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このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、Cisco CRS-1 16-Slot Fabric Card Chassis(FCC; ファブリック カード シャーシ)の全体像を説明します。Cisco CRS-1 16 スロット FCC の前面および背面を図で示し、各ハードウェア コンポーネントの概要について説明します。ここで紹介している各サブシステムの詳細については、『 Cisco CRS-1 Series Carrier Routing System Multishelf System Description 』を参照してください。
Cisco CRS-1 16 スロット FCC は、Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システム マルチシェルフ システムの一部で、スケーラブルな 3 ステージの分散型スイッチ ファブリックと各種パケット データ インターフェイスから構成されます。パケット データ インターフェイスは、Modular Services Card(MSC; モジュラ サービス カード)に含まれており、スイッチ ファブリックを介して相互接続されます。各 MSC には、関連付けられた Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)があり、これによってさまざまなパケット データ インターフェイスをシステムに提供します。スイッチ ファブリックは、さまざまなシステム コンポーネントに分散配置されます。
マルチシェルフ システムを構成する主なコンポーネントは、次の 2 つです。
• LCC(ライン カード シャーシ) ― ライン カード、PLIM 上のライン カード インターフェイス、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)、Distributed Route Processor(DRP; 分散ルート プロセッサ)、3 ステージのスイッチ ファブリックのステージ 1 とステージ 3、および電源と冷却サブシステムを格納するためのラックです。
• FCC ― マルチシャーシ システムにおけるステージ 2(S2)のスイッチ ファブリック、システム コントローラ、LCC と相互接続するファイバ モジュール、および電源と冷却システムを格納するためのラックです。
Cisco CRS-1 16 スロット FCC は主に、スイッチ ファブリックのステージ 2、およびこれらのシステムの LCC に格納されているスイッチ ファブリックのステージ 1 とステージ 3 に FCC を相互接続するための光ファイバ モジュールを格納します。
Cisco CRS-1 16 スロット FCC は、床に固定され、前面ドアおよび背面ドアにはロックがあります。Cisco CRS-1 16 スロット FCC はキャビネット内に完全なラック型で格納されているため、FCC の取り付けの際に外付けラックを用意する必要はありません。Cisco CRS-1 16 スロット FCC の重量は、フル装備時で約 1627 ポンド(738 kg)です。
(注) 安全のため、Cisco CRS-1 16 スロット FCC は建造物に固定しておく必要があります。
ここでは、Cisco CRS-1 16 スロット FCC の主要コンポーネントについて説明します。主に Field-Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)となっているコンポーネントを取り上げますが、詳細情報が役立つと思われる場合は、FRU 以外のサブアセンブリについても説明します。
図1-1 と 図1-2 に、AC 電源シェルフと電力整流器を取り付けた状態の Cisco CRS-1 16 スロット FCC の前面と背面を示します(Switch Fabric Card[SFC; スイッチ ファブリック カード]側が前面、Optical Interface Module[OIM; 光インターフェイス モジュール]側が背面です)。その他の電源シェルフと電源モジュールの詳細は、 第 2 章「電源コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
図1-1 ファブリック カード シャーシの前面(SFC)側の図
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図1-2 ファブリック カード シャーシの背面(OIM)側の図
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Cisco CRS-1 16 スロット FCC には、次の主要コンポーネントが含まれます。シスコの製品番号は丸かっこ内に示しています。コンポーネントの詳細情報への参照先も示しています。
• 各電源シェルフ内の、3 つの AC 整流器が搭載された 2 つの AC 電源シェルフまたは 2 つの DC 電源入力モジュール(PEM)が搭載された 2 つの DC 電源シェルフ。電源シェルフと AC 整流器は、最大 10 kW の DC 電源をシステムに供給できます。DC PEM は、バッテリごとに最大 60 A の出力電力をシステムに供給できます。詳細については、 第 2 章「電源コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
• 上下のファン トレイ。ファン トレイには、シャーシの吸気/排気を行うファンが付属しています。交換可能なエアー フィルタは、下部ファン トレイの上にあります。詳細については、 第 3 章「空気循環コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
• SFC ― デフォルトの構成では、8 つのスイッチ ファブリック カード(CRS-FCC-SFC)が必要です。スイッチ ファブリックは、マルチシェルフ システムがこの初期リリースで 1.28 Tbps の性能を実現するための主要コンポーネントです。詳細については、 第 4 章「ファブリック カードおよびカード コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
