コンプライアンスに対する社会の目が厳しくなっている昨今、リスクマネジメントの甘さは企業の存立基盤をも揺るがす。e リスクへの対応も同じだ。情報漏えいのたびに経営者が頭を下げる光景が、それを物語る。これからは企業規模の大小を問わず、e リスクマネジメントのない会社は消費者の信用を失い淘汰される危険性が高くなる。ユビキタス時代の新たな経営課題となった、e リスクマネジメントへの取り組みを探る。
最近、企業に蓄積されたプライバシー (個人情報) は、蛇口の壊れた水道のように漏れ続けている。ここ 3ヵ月の新聞見出しを見ただけでも、いかにプライバシー漏えいが多いか驚かされる。
6月2日 | 大手旅行代理店、62万人の顧客情報流出 |
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5月20日 | 中堅信販会社、信用情報を含んだ 112万人の顧客データ流出 |
4月26日 | 大手信販会社、カード番号等を含んだ 10万人の顧客データ流出 |
3月30日 | 大手飲料メーカ、顧客情報 7万5,000人分が名簿業者に流出 |
3月29日 | 警察の捜査記録、ネットに流出 |
3月25日 | ブロードバンド業者、100万人を超える顧客情報流出 |
3月18日 | 外資系銀行の顧客情報、12万口座分紛失 |
3月9日 | テレビ通販業者、顧客情報 66万人分流出 |
2月24日 | 大手ブロードバンド業者、顧客情報 460万件流出 |
以前からプライバシー漏えいはあったのだが、最近の漏えいは情報化が進み顧客データベースが整備されたおかげで、e リスクマネジメントの甘い会社から、電子データの形でプライバシーが漏れている点に特徴がある。またインターネットが普及したことで、漏えいしたデータの拡散も大きな問題となっている。紙と違って拡散したデータを取り戻すことは不可能であり、その影響は長期間に及ぶ。
プライバシー漏えいによる実害が多発した場合には、社会的信用の失墜にとどまらない。漏えいを起こした企業は多大な賠償金を抱えることになり、存立が難しくなる可能性もある。