データセンター ユーザ事例

NTTデータグローバルソリューションズ、SAP 運用サー ビスの中核にシスコを採用

SAP運用サービス「INERPIA」の中核にシスコを採用 シンプル、セキュアかつ拡張性の高いサービス基盤で日本企業の“攻めのグローバル化”を支援 株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズ

日本企業のグローバル化を支援するために、NTTデータグループ内のSAP関連事業を統合する形で設立された、株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズ。ここではコアサービスの1つである、SAP運用のシェアードサービス「INERPIA」の中核システムに、シスコのソリューションが採用されている。その決め手になったのは、帯域の確保が容易なアダプタFEXによる仮想ネットワークと、セキュリティ アプライアンスの集約が可能なCisco ASA 5500シリーズ、10Gラインでの接続が可能なCisco UCSとCisco Nexusの組み合わせだった。これによってシステム全体をシンプル化しながら、高い拡張性を実現。サービス提供までの時間とコストを大幅に低減している。またネットワークまで含んだ仮想化を前提に運用プロセスを標準化することで、サービス基盤の安定運用とサービス品質の向上を実現。“攻めの経営”をサポートする”攻めのサービス”が可能になったと、高く評価されている。

SAPのグローバル展開の課題を解決する
SAPシステム特化したフル アウトソーシング サービス「INERPIA」

 グローバル化をどのように実現していくか。これが今、多くの日本企業の重要課題になっている。これまでは生産拠点に過ぎなかった新興国は、市場としても重要性を増してきた。また調達を最適化するには、バリューチェーンを世界規模で構築することも求められる。さらに、海外企業との競争には圧倒的なスピード感が前提となり、価値観の異なる人々を効果的に組織化する必要もある。グローバル化は新たなチャンスをもたらす一方で、日本企業が超えなければならない様々な課題を、顕在化するものでもあるのだ。

 このようなグローバル化に伴う各種課題を解決するため、NTTデータグループが2012年7月に設立したのが、株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズである。NTTデータグループは、グループ内の複数企業に分散していたSAP関連事業を、同社に統合。これによって、日本企業のグローバル展開に伴うシステムのグローバル化需要に応えているのである。

 「グローバル化を成功させるには、選択と集中の観点から、戦略的事項により注力できる環境を整える必要があります」と語るのは、株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズ 代表取締役常務の小川 兼一郎氏。株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズは、NTTデータグループにおけるSAPソリューションのコア カンパニーとして、このような環境整備を支援する存在なのだと説明する。「20年以上にわたるSAP事業の経験を集約し、エッジの効いたプロフェッショナル集団として、日本企業のグローバル化を成功に導いています」。

 その一環として同社が展開しているのが「INERPIA(イナーピア)」というサービスだ。これはNTTデータグループのグローバル要員とインフラを活用し、SAPシステムの運用サービスをワンストップで提供するというものである。

 「日本企業がグローバル化する際に、国内と同じ運用品質でSAPシステムを海外展開したいというご要望が増えています」と説明するのは、株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズ 執行役員 アウトソーシング事業部長の芦田 尚樹氏だ。しかし個々の企業がこれを自力で実現しようとすると、運用スタッフを個別に抱える必要が生じるため、どうしても高コスト化してしまう。また各リージョンに分散したSAPの運用管理では、運用品質にもばらつきが生じやすいとも言う。

 「INERPIA」ではこの問題を解決するため、全世界の各リージョンにある「SAP Solution Manager」と、日本国内にあるNTTデータグローバルソリューションズの「SAP Solution Manager(Global Solution Manager) 」を連携させている。「SAP Solution Manager」は、SAPソリューションを集中管理する管理ツールセットだ。(図1)。顧客は各リージョンのSAP Solution Managerを介してサービスのリクエストを行うことで、NTTデータ グループのSAPプロフェッショナルによる各種運用サービスを、全世界で受けられるのだ。またここで発生した情報は、全てGlobal Solution Managerに集約される。これによってシェアードサービスならではのコストメリットと、世界レベルで統一された運用ポリシー、ナレッジの共有が可能になるのである。

図 1「INERPIA」のサービス基盤の構成。世界各リージョンの SAP Solution Manager を日本国内の Global Solution Manager と連携させることで、シェアードサービスならではのコストメリット、世界レベルで統一された運用ポリシー、ナレッジの共有を可能にしている。

