ソリューション概要Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ:QoS アーキテクチャおよびソリューションはじめに300 bps のモデムを使用していた時代に比べて格段に大きな帯域幅が使用可能になった現在でも、可能な限り帯域幅を節約するというビジネス上の原則が変わることはありません。帯域幅の節約は特にエンタープライズにとって重要ですが、これはサービス プロバイダーにとっても同じことです。いずれのセグメントにおいても、顧客の重要なアプリケーションまたはレイヤ 7 アプリケーションに対してより高度なサービスを提供できるネットワーク アーキテクチャが必要とされています。このような理由から、拡張性があり、柔軟で高性能の Quality of Service(QoS)を提供可能なルータがかつてないほど注目されています。 QoS とは、ネットワーク上のアプリケーションに対して事前に設定されたパフォーマンス レベルを保証するための技術を意味します。QoS が実装されたネットワークにおけるアプリケーションのパフォーマンスは、ネットワークの負荷やネットワークのコンポーネントではなく、ポリシーによって決定します。アプリケーションのパフォーマンスが、パケット損失、遅延、ジッタ(遅延変動)、およびスループットなどの要素に依存することは異論のないところです。ネットワーク管理者は、個々のアプリケーションやユーザの要件に基づいて、許容可能な値を設定します。これらの定義の詳細および Cisco IOS® QoS の概要については、 http://www.cisco.com/jp/go/qos/ をご覧ください。以下の QoS エンタープライズおよびサービスの QoS デザイン ガイド(英語)では、QoS の展開方法を詳しく説明しています。 http://www.cisco.com/application/pdf/en/us/guest/netsol/ns432/c649/ccmigration_09186a008049b062.pdf および http://www.cisco.com/en/US/netsol/ns590/networking_solutions_white_paper09186a00801b1c5a.shtml Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータの QoS は、ハードウェアに基づく強力で柔軟な先進的 QoS 機能を提供します。このドキュメントでは、Cisco QuantumFlow Processor(Cisco QFP)およびその 2 つのチップ(Cisco QFP Engine および Cisco QFP Traffic Manager)を含めて、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのハードウェアの概要を説明します。また、Cisco ASR 1000 シリーズのソフトウェア QoS 機能と、そのアーキテクチャおよび展開方法の例をいくつか紹介します。 Cisco ASR 1000 シリーズ QoS の概要Cisco IOS® ソフトウェアは、柔軟で幅広い QoS により常に業界をリードしてきました。また、シスコのハードウェア ベースのプラットフォームでは、これらの QoS 機能の一部を非常に高いスループットで実行できます。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、これら 2 つのパラダイムを非常に複雑な QoS 構成として組み合わせ、非常に高いスループットを実現します。 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、表 1 に示すように、QoS の基本的パフォーマンス要件に対応しています。 表 1 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS パフォーマンス
Cisco ASR 1000 シリーズ QoS は以下のような先進的な機能を提供します。
Cisco ASR 1000 シリーズ QoS ハードウェア アーキテクチャCisco ASR 1000 シリーズ ルータは、フォワーディング プレーンに関しては集中アーキテクチャを提供します。この場合のフォワーディング プレーンは、5 Gbps および 10 Gbps の ASR 1000 シリーズ エンベデッド サービス プロセッサ(ESP5 および ESP10)によって実現されます。すべてのネットワーク トラフィックは ESP10 を経由するため、ESP10 はすべての QoS 機能のメイン エンジンとなります。いずれの ESP でも、主要コンポーネントとなるのは Cisco QFP とその 2 つのシリコン(Cisco QFP Engine および Cisco QFP Traffic Manager)です。Cisco QFP Engine は Modular QoS CLI(MQC; モジュラ QOS CLI)分類、マーキング、Weighted Random Early Detection(WRED; 重み付けランダム早期検出)、ポリシングなどを担当します。Cisco QFP Traffic Manager はシェーピング、優先順位、および Class-Based Weighted Fair Queuing(CBWFQ; クラスベース WFQ)スケジューリングなどを担当します。Cisco ASR 1000 シリーズ SPA インターフェイス プロセッサ 10(SIP10)は、非 MQC 構成の場合でも入力の分類、バッファリング、およびスケジューリングを行うことができます。これらのコンポーネントの詳細については、 http://www.cisco.com/jp/go/asr1000/ をご覧ください。 ESP10 および ESP5 の主な QoS 機能は以下のとおりです。
