次の例では、ロケーションベースのプリエンプションについて説明します。
例 1
次の例では、別のデバイスで新しいコールとロケーション優先コールが実行されます。 この種類のロケーションベースのプリエンプションの例については、以下の図を参照してください。
図 11. 別のデバイスにおけるロケーションベースのプリエンプション
この例では、ロケーションベースのプリエンプションのシナリオについて説明します。 この例には、3 種類のロケーションが存在します。
-
リモート ロケーション 0(RL0)には電話機 A があり、160K の帯域幅が使用可能
-
リモート ロケーション 1(RL1)には電話機 B と電話機 C があり、80K の帯域幅が使用可能
-
リモート ロケーション 2(RL2)には電話機 D があり、240K の帯域幅が使用可能
次の一連のイベントが順に発生します。
-
A はプライオリティ優先レベルで B へのコールを行い、このコールがアクティブになります。 使用可能な帯域幅として、RL0 では 80K、RL1 では 0K、RL2 では 240K が指定されています。
-
D は、即時優先レベルで C にコールします。 RL1 の帯域幅が足りず、D のコールの優先順位が高いため、D のコールは A と B の間のコールを差し替えます。
-
D と C の間のコールが実行されます。 使用可能な帯域幅として、RL0 では 160K、RL1 では 0K、RL2 では 160K が指定されています。
例 2
次の例では、同一のデバイスで新しいコールとロケーション優先コールが実行されます。 この種類のロケーションベースのプリエンプションの例については、以下の図を参照してください。
図 12. 同一デバイスでのロケーションベースのプリエンプション
この例では、ロケーションベースのプリエンプションのシナリオについて説明します。 この例には、3 種類のロケーションが存在します。
-
リモート ロケーション 0(RL0)には電話機 A があり、160K の帯域幅が使用可能
-
リモート ロケーション 1(RL1)には電話機 B があり、80K の帯域幅が使用可能
-
リモート ロケーション 2(RL2)には電話機 D があり、240K の帯域幅が使用可能
次の一連のイベントが順に発生します。
-
A はプライオリティ優先レベルで B へのコールを行い、このコールがアクティブになります。 使用可能な帯域幅として、RL0 では 80K、RL1 では 0K、RL2 では 240K が指定されています。
-
D は、即時優先レベルで B にコールします。 RL1 の帯域幅が足りず、D のコールの優先順位が高いため、D のコールは A と B の間のコールを差し替えます。
-
B はまずプリエンプション トーンを受信して、次に [終了] ソフトキーが表示されます。
-
B は、[終了] ソフトキーを押し、電話を切るか、タイムアウトするまで待ちます。 D から B へのコールは B に送信されます。 D から B へのコールを実行すると、使用可能な帯域幅は、RL0 では 160K、RL1 では 0K、RL2 では 160K です。
例 3
次の例では、優先レベルに基づいた基本的な MLPP プリエンプションについて説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
-
コール 1、80 kbps
-
コール 2、8 kbps
フラッシュ オーバーライド:
-
コール 3、8 kbps
-
コール 4、8 kbps
フラッシュ:
-
コール 5、8 kbps
-
コール 6、8 kbps
即時:
-
コール 7、8 kbps
-
コール 8、8 kbps
プライオリティ:
-
コール 9、8 kbps
-
コール 10、8 kbps
ルーチン:
-
コール 11、8 kbps
-
コール 12、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。 この場合、コール 3 ~ 12 がプリエンプション処理されます。
例 4
次に、
Cisco Unified Communications Manager が複数の下位優先レベルのコールと 1 つの上位優先レベルのコールをプリエンプション処理する例について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
フラッシュ オーバーライド:
フラッシュ:
-
コール 1、80 kbps
-
コール 2、8 kbps
即時:
-
コール 3、8 kbps
-
コール 4、8 kbps
-
コール 5、8 kbps
-
コール 6、8 kbps
-
コール 7、8 kbps
-
コール 8、8 kbps
プライオリティ:
-
コール 9、8 kbps
-
コール 10、8 kbps
ルーチン:
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。 この場合、
Cisco Unified Communications Manager は、コール 2 で使用できる帯域幅が十分にあるため、コール 2 ~ 11 をプリエンプション処理します。コール 1 には十分な帯域幅があります。
例 5
次の例に、
Cisco Unified Communications Manager がエクゼクティブ オーバーライドまたは下位優先レベルのコールを他のコールの前にプリエンプション処理する方法について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
-
コール 1、80 kbps
-
コール 2、8 kbps
フラッシュ オーバーライド:
-
コール 3、80 kbps
-
コール 4、8 kbps
フラッシュ:
-
コール 5、8 kbps
-
コール 6、8 kbps
即時:
-
コール 7、8 kbps
-
コール 8、8 kbps
プライオリティ:
-
コール 9、8 kbps
-
コール 10、8 kbps
ルーチン:
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。 この例では、
Cisco Unified Communications Manager はコールと、コール 5 ~ 11 をプリエンプション処理します。
例 6
次に、
Cisco Unified Communications Manager が、最小の帯域幅で最大の帯域幅をプリエンプション処理する例について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
フラッシュ:
-
コール 3、80 kbps
-
コール 4、8 kbps
-
コール 5、8 kbps
-
コール 6、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 8 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。 この例では、
Cisco Unified Communications Manager は、コール 4、5、6 のいずれか 1 つをプリエンプション処理します。
例 7
次の例では、優先レベルに基づいたプリエンプションについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、ルーチン優先レベルで発信されます。 LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にあるので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、プライオリティ優先レベルで発信されます。
-
セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅は十分になく、セカンド コールが最初のコールより高い優先順位で発信されているので、最初のコールがプリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了し、IP Phone A および IP Phone X 間のコールはクリアされます。
例 8
次の例は、プリエンプション処理されないエクゼクティブ オーバーライド コールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
サービス パラメータ Executive Override Call Preemptable は [False] に設定されます。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。 LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にあるので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。
-
セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、拒否されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 9
次の例は、エクゼクティブ オーバーライド コールのプリエンプション処理について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
サービス パラメータ Executive Override Call Preemptable は [True] に設定されます。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。 LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にないので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。
