サービス プロバイダー アプリケーションを対象にギガビット イーサネット上で高性能IPサービスを配信
パケット ネットワーキングおよび付加価値アプリケーションの普及により、サービス プロバイダーのネットワークには次世代の処理容量および拡張サービスが必要とされています。レイヤ2およびレイヤ3のサービス提供を拡充し、コストパフォーマンスに優れた高速ネットワーク接続を実現するギガビット イーサネットは、ネットワーク エッジおよびネットワーク アクセスに不可欠なテクノロジーです。サービス プロバイダーの次世代ネットワークでは、ギガビット イーサネットによって提供されるスケーラブルな帯域幅に加え、多様化する顧客ベースのニーズに応じて帯域幅を階層レベルで利用できる最先端のパケット サービス配信が必要になります。サービス プロバイダーとして確実に成功するには、Quality of Service(QoS;サービス品質)、トラフィック シェーピング、およびトラフィック アカウンティングなどの機能をサポートしたレイヤ2またはレイヤ3のエンドユーザ サービスを配信できるとともに、高速ギガビット イーサネット接続を統合して必要なネットワーク容量を確保することが、絶対的な条件となります。
これらの要件を満たすために、シスコでは、Cisco 7600シリーズ インターネット ルータ対応の拡張ギガビット イーサネットOSM(オプティカル サービス モジュール)を提供しています。このモジュールにより、サービス プロバイダーは、高性能ギガビット イーサネット インターフェイスを使用して、IP、Multiprotocol Label Switching(MPLS)、およびEthernet over MPLS(EoMPLS)のテクノロジーに基づく広範囲のエンドユーザ サービスを提供できます。
サービス プロバイダーは、シスコの拡張ギガビット イーサネットOSMを、各種のネットワークアーキテクチャおよびネットワーク構成に設置できます。また、拡張ギガビット イーサネットOSMを使用すれば、何千人もの個人顧客を対象に、多種多様なエンドユーザ サービスを配信できます。拡張ギガビット イーサネットOSMは、広範囲のエンドユーザ サービスを提供し、かつ顧客単位でQoS、セキュリティ、およびトラフィック シェーピングを適用できるという独自の性能を備えています。
表1に、ハードウェア機能の概要を示します。拡張ギガビット イーサネットOSMの機能および利点が説明されています。
表1 ハードウェア機能の概要
機能 | 利点 |
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各モジュールが、高性能パケット サービスの配信を行う4つのWANギガビット イーサネット インターフェイスをサポートし、モジュールあたり最大8000のトラフィック キューをサポート | 高性能ギガビット イーサネット インターフェイスを使用して、ユーザ単位ベースの最先端パケット サービスを配信できます。 | 各モジュールで、さらに2つのLANギガビット イーサネット インターフェイスをサポート | WANおよびLANのアクセスを同時にサポートでき、多種多様なアプリケーションに対応できます。 | 各Parallel eXpress Forwarding(PXF)IPサービス プロセッサのスループットは最大6 Mpps、各モジュールに2つのPXFを搭載し、合計スループットは12 Mpps | 優れたスループットを提供しながら、QoSおよびトラフィック シェーピングなどの最先端パケット サービスをサポートできます。 | Cisco PXFネットワーク プロセッサを使用したアップグレード可能なプログラム済みフィーチャ セット | Application Specific Integrated Circuit(ASIC;特定用途向けIC)ベース設計と同様のパフォーマンスを達成しながら、従来のASICベース インターフェイス カードよりも優れたフレキシビリティが得られます。 | Cisco 7600シリーズ インターネット ルータまたはCatalyst® 6500シリーズ スイッチ シャーシとの互換性(システム要件は下記に定義) | Cisco 7600シリーズまたはCatalyst 6500シリーズ シャーシが導入されていれば、新しいシャーシを購入する必要はありません。 |
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拡張OSM
拡張ギガビット イーサネットOSMインターフェイス カードは、新しいCisco 7600シリーズ対応拡張OSM製品ファミリーの1つです。このインターフェイス カード ファミリーは、従来のCisco 7600シリーズOSMインターフェイス カードの全機能をサポートしているとともに、Cisco 7600シリーズ プラットフォームに、より高水準のパフォーマンスと機能性を提供します。表2に、従来のOSMと拡張OSMの機能について、主要な相違点を示します。
