電源モジュール コンフィギュレーション モード
この項では、次のトピックについて取り上げます。
電源装置設定の概要
次の電源モードのいずれかを設定して、取り付けた各電源モジュール ユニットから供給される電力を合わせて利用したり、電源ロスが発生した際の電源の冗長性を備えたりできます。
- 複合モード:取り付けた各電源モジュール ユニットから供給される電力を合わせてスイッチ動作に利用して、最大限の電力量を供給します。このモードには電源の冗長性はありません。
- 電源装置の冗長性モード:スイッチの動作中に電源モジュールを交換できます。すべての電源モジュールがアクティブになります。使用可能な電力量は、1 つを除いたすべての電源モジュール ユニット(N+1)が出力する電力の最小量として算出されます。予備電力は、最大電力を出力できる電源モジュール ユニットが出力する電力量です。たとえば、3 つの電源モジュール ユニットの出力が 3 kW、6 kW、および 6 kW とすると、使用可能な電力は 9 kW(3 kW + 6 kW)となり、予備電力は 6 kW です。
- 入力電源の冗長性モード:1 つのグリッドがダウンしても、もう 1 つのグリッドからスイッチに必要な電力を供給できるように、2 つの電力グリッドから電力が供給されます。Cisco Nexus 7004 シャーシの場合、各グリッドは電源モジュールの半分に電力を供給します。Cisco Nexus 7009、7010、7018 シャーシの場合、各グリッドは各電源モジュール ユニットの半分に電力を供給します(グリッド A は各電源モジュール ユニットの Input 1 コンセントに接続され、グリッド B は各電源モジュール ユニットの Input 2 コンセントに接続されます)。利用可能な電力は、同じ配電網に接続された電源モジュール ユニットの一部から出力された電力量です。たとえば、3 つの電源モジュール ユニットが 110V グリッドおよび 220V グリッドに接続されている場合、各電源モジュールは 110V グリッドの場合は 1.2 kW、220V グリッドの場合は 3.0 kW を出力します。使用可能な電力は 3.6 kW(1.2 kW + 1.2 kW + 1.2 kW)となり、予備電力は 9.0 kW(3.0 kW + 3.0 kW + 3.0 kW)です。
- 完全な冗長性モード:電源の冗長性と入力電源の冗長性の両方を提供します。このモードでは、スイッチ動作を中断することなく電源モジュール ユニットを交換できます。また、2 つのグリッドのいずれかがダウンした場合でも、スイッチへの電力供給を継続できます。使用できる電力は、電源の冗長性または入力電源の冗長性のいずれか少ない方の出力総量となります。
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチを使用するのに利用可能な電力量は、電源装置の数、使用される入力電圧、および使用される電源モードによって異なります。電源モジュール ユニットに使用可能な電力量を確認するには、次の表を参照してください。
- 3 kW AC 電源モジュール ユニットの場合、表 A-11を参照
- 6 kW AC 電源モジュール ユニットの場合、表 A-13を参照
- 7.5 kW AC 電源モジュール ユニットの場合、表 A-14を参照
- 3 kW DC 電源モジュール ユニットの場合、表 A-15を参照
- 6 kW DC 電源モジュール ユニットの場合、表 A-17を参照
- 3.5 kW HVAC/HVDC 電源モジュールの場合、表 A-22および表 A-16を参照
手順の概要
1. config t
2. power redundancy-mode mode
手順の詳細
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
power redundancy-mode
mode
switch(config)# power redundancy-mode redundant
switch(config)#
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次のうちいずれかの電源モードを設定します。
- 複合モードの場合は、 combined キーワードを使用します。
- 電源装置の冗長モードの場合は、 ps-redundant キーワードを使用します。
- 入力電源の冗長モードの場合は、 insrc-redundant キーワードを使用します。
- 完全冗長モードの場合は、 redundant キーワードを使用します。
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(注) 現在の電源モジュールの設定を表示するには、show environment power コマンドを使用します。
電源装置設定時の注意事項
電源装置の設定時には次の注意事項に従ってください。
- 容量が異なる電源装置をスイッチに取り付けたとき、使用可能電力量は、次のいずれかのコンフィギュレーション モードに基づいて異なります。
– 複合モード:このモードを有効にするには、 power redundancy-mode combined コマンドを使用します。取り付けられたすべての電源装置が提供する複合電力が、すべてのスイッチ モジュールの所要電力と一致する場合、スイッチの稼働にはこのモードで十分です。
たとえば、システムを次のように設定したとします。
電源装置 1 は 6 kW を出力します。
スイッチの所要電力は 8.784 kW です。
取り付けた電源装置の数が違う場合の、次の 2 つのシナリオを説明します。
シナリオ 1:電源装置を追加しない場合、使用可能電力(6 kW)がスイッチの所要電力に達していないため、スイッチは、スーパーバイザ モジュール、ファブリック モジュール、およびファン トレイに給電してから、残りの使用可能電力でサポートできる数の I/O モジュールに給電します(1 つ以上の I/O モジュールが給電されないことがあります)。
シナリオ 2:3 kW を出力できる追加の電源装置を取り付けた場合、使用可能電力は 9.0 kW になります。増加した使用可能電力量がスイッチの所要電力を超えているため、スイッチ内のすべてのモジュールおよびファン トレイに給電できます。
表 8-1 は、各シナリオの結果を示しています。
表 8-1 複合電源モードのシナリオ
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1 |
6.0 |
— |
8.784 |
6.0 |
使用可能電力はシステムの使用量より少なくなるので、このモードではシステムの一部が給電できません。 |
2 |
6.0 |
3.0 |
8.784 |
9.0 |
使用可能電力はシステムの使用量を超えるので、このモードを使用してシステム全体に給電できます。 |
– 電源装置の冗長モード:この電源モードを有効にするには、 power redundancy-mode ps-redundant コマンドを使用します。最大電力を出力する電源装置は予備電力を提供し、その他の電源装置の複合出力が使用可能電力となります。
たとえば、システムを次のように設定したとします。
電源装置 1 が 3.0 kW を出力します。
電源装置 2 が 6.0 kW を出力します。
スイッチの所要電力は 8.784 kW です。
第 3 の電源装置として取り付けた場合の、次の 3 つのシナリオを説明します。
シナリオ 1:第 3 の電源装置を追加しない場合、予備電力は 6 kW、使用可能電力は 3 kW となります。使用可能電力がスイッチの所要電力に達していないため、スイッチ全体に給電できません。
シナリオ 2:3 kW を出力する電源装置を追加すると、予備電力は 6 kW のまま、使用可能電力は 6 kW となります。使用可能電力がまだスイッチの所要電力に達していないため、シナリオ 1 よりも多くのモジュールに給電できますが、スイッチ全体には給電できません。
シナリオ 3:7.5 kW を出力する電源装置を追加すると、予備電力は 7.5 kW、使用可能電力は 9 kW になります。使用可能電力がスイッチの所要電力を超えているので、スイッチ内のすべてのモジュールおよびファン トレイに給電できます。