図 1「INERPIA」のサービス基盤の構成。世界各リージョンの SAP Solution Manager を日本国内の Global Solution Manager と連携させることで、シェアードサービスならではのコストメリット、世界レベルで統一された運用ポリシー、ナレッジの共有を可能にしている。
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サービスの中核にシスコのソリューションを採用
シンプルな物理構成とセキュリティを高く評価

 このGlobal Solution Managerのシステム基盤として採用されているのが、シスコのソリューションだ。

 「INERPIAと同様のサービスはNTTグローバルソリューションズの設立前から提供されており、設立3ヶ月後の2012年10月にはINERPIAとしてのサービス提供も始まっていました」と言うのは、株式会社 NTTデータ グローバルソリューションズ アウトソーシング事業部 ITOセンター チーフ・コンサルタントの江連 直紀氏。しかし以前のサービスは複数の個別システムで運用されており、統合されてはいなかったと振り返る。このままでは事業拡張やリソース拡充と共に、システムが複雑化し、運用も煩雑になる。そこで2013年3月に、INERPIAサービスのシステム統合を目指したプロジェクトに着手。複数ベンダーからの提案を比較検討した結果、2013年6月にシスコの採用を決定するのである。

 採用されたシステム構成は図2に示す通り。それではなぜシスコを選んだのか。理由は大きく3つあると、芦田氏と江連氏は説明する。

図2「INERPIA」のGlobal Solution Managerの基盤として採用されたシステムの構成。アダプタFEXによる仮想ネットワーク、Cisco ASA 5500シリーズによるセキュリティアプライアンスの集約、10GネットワークによるCisco UCSの収容といった特徴がある。これによってシステム全体のシンプル化と高い拡張性を実現した。

図2「INERPIA」のGlobal Solution Managerの基盤として採用されたシステムの構成。アダプタFEXによる仮想ネットワーク、Cisco ASA 5500シリーズによるセキュリティアプライアンスの集約、10GネットワークによるCisco UCSの収容といった特徴がある。これによってシステム全体のシンプル化と高い拡張性を実現した。
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 まず第1はネットワーク仮想化技術で、シスコが先行していたことだ。「NTTデータグループはこれまで数多くのお客様のSAPシステムを構築した経験がありますが、その多くがサーバの仮想化技術を採用しています」と江連氏。ここで大きな問題になるのが、I/Oボトルネックによる仮想マシンのパフォーマンス低下だと言う。一般的な仮想ネットワーク アダプタでは、仮想ネットワーク間の分離が不十分であるため、他の仮想マシンのI/O負荷が他の仮想マシンに影響を与えてしまうのである。「これに対してシスコには、アダプタFEXという技術があり、高いレベルでトラフィック分離が行えます。またトラフィックの可視化や運用の簡素化も容易です」。

 第2は、Cisco ASAシリーズによって、マルチテナント環境でのセキュリティ確保が行いやすいことだ。顧客サイトと安全に接続するには、各顧客との接続ポイントにファイアウォール等のセキュリティアプライアンスを設置し、通信の可否を制御する必要があるが、テナント毎に個別のアプライアンスを設置すると、機器の数が増え、管理も煩雑になってしまう。しかしCisco ASAシリーズを活用すればアプライアンスの集約が可能になり、機器の数を増やすことなく多数の顧客に対応できる。

 そして第3の理由が、10Gネットワークの利用が提案に盛り込まれていたことである。

 「他社の提案には1Gネットワークによる構成もありましたが、1Gでは1セットのスイッチに収容できるサーバ数が4台程度に限られてしまい、それ以上サーバを増やすには、スイッチの追加とネットワーク構成や設定の変更が必要です。これに対してCisco NexusとCisco UCSで実現できる10G構成では、1セットのCisco Neus 5000シリーズに38台のサーバが接続でき、ポートが不足した場合にはCisco Nexus 5000シリーズの下にCisco Nexus 2000を追加することで、基本的な構成を変更することなく収容サーバ数を増やせます」(江連氏)。

 シスコのソリューションなら、ファイバチャネル(FC)を10Gネットワークに統合することも可能になる。これによってネットワーク機器の数とケーブル本数を大幅に削減でき、システムを拡張してもシステムの複雑さを抑えることができると江連氏は言う。

