この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
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Cisco IOS In-Service Software Upgrade(ISSU; インサービス ソフトウェア アップグレード)プロセスにより、パケット 転送を続行しながら、Cisco IOS ソフトウェアをアップデートまたは修正することができます。ほとんどのネットワークでは、予定されているソフトウェア アップグレードがダウンタイムの大きな原因になっています。ISSU を使用すると、パケット転送を続行しながら Cisco IOS ソフトウェアを修正できるので、ネットワークのアベイラビリティが向上し、予定されているソフトウェア アップグレードによるダウンタイムを短縮することができます。このマニュアルでは、ISSU の概念が説明されているほか、ISSU をシステムで実行するのに必要な手順が説明されています。
このマニュアルでは、Enhanced Fast Software Upgrade(eFSU)の概念についての情報も説明されています。eFSU の詳細については、『 Enhanced Fast Software Upgrade on the Cisco 7600 Series Router 』を参照してください。
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。この章に記載されている機能の詳細、および各機能がサポートされているリリースのリストについては、「Cisco IOS ISSU プロセスを実行するための機能情報」 を参照してください。
プラットフォーム サポートと Cisco IOS および Catalyst OS ソフトウェア イメージ サポートに関する情報を入手するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスしてください。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
• 「Cisco IOS ISSU プロセス実行の前提条件」
• 「Cisco IOS ISSU プロセスの実行に関する制約事項」
• 「Cisco IOS ISSU プロセスの実行に関する情報」
• アクティブおよびスタンバイの両方の Route Processor(RP; ルート プロセッサ)がシステムで使用可能である必要があります。
• システムは冗長モード SSO 用に設定する必要があり、アクティブ RP とスタンバイ RP の両方のファイル システムは、新しい ISSU 互換イメージを含む必要があります。システムで実行されているバージョンも ISSU をサポートしている必要があります。
• ステートフル スイッチオーバー(SSO)が設定されており、正常に稼動している必要があります。設定情報については、「 Stateful Switchover 」を参照してください。
• Nonstop Forwarding(NSF; ノンストップ フォワーディング)が設定されており、正常に稼動している必要があります。設定情報については、「 Cisco Nonstop Forwarding 」を参照してください。
• ISSU プロセスを開始する前に、既存と新規の Cisco IOS ソフトウェア イメージを、アクティブ RP とスタンバイ RP の両方のファイル システムにロードしておく必要があります。
• ISSU プロセスの実行中にハードウェアを変更しないでください。
• アップグレードは、メンテナンス ウィンドウが表示されている間のみ実行します (推奨)。
• ISSU プロセス中に設定の変更が必要な新しい機能をイネーブルにしないでください。
• Cisco IOS ソフトウェア イメージのダウングレードで機能が使用できない場合、ISSU プロセスを開始する前にその機能を無効にします。
ISSU 用の仮想テンプレート マネージャは、Cisco IOS Release 12.2(31)SB および 12.2(33)SB ではサポートされていません。
Cisco 10000 シリーズ インターネット ルータ プラットフォームに関する制約事項
• ISSU は、Performance Routing Engine 2 (PRE-2) 以降にリリースされた Cisco IOS 12.2(28)SB ソフトウェアでのみ使用できます。
– 1 ポート OC-12 Packet over SONET(PoS)
• 次のインターフェイス カードは、ISSU をサポートします。
– SPA インターフェイス プロセッサ(10000-SIP-600)
単一ステップの完全アップグレード プロセス サイクルは、Cisco IOS Release 12.2(47)SG の Cisco Catalyst 4500 シリーズ スイッチで使用可能です。
• 「Enhanced Fast Software Upgrade」
• 「ISSU をサポートする Cisco IOS ソフトウェアのバージョニング機能」
• 「Cisco Feature Navigator を使用した互換性の検証」