表2 Cisco 7600シリーズの従来のOSMと拡張OSMの比較
拡張内容 | 利点 |
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各PXFネットワーク プロセッサのDirect Memory Access(DMA)メモリを、64 MBから256 MBにアップグレード | 多数のトラフィック シェーピング キューをサポートできます。拡張OSMは、モジュールあたり最大8000のQoSキューをサポートします。 | MPLSレイヤ3コンフィギュレーションで、シャーシあたりのVirtual Private Network(VPN;仮想私設網)Routing/Forwarding(VRF)の最大数を256から1023に増大 | エンドユーザへのMPLS VPNサービス サポートで、シャーシあたりのサービス密度が増加します。 | Weighted Random Early Detection(WRED;重み付けランダム早期検出)、Class-Based Weighted Fair Queuing(CBWFQ;クラスベース均等化キューイング)、Low Latency Queuing(LLQ;低遅延キューイング)、およびトラフィック シェーピングなどの拡張QoS機能をサポート | 顧客に、より優れたサービスレベル アグリーメントを提供できます。 | MPLSテクノロジーに基づくVirtual Private LAN Service(VPLS)などのレイヤ2ネットワーク サービスをサポート(予定) | フレーム リレー、イーサネット、ATMなどのレイヤ2サービス、およびインターネット アクセス、2547 VPNなどのレイヤ3サービスを、統合ネットワーク アーキテクチャ上で提供できます。 |
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QoS機能
拡張ギガビット イーサネットOSMでは、トラフィック シェーピングとQoSを顧客別に提供したり、8000ものトラフィック キューを個別設定できるなど、独自のギガビット イーサネット パフォーマンスを実現できます。これらのQoS機能は、IPルーティング、MPLS IP VPN、Ethernet over MPLS(IETF Martini Draft)など、Cisco 7600シリーズがサポートしている各種のエンドユーザ サービスに組み込むことができます。Cisco 7600シリーズがサポートしているエンドユーザ サービスに拡張ギガビット イーサネットOSMのQoS機能を統合することで、サービス プロバイダーは画期的な範囲のエンドユーザ サービスを、きわめて柔軟に定義できます。表3に、拡張ギガビット イーサネットOSMがサポートしているQoS機能を含め、定義できるエンドユーザ サービスの組み合わせを示します。
表3 拡張ギガビット イーサネットOSMを使用したエンドユーザ サービス定義
| トラフィック シェーピング | 低遅延キューイング | クラスベース均等化キューイング | 重み付きランダム早期検出 |
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| TS | LLQ | CBWFQ | WRED |
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IP Precedence | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS |
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DSCP | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS |
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BGP Index | IPv4 | IPv4 | IPv4 | IPv4 |
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MPLS Exp | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS | IPv4、MPLS |
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VLAN | EoMPLS | 適用外 | 適用外 | 適用外 |
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IPPまたはDSCPによるVLAN階層 | IPv4 | IPv4 | IPv4 | IPv4 |
