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Cisco Global Cloud Index:予測と方法論、2014 〜 2019 年

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Cisco Global Cloud Index:予測と方法論(2014 〜 2019 年)




概要


Cisco® Global Cloud Index(GCI)は、世界のデータセンター トラフィックおよびクラウドベースの IP トラフィックの増加を予測する継続的な取り組みです。データセンターの仮想化やクラウド コンピューティングに関連した傾向などを予測します。本書では、調査の詳細やその方法について説明します。

予測の概要


世界のデータセンター トラフィック

  • 世界中で発生する年間のデータセンター IP トラフィックは、2014 年には 3.4 ゼタバイト(ZB)(1 ヵ月あたり 287 エクサバイト(EB))でしたが、2019 年末までに 10.4 ZB(1 ヵ月あたり 863 EB)まで増加すると予想されます。
  • 世界のデータセンターの IP トラフィックは、今後 5 年間で 3 倍に増加する見込みです。2014 〜 2019 年にかけてのデータセンター全体の IP トラフィックの年平均増加率(CAGR)は 25 % になると予測されます。

データセンター仮想化とクラウド コンピューティングの拡大

  • 2019 年までに、ワークロードの 5 分の 4 以上(86 %)がクラウド データセンターによって処理され、14 % が従来のデータセンターによって処理されます。
  • データセンターのワークロードについては、2014 年から 2019 年までに全体として 2 倍を超える(2.5 倍)増加が見込まれますが、クラウド ワークロードの同期間の増加率は 3 倍を超える(3.3 倍)と考えられます。
  • クラウド データセンターのワークロード密度(すなわち、物理サーバあたりのワークロード)は、2014 年には 5.1 でしたが、2019 年までに 8.4 に増加します。これに対し、従来のデータセンターでは、ワークロード密度は 2014 年の 2.0 から 2019 年には 3.2 に増加します。

パブリック クラウドとプライベート クラウドの比較

  • パブリック クラウド データセンターで処理されるクラウド ワークロードの割合は、2014 年には 30 % でしたが、2019 年には 56 % まで上昇すると見込まれます (2014 〜 2019 年の CAGR は 44 %)。
  • 一方、プライベート クラウド データセンターで処理されるクラウド ワークロードの割合は、2014 年には 70 % でしたが、2019 年には 44 % まで低下すると考えられます (2014 〜 2019 年の CAGR は 16 %)。

世界のクラウド トラフィック

  • 世界のクラウドベースの年間 IP トラフィックは、2014 年には 2.1 ZB(1 ヵ月あたり 176 EB)でしたが、2019 年末までに 8.6 ZB(1 ヵ月あたり 719 EB)に増加すると見られています。
  • 世界のクラウド IP トラフィックは、今後 5 年間で 4 倍を超える(4.1 倍)増加が見込まれます。2014 〜 2019 年におけるクラウド IP トラフィック全体の CAGR は 33 % と予測されます。
  • データセンター トラフィック全体に占める世界のクラウド IP トラフィックの割合は、2019 年までに 5 分の 4 を超える(83 %)と考えられます。

クラウド サービス提供モデル

  • クラウド ワークロード全体に占める Software as a Service(SaaS)ワークロードの割合は、2014 年には 45 % でしたが、2019 年には 59 % まで上昇すると予想されます。
  • クラウド ワークロード全体に占める Infrastructure as a Service(IaaS)ワークロードの割合は、2014 年には 42 % でしたが、2019 年には 30 % まで低下すると見られます。
  • クラウド ワークロード全体に占める Platform as a Service(PaaS)ワークロードの割合は、2014 年には 13 % でしたが、2019 年には 11 % まで低下すると考えられます

Internet of Everything のクラウドに対する潜在的影響

  • 世界全体で Internet of Everything(IoE)デバイスにより 1 年間に生成されるデータの量は、2014 年の 134.5 ZB(1 ヵ月あたり 11.2 ZB)から増加傾向にあり、2019 年には 507.5 ZB(1 ヵ月あたり 42.3 ZB)に達すると見込まれます。
  • 世界全体で IoE デバイスにより生成されるデータの量は、2019 年までに、エンドユーザ デバイスからデータセンターに送信されるデータの 269 倍、データセンター トラフィック全体の 49 倍まで増大すると見られています。

コンシューマ クラウド ストレージ

  • インターネット利用者人口のうちパーソナル クラウド ストレージを使用する割合は、2014 年には 42 %(11 億人)でしたが、2019 年には 55 %(20 億人)まで増加すると予想されます。
  • 世界におけるユーザ 1 人あたりの月間コンシューマ クラウド ストレージ トラフィックは、2014 年には 992 MB だったのに対し、2019 年には 1.6 GB に達すると見込まれます。

複数デバイスの所有および複数接続の利用

  • 2014 年の 1 ユーザあたりの平均デバイス数または平均接続数は、北米(7.3)、次いで西ヨーロッパ(5.5)が最も多く、続いて中東およびアフリカ(5.4)、中南米(4.7)、中央および東ヨーロッパ(4.5)、アジア太平洋(4.5)となっています。
  • 2019 年までには 1 ユーザあたりの平均デバイス数または平均接続数は、北米(13.6)、次いで西ヨーロッパ(9.9)が最も多く、続いて中央および東ヨーロッパ(6.2)、中南米(5.2)、中東およびアフリカ(5.0)、アジア太平洋(5.0)となる見込みです。

IPv6 の普及がクラウドの成長を促進する

  • 2019 年までに、世界のインターネット ユーザの 32 % が IPv6 に移行すると見られています。
  • 2019 年には、世界において固定とモバイルを合わせたデバイス全体の 41 % 近くが IPv6 対応となります。
  • クラウド プロバイダーによる展開が拡大し、IPv6 コンテンツとその可用性に好影響を与えてきました。IPv6 対応の Web サイトの数は、2014 年 10 月から 2015 年 10 月までに約 4 % 増加しています。

クラウドへの地域別対応状況

インターネット普及率

  • 2014 年の段階でインターネット アクセス(固定およびモバイル)の普及率が最も高かったのは北米と西ヨーロッパであり、この状況は 2019 年まで続くと予想されます。ただし、今回の予測対象期間に、すべての地域において人口に対するブロードバンド アクセスの割合は測定可能な改善を示す見込みです。

ネットワーク速度および遅延

  • 固定ネットワークの平均ダウンロード速度は、中央および東ヨーロッパが 28.3 Mbps で首位に立っています。それに続くのが 28.1 Mbps のアジア太平洋です。固定ネットワークの平均アップロード速度も、中央および東ヨーロッパとアジア太平洋がそれぞれ 20.9 Mbps と 16.0 Mbps でトップとなっています。
  • 固定ネットワークの平均遅延は、中央および東ヨーロッパが 33 ms で全地域において最も低く、次いでアジア太平洋の 35 ms となっています。
  • モバイル ネットワークの平均ダウンロード速度では、北米が 16.3 Mbps と他の地域を抜いて首位に立っています。モバイル ネットワークの平均ダウンロード速度は、西ヨーロッパがそれに続き、13.8 Mbps となっています。モバイル ネットワークの平均アップロード速度は、中央および東ヨーロッパと北米がそれぞれ 7.7 Mbps と 6.5 Mbps でトップとなっています。
  • モバイル ネットワークの平均遅延は、北米と西ヨーロッパがそれぞれ 63 ms と 70 ms で全地域において最も低くなっています。

上位 5 位のデータセンターおよびクラウド ネットワーキングの傾向


電気通信業界では、新しい技術から広く普及し導入されている確立されたネットワーキング ソリューションに至るまで、ここ数年間でクラウドの採用という点で大きな進化が見られました。企業や政府組織は、これまで試験環境にあったミッションクリティカルなワークロードを積極的にクラウドへと移行し始めています。コンシューマ レベルでは、クラウド サービスによって、ネットワーク ユーザがどこにいても、ほとんどの場合、複数のデバイスを使用してコンテンツやサービスにアクセスできるようになりました。

データセンターおよびクラウドのネットワーキングは、トラフィック増加を加速し、エンドユーザのエクスペリエンスを変え、データセンターやクラウドベースのインフラストラクチャに新たな要件や需要をもたらしていいます。次のセクションでは、こうしたデータセンターおよびクラウドのネットワーキングの 5 つの重要な傾向を明らかにします。

  1. 世界的なデータセンター関連の成長とトラフィックの増加
  2. 世界的なデータセンターの継続した仮想化
  3. クラウド サービスのトレンド
  4. グローバルのデジタル化:IoE とビッグ データ
  5. 世界のクラウドへの対応状況

傾向(その 1):世界的なデータセンター関連の成長とトラフィックの増大


クラウドの導入を推進する主な質的要因には、サービスおよびデータ配信の高速化、アプリケーション性能の向上、運用の効率化などがあります。クラウドに移行可能な一部のアプリケーションにとっては、現在もセキュリティや既存 IT 環境との統合が課題となっていますが、コンシューマ向けおよびビジネス向けクラウド サービスの種類は増え続けています。今日のクラウド サービスは、プライバシー、モビリティ、複数デバイス アクセスなど、多様なお客様の要件に対処するとともに、ネットワーク事業者に対してはパブリック クラウドとプライベート クラウドの両方で、短期的な商機と長期的な戦略上の優先順位に対応しています。

定量的には、クラウド コンピューティングはデータセンターのトラフィックに明白に影響を及ぼしています。ピアツーピア トラフィック(データセンターから発信されずにデバイスからデバイスへ直接送信される)がインターネット アプリケーション トラフィックの内訳における主流から退いた 2008 年以降、ほとんどのインターネット トラフィックがデータセンターにおいて送受信されています。今後しばらくは、インターネット トラフィックのほとんどをデータセンター トラフィックが占めると見られます。ただし、データセンター トラフィックの特性は、クラウドのアプリケーション、サービス、インフラストラクチャによって根本的に変化しつつあります。世界におけるクラウドの発展の重要性と妥当性を強く裏付けるのが、今回の最新予測において最重要項目の 1 つとして挙げた、データセンター トラフィックに占めるクラウド トラフィックの割合が 2019 年までに 83 % に達し、全体の 5 分の 4 を超えるとの予測です。

