エンタープライズ ネットワーク

Cisco CleanAir テクノロジー:インテリジェンス イン アクション

ホワイト ペーパー





Cisco CleanAir テクノロジー:インテリジェンス イン アクション



このホワイト ペーパーでは、共有スペクトラムの高使用率に起因する RF 干渉の問題を取り上げます。IEEE の最新のワイヤレス標準である 802.11ac と、その 80-MHz 幅のチャネル帯域幅の導入によって、この問題はさらに深刻になります。さらに、標準 Wi-Fi チップ設計の限界について、およびこれが IT 組織において効果的なトラブルシューティングのために利用できる重要なワイヤレス スペクトラム データの収集にどう影響するかについても考察します。最後に、高密度エクスペリエンス(HDX)の一部である Cisco CleanAir® テクノロジーを紹介し、RF インテリジェンスをネットワークに統合することにより、ワイヤレス スペクトラムの実際の使用状況についてユーザの理解が深まる理由について説明します。この理解は、Wi-Fi ネットワークを予防的に管理するために不可欠です。これにより、今日の病院、分散型企業、製造現場、小売店、オフィスで必要とされるミッション クリティカルで遅延が許されないアプリケーションをサポートできるようになります。


ミッションクリティカルとなった Wi-Fi


最初の企業 Wi-Fi ネットワークは、企業のロビーや会議室で Web サーフィンを行うための利便性向上を目的としていました。これらのアプリケーションについては、ベストエフォート レベルのパフォーマンスで十分でした。

現在のWi-Fi は、多くのミッション クリティカルなアプリケーションで利用されるまでに成長しています。病院では、患者のファイルにモバイルでアクセスし、二次的な臨床システムをリモートでモニタするために Wi-Fi が使用されています。小売業や製造業では、物流や商取引に Wi-Fi が使用されています。小規模なブランチ オフィスでは、有線接続に代わる専用ネットワーク アクセス手段として Wi-Fi が使用され始めています。また、干渉の影響を受けやすい音声やビデオにもますます Wi-Fi が使用されるようになっています。

これらのどの例をとっても、Wi-Fi ネットワークには極めて高い信頼性が求められます。Wi-Fi ネットワークにおいて、干渉による予期しないダウンタイムが発生することは許容されなくなっています。

ソリューションの定義


スペクトラム インテリジェンス(SI)は、高度な干渉識別アルゴリズム(軍事目的で使用されるものと同種)から得られる、RF スペクトラム アクティビティに関するデータです。SI は、共有スペクトラムのすべてのユーザ(Wi-Fi デバイスと非 Wi-Fi 干渉源の両方)を把握できるようにします。非ライセンス バンドで動作するあらゆるデバイスに関して、SI はそれが何であるか、どこにあるか、Wi-Fi ネットワークにどのような影響を与えているかについて明らかにします。

スペクトラム管理は、スペクトラム インテリジェンス データをアクティブに使用することにより、Wi-Fi ネットワークのパフォーマンスを改善し、運用コストを軽減します。干渉の重要度と持続時間に関する情報を使用して、ネットワークに対するその影響を計算し、問題をトラブルシューティングすることができます。さらに、この情報は過去の分析と傾向分析を行うために保存することもできます。物理的な位置やシステム全体の相関関係などのコンテキスト データと組み合わせることで、スペクトラム管理は WLAN の信頼性、パフォーマンス、セキュリティを高める強力で予防的なツールとなります。

外部またはスタンドアロンの SI ツールはこれまでにも存在していましたが、シスコでは SI を新しいアクセス ポイントのチップセットに直接統合するという大胆な手段を講じました。Cisco CleanAir は、802.11 以外の各干渉源で自動的に収集された豊富なスペクトラム情報に IT マネージャがアクセスできるようにする、業界初の革新的なテクノロジーです。

CleanAir テクノロジーによって提供されるスペクトラム インテリジェンスにより、新たなレベルのスペクトラム管理が可能になります。これまでのスペクトラム管理ツールが、他の Wi-Fi デバイスのみを認識して適応することができ、通常はワイヤレス ネットワークから独立していたのとは対照的に、新しい統合スペクトラム管理はワイヤレス ネットワークのファブリックの一部となっています。第 2 世代のスペクトラム管理は、ワイヤレス スペクトラムのすべてのユーザを完全に認識でき、干渉を緩和または回避することでネットワークのパフォーマンスを最適化するための手段を講じることができます。