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広範囲のエンドユーザ サービス定義を設定した場合でも、拡張ギガビット イーサネットOSMは、4つの各WANギガビット イーサネット ポート上で卓越したパフォーマンスを保持します。
Cisco 7600プラットフォームの概要
Cisco 7600シリーズは、広範囲のサービス プロバイダー エッジおよび企業のMAN/WANアプリケーションを対象に、高性能で安定した機能を提供する業界唯一のエッジ ルータです。最も幅広いインターフェイス セットと革新的なアダプティブ ネットワーク プロセッシング テクノロジーを併用することで、Cisco 7600は、統合イーサネットと専用線アグリゲーションにおいて、業界をリードしています。この独自の統合サポートによって、通信事業者はもちろん、企業もまた、ネットワーク エッジでの運用効率を大幅に改善し、最大限の投資収益率を実現しています。
発注情報 パーツ番号 | 説明 |
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OSM-2+4GE-WAN+ | 2+4ポート拡張ギガビット イーサネットOSM | OSM-2+4GE-5PACK+ | 2+4ポート拡張ギガビット イーサネットOSM x 5 | MEM-OSM-128M | OSM用128 MB ECCメモリ | MEM-OSM-256M | OSM用256 MB ECCメモリ | MEM-OSM-512M | OSM用512 MB ECCメモリ |
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技術仕様
ギガビット イーサネット仕様
- 802.3zおよび802.3x準拠
- SCコネクタ付きGBICベース ギガビット イーサネット インターフェイス:
- 1000BASE-SX
- 1000BASE-LX/LH
- 1000BASE-ZX
- 802.1Q VLANトランキングをサポート
- Hot Standby Router Protocol(HSRP)をサポート
- 自動ネゴシエーション フロー制御をサポート
- 各ポートで220ミリ秒のパケット バッファリングをサポート
- Maximum Transmission Unit(MTU;最大伝送ユニット)が 9192バイトのジャンボ フレームをサポート
- 各ポートで最大32,000のMAC(メディア アクセス制御)アドレスをサポート
- 最大32,000の同時Access Control List(ACL;アクセス制御リスト)エントリをサポート
- SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)IおよびII、ポートあたり4つのRemote Monitoring(RMON)グループ(統計、履歴、アラーム、イベント)をサポート
- Online Insertion and Removal(OIR;ホットスワップ)をサポート
Cisco 7600シリーズのパフォーマンス
- 30 Mppsから100 Mpps以上に拡張できるハードウェア ベースのCisco Express Forwarding
- 30 Mppsで15,000のACLルールを適用できるACLアプリケーション
- 30 MppsでのQoS分類
- 30 Mppsでのポリシー ルーティング
- 各システムで128,000のトラフィック アカウンティング エントリをサポート
- OIRをサポート
- SNMP IおよびII、ポートあたり4つのRMONグループ(統計、履歴、アラーム、イベント)をサポート
物理仕様
- Cisco 7600シリーズ プラットフォームの1スロットに搭載
- Catalyst 6500シリーズ プラットフォームの1スロットに搭載
- 各OSMに4つのIPサービス対応ギガビット イーサネット オプティカル ポート
- 9スロットCisco 7600シリーズ シャーシに最大8つの拡張ギガビット イーサネットOSMを搭載可能
- Cisco 7600シリーズまたはCatalyst 6500シリーズ シャーシの要件
- スーパバイザ エンジン2:WS-X6K-S2-MFSC2
- Cisco 7600シリーズまたはCatalyst 6500シリーズ シャーシに推奨
- スイッチ ファブリック モジュール ? 256 Gbpsクロスバー ファブリック:WS-C6500-SFM
- 寸法(高さ x 幅 x 奥行き):3.0 x 35.6 x 40.6 cm(1.2 x 14.4 x 16インチ)
- 重量:4.7 kg(10.4ポンド)
- MTBF(平均故障間隔):システム コンフィギュレーションで7年
- 電力消費:359 W、4.35 A
インジケータおよびインターフェイス
- Status:グリーン(作動可能)、レッド(障害)、オレンジ(モジュール起動中または診断機能実行中)