ESP10 の QoS のパフォーマンスは、QoS の構成、および他の機能との組み合わせによって異なります。しかし、数千のサブインターフェイス、IPv6 マルチキャスト、およびアクセス コントロール リスト(ACL)を含む非常に複雑な QoS 構成の場合でさえも、パフォーマンスは 1 秒間に数百万パケットに達します。Cisco ASR 1000 シリーズの大きな利点として、Cisco QFP Traffic Manager は、Cisco QFP Engine で実行する必要のある機能の影響を受けることがありません。このため、QoS のシェーピングおよび Low Latency Queuing(LLQ; 低遅延キューイング)構成が Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのパフォーマンスに与える影響を最小化できます。 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS を理解する最良の方法は、パケットの入力から出力までの流れを追ってみることです(図 1)。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ プラットフォームは高レベルのオーバーサブスクリプションをサポートするように設計されています。この図で、ボックスを通過するすべてのステップが潜在的な輻輳ポイントになります。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS は常に、高優先度トラフィックを他のタイプのトラフィックよりも先に転送しようとします。この機能は、お客様のシステム帯域幅で高優先度トラフィックと低優先度トラフィックがオーバーサブスクライブされている場合に特に重要になります。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ内のパケット フローを QoS 輻輳ポイントの観点から説明すると次のようになります。
図 1 は、これらのステップを示しています。 システム全体が、高優先度の、たとえば音声やビデオなどのパケットを維持および伝播するように設計されているため、このようなオーバーサブスクリプションは、多くのお客様のネットワークにおいて、可能であると同時に、望ましいものでもあることを覚えておく必要があります。 SIP10 による入力の分類とスケジューリングSIP10 で入力トラフィックを分類およびスケジューリングすることにより、高優先度のトラフィックが他のトラフィックよりも先に ESP10 に到着するようにできます。この分類を、入力パケットの優先度に基づいて実行することができます。デフォルトでは、入力のリマーキングは行われません。IPv4 および IPv6 の両方について、入力パケットの分類は 802.1p(イーサネット プライオリティ)、Multiprotocol Label Switching Experimental Bits(MPLS EXP; マルチプロトコル ラベル スイッチング EXP ビット)、および IP Precedence または IP Differentiated Services Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)に基づいて行われます。この分類に基づいて優先順位が決定します。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、たとえば plim qos input map ip dscp <dscp-value | dscp-range> queue < low-latency | 0> のように、非 MQC のコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用してこの分類をカスタマイズできます。イーサネットの場合は、この分類を VLAN 単位で構成できます。 その後、パケットは前述の分類と優先順位に基づいて、2 つのキュー(高優先度と低優先度)に入れられます。各ポートには 2 つのキューがあり、1 つのポートおよび 1 つの SIP10 ごとに 2 レベルのスケジューリング(最小帯域幅と超過帯域幅)があります。最小帯域幅、つまり Committed Information Rate(CIR; 認定情報レート)は、各 SIP10 から ESP10 へのトラフィックの送信速度を意味します。残りの帯域幅、つまり超過ウェイトは、基本的にはどのようなタイプのトラフィックによっても使用されることのない帯域幅です。