以下のセクションでは、データセンターへの送受信に関連するトラフィックの量とその増加率に加え、データセンターにおかれたそれぞれの業務間で行き来するトラフィック、クラウド対従来のデータセンターの役割、およびビジネス対コンシューマのクラウドの役割についてもまとめています。


世界のデータセンター IP トラフィック:2019 年までに約 3 倍に増加


図 1 は、2014 年から 2019 年におけるデータセンター IP トラフィックの成長予測を示したものです。

図 1 世界のデータセンター IP トラフィックの増加率


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)

インターネットと IP WAN ネットワークを通過する世界のトラフィックの量は 2019 年までに年間 2.0 ZB に達すると予測されていますが [1]、2014 年には世界のデータセンター トラフィックは年間ですでに 3.5 ZB に上ると予測されており、2019 年には 3 倍の 10.4 ZB に達すると見込まれます。これを CAGR で表すと 25 % となります。データセンター トラフィック量が増加する要因の 1 つとして、データセンター内のトラフィック量の増加が挙げられます(通常、インターネットと WAN の定義の境界線はデータセンターとなります)。

Cisco GCI レポートの主な要素として実施される世界のデータセンター トラフィック予測は、サービス プロバイダーと民間企業が運営する世界各国のネットワーク データセンターを対象としています。データセンター トラフィックおよびクラウド トラフィックの予測方法の詳細については、付録 A を参照してください。Cisco VNI Global IP Traffic Forecast における GCI Forecast の位置付けについては、付録 B を参照してください。

表 1. は、世界のデータセンター トラフィックの増加率を詳細に示したものです。


表 1. 世界のデータセンター トラフィック(2014 〜 2019 年)

データセンター IP トラフィック(2014 〜 2019 年)
  2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
タイプ別(EB/年)
データセンターからユーザ 613 760 946 1,185 1,495 1,866 25 %
データセンター間 234 321 432 564 723 905 31 %
データセンター内 2,602 3,342 4,233 5,235 6,358 7,566 24 %
セグメント別(EB/年)
コンシューマ 2,103 2,758 3,550 4,444 5,599 6,885 27 %
ビジネス 1,346 1,665 2,061 2,540 2,977 3,472 21 %
タイプ別(EB/年)
クラウド データセンター 2,110 2,956 4,017 5,328 6,854 8,622 33 %
従来のデータセンター 1,339 1,467 1,594 1,656 1,722 1,735 5 %
合計(EB/年)
データセンター トラフィック合計 3,449 4,423 5,611 6,984 8,576 10,357 25 %

出典:Cisco Global Cloud Index, 2015

定義:

  • データセンターからユーザ:データセンターからエンド ユーザへインターネットまたは IP WAN を通じて流れるトラフィック
  • データセンター間:データセンターからデータセンターへと流れるトラフィック
  • データセンター内:データセンター内に留まるトラフィック
  • コンシューマ:コンシューマのエンド ユーザを送信元または宛先とするトラフィック
  • ビジネス:ビジネス エンド ユーザを送信元または宛先とするトラフィック
  • クラウド データセンター:クラウドベースのコンシューマおよびビジネス アプリケーションに関連したトラフィック
  • 従来のデータセンター:非クラウドベースのコンシューマおよびビジネス アプリケーションに関連したトラフィック

データセンター トラフィックの宛先:ほとんどのトラフィックはデータセンター内に留まる

データセンターを流れるコンシューマ トラフィックとビジネス トラフィックはおおまかに次の 3 種類に分類できます(図 2)。

  • データセンター内に留まるトラフィック:データセンター内の開発環境から実稼動環境へのデータ移動、ストレージ アレイへのデータの書き込みなど
  • データセンターからデータセンターへと流れるトラフィック:クラウド間のデータ移動、コンテンツ配信ネットワークに属する複数のデータセンターに対するコンテンツのコピーなど
  • データセンターからエンド ユーザへインターネットまたは IP WAN を通じて流れるトラフィック:モバイル デバイスや PC へのビデオ ストリーミングなど

図 2 世界のデータセンター トラフィック(発信先別)


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)

データセンター内に留まるトラフィックは、予測期間において微減すると考えられ、データセンター トラフィック全体に占める割合は、2014 年には約 75.5 % でしたが、2019 年には約 73 % に低下すると予測しています。割合が低下するとはいえ、アプリケーション サーバ、ストレージ、およびデータベースの機能的分離により、レプリケーション、バックアップ、および読み取り/書き込みのトラフィックがデータセンター内で発生するなどの理由から、トラフィックの大部分はデータセンター内に留まります。さらに、並行処理によってタスクが分割され、それらが複数のサーバに転送されるため、データセンター内のトラフィックが増加します。

データセンター間のトラフィックは、エンドユーザへのトラフィックやデータセンター内のトラフィックより速いペースで増加しており、データセンター トラフィック全体に占めるデータセンター間トラフィックの割合は、2014 年末には 7 % ほどでしたが、2019 年までには 9 % 近くまで上昇すると予測されています。このセグメントが高い増加率を示す理由としては、コンテンツ配信ネットワークの普及、クラウド サービスの増加とクラウド間のデータ転送の必要性、データセンター間での複製が必要となるデータ量の増大が挙げられます。

全世界のデータセンターおよびクラウドの IP トラフィックの成長

世界的な規模で見たデータセンター トラフィックの増加率は、CAGR で 25 % ですが(図 3)、クラウド データセンター トラフィックは 2014 年から 2019 年にかけてさらに速いペース(CAGR 33 %)で増加すると考えられ、4.1 倍もの増加が見込まれます(図 4)。


図 3 データセンター トラフィック全体の増加


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


図 4 クラウド データセンター トラフィックの増加


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


世界のクラウド トラフィックは 2014 年にゼタバイトの大台を越え、2019 年までには、データセンター トラフィック全体に占めるクラウド トラフィックの割合が 5 分の 4 を超えると予想されます(地域ごとのクラウド トラフィックの傾向については、付録 C を参照してください)。クラウド トラフィックは、2019 年までにデータセンター トラフィック全体の 83 % を占めると見られています。

クラウド トラフィックの増加を促進している大きな要因は、クラウド アーキテクチャの急速な導入と移行、およびトラフィック負荷の増大に対応するクラウド データセンターの処理能力です。クラウド データセンターは、仮想化、標準化、自動化の拡大に対応できます。その結果、パフォーマンスが向上し、処理能力やスループットも増大します。

SDN/NFV アーキテクチャの影響:ワイルド カード

3 つのテクノロジー トレンドがデータセンターを変革しています。それは、リーフ スパイン アーキテクチャ(データセンターの階層型アーキテクチャをフラットにする)、ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)(データセンター トラフィックの制御と転送を分割する)、ネットワーク機能の仮想化(NFV)(さまざまなネットワーク要素を仮想化する)です。GCI で、現在のアグリゲーションおよびコア層のデータセンター トラフィックを測定しました(図 5)。新しいアーキテクチャでは、データセンターのトラフィック フローが合理化されます。データセンターの最上位層に到達するトラフィックは 1 年間に 10.4 ゼタバイトを下回り、データセンターのアグリゲーション層とアクセス層は新しくマージされて 1 年間に 40 ゼタバイトを超えるトラフィックを転送すると考えられます(図 6)。

図 5 従来のデータセンター アーキテクチャ



* 2019 年のデータセンター トラフィック合計の現在予測。
** 現在、予測に含まれていません。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


図 6 データセンター アーキテクチャの進化



注:Current Analysis 2015 年世界の SDN 購入者調査によると、2 年以内に 80 % の会社が SDN の実装を計画しており、そのうち 69 % はデータセンターに SDN を実装する計画で、WAN または LAN はそれぞれ 47 % と 31 % となっています。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


傾向(その 2):世界的なデータセンターの継続した仮想化


サーバのワークロードは、特定のアプリケーションの実行または 1 対多ユーザに対するコンピューティング サービスの提供を目的として割り当てられた仮想または物理コンピュータ リソース(ストレージを含む)の集まりと定義されます。ワークロードは、小型で軽量の SaaS アプリケーションから大規模なコンピューティング プライベート クラウド データベース アプリケーションまで、広範なアプリケーションを表すための一般的な指標です。定量化するために、ここでは仮想マシンまたはコンテナに等しいワークロードを検討します。Cisco Global Cloud Index では、ワークロードは今後も引き続き、従来のデータセンターからクラウド データセンターに移行すると予測しています。2019 年までに、全体の 5 分の 4 を超える(86 %)ワークロードがクラウド データセンターで処理されると考えられます(図 7)。ワークロードの地域別分布については、付録 D を参照してください。

図 7 ワークロードの分布(2014 〜 2019 年)


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


クラウド ワークロードは、2014 年から 2019 年までの間に 3 倍以上(3.3 倍)に増加すると予想されます。これに対し、従来のデータセンターのワークロードは世界的に低下すると考えられ、2014 〜 2019 年の CAGR は初めて -1 % と予測されました。従来は 1 台のサーバで 1 つのワークロードが処理されていました。しかし最近では、サーバのコンピューティング容量の増大と仮想化を背景として、クラウド アーキテクチャでは、各物理サーバが複数のワークロードを担うことが一般的となっています。サーバのコスト、復元力、拡張性、製品寿命などのクラウドによる経済効果、さらにクラウドのセキュリティ強化が促進要因となり、データセンター内とデータセンター間(異なる地理的区域のデータセンターも含む)のいずれにおいても、複数のサーバ間でのワークロードの移行が進行しつつあります。現在は、1 つのエンドユーザ アプリケーションの処理を複数のワークロードに分割して、サーバ間で分散処理できる場合が多くなっています。これにより、データセンター内およびデータセンター間、そしてエンド ユーザ間の通信でも、複数のトラフィック ストリームが生成されるようになります。表 2 は、従来のデータセンターからクラウド データセンターへのワークロードの移行に関する詳しいデータを示したものです。

