情報漏えいをストップできない会社は生き残れない

コンプライアンスに対する社会の目が厳しくなっている昨今、リスクマネジメントの甘さは企業の存立基盤をも揺るがす。e リスクへの対応も同じだ。情報漏えいのたびに経営者が頭を下げる光景が、それを物語る。これからは企業規模の大小を問わず、e リスクマネジメントのない会社は消費者の信用を失い淘汰される危険性が高くなる。ユビキタス時代の新たな経営課題となった、e リスクマネジメントへの取り組みを探る。

INDEX

  1. 蛇口の壊れた水道のように漏れるプライバシー
  2. 打ち出の小槌となったプライバシー
  3. eリスクへの危機感が低い企業ほど漏えいの危険性は高い
  4. eリスクマネジメントは自社情報の棚卸しから

蛇口の壊れた水道のように漏れるプライバシー

最近、企業に蓄積されたプライバシー (個人情報) は、蛇口の壊れた水道のように漏れ続けている。ここ 3ヵ月の新聞見出しを見ただけでも、いかにプライバシー漏えいが多いか驚かされる。

6月2日 大手旅行代理店、62万人の顧客情報流出
5月20日 中堅信販会社、信用情報を含んだ 112万人の顧客データ流出
4月26日 大手信販会社、カード番号等を含んだ 10万人の顧客データ流出
3月30日 大手飲料メーカ、顧客情報 7万5,000人分が名簿業者に流出
3月29日 警察の捜査記録、ネットに流出
3月25日 ブロードバンド業者、100万人を超える顧客情報流出
3月18日 外資系銀行の顧客情報、12万口座分紛失
3月9日 テレビ通販業者、顧客情報 66万人分流出
2月24日 大手ブロードバンド業者、顧客情報 460万件流出

以前からプライバシー漏えいはあったのだが、最近の漏えいは情報化が進み顧客データベースが整備されたおかげで、e リスクマネジメントの甘い会社から、電子データの形でプライバシーが漏れている点に特徴がある。またインターネットが普及したことで、漏えいしたデータの拡散も大きな問題となっている。紙と違って拡散したデータを取り戻すことは不可能であり、その影響は長期間に及ぶ。

プライバシー漏えいによる実害が多発した場合には、社会的信用の失墜にとどまらない。漏えいを起こした企業は多大な賠償金を抱えることになり、存立が難しくなる可能性もある。

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