IP Next-Generation Networks

ゼタバイト時代:トレンドと分析

データ シート





ゼタバイト時代:トレンドと分析




2016 年 6 月

このドキュメントは、ビジュアル ネットワーキング アプリケーションの影響を追跡し、予測することを目的とした、継続的なイニシアティブ「CiscoR Visual Networking Index(VNI)」の一環として作成されたものです。このドキュメントでは、全世界の IP トラフィックに対するシスコの予測と主な所見を示すと共に、IP トラフィック量の増加がサービス プロバイダーにどのような影響を与えるかを考察します。この予測の詳細と予測の基盤となる方法論については、『Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2015 〜 2020 年』を参照してください。


概要


全世界の IP トラフィックの年間量は 2016 年末にはゼタバイト(ZB、つまり 1000 エクサバイト(EB))の大台を超え、2020 年には年間 2.3 ZB に達する見込みです。2016 年末までに、全世界の IP トラフィックは年間 1.1 ZB(1 ヵ月間に 88.7 EB)に、2020 年には年間 2.3 ZB(1 ヵ月間に 194 EB)に到達すると予測されます。

全世界の IP トラフィックは、今後 5 年間で約 3 倍に増加する見込みです。2015 年から 2020 年までの IP トラフィック全体の年平均成長率(CAGR)は 22 % になると予測されます。月間の IP トラフィックは、2015 年には 1 人あたり 10 GB でしたが、2020 年には 1 人あたり 25 GB に到達すると予測されます。

最頻時のトラフィックは平均トラフィックよりも速いペースで増加しています。最頻時(1 日で通信量が最大になる 60 分間)のインターネット トラフィックは、2015 年には 51 % 増加し、平均トラフィックは 29 % 増加しています。2015 年から 2020 年の期間に、最頻時のインターネット トラフィックは 4.6 倍に増加し、平均インターネット トラフィックは 2.0 倍に増える見込みです。

2020 年までに、スマートフォンのトラフィックが PC のトラフィックを上回るようになると予測されています。2015 年に PC のトラフィックは IP トラフィック全体の 53 % を占めていましたが、2020 年までには 29 % まで低下する見込みです。IP トラフィック全体に占めるスマートフォンの割合は 2015 年には 8 % でしたが、2020 年には 30 % になる見込みです。PC によるトラフィックの CAGR は 8 %、テレビ、タブレット、スマートフォン、および Machine-to-Machine(M2M)モジュールによるトラフィックの成長率はそれぞれ 17 %、39 %、58 %、44 % となる見込みです。

無線デバイスとモバイル デバイスからのトラフィックは、2020 年までに IP トラフィックの 3 分の 2 を占めると予測されています。2020 年には、IP トラフィックに占める有線デバイスの割合は 34 % になり、Wi-Fi デバイスとモバイル デバイスの割合が 66 % になる見込みです。2015 年には、有線デバイスが IP トラフィックの半分以上(52 %)を占めていました。

コンテンツ配信ネットワーク(CDN)は、2020 年にはインターネット トラフィック全体のほぼ 3 分の 2 を占めると見込まれます。全世界のインターネット トラフィック全体に占める CDN の割合は、2015 年の 45 % から 2020 年には 64 % に増加すると予測されます。

IP ネットワークに接続されるデバイス数は、2020 年には全世界の人口の 3 倍を超える見込みです。2015 年にはネットワーク デバイスは 1 人あたり約 2.2 台でしたが、2020 年には 1 人あたり 3.4 台になると予測されます。2015 年に 163 億台であったネットワーク デバイス数は、2020 年までに 263 億台となる見込みです。

ブロードバンドの速度は、2020 年にはほぼ 2 倍になります。全世界の固定ブロードバンドの通信速度は、2015 年の 24.7 Mbps から 2020 年には 47.7 Mbps に拡大する見込みです。

ハイライト:全世界のインターネット ビデオおよびゲーム

2020 年に全世界の IP ネットワークを 1 ヵ月に通過するビデオの量は 500 万年以上の視聴時間に相当します。2020 年には、毎秒 100 万分の視聴時間に相当するビデオ コンテンツがネットワーク上を伝送されることになります。

世界中の全 IP トラフィック(ビジネスとコンシューマの両方)に占める IP ビデオ トラフィックの割合は、2015 年の 70 % から 2020 年には 82 % に増加する見込みです。2015 〜 2020 年の間に全世界の IP ビデオ トラフィックは約 3 倍に増加すると予測されています(CAGR 26 %)。2015 〜 2020 年の間にインターネット ビデオ トラフィックは約 4 倍に増加すると予測されています(CAGR 31 %)。

インターネットのビデオ監視トラフィックは 2015 年の 1 年間に約 2 倍に増えました。2014 年末、ビデオ監視トラフィックは 1 ヵ月間に 272 ペタバイトでしたが、2015 年には 1 ヵ月間に 516 ペタバイトとなりました。2015 〜 2020 年の間に、インターネットのビデオ監視トラフィックは 10 倍に増加する見込みです。世界のインターネット ビデオ トラフィック全体に占めるビデオ監視は、2015 年の 1.5 % が 2020 年には 3.9 % に増加すると予測されます。

仮想現実のトラフィックは 2015 年には 4 倍になり、2014 年は 1 ヵ月あたり 4.2 ペタバイト(PB)でしたが、2015 年には 1 ヵ月あたり 17.9 PB に増加しました。全世界で、仮想現実のトラフィックは 2015 〜 2020 年の間に 61 倍(CAGR 127 %)に達する見込みです。

テレビ視聴のインターネット ビデオは 2015 年に 50 % 増加しました。テレビ視聴のインターネット ビデオは今後も高い成長率で増え続け、2020 年までに 3.6 倍に達する見込みです。固定コンシューマ インターネット ビデオ トラフィックに占めるテレビ視聴のインターネット ビデオ トラフィックの割合は 2020 年には 26 % になる見込みです。

コンシューマ ビデオオンデマンド(VoD)トラフィックは、2020 年までに 2 倍近くに増加します。2020 年の 1 ヵ月あたりの VoD トラフィック量は、DVD 72 億枚に相当します。

2015 〜 2020 年の間に全世界のインターネット ゲーム トラフィックは 7 倍に増加し、CAGR は 46 % になる見込みです。2015 年には全世界のコンシューマ インターネット トラフィックに占めるゲーム トラフィックの割合は 2 % でしたが、2020 年には 4 % になる見込みです。

ハイライト:全世界のモバイル

全世界のモバイル データ トラフィックは、2015 年から 2020 年の間に 8 倍に増加する見込みです2015 年から 2020 年までのモバイル データ トラフィックの CAGR は 53 % と予測され、2020 年には 1 ヵ月あたり 30.6 エクサバイトに達する見込みです。

2015 〜 2020 年の間に、全世界のモバイル データ トラフィックは、固定 IP トラフィックの約 3 倍のペースで増加する見込みです。2015 〜 2020 年の間に、固定 IP トラフィックは CAGR 19 % で成長し、モバイル トラフィックは CAGR 53 % で成長する見込みです。全世界のモバイル データ トラフィックは、2015 年には IP トラフィック全体の 5 % でしたが、2020 年には 16 % になると予測されます。

ハイライト:地域別

IP トラフィックの成長率が最も高いのは中東およびアフリカで、アジア太平洋地域がこれに続きます。中東およびアフリカのトラフィックは、2015 年から 2020 年の期間に CAGR 41 % のペースで増加します。/p>

地域別成長率の概要は以下のとおりです。

  • 北米の IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 59.1 EB に達し、CAGR は 19 % になる見込みです。
  • 西ヨーロッパの IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 28.0 EB に達し、CAGR は 20 % になる見込みです。
  • アジア太平洋地域の IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 67.8 EB に達し、CAGR は 22 % になる見込みです。
  • 中南米の IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 11.6 EB に達し、CAGR は 21 % になる見込みです。
  • 中央および東ヨーロッパの IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 17.0 EB に達し、CAGR は 27 % になる見込みです。
  • 中東およびアフリカの IP トラフィックは 2020 年には 1 ヵ月あたり 10.9 EB に達し、CAGR は 41 % になる見込みです。