表 2. 従来のデータセンターからクラウド データセンターへのワークロードの移行

世界のデータセンターのワークロード(単位100 万)
  2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
従来のデータセンターのワークロード 46.0 48.2 48.3 47.4 47.1 44.5 -1 %
クラウド データセンターのワークロード 83.5 113.6 145.9 185.3 229.5 275.1 27 %
データセンターのワークロード合計 129.5 161.8 194.2 232.7 276.6 319.7 20 %
データセンターのワークロード合計に
対するクラウド ワークロードの割合
64 % 70 % 75 % 80 % 83 % 86 % 該当なし
データセンターのワークロード合計に
対する従来のワークロードの割合
36 % 30 % 25 % 20 % 17 % 14 % 該当なし

出典:Cisco Global Cloud Index, 2015


従来のデータセンターからクラウド データセンターへのこのワークロードの移行に影響を及ぼしている主な要因の 1 つに、クラウド スペースにおける仮想化の拡大があります(図 8)。これにより、クラウドでワークロードを動的に展開し、クラウド サービスの動的な需要を満たすことが可能になっています。クラウド データセンターにおいて仮想化の程度が高まっていることは、ワークロード密度によって表すことができます。ワークロード密度は、物理サーバ 1 台あたりの平均ワークロード数で表されます。クラウド サーバのワークロード密度は、2014 年には 5.1 でしたが、2019 年までに 8.4 まで増加すると考えられます。これに対し、従来のデータセンター サーバのワークロード密度は、2014 年の 2.0 から 2019 年には 3.2 に上がると予想されます。

図 8 クラウド仮想化の増加


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


パブリック クラウドとプライベート クラウドの比較[2]

次に、ワークロード分析によってパブリック クラウドとプライベート クラウドの成長を比較検討します。パブリック クラウドは、ワークロードの増加からわかるように、プライベート クラウドより速いペースで成長しています。企業では、専用 IT リソースに伴うコストへの懸念が強まっており、俊敏性も求められているために、特にセキュリティが強化されていることが要因となってパブリック クラウドの導入が進んでいると考えられます。多くのミッションクリティカルなワークロードは今後も従来のデータセンターやプライベート クラウドで処理される可能性がありますが、パブリック クラウドは、その信頼性が向上するとともに導入が進んでいます。企業によっては、クラウドについてハイブリッド アプローチを採用する可能性もあります。ハイブリッド クラウド環境では、クラウド コンピューティング リソースを社内の部門と外部のプロバイダーが分担して管理します。ハイブリッド クラウドの一例として、クラウド バースティングがあります。これは、日常のコンピューティング要求はプライベート クラウドで処理し、負荷が急激に高まったときには追加のトラフィック需要(バースティング)をパブリック クラウドで処理するというものです。

全体的なクラウド ワークロードの増加率は、2014 〜 2019 年で CAGR 27 % になると見られていますが(図 9)、パブリック クラウド ワークロードの増加率が 2014 〜 2019 年で CAGR 44 % であるのに対し、プライベート クラウド ワークロードの増加率はそれより低く、2014 〜 2019 年で CAGR 16 % と予測されています。2018 年までには、プライベート クラウドのワークロード(44 %)と比べてパブリック クラウドのワークロード(56 %)が多くなる見込みです。

図 9 パブリック クラウドと プライベート クラウドの成長率の比較


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)

パブリック クラウド スペースにおけるワークロードの増加は、図 10 に示すとおり、仮想化の拡大にも反映されています。ワークロード密度は、今後もパブリック クラウド データセンターよりプライベート クラウド データセンターのほうが速いペースで上昇すると考えられますが、その差は予測期間内に縮小していきます。2014 年には、プライベート クラウド データセンターの物理サーバ 1 台あたりの平均ワークロードはパブリック クラウド データセンターの 2 倍でしたが、この差は 2019 年までに 1.4 倍に縮まると考えられます。

図 10 パブリック クラウド仮想化の気運が高まる


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


傾向(その 3):クラウド サービスの傾向


このセクションでは、IaaS、PaaS、SaaS[3] という 3 種類のクラウド サービスの成長率について分析します。他にも多くのサービス カテゴリが登場していますが、それらも IaaS、PaaS、SaaS のいずれかのカテゴリに分類できます。たとえば、Business Process as a Service(BPaaS)は SaaS の一部と見なすことができます。わかりやすくするために、これら 3 つのサービス モデルをクラウドのそれぞれ異なるレイヤと考えることにします。一番下のレイヤがインフラストラクチャ、中間のレイヤがプラットフォーム、最上部のレイヤがソフトウェアです。

GCI では、クラウド ワークロードを IaaS、PaaS、SaaS のいずれかに分類するに当たり、サービスの提供において他のクラウド サービス タイプが関係する可能性があるかどうかにかかわらず、ユーザが最終的にサービスをどのように利用するかを基準としました。たとえば、あるクラウド サービスが SaaS タイプでありながら、PaaS や IaaS など、他のクラウド サービスの一部に依存するとしても、そのワークロードはあくまでも SaaS と見なします。また、PaaS ワークロードが IaaS サービス上で動作する場合でも、そのワークロードはあくまでも PaaS と見なします。

クラウド全体で見ると、SaaS が最大のワークロード シェアを獲得し、2019 年にはクラウド ワークロード全体の 59 % を占めると予想されています。CAGR は、2014 〜 2019 年で 34 % となります(図 11)。PaaS は 2 番目に高い成長率を示していますが、クラウド ワークロード全体に対するシェアは 2014 年の 13 % から 2019 年には 11 % に低下すると予想されています。

図 11 SaaS は 2014 年から 2019 年までにグローバル クラウド サービスの中で導入率が最も高くなる


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


この傾向の理由を理解するためには、パブリック クラウド セグメントとプライベート クラウド セグメントについて、もう少し深く分析する必要があります。プライベート クラウドでは、当初、IaaS が圧倒的な導入シェアを獲得していました。テストおよび開発型のクラウド サービスは、当初は企業で使用されていました。クラウドは IT サービスの展開を根本から変えるものであり、企業にとっては、クラウドを導入するのであれば、まずプライベート クラウドから始めるのが安全で現実的な選択でした。その導入は限定的であり、企業内の IT リソースの機能に障害をもたらすリスクはありませんでした。テクノロジーによる処理能力の向上、ストレージの進歩、メモリの進歩、ネットワーキングの進歩により、SaaS またはミッションクリティカルなアプリケーションの導入に対する信頼性が徐々に高まると、予測期間において SaaS 型アプリケーションの導入が加速し(図 12)、一方、IaaS と PaaS のワークロード シェアは減少すると予想されます。

図 12 プライベート クラウドで SaaS 導入の気運が高まる


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


パブリック クラウド セグメントでは、最初に導入すべきクラウド サービスは SaaS でした。パブリック クラウドで提供される SaaS サービスは、多くの場合、ユーザに費用や柔軟性の点で明確なメリットをもたらす、低リスクで導入が容易な提案でした。SaaS の初期のユーザはコンシューマ セグメントで、その後に中小規模の企業が続きました。パブリック SaaS ソリューションが高度化し堅牢性が向上するに伴い、大規模企業もあまり重要ではないサービスから SaaS に移行し始めています。企業、特に大規模企業は、パブリック クラウド サービスの導入がもたらすメリット(拡張性、一貫性、コスト最適化など)をリスク(セキュリティ、データの整合性、ビジネス継続性など)との対比によって慎重に評価します。

図13 に示すとおり、IaaS と PaaS は、パブリック クラウドにおいては導入の初期段階を超えました。パブリック IaaS および PaaS への投資は、エンタープライズ データセンター機器、データセンター施設、付随する運用コストに比べると、まだ小規模なものに留まっています。これらのクラウド サービスは、より競争力のあるソリューションが市場に投入され、企業がより技術的に高度で基本的なサービスのアウトソーシングに対する信頼を高めることにより、予測期間内に徐々に導入の気運が高まると考えられます。

図 13 IaaS と PaaS がパブリック クラウドのワークロード シェアを拡大


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


傾向(その 4):グローバルのデジタル化:IoE とビッグ データ


世界的なデータセンターでの「ビッグデータ」の潜在的影響


クラウド サービスが加速した理由の 1 つとなったのは、人だけでなくマシンやモノによって生成される前例のないデータ量です。Cisco GCI の予測によると、人、マシン、モノによって 2014 年には 135 ゼタバイトが生成されていましたが、2019 年までには 500 ゼタバイト以上が生成される見込みです。

図 14 に、さまざまなモノやシステムの中でも特に航空機、自動車、建造物から生成されるデータ量の例を示します。

図 14 スマート シティ:複数のアプリケーションがビッグ データを作成する


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


2019 年までに生成される 500 ゼタバイト以上のデータのほとんどは実際には一時的なものであり、保存されません。Cisco GCI の予測では、クライアント デバイスやデータセンターに保存されるデータの合計ボリュームは 2019 までに 3.5 ゼタバイトに達する見込みです。保存されたデータのほとんどは現在から予測期間全体にわたりクライアント デバイスに存在しますが、より多くのデータがデータセンターに徐々に移行すると考えられます(図 15)。保存されたデータの増加に加えて、2019 年までにはデータがさらに多彩なデバイスによって保存されると考えられます。現在、クライアント デバイスに格納されたデータの 73 % は PC 上にあります。2019 年までに、PC に保存されたデータは 49 % に減少し、より多くのデータはスマートフォン、タブレット、マシンツーマシン(M2M)モジュールに保存されます。M2M に関連する保存データは他のデバイス カテゴリよりも速く増加し、CAGRは 89 % になります。

