テクノロジー解説

フラットなレイヤ2ネットワークの構築

 仮想マシンが最適なリソースを求めて物理サーバ間を移動するライブ マイグレーションでは、物理サーバ間をレイヤ2ネットワークで接続する必要があります。なぜなら、IPアドレスは物理サーバではなく仮想マシンに対して割り振られているからです。仮想マシンが物理サーバ間を移動したときには、仮想マシンとともにIPアドレスも一緒に移動することになるのです。物理サーバが少数であれば、これまでのイーサネット技術で対応可能でしょうが、データセンター全体を仮想化するほどにレイヤ2ネットワークが大規模になった場合には、現行の技術を改良していく必要があります。

 Data Center 3.0 を支える仮想化技術の第2弾として、ファブリック エクステンダとバーチャル ポート チャネルによるフラットなレイヤ2ネットワークの構築について解説します。

大規模なレイヤ2ネットワークに必要な技術

 ユーザに対して「サービスの継続性」という利点をもたらします。ただし、これを実現するには、ネットワーク側の「通信の継続性」が必須となります。 つまり、収束(コンバージェンス)時間を限りなくゼロに近づけなければなりません。

仮想マシンのライブ マイグレーション

 レイヤ2ネットワークとしてもっとも一般的なのは、イーサネットです。そして、大規模なイーサネット ネットワークでは、スパニング ツリー プロトコル(STP)を使ってブリッジング ループを回避するようになっています。しかし STP には、次のような問題があります。

  • ノードに接続されている2つの回線のうち、片方のリンクはブロックしなければならないため、使用可能な帯域幅の半分しか利用できない。
  • ノードが増えれば増えるほど、障害が発生したときのトラブルシューティングが困難になる。
  • 障害発生時に通信が回復するまでの収束時間が長い。

 データセンターの仮想化のために大規模レイヤ2ネットワークを実現するには、ループのないフラットなレイヤ2ネットワークを構築するための技術が必要となります。そのためにシスコでは、現在、次の2つのソリューションを提供しています。

  1. アクセス スイッチの管理ポイントを減少させるファブリック エクステンダ
  2. 冗長化を不要にするバーチャル ポート チャネル

 これら2つの技術の概要をこの後で紹介します。

ファブリック エクステンダ(FEX)によるサーバ管理性の向上

 データセンター内でサーバを収容するスイッチの配置には、End of RowとTop of Rackの2種類があります。

End of Row Top of Rack
End of Raw
Top of Rack

大きなスイッチで全体を束ねる配置方法です。サーバラック列の中央あるいは端にCisco Catalyst 6500シリーズのようなモジュラ型スイッチを配置することで、1台のスイッチに200台以上のサーバを収容します。

特長:

  • ネットワークの設定および管理のポイントが少なく、セキュリティ、QoSなどの機能の共通化が容易
  • スイッチの台数が少ないため、スパンニング ツリーのトポロジーを小さくできる

ラックごとにサーバを収容するスイッチ(40〜48ポート)を配置する方法です。スイッチの数は多くなりますが、設計の自由度が高く、必要に応じて少しずつ拡張することができます。

特長:

  • 設計の自由度が高く、安価なスイッチを使って必要に応じて拡張することができる
  • サーバとアクセス スイッチが同じラックに収容されるため、ケーブルが短くて済む
  • ラック間の接続ケーブルも少なくて済むため、ケーブル コストがかからない

 End of Rowには、管理ポイントが少なく維持・管理にコストがかからない、またスイッチの台数が少ないためにレイヤ2トポロジーが単純という長所があります。しかし、ラック間で距離の長いケーブルを引き回さなければならない、成長に合わせて柔軟に機器を追加したり配置変更できないといった問題もあります。Top of Rackの場合は、拡張性には優れていますが、アクセス スイッチの台数が多いためにネットワーク全体のポリシーやセキュリティを行き渡らせるのに手間がかかります。

 ファブリック エクステンダは、End of RowとTop of Rackの両方の長所を併せもつソリューションです。ファブリック エクステンダでは、物理的にはTop of Rackの位置にCisco Nexus 2000を配置し、それをCisco Nexus 5000シリーズによって束ねます。ラックごとに配置されたNexus 2000は、Nexus 5000によって制御され、管理ポイントはNexus 5000のみになります。まるで、Nexus 5000に接続されたNexus 2000スイッチをすべて、1台のスイッチのように扱うことができるのです。これをCisco Catalyst 6500シリーズに置き換えて、Nexus 5000が転送機能のついたスーパバイザエンジン、Nexus 2000がリモート ラインカードと考えてください。

 Nexus 5000スイッチ1台で最大12台までのNexus 2000を収容でき、1台のNexus 2000スイッチで最大48台のサーバを収容できるため、600台近くのサーバを1つのスイッチで制御できることになります。また将来は、さらに多くのサーバが収容できるようになる予定です。

バーチャル ポート チャネル(vPC)でSTP要らず

 バーチャル ポート チャネル(vPC)は、Cisco Nexus 7000シリーズでサポートされているCisco Catalyst 6500のVirtual Switching System(VSS)1440に似た機能で、2つのスイッチにまたいでポートチャネルを作成し、2台のスイッチを1台のスイッチのように扱えるようにします。2つのスイッチに接続されている回線はどちらも100%稼動し、帯域のムダがなくなります。VSS 1440と同様に、STPを不要にし、復元力が強くステートフルで可用性の高いネットワークを構築すると同時に、ネットワーク リソース使用の最適化を可能にします。

 これにファブリック エクステンダを組み合わせることで、STP不要のフラットなレイヤ2ネットワークを構築し、ここに物理サーバを取り込むことができます。

将来はイーサネット上でのマルチパス(L2MP)も可能に

 データセンター ネットワークでは、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)にとってもレイヤ2ネットワークが非常に重要になります。より柔軟でより堅牢なレイヤ2ネットワークのための技術が、今後も予定されています。
 たとえば、リンクステートベースのレイヤ2マルチパスを可能にする技術。来年には、レイヤ3でしかできなかったマルチパスがレイヤ2でも可能になる予定です。さらにデータセンター間もレイヤ2で接続できるような技術も予定されています。これにより、仮想マシンは同じデータセンター内の物理サーバだけでなく、データセンター間でも移動できるようになるのです。

参考資料

ファブリック エクステンダおよびバーチャル ポート チャネルについて、下記のサイトを参照してください。

シスコのデータセンター ソリューションについて詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
http://www.cisco.com/jp/go/datacenter/

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