SIP10 での分類の場合と同様に、たとえば plim qos input [bandwidth <Kbps> [low-latency]] [weight <weight>] のように、プラットフォーム固有の CLI を使用して SIP10 スケジューリングを変更できます。low-latency キーワードを使用した場合は、高優先度トラフィックのみが SIP 単位またはポート単位の最小帯域幅を保証されるため、これにより、基本的に厳格な優先順位別キューイング スキームが実現されます。 ESP10 相互接続スケジューラSIP10 による分類とスケジューリングの後、入力トラフィックは ESP10 相互接続によってスケジューリングされます。基本的には、高優先度のトラフィックを先に処理し、低優先度のトラフィックをその後に処理するように、システム内の SIP10 が選択されます。もちろんオーバーサブスクリプションがなければ、すべての SIP が ESP10 にトラフィックを送信できることになります。ここでも、プラットフォーム固有の CLI を使用して、たとえば hw-module platform slot <0-3> qos input [(bandwidth <> kbps [low-latency][weight <1-100>][strict-priority]) のように、このスケジューラを変更することができます。 図 2 は、10 Gbps システムがオーバーコミットの場合に(Cisco QFP Engine の使用量に基づく)、システムがキュー ステータスを常に把握している様子を示しています。このような状況においても高優先度のパケットの処理が可能なのは、相互接続で使用される Cisco QFP からのバックプレッシャが、優先順位キュー単位および ESI 単位で独立しているからです。低優先度のパケットをバックプレッシャして、高優先度のパケットのフローを維持できます。SIP 内の入力キューがこのような状態にある場合、システムはイーサネットについてはイーサネット ポーズ フレーム トラフィックを生成することができます。また、SIP10 キューが満杯に近い場合はパケットをテールドロップできます。 ESP10 の出力 QoS および SIP10 のバックプレッシャSIP10 による入力の分類とスケジューリング、および ESP10 によるシステム内のすべての SIP10 間の相互接続スケジューリングの後、入力パケットは Cisco QFP に送信されますが、最初は、図 3 に示すように Cisco QFP Engine に送られます。
次に、図 4 に示すようにパケットが Cisco QFP Traffic Manager に送信され、ここで次の処理が実行されます。
図 4 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS:SIP10 の出力 Cisco QFP におけるシェーピングは、独自のバースト パラメータが追加されたトークン バケット アルゴリズムを使用して実行されることを理解しておく必要があります。ポリシング機能のように、シェーピングの帯域幅は、カプセル化(Packet over SONET Cyclic Redundancy Check [POS CRC] またはイーサネット プリアンブルなど)に応じて、パケットのレイヤ 2 フィールドの一部を含めて計算されます。 また、Cisco QFP Traffic Manager のスケジューラの特徴を理解しておくことも重要です。
Cisco ASR 1000 シリーズ QoS ソフトウェアのアーキテクチャCisco ASR 1000 シリーズ ソフトウェア アーキテクチャは、Cisco IOS XE ソフトウェアおよびそのコンポーネントから構成されています。Cisco IOS ソフトウェアは Cisco IOS XE ソフトウェアのコンポーネントの 1 つです。分類、NBAR、マーキング、CBWFQ、クラスベース シェーピング、階層的シェーピングおよびポリシング、パーセント ベースのシェーピングおよびポリシング、MQC フレームリレー トラフィック シェーピング、WRED などの従来の MQC QoS 機能を含めて、ほとんどの QoS 機能は Cisco IOS ソフトウェアから導出されます。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS の実装においては、QoS ポリシーの構成のための Cisco IOS MQC フレームワークが厳格に適用されています。MQC は、Cisco IOS ソフトウェア プラットフォーム全体を通して共通のテンプレート ベースのコマンド構文を提供します。MQC の詳細については、以下の資料(英語)を参照してください。 http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122sr/cr/srqos_r/index.htm 次の 2 つの機能は重要です。