図 15 データセンターのストレージ分析


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


今後はクラウドベース サービスにより、コンシューマも企業も、あらゆる場所のあらゆるデバイスで、コンテンツとアプリケーションへのユビキタス アクセスを提供する多くの中央リポジトリに保存されるデータを移動できるようになります。次の項で、コンシューマ クラウド ストレージの成長について説明します。

コンシューマ クラウド ストレージの成長


コンシューマ インターネット人口と複数デバイス所有の増加に伴い、コンシューマ クラウド ストレージ(パーソナル コンテンツ ロッカーとも呼ばれる)などのクラウド サービスの利用が大幅に拡大すると考えられます。個人のコンテンツ ロッカーでは、使いやすいインターフェイスを使用して、比較的低コストで、または無償で音楽、写真、ビデオを保存し、共有することができます。さらに、タブレットやスマートフォンといったモバイル デバイスの普及によって、ユーザはより便利な方法でパーソナル コンテンツ ロッカーにアクセスできるようになりました。

Cisco GCI では、インターネット利用者人口のうちパーソナル クラウド ストレージを使用する割合が 2014 年には 42 %(11 億人)でしたが、2019 年には 55 %(20 億人)まで増加すると予測しています(図 16)。

図 16 パーソナル クラウド ストレージ:ユーザ数の増加


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)、Juniper Research


図17 は、複数デバイスの利用とインターネット アクセスの増加を基に、2019 年におけるコンシューマ クラウド ストレージの導入拡大を地域別に予測したものです。各地域の円の大きさが示すとおり、北米と西ヨーロッパでコンシューマ クラウド ストレージの導入率が高く、地域的なコンシューマ インターネット人口やコンシューマあたりの平均デバイス数と高い相関関係があることがはっきりとわかります。他の地域の詳細については、付録 F を参照してください。

図 17 インターネット アクセスと複数デバイス所有の拡大がパーソナル クラウド ストレージの成長を促進する



円の大きさは、居住インターネット人口に対するコンシューマ クラウド ストレージの導入率を表しています。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


Cisco GCI では、2014 年に 14 EB だった世界の年間コンシューマ クラウド ストレージ トラフィックは 2019 年には 39 EB まで増加し、CAGR は 23 % に達すると予測しています(図 18)。ユーザあたりの月間トラフィックに換算すると、2014 年は 992 MB だったのに対し、2019 年には 1.6 ギガバイト(GB)となります。

図 18 コンシューマ クラウド ストレージ トラフィック[*] の増加



[*] コンシューマ クラウド ストレージ トラフィックには、パーソナル コンテンツ ロッカー、クラウド バックアップなどが含まれ、クラウド DVR は含まれません。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


M2M およびリアルタイム分析

マシンツーマシン接続とアプリケーションの増加によっても、新しいデータ分析が求められています。すべての M2M アプリケーションが多くのトラフィックを促進しているわけではありませんが、M2M アプリケーションのデータが分析可能であれば、そのような接続のすべてがインテリジェントで実用的な情報を提供できます。図 19 に、ネットワーク通信頻度、1 接続あたりの平均トラフィック、およびデータ分析のニーズに関する、いくつかの M2M アプリケーションのマップを示します。スマート メーターなどのアプリケーションは、電気、ガス、水道などのリソースの使用を最適化可能にする集約データのリアルタイム分析を活用することができます。一方、緊急サービスや環境および公共の安全などのアプリケーションは、コミュニティ全体に影響するリアルタイムの決断を可能にする分散リアルタイム分析によってさらに強化できます。製造業と処理などの他のアプリケーションでは、リアルタイム分析によって効率が上がる可能性はあるものの、そのニーズはそれほど差し迫ったものではありません。

図 19 M2M 接続の増加により新しいデータ分析が必要になる



円の大きさは、各アプリケーションの総 M2M 接続を表します。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)、Machina Research


IPv6 の普及がクラウドの成長を促進する


IoE(Internet of Everything)とクラウド サービスの普及におけるもう 1 つの重要な点は、ユーザ、デバイス、ネットワーク接続、およびコンテンツの提供における IPv6 機能の拡大です。American Registry for Internet Numbers(ARIN)が今年発表した IPv4 アドレス枯渇により、IPv6 への移行はさらに重要になります。

Google によると、IPv6 経由で Google にアクセスしている世界の IPv6 ユーザの比率は、昨年は 4.54 % でしたが、2015 年 10 月には 9 % 近くまで上昇し、2 倍の増加を示しています。

IPv6 接続を利用するインターネット ユーザの割合は、ベルギーとドイツが 7 %、スイスが約 12 %、米国が約 11 % など、いくつかの国で昨年から急激な伸びを見せています(出典:シスコ ラボ)。シスコのラボ [英語] の予測では、2019 年 10 月までに世界のユーザの 32 % が IPv6 に対応すると見られています(図 20)。

図 20 IPv6 ユーザの予測


>出典:Forecast simulation tool6lab.cisco.com) [英語]


デバイスについて見ると、IPv6 対応の固定およびモバイル デバイスの総数は 2014 年には 30 億台でしたが、2019 年には 100 億台まで増加すると予想され、CAGR は 26 % に達します。割合にすると、固定およびモバイル ネットワーク デバイス全体のうち IPv6 に対応しているのは、2014 年には 22 % でしたが、2019 年には 41 % まで上昇します。(出典:Cisco VNI ホワイト ペーパー「ゼタバイト時代」)

国の取り組みやクラウド プロバイダーの展開が地域的な IPv6 コンテンツの普及に貢献してきました。また、昨今の活発な IPv6 のネットワーク展開は、モバイル ネットワークと固定ネットワークの両面でサービス プロバイダが IPv6 の接続性に焦点を当てていること意味します。World IPv6 Launch Organization によると、IPv6 の導入率は、2015 年 9 月の時点で、Verizon Wireless が 72 %、AT&T が約 50 %、T-Mobile が 48 %、Comcast が約 40 %、Deutsche Telecom が 23 %、日本の KDDI が約 22 %、Telekom Malaysia が 16 % でした(図 21)。

図 21 IPv6 導入


出典:World IPv6 Launch Organization [英語]


コンテンツ プロバイダーもまた、自社のサイトやサービスの IPv6 対応を進めています。シスコの IPv6 ラボ [英語] のレポートによれば、調査された 27,736 の Web サイトのうち 7,000 近くの Web サイトが IPv6 に対応しており(2015 年 10 月 1 日時点)、これは 5,880 の Web サイト(2014 年 10 月 1 日時点)から増加しました。シスコの IPv6 ラボでは、Alexa が 120 ヵ国それぞれについて挙げた上位 500 サイトのリストを基に、27,736 サイトについて毎日調査しています(重複するサイトは除外)。

さらに、コンテンツ プロバイダーは、ビデオやその他のリッチメディア コンテンツの配信を可能にするために IPv6 への移行を積極的に進めています。業界のフィードバックから、一見 IPv6 クラウドは IPv4 クラウドと似ているものの、ビデオ データがダウンストリーム トラフィック プロファイルの大半を占めている点で一線を画していることがわかります

傾向(その 5):世界のクラウドへの対応準備状況


セキュリティ:クラウドの成長に必要不可欠


クラウドへの移行は差し迫った状況です。昨年だけでも、さまざまな企業や組織がクラウドに移行または採用する計画をしていると報告しました。たとえば、Netflix Inc. は 2015 年のうちに従来型の最後のデータセンターをシャットダウンする計画を発表しました。これにより同社は IT すべてをパブリック クラウドで実行する最初の大企業の 1 つになりました。「ビジネスの流れのために、これまでかなりの期間をかけて、顧客向けシステムを 100 % クラウドベースにしてきました。今年の夏の終わりには自社のデータセンターは完全に廃止することを計画しています。」[4] さらにいくつかのクラウドの例を図 22 に示します。

図 22 幅広いクラウド採用例



拡張性とリソースの割り当ては、仮想化(「傾向(その 2):世界的なデータセンターの継続した仮想化」の項を参照)とクラウド コンピューティングの主な利点です。管理者は、新しいハードウェアを購入またはプロビジョニングするオーバーヘッドなしで、仮想マシン(VM)やサーバを迅速に立ち上げることができます。ハードウェア リソースは迅速に再割り当てすることができ、余分の処理能力は、効率が最大になるように他のサービスに使用できます。すべての処理能力を活用し、単一サーバ モデルにハードウェアが必要なくなるので、プライベート クラウドとパブリック クラウドのどちらでも優れたコスト効率が実現します。

National Institute of Technology(NIST)によると、クラウド コンピューティングは 3 つの主要なサービス タイプに分類できます(「傾向(その 3):クラウド サービスの傾向」を参照)。Infrastructure as a Service(IaaS)、Platform as a Service(PaaS)、および Software as a Service(SaaS)の 3 つです。これらはそれぞれいくらか異なる形でデータ制御とガバナンスに影響します。IaaS を使用する場合、顧客は実際のサーバ構成に対して完全な制御ができる場合があるため、環境とデータに対するリスク管理も、より制御できるようになります。PaaS を使用する場合、プロバイダーがハードウェアとその基盤となるオペレーティング システムを管理し、これらのコンポーネントに対するエンタープライズ リスク管理機能はプロバイダーが制限します。SaaS を使用する場合、プラットフォームとインフラストラクチャの両方をクラウド プロバイダーが完全に管理します。つまり、基盤となるオペレーティング システムまたはサービスが適切に設定されていない場合、上位層のアプリケーションのデータが危険にさらされる可能性があります。

