RGMP の機能概要
RGMP は、無関係なマルチキャスト ルータにしか接続されていない Catalyst 6500 シリーズ スイッチ ポートからの、マルチキャスト トラフィックの送信を抑制します。RGMP はマルチキャスト トラフィックを受信するように設定されたルータにのみマルチキャスト トラフィックを転送して、ネットワークの輻輳を抑えます。
(注) RGMP を使用するには、Catalyst 6500 シリーズ スイッチ上で IGMP スヌーピングをイネーブルにする必要があります。IGMP スヌーピングは、ホストが接続されている LAN ポートからのマルチキャスト トラフィックの送信を抑制します。IGMP スヌーピングは、1 つまたは複数のマルチキャスト ルータが接続されている LAN ポートからのトラフィックは抑制しません。
(注) RGMP を動作させるには、すべてのルータおよびスイッチ上で、Protocol Independent Multicast(PIM)をイネーブルにする必要があります。現在サポートされているのは、PIM sparse(疎)モードだけです。
ネットワーク上のすべてのルータが RGMP 対応でなければなりません。RGMP 対応ルータは、RGMP Hello メッセージを定期的に送信します。RGMP Hello メッセージは Catalyst 6500 シリーズ スイッチに対して、ルータから Catalyst 6500 シリーズ スイッチに RGMP Join メッセージも送信された場合に限り、そのルータにマルチキャスト データを送信するように指示します。RGMP Join メッセージが送信されると、ルータはマルチキャスト データを受信できるようになります。
マルチキャスト データの受信を中止する場合、ルータから Catalyst 6500 シリーズ スイッチへ、RGMP Leave メッセージを送信する必要があります。ルータ上で RGMP をディセーブルにするには、ルータから Catalyst 6500 シリーズ スイッチへ、RGMP Bye メッセージを送信しなければなりません。
表33-1 に、RGMP パケット タイプの要約を示します。
表33-1 RGMP パケット タイプ
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Hello |
ルータ上で RGMP がイネーブルになっている場合、Catalyst 6500 シリーズ スイッチがルータにマルチキャスト データ トラフィックを送信するのは、グループに対して RGMP Join が送信された場合に限られます。 |
Bye |
ルータ上で RGMP がディセーブルになっている場合、Catalyst 6500 シリーズ スイッチはすべてのマルチキャスト データ トラフィックをルータへ送信します。 |
Join |
マルチキャスト MAC(メディア アクセス制御)アドレスに対応するマルチキャスト データ トラフィックが、レイヤ 3 グループ アドレス G からルータへ送信されます。これらのパケットは、RGMP パケットの Group Address フィールドにグループ G が指定されています。 |
Leave |
グループ G のマルチキャスト データ トラフィックは、ルータに送信されません。これらのパケットは、RGMP パケットの Group Address フィールドにグループ G が指定されています。 |
RGMP のデフォルト設定
レイヤ 2 LAN ポート上では、RGMP が永続的にイネーブルになっています。レイヤ 3 インターフェイス上では、RGMP はデフォルトでディセーブルに設定されています。
RGMP 設定時の注意事項および制約事項
RGMP を設定する際に、以下の注意事項と制約事項に従ってください。
• RGMP または PIM スヌーピングのいずれかを VLAN でイネーブルにできますが、両方同時にはイネーブルにできません。
• RGMP は、PIM sparse(疎)モードをサポートしています。RGMP は、PIM dense(密)モードをサポートしていません。ただし、RGMP では、2 つの AutoRP グループが dense(密)モードでサポートされます。これらのグループへのトラフィックは抑制されず、すべてのルータ ポートにフラッディングされます。そのため、PIM sparse-dense モードを設定する必要があります。AutoRP グループ以外のグループを dense(密)モードに設定すると、これらのトラフィックは、RGMP 対応ルータ ポートからは正しく転送されません。
• RGMP を使用してマルチキャスト トラフィックを効率的に抑制するには、RGMP 対応ルータを、RGMP 対応 Catalyst 6500 シリーズ スイッチ上の個別のポートに接続してください(VLAN インターフェイスは、この条件を満たします)。
• RGMP は、RGMP 対応ルータを検出した LAN ポートからのトラフィック送信を抑制するだけです。LAN ポート上で RGMP 非対応ルータが検出されると、その LAN ポートはすべてのマルチキャスト トラフィックを受信します。
• RGMP は、ネットワーク上の直接接続されたマルチキャスト送信元をサポートしていません。直接接続されたマルチキャスト送信元は、RGMP または PIM を介してシグナリングせずにネットワーク上にマルチキャスト トラフィックを送信します。RGMP 対応ルータは、RGMP を介したそのマルチキャスト グループからの受信をあらかじめ要求している場合以外、このマルチキャスト トラフィックを受信しません。この制約は、ホストおよびルータのマルチキャスト トラフィック送信機能( ping コマンドおよび mtrace コマンド、および UDPTN などのマルチキャスト トラフィックを送信するマルチキャスト アプリケーションなど)に適用されます。
• RGMP は、ネットワーク上の直接接続されたレシーバーをサポートしています。これらのレシーバーへのトラフィックは、IGMP スヌーピングによって抑制されるか、レシーバーがルータの場合には PIM および RGMP によって抑制されます。
• ルータ上で RGMP がイネーブルになっている場合、ネットワーク上の Cisco Group Management Protocol(CGMP)はサポートされません。レイヤ 3 インターフェイス上で RGMP および CGMP を両方ともイネーブルにすることはできません。レイヤ 3 インターフェイス上で RGMP をイネーブルにすると、CGMP は自動的にディセーブルになります。逆の場合も同様です。
• 次の RGMP の特性は、IGMP スヌーピングと同様です。
–RGMP は、送信元の IP アドレスではなく、マルチキャスト グループに基づいてトラフィックを抑制します。
–ネットワーク上でスパニングツリー トポロジーが変化した場合、CGMP のように、そのステートが消去されることはありません。
–RGMP は、RGMP 制御ネットワークで PIMv2 Bootstrap Router(BSR; ブートストラップ ルータ)を使用できるマルチキャスト グループ 224.0.0.x(x は 0 ~ 255)のトラフィックは抑制しません。
–シスコ製ネットワーク装置の RGMP は、IP マルチキャスト アドレス上ではなく、MAC アドレス上で適用されます。1 つの MAC アドレスに複数の IP マルチキャスト アドレスをマッピングできますが(RFC1112 を参照)、RGMP は 1 つの MAC アドレスにマッピングされた複数の IP マルチキャスト グループを識別しません。
–Catalyst 6500 シリーズ スイッチがトラフィックを抑制する性能は、スイッチの CAM(連想メモリ)テーブルの容量によって制限されます。
レイヤ 3 インターフェイス上での RGMP のイネーブル化
レイヤ 3 インターフェイス上で RGMP をイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface {{ vlan vlan_ID } | { type slot/port } | { port-channel number }} |
設定するインターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ip rgmp |
レイヤ 3 インターフェイス上で RGMP をイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ip rgmp |
レイヤ 3 インターフェイス上で RGMP をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router# debug ip rgmp [ name_or_group_address ] |
(任意)RGMP をモニタします。 |
次に、ポート FastEthernet 3/3 に RGMP を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface fastethernet 3/3
Router(config-if)# ip rgmp