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Cisco IoT ソリューション導入事例

株式会社クボタ

Wi-Fi による測位を活用して動線分析を実施 工場内の部品搬送の無駄を見つけ改善につなげる 株式会社クボタ

株式会社クボタは、農業機械や建設機械、水道用鉄管などの開発製造を手掛け、世界 110 ヵ国以上でビジネスを展開しているグローバル企業です。食料、水、環境の 3 つを密接なテーマとして捉え、優れた製品やサービスの提供を通じてトータルな課題解決に貢献しています。


単に測位のための設備としてではなく、工場全体のインフラとして今後の拡張性を考える必要がありました。シスコ製品は多くの公共施設でも使われており、将来性の面でも間違いないと判断しました。
株式会社クボタ 生産管理課 山本 康之 氏

クボタの国内生産拠点の 1 つである宇都宮工場では、ICT による工場の体質強化を実現する IT 化推進プロジェクトを 2011 年から進めています。これはドイツのインダストリー 4.0 など製造業の ICT 活用が世界的に本格化している中、環境の変化に柔軟に対応できる俊敏性(アジリティ)とセキュリティを両立した業務環境や仕組みの具現化を目指しているものです。「品質の見える化」「生産の見える化」「部品納品/払出しの見える化」など、現場の無駄やばらつきの可視化、迅速な意思決定、改善施策の実行というプロセスをより早く、持続していくための取り組みを行っています。


株式会社クボタ 生産管理課の山本康之氏は次のように話します。


「社会や市場の動静をいち早く捉えてイニシアティブをとり続けていくには、絶え間ない改革と改善活動を迅速に展開して工場の体質を強化することが欠かせません。そのために ICT を活用していきたいと考えています。」


課題

クボタ宇都宮工場では、現場に根差した改善活動の一環として作業者の動線分析を行ってきましたが、工場内を行き交う部品搬送車の動線分析は未着手でした。これは移動距離が長く、分析にも多大な時間がかかるためだったと山本氏は振り返ります。


「フォークリフトのエンジン稼働時間や部品の納品場所などの情報を基に分析したこともありますが、データの裏付けが十分にできず、改善に結び付けるのは難しかったのです。人の動線は、現場を動画で撮影して手描きでまとめていました。当事者の理解度が高まり、現場からの改善提案が生まれるメリットの一方で、非常に時間がかかります。宇都宮工場は田植機とコンバインという季節性のある製品を同じラインで生産するミックス生産が特長で、時期によって生産量や製品構成、工数、動線が大きく変わります。そうした状況の下で随時データを収集するのは難しく、1 年に 3 ~ 4 回は分析したいと思っていても実現できずにいました。」


プロジェクト開始から 1 年が経過した 2012 年に、定例会で RFID を利用した位置管理技術について提案があり、それが現在まで続く分析~改善活動の基盤となるソリューション導入のきっかけになったと山本氏は話します。


「当初は製品のトレーサビリティが目的でしたが、調査を進めるうちに課題だった部品搬送の動線分析が実現できそうだとわかり、複数のベンダーに提案を依頼しました。その当時、リアルタイムに実績のデータを収集できると提案いただいたのは株式会社シーイーシーの『RaFLOW(ラフロー)』だけでした。このことを改めて定例会で報告したところ、トップダウンで導入が承認され、すぐに取り掛かることになったのです。」


動線分析を 1 つのツールとして、
他の要素もミックスしながら
工場の改善、体質強化を進めていきます。


ソリューション

工場内の測位と通信のインフラにシスコ ソリューションを採用
株式会社シーイーシーの「RaFLOW」は、Wi-Fi や UWB※、RFID などさまざまなセンサーに対応した位置情報管理と動線分析を実現するソフトウェアです。製造や物流の現場で作業する人や搬送機器の動線と作業ログを利用して実際の動きを 3D 画像で再現し、業務の効率化を支援します。クボタ宇都宮工場では測位に Wi-Fi を用いており、そのネットワーク基盤をシスコ ワイヤレス LAN ソリューションで構築しています。


株式会社シーイーシー インダストリーオートメーションBG の膳亀稔氏は、RaFLOW の特長とシスコとの協業について次のように話します。


「RaFLOW は従来の定点カメラや後追い観察などでは計測できない、移動体の動線情報の収集と可視化を実現します。現在はディープラーニング技術を生かして人の手の動きをパターン認識させることで、作業内容をデータとして取得することもできるようになっています。Wi-Fi による位置測位では早くからシスコと協業しており、2016 年には IoT 分野でさらに連携を強化しています。」


山本氏は、シスコ ワイヤレス LAN ソリューションの採用理由を次のように話します。


「製品検査や部品の納品/払出しを見える化するツールに PDA を使うので、その通信基盤としてワイヤレス LAN の整備は必要でした。工場全体のインフラとして考えたとき、シスコの製品は国家レベルのプロジェクトや公共事業でも多く採用されていて信頼性と実績があり、当時から Wi-Fi の測位にも対応していました。拡張性や将来性を踏まえても、最善の選択だったと思っています。」


