テクノロジー解説

ネットワーク プロトコル

 ネットワーク プロトコルとは、ネットワークを介してコンピュータ同士が通信するための決まりのことです。「通信プロトコル」あるいは単に「プロトコル」と呼ばれることも多く、日本語にすると通信手順や通信規約ということになります。ネットワークの勉強をしていると必ず目にする IP、TCP、HTTPなどは、どれもプロトコルの名称です。ここでは、「プロトコル」とは何なのか?を考えてみることにしましょう。

 「プロトコル」(protocol)を英和辞典で調べてみると、多くの辞書では最初の意味として「外交儀礼」を挙げています。これは、文化や宗教が異なる国の人同士であっても、お互いに気分よく時間を過ごすためのマナーや礼儀などの決まり事を意味します。そして 2 つめには「議定書」「協定」といった国家間における規約とあり、その後に IT 業界にはなじみ深い通信接続手順、つまり「ネットワーク プロトコル」が出てきます。
 外交儀礼とネットワーク プロトコルが同じ用語で表されるのを不思議に思うかもしれませんが、どちらも相手とのスムーズなコミュニケーションのための手順と考えることができます。簡単な例として、電話をかけるときのことを考えてみましょう。

電話をかける手順

 電話をかけるときの手順は次のようになります。

  1. 受話器をあげる
  2. 発信音を確認する
  3. ダイヤルする
  4. 呼び出し音を聞く
  5. 相手が出たら「もしもし」と言う


 ここまでの手順が成功すると、用件を伝える会話をすることができます。

ファックスを送る手順

 次にファックスを送るときのことを考えてみましょう。ファックスを送る手順は、次のようになります。

  1. 原稿をセットする
  2. ファックス番号を入力する
  3. スタートボタンを押す


 この後でファックス機は次のような手順を実行します。

  1. 回線を接続する
  2. 発信音を確認する
  3. 指定された番号をダイヤルする
  4. 呼び出し音を聞く
  5. 相手が出たら自分がファックスであることを音で伝える
  6. 相手もファックス機であることを確認すると、実際の通信を開始する


 電話を使用する手順とファックス送信の手順を比べてみると、もちろん、コミュニケーションの目的を達成するためには、電話同士、ファックス機同士での通信が必要になりますが、「発信音を確認する」「ダイヤルする」「呼び出し音を聞く」という手順はまったく同じであることが分かります。

ただし、電話がかかってきただけでは、電話なのかファックスなのか判断することはできません。ファックス機能のついていない電話にかけてファックスを送っても、ファックス用紙を送信することができないので、相手に用件を伝えることはできません。

通信を階層化する

 コミュニケーションを成立させるためには、電話にしろ、ファックスにしろ、相手につながるまでの手順が存在することがわかります。電話とファックスは共通の「電話回線」を使用しており、「電話のかけ方」は同じです。また、電話もファックスも、「電話のかけ方」さえ知っていれば、電話回線がどのようにして相手につながっているかについては、気にする必要がありません。

 ここで気づいていただきたいのは、電話をするなら相手はファックス機能付きの電話ではなくてもよいし、ファックスを送るなら相手はファックス専用機でもよいという点です。ファックスを送る手順あるいは電話をかける手順を正しく実行できるものであれば、形はどんなものでも構いません。また、電話でもファックスでも、同じ電話回線を使っているという点にも注目してください。ただし、実際の会話が成立するためには、言語や前提知識も共通化しておく必要があります。

コンピュータ同士のコミュニケーション

 電話やファックスによるコミュニケーションの約束事が、言語や前提知識という高い次元から、電話線を伝わる電気信号に至るまで、いくつかの段階に分かれているように、コンピュータ同士のコミュニケーション(通信)においても、その手順をいくつかの段階に分けて考えるのが一般的です。これを「階層化」と言います。階層化によって、各階層の役割と、その上下にある階層とのインターフェイスさえ決めておけば、必要となる手順を共通化することも可能になります。
 例えば、次の例では、サーバにあるアプリケーションを使用するために電話回線を使って通信のための接続をしているとします。「次へ」をクリックすると、電話回線はインターネット接続によるブロードバンドに変更になります。しかし、インターネット接続を使用しているとしても、PCやサーバのアプリケーションに変更の必要はありません。このように階層ごとに独立させることで、他の階層に影響を与えずに一部の階層を入れ替えることができ、階層ごとに最新の技術を取り入れることができる構造になるのです。

 ネットワークの世界では、電気信号やコネクタの形状などの物理仕様から、人間が使うアプリケーションのためのプロトコルまでを 7 つの階層に分けて考えるのが一般的になっています。これは、国際標準化機構(ISO)が策定したプロトコルの階層化モデル「OSI参照モデル」に基づいています。ネットワークの設計や設定に関わる仕事をするなら、OSI 参照モデルを避けて通ることはできません。ネットワーク プロトコルの階層構造になっていることを理解したら、次は OSI 参照モデルの 7 つの階層を調べて、理解を深めてください。

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