ISSU プロセスを使用すると、システムによるパケット転送を続行しながら、Cisco IOS ソフトウェアのアップグレードまたはダウングレードを実行できます。Cisco IOS ISSU は、Cisco IOS のハイ アベイラビリティ インフラストラクチャ(Cisco NSF/SSO およびハードウェア冗長性)を活用して、更新時にもシステムが引き続きサービスを提供できるので、ソフトウェアのアップグレードやバージョンの変更の際のダウンタイムがなくなります( を参照)。Cisco IOS ソフトウェアのハイ アベイラビリティ機能を組み合わせることで、予定された保守作業がネットワーク サービスのアベイラビリティに与える影響が軽減され、その結果、ダウンタイムが減少するとともに、不可欠なシステムへのアクセスが改善されます。
SSO モードは、コンフィギュレーションの同期をサポートします。アクティブ RP とスタンバイ RP のイメージが異なる場合、この機能によって 2 つの RP が同期を保つことができますが、それぞれがサポートするコマンド セットは異なることがあります。
図 1 ISSU プロセスのハイ アベイラビリティ機能およびハードウェア冗長性
ISSU 対応ルータは、2 つの RP(アクティブおよびスタンバイ)および 1 つ以上のライン カードで構成されています。ISSU プロセスを開始する前に、両方の RP のファイル システムに Cisco IOS ソフトウェアをコピーする必要があります( 図 2 を参照)。
図 2 両方の RP に新しい Cisco IOS ソフトウェアをロードする方法
両ファイル システムに Cisco IOS ソフトウェアをコピーしたあと、新しい Cisco IOS ソフトウェア バージョンをスタンバイ RP にロードします(図 3 を参照)。
図 3 スタンバイ RP への新しい Cisco IOS ソフトウェアのロード
スイッチオーバーの後、スタンバイ RP が新しいアクティブ RP として処理を引き継ぎます( を参照)。
その後、以前のアクティブ RP であって、現在は新しくスタンバイになった RP に、新しいソフトウェアがロードされます( を参照)。
図 5 新しいスタンバイ RP への新しい Cisco IOS ソフトウェアのロード
ISSU の間、システム内の 2 つの RP は、次の 3 つの異なる状態のいずれかになります。
• アクティブ:1 つの RP が古いソフトウェアを使用してアクティブにパケットを転送します。ISSU プロセスの実行後、元のアクティブ RP はスタンバイ RP となります。
• スタンバイ:スタンバイ RP で ISSU を実行し、新しいソフトウェアをロードします。ISSU プロセスの実行後、元のスタンバイ RP はアクティブ RP となります。
• ホットスタンバイ:元のスタンバイ RP が新しいアクティブ RP となった後に、新しいスタンバイ RP に新しいソフトウェア イメージをロードします。これにより、スタンバイ RP はホット スタンバイ RP となります。
Cisco IOS ソフトウェアは ISSU ロールバック タイマーを保持しています。ロールバック タイマーは、アップグレードの結果、新しいアクティブ RP との通信が切断されたままの状態になることを防止するための安全策となります。
ロールバック タイマーを 45 分(デフォルト)よりも短く設定すると、新しいソフトウェアがコミットされない場合、または runversion モード中にルータへの接続が切断されれた場合に、待機する必要がなくなります。新しいイメージをコミットする前に新しい Cisco IOS ソフトウェアの動作を確認するための十分な時間が必要な場合は、ロールバック タイマーを 45 分以上に設定します。
Cisco IOS ソフトウェア バージョンに互換性がなく、ISSU が可能でない場合、ISSU コマンド コンテキストの中で FSU 手順を実行することができます。ISSU コマンドでオプションのパラメータを使用すると、システムは ISSU の使用に必要な SSO モードではなく、RPR モードに戻ります。
ISSU コマンド コンテキストを使用する FSU は、ISSU 認識 Cisco IOS ソフトウェア バージョンとのみ連動します。ISSU よりも前のバージョンにダウングレードする場合は、手動で FSU を使用する必要があります。
Enhanced Fast Software Upgrade(eFSU)は、Cisco IOS Release 12.2(28)SB2 の Cisco 7500 シリーズ ルータ でサポートされます。eFSU は FSU の改良版で、Cisco IOS アップグレード時のダウンタイムが減少します。
eFSU の VIP MDR 機能を使用すると、VIP ライン カードをリセットせずに、アップグレードまたはダウングレードできます。MDR を使用した場合、新しい Cisco IOS イメージは、RP スイッチオーバーの前に VIP カードにダウンロードされます。スイッチオーバーの後、VIP ライン カードは即座に Cisco IOS ソフトウェアを再初期化します。
SSO 機能は、Cisco IOS ルータによって構築されるネットワークのアベイラビリティを向上させるために、全体的なプログラムの中で改善を積み重ねることによって発展してきました。
