イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化
イーサネット Local Management Interface(LMI; ローカル管理インターフェイス)は、イーサネット レイヤ Operation, Administration, and Maintenance(OAM; 保守運用管理)プロトコルです。イーサネット LMI は、Customer Edge(CE; カスタマー エッジ)デバイスの自動設定に必要な情報を提供するとともに、大規模イーサネット Metropolitan-Area Network(MAN; メトロポリタン エリア ネットワーク)および WAN 向けの Ethernet Virtual Connection(EVC; イーサネット仮想接続)のステータス情報を提供します。イーサネット LMI は特に、CE デバイスに対し、EVC の動作ステータスおよび EVC が追加または削除された時刻を通知します。また、EVC のアトリビュートおよび EC デバイスへの User-Network Interface(UNI; ユーザ ネットワーク インターフェイス)も通知します。
イーサネットが MAN および WAN テクノロジーとして使用されるようになり、従来のエンタープライズ ネットワークのみを中心としたイーサネットの運用に加え、新しい OAM 要件に対応する必要があります。イーサネット テクノロジーが、エンタープライズ ネットワークよりもはるかに大規模で複雑なネットワークと、広範なユーザ ベースを持つサービス プロバイダーの領域に拡大するのに伴い、リンク アップタイムの運用管理が不可欠になっています。さらに重要なことに、障害の迅速な分離とその対処は、今や通常の日常的運用で必須であり、OAM がサービス プロバイダーの競争力に直接影響を及ぼします。
この章で紹介する機能情報の入手方法
お使いの Cisco IOS ソフトウェアが、このモジュールで説明されている機能の一部をサポートしていないことがあります。このモジュールで説明される特定機能に関する情報へのリンク、および各機能がサポートされるリリースの一覧については、「イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する機能情報」を参照してください。
プラットフォームと Cisco IOS および Catalyst OS ソフトウェア イメージのサポート情報の検索
Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォーム、Cisco IOS ソフトウェア イメージ、および Cisco Catalyst OS ソフトウェア イメージの各サポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する前提条件
ビジネス上の要件
• サービス プロバイダーのネットワークに、Connectivity Fault Management(CFM; 接続障害管理)などのイーサネット OAM が実装され、動作している。
イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する制約事項
• イーサネット LMI は、イーサネット CFM を通じて EVC のステータス、EVC に関連するリモート UNI ID、およびリモート UNI ステータスを取得します。
• イーサネット LMI CE は、ルーティング プラットフォームのルーティング ポートでのみ使用可能です。スイッチング プラットフォームにおけるイーサネット LMI PE 機能の詳細については、『 Cisco ME 3400 Switch Software Configuration Guide 』、Release 12.2(25)SEG の「 Configuring Ethernet CFM and E-LMI 」を参照してください。
• Cisco IOS ソフトウェア Release 12.4(9)T のイーサネット LMI は、CE デバイスの自動設定をサポートしません。
イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する情報
イーサネット LMI を設定するには、次の概念を理解する必要があります。
• 「EVC」
• 「イーサネット LMI」
EVC
Metro Ethernet Forum によって定義されているように、Ethernet Virtual Circuit(EVC; イーサネット仮想回線)は、ポート レベルのポイントツーポイントまたはマルチポイントツーマルチポイントのレイヤ 2 回線です。CE デバイスは EVC ステータスを使用して、サービス プロバイダー ネットワークへの代替パスを検索したり、場合によっては、イーサネット経由または別の代替サービス経由(フレーム リレーや ATM など)でバックアップ パスにフォールバックしたりすることができます。
イーサネット LMI
イーサネット LMI は、大規模イーサネット MAN および WAN における CE デバイスと PE デバイス間のイーサネット レイヤ OAM プロトコルです。サービス プロバイダーが、サービス パラメータや、User Provider Edge(UPE; ユーザ プロバイダー エッジ)デバイスからのパラメータ変更を使用して、CE デバイスを自動設定するための情報を提供します。
図 1 に、ネットワーク内でイーサネット LMI が機能する場所を示します。
図 1 イーサネット LMI が機能するネットワーク内の場所
LMI はまた、大規模イーサネット MAN および WAN におけるイーサネット EVC のステータスを CE に通知します。イーサネット LMI は特に、CE デバイスに対し、EVC の動作ステータスおよび EVC が追加または削除された時刻を通知します。イーサネット LMI はまた、EVC および UNI アトリビュートを CE デバイスに伝達します。
MEF 16 Technical Specification に定義されているように、イーサネット LMI プロトコルには、次の手順が含まれています。
• EVC の追加時に、CE に通知する
• EVC の削除時に、CE に通知する
• 設定済みの EVC について、使用可能性の状態情報を CE に通知する
• UNI アトリビュートおよび EVC アトリビュートを CE に通知する
イーサネット LMI の利点
イーサネット LMI には次のような利点があります。
• EVC のエンドツーエンド ステータスの CE デバイスへの伝達
• EVC アトリビュートおよび UNI アトリビュートの CE デバイスへの伝達
• サービス プロバイダーの競争上の優位性
イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化の方法
イーサネット LMI をイネーブルにするには、次のタスクを実行します。
• 「サポートされているすべてのインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化」
• 「サポートされている単一のインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化」
サポートされているすべてのインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化
デバイス上のすべてのインターフェイスでイーサネット LMI をイネーブルにするには、次のタスクを実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ethernet lmi global
4. end
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
CLI をグローバル コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 3 |
ethernet lmi global
Router(config)# ethernet lmi global |
デバイス上のサポートされているすべてのインターフェイスにおけるイーサネット LMI をイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
end
Router# end |
CLI を特権 EXEC モードに戻します。 |
サポートされている単一のインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化
特定のサポートされているインターフェイス上でイーサネット LMI をイネーブルにするには、次のタスクを実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. interface type number
4. ethernet lmi interface
