イノベーションを活性化させるアウトタスキング 【後編】

「コア」と「コンテキスト」の考え方を適用して、資源をうまく活用する

イノベーションを活性化させるアウトタスキング 【後編】
継続的なイノベーションへ

 シスコではこのようなアウトタスキングを、製造部門を中心に、IT部門、顧客対応部門、人事部門、営業部門などで推進してきています。

 製造部門では、フォーチュングローバル500社に名を連ねる最大手EMS企業複数と連携し、相互に戦略的なメリットのある関係を築き上げています。また、前回触れたノートパソコンのサポート業務のアウトタスキングについても、世界各国の拠点で均一なサービスを提供できる企業と提携し、Win-Winの関係を作り上げました。

 成功のポイントをいくつか挙げると、次のようになります。

  • 自社がよく知っている業務プロセスをアウトタスクする。
  • 対象領域は段階的に拡大する。
  • 自社と受託企業とが共用できるポータルなど、情報共有の仕組みを持つ。
  • アウトタスクの成果を定量的に把握する仕組みをつくり、自社と受託企業の双方がその改善に取り組む。
  • 受託企業が率先して業務の改善に取り組むように、インセンティブの仕組みを設ける。
  • 経営トップがプロジェクトスポンサーの役目を負う。 


 このようなアウトタスキングが社内の複数の部門で機能し始めると、恒常的に一部の経営資源に余裕が生じるようになり、それをコアに投入することができるようになります。その延長線で、イノベーションという資源が割り当てにくい分野に対しても、継続的に資源を投下していくことができるようになるのです。

 

執筆:シスコカスタマーブリッジ担当
本稿は、ITを活用した経営に関する情報を提供することを目的に、筆者の個人的な認識や見解を示すものであり、シスコシステムズの立場や見解を代表または代弁するものではありません。