この文書は、RIP と OSPF、または IGRP と EIGRP の間で経路を再配送する際に発生する 2 つの共通の問題について説明しています。 RIP および IGRP では、経路が同じメジャー ネットワーク上にあっても、インターフェイスと異なるマスクを持っている場合は、それらの経路をその特定のインターフェイスからアドバタイズすることはありません。 RIP および IGRP のアップデートの詳細については、「アップデート送受信時の RIP および IGRP の動作」を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の要件はありません。
このドキュメントは、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。 このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。 対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのような作業についても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
この問題のネットワーク構成図で、ルータ GW-2 は RIP と OSPF との間で再配送を行おうとしています。 OSPF ドメインは RIP ドメインとは異なるマスク(この場合は OSPF ドメインのほうが長いマスク)を持っており、それらは同じメジャー ネットワーク上にあります。 したがって、RIP は、OSPF から学習して RIP に再配送されたルートをアドバタイズすることはありません。
OSPF ドメインのサブネット マスクは変更するのが難しいため、代わりにルータ GW-2 で、OSPF ドメインを指し示し、255.255.255.0 というマスクを持つものの、ネクストホップが null0 のスタティック ルートを追加します。 そして、スタティック ルートを RIP に再配送します。 このタスクを完了するための設定は次のとおりです。
ip route 128.103.35.0 255.255.255.0 null0 router rip redistribute static default metric 1
これにより、RIP を通じてルータ GW-2 の E2/0 インターフェイスから 128.103.35.0 をアドバタイズできるようになります。 ただし、最適なルーティングを決定するために、ルータ GW-2 は OSPF から学習したより具体的な経路を引き続き自身のルーティング テーブルに保持しています。
この問題のネットワーク構成図で、RIP ドメインの持つマスクは 255.255.255.248 で、OSPF ドメインの持つマスクは 255.255.255.240 です。 RIP は、OSPF から学習して RIP に再配送されたルートをアドバタイズすることはありません。
ルータ GW-2 で、OSPF ドメインを指し示し、255.255.255.248 というマスクを持つスタティック ルートを追加できます。 ただし、このマスクは元の OSPF マスクよりも固有性の高いマスクであるため、ネクスト ホップを実際のネクスト ホップあるいはインターフェイスにする必要があります。 また、OSPF ドメイン内のすべてのアドレスを網羅するために、複数のスタティック ルートが必要になります。 このようにしてスタティック ルートが RIP に再配送されます。
次のコードでは、最初の 2 つのスタティック ルートは OSPF ドメイン内の 128.103.35.32 255.255.255.240 の範囲を網羅しています。 その次のスタティック ルートは OSPF ドメイン内の 128.103.35.16 255.255.255.240 の範囲を網羅しています。 そして、最後の 4 つのスタティック ルートは 128.130.35.64 255.255.255.240 の範囲を網羅しています。これらのスタティック ルートは OSPF ドメイン内の 2 つのインターフェイスを通じて学習されます。
ip route 128.103.35.32 255.255.255.248 E0/0 ip route 128.103.35.40 255.255.255.248 E0/0 ip route 128.103.35.16 255.255.255.248 E1/0 ip route 128.103.35.24 255.255.255.248 E1/0 ip route 128.103.35.64 255.255.255.248 128.103.35.34 ip route 128.103.35.64 255.255.255.248 128.103.35.18 ip route 128.103.35.72 255.255.255.248 128.103.35.34 ip route 128.103.35.72 255.255.255.248 128.103.35.18 router rip redistribute static default metric 1
このドキュメントで提示されたソリューションは、OSPF の代わりに EIGRP を使用し、RIP の代わりに IGRP を使用するときにも適用されます。 両方のプロトコルのマスクが同じ場合、または使用しているすべてのプロトコルで可変長サブネット マスク(VLSM)がサポートされている場合は、この問題は発生しません。 この解決方法は RIP および IGRP(VLSM)の制限を補うためのパッチとしてのみ扱われています。 RIP および IGRP VLSM の制限の詳細については、「RIP および IGRP が VLSM をサポートしない理由」を参照してください。