• 2 ポート Shelf Controller-Gigabit Ethernet(SCGE; シェルフ コントローラ ギガビット イーサネット)カード ― 稼働には最低でも 2 つの SCGE カード(製品番号 CRS-FCC-SC-GE)が必要です。2 つめの 2 ポート SCGE カードは、冗長構成用です。2 ポート SCGE カードは、SFC 全体の運用を制御し、上部および下部のファン トレイのファン コントローラとして動作します。また、2 ポート SCGE カードには、システム イメージを使用するためのコンソール、Aux(補助)ポート、イーサネット コントロール接続、および PCMCIA スロットが含まれます。詳細については、 第 4 章「ファブリック カードおよびカード コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
または
• 22 ポート SCGE カード ― 稼働には最低でも 1 つの 22 ポート SCGE カード(製品番号:SC-GE-22)が必要です。2 つめの 22 ポート SCGE カードは、冗長構成用です。22 ポート SCGE カードは、SFC 全体の運用を制御し、上部および下部のファン トレイのファン コントローラとして動作します。また、22 ポート SCGE カードには、システム イメージを使用するためのコンソール、Aux(補助)ポート、イーサネット コントロール接続、および PCMCIA スロットが含まれます。22 ポート SCGE カードは、システムの制御ネットワークとしても動作するので、2 ポート SCGE カードと外部の Cisco Catalyst スイッチの導入が不要になります。詳細については、 第 4 章「ファブリック カードおよびカード コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
• OIM ― デフォルトの構成では、8 つのシングル幅 OIM(CRS-FCC-OIM-1S)が必要です。OIM は、ラインカード シャーシおよび Cisco CRS-1 16 スロット FCC に格納された SFC からの信号を送受信するための、光ファイバによる相互接続を提供します。光接続の状態は OIM-LED モジュール(CRS-FCC-LED)によって監視されます。詳細については、 第 4 章「ファブリック カードおよびカード コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
このマニュアル全体を通じて、シャーシの前面を SFC 側と呼びます。これはシャーシに冷気が吸気される側です。シャーシの背面は OIM 側と呼ばれ、これはシャーシから暖気が排気される側です。Cisco CRS-1 16 スロット FCC および関連コンポーネントの環境と動作についての仕様は、 付録 A「CRS-1 16 スロット FCC のシステム仕様」 および『 Cisco CRS-1 Carrier Routing System Multishelf System Description 』を参照してください。
ここでは、シャーシに取り付ける主要なカードとモジュール(主に FRU)の場所およびスロット番号について説明します。
CRS-1 16 スロット FCC の SFC 側スロット番号については、図1-3 を参照してください。
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図1-3 に示すとおり、シャーシの前面(SFC)側の CRS-1 16 スロット FCC 番号は次のようになっています。
• 電源シェルフ 0(PS0):対応する電源モジュール スロット A0、A1、A2、およびアラーム モジュール スロット(AM0)
• 電源シェルフ 1(PS1):対応する電源モジュール スロット B0、B1、B2、およびアラーム モジュール スロット(AM1)
• 上部カード ケージ:スイッチ ファブリック スロット× 12(左から右へ0、1、2、3 . . . 10、11)および 2 ポートまたは 22 ポート SCGE カード スロット(SCGE0)× 1(右端)
• 下部カード ケージ:スイッチ ファブリック スロット× 12(左から右へ12、13、14 . . . 21、22、23)および 2 ポートまたは 22 ポート SCGE カード スロット(SCGE1)× 1(右端)
シャーシの背面(OIM)側の CRS-1 16 スロット FCC スロット番号については、図1-4 を参照してください。
図1-4 背面(OIM)側の FCC スロット番号とモジュールの場所
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図1-4 に示すとおり、シャーシの OIM 側のスロット番号は次のようになっています。
• 上部カード ケージの OIM 側:左端に OIM LED パネル(LM0)、続いて 12 の OIM スロット(左から右へ 11、10、9 . . . 2、1、0)
• 下部カード ケージの OIM 側:左端に OIM LED パネル(LM1)、続いて 12 の OIM スロット(左から右へ 23、22、21 . . . 14、13、12)
OIM スロット番号は、シャーシの反対側にある SFC スロット番号に対応しています。シャーシの背面の右端にある OIM スロット 0 は、シャーシの前面の左端にある SFC スロット 0 と一致します。
シスコでは設置サイトごとに 1 つずつ、Cisco CRS-1 16 スロット FCC の設置面を型取ったアルミのドリル テンプレートを提供し、ドリルで床に穴をあけるときに必要な穴の位置がわかるようにしています。
シスコでは、ドアの開閉やコンポーネントの取り外し/取り付け時に必要なスペースを含めたシャーシの設置用のマイラー フィルム製テンプレートを提供しています。このテンプレートを使用すると、Cisco CRS-1 16 スロット FCC の設置やメンテナンス時に必要な通路のスペースを事前に計画できます。
図1-5 に Cisco CRS-1 16 スロット FCC の設置面積(オプションの前面および背面外装を取り付けた状態)を上から見た図を示します。
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図1-5 に示した寸法は次のとおりです。
• ドアを取り付けて閉じた状態の Cisco CRS-1 16 スロット FCC の奥行は 41.3 インチ(105 cm)