 これに加えて芦田氏も「必要な機器やケーブルの数が少なくなれば、消費電力が低下し、冷却効果も高まります」と言う。さらに、サービスに必要なシステム全体を、ネットワークやストレージまで含めて仮想化できることも、大きなメリットだと指摘する。「サーバの仮想化はすでにどのベンダーも行っていますが、ネットワークまで含めた仮想化ではシスコがリードしています。シェアード サービスの基盤にはネットワーク仮想化が不可欠になるため、シスコのソリューションが最適だと判断しました」。

データセンターに設置されているCisco Nexus 5000シリーズ、Cisco UCS Cシリーズ、Cisco ASA 5500シリーズ

データセンターに設置されているCisco Nexus 5000シリーズ、Cisco UCS Cシリーズ、Cisco ASA 5500シリーズ

サービス提供までの時間とコストを大幅に削減
仮想化を前提とした標準化でサービス品質も向上

 シスコ製品を活用した新システムの構築は2013年7〜9月にかけて行われ、2013年9月中旬には1社目の顧客がこのシステムへと移行している。今後も順次移行を進め、2013年12月には全ての顧客の移行を完了させる計画だ。

 それでは新システムへの移行によって、どのようなメリットが得られているのか。「まず最大の効果は、システム全体の物理構成がシンプルになったことです」と江連氏は説明する。

 以前のシステムでは、1サーバあたり8本のネットワークと2本のFCが必要だったため、合計10本のラインが接続されていた。これが現在では、2本の10Gラインに集約されている。サーバあたりのケーブル数は1/5になっているのだ。また1セットのスイッチに収容できるサーバ数も増えたため、ネットワーク機器の数も1/3以下になるはずだという。さらにメモリスロットの数が多いCisco UCSを採用することで、1サーバで動かせる仮想マシン数も増大した。わずか2台のサーバで、約50社にサービスを提供できると江連氏は言う。

 システム構成のシンプル化は、サービス提供までの期間短縮を可能にしている。以前は機器調達やシステム拡張、各種設定を行うため、2〜3週間は必要だった。しかし現在では、契約から1週間でサービスを開始できる。準備の負担軽減はコスト抑制にも貢献する。顧客の要望によっても異なるが、サービス開始のために顧客が支払うイニシャル コストも、大幅に下がる可能性があると芦田氏は語る。

 問題発生時の対応やシステム メンテナンスも容易になった。システム全体の構成がシンプルになっただけではなく、可視化も容易になったため、どこで何が起こっているのかを把握しやすいからだ。またアダプタFEXでライブ マイグレーション専用の帯域を用意しているため、サーバのメンテナンスが必要な場合でも、他のサービスに影響を与えることなくライブ マイグレーションを行い、サービスを継続できる。データ バックアップ専用の帯域も確保されているため、バックアップ実行時にネットワーク パフォーマンスが低下する心配もない。「1Gネットワークの提案を選択していたら、このようなことも不可能だったと思います」(江連氏)。

 新システムへの移行に伴い、仮想化を前提にした運用プロセスの標準化も進められた。これによってサービス基盤の安定運用が容易になり、サービス品質の向上にも貢献していると芦田氏は語る。「INERPIAサービスはお客様の“攻めの経営”を支えるグローバル基盤ですが、ここにシスコ ソリューションを採用することで、私たち自身も“攻めのサービス”を展開できるようになったのです」。

今後も進化を続けるINERPIAサービス
今回構築したシステムはその重要な基盤に

 NTTデータ グローバルソリューションズは、SAPソリューション導入の企画支援から導入・構築支援、機能拡張支援、データ分析・活用支援、運用支援など、あらゆるフェーズをカバーした多様なサービスを提供している。これらのサービスの中でも、INERPIA等の運用支援は、同社にとっての重要なコアビジネスなのだと小川氏は説明する。企画支援や導入・構築支援などは単発のビジネスで終わりやすいが、運用支援には継続性があり、顧客とのリレーションを維持しやすいからだ。またこのリレーションが新たなビジネスを生み出す可能性もある。INERPIAサービスをどのように運営するかは、重要な経営課題の1つなのである。