5. end
手順の詳細
|
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|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
CLI をグローバル コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 3 |
interface type number
Router(config)# interface ethernet 0/0 |
インターフェイスを指定し、CLI をインターフェイス コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 4 |
ethernet lmi interface
Router(config-if)# ethernet lmi interface |
インターフェイス上でイーサネット LMI をイネーブルにします。 |
ステップ 5 |
end
Router# end |
CLI を特権 EXEC モードに戻します。 |
イーサネット ローカル管理インターフェイスの設定例
この項では、CE デバイス上のすべてのインターフェイス上(グローバルに)と、CE デバイスの特定のインターフェイス上で、イーサネット LMI をイネーブルにするための設定例を示します。
• 「サポートされているすべてのインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化:例」
• 「サポートされている単一のインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化:例」
サポートされているすべてのインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化:例
次に、デバイス上でサポートされているすべてのインターフェイスでイーサネット LMI をイネーブルにする例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
00:06:33: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Ethernet0/0, changed p
サポートされている単一のインターフェイスにおけるイーサネット LMI のイネーブル化:例
次に、単一のインターフェイスにおいて、イーサネット LMI をイネーブルにする例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
00:05:51: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
その他の参考資料
ここでは、イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化の関連資料について説明します。
MIB
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この機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。 |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、および機能セットの MIB の場所を検索しダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 http://www.cisco.com/go/mibs |
RFC
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この機能によってサポートされる新しい RFC または変更された RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 ・テクニカル サポートを受ける ・ソフトウェアをダウンロードする ・セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ・ツールおよびリソースへアクセスする - Product Alert の受信登録 - Field Notice の受信登録 - Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 ・Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する ・トレーニング リソースへアクセスする ・TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/techsupport |
イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する機能情報
表 2 は、この機能のリリース履歴です。
ご使用の Cisco IOS ソフトウェア リリースによっては、コマンドの中に一部使用できないものがあります。特定のコマンドのリリース情報については、コマンド リファレンス マニュアルを参照してください。
Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator を使用すると、Cisco IOS および Catalyst OS ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 2 には、一連の Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインのうち、特定の機能が初めて導入された Cisco IOS ソフトウェア リリースだけが記載されています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連の Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインでもサポートされます。
表 2 イーサネット ローカル管理インターフェイスのイネーブル化に関する機能情報
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イーサネット ローカル管理インターフェイス |
12.4(9)T 12.2(33)SRB 12.4(15)T2 |
イーサネット LMI は、イーサネット レイヤ OAM プロトコルです。CE デバイスの自動設定に必要な情報を提供するとともに、大規模イーサネット MAN および WAN 向けの EVC のステータスを提供します。 この機能は、Cisco 7600 ルータの Cisco IOS Release 12.2(33)SRB で実装されました。 次のコマンドが、新たに導入または変更されました。 clear ethernet lmi statistics 、 debug ethernet lmi 、 ethernet lmi 、 ethernet lmi global 、 ethernet lmi interface 、 show ethernet lmi |
用語集
CE :Customer Edge(カスタマー エッジ)。UNI のカスタマー側にあるエッジ機器です。
CE-VLAN ID :CE-VLAN の ID。
E-LMI :Ethernet Local Management Interface(イーサネット ローカル管理インターフェイス)。イーサネット レイヤ OAM プロトコルです。CE デバイスの自動設定に必要な情報を提供するとともに、大規模イーサネット MAN および WAN 向けの Ethernet Virtual Connection(EVC; イーサネット仮想接続)のステータス情報を提供します。
EVC :Ethernet Virtual Connection(イーサネット仮想接続)。複数のユーザ ネットワーク インターフェイスのアソシエーションです。
OAM :Operations, Administration, and Maintenance(運用管理および保守)。複数の標準化団体が、運用管理および保守に関するプロトコルと手順を説明するために使用する用語です。たとえば、ATM OAM や IEEE 標準 802.3ah OAM のように使用されます。
PE :Provider Edge(プロバイダー エッジ)。UNI のサービス プロバイダー側にあるエッジ機器です。
UNI :User-Network Interface(ユーザ ネットワーク インターフェイス)。カスタマーの機器に接続されているオペレータのブリッジ部分を表す一般用語。UNI には、多くの場合 C-VLAN 対応のブリッジ コンポーネントが含まれます。UNI という用語は、IEEE P802.1ag/D5.2 標準で、LMI の多様な機能の目的を説明する場合に広く使用されます。
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