ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバー
Cisco Nonstop Forwarding(NSF)は、ステートフル スイッチオーバー(SSO)と連動します。NSF は、SSO と連動して、スイッチオーバー後にユーザがネットワークを使用できない時間を最小限に抑えます。NSF の主な目的は、ルート プロセッサ(RP)のスイッチオーバー後に、引き続き IP パケットを転送することです。
機能情報の確認
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報および警告については、使用するプラットフォームおよびソフトウェア リリースの Bug Search Tool およびリリース ノートを参照してください。このモジュールに記載されている機能の詳細を検索し、各機能がサポートされているリリースのリストを確認する場合は、このモジュールの最後にある機能情報の表を参照してください。
プラットフォームのサポートおよび Cisco ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーの前提条件
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NSF は、SSO が設定されているネットワーク デバイスに設定する必要があります。
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NSF で Border Gateway Protocol(BGP)に対応するには、ネイバー ネットワーキング デバイスが NSF 認識である必要があります。つまり、デバイスにはグレースフル リスタート機能があり、セッション確立中に OPEN メッセージ内でこの機能がアドバタイズされる必要があります。NSF 対応デバイスが特定の BGP ネイバーにグレースフル リスタート機能がないことを検出すると、そのネイバーとは NSF 対応セッションを確立しません。グレースフル リスタート機能のある他のすべてのネイバーは、この NSF 対応ネットワーキング デバイスと NSF 対応セッションを継続します。
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NSF で Open Shortest Path First(OSPF)に対応するには、すべてのネイバー ネットワーキング デバイスが NSF 認識である必要があります。NSF 対応デバイスが特定のネットワーク セグメントで NSF 非認識ネイバーを検出すると、そのセグメントについては NSF 機能をディセーブルにします。NSF 対応または NSF 認識デバイスばかりで構成された他のネットワーク セグメントは、継続して NSF 機能を提供します。
ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーの制約事項
NSF with SSO の制約事項を次に示します。
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IP マルチキャスト ルーティングは SSO を認識しないため、NSF はサポートされません。
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NSF が動作するには、SSO をデバイス上に設定する必要があります。
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グレースフル リスタート機能をサポートするためには、すべてのレイヤ 3 のネイバー デバイスが NSF Helper または NSF 対応である必要があります。
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IETF の場合、すべてのネイバー デバイスで NSF 認識ソフトウェア イメージが実行されている必要があります。
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ホット スタンバイ ルーティング プロトコル(HSRP)は、NSF SSO でサポートされていません。HSRP を NSF SSO で使用しないでください。
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NSF 認識デバイスは、2 台の NSF 対応ピアが 1 つの NSF の再起動処理を同時に実行することはサポートしません。ただし、NSF 再起動処理が完了した後で、両方のネイバーがピアリング セッションを確立することは可能です。
NSF with SSO に関する情報
ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーの概要
Cisco Nonstop Forwarding(NSF)は、ステートフル スイッチオーバー(SSO)と連動します。デバイスは、アクティブ デバイスが使用できなくなった場合にスタンバイ スイッチが処理を引き継ぐようにすることで障害耐性をサポートします。NSF は SSO と連動して、ネットワークが使用できない時間を最小限に抑えます。
通常、ネットワーキング デバイスが再起動すると、そのデバイスのすべてのルーティング ピアは、デバイスがダウンし、そのあと再びアップになったことを検知します。このような移行によって、いわゆるルーティング フラップが発生します。ルーティング フラップは、複数のルーティング ドメインに広がる場合があります。ルーティングの再起動によって発生したルーティング フラップによって、ルーティングが不安定になります。これはネットワーク全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。Cisco NSF は、SSO 対応のデバイスにおけるルーティング フラップを抑止することによって、ネットワークの安定性を保ちます。
