ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションの設定
この章では、ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション(FC-WA)機能について、この機能を Cisco NX-OS でイネーブルにする方法を含めて説明します。
この章は、次の項で構成されています。
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションの概要
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションは、アプリケーション遅延を最小にしたり、長距離間の 1 秒間のトランザクション数を削減します。同期データ レプリケーションを行う場合にファイバ チャネル書き込みアクセラレーションを使用すると、レプリケーション距離が伸び、有効遅延が短縮されて、パフォーマンスが向上します。この機能を使用すると、バッファ数を設定して、SCSI フローのターゲット側 DPP に予約されたバッファ数(2 KB)を変更できます。
この機能を利用するには、発信側およびターゲット デバイスを SSM に直接接続する必要があります。
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション機能では、バッファ数の設定も可能です。SCSI フローのターゲット側 DPP に予約されたバッファ数(2 KB)を変更できます。
設定するバッファ数を見積もるには、次の式を使用します。
(同時 SCSI 書き込み数 * SCSI 書き込みサイズ(バイト))/FCP データ フレーム サイズ(バイト)
たとえば、HDS 9970 間で HDS TrueCopy を実行すると 1 KB の FCP データ フレームを使用します。15 トラックがある 16-LUN TrueCopy グループ、または論理ユニット番号(LUN)あたり 768 KB の初期同期には、約 16*(768*1024)/1024 つまり 12248 の書き込みバッファが必要です。
(注) ファイバ チャネルの書き込みアクセラレーション機能を使用するには、発信側およびターゲット スイッチの両方に Enterprise Package ライセンスをインストールする必要があります。
(注) 発信側およびターゲットは、同一の Cisco MDS スイッチには接続できません。ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションでは、発信側とターゲットを異なる Cisco MDS スイッチの SSM モジュールに接続する必要があります。
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションのイネーブル化
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションをイネーブルにし、オプションとして書き込みアクセラレーション バッファ数を変更するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
switch# config t switch(config)# |
コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch(config)# ssm enable feature scsi-flow module 2 |
スロット 2 の SSM で SCSI フロー サービスをイネーブルにします。 (注) ファイバ チャネル書き込みアクセラレーションは、インターフェイスのグループではなく、SSM のすべてのインターフェイスでのみ設定できます。 |
ステップ 3 |
switch(config)# scsi-flow flow-id 3 initiator-vsan 2 initiator-pwwn 21:00:00:e0:8b:07:5f:aa target-vsan 4 target-pwwn 2a:20:00:05:30:00:77:e0 |
イニシエータとターゲットの pWWN を使用して SCSI フロー ID 3 を設定します。指定できるフロー ID の範囲は 1 ~ 65535 です。 |
ステップ 4 |
switch(config)# scsi-flow distribute |
SCSI フローの CFS 配信をイネーブルにします。 (注) SCSI フローには、CFS 設定のコミット操作は必要ありません。SCSI フロー マネージャは、ターゲットの検証に CFS を使用します。 |
ステップ 5 |
switch(config)# scsi-flow flow-id 3 write-acceleration |
SCSI フロー ID 3 のファイバ チャネル書き込みアクセラレーションをイネーブルにします。 |
switch(config)# no scsi-flow flow-id 3 write-acceleration |
SCSI フロー ID 3 の SCSI フロー書き込みアクセラレーションをディセーブルにします。デフォルトではディセーブルになっています。 |
ステップ 6 |
switch(config)# scsi-flow flow-id 3 write-acceleration buffer 2048 |
SCSI フロー ID 3 のファイバ チャネル書き込みアクセラレーションをイネーブルにして、バッファ数を 2048 に設定します。指定できる範囲は 1 ~ 40000 です。 |
switch(config)# no scsi-flow flow-id 3 write-acceleration buffer 1024 |
書き込みアクセラレーション バッファをデフォルト数に戻します。デフォルトは 1024 です。 |
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション情報の表示
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション設定のステータスに関する情報を表示するには、 show scsi-flow コマンドを使用します(例 3-1 および例 3-2 を参照)。
例 3-1 すべての SCSI フロー ID のファイバ チャネル書き込みアクセラレーションの設定を表示
Initiator WWN: 21:00:00:e0:8b:05:76:28
Target WWN: 21:00:00:20:37:38:7f:7d
Flow Verification Status:
-------------------------
Initiator Verification Status: success
Target Verification Status: success
Initiator Linecard Status: success
Target Linecard Status: success
Write-Acceleration enabled
Write-Acceleration Buffers: 1024
Configuration Status: success
Configuration Status: success
Initiator WWN: 21:00:00:e0:8b:05:76:28
Target WWN: 21:00:00:20:37:38:a7:89
Flow Verification Status:
-------------------------
Initiator Verification Status: success
Target Verification Status: success
Initiator Linecard Status: success
Target Linecard Status: success
Write-Acceleration enabled
Write-Acceleration Buffers: 1024
Configuration Status: success
Configuration Status: success
例 3-2 特定の SCSI フロー ID のファイバ チャネル書き込みアクセラレーションの設定を表示
switch# show scsi-flow flow-id 3
Initiator WWN: 21:00:00:e0:8b:05:76:28
Target WWN: 21:00:00:20:37:38:7f:7d
Flow Verification Status:
-------------------------
Initiator Verification Status: success
Target Verification Status: success
Initiator Linecard Status: success
Target Linecard Status: success
Write-Acceleration enabled
Write-Acceleration Buffers: 1024
Configuration Status: success
Configuration Status: success
デフォルト設定値
表 3-1 に、ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション パラメータのデフォルト設定を示します。
表 3-1 ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション パラメータのデフォルト値
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ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション |
ディセーブル |
ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション バッファ |
1024 |