デュアル RP をサポートする特定の Cisco ネットワーキング デバイスで、SSO は 2 つの RP の片方をアクティブ プロセッサ、もう片方をスタンバイ プロセッサと指定し、それらの間で重要なステート情報を同期するという、RP 冗長性を活用した方法で、ネットワークのアベイラビリティを向上させます。2 つのプロセッサの初回同期後、SSO はこれらの間の RP ステート情報をダイナミックに維持します。
アクティブ RP に障害が発生したとき、ネットワーク デバイスから削除されたとき、またはメンテナンスのために手動でダウンしたときに、アクティブ プロセッサからスタンバイ プロセッサへのスイッチオーバーが発生します。
Cisco NSF は、SSO と併用します。Cisco NSF では、ルーティング プロトコル情報がスイッチオーバー後に保存されるとき、既知のルータでデータ パケットの転送を継続できます。Cisco NSF を使用すると、ピア ネットワーキング デバイスでルーティング フラップが発生しないので、顧客へのサービス停止による損失が減少します。
図 7 では、サービス プロバイダー ネットワークでの SSO の一般的な配置方法を示しています。この例では、CiscoNSF/SSO がサービス プロバイダー ネットワークのアクセス レイヤ(エッジ)でイネーブルにされています。このポイントで障害が発生すると、サービス プロバイダー ネットワークへのアクセスが必要な企業顧客へのサービスを損なうおそれがあります。
Cisco NSF プロトコルは、ネイバー デバイスが Cisco NSF に参加している必要があるので、それらのネイバー ディストリビューション レイヤ デバイスに Cisco NSF 対応のソフトウェア イメージをインストールする必要があります。目的に応じて、ネットワークのコア レイヤで Cisco NSF および SSO 機能を展開することもできます。これを行うと、特定の障害が発生した場合のネットワーク機能およびサービスの復元にかかる時間を削減できるため、さらにアベイラビリティが向上します。
図 7 Cisco NSF/SSO ネットワーク構成:サービス プロバイダー ネットワーク
アベイラビリティの向上は、シングル ポイント障害が存在するネットワーク内の他のポイントに Cisco NSF/SSO を展開することによって得られます。図 8 は、企業ネットワークのアクセス レイヤで、Cisco NSF/SSO を適用するオプションの配置方法を示します。この例で、企業ネットワークの各アクセス ポイントが、ネットワーク設計におけるもう 1 つのシングル ポイント障害になります。スイッチオーバーまたは計画されたソフトウェア アップグレードが行われても、企業顧客のセッションは中断することなくネットワーク内で稼動し続けます。
図 8 Cisco NSF/SSO ネットワーク構成:企業ネットワーク
TDM 疑似ワイヤの Circuit Emulation Service(CES; 回線エミュレーション サービス)対応の SSO は、1 つの SPA の着信 DS1/T1/E1 を同じ SIP または異なる SIP の別の SPA にスイッチできます。
Cisco NSF は、Cisco IOS ソフトウェアの SSO 機能と連動します。SSO は、Cisco NSF の前提条件です。NSF は、SSO と連動して、スイッチオーバー後にユーザがネットワークを使用できない時間を最小限に抑えます。Cisco NSF の主な目的は、RP のスイッチオーバー後に、継続的に IP パケットを転送することです。
通常、ネットワーク デバイスが再起動すると、そのデバイスのすべてのルーティング ピアは、デバイスがダウンし、そのあと再びアップになったことを検知します。このような移行によって、いわゆるルーティング フラップが発生します。ルーティング フラップは、複数のルーティング ドメインに広がる場合があります。ルーティングの再起動によって発生したルーティング フラップによって、ルーティングが不安定になります。これはネットワーク全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。Cisco NSF は、SSO 対応のデバイスにおけるルーティング フラップを抑止することによって、ネットワークの安定性を保ちます。
Cisco NSF では、ルーティング プロトコル情報がスイッチオーバー後に保存されるとき、既知のルータでデータ パケットの転送を継続できます。Cisco NSF を使用すると、ピア ネットワーキング デバイスでルーティング フラップが発生しません。データ トラフィックはインテリジェント ラインカードまたはデュアル フォワーディング プロセッサ(FP)を介して転送されますが、スタンバイ RP では、スイッチオーバー中に障害が発生したアクティブな RP からの制御と見なされます。ラインカードおよび FP の機能はスイッチオーバーの前後で維持され、アクティブな RP の Forwarding Information Base(FIB; 転送情報ベース)が Cisco NSF 動作で最新状態が維持されます。
ISSU 機能を導入する前に、SSO 動作モードでは、各 RP が同じバージョンの Cisco IOS ソフトウェアを実行している必要があります。冗長 HA コンフィギュレーションにおけるシステムの動作モードは、スタンバイ RP がアクティブ RP を認識する際に、バージョン文字列を交換することによって決定されます。