Cisco NSF と SSO により、スイッチオーバー後にルーティング プロトコル情報が復元される間も、既知のルートでデータ パケットの転送が続行されます。NSF/SSO を使用すると、ピア ネットワーキング デバイスでルーティング フラップが発生しません。データ トラフィックはインテリジェント ラインカードまたはデュアル フォワーディング プロセッサ(FP)を介して転送されますが、スタンバイ RP では、スイッチオーバー中に障害が発生したアクティブな RP からの制御と見なされます。スイッチオーバー中にラインカードおよび FP のアップ状態を保ち、アクティブ RP の転送情報ベース(FIB)を最新の状態に維持する機能は、Cisco NSF/SSO の動作で非常に重要です。
NSF は、次のような利点を提供します。
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ネットワークのアベイラビリティの向上:NSF は、ユーザのセッション情報がスイッチオーバー後も維持されるように、ネットワーク トラフィックとアプリケーションのステート情報を転送し続けます。
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ネットワーク全体の安定性:ネットワークの安定性は、ネットワーク内でデバイスに障害が発生し、ルーティング テーブルが失われたときに作成されるルート フラップの数を減らすことで改善できます。
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ネイバー デバイスがリンク フラップを検出しない:インターフェイスはスイッチオーバーの間アップ状態のままなので、ネイバー デバイスはリンク フラップを検出しません(リンクがダウンしてアップに戻ることはありません)。
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ルーティング フラップの回避:SSO がスイッチオーバー時にネットワーク トラフィックを転送し続けるので、ルーティング フラップが回避されます。
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スイッチオーバーの前に確立したユーザ セッションを維持します。
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スタンバイ デバイスが応答しない場合は、新しいスタンバイ デバイスがスタンバイ用に選択されます。
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アクティブ デバイスが応答しない場合は、スタンバイ デバイスがアクティブ デバイスになります。
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スタック メンバーが応答しない場合は、そのメンバーがスタックから削除されます。
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スタンバイ デバイスが応答しない場合は、新しいスタンバイ デバイスが選択されます。
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アクティブ デバイスが応答しない場合は、スタンバイ デバイスがアクティブ デバイスになります。
SSO の動作
スタンバイ デバイスは、SSO モードで稼働する場合、完全に初期化されたステートで起動し、アクティブ デバイスの固定コンフィギュレーションおよび実行コンフィギュレーションと同期されます。その後は、次のプロトコルのステートを維持し、SSO をサポートする機能に関するハードウェアおよびソフトウェア ステートのすべての変更を同期します。そのため、冗長アクティブ デバイス構成内のレイヤ 2 セッションへの割り込みは最小限になります。
アクティブ デバイスに障害が生じると、スタンバイ デバイスがアクティブ デバイスになります。この新しいアクティブ デバイスは既存のレイヤ 2 スイッチング情報を使用して、トラフィックの転送を続けます。ルーティング テーブルが新しいアクティブ デバイスに再度読み込まれるまで、レイヤ 3 の転送は延期されます。
次の機能のステートは、アクティブ デバイスとスタンバイ デバイスの両方に保存されます。
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802.3
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802.3u
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802.3x(フロー制御)
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802.3ab(GE)
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802.3z(CWDM を含めたギガビット イーサネット)
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802.3ad(LACP)
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802.1p(レイヤ 2 QoS)
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802.1q
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802.1X(認証)
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802.1D(スパニングツリー プロトコル)