RaFLOW による動線分析で無駄の発見と解決への対処が迅速化
2014 年 3 月に工場内のワイヤレス LAN の整備を終えた後、試験データの収集と問題点の解消を行って 2014 年 10 月からフォークリフト 3 台とエレカー 1 台を対象に動線分析を始めました。2015 年からは対象台数を 20 台に増やし、データの収集と分析を続けていると山本氏は話します。


「年間では 5,000 万件ほどのデータが得られるようになりました。最初の 1 年はうまくいかない部分もありましたが、今後 IoT への取り組みが進み、さらに多様なデータを扱うようになった場合にも、ここでの経験が役立ち、速やかに対応できる土台ができてきたと感じています。


投資対効果の観点では、無駄の発見と改善をより早く、持続させることで 2 ~ 3 人ほどの省人化という目標を立てています。また、フォークリフト 1 台につき 1 日あたりの移動距離が 10km ほど削減できました。今までできなかったことができる余力が生まれ、新たな観点で分析や取り組みをしようという人が増えているのも大きな効果です。この取り組みを続けることで短期的な効果に留まらず、人、組織、仕組みを改善していくことが大事だと考えています。」


共に取り組んでいる調達管理の部門でも、詳細なデータの取得と分析が容易になり、具体的に示しやすくなったことで現場業務の改善に役立てられると効果を実感しています。


※Ultra Wide Band、超広帯域無線通信


クボタ宇都宮工場の様子
※画像をクリックすると、大きな画面で表示されますpopup_icon


結果~今後

クボタでは、宇都宮工場で得られたノウハウをグループ会社とも共有しながら、他の工場へ展開していくことを検討しています。また、さまざまなデータの収集と分析について、専門的な知識を持つ人材の確保と育成を新たな課題として取り組む予定です。さらに今後の展望として、ウェアラブル端末を用いた作業者自身の動きの分析や、工具にセンサーを取り付けた作業内容と時間の分析なども改善活動に役立てる施策として検討するとしています。


その他の詳細情報

RaFLOW の詳細は、http://ralc.cec-ltd.co.jp/lineup/raflow.html を参照してください。 シスコ ワイヤレス LAN ソリューションの詳細は www.cisco.com/jp/go/wireless を参照してください。

メディアの選択

製品 & サービス

位置情報管理/動線分析ソフトウェア
RaFLOW(株式会社シーイーシー)
シスコ ワイヤレス LAN ソリューション

  • Cisco Aironet シリーズ アクセス ポイント
  • Cisco ワイヤレス コントローラ
  • Cisco Mobility Services Engine(MSE)

課題

  • グローバルのビジネス展開で常に競争力を維持するため、ICT を活用した工場の体質強化の必要性が高まる
  • 工場内の部品搬送車の動線分析は移動距離が長く、分析にも時間がかかるため継続的な実施が困難
  • 季節によって状況が変化する生産現場のデータを随時取得することは難しく、改善施策の早期提案と実施が困難

ソリューション

  • シスコ ワイヤレス LAN ソリューションで、工場内で利用する各種端末の通信インフラおよび作業者/部品搬送車の測位に必要な環境を構築
  • 位置情報管理/動線分析ソフトウェア「RaFLOW」でリアルタイムの実績データを収集し、3D 画面で部品搬送車の動線を可視化
  • 得られたデータおよび分析結果を基に、工場内の無駄の発見と改善のプロセスを早期化

結果~今後

  • 得られたノウハウを他の工場へ展開していくことを検討
  • データ分析の専門的な知識を持つ人材の確保と育成を検討
  • より詳細なデータの取得によってさらなる改善を目指す
株式会社クボタ生産管理課山本 康之様

株式会社クボタ
生産管理課
山本 康之様

株式会社シーイーシーインダストリーオートメーションBG第一営業部 セールスマネージャー膳亀 稔様

株式会社シーイーシー
インダストリーオートメーションBG
第一営業部 セールスマネージャー
膳亀 稔様

株式会社クボタ

株式会社クボタ
所在地: 本社
大阪市浪速区敷津東 1-2-47
東京本社
東京都中央区京橋 2-1-3 京橋トラストタワー
創業: 1890 年
資本金: 840 億円(2016 年 12 月 31 日現在)
業種: 製造業
農業機械、建設機械、エンジン、電装機器、パイプシステム、水処理システムなどの開発、製造、販売
規模: 従業員数
38,291 名(2016 年 12 月 31 日現在・連結)
11,123 名(2016 年 12 月 31 日現在・単独)
※従業員数は就業人員
URL: http://www.kubota.co.jp

創業以来、水道用鉄管による近代水道の整備、農業機械による食料増産と省力化、環境施設による人類と環境の調和など、暮らしと社会に貢献する製品を多数開発、製造、販売。食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続けることを使命とし、企業理念では「挑戦」を強く打ち出し、常に先を見据えながらグローバル市場における競争力強化に向けた取り組みを行っている。