システムが SSO モードを開始するのは、両方の RP で実行されているバージョンが同じである場合だけです。バージョンが同じでない場合は、互換性を確保するために冗長モードが使用されます。ISSU 機能を使用した場合、この実装では Cisco IOS イメージの 2 つの異なる、しかし互換性のあるリリース レベルを SSO モードで相互動作することで、ソフトウェア アップグレードを実行しながら、パケット転送を継続することができます。ISSU 機能が導入される前に行われていたバージョン チェックでは、システムが動作モードを決定できなくなりました。
ISSU では、ソフトウェア バージョン間の互換性を判別するための追加情報が必要になります。そこで、対象のイメージに関して、他のイメージについての情報が含まれた互換性マトリクスが定義されています。互換性マトリクスは、アクティブ RP で実行されているソフトウェア バージョンと、スタンバイ RP で実行されているソフトウェア バージョンの互換を表し、これによってシステムが実現できる最も高い動作モードを判定できます。バージョンに互換性がないと、SSO 動作モードに進むことができません。
Cisco IOS インフラストラクチャが内部的に変更されて、ISSU とともにサブシステム バージョニングが行われるように再設計されました。Cisco IOS サブシステムは、フィーチャ セットおよびソフトウェア コンポーネントのグループ化に対応しています。RP 間で状態情報を維持する機能またはサブシステムは、HA 認識クライアントまたは SSO クライアントです。ISSU フレームワークと呼ばれるメカニズム、つまり ISSU プロトコルによって、Cisco IOS ソフトウェア内のサブシステムは、2 つの RP 間で通信を行い、RP 間の通信用のメッセージ バージョンをネゴシエーションすることができます。内部では、HA を認識しているすべての NSF/SSO 対応アプリケーションまたはサブシステムが、このプロトコルに従って、異なるソフトウェア バージョンのピアとの通信を確立する必要があります (動作モードの詳細については、 『 Stateful Switchover 』の資料を参照してください)。
アクティブ RP とスタンバイ RP の両方の Cisco IOS ソフトウェアが ISSU に対応しており、古いイメージと新しいイメージに互換性がある場合に、ISSU プロセスを実行できます。互換性マトリクス情報では、次のようにリリース間の互換性が示されます。
• Compatible(互換性がある):ベースレベルのシステム インフラストラクチャとすべてのオプションの HA 認識サブシステムに互換性があります。これらのバージョン間のインサービス アップグレードまたはダウングレードが行われても、サービスに対する影響は最小限ですみます。マトリクス エントリでは、このようなイメージに対して Compatible(C)が指定されます。
• Base-level compatible(ベースレベルで互換性がある):1 つまたは複数のオプションの HA 認識サブシステムに互換性がありません。これらのバージョン 間の印サービス アップグレードまたはダウングレードは正常に実行できますが、中には、移行の間、ステート情報を保持できないサブシステムもあります。マトリクス エントリでは、このようなイメージに対して Base-level compatible(B)が指定されます。
• Incompatible(互換性がない):SSO が正常に機能するためには、存在するシステム インフラストラクチャのコア セットがステートフル方式で相互動作できる必要があります。必要なこれらのいずれかの機能またはプロトコルが相互動作できないと、Cisco IOS ソフトウェア イメージの 2 つのバージョンに互換性がないと判定されます。これらのバージョン間でインサービス アップグレードまたはダウングレードを行うことはできません。マトリクス エントリでは、このようなイメージに対して Incompatible(I)が指定されます。
ISSU をサポートしないピアで ISSU を実行しようとすると、システムは代わりに Fast Software Upgrade(FSU)を自動的に使用します。
互換性マトリクスには、指定されたサポート ウィンドウ内の他のすべての Cisco IOS ソフトウェア バージョンに対してある Cisco IOS ソフトウェア イメージが持つ互換性の関係(たとえば、イメージが「認識」できるすべてのソフトウェア バージョン)が示され、各イメージにデータが格納された状態でリリースされます。マトリクスには、自身のリリースと以前のリリース間の互換性の情報が含まれています。常に最新のリリースに、その分野の既存のリリースとの互換性に関する最新情報が含まれます。互換性マトリクスは Cisco IOS ソフトウェア イメージ内および Cisco.com で入手できるため、ISSU プロセスを使用してアップグレードを行えるかどうかを前もって判別できます。
