テクノロジー解説

遅延

 現在、ネットワークにはさまざまなアプリケーションが稼動しています。その種類が増えるにつれて、アプリケーションの特性に応じたネットワーク帯域幅の割り当てが重要になっています。特にリアルタイムでの音声や動画を扱うアプリケーションの場合、ネットワークの伝送特性に対する理解も必要となります。そのなかでも最も重要な項目の1つに「遅延」があります。

 媒体を経由して情報が伝わるとき、常に「遅延」が発生します。たとえば、会場から離れた場所で花火を見ていると、花火が見えてから遅れて音が聞こえます。これは、空気を媒体とする光と音の伝わる速度に違いがあるため、まず光、それから音が到達するためです。光はかなり高速に空気中を伝わりますが、それでもわずかに遅れて到着していることには変わりありません。

 ネットワークにおいても、遅延は発生します。これは、高速ネットワークや高性能な機器によって解決できるものではありません。遅延時間を短くすることはできても、なくすことはできないのです。ネットワークの遅延は、送信してから受信するまでにかかる時間(単方向遅延)、あるいはユーザが何か入力してから画面に出力が表示されるまでの時間(ラウンドトリップ遅延)で計測されます。ユーザにとっては「レスポンスタイム」といったほうが分かりやすいかもしれません。

 ネットワークを利用するアプリケーションが、ファイル転送のようなバッチ形式の処理ばかりであれば、遅延はあまり気になりません。しかし、IP 電話に代表される双方向でのインタラクションが必要なアプリケーションでは、遅延に関する考慮が必要になります。


遅延の原因
 ネットワークにおいて遅延が発生する原因には、次のようなものがあります

●レイテンシ
 サーバや変換機器など、送受信に介在する機器がすぐに反応すると仮定した場合の遅延時間。つまり、純粋にネットワーク上の伝送にかかる時間になります

●処理時間
 ユーザからのリクエストを受けて、サーバは何らかの処理をしてからユーザに出力を送ります。サーバの処理に時間がかかれば、それだけ遅延も大きくなります。また、データをパケットとして形成したり、届いたパケットを元のデータに組み直したりする処理時間もあります。

●パケット ロス
 送受信の間に、ネットワークの混雑などによってパケットが廃棄されることがあります。パケットが廃棄され、それをネットワーク機器が認識すると、パケットは再送されます。しかし、データ全体が送信先に届くまでの時間はそれだけ遅れることになります。

●ジッタ
 遅延を引き起こすものではないけれど、非常に重要な要素に伝送遅延の変動、つまり「ジッタ」(ゆらぎ)があります。すべての通信に対して常に同じ遅延時間が発生するのであれば、それを予測して対処することができます。しかし、遅延時間は必ずしも一定ではありません。特にインターネットの場合、どこを経由してパケットが転送されるかがわからないため、パケットの到着時間を予測するのが非常に困難です。

遅延を制御する必要性
 遅延やジッタの大きさによっては、許容できないレベルにまでサービス品質が低下します。音声アプリケーションでは、伝送遅延の変動が大きくなると会話が聞き取りづらくなります。そのため、音声や画像のアプリケーションを導入する際には、事前に遅延、ジッタ、パケット ロスなどのネットワーク特性を調査しておく必要があります。

 愛・地球博のクロージング イベントとして行われた双方向コラボレーションの場合、ネットワーク上で発生する遅延時間に、さらに遅延を追加して1拍分の遅延時間とし、ジッタを小さくすることで地球規模のミュージック コラボレーションを実現しています。



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