テクノロジー解説

Quality of Service(QoS)

QoS(Quality of Service)をそのまま訳せば「サービスの品質」です。これは、ユーザに提供するネットワーク サービスの品質という意味になります。しかし実際には、アプリケーションが一定の通信速度で通信できるようにする技術を指す用語となっています。

 IPベースのネットワークでは、「ベストエフォート」と呼ばれる概念のもとで通信が行われます。ベストエフォートとは「できる限りの努力をして相手先に届ける」という意味です。最大の努力をしたけど相手にうまく届かなかったという場合にも、「しかたなかったね」とあきらめなければなりません。あるいは、「好きなだけ帯域幅を使っていいよ」という意味にもなります。アプリケーションは、他にどのようなトラフィックがあっても、使えるだけの帯域を使って通信しようとします。

 ネットワーク アプリケーションのほとんどが、ファイル転送や Web 閲覧だったころには、ベストエフォートでも問題はありませんでした。しかし、昨今のIPネットワークは、ベストエフォートでは問題が発生するような使われ方をしています。

 たとえば、音声アプリケーション。IPネットワーク経由で電話している最中に、誰かが大容量のファイルのダウンロードを開始したとします。たちまにファイル転送に帯域が占有され、音声はとぎれとぎれになってしまいます。



 QoSを使用することで、優先度の高いアプリケーション(音声)には確実に必要なだけの帯域が割り当てられるため、通話中に大容量のファイルダウンロードが発生したとしても、快適に通話を続けることができます。


 QoSの処理には、いくつかの段階があります。その段階を追って、最終的な目的である「アプリケーションが一定の通信速度で通信できる」をどのように実現しているかを簡単にみていきましょう。

クラス分け
 パケットの種類や目的を調べて優先度を決めます。たとえば、音声パケットは最優先する、動画ならそこそこ優先する、データはできるだけ届けるようにする、といった決定を行います。ここでは、赤いパケット、緑のパケット、青いパケットの順に優先度が低くなるものとします。


ポリシング
 ポリシングでは、設定されたポリシー(QoSパラメータ)にしたがって、不要なパケットを取り除いていきます。たとえば、輻輳(ふくそう)が発生していて処理が停滞しているようなら、優先度の低いパケットを捨てていきます。また、最近では、不正なパケットを見つけて取り除くようなポリシー設定も可能になっています。


マーキング
 マーキングでは、優先度に応じてIPパケットのなかに優先度を書き込んでいく作業です。このマーキングは、次の段階であるキューイングで、どのキューを使用するかを決定するものです。また、送信先に到着したときにも優先して宛先に届くようにするためにも必要になります。


キューイング
 キューイングとは、1 つずつ処理する作業があるとき、処理されるものを順番に並べておくことです。順番に並べる列を「キュー」といい、日本語では待ち行列ともいいます。QoS では、優先度の異なる複数のキューを使用します。パケットは、マーキングされた情報に応じたキューに並ぶことになります。
 優先度の高いキューに並んだパケットは、ほかのキューに並んだパケットよりも優先的に運ばれていきます。



シェーピング
 最後に、アプリケーションごとに割り当てられた帯域幅に合わせて、パケットを送り出します。


 QoS 機能は、帯域幅の効率的な利用を要求されるルータには不可欠な機能となっています。さらに、ネットワーク利用の多様化に伴い、シスコシステムズでは、ルータのほかにもスイッチ、ワイヤレス アクセスポイントなど、さまざまなネットワーク機器に QoS 機能を搭載しています。Cisco ルータのきめ細かい QoS パラメータの設定は業界随一。パフォーマンスも最高級で、広帯域ネットワークにも対応可能な高速処理を実現しています。

お問い合わせ