表 8-2 は、各シナリオの結果を示しています。
表 8-2 電源装置の冗長モードのシナリオ
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1 |
3.0 |
6.0 |
— |
8.784 |
6.0 |
— |
使用可能電力がシステムの使用量要件を満たしていないので、この電源装置の設定とモードではシステムの一部が給電されません。 |
2 |
3.0 |
6.0 |
3.0 |
8.784 |
6.0 |
6.0 |
使用可能電力がシステムの使用量を満たしていないので、この電源装置の設定とモードではシステムの一部が給電されません。 |
3 |
3.0 |
6.0 |
7.5 |
8.784 |
9.0 |
7.5 |
使用可能電力がシステムの使用量を超えているので、この電源装置の設定とモードでシステム全体が給電されます。 |
– 入力電源の冗長モード:この電源モードを有効にするには power redundancy-mode insrc_redundant コマンドを使用します。予備電力は 2 つの配電網の大きいほうの出力電力、使用可能電力は 2 つの配電網の小さいほうの出力電力となります。
たとえば、システムを次のように設定したとします。
配電網 1 および 2 はそれぞれ 220 V を電源装置に入力します。
電源装置 1 および 2 は、それぞれ 6 kW を出力します。
電流の使用量要件は 8.784 kW です。
取り付けた電源装置の数が違う場合の、次の 3 つのシナリオを説明します。
シナリオ 1:電源装置を追加しない場合、予備電力は 6 kW(一方の電源装置の 3 kW と他方の電源装置の 3 kW)、使用可能電力は 6 kW(一方の電源装置の 3 kW と他方の電源装置の 3 kW)となります。使用可能電力がスイッチの使用量要件を満たしていないため、スイッチ全体に給電できません。
シナリオ 2:3 kW を出力する電源装置を追加すると、予備電力は 9 kW(3 kW の電源装置が 3 台)、使用可能電力は 6 kW(3 kW の電源装置が 2 台)となります。使用可能電力がシステムの使用量要件を満たしていないため、スイッチ全体に給電できません。
シナリオ 3:7.5 kW を出力する電源装置を追加すると、予備電力は 9.75 kW(3 kW の電源装置 2 台と 3.75 kW の新しい電源装置)、使用可能電力は 9.75 kW(3 kW の電源装置 2 台と 3.75 kW の新しい電源装置)となります。使用可能電力がスイッチの使用量要件を超えているので、スイッチ内のすべてのモジュールおよびファン トレイに給電できます。
表 8-3 は、各シナリオの結果を示しています。
表 8-3 入力電源の冗長モードのシナリオ
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1 |
6.0 |
6.0 |
- |
8.784 |
6.0 |
6.0 |
使用可能電力(いずれかの配電網の電源装置出力)が、システムの使用量要件を満たしません。 |
2 |
6.0 |
6.0 |
3.0 |
8.784 |
9.0 |
6.0 |
片方の配電網の電源装置出力がシステムの使用量要件を満たしますが、他方の配電網の電源装置出力がシステムの使用量要件を満たしません。 |
3 |
6.0 |
6.0 |
7.5 |
8.784 |
9.75 |
9.75 |
両方の配電網の電源装置出力が、システムの使用量要件を満たします。 |
– 完全冗長モード:この電源モードを有効にするには、 power redundancy-mode redundant コマンドを使用します。予備電力は、電源装置の冗長モードと入力電源の冗長モードの大きいほうの予備電力となり、使用可能電力はこの 2 つの冗長モードの小さいほうの使用可能電力となります。
たとえば、システムを次のように設定したとします。
グリッドは A および B それぞれ 220 V を提供します。
電源装置 1 および 2 は、それぞれ 6.0 kW を出力します。
スイッチの使用量要件は 8.784 kW です。
取り付けた電源装置の数が違う場合の、次の 3 つのシナリオを説明します。
シナリオ 1:電源装置を追加しない場合、予備電力は 6 kW、使用可能電力は 6 kW となります。使用可能電力がスイッチの使用量要件を満たしていないため、スイッチ全体に給電できません。
シナリオ 2:3 kW の電源装置を追加すると、予備電力は 9 kW(1 つの配電網に 3 kW の電源装置 3 台)、使用可能電力は 6 kW(別の配電網に 3 kW の電源装置 2 台)となります。使用可能電力がスイッチの使用量要件を満たしていないため、スイッチ全体に給電できません。
シナリオ 3:6 kW の電源装置を追加すると、予備電力は 9 kW(同じ配電網に 3 kW の電源装置 3 台)、使用可能電力は 9 kW(別の配電網に 3 kW の電源装置 3 台)となります。使用可能電力がスイッチの使用量要件を満たしているため、スイッチ全体に給電できます。
表 8-4 は、各シナリオの結果を示しています。
表 8-4 完全冗長モードのシナリオ
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1 |
6.0 |
6.0 |
— |
8.784 |
6.0 |
6.0 |
6.0 |
6.0 |
使用可能電力が、スイッチの使用量要件を満たしません。 |
2 |
6.0 |
6.0 |
3.0 |
8.784 |
6.0 |
9.0 |
9.0 |
6.0 |
電源装置モードの使用可能電力は十分ですが、入力電源モードの使用可能電力が不十分であるため、使用可能電力はスイッチの使用量要件を満たしません。 |
3 |
6.0 |
6.0 |
6.0 |
8.784 |
9.0 |
9.0 |
12.0 |
6.0 |
両モードとも使用可能電力がスイッチの使用量要件を満たしているので、スイッチ全体に給電できます。 |
ファン トレイについて
Cisco Nexus 7000 シリーズのすべてのスイッチでは、スイッチ全体のエアーフローと冷却を管理するため、ホットスワップ可能なファン トレイが提供されます。それぞれのファン トレイには複数のファンが含まれており、冗長性が提供されます。次のような状況下では、スイッチの機能は停止しません。
- ファン トレイの 1 つ以上のファンが故障:複数のファンが故障していても、Cisco Nexus 7000 シリーズのスイッチは機能を継続できます。トレイのファンが故障すると、モジュール内で機能しているファンが速度を上げて、故障したファンを補います。
- ファン トレイを交換するために取り外す:ファン トレイは、システムが動作している間でも、電気的な事故を発生させずに、またはシステムを損傷せずに、取り外して交換できるように設計されています。取り外すファン トレイのタイプに応じて、次のいずれかの処理が実行されます。
– Cisco Nexus 7004 および 7009 シリーズのファン トレイ:スイッチは、ファン トレイなしで最大 2 分間動作します。その間に、故障しているファン トレイを交換する必要があります。
– Cisco Nexus 7010 シリーズのシステム ファン トレイ:故障しているファン トレイを置き換えるまで、残りのシステム ファン トレイのファンが、現在の温度の必要に応じて速度を上昇させます。
– Cisco Nexus 7010 シリーズのファブリック ファン トレイ:故障しているファブリック ファン トレイを置き換えるまで、残りのファブリック ファン トレイのファンが最大速度まで速度を上昇させます。
– Cisco Nexus 7018 シリーズ ファン トレイ:3 分以内にファン トレイを交換しない場合は、システムは、取り外されたファン トレイによって冷却されていたモジュールをシャットダウンします。最上部のファン トレイでは、これは、システムがスロット 9 のスーパーバイザ、スロット 1 ~ 8 の I/O モジュール、およびファブリック モジュールをシャット ダウンすることを意味します。最下部のファン トレイでは、これは、システムがスロット 10 のスーパーバイザ、スロット 11 ~ 18 の I/O モジュールをシャット ダウンすることを意味します。