パフォーマンスと信頼性

IT 部門は、ネットワークにおいて干渉の問題が検出されるだけでなく、可能であれば干渉の問題が自動的に解決されることを求めています。これは、運用コスト(OpEx)の削減とネットワーク ダウンタイムの最小化の両方が目的です。この種の自動調整は、無線リソース管理(RRM)の領域です。これは、RF のパフォーマンスを維持するためにネットワーク パラメータを自動的に調整する、インフラストラクチャ内のソフトウェアのレイヤです。旧世代の RRM は、ノイズについての大まかな認識以外は、干渉の問題の大部分を認識できませんでした。統合 SI では、次世代の RRM が干渉源に関する詳細な知識を使用して、真にインテリジェントな判断を下し、新しいレベルの信頼性を実現できます。

自動化された RRM に加え、統合スペクトラム インテリジェンスをシステム全体で使用することにより、次のような幅広いスペクトラム管理タスクを行うことができます。これらは、Wi-Fi にとっては新しいものですが、有線ネットワークの管理者にはよく知られているものです。

  • パフォーマンスの問題のリアルタイムのトラブルシューティング
  • 断続的な問題や過去の問題の原因分析
  • 使用状況と干渉の傾向に関するレポートの作成
  • 影響の特定と不必要なアラームの防止を目的とした、複数のアクセス ポイントにまたがる干渉問題の関連付け

ワイヤレス セキュリティ

Wi-Fi の課題はパフォーマンスだけではありません。もう 1 つの課題はセキュリティです。不正アクセス ポイントが企業ネットワークにセキュリティ ホールを作り出すおそれがあることに関して、業界では相当な対応がなされてきました。ワイヤレス侵入検知システムおよび侵入防御システム(wIDS/wIPS)は、この問題に対処できるように設計されてきました。しかし、現在の IDS および IPS ソリューションには、スペクトラム インテリジェンスを追加しないと対処できない重大な死角があります。

現在の IDS/IPS システムは、Super G(Atheros 社製)のような独自の拡張機能を使用して実行されているアクセス ポイントを検出できません。すでに使用可能になっているこれらのデバイスが検出されないことになります。さらに、ハッカーが標準的な Wi-Fi 機器(たとえば、Linux で稼働しているもの)を使用して、標準外のチャネルや標準外の変調方式で動作するように変更する可能性もあります。これらの拡張または変更されたデバイスは、RF 物理レイヤを分析した場合に限り検出できます。

Wi-Fi デバイス以外にも、他の多くの種類の非 Wi-Fi 機器(Bluetooth アクセス ポイント、802.11FH などの旧標準を実行するアクセス ポイント、独自のワイヤレス ブリッジ)を使用して、ネットワークにセキュリティ ホールが作られる可能性もあります。ブリッジの場合は、建物から数マイル離れた攻撃者にデータが送信される可能性もあります。前述したように、これらの種類のデバイスは、スペクトラムに存在するすべてのデバイスを分析した場合にのみ検出できます。

不正デバイスの脅威に加えて、悪質なユーザが RF サービス拒否(DoS)攻撃を行って Wi-Fi ネットワークを無効化しようとする脅威が常に存在します。IDS/IPS システムは「プロトコル レイヤ」の多くの DoS 攻撃をモニタしますが、電波妨害装置や診断用の電波妨害モードに設定された Wi-Fi デバイスを介して実行可能な RF レイヤ DoS 攻撃を検出できません。

目的を持った攻撃に加えて、ワイヤレス カメラやアナログ コードレス電話などの簡単なデバイスが、誤ってネットワーク全体の電波妨害を引き起こす可能性があります。統合されたスペクトラム インテリジェンスおよびスペクトラム管理は、これらの種類の RF レベル DoS のようなセキュリティに対する脅威を識別するのに非常に効果があります。

統合スペクトラム管理の実装方法


標準 Wi-Fi ハードウェアの限界

標準 Wi-Fi チップセットは、SI を実装する能力に基本的なレベルで限界があります。Wi-Fi チップセットが Wi-Fi 信号を受信するためだけに設計されているからです。他の種類の信号は認識しません(動的周波数選択 [DFS] レーダーを除く)。標準チップセットは、上位のソフトウェア レベルで動作する SI に対して、十分な情報を渡すようにも設計されていません。