注:地域別、国別、アプリケーション別、エンドユーザ セグメント別に独自の概要および予測グラフを作成できる、対話形式のツールを利用できます(Cisco VNI Forecast Highlights ツールCisco VNI Forecast Widget ツールを参照してください)。

ハイライト:全世界のビジネス

ビジネス IP トラフィックは、2015 年から 2020 年にかけて、CAGR 18 % のペースで増大すると予測されています。企業部門での高度なビデオ コミュニケーションの普及がビジネス IP トラフィックの増加を促し、2020 年には 2015 年比 2 倍増となる見込みです。

ビジネス インターネット トラフィックは、IP WAN を上回るペースで成長するものと予測されています。IP WAN トラフィックの CAGR が 6 % であるのに対し、固定ビジネス インターネットの CAGR は 21 %、モバイル ビジネス インターネット トラフィックの CAGR は 47 % になる見込みです。

ビジネス IP トラフィックの成長率が最も高い地域は、中東およびアフリカです。中東およびアフリカのビジネス IP トラフィックは CAGR 21 % で成長する見込みです。このペースは世界平均の 18 % を大きく上回っています。ビジネス IP トラフィックの総量はアジア太平洋地域が最大で、2019 年には 1 ヵ月あたり 11.4 EB に達する見込みです。第 2 位は北米で、1 ヵ月あたり 9.1 EB と予測されます。

予測の概要


最新の Cisco Visual Networking Index(VNI)の予測では、2015 〜 2020 年に全世界の IP トラフィックは 3 倍近くまで増大すると見込まれています。詳細なサマリーについては、「付録 A」を参照してください。IP トラフィックの全体量は 2015 年には 1 ヵ月あたり 72.5 EB でしたが、CAGR 22 % のペースで増加し、2020 年には 194 EB になる見込みです(図 1)。この成長は、昨年に実施された 2014 〜 2019 年の予測(23 %)からやや減少しています。全世界の IP トラフィックの成長は 20 〜 25 % の範囲で安定しているようです。

図 1.   Cisco VNI の予測によると、2020 年には IP トラフィックが 1 ヵ月あたり 194 EB になる見込みです。


シスコの予測方法の詳細については、ホワイト ペーパー『Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2015 〜 2020 年』を参照してください。

IP トラフィック量の大きさを理解できるように、わかりやすい例を使って説明します。

  • 2020 年には、今までに作成されたすべての動画に相当するギガバイト(GB)量が、2 分ごとに全世界のインターネットを通過するようになります。
  • 全世界の IP トラフィックは、2020 年には 1 秒あたり 511 テラビット(Tbps)に到達すると予測されます。これは、1 億 4,200 万人が同時に、毎日、1 日中、高解像度(HD)のインターネット ビデオをストリーミングする量に相当します。
  • 2020 年の全世界の IP トラフィック量を DVD の枚数で表すと、年に 5,040 億枚、月に 420 億枚、1 時間に 5,800 万枚に相当します。

インターネット トラフィックの総量は過去 20 年間に急増しました。20 年以上前の 1992 年には、世界のインターネット ネットワークでやりとりされるトラフィックは 1 日あたり約 100 GB でした。その 10 年後の 2002 年には 1 秒あたり 100 ギガバイト(GBps)に増え、2015 年には、全世界のインターネット トラフィックは 20,000 GBps 以上に到達しました。表 1 に、インターネット トラフィックの全体量の変遷の指標となる数値を示します。

表 1.Cisco VNI の予測:インターネットの変遷

世界のインターネット トラフィック
1992 100 GB/日
1997 100 GB/時
2002 100 GBps
2007 2000 GBps
2015 20,235 Gbps
2020 61,386 Gbps


出典:Cisco VNI、2016 年

IP トラフィックとインターネット トラフィックの 1 人あたりのデータ量は、この 10 年間に同じような急成長の道をたどってきました。2015 年には 1 ヵ月間に 1 人あたり 10 GB だった世界の IP トラフィックは 2020 年には 25 GB に達し、2015 年には 1 人あたり 7 GB だったインターネット トラフィックは 2020 年には 21 GB に増加すると見込まれます。わずか数年前の 2008 年には、1 人あたりのインターネット トラフィックは月間 1 GB でした。2000 年の 1 人あたりのインターネット トラフィックは月間 10 メガバイト(MB)でした。

以降のセクションでは、全世界の IP トラフィックに継続的な増加をもたらしているトレンドについて説明します。

トレンド 1:デバイス数と接続数が引き続き増加


世界的に見ると、デバイスと接続(CAGR 10 %)は、総人口(CAGR 1.1 %)やインターネット ユーザ数(CAGR 6.5 %)よりも高い成長率で成長することが予想されます(図 2)。この傾向により、デバイスおよび接続の世帯あたりおよびインターネット ユーザあたりの平均数の増加が加速されています。毎年、機能やインテリジェンスが強化された新製品が多様なフォームファクタで市場に投入され、普及します。スマート メーター、ビデオ監視、ヘルスケア モニタリング、輸送、パッケージ、資産のトラッキングなどの M2M アプリケーションが増加しており、デバイスおよび接続の成長を牽引する主な要因となっています。2020 年には、M2M の接続はデバイスおよび接続合計の 46 % になる見込みです。

図 2.   世界的なデバイス数と接続数の増加

カッコ内の数値は 2015 年と 2020 年のデバイスの割合を表しています。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年


最も成長が著しい接続カテゴリは M2M で、予測期間中、2020 年までに約 2.5 倍の成長が見込まれます(CAGR 20 %、接続数 122 億)。次に成長が速いのはスマートフォンで、CAGR は 13 %(1.8 倍の成長)になると見込まれます。その次に成長が早いと予測されるのはネットワークに接続されているテレビ(フラット パネル テレビ、セットトップ ボックス、デジタル メディア アダプタ(DMA)、ブルーレイ ディスク プレーヤー、ゲーム コンソールを含む)で、2020 年までに 31 億台に達する見込みです(CAGR 12 %)。PC は予測期間の間、減少を続ける見込みです(約 2 % の減少)。ただし、2020 年末でも、PC の数はタブレットよりも多くなると予測されます(PC が 13 億 5,000 万に対してタブレットが 7 億 8,500 万)。

2020 年には、固定デバイスとモバイル デバイスを合わせたコンシューマ デバイスがデバイス全体の 74 % を占め、残りの 26 % がビジネス デバイスとなります。コンシューマ デバイスの割合は、CAGR 9.5 % で増加し、ビジネス セグメントの成長率(CAGR 12 %)をわずかに下回る見込みです。家庭向け、コンシューマ モバイル、ビジネス向けの各セグメントのデバイスおよび接続数の詳細については、Cisco VNI:サービスの普及に関する予測のハイライト ツールCisco VNI:サービスの普及に関する予測のハイライト ツール [英語] を参照してください。

1 人あたりのデバイスおよび接続数の世界平均は、2015 年の 2 から 2020 年には 3.2 に拡大します(表 2)。

表 2. 1 人あたりのデバイスおよび接続数の平均

2015 2020 CAGR
アジア太平洋 1.87 2.82 8.5 %
中央および東ヨーロッパ 2.49 3.96 9.8 %
中南米 2.07 2.95 7.4 %
中東およびアフリカ 1.09 1.47 6.2 %
北米 7.14 12.18 11.3 %
西ヨーロッパ 5.09 8.87 11.7 %
全地域 2.21 3.39 8.9 %


