RMON の設定
この章では、Catalyst 3750スイッチに Remote Network Monitoring(RMON)を設定する方法について説明します。特に明記しないかぎり、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを意味します。
RMON は、RMON 準拠コンソール システムおよびネットワーク プローブ間で交換可能な一連の統計および機能を定義する標準モニタリング仕様です。RMON は、ネットワーク障害診断、プランニング、およびパフォーマンス調整情報に関する総合的な機能を提供します。
(注) この章で使用されるコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンス、および『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』 Release 12.2 の「System Management Commands」を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「RMON の概要」
• 「RMON の設定」
• 「RMON ステータスの表示」
RMON の概要
RMON は、Internet Engineering Task Force(IETF)標準モニタ仕様で、各種ネットワーク エージェントおよびコンソール システムがネットワーク モニタ データを交換できるようにします。RMON 機能をスイッチの SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェントとともに使用すると、接続されたすべての LAN セグメント上のスイッチ間を流れるすべてのトラフィックをモニタできます(図29-1を参照)。
図29-1 RMON の例
スイッチは次の RMON グループをサポートします(RFC 1757 で定義)。
• 統計情報(RMON グループ 1) ― イーサネット統計情報(スイッチ タイプおよびサポートされるインターフェイスに応じて、ファスト イーサネットおよびギガビット イーサネット統計情報など)を収集します。
• 履歴(RMON グループ 2) ― イーサネット ポートに関する統計情報の履歴グループ(スイッチ タイプおよびサポートされるインターフェイスに応じて、ファスト イーサネットおよびギガビット イーサネット統計情報など)を指定されたポーリング インターバルで収集します。
• アラーム(RMON グループ 3) ― 指定されたインターバルの間、特定の Management Information Base(MIB; 管理情報ベース)オブジェクトをモニタして指定された値(上限スレッシュホールド)でアラームをトリガし、別の値(下限スレッシュホールド)でアラームをリセットします。アラームはイベントでも使用できます。アラームがイベントをトリガし、これによりログ エントリまたは SNMP トラップが生成されます。
• イベント(RMON グループ 9) ― アラームによってイベントがトリガされた場合の処置を指定します。この処置により、ログエントリまたは SNMP トラップを生成することが可能となります。
このソフトウェア リリースでサポートされているスイッチは RMON データ処理用にハードウェア カウンタを使用しているので、モニタがより効率的になり、ほとんど処理能力を必要としません。
RMON の設定
ここでは、次の設定について説明します。
• 「RMON のデフォルト設定」
• 「RMON アラームおよびイベントの設定」(必須)
• 「インターフェイスでのグループ履歴統計情報の収集」(任意)
• 「インターフェイスでのグループ イーサネット統計情報の収集」(任意)
RMON のデフォルト設定
RMON はデフォルトでディセーブルに設定されています。アラームやイベントは設定されていません。
スイッチでサポートされているのは RMON 1 のみです。
RMON アラームおよびイベントの設定
CLI(コマンドライン インターフェイス)または SNMP 互換 Network Management Station(NMS; ネットワーク管理ステーション)を使用することにより、スイッチを RMON 対応に設定できます。NMS 上で汎用 RMON コンソール アプリケーションを使用し、RMON のネットワーク管理機能を利用してください。また、RMON MIB オブジェクトにアクセスするようにスイッチの SNMP を設定する必要があります。詳細については、 第 31 章「SNMP の設定」 を参照してください。
RMON アラームおよびイベントをイネーブルにするには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は必須です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
rmon alarm number variable interval { absolute | delta } rising-threshold value [ event-number ] falling-threshold value [ event-number ] [ owner string ] |
MIB オブジェクトに対してアラームを設定します。 • number には、アラーム番号を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • variable には、モニタする MIB オブジェクトを指定します。 • interval には、MIB 変数をアラームがモニタする時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 4294967295 秒です。 • 各 MIB 変数を直接テストする場合は、 absolute キーワードを指定します。MIB 変数のサンプル間の変動をテストする場合は、 delta キーワードを指定します。 • value には、アラームをトリガする数値とアラームをリセットする数値を指定します。上限スレッシュホールドおよび下限スレッシュホールド値の範囲は、-2147483648 ~ 2147483647 です。 • (任意) event-number には、上限または下限スレッシュホールドの限度を超過したときにトリガされるイベント番号を指定します。 • (任意) owner string には、アラームの所有者を指定します。 |
ステップ 3 |
rmon event number [ description string ] [ log ] [ owner string ] [ trap community ] |
RMON イベント テーブルに RMON イベント番号に対応付けられたイベントを追加します。 • number には、イベント番号を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) description string には、イベントの説明を指定します。 • (任意)イベントがトリガされたときに RMON ログ エントリを生成するには、 log キーワードを使用します。 • (任意) owner string には、このイベントの所有者を指定します。 • (任意) trap community には、このトラップに使用される SNMP コミュニティ ストリングを入力します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