具体的に言うと、標準 Wi-Fi チップセットが理解できない伝送のバーストを検出した場合、通常は 1)理解不能なバーストが発生したこと、2)バーストの電力レベル、3)バーストの開始時刻と停止時刻といった情報しか報告できません。実際には、別のチャネルにある Wi-Fi デバイスや、同じチャネルにあるが適切に受信できないほど距離が離れている Wi-Fi デバイスからバーストが生じる場合もある点に注意してください。または、Wi-Fi 以外のデバイスからバーストが生じることもあります。バーストの変調の種類、チャネル内の発生場所などの詳細な情報は、通常入手できません。また、バーストから受信した実際のデータにアクセスして詳しい分析を行うといったソフトウェアの機能もありません。

このような限界はありますが、Wi-Fi チップを使用して、識別できないバーストを合計し、干渉の総量と干渉の平均強度を計算することはできます。ただし、このアプローチでは実際に問題を解決するために必要な情報は得られません。たとえば、「干渉の総量」アプローチでは、干渉の具体的な種類(たとえば、同一チャネルの Wi-Fi 干渉にすぎないのか、他の干渉なのか)、干渉源は 1 つなのか多数なのか、干渉がどこに存在するのかといったことを知ることができません。このリストに示されているように、標準 Wi-Fi チップセットで収集できる SI のレベルは非常に限られています。

Cisco CleanAir テクノロジー:カスタム ハードウェア/ソフトウェア ソリューション

標準 Wi-Fi チップセットに存在する可視性の限界を克服するために、シスコは、特許取得済みのチップと、すべての RF アクティビティを分析および分類するために特別に設計されたソフトウェアを使用した統合ソリューションを構築しました (このテクノロジーについては、これまでに 25 件以上の特許を取得しています)。基本的には、Cisco® Spectrum Expert 分析ツールの背後にあるテクノロジーを利用して、それをインフラストラクチャに直接統合しました(Wi-Fi チップセット内への緊密な統合を含みます)。これは大きな進歩であり、企業においてワイヤレスが「あれば便利」なものから「ビジネスに不可欠」なものに変化したことを示しています。コンシューマー向けの Wi-Fi シリコンでは、もはや十分ではないのです。

カスタム ソリューションは、802.11n/802.11ac 対応 Cisco Aironet® 1600/2600/3600/3700 シリーズ アクセス ポイントの Wi-Fi チップセットに直接統合されたシスコ スペクトラム解析エンジン(SAgE)ハードウェア コアに端を発しています。SAgE コアは、高分解能の高速フーリエ変換(FFT)やパルス検出動作など、非常に高い処理能力が求められる動作を行います (パルスとは、周波数および時間における RF エネルギーのバーストのことです)。SAgE コアは、78.125 kHz という非常に細かいスペクトラム分解能(最も近い競合ソリューションの 4 倍、ほとんどのチップセットの 64 倍)を持っており、広範な干渉検出および分析を行うことができます。基本的には、SAgE コアは、リアルタイム ソフトウェアを処理できないほどの高い処理能力が求められる基本レベルのスペクトラム分析処理を行います。

図 1 は、エネルギーのパルスを識別する SAgE をグラフに示したものです。1 つ目の画像は、ハードウェア パルス検出装置ブロックからのデータを示しており、2 つ目の画像は、単一のパルスと見なすことができるほど厳密に一致するパルスをソフトウェアが結合した後のデータを示しています。


図 1 フィルタリング前後に検出された RF エネルギーのパルス

図 1 フィルタリング前後に検出された RF エネルギーのパルス


SAgE 処理が完了すると、調査対象のパルスの無線サンプルがソフトウェア レベルに渡され、詳細なフィンガープリント分析が行われます。この処理をメイン無線 CPU で実行すると、Wi-Fi のパフォーマンスに悪影響が及びます。この影響をなくすために、シスコ ハードウェア ソリューションにはデジタル シグナル プロセッサ(DSP)Vector Accelerator(DAvE)と呼ばれるカスタム処理コアが含まれています。これは、アクセス ポイントの Wi-Fi チップセットに直接統合されています。DAvE コアは、メイン CPU に負担をかけずに、「Davelets」と呼ばれる集中的な信号処理動作(フィルタリング、デシメーション、回転、同期ワード検出、変調検出など)を実行できます。DAvE は、CPU 負荷の高い信号処理動作を 実行します。DAvE がなければ、メイン CPU に大きな負荷がかかります。