(注) 実行中のシステムで故障したファン トレイを交換するときは、ファン トレイを迅速に交換してください。
ヒント ファン トレイの 1 つ以上のファンが故障すると、ファン ステータス LED が赤く点灯します。すぐに解消しない場合、ファン障害によって温度アラームが発生する可能性があります。
ファンのステータスは、ソフトウェアによって継続的に監視されます。ファンが故障した場合は、次の処理が行われます。
- システム メッセージが表示されます。
- Call Home アラートが送信されます(設定されている場合)。
- SNMP 通知が送信されます(設定されている場合)。
ファン モジュールの状態を表示するには、 show environment fan コマンドを使用します。例 8-8(Cisco Nexus 7004 スイッチ)、例 8-9(Cisco Nexus 7009 スイッチ)、例 8-10(Cisco Nexus 7010 スイッチ)、または例 8-11(Cisco Nexus 7018 スイッチ)を参照してください。
例 8-8 Cisco Nexus 7004 シリーズ シャーシのファン情報の表示
switch# show environment fan
-------------------------------------------------------
-------------------------------------------------------
Fan1(sys_fan1) N7K-C7004-FAN 0.110 Ok
Fan Zone Speed: Zone 1: 0x7f
例 8-9 Cisco Nexus 7009 シリーズ シャーシのファン情報の表示
switch# show environment fan
----------------------------------------------
----------------------------------------------
Fan1(sys_fan1) N7K-C700-FAN 0.31 Ok
例 8-10 Cisco Nexus 7010 シリーズ シャーシのファン情報の表示
switch# show environment fan
------------------------------------------------------
------------------------------------------------------
ChassisFan1 N7K-C7010-FAN-S 0.410 Ok
ChassisFan2 N7K-C7010-FAN-S 0.410 Ok
ChassisFan3 N7K-C7010-FAN-F 0.209 Ok
ChassisFan4 N7K-C7010-FAN-F 0.209 Ok
例 8-11 Cisco Nexus 7018 シリーズ シャーシのファン情報の表示
switch# show environment fan
------------------------------------------------------
------------------------------------------------------
Fan1(sys_fan1) N7K-C7018-FAN 0.204 Ok
Fan2(sys_fan2) N7K-C7018-FAN 0.204 Ok
使用可能な Status フィールド値は、次のとおりです。
- ファン モジュールが正しく動作している場合、ステータスは Ok です。
- ファンが物理的に存在しない場合、ステータスは Absent です。
- ファンが物理的に存在するが、正しく動作していない場合、ステータスは Failure です。
いずれかのファン トレイのステータスが「Failure」である場合、ステータス フィールドには故障しているファンの番号も表示されます。Cisco Nexus 7010 システムの場合、各システム ファン トレイにはスーパーバイザおよび I/O モジュールを冷却するファンが 6 つあり、各ファブリック ファン トレイにはファブリック モジュールを冷却するファンが 1 つあります。Cisco Nexus 7018 システムの場合、次のように、各ファン トレイにはスーパーバイザ モジュール、I/O モジュール、およびファブリック モジュールを冷却する 14 のファンがあります。
– ファン 1 ~ 12 はスロット 1 ~ 8 の I/O モジュールおよびスロット 9 のスーパーバイザ モジュールを冷却します。
– ファン 13 と 14 はファブリック モジュールを冷却します
– ファン 1 ~ 12 はスロット 11 ~ 18 の I/O モジュールおよびスロット 10 のスーパーバイザ モジュールを冷却します
– ファン 13 と 14 は使用されません。
EPLD の設定
Cisco Nexus 70 xx および 77 xx スイッチを含む Cisco Nexus 7000 シリーズのスイッチには、すべてのモジュールにハードウェア機能を提供する複数のプログラマブル論理デバイス(PLD)が搭載されています。シスコは Electronic Programmable Logical Device(EPLD)イメージ アップグレードを提供し、ハードウェア機能の強化や既知の問題の解決を行っています。PLD には、Electronic Programmable Logical Device(EPLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)、Complex Programmable Logic Device(CPLD)が含まれますが、ASIC は含まれません。このマニュアルでは、EPLD という用語で FPGA および CPLD も表します。
一部のモジュール機能に EPLD を装備すると、モジュール機能のアップグレードが必要になったときに、ハードウェアを交換せずにソフトウェア イメージをアップグレードするだけで済むという利点があります。
(注) I/O モジュールの EPLD イメージをアップグレードする場合、アップグレード中は少しの間モジュールの電源を落とす必要があるので、モジュールを通過するトラフィックは中断されます。システムは一度に 1 つのモジュールの EPLD アップグレードを実行するので、1 回のアップグレードで中断されるのは 1 つのモジュールを通過するトラフィックだけです。
シスコでは、EPLD イメージのアップグレードをあまり頻繁に提供していません。Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチで使用しているハードウェアの機能を修正するものでなければ、EPLD イメージをアップグレードする必要はありません。EPLD イメージのアップグレードは、ネットワーク環境に影響を与えずにシステムおよびキックスタート イメージをアップグレードする Cisco NX-OS のインサービス ソフトウェア アップグレード(ISSU)プロセスとは無関係です。
EPLD イメージのアップグレードが使用可能になると、『 Cisco Nexus 7000 Series FPGA/EPLD Upgrade Release Notes 』にその旨が発表され、 http://www.cisco.com からダウンロード可能になります。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
EPLD をアップグレードするタイミング
EPLD イメージのアップグレードは、常に必要ではありませんが、次の場合には、これらのイメージをアップグレードする必要があります。
- Supervisor 1 モジュールを Supervisor 2 または Supervisor 2E にアップグレードする際に、スイッチに Fabric 2 モジュールが存在している場合(Cisco Nexus 7009 スイッチの場合は、Fabric 2 モジュールに対してイメージ 1.003 以降のイメージを使用していることを確認します。Cisco Nexus 7010 および 7018 スイッチの場合は、イメージ 0.007 以降のイメージを使用していることを確認します)。