ISSU を試行する前に、アクティブ RP とスタンバイ RP で、それぞれの Cisco IOS ソフトウェア バージョン間の互換性レベルを確認する必要があります。任意のシステムの 2 つのソフトウェア バージョン間の互換性マトリクス データを表示するには、 show issu comp-matrix negotiated コマンドを入力します。
SSO 対応の ISSU - SNMP は、両方の RP が同じバージョンの Cisco IOS ソフトウェアを実行していることを前提として、アクティブ RP からスタンバイ RP に、Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)のコンフィギュレーションと、SSO をサポートする MIB を同期するメカニズムを提供します。この前提は、ISSU には当てはまりません。
ISSU - SNMP は、MIB の ISSU 変換を処理できる SNMP クライアントを提供します。SNMP クライアント(SIC)は、すべての MIB について ISSU を処理するとともに、ISSU に必要な送受信機能を処理します。SNMP の実行時に、両方の Cisco IOS リリースの MIB バージョンが同じである場合にだけ、MIB がアクティブ RP からスタンバイ RP に完全に同期化されます。
ISSU 用の仮想テンプレート マネージャ機能は、HA 対応でないセッションや、スタンバイ ルータに同期していないセッションへの仮想アクセス インターフェイスを提供します。仮想テンプレート マネージャが Redundancy Facility(RF; 冗長ファシリティ)クライアントを使用することによって、仮想アクセス インターフェイスが作成されたときに、そのインターフェイスを同期できるようになります。
仮想データベースには、ライン カードについての分散 FIB エントリのインスタンスが保存されています。ライン カードが誤転送を防ぐためには、すべてのインターフェイスの内容とタイミングをスタンバイ プロセッサと同期する必要があります。スタンバイ プロセッサに仮想アクセス インターフェイスが作成されていない場合、スタンバイ ルータとライン カード上のインターフェイス インデックスが破損されて転送に問題が生じます。
Cisco Feature Navigator の ISSU アプリケーションでは、次の内容を実行することができます。
• 2 つのイメージを比較し、それらのイメージの互換性レベル(互換性がある、ベースレベルで互換性がある、互換性がない)を把握する
次のプロトコルとアプリケーションは ISSU をサポートします。
• FHRP - HSRP グループ シャットダウン:FHRP - HSRP グループ シャットダウンは、ISSU でサポートされています。
• ISSU - ARP:Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)は、ISSU でサポートされています。
• ISSU - ATM:Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)は、ISSU でサポートされています。ISSU のアプリケーション要件は次のとおりです。
– ATM HA イベント同期メッセージのメッセージ バージョン機能をサポートする
• ISSU - Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP; ダイナミック ホスト コンフィギュレーション プロトコル)On-Demand Address Pool(ODAP)クライアント/サーバ:この機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - DHCP プロキシ クライアント:DHCP プロキシ クライアント機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - アンナンバード インターフェイス DHCP リレー:アンナンバード インターフェイス DHCP リレー機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - DHCP サーバ:DHCP サーバ機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - DHCP スヌーピング:DHCP スヌーピングは ISSU をサポートします。
• ISSU - EtherChannel - PagP LACP:Port Aggregate Control Protocol(PagP; ポート集約プロトコル)および Link Aggregate Control Protocol(LACP)は ISSU をサポートします。
• ISSU - First Hop Routing Protocol(FHRP)/GLBP:Gateway Load Balancing Protocol(GLBP)は ISSU をサポートします。
• ISSU - FHRP/HSRP:Hot Standby Router Protocol(HSRP; ホットスタンバイ ルータ プロトコル)は ISSU をサポートします。
• ISSU - フレームリレー:フレームリレー プロトコルは ISSU をサポートします。
• ISSU - HDLC:High-Level Data Link Control(HDLC; ハイレベル データリンク コントロール)プロトコルは ISSU をサポートします。