最後の処理レベルは、メイン CPU で実行されるソフトウェア モジュールで発生し、「Sensord」と呼ばれます。負荷の大きい処理は SAgE および DAvE ハードウェア ブロックによって行われたため、CPU のオーバーヘッドはかなり低くなっています。Sensord ソフトウェアは、干渉バーストのタイミングと周波数、検出されたバースト属性(変調の種類や識別された同期ワードなど)を調べます。この高レベルの情報は、各デバイスの最終的な識別と分離に使用されます。この最後の分類ステップでは、SI の強力な機能が提供され、具体的な干渉源、干渉源が存在する場所、干渉を緩和する方法を知ることができます。

SI 実装のパフォーマンスについて

分類子の数

Cisco CleanAir テクノロジーには、20 の非 Wi-Fi 分類子の堅牢なスイートが用意されています。分析はソフトウェアで行われるため、新しい干渉源が市場に広がると、分類子のリストが拡張される可能性があります。つまり、ソフトウェアを更新するだけで、このソリューションは将来登場する可能性があるどのような種類の干渉でも検出することができます。

同時検出

Cisco CleanAir テクノロジーの分類では、同時に動作している複数の異なる干渉源(同じ種類でも異なる種類でも)を区別することができます。実際に、CleanAir テクノロジーは何百ものデバイスを追跡および分類し、無線あたり上位 10 台の同時干渉デバイスを報告できます。実際の環境では同時 RF アクティビティの数がかなり多いため、これは重要です。複数の同時デバイスを区別できるだけの高度な機能を持たない競合ソリューションは、デモやラボ テストには十分でも、現場ではすぐに役立たなくなります。

検出時間

干渉デバイスは、短時間に電源がオン/オフされたり、ユーザがフロア内を移動したりするため、すぐに消えてしまう場合があります。このため、分類はデバイスが消えてしまう前に迅速に行われる必要があります。Cisco CleanAir テクノロジーを使用すると、アクセス ポイントはデバイスを 30 秒以内に分類できるようになります。多くの場合、5 秒未満で分類を実行できます (複数のアクセス ポイント間でデータを統合する場合は、報告でわずかに遅延が生じることがあります)。

誤検出の可能性

干渉源を見落とさないことは重要ですが、何も存在しない場合に「疑似」干渉を報告しないようにすることや、干渉の誤表示によって IT 部門に誤った種類のデバイスを探させないようにすることも同様に重要です。Cisco CleanAir テクノロジーは、何百台もの Wi-Fi デバイスや非 Wi-Fi デバイスが同時に動作している複雑な RF 環境でも、誤検出が低くなるように設計されています。誤検出を減らすことにより、CleanAir テクノロジーは IT の時間を節約します。

CleanAir テクノロジー:統合スペクトラム インテリジェンスおよびスペクトラム管理の重要性


Spectrum Expert 製品、Metageek Chanalyzer 製品およびツール ベースのソリューションは、ネットワークの展開前に重要な役割を担いますが、SI テクノロジーの Wi-Fi インフラストラクチャへの統合には、はるかに魅力的な利点があります。Cisco CleanAir 統合ソリューションでは、SI エンジンがアクセス ポイントに直接組み込まれており、SI 情報がネットワーク アーキテクチャと管理システムに完全に統合されているため、インテリジェントなスペクトラム管理が可能です。

CleanAir テクノロジーの利点は、24 時間 365 日動作し、干渉と電波品質の問題を絶えずモニタすることです(図 2 参照)。これにより、IT 部門はスペクトラム管理に対してより予防的なアプローチをとることができます。IT 部門は、エンド ユーザからの(トラブル チケットという形での)干渉に関する報告を受けてから、ツールを起動して問題を解析するのではなく、干渉を発生後すぐに検出して、迅速に対策を講じることができます。24 時間 365 日の履歴により、さかのぼって調べることも可能になります。履歴データを使用すると、経時的な傾向分析を簡単に実行できます。