-
セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、Executive Override Call Pre-emptable サービス パラメータが [True] に設定されているので、最初のコールは、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了し、IP Phone A および IP Phone X 間のコールはクリアされます。
例 10
次に、
Cisco Unified Communications Manager が帯域幅に基づいてコール プリエンプションを選択する例を示します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、64 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 3 は、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 11
次に、十分な帯域幅を取得できないため
Cisco Unified Communications Manager がコールをプリエンプション処理しない例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、64 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、コールをプリエンプション処理できないので、IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 12
次に、
Cisco Unified Communications Manager が、可能な限り、必要な帯域幅だけをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 2 は、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 13
次に、すべてのコールがアラートを発生しているときに
Cisco Unified Communications Manager が最小数のコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 は、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 14
次に、
Cisco Unified Communications Manager が、同じ優先レベルで接続されているコールの前に、アラートを発生しているコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 2 およびコール 3 は、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 15
次に、
Cisco Unified Communications Manager が上位優先レベルのコールの前に下位優先レベルのコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 4。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 3 およびコール 4 は、プリエンプション処理されます。
-
IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 16
次の例では、元の優先順位と見なされる保留音を受信するコールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、保留音を受信していて(ロケーション LOC-BR1)、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
-
IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。 コールは、フラッシュ優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
-
コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、コールをプリエンプション処理できないので、IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 17
次の例では、保留音を受信していて、MOH のロケーションのプリエンプションのためにプリエンプション処理されるコールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
エクゼクティブ オーバーライド優先レベルの新しいコールが、別のロケーションから LOC-BR1 に試行されます。ここでは、80 kbps が要求されます。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 は、MOH ロケーションのプリエンプションのためにプリエンプション処理されます。 最初の MOH よりも前のコールもプリエンプション処理されます。
(注) |
MOH およびアナンシエータの挿入により、コールが下位優先レベルであっても、別のコールがプリエンプション処理されることはありません。
|
例 18
次に、帯域幅が不十分なために呼び出し音の挿入が失敗する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
フラッシュ優先レベルの新しいコールが、LOC-BR1 から試行されます。ここでは、アナンシエータを LOC-BR1 に挿入して呼び出し音を再生する必要があります。
使用できる帯域幅が十分にないので、要求は拒否され、アナンシエータは挿入されません。
例 19
次の例では、帯域幅が不十分なため、アナンシエータにより再生されるプリエンプション トーンがプリエンプション処理される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 120 kbps です。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、プリエンプション トーンのアナンシエータ(ロケーション LOC-BR1)を使用し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
新しいコールは、LOC-BR1 から別のロケーションに試行されます。 コールは、80 kbps(G.711)を要求し、フラッシュ オーバーライド優先レベルを使用します。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が不十分なため、プリエンプション コールを受信しているコール 1 が、選択され、プリエンプション処理されます(プリエンプション トーンの再生は終了します)。
例 20
次の例では、帯域幅が不十分なため、アナンシエータにより再生されるプリエンプション トーンがプリエンプション処理される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 120 kbps です。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
-
フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、プリエンプション トーンのアナンシエータ(ロケーション LOC-BR1)を使用し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
-
フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
-
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
新しいコールは、LOC-BR1 から別のロケーションに試行されます。 コールは、80 kbps(G.711)を要求し、フラッシュ オーバーライド優先レベルを使用します。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が十分にないので、アラートを発生しているコール 3 は、プリエンプション処理され、プリエンプション トーンを受信しているコール 1 は、トーンの再生を継続します。
例 21
次の例では、発信側および受信側の両方でのプリエンプションについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
ロケーション(LOC-BR2)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
システムには次のコールが存在します。
コール 1 がプリエンプション処理され、新しいコールが許可されます。
例 22
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A のクラスタ 1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
-
IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、ビデオ コールを IP Phone B に発信します。 コールが対応され、ビデオが確立されます。
-
IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
-
C から D のビデオ コールの帯域幅を予約する間、C から D のコールは、A から B のコールをプリエンプション処理します。これは、A から B のコールの優先レベルが低く、C から D のコールで 384 K の帯域幅を必要とするためクラスタ 1 のロケーション A に A から B のコールに使用できる帯域幅が十分にないためです。
-
A から B のコールはクリアされます。
例 23
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A のクラスタ 1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
-
IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
-
IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
-
オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
-
A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。 ビデオ接続が正常に確立されます。
-
C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。 メディアが C から D のビデオに接続され、A から B のコールがプリエンプション処理されます。これは、A から B の優先レベルが、C から D の優先レベルより低く、A から B のコールに保持できる帯域幅がロケーション A に十分にないためです。
-
C から D のビデオ コールが、正常に確立されます。
例 24
この例では、新しいビデオ コールには、768 K の帯域幅が必要で、既存のビデオ コールには、384 K の帯域幅が予約されています。 ロケーション A では、最大で 400 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
-
IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
-
IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
-
オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
-
A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。 ビデオ接続が正常に確立されます。
-
C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。 メディアが、C から D のコールのビデオに接続されます。C から D のビデオ コールで使用できる帯域幅が十分にないので、A から B のコールはプリエンプション処理されません。
-
フロー制御が発生し、C と D との間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
(注) |
オーディオの帯域幅は、ビデオへのエスカレート試行中にリリースされます。 プリエンプションが不可の場合は、フロー制御が実行されます。 この時点でオーディオ帯域幅が使用できない場合、オーディオ帯域幅はオーバーサブスクライブになります。
|
例 25
この例では、新しいビデオ コールには、384 K の帯域幅が必要で、既存のビデオ コールには、384 K の帯域幅が予約されています。 ロケーション A では、最大で 384 K のビデオ帯域幅および 300 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
-
IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
-
IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
-
オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
-
A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。 ビデオ接続が正常に確立されます。
-
C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。 メディアが、C から D のコールのビデオに接続されます。C から D のコールと同じ優先レベルなので、A から B のコールはプリエンプション処理されません。
-
C から D のビデオ コールの帯域幅が十分にないので、フロー制御が発生し、C と D の間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
例 26
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 200 K のビデオ帯域幅および 200 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
-
IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
-
オーディオのメディアが正常に確立されます。
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A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。 メディアが、A から B のコールのビデオに接続されます。A から B のビデオ コールの帯域幅が十分にないので、プリエンプション処理されるコールはありません。 フロー制御が発生し、A と B との間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
例 27
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 この例には、2 種類のロケーションが存在します。
ロケーション A では、最大で 1500 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
ロケーション B では、最大で 400 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および F は、クラスタ 1 にあります。
IP Phone B および D は、クラスタ 2 のロケーション A にあります。
IP Phone B には、クラスタ 2 のロケーション B の共有回線 B1 があります。
IP Phone E は、クラスタ 2 のロケーション B にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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IP Phone A が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介して、ビデオ コールを IP Phone B に発信します。 コールが対応され、ビデオが正常に確立されます。 IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
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C から D および A から B のビデオ コールがアクティブになります。
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IP Phone F は、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、IP Phone E に対してビデオ コールを発信します。 F および E 間のビデオ コールがアクティブになります。
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IP Phone B が、コールを保留し、A から B のコールのビデオが停止します。
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B1(共有回線)は、フラッシュ優先レベルでコールを再開します。
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A から B1 のコールより優先レベルが低いので、F から E のコールがプリエンプション処理されます。 F から E のコールがクリアされます。
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A から B1 のコールがアクティブになります。
例 28
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、オーディオ コールを IP Phone B に発信します。 コールが対応され、A から B のオーディオ コールがアクティブになります。
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IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
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C から D のコールがアクティブになります。