基本的には、使い慣れた Cisco IOS MQC CLI で構成されたこれらすべての機能が、Cisco QFP 命令に変換されて、最も柔軟な QoS スキームの機能および要件に正確にマッピングされています。図 5 はこのプロセスを示しています。 先に説明したように、SP10 での入力の分類およびスケジューリングを制御するために、若干のプラットフォーム固有のコマンドが使用されます。詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/asr1000/ をご覧ください。 Cisco ASR 1000 シリーズの強力な QoS およびその利点QoS は、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータおよび Cisco QFP が今日提供可能な数多くの IP サービスの 1 つにすぎません。Cisco ASR 1000 シリーズ QoS の優れたパフォーマンスおよびその多彩な能力をその他の IP サービスと統合することは可能ですし、このような統合は必要なものでもあります。次に、QoS およびその他のサービスが提供する利点の例をいくつか紹介します。 エンタープライズおよびサービス プロバイダー エッジのQoS:NBAR、cRTP、QoS、および IPSec次世代のエンタープライズ ネットワーキング アーキテクチャは、複数の IP サービスを数 Gbps のパフォーマンスとスループットで統合可能なミッドレンジ プラットフォームの恩恵を確実に受けることになります。図 6 は、本社のヘッドエンド プラットフォームの同じ Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ上に、何千ものブランチ用の IPsec VPN、QoS、および IP マルチキャストをすべて構成できることを示しています。前に説明したように、ネットワーク インターフェイスや Cisco QFP Traffic Manager だけでなく、暗号化エンジンとの通信においても、複数レベルの階層およびキューイング ステータスが適用されるため、QoS は Cisco QFP 上で使用可能な、暗号化前および暗号化後のすべてのサービスを完全に調整して、トラフィックの統合およびバッファリングを行うことができます。さらに、IP マルチキャストおよびそのバーストとの統合も、可能であるだけでなく、非常に高いスループットで実行可能です。詳細については、 http://www.cisco.com/jp/go/asr1000/ をご覧ください。 前に説明したように、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの QoS は Cisco IOS MQC に厳格に従っていますが、ネットワーク管理者およびサービス プロバイダーのオペレータが今日のネットワークにおける最も重要なアプリケーションの実帯域幅を確保できるように、新しい QoS 機能による強化も追加されています(この新コマンドの詳細については http://www.cisco.com/jp/go/asr1000/ をご覧ください)。この新しい QoS 機能は、非常に高レベルの輻輳の下で実現可能ですが、同時に、非常に高いスループットを提供するものであり、従来のサービス プロバイダーのオペレータおよびその voice-over-IP(VoIP)オファリングで使用されるだけでなく、一般的なネットワーク管理者も、その他の個々のレイヤ 4 〜レイヤ 7 アプリケーションで必要に応じて使用することができます。パケット全体を処理する Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、Skype および Citrix などの機能や、Bittorrent などのピアツーピア アプリケーションを識別できるため、Cisco NBAR などの機能を数 Gbps のスループットで実現できます。図 7 はこの利点を示しています。 SBC および Cisco ASR 1000 シリーズの QoSCisco Session Border Controller は、エンタープライズおよびサービス プロバイダーの VoIP とマルチメディア ネットワークを相互接続する重要なコンポーネントです。詳細については、 http://www.cisco.com/jp/go/asr1000/ をご覧ください。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの SBC と QoS の組み合わせにより、ネットワーク オペレータは、IP ユニキャスト データや IP マルチキャスト ビデオなどの組み合わせによる何千もの VoIP コールを含む、非常にスケーラブルな VoIP ソリューションを実現できます。図 8 はこのソリューションを示しています。 サービス プロバイダー(MPLS プロバイダー エッジ)およびブロードバンド QoS最後に、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、階層化された複雑な QoS スキームおよび IPv4 または IPv6 マルチキャスト ビデオ ストリームを含む、高スループットの非常にスケーラブルな Broadband Remote Access Server(BRAS; ブロードバンド リモート アクセス サーバ)ソリューションを提供します。このソリューションを MPLS プロバイダー エッジ(MPLS PE)環境と組み合わせて、さまざまなトンネル モードでディファレンシエーテッド サービスおよび QoS の透過性を提供することもできます。図 9 は、このソリューションの概要を示しています。 結論
|
||||||||||