 「INERPIAサービスは、今まさに進化の過程にあります」と言うのは芦田氏である。今後はさらにグローバル レベルでの標準化を進め、価格モデルやサービス メニューの統一なども視野に入れながら、このビジネスを拡大していく予定だと語る。そして今回構築したシステムは、そのための重要なインフラになると説明する。

 「すでにコンピューティングとネットワーキングは、不可分な存在になりつつあります」と小川氏。シスコにはこれからも、両者が融合した世界で先進的なソリューションを提供し続けることを期待していると語る。「私たちは今後も最先端のソリューションを取り込みながら、お客様の多様な課題を解決していきます。グローバルにチャレンジし続けている日本のお客様をサポートすべく、私たち自身もチャレンジする集団であり続けたいと考えているのです」。

導入の背景/課題

  • 「INERPIA」と同様のサービスは以前から提供されていたが、その基盤は複数の個別システムで構成されていた。そのため事業拡張やリソース拡充に伴いシステムが複雑化し、運用も煩雑になると懸念された。この課題を解決するには、システム統合が必要だった。
  • シェアード サービスを効果的に運用するには、高い拡張性とセキュリティの確保が欠かせない。シスコのソリューションは、高度に分離された仮想ネットワーク、10Gネットワークによる拡張性、Cisco ASAシリーズによるセキュリティ アプライアンスの集約などが、これらの要件を満たせるものだと判断された。

導入ソリューション

  • Cisco Nexus 5000シリーズ
  • Cisco UCS Cシリーズ
  • Cisco ASA 5500シリーズ

導入効果

  • アダプタFEXによる仮想ネットワークを10GラインでCisco Nexusに収容することで、システム全体の構成をシンプル化できた。これにより顧客の追加やメンテナンスの負担が軽減し、サービス開始までの時間やコストを削減できた。
  • サーバにメモリ容量の大きいCisco UCSを採用したことで、サービス提供に必要な仮想マシンの集約率も向上した。
  • Cisco ASA 5500シリーズにセキュリティ機能を集約することで、顧客サイトとのセキュアな接続を管理しやすくなった。
  • 必要なネットワーク機器やケーブルの数が減ることで、消費電力が削減され、冷却効果も高まった。
  • ネットワークまで含めた仮想化を前提に運用プロセスを標準化することで、サービス基盤の安定運用とサービス品質の向上が可能になった。

「INERPIAサービス等の運用支援は、NTTデータ グローバルソリューションズのコアビジネスです。これをどのように運営するかは、重要な経営課題の1つだといえます」

株式会社 NTTデータ 
グローバルソリューションズ
代表取締役常務
小川 兼一郎 氏

株式会社 NTTデータ
グローバルソリューションズ
代表取締役常務
小川 兼一郎 氏

「ネットワークまで含めた仮想化ではシスコがリードしています。シェアードサービスの基盤にはネットワーク仮想化が不可欠になるため、シスコのソリューションが最適だと判断しました」

株式会社 NTTデータ
グローバルソリューションズ
執行役員
アウトソーシング事業部長
芦田 尚樹 氏

株式会社 NTTデータ
グローバルソリューションズ
執行役員
アウトソーシング事業部長
芦田 尚樹 氏

「シスコの採用でシステム全体の物理構成がシンプルになりました。ケーブル数は1/5以下、ネットワーク機器の数も1/3以下になるはずです」

株式会社 NTTデータ 
グローバルソリューションズ
アウトソーシング事業部
ITOセンター
チーフ・コンサルタント
江連 直紀 氏

株式会社 NTTデータ
グローバルソリューションズ
アウトソーシング事業部
ITOセンター
チーフ・コンサルタント
江連 直紀 氏

株式会社 NTTデータ
グローバルソリューションズ

株式会社 NTTデータ 
グローバルソリューションズ
所在地
東京都江東区豊洲3-3-3
設立
2012年(平成24年)7月
資本金
2億円

日本企業のグローバル展開に伴うシステムのグローバル化需要に応えるため、NTTデータグループにおけるSAP事業の中核企業として設立。国内のグループ会社に分散しているSAPソリューションや、業務ノウハウを集約すると共に、NTTデータグループの「SAP Global One Team」の一員として、NTTデータグループの海外拠点と連携しながら多様なSAP関連サービスを提供している。