は冗長構成に対応していないため、選択した DR および HSRP AR が同じルータでない場合があります。PIM DR が RP または FHR に常に PIM Join/Prune メッセージを送信するようにするために、(HSRP グループが 1 つだけの場合は)HSRP AR が PIM DR になります。PIM はグループ ステートに基づく DR プライオリティの調整を担います。フェールオーバーが発生すると、HSRP グループによって選択された新しい AR 上にマルチキャスト ステートが作成され、その AR が HSRP 仮想 IP アドレスにアドレス指定されたすべてのトラフィックをルーティングし、転送する役割を引き受けます。
HSRP 認識 PIM をイネーブルにすると、PIM はデバイスが HSRP Active になった時点で PIM Hello 追加メッセージを各アクティブ HSRP グループの送信元アドレスとして HSRP 仮想 アドレスを使用して送信します。PIM Hello は、フェールオーバーに対応するための他のルータをトリガーするため、新しい GenID を伝送します。ダウンストリーム デバイスでこの PIM Hello を受信すると、仮想アドレスを PIM ネイバー リストに追加します。PIM Hello で伝送された新しい GenID はダウンストリームのルータをトリガーし、PIM Join メッセージを仮想アドレスに再送信します。アップストリーム ルータは、HSRP グループ ステートに基づいて PIM Join/Prunes(J/P)を処理します。
J/P の宛先が HSRP グループの仮想アドレスに一致し、宛先のデバイスが HSRP がアクティブ ステートである場合は、新しい AR が PIM DR として機能しているため、この AR が PIM Join を処理します。これにより、すべての PIM Join/Prune が HSRP グループの仮想アドレスに到達するため、ダウンストリーム ルータ側での変更とコンフィギュレーションが最小限に抑えられます。
IP ルーティング サービスが既存の仮想ルーティング プロトコルを使用して、基本的なステートレス フェールオーバー サービスを PIM などのクライアントアプリケーションに提供します。ローカルの HSRP グループ ステートの変更とスタンバイ ルータが担うタスクは対象のクライアント アプリケーションに通知されます。クライアント アプリケーションが IRS の最上部に構築され、ステートフルまたはステートレスのフェールオーバーを構築することがあります。HSRP クライアントとして PIM は HSRP からのステート変更通知をリッスンし、HSRP ステートに基づいて PIM DR のプライオリティを自動的に調整します。PIM クライアントも、新しい AR に mroute ステートを作成するためにフェールオーバーの時点でアップストリーム デバイスとダウンストリーム デバイス間の通信をトリガーします。
HSRP 認識 PIM の設定方法
インターフェイスでの HSRP グループの設定
始める前に
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デバイス上に IP マルチキャストがすでに設定されている必要があります。
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デバイス上に PIM がすでに設定されている必要があります。
手順の概要
- enable
- configure terminal
- interface type number [name-tag]
- ip address ip-address mask
- standby [group-number] ip [ip-address [secondary]]
- standby [group-number] timers [msec ] hellotime [msec ] holdtime
- standby [group-number] priority priority
- standby [group-number] name group-name
- end
- show standby [type number [group]] [all | brief ]
手順の詳細
| コマンドまたはアクション | 目的 | |||
|---|---|---|---|---|
| ステップ 1 |
enable 例:
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特権 EXEC モードをイネーブルにします。
|
||
| ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
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| ステップ 3 |
interface type number [name-tag] 例:
|
設定するインターフェイスを指定します。インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
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| ステップ 4 |
ip address ip-address mask 例:
|
インターフェイスに対するプライマリ IP アドレスまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。 |
||
| ステップ 5 |
standby [group-number] ip [ip-address [secondary]] 例:
|
HSRP をアクティブ化して HSRP グループを定義します。 |
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| ステップ 6 |
standby [group-number] timers [msec ] hellotime [msec ] holdtime 例:
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(任意)hello パケット間隔、および HSRP のアクティブ ルータまたはスタンバイ ルータのダウンを他のデバイスが宣言するまでの時間を設定します。 |
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| ステップ 7 |
standby [group-number] priority priority 例:
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(任意)HSRP のアクティブ ルータおよびスタンバイ ルータを選択しやすいように使用する HSRP プライオリティを割り当てます。 |
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| ステップ 8 |
standby [group-number] name group-name 例:
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| ステップ 9 |
end 例:
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
||
| ステップ 10 |
show standby [type number [group]] [all | brief ] 例:
|
設定を確認するための HSRP グループ情報が表示されます。 |
PIM 冗長性の設定
始める前に
HSRP グループはインターフェイス上で設定済みになっている必要があります。「インターフェイスでの HSRP グループの設定」を参照してください。
手順の概要
- enable
- configure terminal
- interface type number [name-tag]
- ip address ip-address mask
- ip pim redundancy groupdr-priority priority
- end
手順の詳細
| コマンドまたはアクション | 目的 | |
|---|---|---|
| ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードをイネーブルにします。
|
| ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
| ステップ 3 |
interface type number [name-tag] 例:
|
設定するインターフェイスを指定します。インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
| ステップ 4 |
ip address ip-address mask 例:
|
インターフェイスに対するプライマリ IP アドレスまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。 |
| ステップ 5 |
ip pim redundancy groupdr-priority priority 例:
|
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| ステップ 6 |
end 例:
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
HSRP 認識 PIM の設定例
例:インターフェイスでの HSRP グループの設定
interface ethernet 0/0
ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
standby 1 ip 192.0.2.99
standby 1 timers 5 15
standby 1 priority 120
standby 1 name HSRP1
!
!
例:PIM 冗長性の設定
interface ethernet 0/0
ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
ip pim redundancy HSRP1 dr-priority 60
!
!
HSRP 認識 PIM に関する追加情報
関連資料
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関連項目 |
マニュアル タイトル |
|---|---|
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Cisco IOS コマンド |
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IP マルチキャスト コマンド |
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HSRP コマンド |
標準および RFC
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標準/RFC |
Title |
|---|---|
|
RFC 2281 |
『Cisco Hot Standby Router Protocol (HSRP)』 |
MIB
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MIB |
MIB のリンク |
|---|---|
|
この機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。 |
選択したプラットフォーム、Cisco ソフトウェア リリース、およびフィーチャ セットの MIB を検索してダウンロードする場合は、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
シスコのテクニカル サポート
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説明 |
Link |
|---|---|
|
★枠で囲まれた Technical Assistance の場合★右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。これらのリソースは、ソフトウェアをインストールして設定したり、シスコの製品やテクノロジーに関する技術的問題を解決したりするために使用してください。この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
HSRP 認識 PIM の機能情報
次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。|
機能名 |
リリース |
機能情報 |
|---|---|---|
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HSRP 認識 PIM |
15.2(4)S 15.3(1)T 15.3(1)SY1 15.2(1)E |
HSRP 認識 PIM 機能は仮想ルーティング グループがある冗長ネットワークでの一貫した IP マルチキャスト転送を実現します。そのプロセスでは、Hot Standby Router Protocol(HSRP)アクティブ ルータを通じてマルチキャスト トラフィックを転送できるようにし、デバイスの HSRP ステートに応じて PIM による HSRP 冗長性の利用、潜在的な重複トラフィックの回避、およびフェールオーバーを有効にします。 |
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