アラームをディセーブルにするには、設定したアラームごとに no rmon alarm number グローバル コンフィギュレーション コマンドを実行します。設定したアラームをすべて一度にディセーブルにすることはできません。イベントをディセーブルにするには、 no rmon event number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。アラームおよびイベントとその相互作用の詳細については、RFC 1757 を参照してください。
MIB オブジェクトに対してアラームを設定できます。次に、 rmon alarm コマンドを使用して RMON アラーム番号 10 を設定する例を示します。このアラームは、アラームがディセーブルになるまで、MIB 変数 ifEntry.20.1 を 20 秒ごとに 1 回モニタし、変数の上昇または下降の変化をチェックします。 ifEntry.20.1 値が 15 以上の MIB カウンタの増加を示した場合(たとえば 100000 から 100015)、アラームがトリガされます。アラームは次にイベント番号 1 をトリガします。イベントの設定には、 rmon event コマンドを使用します。設定可能なイベントはログ エントリまたは SNMP トラップです。 ifEntry.20.1 値の変化が 0 ずつの場合、アラームはリセットされ、再度トリガできます。
Switch(config)# rmon alarm 10 ifEntry.20.1 20 delta rising-threshold 15 1 falling-threshold 0 owner jjohnson
次に、 rmon event コマンドを使用して RMON イベント番号 1 を作成する例を示します。イベントは High ifOutErrors として定義され、アラームによってイベントがトリガされるときにログ エントリが生成されます。ユーザ jjones は、このコマンドによってイベント テーブルに作成された行を所有します。この例でも、イベントがトリガされたときに SNMP トラップが生成されます。
Switch(config)# rmon event 1 log trap eventtrap description "High ifOutErrors" owner jjones
インターフェイスでのグループ履歴統計情報の収集
最初に RMON アラームおよびイベントを設定し、収集情報を表示する必要があります。
インターフェイス上でグループ履歴統計情報を収集するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
履歴を収集するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection history index [ buckets bucket-number ] [ interval seconds ] [ owner ownername ] |
指定されたバケット数および時間に関して履歴収集をイネーブルにします。 • index には、統計情報を収集する RMON グループを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) buckets bucket-number には、統計情報の RMON 収集履歴グループに関して、希望の最大バケット数を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。デフォルトは 50 です。 • (任意) interval seconds には、各ポーリング サイクルの秒数を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 3600 です。デフォルトは 1800 秒です。 • (任意) owner ownername には、統計情報の RMON グループの所有者名を入力します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
show rmon history |
スイッチ履歴テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
履歴収集をディセーブルにするには、 no rmon collection history index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
インターフェイスでのグループ イーサネット統計情報の収集
インターフェイスでグループ イーサネット統計情報を収集するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
統計情報を収集するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection stats index [ owner ownername ] |
インターフェイスでの RMON 統計情報収集をイネーブルにします。 • index には、統計情報の RMON グループを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) owner ownername には、統計情報の RMON グループの所有者名を入力します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
show rmon statistics |
スイッチ統計情報テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
グループ イーサネット統計情報の収集をディセーブルにするには、 no rmon collection stats index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、所有者 root の RMON 統計情報を収集する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet2/0/1
Switch(config-if)# rmon collection stats 2 owner root
RMON ステータスの表示
RMON ステータスを表示するには、 表29-1 に示すイネーブル EXEC コマンドを 1 つまたは複数使用します。
表29-1 RMON ステータス表示用コマンド
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show rmon |
一般の RMON 統計情報を表示します。 |
show rmon alarms |
RMON アラーム テーブルを表示します。 |
show rmon events |
RMON イベント テーブルを表示します。 |
show rmon history |
RMON 履歴テーブルを表示します。 |
show rmon statistics |
RMON 統計情報テーブルを表示します。 |
この表示のフィールドの詳細については、『 Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference 』 Release 12.2 の「System Management Commands」を参照してください。