図 2 Cisco Prime Network Control System における干渉デバイス、電波品質の傾向、アラートのモニタ

図 2 Cisco Prime Network Control System における干渉デバイス、電波品質の傾向、アラートのモニタ


アクセス ポイント間で検出されたデバイスのマッチング機能

統合スペクトラム管理を行っている WLAN では、複数のアクセス ポイント間で同じ干渉デバイスが検出されることがよくあります。それらの各デバイスが別個に報告された場合、管理者に大量のアラートが生成される可能性があります。CleanAir テクノロジーを使用すると、アクセス ポイントによって検出された各デバイスに、デバイス属性に基づいて Pseudo-MAC(PMAC)アドレスが割り当てられます。その後、アクセス ポイント間で PMAC が比較されます。2 台のデバイスの PMAC が一致し、(かつ、アクセス ポイントが互いに比較的近接している場合)、2 つのアクセス ポイントからの報告はまとめて「クラスタリング」されます。この時点で、クラスタを単一のデバイスとして管理者に報告できます。

クラスタリングは、デバイスの位置特定においても重要な役割を果たします。PMAC が一致するクラスタは、同一デバイスの複数の電力測定結果をシステムに提供することになります。これにより、デバイスの位置を三角測量することが可能になります。デバイス クラスタリングの重要な特性は、過度なクラスタリング(結合すべきでないデバイスを結合する)やクラスタリング不足(1 台しか存在しない場合に複数のデバイスを報告する)を生じることなく、ネットワークがデバイスを適切にクラスタリングできることです。

CleanAir テクノロジーの 2 つ目の利点は、リモートで操作できることです。多くの Wi-Fi 展開では、1 ヵ所にいる IT スタッフが敷地内の複数の建物または複数の地理的な場所にある機器を管理しているため、リモート管理されているそれらの場所にツールを物理的に持ち込むことは困難な場合があります。多くのブランチ オフィスがある展開や、干渉が本質的に消えやすい場合は特に困難です。スペクトラム管理をインフラストラクチャに統合することで、IT 部門はネットワーク上のあらゆる場所の干渉状況をリモートで参照できます。

Cisco CleanAir テクノロジーでは、干渉しているデバイスを物理的に特定することもできます(図 3)。ほとんどの場合、干渉を生じさせている同じデバイスを複数のアクセス ポイントが検出します。シスコは、複数のアクセス ポイントで報告されたデバイスを比較し、どの報告が実際に同じデバイスから生じているかを判断する高度なテクノロジーを開発しました。デバイスが関連付けられると、CleanAir テクノロジーは三角測量を使用してデバイスの正確な位置を特定できるようにします。これは、現在インフラストラクチャ システムによって Wi-Fi クライアントおよびタグが特定されているのと同様の方法です。

図 3 干渉デバイスとその影響を受けるゾーンの特定

図 3 干渉デバイスとその影響を受けるゾーンの特定


WLAN に CleanAir テクノロジーを統合する最大の利点は、アクセス ポイント RRM システムに SI データを使用できるようになることです。SI データを使用すると、24 時間 365 日の自動干渉緩和を実装することができます。これは真の意味で次世代の RRM であり、干渉を単純化してノイズとして識別していた以前のバージョンより信頼性が大幅に向上しています。CleanAir テクノロジーを使用すると、ネットワークを調整して、多くの種類の干渉を自動的に回避することができます。既知の干渉が識別されると、インテリジェンス、ひいては信頼性とともに、適切な緩和を適用できます。

CleanAir テクノロジーを使用した Cisco Unified Wireless Network の機能


電波品質とパフォーマンス アラート

干渉源の検出と識別は、これまでも非常に重要でしたが、ワイヤレス ネットワークの密度が高まる(クライアント、アクセス ポイント、トラフィックの増加)につれてその重要性はますます高まっています。高密度エクスペリエンス(HDX)ソリューション スイートの重要なコンポーネントとして、Cisco CleanAir テクノロジーは干渉に関する多くの詳細な情報を提供します。しかし、干渉の問題がネットワークに影響を与えている場所を「一目で」理解できるようにするために、詳細な情報が、電波品質(AQ)と呼ばれる理解しやすい高レベルの指標にまとめられています。AQ はチャネル、フロア、およびシステム レベルで報告され、AQ アラートがサポートされるため、AQ が必要なしきい値を下回るとすぐに通知が自動送信されます。