出典:Cisco VNI、2016 年

2020 年には、人口 1 人あたりの平均デバイスおよび接続数の平均が最も高い国は、米国(12.3)、韓国(12.2)、および日本(11.9)になる見込みです。

デバイスおよび接続数の内訳の変化や複数デバイス所有者の増加がトラフィックに影響し、IP トラフィック全体へのデバイスの貢献度が変化する可能性があります。2015 年末には、IP トラフィックの 47 %、コンシューマ インターネット トラフィックの 37 % が PC 以外のデバイスによるものでした。2020 年には、非 PC デバイスからのトラフィックが IP トラフィックの 71 %、コンシューマ インターネット トラフィックの 71 % を占めるようになります(図 3)。

図 3.    全世界の IP トラフィック(デバイス別)


カッコ内の数値は 2015 年と 2020 年のデバイスの割合を表しています。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

モバイル ネットワークと同様に、ビデオ デバイスもトラフィックに大きな影響をもたらす可能性があります。インターネット対応の HD テレビ 1 台に毎日インターネットから 45 分のコンテンツが流れると、現在の全世帯分に相当するインターネット トラフィックが生成されます。スマートフォンおよびタブレットでのビデオ視聴の拡大に伴い、インターネット トラフィック全体に占めるこれらのデバイスからのトラフィックの割合が増加しています。世界のインターネット トラフィック全体に占めるタブレットの割合は 2015 年には 9 % でしたが、2020 年には 15 % になる見込みです。世界のインターネット トラフィック全体に占めるスマートフォンの割合は 2015 年には 11 % でしたが、2020 年には 37 % になる見込みです(図 4)。

図 4.    全世界のインターネット トラフィック(デバイス別)

カッコ内の数値は 2015 年と 2020 年のデバイスの割合を表しています。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年


デバイスのトラフィックに対するビデオの影響は、ウルトラ HD(UHD)または 4K ビデオ ストリーミングの導入によってさらに顕著になります。4K ビデオのビット レート(約 18 Mbps)は、HD ビデオの 2 倍以上、標準画質(SD)ビデオの 9 倍以上にもなるためです。2015 年には、設置されるフラットパネル テレビ セットの 8 % が UHD でしたが、2020 年には 40 % まで増大します(図 5)。

図 5.   ビデオ解像度の向上:2020 年にはネットワークに接続されているフラットパネル テレビ セットの 40 % 以上が 4K に

出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年


ウルトラ HD(4K)IP VoD は、2020 年には世界の VoD トラフィックの 21 % を占めるようになります(図 6)。

図 6.   世界における 4K ビデオ トラフィック


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トレンド 2:IPv6 による Internet of Everything の実現


IPv6 デバイスの機能、コンテンツへの対応、IPv6 をネットワークに実装する事業者の増加から判断すると、IPv4 環境から IPv6 環境への移行は順調に進んでいると考えられます。アジア、ヨーロッパ、北米、および中南米では IPv4 アドレスがすでに枯渇しており、アフリカでは 2018 年に IPv4 の割り当てが不足すると予測されているため、この移行はきわめて重要です。

表 3.IPv4 アドレスの枯渇日

地域インターネット レジストリ 枯渇日
Asia-Pacific Network Information Center(APNIC) 2011 年 4 月 19 日(実績)
Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre(RIPE NCC) 2012 年 9 月 14 日(実績)
Latin America and Caribbean Network Information Centre(LACNIC) 2014 年 6 月 10 日(実績)
American Registry for Internet Numbers(ARIN) 2015 年 9 月 24 日(実績)
African Network Information Center(AFRINIC) 2018 年 4 月 4 日(予測)

VNI の IPv6 対応デバイスの分析によると、2015 年に世界で約 40 億台だった IPv6 対応の固定およびモバイル デバイスは、2020 年には約 130 億台に達します(CAGR 27 %)。ネットワークに接続される固定およびモバイルのすべてのデバイスに占める IPv6 対応デバイスの割合は、2015 年の 23 % から 2020 年には 48 % に拡大します(図 7)。

この推測は、IPv6 をサポートするデバイスの性能とネットワーク接続に基づくもので、アクティブな IPv6 接続を予測したものではありません。モバイルデバイスが IPv6 に対応しているかどうかは、OS の IPv6 サポートの有無と、デバイスが接続可能なモバイル ネットワーク インフラストラクチャ(3.5 世代(3.5G)以降)に基づいて推計されています。固定デバイスが IPv6 に対応しているかどうかは、デバイスの IPv6 サポートの有無に加え、そのデバイスのエンドユーザ セグメントに応じて、顧客宅内機器(CPE)またはビジネス ルータが IPv6 をサポートしているかどうかを推定する方法で判断しています。

図 7.   全世界における IPv6 対応デバイスと接続の予測(2015 〜 2020 年)

出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年


2015 年には、世界のスマートフォンおよびタブレットの 60 % が IPv6 に対応していましたが、2020 年には 90 % に増大します。IPv6 に対応しているスマートフォンおよびタブレットの台数は、2015 年には全世界で 21 億台でしたが、2020 年には 58 億台になると予測されています。2020 年には、M2M 接続の 30 % が IPv6 に対応し、接続数は 37 億(CAGR 67 %)に達する見込みです。

World IPv6 Launch Organization によれば、2016 年 5 月現在、世界の固定ネットワークとモバイル ネットワークの事業者は IPv6 の導入を進めつつあり、IPv6 トラフィックの生成が顕著になっています。IPv6 の導入状況について、ルーマニアの RCS & RDS は約 12 %、フランスの Free Telecom は 22 %、KDDI は約 28 %、Comcast は 45 %、AT&T は 59 %、Verizon Wireless は 69 % と報告しています。Google によると、2016 年 5 月に IPv6 を使用して Google にアクセスしたユーザの比率は約 11 % です。

このような業界の発展を受けて、VNI の予測では、デバイスの種類ごとに推計した世界の月あたりの平均トラフィックに基づき、IPv6 対応デバイスが実際に IPv6 ネットワークに接続されるようになった場合に生成される潜在的な IPv6 ネットワーク トラフィックを算定しています。

2020 年の数値を見てみると、IPv6 対応のデバイスの 60 % が能動的に IPv6 ネットワークに接続すると仮定して、世界の IPv6 トラフィックは月あたり 55 EB、インターネット トラフィック全体の 34 % になると予測しています(図 8)。

図 8.   全世界の固定とモバイルの IPv6 トラフィックの予測(2015 〜 2020 年)


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

この潜在的な IPv6 トラフィックの推測は、IPv6 デバイスの性能やコンテンツの IPv6 対応、IPv6 ネットワーク導入が現在のトレンドのペースに合わせて進展し、予測対象期間中もさらに促進されるという仮定に基づいています。これらの可変要素の相互依存性を考慮すると、予測の仮定条件は分析を進める過程で精度が高まる可能性があります。

コンテンツ プロバイダーもまた、自社のサイトやサービスの IPv6 対応を進めています。シスコの IPv6 ラボによると、2020 年には IPv6 を介して利用可能になるコンテンツは約 35 % になる見込みです。ただし、この数値は地域および国の Web サイトの利用者数によって異なる可能性があります。さらに、各国の具体的な取り組みやコンテンツ プロバイダーの展開が地域的な IPv6 コンテンツの普及に貢献しています。

全体的に、インターネット トラフィックのかなりの部分が IPv6 ネットワークにより生成されるようになる可能性があり、これは、IPv6 のスケーラビリティおよび性能を活用し、Internet of Everything(IoE)を利用可能にすることを求めているネットワーク事業者、コンテンツ プロバイダー、およびエンド ユーザにとって注目すべき機会と言えます。

トレンド 3:さまざまな業界の M2M アプリケーションが IoE を加速


人、プロセス、データ、モノが相互に、およびインターネットにつながる Internet of Everything(IoE)は、確実に浸透しています。世界の M2M 接続数は、2015 年の 49 億から 2020 年には約 2.5 倍の 122 億に増加する見込みです(図 9)。2020 年には、世界の M2M 接続数は、人口 1 人あたり 1.6 になると予測されています。

