PIM デンス モード ステート リフレッシュの前提条件
-
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能を設定するには、その前にインターフェイス上で PIM デンス モードをイネーブルにしておく必要があります。
この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能を設定するには、その前にインターフェイス上で PIM デンス モードをイネーブルにしておく必要があります。
PIM デンス モード ネットワーク内のすべてのルータは、ステート リフレッシュ制御メッセージを処理して転送するためには、PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能をサポートしているソフトウェア リリースを実行する必要があります。
ステート リフレッシュ制御メッセージの発信間隔は、同じ LAN 上のすべての PIM ルータで同じである必要があります。具体的には、LAN に直接接続されている各ルータ インターフェイスに同じ発信間隔を設定する必要があります。
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能は、PIM バージョン 2 マルチキャスト ルーティング アーキテクチャの拡張機能です。
PIM デンス モードは、フラッディング/プルーニング原則で動作するソース ベースのマルチキャスト配信ツリーを構築します。ソースからのマルチキャスト パケットは、PIM デンス モード ネットワークのすべてのエリアにフラッディングされます。マルチキャスト グループ メンバまたは PIM ネイバーに直接接続されていない PIM ルータは、マルチキャスト パケットを受信すると、ソース ベースの配信ツリーをバックアップするプルーニング メッセージをパケットのソースに向けて送信します。その結果、後続のマルチキャスト パケットは、配信ツリーのプルーニング済みブランチにはフラッディングされません。ところが、PIM デンス モードでのプルーニングされたステートは、およそ 3 分間ごとにタイムアウトし、PIM デンス モード ネットワーク全体が、マルチキャスト パケットとプルーニング メッセージで再フラッディングされます。PIM デンス モード ネットワーク全体の望ましくないトラフィックの再フラッディングは、ネットワーク帯域幅を消費します。
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能は、定期的に制御メッセージをソース ベースの配信ツリーの下流へと転送することにより、PIM デンス モードのプルーニングされたステートをタイムアウトしないように維持します。制御メッセージによって、配信ツリー内の各ルータの発信インターフェイスのプルーニング状態が更新されます。
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能は、PIM デンス モードでのプルーニングされたステートをタイムアウトしないようにします。これは、PIM デンス モード ネットワークのプルーニングされたブランチへの不要なマルチキャスト トラフィックの再フラッディングを大幅に低減することにより、ネットワーク帯域幅を節約します。また、この機能によって、PIM デンス モード マルチキャスト ネットワーク内の PIM ルータは、デフォルトの 3 分間のステート リフレッシュ タイムアウト期間の前に、トポロジの変更(マルチキャスト グループに参加する送信元またはマルチキャスト グループから脱退した送信元)を認証することができます。
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能を有効にするための設定作業はありません。デフォルトでは、PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能をサポートする Cisco IOS XE ソフトウェア リリースを実行するすべての PIM ルータが、ステート リフレッシュ制御メッセージを自動的に処理し、転送します。
PIM ルータ上でのステート リフレッシュ制御メッセージの処理と転送をディセーブルにするには、ip pim state-refresh disable グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。無効になっているステート リフレッシュを再度有効にするには、no ip pim state-refresh disable グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
ステート リフレッシュ制御メッセージの発生はデフォルトで無効になっています。PIM ルータ上の制御メッセージの発生を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで始めて、次のコマンドを使用します。
コマンド(Command) |
目的 |
---|---|
|
インターフェイスを指定し、ルータをインターフェイス コンフィギュレーション モードにします。 |
|
PIM デンス モード ステート リフレッシュ制御メッセージの発生を設定します。必要に応じて、interval 引数を使用して、制御メッセージ間の秒数を設定できます。デフォルト インターバルは 60 秒です。指定できる間隔の範囲は 1 ~ 100 秒です。 |
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能が正しく設定されているかを確認するには、show ip pim interface [type number ] detail および show ip pim neighbor [interface ] コマンドを使用します。次の show ip pim interface [type number ] detail コマンドの出力は、ステート リフレッシュ制御メッセージの処理、転送、および発信が有効になっていることを示します。
Router# show ip pim interface fastethernet 0/1/0 detail
FastEthernet0/1/0 is up, line protocol is up
Internet address is 172.16.8.1/24
Multicast switching:process
Multicast packets in/out:0/0
Multicast boundary:not set
Multicast TTL threshold:0
PIM:enabled
PIM version:2, mode:dense
PIM DR:172.16.8.1 (this system)
PIM neighbor count:0
PIM Hello/Query interval:30 seconds
PIM State-Refresh processing:enabled
PIM State-Refresh origination:enabled, interval:60 seconds
PIM NBMA mode:disabled
PIM ATM multipoint signalling:disabled
PIM domain border:disabled
Multicast Tagswitching:disabled
次の show ip pim neighbor [interface ] コマンド出力の Mode フィールドに表示されている S は、ネイバーの PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能が設定されていることを示します。