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802.3af(インライン パワー)
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PAgP
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VTP
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ダイナミック ARP インスペクション
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DHCP スヌーピング
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IP ソース ガード
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IGMP スヌーピング(バージョン 1 および 2)
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DTP(802.1Q および ISL)
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MST
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PVST+
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Rapid PVST
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PortFast/UplinkFast/BackboneFast
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BPDU ガードおよびフィルタリング
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ボイス VLAN
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ポート セキュリティ
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ユニキャスト MAC フィルタリング
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ACL(VACL、PACL、RACLS)
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QoS(DBL)
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マルチキャスト ストーム制御/ブロードキャストストーム制御
SSO は、次の機能と互換性があります。ただし、次の機能のプロトコル データベースはスタンバイ スイッチとアクティブ スイッチの間で同期されません。
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レイヤ 2 プロトコル トンネリング(L2PT)を備えた 802.1Q トンネリング
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ベビー ジャイアント
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ジャンボ フレーム サポート
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Cisco Discovery Protocol
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フラッディング ブロック
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UDLD
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SPAN/RSPAN
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NetFlow
SSO がイネーブルにされている場合、デバイス上のすべてのレイヤ 3 プロトコルが、スタンバイ デバイスで学習されます。
NSF の動作
ノンストップ フォワーディング(NSF)は常にステートフル スイッチオーバー(SSO)とともに実行され、レイヤ 3 トラフィックの冗長性を確保します。NSF は BGP、EIGRP、OSPF ルーティング プロトコルでサポートされ、転送は Cisco Express Forwarding(CEF)でサポートされています。これらルーティング プロトコルは NSF 対応および NSF 認識で機能が強化されており、これらプロトコルを実行するデバイスはスイッチオーバーを検出できるほか、ネットワーク トラフィックの転送を継続するために必要なアクションやピア デバイスからのルート情報を回復するのに必要なアクションを実行できます。
スイッチオーバー時、ルーティング プロトコルがルーティング情報ベース(RIB)テーブルを再作成している間、それぞれのプロトコルは Cisco Express Forwarding を使用してパケットの転送を継続します。ルーティング プロトコルの収束後、Cisco Express Forwarding は FIB テーブルを更新し、古いルート エントリを削除します。次に、Cisco Express Forwarding は新しい FIB 情報でハードウェアを更新します。
アクティブ デバイスが BGP(graceful-restart コマンドを使用)、OSPF、または EIGRP ルーティング プロトコル用に設定されている場合、ルーティングの更新はアクティブ デバイスの選択時に自動的に送信されます。