(注) Supervisor 1 モジュールは、Cisco Nexus 7004 スイッチではサポートされていません。
- EPLD を必要とするソフトウェア機能(LIST、VPC など)を有効にする場合
- スイッチの起動後に、M2 シリーズ 100 ギガビット イーサネット I/O モジュールの電源をオフにしたままを使用する場合
新しい EPLD イメージが使用可能になったときに、ネットワーク環境でメンテナンス時期にある程度のトラフィック中断を受け入れる準備がある場合、アップグレードは常に推奨されます。現時点でそのようなトラフィック中断を許容できない場合は、適切な時期までアップグレードを延期することを検討してください。
(注) EPLD アップグレード操作は、中断を伴う操作です。この操作の実行は、予定されたメンテナンス時間に限定してください。システム/キックスタート ISSU アップグレードは、中断を伴いません。
(注) システム/キックスタート ISSU アップグレード中は、EPLD アップグレードを実行しないでください。
表 8-8 に示す大まかなガイドラインは、Cisco NX-OS Release 5.0(1) 以降のリリースをアップグレードする際に、ネットワーク管理者が EPLD のアップグレードが必要かどうかを判断する上でに役に立ちます。以前のリリースをアップグレードする場合は、下記の以前のバージョンのリリース ノートを参照してください。
- 『Cisco Nexus 7000 Series FPGA/EPLD Upgrade Release Notes, Release 4.0』
- 『Cisco Nexus 7000 Series FPGA/EPLD Upgrade Release Notes, Release 4.1』
表 8-8 EPLD イメージのアップグレードの条件
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Cisco NX-OS リリース 6.1(1) または 6.1(2) において、スイッチの起動後、M2 シリーズの I/O モジュールの電源がオフのままになる。 |
次の EPLD イメージのいずれかをダウンロードし、電源がオフになる各 M2 シリーズ I/O モジュールに対して no poweroff module コマンドを使用します。
- Release 6.1(1) と Supervisor 1 モジュールの場合は、n7000-s1-epld.6.1.1a.img. をダウンロード。
- Release 6.1(1) と Supervisor 2 モジュールの場合は、n7000-s2-epld.6.1.1a.img. をダウンロード。
- Release 6.1(2) と Supervisor 1 モジュールの場合は、n7000-s1-epld.6.1.2a.img をダウンロード。
- Release 6.1(2) と Supervisor 2 モジュールの場合は、n7000-s2-epld.6.1.2a.img をダウンロード。
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リリース 4.x からリリース 5.0 以降への Cisco NX-OS オペレーティング システムのアップグレード |
最新の EPLD イメージで、すべてのスーパーバイザ、I/O、およびファブリック モジュールを更新します。 |
Cisco Nexus 7010 スイッチから Cisco Nexus 7018 スイッチへの 32 ポート 10 ギガビット イーサネット I/O モジュールの移動 |
32 ポート 10 ギガビット イーサネット I/O モジュール(N7K-M132XP-12) |
Cisco Nexus 7010 スイッチから Cisco Nexus 7018 スイッチへの 48 ポート 10/100/1000 イーサネット I/O モジュールの移動 |
48 ポート 10/100/1000 イーサネット I/O モジュール(N7K-M148GT-11) |
Cisco Nexus 7010 スイッチから Cisco Nexus 7018 スイッチへのスーパーバイザ(N7K-SUP1)モジュールの移動 |
スーパーバイザ(N7K-SUP1)モジュール |
スイッチ要件
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチが Cisco NX-OS オペレーティング システムを実行しており、次のハードウェアを搭載している必要があります。
- 1 つまたは 2 つのスーパーバイザ モジュール。それぞれに最低 120 MB の使用可能ブートフラッシュまたは slot0 メモリがあること。
- 1 つ以上の I/O モジュール
- 1 つ以上のファブリック モジュール
- 1 つのファン トレイ モジュール(Cisco Nexus 7009)
- 2 つのファブリック ファン トレイ モジュール(Cisco Nexus 7010)
- 2 つのシステム ファン トレイ モジュール(Cisco Nexus 7010)
- 2 つのファン トレイ モジュール(Cisco Nexus 7018)
システムには、コンソール、SSH、Telnet のうちいずれかでアクセスできる必要があります。
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチを操作するには、管理者権限が必要です。
EPLD のアップグレードの可否に関する判断
表 8-9 に示すように、さまざまな show コマンドを使用して、スイッチ上のすべてのモジュールまたは特定のモジュールについて、EPLD をアップグレード可能かどうかを判断できます。これらのコマンドは、現在の EPLD イメージ、新しい EPLD イメージ、およびアップグレードによってスイッチ操作が中断するかどうかを示します。
表 8-9 スイッチおよびそのモジュールに関する EPLD のアップグレード ステータスの表示
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スイッチのすべてのモジュール |
show install all impact epld bootflash: filename |
I/O モジュールとスーパーバイザ モジュール |
show install module slot_number impact epld bootflash: filename |
ファブリック モジュール |
show install xbar-module slot_number impact epld bootflash: filename |
ファン トレイ モジュール |
show install fan-module slot_number impact epld bootflash: filename |
ハードウェア モジュールのバージョン ID (VID)に応じて使用する EPLD イメージが異なる場合( を参照)は、例 8-12 に示すように、 show sprom module number コマンドを使用して、モジュールのバージョン番号を確認する必要があります。
例 8-12 スーパーバイザ モジュールまたは I/O モジュールのバージョン番号の確認
switch# show sprom module 8 1
DISPLAY linecard sprom contents of module 8:
snmpOID : 9.12.3.1.9.66.5.0
VID : V01 <------Version ID
EPLD イメージのダウンロード
EPLD イメージをインストール用に準備する前に、FTP サーバまたは管理サーバに EPLD イメージをダウンロードする必要があります。
EPLD イメージをダウンロードする手順は次のとおりです。
ステップ 1 ブラウザで次の URL を表示します。
http://www.cisco.com