「分類済み」の(つまり、検出および識別された)干渉と「未分類」の(つまり、検出されたが識別されていない)干渉の両方の電波品質が報告されます。未分類の干渉に関する情報は AQ レポートに含められますが、AQ インデックス計算からは除外されます。モニタ機能を強化するために、未分類カテゴリの重要度がユーザ定義のしきい値を超えると、アラームが生成されます。

マップベースの可視化

CleanAir テクノロジーが有効な WLAN では、分析および検出されたデバイスは、Cisco Prime Network Control System(NCS)と Mobility Services Engine(MSE)管理システムにより提供される視覚的なマッピング表示とも統合されます。マップ上でアクセス ポイントとクライアントを確認できるだけでなく、同じマップで干渉デバイスが存在する場所も追跡できます。パフォーマンスの観点からは、マップで干渉デバイス(およびその影響を受けるゾーン)を確認できると、影響が及ぶアクセス ポイント、クライアント、フロア スペースの領域を特定できるようになります。

セキュリティの観点からは、マップでデバイスを追跡できると、セキュリティ担当者を派遣すべき場所がすぐにわかります。

セキュリティ アラート

セキュリティに影響を与えるデバイスをマップ上に表示できるのに加えて、場所ごとに(建物の特定のフロアなど)アラートをカスタマイズできます。建物のエリア(トレーディング部署など)によっては特定のデバイスが脅威と見なされても、別のエリア(建物のロビーなど)では脅威と見なされない可能性があるため、これは強力な機能です。

緩和機能

柔軟な展開に加えて、Cisco CleanAir テクノロジーには干渉に対する高度な自動対応機能も備わっています。これらの自動対応機能には、永続型デバイス回避(Persistent Device Avoidance)やイベント駆動型 RRM(Event Driven RRM)などがあります。

永続型デバイス回避は、特定のデバイスの位置と周波数がほぼ固定されていることを認識します(たとえば、電子レンジやワイヤレス ビデオ カメラなど)。したがって、それらのデバイスが特定の場所の特定のチャネルで現在検出されていなくても、以前に検出された場所に戻ってくる可能性が高いことがわかっています。システムはこの種のデバイスを追跡し、チャネル選択が実行されると、永続型デバイスが検出された場所のチャネルを回避しようとします。

さらに、Cisco CleanAir テクノロジーが有効なアクセス ポイントは、検出した永続型デバイスの存在に関する情報を、近隣にある Clean Air が有効なアクセス ポイントと共有(つまり伝搬)します。このようにして、システムはそれらのアクセス ポイントが「チャネル バウンシング」(つまり、永続型干渉源の影響を受けるチャネルに動的チャネル割り当てを行うこと)の可能性を回避できるようにします。

永続型デバイスの回避情報は、Cisco CleanAir が有効なアクセス ポイントから、近隣にある CleanAir が有効でないアクセス ポイントにも共有できます(すべてのアクセス ポイントが同じコントローラに接続されていることが前提)。

最後の点として、モニタ モードの(または WSSI モジュールがインストールされた)アクセス ポイントは、モニタされたすべてのチャネル上の永続型デバイスも検出および登録します。検出されたデバイスの情報は、近隣にあるローカル モード アクセス ポイントと共有され、これらのアクセス ポイントが永続型デバイス干渉の影響を受けているチャネルを使用しないようにします。この場合、PDA データ ストレージが拡張されてすべてのチャネル上のデバイスに関する情報が保持され、モニタ モードのアクセス ポイントが強化されて永続型デバイス データが登録されます。

イベント駆動型 RRM は、一部の干渉イベントが深刻で破壊的な性質を持っていることを認識します。たとえば、FM 信号を継続的に生成するコードレス電話により、数分間(その電話がアクティブな間)の機能停止が発生する可能性があります。したがって、電波品質が大幅に低下した場合、システムは影響を受けているアクセス ポイントのチャネルの変更をすぐに評価します。チャネルの変更が生じる場合、影響を受けているアクセス ポイントに対してのみ行われ、近隣にあるアクセス ポイントのチャネル計画に対する連鎖的な影響は回避される点に注意してください。