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IP Phone A が、IP Phone E にコールを転送します(フラッシュ コール)。
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IP Phone E が、コールに対応します。 IP Phone A が、転送を完了して、B から E のビデオ コールが設定されます(フラッシュ優先レベル)。
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C から D のコールがプリエンプション処理されます。
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B から E のビデオ コールがアクティブになります。
例 29
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、オーディオ コールを IP Phone B に発信します。 コールが対応され、A から B のオーディオ コールがアクティブになります。
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IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
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C から D のコールがアクティブになります。
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IP Phone A が、IP Phone E にコールを転送します(フラッシュ コール)。
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IP Phone E が、コールに対応します。 IP Phone A が、転送を完了して、B から E のビデオ コールが設定されます(フラッシュ優先レベル)。
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C から D のコールがプリエンプション処理されます。
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B から E のビデオ コールがアクティブになります。
例 30
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。 ロケーション A では、最大で 800 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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IP Phone A が、プライオリティ ビデオ コールを IP Phone B に発信します。 IP Phone B がコールに対応し、ビデオが確立されます。
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IP Phone C が、フラッシュ ビデオ コールを IP Phone D に発信します。 IP Phone D がコールに対応し、ビデオが確立されます。
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IP Phone A が、A から B のコールを保留します。 この時点では、A から B のビデオ コールのビデオ プールには、帯域幅は解放されません。
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IP Phone E が、フラッシュ ビデオ コールを IP Phone F に発信します。
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ロケーション A に十分な帯域幅がないので、A から B のコールがプリエンプション処理されます。
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E から F のビデオ コールがアクティブになります。
例 31
次の一連のイベントが順に発生します。
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IP Phone A が IP Phone B にコールし、IP Phone B がコールに対応します。
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IP Phone B が、IP Phone C に打診転送します。
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IP Phone B が転送を完了します。
設定
Location-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls サービス パラメータは [Strict] に設定され、Location Based MLPP Pre-emption サービス パラメータは [True] に設定されています。
ロケーション 1(Loc1)およびロケーション 2(Loc2)間のコールでは、80 K の帯域幅が必要です。
ロケーション 2(Loc2)およびロケーション 3(Loc3)間のコールでは、24 K の帯域幅が必要です。
ロケーション 1(Loc1)およびロケーション 3(Loc3)間のコールでは、80 K の帯域幅が必要です。
ロケーション |
使用可能な合計帯域幅 |
Loc1 |
160 K |
Loc2 |
160 K |
Loc3 |
24 K |
手順 1 の後、IP Phone A と IP Phone C の間のコールに必要な帯域幅は、80 K ですが、使用できる帯域幅は、24 K だけです。
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、Location-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls サービス パラメータが [Strict] に設定され、Location Based MLPP Pre-emption サービス パラメータが [True] に設定されている場合、コールがクリアされます。
例 32
次に、複数のコールがプリエンプション処理されるが、新しいコールが失敗する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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ロケーション LOC-BR1 のオーディオ帯域幅が 10 kbps に変更されます。
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IP Phone B が、IP Phone Y をコールしようとします。
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LOC-BR1 のオーディオ帯域幅がオーバーサブスクライブの場合、コール 1 ~コール 3 がプリエンプション処理されます。
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プリエンプション処理の後、IP Phone B と IP Phone & との間の新しいコールを完了する帯域幅が十分にないので、新しいコールは拒否されます。
(注) |
新しいコールは、ルーチン優先レベルのコールの場合もあります。 この場合、ルーチン優先レベル コールは、上位優先レベルの複数のコールをプリエンプション処理し、プリエンプション トーンが再生されます。
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例 33
次に、複数のコールがプリエンプション処理され、新しいコールが正常に発信される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
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ロケーション LOC-BR1 のオーディオ帯域幅が 80 kbps に変更されます。
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IP Phone B が、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで、IP Phone Y をコールしようとします。
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LOC-BR1 のオーディオ帯域幅がオーバーサブスクライブの場合、コール 3 がプリエンプション処理されます。
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プリエンプション処理後、IP Phone B および IP Phone Y の間の新しいコールの完了に使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 および 2 がプリエンプション処理されます。
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新しいコールの通過が許可されます。