NSF は 2 つの主要な要素で構成されています。
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NSF 認識:ネットワーキング デバイスが NSF 互換ソフトウェアを実行している場合、このデバイスは NSF 認識です。アクティブ デバイスの選択が行われていても NSF デバイスがまだパケットを転送できることをネイバー デバイスが検出する場合、この機能のことを NSF 認識といいます。レイヤ 3 ルーティング プロトコル(BGP、OSPF、EIGRP)の拡張機能は、Cisco Express Forwarding ルーティング テーブルが時間切れにならないように、または NSF デバイスがルートをドロップしないように、ルート フラッピングを防ぐよう設計されています。NSF 認識デバイスは、ルーティング プロトコル情報をネイバー NSF デバイスに送信します。NSF 認識は、EIGRP スタブ、EIGRP、OSPF プロトコルに対してはデフォルトでイネーブルになります。NSF 認識は BGP に対してデフォルトではディセーブルに設定されています。
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NSF 対応:NSF をサポートするようにデバイスを設定した場合、そのデバイスは NSF 対応になります。NSF 認識ネイバーまたは NSF 対応ネイバーからルーティング情報を再構築します。NSF は SSO と連動して IP パケットを転送し続けることにより、アクティブ デバイスの選択後にレイヤ 3 ネットワークを利用できない時間を最小限にします。レイヤ 3 ルーティング プロトコル(BGP、OSPFv2、EIGRP)の再コンバージェンスは、ユーザが意識する必要がなく、バックグラウンドで自動的に実行されます。ルーティング プロトコルはネイバー デバイスからルーティング情報を回復し、Cisco Express Forwarding(CEF)テーブルを再構築します。
Cisco Express Forwarding; シスコ エクスプレス フォワーディング
Cisco IOS ノンストップ フォワーディング(NSF)の重要な要素は、パケット転送です。シスコのネットワーキング デバイスでは、Cisco Express Forwarding がパケット転送を行います。Cisco Express Forwarding は、転送情報ベース(FIB)を維持し、スイッチオーバー時はその時点で最新の FIB 情報を使用してパケットの転送を継続し、スイッチオーバー時のトラフィックの中断を軽減します。
通常の NSF 操作中、アクティブなデバイス上の Cisco Express Forwarding は、現在の FIB と隣接データベースを、スタンバイ デバイス上の FIB および隣接データベースと同期します。スイッチオーバー時、最初にスタンバイ デバイス上にある FIB および隣接データベースは、アクティブ デバイス上で最新だった FIB と隣接データベースのミラー イメージです。スタンバイ デバイス上の Cisco Express Forwarding は、アクティブ デバイス上の Cisco Express Forwarding によって送信された変更点を反映させて、転送エンジンを最新の状態に保ちます。転送エンジンは、インターフェイスおよびデータ パスが使用可能になりしだい、スイッチオーバー後も転送を継続できます。
ルーティング プロトコルはプレフィックス単位で RIB の再読み込みを始めるため、Cisco Express Forwarding にはプレフィックス単位のアップデートが行われ、これが FIB と隣接データベースの更新に使用されます。既存エントリと新規エントリには、最新であることを示す新しいバージョン(「エポック」)番号が付けられます。転送エンジンでは、コンバージェンス中に転送情報が更新されます。RIB が収束すると、デバイスが信号通知を行います。ソフトウェアは、現在のスイッチオーバー エポックよりも前のエポックを持った FIB および隣接エントリをすべて削除します。これで FIB は最新のルーティング プロトコル転送情報を表示するようになります。
ルーティング プロトコル
ルーティング プロトコルは、アクティブな RP だけで実行され、ネイバー デバイスからルーティングの更新を受信します。ルーティング プロトコルは、スタンバイ RP では実行されません。スイッチオーバー後、ルーティング プロトコルは、ルーティング テーブルを再構築しやすいように NSF 認識ネイバー デバイスにステート情報を送信するよう要求します。また、ネイバー デバイスが NSF 認識ではない環境にある NSF 対応デバイスのルーティング テーブルの再構築では、アクティブ RP からスタンバイ RP にステート情報を同期するように IS-IS(Intermediate System-to-Intermediate System)プロトコルを設定できます。
(注) |
NSF 動作の場合、ルーティング プロトコルは Cisco Express Forwarding に応じて、ルーティング情報を再構築するとともにパケットの転送を続行します。 |
BGP の動作
NSF 対応のデバイスは、BGP ピアと BGP セッションを開始すると、OPEN メッセージをピアに送信します。メッセージには、NSF 対応デバイスには「グレースフル」リスタート機能があるという宣言が含まれます。グレースフル リスタートは、BGP ルーティング ピアがスイッチオーバーのあとにルーティング フラップが発生するのを防ぐメカニズムです。BGP ピアはこの機能がある場合、メッセージを送信するデバイスが NSF 対応であることを認識しています。NSF 対応デバイスと BGP ピアの両方が、セッションの確立時に OPEN メッセージでグレースフル リスタート機能を交換する必要があります。両方のピアがグレースフル リスタート機能を交換しない場合、セッションはグレースフル リスタート対応になりません。