図 9.   世界的な M2M 接続の成長


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

2020 年には、ホーム オートメーション、ホーム セキュリティ、ビデオ監視、家電、追跡用アプリケーションなど、家庭においてネットワークに接続するアプリケーションが M2M 接続の 47 % を占めると予測され、生活に M2M が浸透することが示されています(図10)。ヘルス モニタ、調剤、緊急対応要員へのアクセス、遠隔医療など、コネクテッド ヘルスケアは最も成長が速いセグメントであり、CAGR は 49 % です。コネクテッド カーのアプリケーションはその次に成長が早く、CAGR は 37 % です。ペットおよび家畜用のチップ、デジタル ヘルス モニタ、およびその他多くの次世代 M2M サービスも、この成長を後押ししています。

図 10.   全世界における M2M 接続の増加(業種別)


*「その他」には農業、建築、緊急サービスが含まれます
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

世界の M2M 接続数の増加は 3 倍ですが、M2M の IP トラフィックは同期間に 6 倍以上となり、2015 年の 1 EB(世界の IP トラフィックの 1.4 %)から 2020 年には 6.3 EB(世界の IP トラフィックの 3.2 %。図 11 を参照)に増加します。トラフィック量は接続数よりも速く成長しています。これは、M2M 接続で導入されるビデオ アプリケーションが増えていること、および広帯域幅と低遅延が必須である遠隔医療やスマート カー ナビゲーション システムなどのアプリケーションの使用量が増えていることが原因です。

図 11.   全世界における M2M トラフィックの増大:ペタバイト


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トレンド 4:サービスの普及トレンド:家庭向け、コンシューマ モバイル、ビジネス向けサービス


全世界の家庭向けサービス:ビデオが引き続き拡大

2013 年から 2014 年の期間に、インターネットで最も高い成長が見られたのはオンライン ビデオで、成長率は前年度比 18 % 増でした。ソーシャル ネットワーキングは家庭で最も普及したインターネット サービスで、前年度比の成長率は 4 %、ユーザ数は 2013 年の 12 億人 から 2014 年には 13 億人に達しました。図 12 を参照してください。

2020 年には、デジタル テレビとソーシャル ネットワーキングの 2 つのサービスの浸透率が最も高くなり、それぞれ 87 % と 76 % となる見込みです。最も成長が著しいのは、パーソナル ビデオ レコーダ(PVR)とデジタル ビデオ レコーダ(DVR)などのテレビ録画サービスで、CAGR は 7 % と予測されています。家庭向けインターネット サービスのうち、最も成長が早いのはオンライン ゲーム(CAGR 5.3 %)です。オンライン ゲームの成長を主に後押ししているのは、グラフィック、モーション センサー、動作認識など、PC における技術の進化です(図 12)。

図 12.   世界の家庭向けサービスの普及と成長


注:2020 年までに、家庭に固定インターネットを持つ人口は全世界で 24 億に達し、テレビがある世帯の数は全世界で 18 億になると見込まれています。
出典:Cisco VNI:サービスの普及に関する予測、2015 〜 2020 年


全世界のコンシューマ モバイル サービス

2014 年から 2015 年にかけて、1 つのサービスを除くすべてのコンシューマ モバイル サービスが、前年度比 10 % を超える成長を見せました。最も成長率が高いのは、コンシューマ向けのロケーションベース サービス(LBS)で、前年度比 38 %(2014 年から 2015 年にかけて、5 億 8,500 万人から 8 億 700 万人に増加)でした。その他に前年度比の成長が大きかったのは、モバイル バンキングとコマース(37 %)で、これにモバイル ビデオが続きます(35 %)。コンシューマ モバイルの LBS の成長が最も速かった地域は、中南米(前年度比 62 % の成長)、中東およびアフリカ(前年度比 52 % の成長)などです。モバイル バンキングとコマースは、中南米でも最も成長が速く、前年度比 49 % の成長でした。モバイル ビデオの成長を牽引しているのは中東およびアフリカで、前年度比 43 % の成長でした。

2015 年から 2020 年にかけて、8 つのコンシューマ モバイル サービスのうち 6 つが CAGR 14 % を超える成長率となり、そのうち 2 つは CAGR 20 % を超える見込みです。成長が低下する見込みがあるサービスは 1 つです。最も成長率が大きいのはコンシューマ LBS(3.9 %)で、これにモバイル コマース(22.7 %)が続きます。モバイル コマース サービスの成長率が特に高い地域は中東とアフリカ、中央ヨーロッパと東ヨーロッパ、中南米、およびアジア太平洋です。これらの地域では、従来型の実店舗を持つ金融機関のサービスが普及していない(または利用できない)状態でした(図 13)。

図 13.   世界のコンシューマ モバイル サービスの普及率と成長率


注:2020 年までに、全世界のコンシューマ モバイル利用者は 50 億人になると予測されています。
出典:Cisco VNI:サービスの普及に関する予測、2015 〜 2020 年

グローバル ビジネス サービス担当者

2014 年から 2015 年までの期間、前年度比の成長が最も高かったのはビジネス向け LBS で、32 % 増加しました(ユーザ数が 2014 年の 9,200 万人から 2015 年に 1 億 2,100 万人に増加)。その他に前年度比の成長が高かったのは、デスクトップ ビデオ会議(25 %、図 14 を参照)でした。

ビジネス LBS は、法人加入者が使用するサービス、つまり料金を雇用者が支払うサービスです。これらのサービスには、販売および現場の自動化、車両管理などが含まれます。

ビデオの利用が簡単になり、ユニファイド コミュニケーション サービスとの統合が進んでいることから、パーソナルまたはデスクトップのビデオ会議が、会議室ベースの会議に取って代わろうとしています。

2015 年から 2020 年の期間に最も成長するビジネス向けサービスは、デスクトップ ビデオ会議またはパーソナル ビデオ会議であると予測されています。新しいサービスや製品の質が向上され、価格が低下したことにより、パーソナル ビデオ会議(特に、統合コミュニケーションベースのビデオ会議)が最近急速に成長しています。スタンドアロン型、統合型の両方のデスクトップ ビデオ会議が利用できるようになったことも、この成長の要因です。加えて、モバイル クライアントにおける成長もビデオ会議の成長を後押ししています。これに対し、ビデオ以外の Web 会議の利用は予測対象期間に CAGR 4 % の減少が見込まれます(図 14)。

図 14.   世界のビジネス向けサービスの普及率と成長率


注:2020 年までに、ビジネス インターネット ユーザ数は全世界で 22 億人に達し、ビジネス ユーザは全世界で 5 億 7,700 万人になると見込まれています。
出典:Cisco VNI:サービスの普及に関する予測、2015 〜 2020 年

サービス普及調査全体の詳細については、Cisco VNI のサービス普及予測のハイライト ツールを使用してください。

トレンド 5:アプリケーション トラフィックの増加


すべての形式の IP ビデオ(インターネット ビデオ、IP VoD、ファイル共有によるビデオ ファイルの交換、ビデオ ストリーミングによるゲーム、ビデオ会議)は引き続き IP トラフィック全体の 80 〜 90 % を占める見込みです。世界の IP ビデオ トラフィックは、2020 年にはトラフィックの 82 % を占めると予測されています(図 15)。

図 15.   世界の IP トラフィック(アプリケーション カテゴリ別)


カッコ内の数値は 2015 年と 2020 年のトラフィックの割合を示しています。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

ビデオの増加は、誇張することが難しいほど大きな影響をもたらすと考えられます。ビデオの増加によって、インターネット トラフィックは、比較的安定したトラフィック ストリーム(ピアツーピア(P2P)トラフィックの特性)からダイナミックなトラフィック パターンに変化します。