ブラウザにシスコの Web サイトが表示されます。
ステップ 2 [Products & Services] タブから [Switches] を選択します。
[Switches] ページが表示されます。
ステップ 3 [Data Center] 領域で [View Products] の横にある矢印をクリックします。
データセンター製品のリストがページに表示されます。
ステップ 4 [Nexus 7000] をクリックします。
[Cisco Nexus 7000 シリーズ Switches] ページが表示されます。
ステップ 5 [Support] 領域で [Download Software] をクリックします。
[Downloads] ページが表示され、データセンター スイッチがリスト表示されます。
ステップ 6 [Data Center Switches] > [Cisco Nexus 7000 Series Switches] の下のリストから、Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチを選択します。
[Log In] ページが表示されます。
ステップ 7 既存ユーザである場合は、ユーザ名を [User Name] フィールドに、パスワードを [Password] フィールドに入力します。新しいユーザである場合は [Register Now] をクリックし、必要な情報を入力してから [Log In] ページに戻り、新しいユーザ名でログインします。
指定したスイッチでダウンロードできるソフトウェア タイプが、[Downloads] ページにリスト表示されます。
ステップ 8 [NX-OS EPLD Updates] をクリックします。
ダウンロードできるソフトウェア リリースが [Downloads] ページにリスト表示されます。
ステップ 9 [Latest Releases] > [6.2(8)] の順に選択します。
[Downloads] ページでリリースの右に、ダウンロード可能な Tar ファイルへのリンクなどのイメージ情報が表示されます。
(注) リリース 6.1(1) または 6.1(2) の場合は、6.1(1a) または 6.1(2a) 用の EPLD イメージ ファイルをダウンロードする必要があります。
ステップ 10 Tar ファイルのリンクをクリックします。
[Downloads] ページに [Download] ボタンが表示され、Tar ファイルの情報がリスト表示されます。
ステップ 11 [Download] をクリックします。
[Supporting Documents] ページが表示され、ソフトウェアをダウンロードする場合のルールが表示されます。
ステップ 12 ルールを読み、[Agree] をクリックします。
[File Download] ダイアログボックスが表示され、イメージ ファイルを開くか保存するかを聞かれます。
ステップ 13 [Save(保存)] をクリックします。
[Save As] ダイアログボックスが表示されます。
ステップ 14 Tar ファイルの保存場所を指定し、[Save] をクリックします。
指定した場所に Tar ファイルが保存されます。
これで EPLD イメージをインストール用に準備できます(“EPLD イメージのインストール準備” sectionを参照)。
vPC に必要な EPLD イメージ
仮想ポート チャネル(vPC)機能は、Cisco NX-OS リリース 4.1(3) 以降で使用できます。シャーシ上で vPC をイネーブルにする場合には、32 ポート 10 ギガビット イーサネット タイプの I/O モジュールに EPLD イメージ 186.3(以降のイメージ)が必要です(N7K-M132XP-12 および N7K-M132XP-12L)。
(注) EPLD アップグレード操作は、中断を伴う操作です。この操作の実行は、予定されたメンテナンス時間に限定してください。システム/キックスタート ISSU アップグレードは、中断を伴いません。
シャーシ内の大部分の N7K-M132XP-12 モジュールはすでにこの最低限の EPLD 要件を満たしていますが、2008 年 6 月以前に出荷された N7K-M132XP-12 モジュールで作業している場合は、EPLD バージョンをアップグレードする必要があります。
すべての N7K-M132XP-12 モジュールの EPLD バージョンを確認するには、 show version module slot_number epld コマンドを入力します。FE Bridge(x) バージョンの行に 186.7 よりも前のバージョンが表示された場合は、ターゲットの Cisco NX-OS リリースと互換性のあるバージョンへの EPLD アップグレードを予定に入れてください。たとえば、Cisco NX-OS リリース 6.1(1) を実行する場合は、リリース 6.1(1) EPLD を選択します。
次の例では、FE Bridge の行に適切な EPLD バージョンであるリリース 186.008 が表示されています。
Nexus-7k(config)# show version module 7 epld
EPLD Device Version
-----------------------------------------
Power Manager 4.008
IO 1.016
Forwarding Engine 1.006
FE Bridge(1) 186.008 << OK!
FE Bridge(2) 186.008 << OK!
Linksec Engine(1) 2.007
Linksec Engine(2) 2.007
Linksec Engine(3) 2.007
Linksec Engine(4) 2.007
Linksec Engine(5) 2.007
Linksec Engine(6) 2.007
Linksec Engine(7) 2.007
Linksec Engine(8) 2.007
LISP に必要な EPLD イメージ
Locator/ID Separator Protocol(LISP)機能は、Cisco NX-OS リリース 5.2(1) 以降で使用できます。シャーシ上で LISP をイネーブルにする場合には、32 ポート 10 ギガビット イーサネット タイプの I/O モジュールに EPLD イメージ 186.8 または 186.008(以降のイメージ)が必要です(N7K-M132XP-12 および N7K-M132XP-12L)。
(注) EPLD アップグレード操作は、中断を伴う操作です。この操作の実行は、予定されたメンテナンス時間に限定してください。システム/キックスタート ISSU アップグレードは、中断を伴いません。
2011 年 7 月の前に同梱されていた N7K-M132XP-12 モジュールを使用する場合は、EPLD バージョンをアップグレードする必要がある場合があります。
すべての N7K-M132XP-12 および N7K-M132XP-12L モジュールの EPLD バージョンを確認するには、 show version module slot_number epld を入力します。FE Bridge(x) バージョンの行に 186.8 よりも前のバージョンまたは 186.008 が表示された場合は、ターゲットの Cisco NX-OS リリースと互換性のあるバージョンへの EPLD アップグレードを予定に入れてください。たとえば、Cisco NX-OS リリース 5.2(1) を実行する場合は、リリース 5.2(1) EPLD を選択します。
次の例では、FE Bridge の行に適切な EPLD バージョンであるリリース 186.008 が表示されています。
Nexus-7k(config)# show version module 7 epld
EPLD Device Version
-----------------------------------------
Power Manager 4.008
IO 1.016
Forwarding Engine 1.006
FE Bridge(1) 186.008 << OK!
FE Bridge(2) 186.008 << OK!