現在、世界中でサイバー犯罪とスパイ行為に対する企業のコストは約 5000 億ドルに上っており、2019 年までのデータ漏えいのための企業のコストは 2 兆 1000 億ドルと推定されます[5]。 クラウド セキュリティ脅威の観点からすると、ここ数年間は間違いなく重大な出来事の多い期間でした。大きな漏えい問題や増大する分散型サービス拒否(DDoS)攻撃が見られました。特に、広く利用されている OpenSSL 暗号化ソフトウェア ライブラリの重大な脆弱性である Heartbleed や、オープン ソースの脆弱性である Shellshock に対して、多くのネットワーク セキュリティ ベンダーや他のネットワーキング デバイス メーカーは競い合うように自社のアプライアンスに対する一連のパッチをリリースしました。これらの対応により、必要とする顧客にサポートを提供するセキュリティ ベンダーの効果性が明らかになりました。また、クラウドのセキュリティと管理の広範な採用や、非常に迅速な発展状況に光が当てられました。クラウド サービス全体で、ファイルの 16.2 % に前述のセンシティブ データ タイプが 1 つ以上含まれ、ユーザの 27.8 % がクラウドにセンシティブ データをアップロードしている、という警戒すべき状態になっています。クラウドで見られる最も一般的なタイプのセンシティブ データは機密情報であり、これがクラウドのデータ損失事故の 47.0 % を構成しています。[6]

ユーザは、常に使用可能で、常に安全で、個人とビジネスの資産が安全なオンライン エクスペリエンスを求めています。より多くのデータ、ビジネス プロセス、サービスがクラウドに移行しているので、セキュリティのためにパフォーマンスを犠牲にすることなく、Web サイトとインフラストラクチャを保護することが組織にとって課題となっています。

ユーザの期待に応じるため、より多くの安全なインターネット サーバが世界中に導入されつつあります。この状況により、より厳格な認可と認証プロセスを提供し、セキュアなトランザクションと通信をエンドユーザに提供するインフラストラクチャ フットプリントが増加しています。Web に対面するサーバの総数に対して、Secure Sockets Layer(SSL)を使用してインターネット上で暗号化トランザクションを行うセキュアなインターネット サーバの割合を図 23 に示します。過去 1 年間に、Web に対面するサーバに対するセキュアなインターネット サーバの割合では、北米と西ヨーロッパが先頭に立ってきました。

図 23 地域ごとの Web に対面するインターネット サーバの総数に対するセキュアなインターネット サーバの割合


出典:Cisco GCI 2015、UN、NetCraft、Synergy Research


エンドユーザのセキュリティ問題は存在するものの、アマチュア ハッカーの時代は終了し、ハッキングは組織犯罪または国家的な事件となっています。顧客に対する DDoS 攻撃はサービス プロバイダーにとって主要な運用上の脅威です。インフラストラクチャに対する攻撃は目立った増加が続いています。フィッシングとマルウェアの脅威は毎日発生します。

シスコ 2015 年度セキュリティ レポート によると、医薬/化学薬品業界は 2014 年に Web マルウェア遭遇リスクが最も高い業種となりました。同年の上半期はメディアおよび出版が首位に立っていましたが、11 月には 2 位に下降しました。上位 5 つを締めるのは、それぞれ製造、輸送、および航空です。これらの業種のすべてが 2014 年の上半期に上位 5 位を占めました(図 24 参照)。


図 24 業種別の Web マルウェア遭遇リスク、全地域、2014 年 1 月 1 日〜 11 月 15 日


出典:シスコ セキュリティ リサーチ


IoE とビッグデータの要件では、セキュリティに関する議論とテクノロジー統合が新しい波となり始めています。企業とサービス プロバイダーがパブリックおよびプライベートのクラウドに移行し、データセンターは SDN を使用して刷新され、IT as a Service(ITaaS)が使用されるようになったため、セキュリティはさらに複雑な問題となっています。ハードウェア アプライアンス、仮想マシン、サーバ ソフトウェアに加えて、SDN と NFV を使用する革新的なサービスにより、クラウド インフラストラクチャのデータの整合性とセキュリティが向上します。

ネットワーク速度および遅延の分析


クラウドへの対応準備状況調査では、次世代クラウド サービスの提供に必要なブロードバンドおよびモバイル ネットワークの要件について地域別に分析を行っています。基本レベルから高度レベルのアプリケーション サービスを提供するクラウド コンピューティング ソリューションを普及させるためには、こうしたネットワークへの対応力を強化し、信頼性を高めることが重要です。たとえば、消費者はいつでもどこでも、友達と連絡を取り合ったり、音楽や動画をストリーミングしたりしたいと考えています。ビジネス ユーザは、ビジネス コミュニケーションおよびビデオ会議やミッションクリティカルな顧客システムと業務管理システムのモバイル ソリューションに信頼性の高い方法でアクセスすることを求めています。

この調査では、世界の各地域(アジア太平洋、中央および東ヨーロッパ、中南米、中東およびアフリカ、北米、西ヨーロッパ)について、サンプルとして選ばれた、基本レベル、中間レベル、高度レベルのビジネスおよびコンシューマ向けのクラウド アプリケーションをサポートする能力についても分析を加えています。各地域のクラウドへの対応準備状況は、固定ネットワークおよびモバイル ネットワークのダウンロード速度とアップロード速度に基づいてサンプリングされたサービス、ならびにそれに伴うネットワーク遅延に基づいて評価されます(ビジネスとコンシューマ向けのネットワークに分類)。ダウンロードとアップロードの速度や遅延は、クラウドに対するネットワークの対応能力を評価する基本的な指標です。図 25 は、ビジネス向けおよびコンシューマ向けクラウド サービスのカテゴリと、この調査で使用したネットワーク要件を示したものです。表 3 〜 5 で、ネットワーク要件について説明し、対応状況調査のカテゴリごとにサンプル アプリケーションの定義を示します。アプリケーションの同時使用が、ユーザ エクスペリエンスやクラウドへのアクセスにさらに大きな影響を及ぼしています。

図 25 ビジネス向けおよびコンシューマ向けのクラウド サービスのサンプル カテゴリ


表 3. 基本レベルのサンプル アプリケーション

アプリケーション 定義 ダウンロード アップロード 遅延
基本的なビデオと音楽のストリーミング インターネットに接続されたコンピュータ サーバを利用して情報にアクセスし、さまざまなオーディオまたはビデオ形式のファイルをダウンロードすることなく音声やビデオを再生できるアプリケーション。 高速 低速 中程度
テキスト通信(電子メールおよびインスタント メッセージング) ショート メッセージ サービス(SMS)に料金を支払うことなくインターネット データ プランを使用してメッセージを交換できるクロスプラットフォーム メッセージング アプリケーション 低速 低速 中程度
Voice over IP(VoIP)
(インターネット テレフォニー)
インターネット上で音声を送信する各種サービス。 低速 低速 中程度
Web ブラウジング ワークロードをクラウド サーバに移行するテクノロジーを利用してクラウド コンピューティングでの Web エクスペリエンスや検索を高速化するアプリケーション。 低速 低速 中程度
Web 会議 「じかに会っている」感覚で他の参加者と交流でき、共同 Web 閲覧やアプリケーション共有などのサービスを提供するクラウド アプリケーション。 中程度 中程度 中程度
クラウドベースの学習管理システム 集中型環境で他のユーザへの柔軟性の高いアクセスやコラボレーションを実現するアプリケーション。情報を仮想ストレージ環境に保存でき、本来の教育施設や職場の外で学習や仕事に取り組むことを可能にします。 高速 中程度 中程度


表 4. 中間レベルのサンプル アプリケーション

アプリケーション 定義 ダウンロード アップロード 遅延
エンタープライズ リソース プランニング(ERP)および顧客関係管理(CRM) 企業において、ビジネスおよびビジネス関係、それらに関連するデータおよび情報の管理を可能にするシステム。 中程度 低速 中程度
高解像度(HD)ビデオ ストリーミング インターネットに接続されたコンピュータ サーバを利用して情報にアクセスし、HD ビデオ形式のファイルをダウンロードすることなく HD ビデオを再生できるアプリケーション。 高速 低速 低速
標準解像度(SD)ビデオ会議 異なる場所にいる人々による会議を可能にするインターネット テクノロジーを使用して実現される双方向の SD ビデオ コミュニケーション。 中程度 中程度 中程度
Web 電子カルテ(EHR) 患者の治療に関わるすべての医療提供者から得た情報を体系化して記録および共有し、患者情報の取得および転送を容易にして治療に役立てることを目的としたアプリケーション。 中程度 高速 低速
Voice over LTE(VoLTE) VoLTE トラフィック転送を可能にする標準システム。 低速 低速 低速
パーソナル コンテンツ
ロッカー
複合ファイルを使用するアプリケーションが、既存のインターネット プロトコルでアクセスされた場合に、オブジェクトごとにリクエストを送信することなく、サーバへの 1 つのリクエストだけで Web ページ内のネストされたオブジェクトのダウンロードを開始し、複合ファイルのコンテンツを効率的にレンダリングできるようにする非同期ストレージ。 高速 高速 低速


表 5. 高度レベルのサンプル アプリケーション

アプリケーション 定義 ダウンロード アップロード 遅延
遠隔医療 電子通信によって施設間でやりとりされる医療情報を使用して患者の臨床健康状態を改善することを目的とし、双方向ビデオ、電子メール、スマートフォン、ワイヤレス ツールなどの電気通信テクノロジーを利用するアプリケーション。 中程度 中程度 低速
HD ビデオ会議 異なる場所にいる人々による会議を可能にするインターネット テクノロジーを使用して実現される双方向の HD ビデオ コミュニケーション。 高速 高速 低速
Ultra HD ビデオ ストリーミング インターネットに接続されたコンピュータ サーバを利用して情報にアクセスし、さまざまなビデオ形式のファイルをダウンロードすることなく Ultra HD ビデオを再生できるアプリケーション。 高速 高速 低速
仮想オフィス 電気通信リンクを備え、固定されたオフィス スペースを持たずに、プロフェッショナリズムを維持しながら従来のオフィス コストを削減できるオフサイト ライブ コミュニケーションとアドレス サービスの組み合わせを仮想オフィスで利用する、モバイルまたはリモート作業環境。 中程度 中程度 低速
高頻度株式取引 高度なトレーディング アルゴリズムを使用してポジションの急速な変化に対応し、市況の変動に基づいて数百件の取引を瞬時に処理するアプリケーション。 低速 低速 低速
接続型車両安全アプリケーション マルチモーダルのトランスフォーメーショナル アプリケーションを最大限に活用する完全接続型の輸送システムの開発および展開を必要とするアプリケーション。安全性、安定性、相互運用性、信頼性を備え、リスクの最小化と機会の最大化をもたらすシステム運用を実現するために、明確に定義されたテクノロジー、インターフェイス、プロセスを組み合わせることが必要。 低速 低速 低速