(注) 装置間の通路には、Cisco CRS-1 16 スロット FCC を引き出したり、向きを変えたり、所定の位置まで移動したりできるだけの幅が必要です。通路でシャーシの向きを変えるために必要なおおよその通路幅は、次のとおりです。
50 インチ(127 cm) ― 外装コンポーネントもドアも取り付けていないシャーシの場合(移動用台車に搭載せず)
60 インチ(152.4 cm) ― 移動用台車に搭載した状態のシャーシの場合
Cisco CRS-1 16 スロット FCC では、シャーシの SFC 側と OIM 側の両方に対して、ケーブル管理機能を備えています。前面(SFC)と背面(OIM)の両方には、シャーシの左右に垂直ケーブル トラフがあります。また、シャーシの背面(OIM)側には、カード ケージ近くに水平のケーブル管理ブラケットがあります。
詳細については、 第 5 章「外装コンポーネントの取り付けと取り外し」 を参照してください。
Cisco CRS-1 16 スロット FCC の冷却システムには、外気をシステムに取り込んで熱を放出することにより、所定の温度範囲内でシステムを動作させるためのコンポーネントと制御システムが含まれています。フル装備の Cisco CRS-1 16 スロット FCC 冷却システムには、次のものが含まれています。
• シャーシ内のカードとモジュール上に配置された温度センサー
Cisco CRS-1 16 スロット FCC のエアーフローは、吸気排気構成によって制御されています。図1-6 に示すように、外気は前面側(SFC)最下部に流れ、カード ケージを通って上昇し、Cisco CRS-1 16 スロット FCC の背面側(OIM)の最上部で排気されます。最下部のファン トレイは、シャーシの前面最下部から空気を取り込みます。最上部のファン トレイは、シャーシの背面から暖気を排出します。電源シェルフの電源モジュールには、専用の内蔵冷却ファンが設置されています。
交換可能なエアー フィルタは、下部ファン トレイの上にあります。エアー フィルタの交換頻度は、設置環境によって異なります。埃の多い環境、または温度アラームが頻繁に作動する環境では、吸気グリルの埃をこまめに点検し、エアー フィルタの交換が必要かどうかを点検する必要があります。
エアー フィルタを取り外して交換する前に、スペアのフィルタを手元に用意してください。汚れたフィルタを取り外し、スペアのフィルタをシャーシに取り付けます。
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Cisco CRS-1 16 スロット FCC の電源は AC 電源(3 相スター 200 ~ 240/346 ~ 415 VAC または 3 相デルタ 200 ~ 240 VAC)または DC 電源(-48 または -60 VDC)です。シャーシの電源システムはファシリティ電力を取り込んで、電源シャーシのコンポーネントに必要な DC 電圧に変換します。電源システムは完全冗長構成で、次の機器で構成されています。
このマニュアルに記載されている作業を開始する前に、人身事故または機器の損傷を防ぐために、ここで説明する安全に関する注意事項を確認してください。
人身事故または機器の損傷を防ぐために、次の注意事項に従ってください。これらの注意事項は、危険な状況をすべて網羅しているとは限らないので、作業に際しては十分に注意してください。
(注) カードの取り付け、設定、または取り付けたカードのトラブルシューティングを行う前に、『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco CRS-1 Carrier Routing System』に記載されている安全上の警告を確認してください。
• 重くて一人で持ち上げられそうもない機器は、無理に持ち上げないでください。
• 取り付け作業中および取り付け作業後は、作業領域をきれいな状態に保ち、埃などがないようにしてください。レーザーを使用しているコンポーネントに埃やゴミが入らないようにしてください。
• 工具およびルータのコンポーネントが通行の妨げにならないようにしてください。
• OIM、SFC、またはその関連コンポーネントを扱う際には、たるみの多い衣服やアクセサリなど、ルータに引っかかる恐れのあるものを身に着けないでください。
• シスコの機器は、その仕様や使用手順に従って使用してください。
• 取り付けは、設置国および地域の電気規約に従う必要があります。米国では、米国防火協会(NFPA)70, United States National Electrical Code、カナダでは、Canadian Electrical Code, の part I, CSA C22.1、その他の国については、International Electrotechnical Commission(IEC; 国際電気標準会議)60364 の part 1 ~ part 7 に従ってください。
• Cisco CRS-1 16 スロット FCC DC 入力電源システムに接続するのは、UL/CSA/IEC/EN 60950-1 および AS/NZS 60590 におけるSafety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)の要件に準拠した DC 電源だけにしてください。
• DC 入力電源システムが取り付けられた Cisco CRS-1 16 スロット FCC の固定配線内に組み込まれた二極切断装置にいつでもアクセスできるようにしてください。
ESD により、装置や電子回路が損傷を受けることがあります(静電破壊)。静電破壊は電子部品の取り扱いが不適切な場合に発生し、故障または間欠的な障害をもたらします。ネットワーク機器またはそのコンポーネントを扱うときは、静電気防止用ストラップを使用することを推奨します。
• 静電気防止用リストまたはアンクル ストラップを肌に密着させて着用してください。接続コードの装置側をルータの ESD 接続ソケット、またはシャーシの塗装されていない金属部分に接続します。
• カードを取り扱うときは、必ずイジェクト レバー(ある場合)または金属製キャリアだけを持ってください。ボードまたはコネクタ ピンには手を触れないでください。
• 取り外したライン カードは、ボード側を上向きにして、静電気防止用シートに置くか、静電気防止用袋に収めます。コンポーネントを返却する場合は、取り外したあと、ただちに静電気防止用袋に入れてください。
• カードと衣服が接触しないように注意してください。リスト ストラップは身体の静電気から基板を保護するだけです。衣服の静電気が、静電破壊の原因になることがあります。