過去 1 年間に、サービス プロバイダー各社では、ゲームのダウンロードに伴う大幅なトラフィック増加が確認されました。Xbox One や PlayStation 4 のような比較的新しいコンソールは十分なオンボード ストレージを搭載しているため、ゲーム ユーザは新しいゲームをディスクで購入する代わりにダウンロードすることができます。これらのゲームでは画像が多用されるため、膨大なファイル サイズとなります。ゲームのダウンロードは現在コンシューマ固定インターネット トラフィックの 2 % を占めており、2020 年には 4 % に達する見込みです。なお、これらのダウンロードは使用量がピークの期間に行われることが多く、最頻時のトラフィックの 10 % に到達しています。

ビデオがトラフィックの対称性に与える影響

短時間のビデオとビデオ通話を除き、ほとんどの形式のインターネット ビデオは、アップストリームの割合が大きくありません。そのため、ユーザ生成コンテンツが一般的になった当時に多くの人が予測していたほどには、トラフィックの対称化は進んでいません。コンテンツを制作する加入者の出現は、社会的、経済的、および文化的にきわめて重要な現象と言えますが、それでもなお、加入者は全体として、生成する量よりはるかに大量のビデオを視聴しています。アップストリーム トラフィックの比率は、数年間の間にわずかに減少しています。

今後 2 〜 3 年間は家庭向けのインターネット トラフィックは引き続き非対称のままであると予想されます。ただし、結果的に対称性を高めるシナリオもいろいろあります。次のような例が考えられます。

  • コンテンツ プロバイダーやディストリビュータが、配信のメカニズムとして P2P を採用した場合。P2P は長年にわたって低コストの CDS として有力な存在でしたが、ほとんどのコンテンツ プロバイダーとディストリビュータは直接配信を選択しました。例外は中国での PPStream や PPLive などのアプリケーションで、P2P でのライブ ビデオ ストリーミングの提供で大きな成功を収めています。その他の地域のコンテンツ プロバイダーが同様に提供を行うと、トラフィックの対称性が急速に高くなる可能性があります。
  • 帯域幅の対称性を必要とする、ハイエンドのビデオ通信が急速に発展した場合。PC 間のビデオ通話が普及しつつあり、初期段階のモバイルでのビデオ通話の市場は将来性があると考えられます。ハイエンドのビデオ通話が一般的になると、トラフィックの対称性が増す可能性があります。

一般的に、サービス プロバイダーが十分なアップストリーム帯域幅を提供すると、アップストリームのキャパシティを利用するアプリケーションが登場し始めます。

トレンド6:「コードカッティング」の分析


VNI の予測における「コードカッティング」とは、従来型のテレビ視聴が、オンライン ビデオやモバイル ビデオなど、インターネットによるビデオ視聴に取って代わられる傾向を表しています。

デジタル プラットフォーム(ケーブル、IPTV、衛星放送など)を利用してテレビを視聴するデジタル テレビ サービスは、オンライン ビデオやモバイル ビデオと比べるとかなり遅い成長を見せています(図 16)。このトレンドは、北米や西ヨーロッパなど、デジタル テレビがすでに普及している地域でより明白です。また、新興国では、固定型の接続方式が導入されない傾向があるため、モバイル ビデオの成長率がさらに高くなります。

図 16.   全世界においてデジタル テレビの成長を凌ぐオンラインおよびモバイル ビデオ


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

この傾向の背後にあるもう 1 つの要因は、こうしたサービスの最大顧客である家庭のインターネット ユーザ、カスタマー モバイル ユーザ、およびテレビの総所有世帯数(デジタル テレビの所有世帯が関係する)では成長パターンが大幅に異なるということです(図 17)。家庭のインターネット ユーザは CAGR 約 3.2 % で増加し、コンシューマ モバイル ユーザは 2.8 % で増加するのに対し、同期間の TV 所有世帯はあまり変化がなく、予測されている CAGR はわずか 1.8 % です。

図 17.   全世界における家庭のインターネット ユーザとテレビ所有世帯の成長比較


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

また、デジタル メディア アダプタ(DMA)のようなインターネット デバイスについては、すべてのインターネット接続セットトップ ボックス(STB)(サービス プロバイダーの STB、ゲーム コンソール、および直接接続のインターネットテレビ セットを含む)の 9 % のみであることが確認されていますが、2020 年には、これらのデバイスがインターネットの STB トラフィックの 32 % を占めると予測されています。この傾向もインターネット アクセスに関して、サービス プロバイダーが管理する STB への依存度が(特にビデオについて)全体として低下していることを示しています(図 18)。

図 18.   世界のデジタル メディア アダプタの増加


* DMA は Roku、Apple TV および Chromecast などを含みます
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

* DMA は Roku、Apple TV および Chromecast などを含みます。

図 19.   全世界におけるコード カッティングによるトラフィックの倍増


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トレンド7:セキュリティ分析

ユーザは、常に使用可能かつ安全で、個人とビジネスの資産の安全を確保できるオンライン エクスペリエンスを求めています。セキュリティの大手企業から発表された 2016 年のセキュリティ レポートでは、サイバー犯罪、データ漏えい、産業スパイ、および軽減戦略への対応を強化する必要性が強調されています(図 20)。

図 20.    セキュリティ:業界の最優先事項

この数年間は、セキュリティ脅威の観点から見ると、重大な出来事がかつてないほど多発した期間であったことは明らかです。メディアでも、データ漏えいが数多く報道されました。2015 年には合計 780 件のデータ漏えいが発生し、約 1 億 7,800 件のデータが盗まれました。2015 年のデータ漏洩に関する IDT911 の統計によると、2015 年に 1 回の漏洩で盗まれたレコードは平均 22 万 8,000 件でした。IBM と Ponemon Institute の共同研究によると、盗まれた機密情報 1 件に対して支払われた平均コストは 2015 〜 2016 年の間に 6 % 増加しています。

セキュリティや認証のために、安全性を高めたインターネット サーバの導入が増えており、エンド ユーザのトランザクションやコミュニケーションでの安全性が向上しています。セキュア ソケット レイヤ(SSL)を使用してインターネット上のトランザクションを暗号化するセキュアなインターネット サーバが、Web 接続のサーバ総数に占める割合を見ると、セキュリティの広がりがわかります。人口 100 万人あたりの安全なインターネット サーバ数に関して、トップは西ヨーロッパ(50 %)となり、中央ヨーロッパと東ヨーロッパ(29 %)、北米(27 %)、アジア太平洋約(23 %)と続きます。McAfee が公開した最新の調査によると、2015 年における漏洩の平均数が最も多かったのはアジア太平洋の企業で、最も少なかったのは英国と米国の企業でした。

データ盗難の 60 % で、Web プロトコル、ファイル転送、トンネリング プロトコル、電子メールが利用されています。McAfee および LemonFish によると、漏洩の 3 分の 2 に従来型の企業ネットワークが関係しており、クラウドへの侵入は 3 分の 1 を占めています(図 21)。

図 21.    データの侵害方法


出典:McAfee、Lemonfish、Cisco VNI 2016


Arbor Networks によると、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃の頻度は、この 3 年間の間に 2.5 倍に増加しています。DDoS 攻撃は、トラフィックとほぼ同等の比率で増加しています。DDoS 攻撃のピーク時の規模(Gbps)は年ごとに約 10 〜 15 % という一定の速度で増加しており、2013、2014、2015 年のピーク時の規模は、それぞれ 300、400、および 500 Gbps でした。DDoS 攻撃発生時のトラフィックは 1 ヵ国のインターネット トラフィックの最大 10 % を占める場合があります。DDoS 攻撃の平均規模は徐々に増加して、1 Gbps に近付いています。1 Gbps は、ほとんどの企業でインターネットを完全に使用できなくなる規模です。2015 年の DDoS 攻撃の動機として最も多かったのは犯罪者による攻撃能力の誇示、2 番目がゲーム感覚、3 番目が恐喝です。DDoS 攻撃は、ゲーム関連の月間トラフィックの 5 % 以上を占めており、発生時にはゲーム トラフィックの 30 % 以上を使用します。