ネットワーク パフォーマンスの地域別統計データを、これら 3 種類のクラウド サービスへの対応力に基づいてランク分けしました。クラウドへの対応準備状況を把握するため、150 ヵ国超えるデータを対象とし、Ookla の Speedtest[7] 、Ovum-Informa、Synergy Research、Point Topic、国際連合(UN)、世界銀行、NetCraft、国際電気通信連合(ITU)、国際労働機関(ILO)、およびその他の情報源から入手した 2 億 5000 万件を超える記録を分析しました。測定結果の地域別平均値を、下記および付録 G に示します。

次に、クラウドへの対応準備状況の特性について説明します。

ネットワーク アクセス

  • インターネット普及率:この指標では、人口統計を考慮しながら固定接続とモバイル インターネット接続の普及率を測定し、各地域の普及度と推定接続数を判断します。

ネットワーク パフォーマンス

  • ダウンロード速度:固定接続とモバイル接続のいずれにおいても、広帯域を必要とするアプリケーションの普及に伴い、エンドユーザのダウンロード速度は重要性を増しています。また、この特性は、ビジネス向けの仮想マシン、CRM、ERP のクラウド プラットフォームや、コンシューマ向けのビデオ ダウンロードおよびコンテンツ取得用クラウド サービスのサービス品質を左右する重要な指標でもあります。
  • アップロード速度:固定ネットワークとモバイル ネットワークのいずれにおいても、またコンシューマだけでなく、ビジネスにおいても、仮想マシン、タブレット、ビデオ会議の普及に伴い、コンテンツをクラウドに送信するアップロード速度は重要な指標となっています。クラウド コンピューティングやデータセンター仮想化の普及、膨大な数のソフトウェア アップデートやパッチを送信する必要性、仮想ファイル システムへの大規模ファイルの分散、そしてコンシューマ クラウドのゲーム サービスやバックアップ ストレージの需要により、アップロード速度の重要性は、今後ますます大きくなると考えられます。
  • ネットワーク遅延:高遅延のネットワーク(通常はミリ秒単位でレポートされる)は、VoIP、ビデオの表示やアップロード、モバイル ブロードバンドでのオンライン バンキング、あるいは医療機関でのカルテ表示などにおける動作遅延の原因となります。現在求められている高度なサービスを提供し、高品質なユーザ エクスペリエンスを実現するためには、クラウドとの間のパケット送受信の遅延を軽減することが重要です。

インターネット普及率


図 26 および 27 は、2014 年と 2019 年の各地域の人口に対するインターネット普及率を示しています。2014 年にインターネット アクセス(固定およびモバイル)が最も多かったのは、北米と西ヨーロッパであり、この傾向は 2019 年まで続くと予想されます。ただし、今回の予測対象期間に、すべての地域において人口に対するブロードバンド アクセスの割合は測定可能な改善を示す見込みです。加入者数の点では、アジア太平洋がその人口の多さから、予測期間全体を通して首位に立っています。

インターネット アクセスの普及については、シスコ社内の予測に加え、ブロードバンド回線および 1 世帯当たりの平均ユーザ数を予測し、国別の電気通信報告データと照らし合わせて各国の予測を検証するというボトムアップのアプローチを使用しています。モバイルの観点では、計算の重複を防ぐために、加入者数ではなく、モバイル インターネット ユーザに的を絞ったアプローチが用いられています(中には複数の契約に加入しているユーザもいるため)。詳細は、付録 F を参照してください。詳細については、付録 H を参照してください。


図 26 各地域のブロードバンド普及率(2014 年)



円の大きさは、各地域の合計インターネット人口を表しています。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


図 27 各地域のインターネット普及率(2019 年)



円の大きさは、各地域の合計インターネット人口を表しています。
出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


世界の平均ダウンロードおよびアップロード速度の概要(2015 年)


ダウンロードとアップロードの速度や遅延は、クラウドに対するネットワークの対応能力を評価する重要な指標です。『Cisco GCI 補足資料』には、ダウンロード速度、アップロード速度、遅延に関する国別の詳細を示してあります。クラウド サービスとアプリケーションをサポートするには、ブロードバンド接続の品質が重要になってきます。固定およびモバイル オペレータが提供する理論上の速度は高いように見える場合がありますが、実際のネットワーク測定値には外部的な要因が多く関与してきます。速度と遅延は、固定およびモバイル ブロードバンド技術の都市部および地方部での展開、従来のデータセンターとクラウド データセンターとの距離、および顧客宅内機器(CPE)の品質に基づき、国や地域によって異なります。

ダウンロード速度、アップロード速度、および遅延の変動性が少なければ、コンシューマが国中の高度なクラウド アプリケーションへの一貫したアクセスが可能になります。この変動性を測定するために、平均ダウンロード速度と平均アップロード速度に加えて、ダウンロード速度の中央値とアップロード速度の中央値も採用されています。これらの測定と表示は通常すべてキロビット/秒(kbps)またはメガビット/秒(Mbps)単位で行われます。

主な結果

  • 世界の固定ネットワークの平均ダウンロード速度は 24.7 Mbps で、世界の固定ネットワークのダウンロード速度の中央値は 16.2 Mbps です。
  • 世界の固定ネットワークの平均アップロード速度は 12.3 Mbps で、世界の固定ネットワークのアップロード速度の中央値は 6.9 Mbps です。
  • 世界のモバイル ネットワークの平均ダウンロード速度は 11.1 Mbps で、世界のモバイル ネットワークのダウンロード速度の中央値は 7.7 Mbps です。
  • 世界のモバイル ネットワークの平均アップロード速度は 5.3 Mbps で、世界のモバイル ネットワークのアップロード速度の中央値は 2.8 Mbps です。

地域別の固定ネットワークのダウンロードおよびアップロード速度

  • 固定ネットワークの平均ダウンロード速度:中央および東ヨーロッパが 28.3 Mbps で首位に立っており、次いでアジア太平洋が 28.1 Mbps で第 2 位を占めています。
  • 固定ネットワークの平均アップロード速度:中央および東ヨーロッパが 20.9 Mbps で首位に立っており、次いでアジア太平洋が 16.0 Mbps で第 2 位を占めています(図 28)。詳細については、付録 G と『 Cisco GCI 補足資料』を参照してください。
  • 固定ネットワークのダウンロード速度およびアップロード速度の中央値:図 28 に示すとおり、速度の中央値が平均値より小さいのは、その地域で平均値より低い速度の分布が大きいためです。高度なクラウド アプリケーションに求められるネットワーク特性のほかに、クラウド サービスを含むより大きなユーザ基盤でのエンドユーザ エクスペリエンスを最適化するには、ほとんどの速度が平均値に近くなる必要もあります。これは見逃せない重要な要素です。主要な国の速度分布パターンの詳細については、『Cisco GCI 補足資料』を参照してください。

図 28 固定ネットワークの地域別平均速度(2015 年)


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


モバイル ネットワークの地域別平均ダウンロード速度およびアップロード速度

  • モバイル ネットワークの平均ダウンロード速度:北米が 16.3 Mbps で首位に立っており、次いで西ヨーロッパが 13.8 Mbps で第 2 位を占めています。
  • モバイル ネットワークの平均アップロード速度:中央および東ヨーロッパが 7.7 Mbps で首位に立っており、次いで北米が 6.5 Mbps で第 2 位を占めています(図 29)。詳細については、付録 G と『 Cisco GCI 補足資料』を参照してください。
  • モバイル ネットワークのダウンロード速度およびアップロード速度の中央値:速度の中央値は、すべての地域においてモバイル ネットワークの平均速度よりも低くなっています。これは、その地域では平均値よりも低い速度の分布が多い傾向にあるためです。

図 29 モバイル ネットワークの地域別平均速度(2015 年)


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


ネットワーク遅延

  • 世界全体の固定接続平均遅延時間は 41 ms です。
  • 固定ネットワークの平均遅延では、中央および東ヨーロッパが 33 ms で首位に立っており、アジア太平洋が 35 ms で僅差の第 2 位となっています。
  • 世界全体のモバイル接続平均遅延時間は 90 ms です。
  • モバイル ネットワークの平均遅延では、北米が 63 ms で首位に立っており、次いで西ヨーロッパが 70 ms で第 2 位を占めています。

詳細については、付録 G と『 Cisco GCI 補足資料』を参照してください。

まとめ


最新の Cisco GCI 2014-2019 レポートからは、いくつかの主要な結論を導き出すことができます。

世界のデータセンター トラフィックは確実にゼタバイト時代に突入しており、2019 年までに 2014 年の 3 倍増にあたる年間 10.4 ZB に達する見込みです。データセンター トラフィックは増加しているだけではなく、SDN、NFV などのアーキテクチャの革新により合理化され、新たなレベルのデータセンター最適化が提供されています。データセンター トラフィックの中で急速な成長を遂げているセグメントがクラウド トラフィックで、予測期間中に 4 倍以上に増加し、2019 年までにデータセンター トラフィック全体の 80 % 以上を占めることになる見通しです。クラウド コンピューティングが急速に拡大する中、トラフィックの増加を促進している重要な要素として、柔軟かつ迅速な展開と効率的なサービスの提供を可能にするデータセンター仮想化の増加が挙げられます。2019 年には、クラウドで処理されるワークロードが全ワークロードの 5 分の 4 を超える見込みです。