- Link good:グリーン(ポート アクティブ)、オレンジ(ディセーブル)、消灯(非アクティブまたは未接続)、オレンジ点滅(診断機能失敗によるディセーブル)
プロセッサおよびメモリ
- 300 MHz R7000 MIPS RISCプロセッサ x 1
- 設定可能なパケット/ルート テーブル メモリ オプション:
64 MB ECC SDRAM(デフォルト)
128 MB ECC SDRAM
256 MB ECC SDRAM
512 MB ECC SDRAM(将来的なオプション)
- PXF IPサービス プロセッサ x 2
- 各ライン カードで最大12 Mppsの分散IPサービス アプリケーションを提供
- 各ライン カードの固定PXFメモリ
パケット バッファ メモリ用256 MB SDRAM(パケット単位CRC検査)
パケット プロセッシング メモリ用264 MB SSRAM
Management Information Base(MIB;管理情報ベース)サポート
- ETHRLIKE-MIB(RFC 1643)
- IF-MIB(RFC 1573)
- Bridge MIB(RFC 1493)
- CISCO-STACK-MIB
- CISCO-VTP-MIB
- CISCO-CDP-MIB
- RMON MIB(RFC 1757)
- CISCO-PAGP-MIB
- CISCO-VLAN-BRIDGE-MIB
- CISCO-VLAN-MEMBERSHIP-MIB
- ENTITY-MIB(RFC 2037)
- HC-RMON
- RFC1213-MIB(MIB-II)
- SMON-MIB
ステーション間の最大ケーブル距離
- 1000BASE-SX:62.5 umマルチモード ファイバ:最大275 m
- 1000BASE-SX:50 umマルチモード ファイバ:最大550 m
- 1000BASE-LX:62.5 umマルチモード ファイバ:最大550 m
- 1000BASE-LX:50 umマルチモード ファイバ:最大550 m
- 1000BASE-LX:9/10 umシングルモード ファイバ:最大5 km
- 1000BASE-LH:62.5 umマルチモード ファイバ:最大550 m
- 1000BASE-LH:50 umマルチモード ファイバ:最大550 m
- 1000BASE-LH:9/10 umシングルモード ファイバ:最大10 km
- 1000BASE-ZX:9/10 umシングルモード ファイバ:最大70 km
- 1000BASE-ZX:分散シフト型ファイバ:最大100 km
環境条件
- 動作温度:0~40oC(32~104oF)
- 保管温度:-40~75oC(-40~167oF)
- 相対湿度:10~90%、結露しないこと
- 動作高度:-60~2000 m
適合規格
安全性
- UL1950およびUL 60950
- CSA C22.2 No.60950
- EN60950
- IEC 60950
- TS 001
- CE marking
- AS/NZS 3260
EMC適合
- FCC Part 15(CFR 47)Class A
- VCCI Class A
- EN55022 Class A
- CISPR 22 Class A
- CE marking
- AS/NZS 3548 Class A
- EN55024
- EN 300 386-2
- ICES 003 Class A
- EN50082-1
- EN61000-6-1
NEBS Level 3適合
Cisco 7600シリーズ インターネット ルータは、次の仕様に従ってNEBS Level 3に準拠しています。
- GR-63-CORE - NEBS:物理保護
- GR-1089-CORE - NEBS:EMCおよび安全性
ETSI適合
- ETS-300019 1-1 Class 1.1
- ETS-300019 1-2 Class 2.3
- ETS-300019 1-3 Class 3.1
ソフトウェア リリース(最小限)
- Cisco IOS® Software Version 12.1(13)E3
サービスとサポート
シスコは、サービス プロバイダーおよび企業のお客様に、広範囲のサービスとサポートを提供しています。シスコは、ネットワークの配備、運用、および最適化に必要なサービスとサポートを世界規模で提供することによって、業界最高の顧客満足度を誇っています。迅速な市場展開、最大限のネットワーク アベイラビリティ、顧客満足度の向上と維持など、お客様の目標がどのような場合でも、シスコはお客様の成功のために努力を惜しみません。
追加情報
シスコが提供しているサービスとサポートの内容および利点は、http://www.cisco.com/en/US/support/index.htmlを参照してください。
Cisco 7600シリーズ ルータの詳細は、http://www.cisco.com/go/7600を参照するか、シスコの代理店にお問い合わせください。