2015 年と 2016 年第 1 四半期の攻撃においても、攻撃者が DDoS 攻撃を実行するためのコンピューティング リソースを増やしていることが確認されています。DDoS 攻撃を実行するためのツールを所有し、増幅攻撃を行う攻撃者は、ネットワークやコンピュータ リソースの脆弱性を悪用します。IoE が成長しており、脆弱なデバイスと古い PC が広範に使用されていることから、アプリケーションに存在する大量の設定の欠陥がターゲットにされる可能性があります。セキュリティ ベンダーは、サイバー犯罪者がこうした攻撃から利益を上げることのないように取り組んでいます。全世界における DDoS 攻撃の数は 2015 年には 25 % 増加し、2020 年までに 2.6 倍の 1,700 万に達する見込みです(図 22)。

図 22.    全世界での DDoS 攻撃の予測、2015 〜 2020 年


*カッコ内の数値は 2015 年と 2020 年のトラフィックの割合を示しています。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トレンド8:トラフィック増加の加速による影響


固定ブロードバンドの速度

ブロードバンドの速度は IP トラフィックの重要な促進要因です。ブロードバンドの高速化により、帯域幅の大きいコンテンツやアプリケーションの消費と利用が増加します。全世界のブロードバンドの平均速度は、今後も高速化が続き、2015 年の 24.7 Mbps から、2020 年には約 2 倍の 47.7 Mbps になる見込みです。表 4 に、2015 年から 2020 年にかけてのブロードバンド速度の予測値を示します。固定ブロードバンドの速度予測には、全体的なブロードバンドの普及のほか、Fiber to the Home(FTTH)の導入と普及、高速 DSL やケーブル ブロードバンドの普及など、いくつかの要因が影響します。この調査の対象国のなかでも、FTTH が広く普及している日本、韓国、スウェーデンが、VNI 対象国におけるブロードバンド速度を牽引しています。

表 4.   固定ブロードバンドの速度(Mbps)、2014 〜 2019 年

地域 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 CAGR(2015 〜 2020 年)
全地域 24.7 29.5 32.8 38.5 43.5 47.7 14 %
アジア太平洋 28.1 33.9 37.4 41.5 46.8 51.3 13%
中南米 7.6 9.3 11.3 13.6 16.2 17.8 18%
北米 25.4 32.9 37.6 42.7 47.4 51.4 15%
西ヨーロッパ 22.8 30.2 35.5 41.2 46.0 50.1 17%
中央および東ヨーロッパ 25.3 29.2 32.8 36.6 41.2 46.3 13%
中東およびアフリカ 7.0 7.8 9.2 12.8 14.8 16.5 19%


出典:Cisco VNI、2016 年

これらの速度で HD 動画をダウンロードする場合の所要時間は、10 Mbps では 20 分、25 Mbps では 9 分かかりますが、100 Mbps ではわずか 2 分です。コンシューマ クラウド ストレージをサポートするには広帯域幅の速度が不可欠です。この速度が向上すれば、サイズの大きいマルチメディア ファイルをハード ドライブからの転送と同様にすばやくダウンロードできるようになります。表 5 に、各地域での 10 Mbps、25 Mbps、100 Mbps を超える速度のブロードバンド接続の割合を示します。

表 5.   10 Mbps を超える速度のブロードバンド、2015 〜 2020 年

地域 10 Mbps 超 25 Mbps 超 100 Mbps 超
2015年 2020年 2015年 2020年 2015年 2020年
全世界 53 % 77 % 30 % 38 % 8 %
アジア太平洋 53 % 83 % 30 % 52 % 4 % 8 %
中南米 27 % 39 % 10 % 15 % 1 % 2 %
北米 64 % 88 % 38 % 52 % 5 % 9 %
西ヨーロッパ 54 % 74 % 32 % 43 % 5 % 11 %
中央および東ヨーロッパ 58 % 83 % 33 % 41 % 3 % 6 %
中東およびアフリカ 16 % 20 % 7 % 8 % 0.3 % 1 %


出典:Cisco VNI、2016 年

実質速度と視聴者あたりのビデオ視聴時間には強い相関関係があります(図 23)。調査対象の各国で速度が上昇するにつれて、視聴者あたりのビデオ視聴時間も増大します。

図 23.   実質速度(Kbps)の上昇によるインターネット ビデオ視聴率(分)の拡大


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

モバイル ネットワークの通信速度

2015 年の全世界のモバイル ネットワークの平均接続速度は、2.0 Mbps でした。2020 年には 2 倍を超える 6.5 Mbps になると予測されています。スマートフォンの速度は第 3 世代(3G)以上が一般的で、現在は全体平均の約 3 倍となっています。2020 年までに、スマートフォンの速度は 2 倍近くの 12.5 Mbps になる見込みです。

一般的に速度の向上が全体の利用増につながることは事例から明らかですが、速度の向上後、利用が遅れて増加することがよくあります。この遅れは数ヵ月の場合もあれば数年の場合もあります。タブレットとスマートフォンの導入に関しては逆の現象、つまりデバイスがサポートできる実質速度の方が遅れてやってくることもあります。Cisco VNI 予測では、アプリケーションのビット レートを各国の平均速度に関連付けています。トラフィックに関する予測結果のトレンドの多くは、速度の予測にも見られ、先進地域より発展途上の国や地域の方が向上率が高くなっています(表 6)。

表 6.    地域別および国別のモバイル ネットワークの平均接続速度の予測(Mbps)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 CAGR(20145〜 2020 年)
全世界
全世界での平均速度:すべての携帯端末 2.0 2.4 3.1 3.9 5.1 26 %
全世界での平均速度:スマートフォン 7.5 8.3 9.2 9.9 11.1 12.5 11 %
全世界での平均速度:タブレット 11.6 12.8 13.9 15.0 15.6 16.2 7 %
地域別
アジア太平洋 2.4 3.6 4.6 5.7 7.0 8.6 29 %
中南米 1.5 1.9 2.5 3.1 3.9 4.9 27 %
北米 5.9 7.9 9.9 12.1 13.7 15.3 18 %
西ヨーロッパ 4.1 6.1 8.3 10.5 12.2 14.1 28 %
中央および東ヨーロッパ 2.3 3.4 5.6 7.8 9.1 10.6 36 %
中東およびアフリカ 0.8 1.3 1.9 2.6 3.6 4.8 45 %


出典:Cisco VNI Mobile、2016 年

現在および過去の速度は、Ookla の Speedtest のデータに基づいています。今後のモバイル データ速度の予測は、2020 年までのモバイル接続における 2G、3G、3.5G、および 4G の相対的な比率に関するサードパーティの予測に基づいたものです。


この予測期間にモバイル接続速度の上昇をもたらす大きな促進要因は、第 4 世代(4G)モバイル接続の割合の増加です。モバイル WiMAX や Long Term Evolution(LTE)などの 4G 接続は、非常に大きなモバイル データ トラフィックを生成し、トラフィックに大きな影響を与えます。

モバイル デバイスの Wi-Fi 速度

世界的に見ると、デュアルモードのモバイル デバイスから提供される Wi-Fi 接続速度は、2020 年には現在の約 2 倍になる見込みです。Wi-Fi ネットワークの平均接続速度(2015 年は 10.6 Mbps)は、2020 年には 18.5 Mbps を越える見込みです。Wi-Fi の速度が最も速くなると推定されているのは北米で、2020 年には 29 Mbps になる見込みです(表 7)。

Wi-Fi 速度は本質的に、建物へのブロードバンド接続の品質に依存します。速度は、CPE デバイスの Wi-Fi 規格にも依存します。有線を補完すると見なされている最新の IEEE 802.11ac 標準は、これまでよりも高いデータ レートを必要とする高解像度ビデオ ストリーミングやサービスを可能にします。さらにホットスポットの数と可用性も、Wi-Fi テクノロジー利用の重要な要素です。