• ISSU - IEEE 802.1x:IEEE 802.1x プロトコルは ISSU をサポートします。
• ISSU - IEEE 802.3af:IEEE 802.3af は ISSU をサポートします。
• ISSU - IGMP スヌーピング:Internet Group Management Protocol(IGMP; インターネット グループ管理プロトコル)は ISSU をサポートします。
• ISSU - IP ホスト:IP ホストは ISSU をサポートします。
• ISSU - IPv4 マルチキャスト:IPv4 マルチキャストは ISSU をサポートします。
• ISSU - IS-IS:Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS; 中継システム間の連携)プロトコルは ISSU をサポートします。
• ISSU - MTR:Multitopology routing(MTR; マルチトポロジ ルーティング)は ISSU をサポートします。
• ISSU - MPLS L3VPN:Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)は ISSU をサポートします。ISSU による ISSU MPLS 関連アプリケーションのアップグレードについては、『 ISSU MPLS Clients 』の資料を参照してください。
• ISSU - ポート セキュリティ:ポート セキュリティは ISSU でサポートされます。
• ISSU - PPP/MLP:Multilink PPP(MLP; マルチリンク PPP)は ISSU をサポートします。
• ISSU - PPP over ATM(PPPoA)および PPP over Ethernet(PPPoE)は ISSU をサポートします。
• ISSU - QoS support:Quality of Service(QoS)機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - RIB/VRF:RIB/VRF 機能は ISSU をサポートします。
• ISSU - SNMP:SNMP は ISSU をサポートします。
• ISSU - STP:Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)は ISSU をサポートします。
SSO モードは、デバイスの動作モードで、ISSU を実行する場合の前提条件ですが、これとは異なり、ISSU プロセスはルータやスイッチの動作中に実行される一連の手順です。この手順によって、Cisco IOS ソフトウェアが新しいソフトウェアに実装または変更されますが、トラフィックへの影響は最小限に抑えられます。
• 「スタンバイ RP での Cisco IOS ソフトウェアのロード」(必須)
• 「スタンバイ RP への切り替え」(必須)
• 「ISSU ロールバック タイマーの停止」(必須)
• 「ISSU ソフトウェア インストレーションの確認」(必須)
• 「新しいスタンバイ RP のイネーブル化による、新しい Cisco IOS ソフトウェア バージョンの使用」(必須)
• 「ISSU によるソフトウェア アップグレードの中断」 (任意)
• 「アップグレードに対する安全策としてのロールバック タイマーの設定」 (任意)
• 「ISSU 互換性マトリクス情報の表示」 (任意)
ISSU を使用して Cisco IOS ソフトウェアをスタンバイ RP にロードするには、次の作業を実行します。
• (任意)追加のテストおよびコマンドを実行して、あとで比較するために必要なピアおよびインターフェイスの現在の状態を判別します。
2. issu loadversion active-slot active-image standby-slot standby-image [ force ]
新しくロードされた Cisco IOS ソフトウェア イメージを実行しているスタンバイ RP に切り替えるには、次の作業を実行します。
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Router# issu runversion b stby-disk0:c10k2-p11-mz.2.20040830 |
アクティブ プロセッサからスタンバイ プロセッサへのスイッチオーバーを強制的に実行し、新しいアクティブ プロセッサで新しいイメージを実行します |
ロールバック タイマーを停止し、スタンバイ RP に切り替えて古いバージョンの Cisco IOS ソフトウェアに戻らないようにするには、次の作業を実行します。
3. issu acceptversion { active slot-number | active slot-name slot-name }
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issu acceptversion |
ロールバック タイマーを停止し、新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージが、ISSU プロセス中に自動的に中断されないようにします。 |