Router# show ip pim neighbor
PIM Neighbor Table
Neighbor Interface Uptime/Expires Ver DR
Address Priority/Mode
172.16.5.1 Ethernet1/1 00:09:03/00:01:41 v2 1 / B S
以下に、debug ip pim 特権 EXEC コマンドをマルチキャスト グループ 239.0.0.1 に設定した後に PIM ルータで送受信される PIM デンス モード ステート リフレッシュ制御メッセージを示します。
Router# debug ip pim 239.0.0.1
*Mar 1 00:25:10.416:PIM:Originating refresh message for
(172.16.8.3,239.0.0.1)
*Mar 1 00:25:10.416:PIM:Send SR on GigabitEthernet1/1/0 for (172.16.8.3,239.0.0.1)
TTL=9
show ip mroute コマンドが表示する次の出力は、GigabitEthernet インターフェイス 1/0/0 およびマルチキャスト グループ 239.0.0.1 に得られたプルーニング タイマーの変更です。(次の出力は、debug ip pim 特権 EXEC コマンドがルータにすでに設定されていると仮定しています)。show ip mroute コマンドからの最初の出力では、プルーニング タイマーは 00:02:06 と示しています。このデバッグ メッセージは、PIM デンス モード ステート リフレッシュ制御メッセージがイーサネット インターフェイス 1/0 で送受信され、他の PIM デンス モード ステート リフレッシュ ルータが検出されたことを示します。show ip mroute コマンドからの 2 番目の出力では、プルーニング タイマーが 00:02:55 にリセットされています。
Router# show ip mroute 239.0.0.1
(172.16.8.3, 239.0.0.1), 00:09:50/00:02:06, flags:PT
Incoming interface:GigabitEthernet1/1/0, RPF nbr 172.16.5.2
Outgoing interface list:
GigabitEthernet1/0/0, Prune/Dense, 00:09:43/00:02:06
Router#
*Mar 1 00:32:06.657:PIM:SR on iif from 172.16.5.2 orig 172.16.8.1 for
(172.16.8.3,239.0.0.1)
*Mar 1 00:32:06.661: flags:prune-indicator
*Mar 1 00:32:06.661:PIM:Cached metric is [0/0]
*Mar 1 00:32:06.661:PIM:Keep RPF nbr 172.16.5.2
*Mar 1 00:32:06.661:PIM:Send SR on Ethernet1/0 for (172.16.8.3,239.0.0.1)
TTL=8
*Mar 1 00:32:06.661: flags:prune-indicator
Router# show ip mroute 239.0.0.1
(172.16.8.3, 239.0.0.1), 00:10:01/00:02:55, flags:PT
Incoming interface:GigabitEthernet1/1/0, RPF nbr 172.16.5.2
Outgoing interface list:
GigabitEthernet1/0/0, Prune/Dense, 00:09:55/00:02:55
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 0/1/0 で PIM デンス モード ステート リフレッシュ制御メッセージを 60 秒ごとに発信、処理および転送している PIM ルータの例を示します。
ip multicast-routing distributed
interface FastEthernet0/1/0
ip address 172.16.8.1 255.255.255.0
ip pim state-refresh origination-interval 60
ip pim dense-mode
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 1/1/0 で PIM デンス モード ステート リフレッシュ制御メッセージを処理および転送しているだけの PIM ルータの例を示します。
ip multicast-routing
interface FastEthernet1/1/0
ip address 172.16.7.3 255.255.255.0
ip pim dense-mode
関連項目 |
参照先 |
---|---|
この章で使用するコマンドの完全な構文および使用方法の詳細。 |
Command Reference (Catalyst 9500 Series Switches)の「IP マルチキャスト ルーティングのコマンド」の項を参照してください。 |
Cisco IOS コマンド |
MIB | MIB リンク |
---|---|
この機能がサポートする新しい MIB または変更された MIB はありません。また、この機能で変更された既存規格のサポートはありません。 |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、およびフィーチャ セットに関する MIB を探してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
説明 | リンク |
---|---|
シスコのサポート Web サイトでは、シスコの製品やテクノロジーに関するトラブルシューティングにお役立ていただけるように、マニュアルやツールをはじめとする豊富なオンライン リソースを提供しています。 お使いの製品のセキュリティ情報や技術情報を入手するために、Product Alert Tool(Field Notice からアクセス)、Cisco Technical Services Newsletter、Really Simple Syndication(RSS)フィードなどの各種サービスに加入できます。 シスコのサポート Web サイトのツールにアクセスする際は、Cisco.com のユーザ ID およびパスワードが必要です。 |
次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースのみを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよび Cisco ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
機能名(Feature Name) |
リリース |
機能情報 |
---|---|---|
IP マルチキャストの最適化:PIM デンス モード ステート リフレッシュ |
Cisco IOS XE Everest 16.5.1a |
PIM デンス モード ステート リフレッシュ機能は、PIM バージョン 2 マルチキャスト ルーティング アーキテクチャの拡張機能です。PIM デンス モードは、フラッディング/プルーニング原則で動作するソース ベースのマルチキャスト配信ツリーを構築します。ソースからのマルチキャスト パケットは、PIM デンス モード ネットワークのすべてのエリアにフラッディングされます。 この機能は、次のプラットフォームに実装されていました。
|