多くの場合、干渉に対する最良の対応は管理者が干渉しているデバイスを手動で移動、除去、交換、または遮断することですが、他の措置が実行可能になるまでパフォーマンスを短期的に維持するには自動緩和が非常に望ましい方法です。さらに、場合によっては、そもそも干渉源を除去できないことがあります(たとえば、建物の外から発生している場合など)。

アナライザとしてのアクセス ポイント

Cisco CleanAir テクノロジーは、Spectrum Expert アナライザ ツールに匹敵する、低レベルスペクトラム プロットの専門的なビューを提供します。CleanAir アクセス ポイントをネットワーク接続されたセンサーとして設定し、アクセス ポイントで無線により受信したスペクトラム プロットを直接確認できます。

システムにより大量の高レベルな分析データ(分類済みのデバイスや電波品質など)が生成されますが、生のスペクトラム データ自体をリアルタイムで確認することが必要な状況も常に存在します。スタッフに RF エキスパートがいない企業でも、特に診断が困難な問題をサポートするために呼ばれたエキスパートには、図 4 に示す Spectrum Expert Connect 機能が役立ちます。

図 4 Spectrum Expert Connect 機能を使用したアクセス ポイントでの問題の診断

図 4 Spectrum Expert Connect 機能を使用したアクセス ポイントでの問題の診断


新しいテクノロジーへの拡張性

Cisco CleanAir テクノロジーに備わっている基本的な機能と利点は、新しい Wi-Fi テクノロジーに直接拡張できます。たとえば、802.11ac モジュールが Aironet 3600 シリーズ アクセス ポイントにインストールされて有効になっている場合、CleanAir サブシステムは 80-MHz チャネル全体をモニタします(つまり、Aironet 3600 から生じる 5-GHz の 802.11n 無線は、自身の 40-MHz 幅チャネルだけをモニタするのではなく、802.11ac モジュールにより使用されているフル チャネル帯域幅をモニタします)。

さらに、新しい Aironet 3700 シリーズ アクセス ポイントには、これと同じ実証済みの機能が用意されています。Aironet 3600 と 802.11ac モジュールの組み合わせと同様に、Aironet 3700 内の CleanAir サブシステムは、80-MHz チャネルを形成する 4 つの各 20-MHz チャネルに関する AQ レポートを作成するだけではなく、フル 80-MHz チャネル内で検出された干渉源を報告します。

要約すると、CleanAir はチャネル帯域幅が増加しても、干渉源と AQ を検出および報告し続けます。このため、802.11ac への移行によりパフォーマンスが低下したり最適でなくなることはありません。80-MHz チャネル全体をモニタする CleanAir のサポートにより、802.11ac ネットワーク品質の管理が強化されて、RF スペクトラムの使用状況の可視化が向上し、フル 80-MHz チャネルでの EDRRM が有効になります。

まとめ


Wi-Fi は共有の非ライセンス バンドで動作するため、Wi-Fi ネットワークの高いレベルのパフォーマンス、セキュリティ、信頼性を実現するためには、統合スペクトラム インテリジェンスとスペクトラム管理が必須となります。スペクトラム管理は、ビジネスに不可欠なワイヤレス アプリケーションを使用しているエンド ユーザに、豊かで信頼性の高いモビリティ エクスペリエンスを提供するために不可欠です。

商用 Wi-Fi チップセットの限定的な RF 可視性機能では不十分なため、シスコは干渉を分析するために特別に設計された特許取得済みのスペクトラム処理ハードウェアおよびソフトウェアを統合し、真の意味でのエンタープライズ クラスの Wi-Fi チップセットを作り出しました。基礎となるこのシリコンの能力により、Cisco CleanAir テクノロジーは、個々の干渉源を分類して、その位置を特定し、ネットワークのパフォーンマンスやセキュリティに対するその影響を示します。

SI は、事前展開段階で役に立つ Spectrum Expert などのツールの形で入手できますが、SI テクノロジーをインフラストラクチャ内に直接統合するのが最良の選択肢です。Cisco CleanAir テクノロジーは、予防的な干渉の 24 時間 365 日のモニタリング、スペクトラム セキュリティおよびパフォーマンス アラート、リモート管理、干渉デバイス位置特定など、強力なスペクトラム管理機能を提供します。そして最も重要な点は、統合された SI により、干渉の影響を把握してインテリジェントに緩和する、新しいレベルの自動スペクトラム管理が実現されることです。