ISSU プロセス中に、ステートと現在のバージョンの RP に関する情報を表示するには、次の作業を実行します。
3. show redundancy [ clients | counters | debug-log | handover | history | states | inter-device ]
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show redundancy [ clients | counters | debug-log | handover | history | states | inter-device ] |
新しいスタンバイ RP をイネーブルして、新しい Cisco IOS ソフトウェア バージョンを使用するには、次の手順を使用します。
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issu commitversion slot active-image |
プロセスにコミットし、新しいスタンバイ ルータが新しい Cisco ソフトウェア バージョンを使用する前に、ISSU プロセスを中断するには、次の作業を実行します。
(注) スタンバイ RP に新しいバージョンをロードした後、スタンバイ RP に切り替える前にプロセスを中断すると、スタンバイ RP がリセットされ、元のソフトウェア バージョンがリロードされます。
スタンバイ RP に切り替えた後、または自動ロールバックの停止後にプロセスを中断すると、元のソフトウェア バージョンが動作している新しいスタンバイ RP に再びスイッチオーバーされます。新しいソフトウェアを実行していた RP がリセットされ、元のソフトウェア バージョンがリロードされます。
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configure issu set rollback timer seconds |
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2 つのソフトウェア バージョン(アクティブ RP およびスタンバイ RP で動作するバージョン)の互換性に関する情報を表示するには、次の作業を実行します。
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show issu comp-matrix |
• 「例:ISSU プロセスを開始する前の冗長モードの確認」
ISSU プロセスを開始する前に、システムの冗長モードを確認します。NSF および SSO は、ISSU を試行する前に設定する必要があります。次に、システムが SSO モードで、スロット A(RP A)がアクティブ RP、スロット B(RP B)がスタンバイ RP であるという確認内容を表示する例を示します。両方の RP は、同じ Cisco IOS ソフトウェア イメージを実行しています。
次に、ISSU ステートを表示して確認する出力例を示します。
新しいバージョンの Cisco IOS ソフトウェアは、両方の RP に存在する必要があります。両方の RP について表示されたディレクトリ情報は、新しいバージョンが存在することを示しています。
次に、 show コマンドを入力し、ISSU プロセス中の異なる時点における RP のステート情報を表示することによって、ISSU ソフトウェア インストールを確認する例を説明します。
ISSU プロセスを開始するには、 issu loadversion コマンドを入力します。次の例を参照してください。
次に、ISSU プロセス開始後の ISSU ステートおよび冗長性状態を表示する例を 2 つ示します。
アクティブ RP からスタンバイ RP へのスイッチオーバーの強制実行
この時点までに、スイッチオーバー、およびスタンバイ RP にロードされた新しいバージョンの Cisco IOS ソフトウェアを実行する準備が完了しています。 issu runversion コマンドを入力すると SSO のスイッチオーバーが実行され、設定されている場合は NSF プロシージャが起動します。
ISSU プロセスが終了すると、新しいバージョンのソフトウェアが実行され、以前のアクティブ RP がスタンバイ RP に切り替えられます。スタンバイがリセットされたうえでリロードされますが、以前のソフトウェア バージョンのまま、STANDBY HOT ステータスでオンラインに戻ります。次に、新しい アクティブ RP に接続し、これらの状況を確認する例を示します。
新しくアクティブになった RP は現在新しいソフトウェア バージョンを実行し、スタンバイ RP は古いソフトウェア バージョンを実行し、STANDBY HOT ステートです。
次の例では、「Automatic Rollback Time」情報に、自動ロールバックが行われるまでの時間が示されています。ロールバック タイマーによって指定された時間内に issu acceptversion コマンドを入力して、RP が外部への接続を確立したことを確認します。そうしないと、ISSU プロセスが終了し、システムはスタンバイ RP に切り替えて、以前の CiscoIOS ソフトウェア バージョンに戻ります。