Linksec Engine(1) 2.007
Linksec Engine(2) 2.007
Linksec Engine(3) 2.007
Linksec Engine(4) 2.007
Linksec Engine(5) 2.007
Linksec Engine(6) 2.007
Linksec Engine(7) 2.007
Linksec Engine(8) 2.007
取り付けに関するガイドライン
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチでは、CLI コマンドを使用して EPLD のアップグレード(またはダウングレード)を実行できます。EPLD のアップグレードまたはダウングレードを行うときは、次の注意事項に従ってください。
- EPLD イメージをアップグレードする前に、Cisco NX-OS オペレーティング システムをイメージに必要なレベルにアップデートしていることを確認し、また次の EPLD イメージ ファイルの 1 つが存在することを確認します。
– n7000-s1-epld.6.2.8.img(Supervisor 1 モジュールを搭載した Cisco Nexus 7004、7009、7010、7018 スイッチ用)
– n7000-s2-epld.6.2.8.img(Supervisor 2 または Supervisor 2E モジュールを搭載した Cisco Nexus 7004、7009、7010、7018 スイッチ用)
– n7700-s2-epld.6.2.8.img(Cisco Nexus 7710 および 7718 スイッチ用)
(注) Supervisor 1 モジュールを搭載したシャーシの EPLD イメージおよびソフトウェア イメージの場合は、イメージ名に「s1」が含まれ、Supervisor 2 および Supervisor 2E の場合は、イメージ名に「s2」が含まれています。
- アクティブなスーパーバイザ モジュールからしかアップグレードを実行できません。このアップグレードは、次のように、モジュールの 1 つまたはすべてに対応します。
– モジュールを個別にアップグレードできます。
– すべてのモジュールを順番にアップグレードできます。
– すべてのモジュールを同時にアップグレードできます。
- スイッチがオンラインであるかオフラインに関係なく、次のように、1 つまたはすべてのモジュールのイメージを更新できます。
– モジュールがオンラインの場合は、新しい EPLD イメージとバージョン番号が異なる EPLD イメージのみがアップグレードされます。
– モジュールがオフラインの場合は、すべての EPLD イメージがアップグレードされます。
- 2 つのスーパーバイザ モジュールが存在するシステムでは、スタンバイ状態のスーパーバイザの EPLD をアップグレードしてから、アクティブ スーパーバイザをスタンバイ モードに切り替えて、その EPLD をアップグレードします(Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチでは、スーパーバイザのスイッチオーバーによってトラフィックが中断されることはありません)。1 つのスーパーバイザ モジュールのみを備えているスイッチでは、アクティブなスーパーバイザをアップグレードできますが、アップグレード時に動作が中断されます。
- アップグレードを中断する場合は、アップグレードしていたモジュールをもう一度アップグレードする必要があります。
- アップグレード プロセスにより、対象モジュールのトラフィックが中断されます。
- EPLD のアップグレード中に、モジュールの挿入や取り外しは行わないでください。
EPLD イメージのインストール準備
スイッチ モジュールごとに EPLD イメージをアップデートする前に、スイッチで使用している Cisco NX-OS バージョンを判別し、新しい EPLD イメージ用のスペースがあることを確認してイメージをダウンロードします。
EPLD イメージのインストール準備を行う手順は次のとおりです。
ステップ 1 コンソール ポート、SSH セッション、Telnet セッションのうちいずれかでスイッチにログインします。
ステップ 2 スイッチが、予定どおりのバージョンの Cisco NX-OS オペレーティング システムを使用していることを確認します。kickstart 行および system 行に Cisco NX-OS バージョンが表示されます。この手順により、ダウンロードする必要がある EPLD イメージのバージョンが決まります。
kickstart: version 6.2(8)
BIOS compile time: 02/20/10
kickstart image file is: bootflash:/n7000-s2-kickstart.6.2.8.bin
kickstart compile time: 4/06/2014 12:00:00 [04/06/2014 18:37:07]
system image file is: bootflash:/n7000-s2-dk9.6.2.8.bin
system compile time: 4/06/2014 13:00:00 [04/06/2014 19:21:22]
ステップ 3 アクティブまたはスタンバイ状態のスーパーバイザ メモリ デバイスに、 dir bootflash: コマンドまたは dirslot0: コマンドを使用してダウンロードする EPLD イメージ用の 120 MB の空スペースがあることを確認します。
デフォルトの場合、このコマンドでは、アクティブなスーパーバイザの使用済みメモリと空きメモリが表示されます。スイッチに追加のスーパーバイザ(スタンバイ状態のスーパーバイザ)がある場合は、 show module コマンドを使用して他方のスーパーバイザのモジュール番号を調べ、 attach module コマンドを使用してそのモジュール番号に接続してから、 dir bootflash: コマンドまたは dir slot0: コマンドを使用して使用済みメモリと空きメモリの量を判断します。使用可能ブートフラッシュのメモリ量を判断するには、例 8-13 を参照してください。使用可能な slot0 メモリの量を判断するには、例 8-14 を参照してください。
例 8-13 使用可能ブートフラッシュのメモリ量の判断
4096 Apr 06 01:19:53 2014 lost+found/
3020665 Jan 02 07:47:36 2014 n7000-s1-debug-sh-bash.6.2.6.gbin
207429135 Jan 02 07:35:03 2014 n7000-s1-dk9.6.2.6.gbin
207558132 Apr 06 07:11:31 2014 n7000-s2-dk9.6.2.8.gbin
29479424 Jan 02 12:03:47 2014 n7000-s2-kickstart.6.2.6.gbin
29467136 Apr 06 10:35:18 2014 n7000-s2-kickstart.6.2.8.gbin
Usage for bootflash://sup-local
Mod Ports Module-Type Model Status
--- ----- -------------------------------- ------------------ ------------
6 8 10 Gbps Ethernet XL Module N7K-M108X2-12L ok
7 48 1/10 Gbps Ethernet Modul N7K-F248XP-24 ok
8 48 1000 Mbps Optical Ethernet XL Mo N7K-M148GS-11L ok
9 0 Supervisor module-1X N7K-SUP1 ha-standby
10 0 Supervisor module-1X N7K-SUP1 active *
To exit type 'exit', to abort type '$.'
Cisco Nexus Operating System (NX-OS) Software
TAC support: http://www.cisco.com/tac
Copyright (c) 2002-2013, Cisco Systems, Inc. All rights reserved.
The copyrights to certain works contained in this software are
owned by other third parties and used and distributed under
license. Certain components of this software are licensed under
the GNU General Public License (GPL) version 2.0 or the GNU
Lesser General Public License (LGPL) Version 2.1. A copy of each
such license is available at
http://www.opensource.org/licenses/gpl-2.0.php and
http://www.opensource.org/licenses/lgpl-2.1.php
例 8-14 使用可能な slot0 のメモリ量の判断
Usage for slot0://sup-local
Mod Ports Module-Type Model Status
--- ----- -------------------------------- ------------------ ------------
2 48 10/100/1000 Mbps Ethernet Module N7K-M148GT-11 ok
3 48 10/100/1000 Mbps Ethernet Module N7K-M148GT-11 ok
4 48 10/100/1000 Mbps Ethernet Module N7K-M148GT-11 ok
5 0 Supervisor module-1X N7K-SUP1 ha-standby
6 0 Supervisor module-1X N7K-SUP1 active *
7 48 1/10 Gbps Ethernet Modul N7K-F248XP-24 ok