クラウド セグメントでは、当初はプライベート クラウドで処理されるワークロードのほうがパブリック クラウドよりはるかに多くなると見られていますが、予測期間における成長のペースはプライベート クラウドよりパブリック クラウドの方が速いと考えられます。2018 年までにはワークロードの主な割合はパブリック クラウドに推移すると思われます。ただし、予測期間全体の仮想化の割合では、プライベート クラウドのほうがパブリック クラウドを上回る状況が続く見込みです。企業では、専用 IT リソースに伴うコストへの懸念が強まっており、俊敏性も求められているために、特にセキュリティが強化されていることが要因となってパブリック クラウドの導入が進んでいると考えられます。多くの企業は、ワークロードの一部を内部管理のプライベート クラウドから外部管理のパブリック クラウドへ移行する際に、ハイブリッド アプローチを採用すると予想されます。クラウド環境へ移行するメリットに気付く企業が増えるに従って、3 つのクラウド サービス提供モデル(IaaS、PaaS、SaaS)はいずれも成長を続けていくと考えられます。

さらに、データセンターとクラウド コンピューティングの拡大に影響を与える傾向には、デジタル化、複数デバイス/複数接続の広範な普及や IoE 現象、およびモビリティの成長が含まれます。IoE アプリケーションによって驚異的な量のデータが生成されており、2019 年までに 500 ZB といった多大な量になる見込みです。ただし、そのコンテンツのうち保存されるデータは、比較的少ない量(約 3.5 ZB)になると考えられます。時がたつにつれて、クライアント デバイスに存在していたさらに多くのデータがデータセンターに移行します。こうしたユーザからの要求の高まりに対応するために、コンシューマ クラウド ストレージなどのクラウドベースのサービスを導入する気運が高まっています。2019 年までに、パーソナル クラウド ストレージを利用するユーザの割合がインターネット利用者人口の 50 % を超える(55 %)と予測されています。M2M 接続とアプリケーションの増加によっても、新しいデータ分析が求められています。IoE におけるもう 1 つの重要な点は、ユーザ、デバイス、ネットワーク接続、およびコンテンツの提供における IPv6 機能の拡大です。今年 American Registry for Internet Numbers(ARIN)で IPv4 アドレスが枯渇したという事実により、IPv6 への移行がさらに重要になります。

今回の調査では、インターネットの普及度と、それがクラウドへの対応準備状況とどのように関係しているかについても重視しています。ビジネスおよびコンシューマのモバイル ネットワークと固定ネットワークにおけるダウンロード速度、アップロード速度、遅延時間の平均値を地域別に分析した結果、どの地域も基本的および中間的なクラウド サービスに対応可能な進歩を示していることがわかりました。この 2、3 年にわたって第 4 世代(4G)にかなりの投資がなされてきました。このことを反映して、現在では昨年と比較してモバイル ネットワークで単一の高度なアプリケーションに対応する要件を満たす国の数は約 4 倍に増加しています。現在の焦点は、組織とエンド ユーザが求め、依存する高度なクラウド アプリケーションをサポートできるように、ネットワークの機能を継続的に向上させることに移っています。

関連情報


詳細については、www.cisco.com/jp/go/cloudindex を参照してください。

付録 A:データセンター トラフィックの予測方法


図 30 は、データセンター トラフィックとクラウド トラフィックの予測方法の概要を示しています。まず、ワークロードのタイプと実装別にインストールベースでワークロード数を求めてから、ワークロードあたりの月間バイト数を適用して、現在および今後数年のトラフィック量を得ます。

図 30 データセンター トラフィックの予測方法


アナリスト データ


複数の調査会社と国際機関(Gartner、IDC、Juniper Research、Ovum、Synergy、ITU、国際連合など)のデータを Global Cloud Index の分析に使用しました。たとえば、ワークロード タイプ別と実装別(クラウドとクラウド以外)のワークロード稼働数の計算で、アナリスト データを考慮しました。これらのアナリスト データは、特定のワークロード タイプおよび実装のサーバ出荷台数で構成されていました。シスコはこれらに基づいて、サーバ稼働数と各サーバのワークロード数を推定し、ワークロードの稼働数を得ました。

測定データ


さまざまな企業およびインターネット センターからネットワーク データを収集しました。分析したデータセンターのアーキテクチャは多様で、3 層アーキテクチャもあれば、2 層アーキテクチャもあります。3 層のデータセンターでは、4 ヵ所からデータを収集しました。収集ポイントは、アクセス ルータからアグリゲーション ルータへのリンク、アグリゲーション スイッチまたはルータからサイトまたは地域のバックボーン ルータへのリンク、WAN ゲートウェイ、そしてインターネット ゲートウェイです。2 層データセンターのデータは 3 ヵ所から収集しました。収集ポイントは、アクセス ルータからアグリゲーション ルータへのリンク、WAN ゲートウェイ、インターネット ゲートウェイです。

企業のデータセンターでは、アグリゲーションのノースバウンドで測定されたトラフィックにはローカル ビジネス キャンパス間の非データセンター トラフィックも含まれます。そのため、各層で伝送されるトラフィック量の比率を得るには、インターフェイス間のトラフィックではなく、ホスト間で発生しているトラフィックを測定する方法を使用し、非データセンターの通信が除外されるようにする必要がありました。通信している両端のホストはロケーションとタイプで識別し、分類しました。データセンターのトラフィックと見なすためには、通信しているペアの少なくとも一方がデータセンターのアグリゲーション スイッチまたはルータと、アクセス スイッチまたはルータとの間のリンク内にあると識別されることが必要です。

また 本ペーパーでも述べたとおり、前回 Cisco Global Cloud Index が発表されてから、クラウド データセンター トラフィックの予測方法が変更されました。以前の方法では、ストレージのトラフィックすべてをクラウド以外のトラフィックに分類していました。今回変更された方法では、クラウドのワークロードに関連するストレージのトラフィックを、クラウド トラフィックに分類しています。たとえば、クラウド アプリケーション開発に関連するストレージのトラフィックは、変更後の方法ではクラウド トラフィックとなりますが、以前の方法ではクラウド トラフィックからは除外されていました。

付録 B:Global Cloud Index と Visual Networking Index


Cisco Global Cloud Index(GCI)と Cisco Visual Networking Index(VNI)は、一部重複する点があるものの、異なる予測です。Cisco VNI は、インターネットおよび IP WAN ネットワーク間を行き来するトラフィックの量を予測するものであるのに対し、Cisco GCI は、データセンター内、データセンター間、データセンターとユーザ間を行き来するトラフィックの量を予測するものです。Cisco VNI では、Cisco GCI には含まれていない非データセンター トラフィック(さまざまなタイプのピアツーピア トラフィック)と併せて、データセンターとユーザ間のトラフィックを予測します。

Cisco GCI には、データセンターとユーザ間のトラフィック(この点については Cisco VNI と重複)と併せて、データセンター間のトラフィックとデータセンター内のトラフィックが含まれます。Cisco VNI では、インターネットおよび IP WAN ネットワークを行き来するトラフィックの量を予測します(図 31)。


図 31 Cisco VNI と Global Cloud Index


出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


付録 C:地域別クラウド トラフィックの傾向


Cisco Global Cloud Index に、クラウド トラフィックの増加に関する地域別の予測データが加わりました(表 6)。

  • 2014 年、クラウド トラフィックが最大であったのは北米(888 EB/年)で、次いで、アジア太平洋(588 EB/年)、西ヨーロッパ(390 EB/年)が続きました。
  • 2019 年までには、北米で最大のクラウド トラフィックが生成され(3.6 ZB/年)、次いでアジア太平洋が僅差の第 2 位(2.3 ZB/年)、西ヨーロッパが第 3 位(1.5 ZB/年)になることが予測されます。
  • 2014 〜 2019 年の間にクラウド トラフィックの増加率が最も高くなるのは中東およびアフリカ(CAGR 41 %)で、次いで中央および東ヨーロッパ(CAGR 38 %)が第 2 位、アジア太平洋(CAGR 33 %)が第 3 位になると予測されています。

表 6. 地域別のクラウド トラフィックの成長(エクサバイト単位)

地域 2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
アジア太平洋 588 810 1,092 1,440 1,848 2,335 32 %
中央および東ヨーロッパ 90 125 171 239 326 447 38 %
中南米 103 141 187 244 312 399 31 %
中東およびアフリカ 50 73 105 149 208 280 41 %
北米 888 1,273 1,749 2,321 2,960 3,648 33 %
西ヨーロッパ 390 533 713 936 1,200 1,512 31 %

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


付録 D:地域別ワークロードの分布


表 7、8、9 は、タイプ別と地域別のデータセンター ワークロードの概要を示したものです。

表 7. 地域別のデータセンター ワークロード合計の分散状況(100 万単位)

データセンターの合計ワークロード(単位:100 万)
  2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
アジア太平洋 30.7 41.8 54.3 69.5 87.2 106.2 28.2 %
中央および東ヨーロッパ 3.7 4.5 5.3 6.4 7.7 9.0 19.6 %
中南米 4.4 5.6 6.7 8.1 9.8 11.5 21.0 %
中東およびアフリカ 3.2 4.0 4.8 5.9 7.0 8.3 20.6 %
北米 59.2 71.8 83.5 97.1 112.4 126.3 16.4 %
西ヨーロッパ 28.2 34.1 39.6 45.8 52.5 58.4 15.7 %

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


表 8. 地域別のクラウド ワークロードの分散状況(100 万単位)

クラウド データ センターのワークロード(単位:100 万)
  2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
アジア太平洋 20.9 30.9 42.7 57.6 74.9 94.0 35.1 %
中央および東ヨーロッパ 2.4 3.2 4.1 5.2 6.5 7.9 27.5 %
中南米 3.0 4.1 5.3 6.9 8.6 10.3 28.3 %
中東およびアフリカ 2.1 2.9 3.7 4.8 6.0 7.3 28.2 %
北米 37.2 48.9 60.9 75.1 90.9 106.2 23.3 %
西ヨーロッパ 18.0 23.5 29.1 35.7 42.7 49.4 22.4 %

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


表 9. 地域別の従来型データセンター ワークロードの分散状況(100 万単位)