issu acceptversion コマンドを入力すると、ロールバック タイマーが停止します。
次の例では、スタンバイ RP のファイル システムにある新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージをコミットし、アクティブ RP およびスタンバイ RP が Run Version(RV)ステートであることを確認する方法を示します。スタンバイ RP はリセットされ、新しい Cisco IOS ソフトウェアがリロードされ、STANDBY-HOT ステータスに戻ります。
ISSU プロセスが完了しました。これ以降、Cisco IOS ソフトウェア バージョンのアップグレードまたはダウングレードを行うには、新しい ISSU プロセスの起動が必要になります。
次の例では、ISSU プロセスを手動で中断する方法を示します。
issu loadversion コマンドを入力した後にプロセスを中断すると、スタンバイ RP がリセットされ、元のソフトウェア バージョンがリロードされます。
ロールバック タイマー情報を表示するには、 show issu rollback-timer コマンドを入力します。
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『 Cisco IOS Master Command List , All Releases』 |
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「 Cisco Nonstop Forwarding 」の章(『 Cisco IOS High Availability Configuration Guide 』) |
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『Enhanced Fast Software Upgrade on the Cisco 7600 Series Router』 |
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『Using Ethernet Operations, Administration, and Maintenance』 |
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「 ISSU and eFSU on Cisco 7600 Series Routers 」の章(『 Cisco 7600 Series Cisco IOS Software Configuration Guide , 12.2SR』) |
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『Configuring Ethernet Local Management Interface at a Provider Edge』 |
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『 Monitoring and Maintaining Multicast HA Operations (NSF/SSO and ISSU) 』 |
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『 Cisco IOS Broadband High Availability In Service Software Upgrade 』 |
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「 Stateful Switchover 」の章(『 Cisco IOS High Availability Configuration Guide 』) |
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新しい MIB または変更された MIB はサポートされていません。また、既存の MIB に対するサポートに変更はありません。 |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、および機能セットの MIB を検索してダウンロードする場合は、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
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新しい RFC または変更された RFC はサポートされていません。また、既存の RFC に対するサポートに変更はありません。 |
表 1 に、この章に記載されている機能および具体的な設定情報へのリンクを示します。
プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポート情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 1 には、一連のソフトウェア リリースのうち、特定の機能が初めて導入されたソフトウェア リリースだけが記載されています。特に明記していないかぎり、その機能は、一連のソフトウェア リリースの以降のリリースでもサポートされます。