9 48 1000 Mbps Optical Ethernet Modul N7K-M148GS-11 ok
switch(standby)# dir slot0://sup-standby/
Usage for slot0://sup-standby
ステップ 4 最低 120 MB の空きメモリが EPLD ファイル用にない場合は、以前のイメージなどの不要ファイルを削除し、十分な空きメモリを確保します。
switch# delete bootflash:n7000-s1-kickstart.5.2.0.bin
ステップ 5 FTP サーバまたは管理サーバからアクティブなスーパーバイザ モジュールのブートフラッシュ メモリまたは slot0 メモリに EPLD イメージ ファイルをコピーします。次の例は、FTP サーバからブートフラッシュ メモリにコピーする方法を示しています。
switch# copy ftp://10.1.7.2/n7000-s1-epld.6.2.8.img bootflash:n7000-s1-epld.6.2.8.img
(注) NX-OS Release 6.1(1) の場合は、n7000-s1-epld.6.1.1a.img ファイル(Supervisor 1 モジュール用)または n7000-s2-epld.6.1.1a.img ファイル(Supervisor 2 モジュール用)をコピーする必要があります。NX-OS Release 6.1(2) の場合は、n7000-s1-epld.6.1.2a.img ファイル(Supervisor 1 モジュール用)または n7000-s1-epld.6.1.2a.img ファイル(Supervisor 2 モジュール用)をコピーする必要があります。
ステップ 6 EPLD イメージをスタンバイ状態のスーパーバイザにコピーします。
switch# copy bootflash:n7000-s1-epld.6.2.8.img bootflash://sup-standby/n7000-s1-epld.6.2.8.img
EPLD イメージをアップグレードできるようになりました(“EPLD イメージの手動アップグレード” sectionを参照)。
EPLD イメージの手動アップグレード
スイッチに搭載されているすべてのモジュールまたは特定のモジュールの EPLD イメージを手動でアップグレードできます。アップグレードを要求する場合、Cisco NX-OS ソフトウェアは、次の結果を含む各 EPLD イメージの現在および新しいバージョンを示します。
- モジュールがインストールされていてオンラインの場合、ソフトウェアは、EPLD ごとにインストールされた新しいバージョンを示します。バージョンに相違がある場合、ソフトウェアは、ユーザがプロセスを確認したときにアップグレードまたはダウングレードがあることを示します。
- モジュールがインストールされていてオフラインの場合、ソフトウェアは、現在の EPLD バージョンをリストできないため、ユーザがアップグレードを確認すると、すべての EPLD が更新されます。
- モジュールが取り付けられていない場合、ソフトウェアはエラー メッセージを表示し、EPLD をアップグレードしません。
更新可能なモジュールやスイッチの動作に悪影響を及ぼすアップグレードを確認する必要がある場合は、“EPLD のアップグレードの可否に関する判断” sectionを参照してください。
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチの EPLD イメージをアップグレードするには、 表 8-10 にリストされている install コマンドの 1 つを使用します。これらのコマンドでは、スイッチ上のすべてのモジュール、1 つまたは 2 つのタイプの複数モジュール、または単一のモジュールの EPLD イメージをアップグレードできます。 slot_number を指定する場合は、1 つの番号を使用します。 slot_numbers を指定する場合、すべてのスロットに対する all 、カンマで区切った複数のスロット( x 、 y 、 z )、またはスロット番号の範囲( x - y )を指定できます。
表 8-10 EPLD アップグレード コマンド
|
|
搭載されているすべてのモジュールを、一度に 1 つずつアップグレード |
install all epld epld_image |
並行してアップグレードされた I/O モジュールを含む、搭載されているすべてのモジュール |
install all epld epld_image parallel |
並行してアップグレードされた I/O モジュールを含む、1 つまたは複数の I/O モジュールおよびスーパーバイザ モジュール |
install all epld epld_image parallel module {all | slot_numbers } |
並行してアップグレードされた I/O モジュールを含む 1 つまたは複数の I/O モジュールおよびスーパーバイザ モジュール、および 1 つまたは複数のファン トレイ モジュール |
install all epld epld_image parallel module {all | slot_numbers } fan-module {all | slot_numbers } |
並行してアップグレードされた I/O モジュールを含む 1 つまたは複数の I/O モジュールおよびスーパーバイザ モジュール、および 1 つまたは複数のファブリック(xbar)モジュール |
install all epld epld_image parallel module {all | slot_numbers } xbar-module {all | slot_numbers } |
1 つまたは複数のファン トレイ モジュールと 1 つまたは複数のファブリック(xbar)モジュール |
install all epld epld_image parallel fan-module {all | slot_numbers } xbar-module {all | slot_numbers } |
1 つの I/O モジュールまたはスーパーバイザ モジュール |
install module slot_number epld epld_image |
1 台のファン モジュール |
install fan-module slot_number epld epld_image |
1 つのファブリック モジュール |
install xbar-module slot_number epld epld_image |
スイッチ内の両方のスーパーバイザ モジュールをアップグレードする場合、Cisco NX-OS は、スタンバイ状態のスーパーバイザ モジュールの EPLD イメージをアップグレードし、次にアクティブ スーパーバイザ モジュールをアップグレードします。このアクションでは、スイッチの動作を中断させることなく、スーパーバイザ モジュールをアップグレードできます。
(注) 2 つのスーパーバイザ スイッチ内の Supervisor 2 モジュールまたは Supervisor 2E モジュールの EPLD イメージをアップグレードする場合、スタンバイ スーパーバイザは、このアップグレードの終了までに 2 回リセットしますが、引き続きアップグレードは完了し、コンソールにアップグレード ステータスが表示されます。
シングル スーパーバイザ スイッチ内のスーパーバイザ モジュールをアップグレードすると、スイッチがアクティブな場合、この操作によってスイッチ動作が中断します。
スイッチ内のすべてのモジュールに関してすべての新しい EPLD イメージのインストールを開始するには、例 8-15(Supervisor 1 モジュールを搭載したスイッチ)または例 8-16(Supervisor 2 モジュールまたは Supervisor 2E モジュールを搭載したスイッチ)のいずれかに示すように、 install all epld コマンドを使用します。
例 8-15 Supervisor 1 モジュールを搭載したスイッチに EPLD イメージを並行してインストール
switch# install all epld bootflash:n7000-s1-epld.6.2.8.img parallel
例 8-16 Supervisor 2 モジュールまたは Supervisor 2E モジュールを搭載したスイッチに EPLD イメージを並行してインストール
switch# install all epld bootflash:n7000-s2-epld.6.2.8.img parallel
例 8-17 は、すべての I/O モジュールおよびスーパーバイザ モジュール、およびファン トレイ スロット 1 内のファン トレイ モジュールに対して、すべての新しい EPLD イメージのインストールを開始する方法を示します(この例では Supervisor 1 モジュールを搭載したスイッチの場合)。
例 8-17 スーパーバイザ モジュールおよび I/O モジュールと、他の特定モジュールの取り付け(Supervisor 1 モジュールを搭載したスイッチの場合)
switch# install all epld bootflash:n7000-s1-epld.6.2.8.img parallel module all fan-module 1
(注) リリース 6.1(1) および 6.1(2) では、電源がオフになっている M2 シリーズ I/O モジュールがある場合、no poweroff module コマンドを使用してそのモジュールの電源をオンにします。
switch# no poweroff module slot_number
(注) リリース 4.0(2) 以前のリリースでは、電源管理の EPLD イメージをアップデートした場合、EPLD を有効にするためにモジュールの電源をリセットする必要があります(リリース 4.0(3) 以降のリリースでは、この操作は不要です)。次の 2 種類の方法のいずれかで電源をリセットできます:モジュールの電源のリセット(モジュールを物理的に取り外して再設置します。モジュールのリロードやイジェクト ボタンを押すだけでは、このリセット要件を満たせません)、またはスイッチ全体のリセット(スイッチの電源を再投入します)。
注意