従来型データセンターのワークロード(単位:100 万)
  2014 2015 2016 2017 2018 2019 CAGR
(2014 〜 2019 年)
アジア太平洋 9.9 10.9 11.5 11.9 12.3 12.2 4.3 %
中央および東ヨーロッパ 1.3 1.3 1.3 1.2 1.1 1.1 -4.3 %
中南米 1.5 1.5 1.4 1.3 1.3 1.2 -4.1 %
中東およびアフリカ 1.1 1.1 1.1 1.1 1.0 1.0 -3.1 %
北米 22.0 22.8 22.6 21.9 21.5 20.1 -1.8 %
西ヨーロッパ 10.3 10.6 10.4 10.1 9.8 9.0 -2.5 %

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


付録 E:クラウドの定義


クラウドの定義


Cisco GCI は、国立標準技術研究所(NIST)が定める業界の標準的なクラウド コンピューティングの定義に準じています。NIST の定義 [英語] では、クラウド コンピューティングの必須特性として次の 5 項目を挙げています(図 32)。

  • オンデマンド セルフサービス
  • 広範なネットワーク アクセス
  • リソースのプーリング
  • 迅速な弾力性または拡張性
  • 厳選されたサービス

図 32 クラウドの必須特性


クラウドの導入モデル


クラウドの導入モデルには、プライベート クラウド、パブリック クラウド、ハイブリッド クラウド(またはこれらを組み合わせたもの)があります。こうした異なる形態のクラウド コンピューティングにより、さまざまなソフトウェア、プラットフォーム、インフラストラクチャ サービスが可能になります。クラウド データセンターの運営は、サービス プロバイダーだけでなく、民間企業が行う場合もあります。

ただし、この予測でのプライベート クラウドとパブリック クラウドの分類方法は、NIST の定義とは若干異なっています。クラウド サービスは、公衆通信網(WAN)と組織のプライベート ネットワーク(LAN)との境界線(物理境界または仮想境界)によって、パブリックとプライベートに分かれます(図 33)。

図 33 クラウドの導入モデル


クラウドの設備が境界線よりサービス プロバイダー側にある場合、そのサービスはパブリック クラウド サービスと見なされます。仮想プライベート クラウド(VPC)は、このカテゴリに分類されます。また、マルチテナント コンシューマ クラウド サービスもこのカテゴリに属します。

クラウドの設備が境界線より組織側にある場合、そのサービスはプライベート クラウド サービスと見なされます。一般に、組織の IT 部門が所有および管理する専用クラウドは、プライベート クラウドと見なされます。

ハイブリッド クラウドは、名前からわかるとおり、パブリック クラウドとプライベート クラウドの組み合わせです。ハイブリッド クラウド環境では、クラウド コンピューティング リソースを社内の部門と外部のプロバイダーが分担して管理します。ここでは、プライベート クラウドとパブリック クラウドを別々のカテゴリとして定義していますが、ハイブリッド クラウドは 1 つのカテゴリとして区別していません。ハイブリッド クラウドは、プライベート クラウドとパブリック クラウドをさまざまな形で組み合わせた上位集合に過ぎないためです。

クラウド サービス提供モデル(IaaS、PaaS、SaaS)


Cisco GCI によるクラウド ワークロードの予測は、SaaS、PaaS、IaaS の 3 つの主要なクラウド サービス モデルに分けて行っています(図 34)。サービス モデルの定義は NIST の定義と一致しています。

図 34 クラウド サービス モデル:IaaS、PaaS、SaaS


SaaS

コンシューマは、クラウド インフラストラクチャ上で実行されるプロバイダーのアプリケーションを使用できます。アプリケーションには、Web ブラウザ(Web ベースの電子メールなど)などのシンクライアント インターフェイスまたはプログラム インターフェイスを使用して、さまざまなクライアント デバイスからアクセスできます。コンシューマは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング システム、ストレージなどのクラウド インフラストラクチャはもちろん、個別のアプリケーション機能も管理または制御することはできません。ただし、限定されたユーザ固有のアプリケーション構成設定は管理できる場合があります。

PaaS

コンシューマは、プロバイダーがサポートするプログラミング言語、ライブラリ、サービス、およびツールを使用して独自に作成または取得したアプリケーションをクラウド インフラストラクチャに配置できます。コンシューマは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング システム、ストレージなどのクラウド インフラストラクチャを管理または制御することはできませんが、配置したアプリケーションと、場合によってはアプリケーションをホストする環境の構成設定を制御できます。

IaaS

コンシューマは、処理、ストレージ、ネットワークなどの基本的なコンピューティング リソースをプロビジョニングし、オペレーティング システムやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを配置して実行できます。コンシューマは、クラウド インフラストラクチャを管理または制御することはできませんが、オペレーティング システム、ストレージ、および配置したアプリケーションは制御でき、一部のネットワーキング コンポーネント(ホスト ファイアウォールなど)についても限定的な制御が可能となる場合があります。


付録 F:地域別コンシューマ クラウド ストレージ ユーザ数


表 10 に、2019 年の予測として、コンシューマ インターネット ユーザ数(導入率)、インターネット ユーザあたりの平均コンシューマ デバイス数、およびコンシューマ クラウド ストレージ ユーザ数(コンシューマ インターネット ユーザの割合)を地域別に示します。

表 10. 地域別コンシューマ クラウド ストレージ ユーザ数(2019 年予測)

地域 コンシューマ インターネット ユーザ数(単位:100 万)(人口に対する割合) コンシューマ インターネット ユーザあたりの平均デバイス台数 コンシューマ クラウド ストレージ ユーザ数(単位:100 万)(インターネット ユーザ人口に対する割合)
アジア太平洋 2,022(49 %) 4.1 1,176(58 %)
中央および東ヨーロッパ 321(66 %) 5.0 134(42 %)
中南米 355(54 %) 4.4 141(40 %)
中東およびアフリカ 401(25 %) 4.6 65(16 %)
北米 311(83 %) 10.1 257(83 %)
西ヨーロッパ 341(80 %) 7.8 272(80 %)

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


付録 G:地域別のクラウドへの対応準備状況の概要


表 11. に、ダウンロード速度、アップロード速度、遅延を考慮した地域別のビジネスおよびコンシューマのクラウド対応準備状況の概要を示します。詳細については、『Cisco GCI 補足資料』を参照してください。

表 11. クラウドへの地域別対応状況

ネットワーク 地域 平均ダウンロード速度(Mbps) 平均アップロード速度(Mbps) 平均遅延時間(ms)
固定 アジア太平洋 28.1 15.9 35
  中央および東ヨーロッパ 28.3 20.9 33
  中南米 7.6 2.4 64
  中東およびアフリカ 7.0 2.2 77
  北米 25.4 8.8 42
  西ヨーロッパ 22.8 7.4 44
モバイル アジア太平洋 12.1 6.1 83
  中央および東ヨーロッパ 10.9 7.7 75
  中南米 5.7 2.0 116
  中東およびアフリカ 4.5 2.3 156
  北米 16.3 6.5 63
  西ヨーロッパ 13.7 4.8 70

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


付録 H:インターネット普及率


表12 および 13 は、2014 年と 2019 年の地域別インターネット アクセス普及率をまとめたものです。固定インターネット アクセスについては、ブロードバンド回線および 1 世帯当たりの平均ユーザ数を予測し、国別の電気通信報告データと照らし合わせて各国の予測を検証するというボトムアップのアプローチに基づく内部予測を使用しました。モバイル ネットワークについては、計算の重複を防ぐために、加入者数ではなく、モバイル インターネット ユーザに的を絞ったアプローチが用いられています(中には複数の契約に加入しているユーザもいるため)。詳細は、付録 F を参照してください。

表 12. 2014 年の地域別インターネット普及率(パーセンテージは、各地域におけるインターネットにアクセス可能なユーザの割合)

地域 固定インターネット ユーザ数
(単位:100 万)(2014 年)
モバイル インターネット ユーザ数
(単位:100 万)(2014 年)
人口
(単位:100 万)(2014 年)
アジア太平洋 970(25 %) 1,237(31 %) 3,955
中央および東ヨーロッパ 193(40 %) 193(40 %) 483
中南米 193(31 %) 168(27 %) 623
中東およびアフリカ 143(10 %) 241(17 %) 1,405
北米 253(71 %) 232(65 %) 358
西ヨーロッパ 286(68 %) 253(60 %) 418

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)


表 13. 2019 年の地域別インターネット普及率(パーセンテージは、各地域におけるインターネットにアクセス可能なユーザの割合)

地域 固定インターネット ユーザ数
(単位:100 万)(2019 年)
モバイル インターネット ユーザ数
(単位:100 万)(2019 年)
人口
(単位:100 万)(2019 年)
アジア太平洋 1,170(28 %) 2,371(57 %) 4,126
中央および東ヨーロッパ 241(50 %) 331(68 %) 487
中南米 228(35 %) 348(53 %) 655
中東およびアフリカ 232(15 %) 579(37 %) 1,574
北米 281(75 %) 302(81 %) 373
西ヨーロッパ 304(72 %) 350(83 %) 424

出典:Cisco Global Cloud Index(2014 〜 2019 年)









[1] Cisco Visual Networking Index:予測と方法論(2014 〜 2019 年)[英語] を参照してください。


[2] パブリック クラウドとプライベート クラウドの詳細については、付録 E を参照してください。


[3] IaaS、PaaS、および SaaS の定義については、付録 E を参照してください。


[4] http://blogs.wsj.com/cio/2015/08/14/the-morning-download-netflix-leads-way-into-cloud-closing-final-data-center/


[5] https://lemon.fish/2015/09/cover-your-assets-data-protection-and-breach-detection/


[6] https://www.skyhighnetworks.com/cloud-report/


[7] Speedtest.net によって測定しました。Web サーバとクライアント間で小さいサイズのバイナリ ファイルのダウンロードとアップロードを実行して、接続速度をキロビット毎秒単位(kbps)で評価しました。