表 7.    地域別および国別の Wi-Fi ネットワークの平均接続速度の予測(Mbps)

地域 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 CAGR(2015 〜 2020 年)
全地域 12.5 18.2 19.5 21.8 23.1 24.4 14%
アジア太平洋 11.4 19.5 20.9 22.3 23.5 24.7 17%
中南米 5.9 7.7 8.4 9.2 9.9 10.6 12%
北米 17.4 27.4 29.2 31.5 33.6 35.5 15%
西ヨーロッパ 13.9 20.3 22.4 23.2 24.0 24.8 12%
中央および東ヨーロッパ 13.4 16.7 19.0 21.6 23.3 25.3 13%
中東およびアフリカ 4.4 4.9 5.5 6.1 6.7 7.0 10%


出典:Cisco VNI、2016 年

トレンド 9:急速に成長するモビリティ(Wi-Fi)


世界の公共 Wi-Fi ホットスポットの数は、2015 年の 6,400 万から 7 倍に増加し、2020 年には約 4 億 3,300 万になると予測されます。2020 年までに、ホットスポット数が最も多くなるのは中国で、米国とフランスがそれに続く見込みです。2015 年には、世界の Wi-Fi ホットスポットの 45 % を西ヨーロッパが占めていました。2020 年までには、コミュニティ ホットスポットを含む公共 Wi-Fi が大きな比率を占める見込みです。コミュニティ ホットスポット(ホームスポット)は、公共 Wi-Fi において、今後、重要となる可能性があります。このモデルでは、加入者は一時的な使用のために自身の家庭用ゲートウェイの容量の一部を開放します。ホームスポットは、ブロードバンドなどのプロバイダーが直接、またはパートナーを介して提供する場合もあります。ホームスポットの普及はアジア太平洋地域が牽引するものと予測されます。2020 年までに、ホームスポット数が最も多くなるのは中国で、フランスと日本が続く見込みです。2015 年にホームスポット普及を牽引したのは西ヨーロッパと北米でしたが、2020 年までにはアジア太平洋が牽引するようになると予測されています。

Hotspot 2.0 に必須なのは、高速の Wi-Fi ゲートウェイと IEEE 802.11ac および 802.11n 標準規格の採用です。Wi-Fi の最新の規格である IEEE 802.11ac は、2015 年から 2020 年にかけて世界中で急速に浸透するものと予測されます。2015 年に全世界で出荷された Wi-Fi ルータの 59.5 % が 802.11ac 対応でした。2020 年までに、ホーム Wi-Fi ルータの 96.6 % が 802.11ac 対応になる見込みです。2007 年に批准された IEEE 802.11n は幅広い通信速度を提供しているため、中程度の解像度のビデオ ストリーミング視聴に高いスループットで対応することができます。しかし、最新規格である IEEE 802.11ac の最高速度(理論値)はきわめて高速であり、有線接続を補完できる規格とみなされています。高解像度のビデオ ストリーミングや高データレートが必要なサービスにも対応できます(図 24)。

図 24.    有線接続を補完する Wi-Fi の今後


モバイル データ トラフィックの急速な増加は、広く認知され、報告されています。モバイル重視の傾向は固定ネットワークの領域にも見られるようになり、ポータブル デバイスまたはモバイル デバイスからのトラフィックの割合は今後も増加します。図 25 は、Wi-Fi およびモバイル トラフィックの成長を有線デバイスのトラフィックと比較したものです。2020 年には、IP トラフィックに占める有線ネットワークの割合は 34 % になり、Wi-Fi デバイスとモバイルのネットワークの割合は 66 % になる見込みです。2015 年には、有線ネットワークが世界の IP トラフィックの半分以上(52 %)を占め、Wi-Fi は 43 %、モバイルまたは携帯電話のネットワークは 5 % でした。

図 25.   全世界の IP トラフィック(有線と無線)*)


* ワイヤレス トラフィックには Wi-Fi とモバイルが含まれます。
出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

インターネット トラフィックに焦点を絞って、マネージド IP トラフィックを除外すると、より顕著な傾向が現れます。2020 年には、インターネット トラフィックに占める有線デバイスの割合は 22 % になり、Wi-Fi デバイスとモバイル デバイスの割合が 78 % になる見込みです(図 26)。2015 年には、インターネット トラフィックの半分弱(38 %)を有線デバイスが占めていました。

図 26.   全世界のインターネット トラフィック(有線と無線)


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トレンド 10:トラフィック パターンの分析(ピーク時と平均の比較、および CDN の普及)


インターネットの平均トラフィックが着実な成長パターンを示す一方で、最頻時トラフィック(1 日で最も利用頻度の高い 60 分間のトラフィック)はさらに速いペースで増加し続けています。サービス プロバイダーは、平均レートではなく最頻時のレートに基づいてネットワークの容量を計画します。2015 年には、最頻時のインターネット トラフィックは 51 %増加しましたが、平均トラフィックの増加率は 29 % でした。2015 年から 2020 年にかけての世界のインターネット使用量は、最頻時の CAGR が 36 % の成長を示すのに対し、平均インターネット トラフィックは 25 % にとどまります(図 27)。

最頻時のトラフィック増加を加速させている理由は、ビデオにあります。その他の形態のトラフィック(Web 閲覧やファイル共有)が 1 日にわたって均等に分散しているのに対し、ビデオには「プライム タイム」が存在する傾向があります。ビデオに消費パターンがあることにより、最頻時のインターネットでは以前よりもさらに大量のデータがやりとりされるようになっています。ビデオはデータやファイル共有と比べて、平均に対するピーク時の量が大きく、また、トラフィックに占めるビデオの割合は増大しつつあるので、ピーク時のインターネット トラフィックは平均トラフィックよりも早いペースで増加すると予測されます。ピーク トラフィックと平均トラフィックの増加率のギャップは、インターネット ビデオの割合が変化するにつれて、さらに増幅されます。ライブ ビデオ、アンビエント ビデオ(監視用などの継続的ビデオストリーム)、ビデオ通話などのリアルタイム ビデオは、オンデマンド ビデオよりも、ピーク時と平均の差が大きくなっています。

図 27.   インターネット トラフィックの最頻時の成長率と平均成長率の比較


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

データ配信におけるコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の役割が大きくなったことによって、トラフィックのトポロジが変化しつつあります。2020 年までに、CDN はすべてのインターネット トラフィックの 64.5 % を占めるようになると見込まれています(図 28)。ネットワークのパフォーマンスは、サービス プロバイダーが提供するサービスの速度や遅延に常に影響を与えますが、CDN が使用する配信アルゴリズムもまた、パフォーマンスより重大ではないにしても、同等の影響をビデオ品質に及ぼします。

図 28.   全世界で長距離トラフィックとメトロ トラフィックとを比較


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

速度はインターネット トラフィックの重要な要素です。速度が増加すると、ユーザはさらに容量の大きいコンテンツのストリーミングやダウンロードを行うことができるようになり、適応型のビットレート ストリーミングは、利用可能な帯域幅に応じて自動的にビット レートを増やします。サービス プロバイダーは、広帯域幅を使用するユーザが、さらに大きなトラフィックを生成することを認識しています。2015 年に、全世界の高速光ファイバ接続を使用する世帯は、DSL およびケーブル ブロードバンド接続を使用する世帯より 58 % 多くトラフィックを生成しました(図 29)。FTTH を使用する世帯が 2015 年に生成したのは平均で 1 ヵ月あたり 68 GB でしたが、2020 年には 1 ヵ月あたり 138 GB を生成する見込みです。

図 29.   全世界のコンテンツ配信ネットワークのインターネット トラフィック(2014 〜 2019 年)