電源をリセットすると、そのモジュールを通過するデータ トラフィックが中断されます。スイッチ全体の電源を再投入すると、電源の再投入中にシステムを通過するすべてのデータ トラフィックが中断されます。この操作は、リリース 4.0(3) 以降のリリースでは不要です。
(注) リリース 4.0(3) 以降のリリースでは、スイッチはアップグレード後に自動的に新しい電源管理の EPLD をロードするので、モジュールまたはスイッチの電源をリセットする必要はなくなりました。
EPLD アップグレードを確認するには、“EPLD アップグレードの確認” sectionを参照してください。
I/O モジュールの EPLD イメージの自動アップグレード
Cisco Nexus 7004、7009、7010、7018 スイッチに搭載されている I/O モジュールの EPLD イメージの自動アップグレードを有効または無効にしたり、確認することができます。また、設定されている最大試行回数を超過したためアップグレードがキャンセルされた場合は、プロセスをリセットしてアップグレードを有効にすることができます。
(注) EPLD イメージの自動アップグレードを設定できるのは I/O モジュールだけです。スーパーバイザ モジュール、ファブリック モジュール、ファン トレイなどの他のモジュールに対しては設定できません。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
EPLD イメージの自動アップグレードの有効化または無効化
I/O モジュールの EPLD イメージの自動アップグレードを有効または無効にできます。有効にした場合、スイッチは、新たに取り付けられた I/O モジュールまたは電源がオンになっている I/O モジュール上の EPLD イメージのバージョンをチェックし、そのイメージがスイッチ上の Ciscon NX-OS ソフトウェアの現バージョンによってインストールされたイメージよりも古いかどうかを調べます。I/O モジュールのイメージのほうが古い場合、スイッチはそのイメージを新しいバージョンに自動的にアップグレードします。
手順の概要
1. configure terminal
2. system auto-upgrade epld
3. show running-config | inc epld
(注) また、I/O モジュールの EPLD イメージの自動アップグレードを回避するには、no system auto-upgrade epld コマンドを使用します。
手順の詳細
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ステップ 1 |
switch# configure terminal
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
例:
switch(config)# system auto-update epld
|
自動更新を有効にします。 |
no system auto-update epld
switch(config)# no system auto-update epld
|
自動更新を無効にします。 |
ステップ 3 |
show running-config | inc epld
switch(config)# sh running-config | inc epld
|
自動アップグレードが実行コンフィギュレーションの一部であるかどうかを確認します。 |
EPLD イメージの自動アップグレードの確認
アップグレードの実行中またはアップグレード後に、自動アップグレードの状態を確認するには、 表 8-11 に示すコマンドを使用します。
表 8-11 自動 EPLD アップグレードの確認コマンド
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show system auto epld status |
進行中の自動アップグレードの状態を表示します。 |
show install auto-upgrade epld status |
アップグレード後に EPLD の現在のバージョンと以前のバージョンを表示します。 |
EPLD イメージの自動アップグレードのリセット
許可されている更新の最大試行回数を超過したため自動アップグレード機能が停止した場合は、次のメッセージが表示されます。
switch# 2013 May 21 13:30:21 switch %$ VDC-1 %$_ %USER-2-SYSTEM_MSG: <<%EPLD_AUTO-2-AUTO_UPGRADE_CHECK>> Automatic EPLD upgrade check for module 15: Max retries reached. Use 'clear auto-upgrade epld flags all' to upgrade. - epld_auto
次のいずれかの方法で自動アップグレード プロセスをリセットできます。
- clear auto-upgrade epld flags all コマンドを使用して、すべての I/O モジュールの auto-upgrade epld フラグをクリアします。
- clear auto epld flags module_number コマンドを使用して、特定の I/O モジュールの auto-upgrade epld フラグをクリアします。
- スイッチを再起動します。
EPLD アップグレードの確認
表 8-12 にリストされているコマンドを使用して、スイッチ内の各スロットの EPLD アップグレードを確認できます。
表 8-12 モジュールの EPLD 情報を表示するコマンド
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show version module slot_number epld |
I/O モジュールとスーパーバイザ モジュール |
show version fan slot_number epld |
ファン トレイ モジュール |
show version xbar slot_number epld |
ファブリック モジュール |
次に、スロット 9 にある Cisco Nexus 7018 スーパーバイザ モジュールの EPLD イメージを確認する例を示します。
switch# show version module 9 epld
次に、ファン トレイ モジュール スロット 2 にあるファン トレイ モジュールの EPLD イメージを確認する例を示します。
switch# show version fan 2 epld
次に、ファブリック モジュール スロット 4 にあるファブリック モジュールの EPLD イメージを確認する例を示します。
switch# show version xbar 4 epld
使用可能 EPLD バージョンの表示
使用可能 EPLD バージョンを表示するには、例 8-18 に示すように、 show version epld url コマンドを使用します。
例 8-18 使用可能 EPLD バージョンの表示
switch# show version epld bootflash:n7000-s1-epld.6.2.8.img
Module Type EPLD Device Version
-----------------------------------------------------------------
Supervisor-1X Power Manager 3.009
Supervisor-1X IO 3.029
Supervisor-1X Inband 1.008
Supervisor-1X Local Bus CPLD 3.000
Supervisor-1X CMP CPLD 6.000
...
10/100/1000 Mbps Eth Module Power Manager 5.006
10/100/1000 Mbps Eth Module IO 2.014
10/100/1000 Mbps Eth Module Forwarding Engine 1.006
10 Gbps Ethernet Module Power Manager 4.008
10 Gbps Ethernet Module IO 1.016
10 Gbps Ethernet Module Forwarding Engine 1.006
10 Gbps Ethernet Module FE Bridge 186.008
10 Gbps Ethernet Module Linksec Engine 2.007
1000 Mbps Optical Ethernet Module Power Manager 4.008
1000 Mbps Optical Ethernet Module IO 1.006
1000 Mbps Optical Ethernet Module Forwarding Engine 1.006
1000 Mbps Optical Ethernet Module SFP 1.004
...
Fabric Module 2 Power Manager 1.003
Fabric Module 2 Power Manager 1.003
...
Fan<Cisco Nexus 7009> Fan Controller 0.009
Fan<Cisco Nexus 7009> Fan Controller 0.009
EPLD アップグレードのステータスの表示
スイッチの EPLD アップグレードのステータスを表示するには、例 8-19 に示すように、 show install epld status コマンドを使用します。
例 8-19 EPLD アップグレードの表示
switch# show install epld status
1) Xbar Module 4 upgraded on Wed Oct 26 16:36:27 2011 (524778 us)
Status: EPLD Upgrade was Successful
------------------------------------------------------
Power Manager 1.003 1.003
2) Module 14 upgraded on Mon May 23 19:45:55 2011 (835895 us)
Status: EPLD Upgrade was Successful