出典:Cisco VNI:全世界の IP トラフィック予測、2015 〜 2020 年

トラフィックのボリュームを制限するために、サービス プロバイダーは従量制による段階的な価格を設定し、データの上限を設けることができます。

モバイル ネットワークでは、2010 年から 2015 年にかけて Tier -1 携帯電話会社における 33,000 回線以上の使用状況を調査したところ、上位 1 % のユーザの月間トラフィックは、2010 年の 52 % と比較すると全体の 18 % に下落していることから、段階的な価格設定の効果が上がっていることが確認されています。多くの国のあらゆる地域でモバイルの普及が飽和状態に達しつつあるなか、データを収益化し、トラフィックの上位ユーザを効果的に管理、抑制する方法として段階的プランへの移行がトレンドとなっています。固定ネットワークでは、ビデオの視聴を望む加入者の増加に合わせて、データ量の上限が拡大しつつあります。米国では、現在 Tier-1 の通信事業者がさまざまな使用限度を設定しており、最高は 1 ヵ月 1 TB です。日本の某大手プロバイダーは 1 日のアップロード上限を 30 GB に設定しています。Netflix は数ヵ国で、インターネット ビデオの視聴時間とトラフィックのサイズを大幅に拡大しています。Twitch.TV のように、ビデオ ゲーマーがお互いのプレイを視聴するライブ ストリーミング サービスは、世界の多数の固定ネットワークで、不確定な量のトラフィックを生成しています。

データ上限の影響を受ける割合は、固定ネットワーク ユーザよりもモバイル ネットワーク ユーザの方が大きいと考えられます。Tier-1 キャリアを使用するモバイル ユーザのうち月間利用量が 2 GB(モバイル データの一般的な上限)を超えるユーザは約 12 % ですが、月間利用量が 500 GB(固定データの一般的な上限)を超える固定ネットワーク ユーザはわずか 1.4 % です。

その他の注目トレンド

シスコは IP トラフィックの予測値を控えめに見積もっていますが、新たなトレンドによって、今後トラフィックが大幅に増大する可能性もあります。

  • ソーシャル メディア、ビデオ、トラッキング IoE/デジタル化アプリケーションなど、あるいは従来の音声通話用の「通信ハブ」として、スマートフォンが成長しています。このトレンドは、スマートフォンが、コンシューマやビジネス ユーザによるインターネットおよび IP ネットワークへのアクセス方法や利用方法に与える影響を示しています。
  • インターネット ゲームは勢いを取り戻しており、トラフィックは 2015 年には約 2 倍になり、2020 年までに約 7 倍に成長すると予測されています。ゲーム オン デマンドとストリーミング ゲームのプラットフォームはここ数年で成長し、2014 年と 2015 年には多数のサービスが新たにリリースされています。従来のゲームでは、グラフィックは、ゲーム使用者のコンピュータまたはコンソールにより、ローカルで処理されてきました。クラウド ゲームでは、ゲームのグラフィックはリモート サーバで生成され、ネットワークを介してゲーム利用者に送信されます。クラウド ゲームが普及すれば、ゲームはすぐにインターネット トラフィックの主要カテゴリになる可能性があります。
  • 仮想現実:個人ユーザが新しいハードウェアを使用できるようになったこと、利用できるコンテンツの数が増加していることから、仮想現実は近年著しく成長しています。仮想現実アプリケーションと拡張現実アプリケーションに伴うトラフィックは、2015 年には 4 倍になり、2020 年までに 61 倍にまで増加すると見込まれています。この成長は、主に仮想現実の大きなコンテンツ ファイルやアプリケーションのダウンロードによるものですが、不確定要因として重視するべきなのが仮想現実ストリーミングです。これは、このストリーミングが普及すれば、予想をさらに上回る成長が実現する可能性があるためです。
  • イマーシブ ビデオ:新たに出現したこのトラフィック タイプにより、これまでにないネットワーク設計が登場する可能性があります。これは、このビデオが高帯域幅を消費するアプリケーションであるためです。Facebook などのソーシャル メディア プラットフォームは、360 度対応のイマーシブ ビデオに対するサポートを開始しています。複数のカメラ アングルを統合して 1 つのビデオ ストリームを形成し、視聴者は好みの角度から画面を見ることができます。このビデオは、従来の HD ビット レートの 3 〜 10 倍のビット レートを生成する可能性があります。
  • ビデオ監視:新しいインターネット接続のビデオ監視カメラは、リモートでの監視を目的として、ビデオ ストリームを常時クラウドにアップロードします。各カメラから一定のフローが提供されるため、ビデオ監視はインターネット トラフィック全体に対してすでに影響を与えています。現在のインターネット トラフィック合計に対する比率は 1.5 % ですが、2020 年までには約 4 % に増大すると予測されています。このようなデバイスが今後 5 年の間に大規模な市場を構築すると、ビデオ カメラが生成するトラフィック量が大幅に増加することが考えられます。これは、インターネット対応カメラが活動量の多いエリアでフル HD 解像度のモニタリングを実施する場合、各カメラが 1 ヵ月間に最大で 300 GB のトラフィックを生成する可能性があるためです。

関連情報

シスコによる IP トラフィック予測の詳細については、『Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2015 〜 2020 年』を参照してください。www.cisco.com/jp/go/vni/ では、その他のリソースや最新情報をご覧いただけます。地域別、国別、アプリケーション別、エンドユーザ セグメント別に独自の概要および予測グラフを作成できる、対話形式のツールがいくつかあります。Cisco VNI Highlights ツール [英語]および Cisco VNI Forecast Widget ツール [英語]を参照してください。VNI のサービス普及予測に関する各地域の詳細については、Cisco VNI SA highlights ツール [英語] および 。Cisco VNI SA Graphing ツール [英語] を参照してください。お問い合わせは traffic-inquiries@cisco.com宛にお送りください。

付録 A:シスコによる全世界の IP トラフィック予測

表 8 は全世界の IP トラフィックに対するシスコの予測をまとめたものです。詳細およびその他の表については、『Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2015 〜 2020 年』を参照してください。

表 8.   全世界の IP トラフィック(2015 〜 2020 年)

IP トラフィック(2015 〜 2020 年)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 CAGR(2015 〜 2020 年)
タイプ別(PB/月)
固定インターネット 49,494 60,160 73,300 89,012 108,102 130,758 21 %
マネージド IP 19,342 22,378 25,303 28,155 30,75 33,052 11%
モバイル データ 3,685 6,180 9,931 14,934 21,708 30,564 53 %
セグメント別(PB/月)
コンシューマ 58,539 72,320 89,306 109,371 133,521 162,209 23%
ビジネス 13,982 16,399 19,227 22,729 27,040 32,165 18%
地域別(PB/月)
アジア太平洋 24,827 30,147 36,957 45,357 55,523 67,850 22%
北米 24,759 30,317 36,526 43,482 50,838 59,088 19%
西ヨーロッパ 11,299 13,631 16,408 19,535 23,536 27,960 20%
中央および東ヨーロッパ 5,205 6,434 8,116 10,298 13,375 17,020 27%
中南米 4,500 5,491 6,705 8,050 9,625 11,591 21%
中東およびアフリカ 1,930 2,698 3,822 5,380 7,663 10,865 41%
合計(PB/月)
総 IP トラフィック 72,521 88,719 108,533 132,101 160,561 194,374 22%


出典:Cisco VNI、2016 年

定義

  • コンシューマ:家庭、大学、インターネット カフェで生成された固定 IP トラフィックク
  • ビジネス:企業および政府機関で生成された固定 IP WAN またはインターネット トラフィック(バックアップ トラフィックを除く)
  • モバイル:2G、3G、または 4G モバイル アクセス テクノロジーを介して送受信されるインターネット トラフィック
  • インターネット:インターネット バックボーンを通過するすべての IP トラフィック
  • 非インターネット IP:企業の IP WAN トラフィック、テレビおよび VoD の IP トランスポート、「閉じられた環境」でのモバイルのトラフィック