RP のスイッチオーバー中に BGP セッションが切断された場合、NSF 認識 BGP ピアは、NSF 対応デバイスに関連付けられたすべてのルートを失効とマーキングします。ただし、所定の時間内は、引き続きこれらのルートを転送の決定に使用します。この機能により、新しくアクティブになった RP が BGP ピアとのルーティング情報のコンバージェンスを待機している間にパケットが消失することを防ぐことができます。
RP のスイッチオーバーが発生した後、NSF 対応デバイスは BGP ピアとのセッションを再確立します。新しいセッションの確立中に、NSF 対応デバイスが再起動したことを識別する、新しいグレースフル リスタート メッセージを送信します。
この時点で、ルーティング情報は 2 つの BGP ピアの間で交換されます。この交換が完了すると、NSF 対応デバイスはルーティング情報を使用して、RIB と FIB を新しい転送情報で更新します。NSF 認識デバイスは、ネットワーク情報を使用して失効したルートを BGP テーブルから削除します。この後 BGP プロトコルが完全に収束します。
BGP ピアがグレースフル リスタート機能をサポートしていない場合、OPEN メッセージのグレースフル リスタート機能は無視しますが、NSF 対応デバイスとの BGP セッションは確立します。この機能により、非 NSF 認識 BGP ピアとのインターオペラビリティ(および NSF 機能が無いインターオペラビリティ)は可能になりますが、非 NSF 認識 BGP ピアとの BGP セッションはグレースフル リスタート対応になりません。
(注) |
NSF の BGP サポートでは、ネイバー ネットワーキング デバイスが NSF 認識である必要があります。つまり、デバイスにはグレースフル リスタート機能があり、セッション確立中に OPEN メッセージ内でこの機能をアドバタイズする必要があります。NSF 対応デバイスが特定の BGP ネイバーにグレースフル リスタート機能がないことを検出すると、そのネイバーとは NSF 対応セッションを確立しません。グレースフル リスタート機能のある他のネイバーはすべて、NSF 対応ネットワーキング デバイスとの NSF 対応セッションを維持し続けます。 |
EIGRP の動作
Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)NSF 機能は、hello パケットで EIGRP ピアによって交換されます。NSF 対応デバイスは、hello パケットで再起動(RS)ビットを設定したことによって NSF の再起動処理が開始されたことをネイバーに通知します。NSF 認識デバイスが NSF 対応ネイバーから、NSF の再起動処理が進行中であるという通知を受け取ると、NSF 対応デバイスと NSF 認識デバイスは、即座にそれぞれのトポロジ テーブルを交換します。トポロジ テーブルの送信が完了すると、NSF 認識デバイスは end-of-table アップデート パケットを送信します。次に NSF 認識デバイスは、NSF 対応デバイスを支援するために次のアクションを実行します。
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EIGRP hello ホールド タイマーの期限を終了し、hello パケットの生成および送信の間隔を短くします。これにより、NSF 認識デバイスは NSF 対応デバイスにより早く応答することで、NSF 対応デバイスがネイバーを再検出し、トポロジ テーブルを再構築するために必要な時間を短縮します。
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ルート ホールド タイマーが開始されます。このタイマーを使用して、NSF 認識デバイスが NSF 対応ネイバーに対する既知のルートを保持している期間を設定します。このタイマーは、timers nsf route-hold コマンドで設定します。デフォルトの期間は 240 秒です。
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ピア リストで、NSF 認識デバイスは NSF 対応ネイバーが再起動していることを示すほか、隣接関係を維持し、NSF 認識デバイスがトポロジ テーブルを送信する準備ができていることを示す信号を NSF 対応ネイバーが送るまで、またはルート ホールド タイマーの期限が切れるまで、NSF 対応ネイバーの既知のルートを保持します。NSF 認識デバイスでルート ホールド タイマーの期限が切れると、NSF 認識デバイスは保持しているルートを破棄し、NSF 対応デバイスをネットワークに参加した新しいデバイスとして扱い、新しいデバイスに対して行うように隣接関係を再度確立します。
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NSF 認識デバイスは、スイッチオーバーの後、コンバージェンス処理中のままの NSF 対応デバイスにクエリーを送信し続けることによって、Stuck In Active(SIA)状態が発生するまでの時間を効果的に延長します。
スイッチオーバー処理が完了すると、NSF 対応デバイスは、サポートしているデバイスに end-of-table(EOT)アップデート パケットを送信することによって、再コンバージェンスされたこと、およびすべてのトポロジ テーブルを受信したことをネイバーに通知します。その後、NSF 対応デバイスは通常の処理に戻ります。NSF 認識デバイスは、(再起動中の)NSF 対応デバイスでリフレッシュされないルートに対して、(アクティブな)別のパスを探します。その後、NSF 認識デバイスは通常の処理に戻ります。NSF 対応デバイスによってすべてのパスがリフレッシュされると、NSF 認識デバイスはすぐに通常の処理に戻ります。
(注) |
NSF 認識デバイスは、EIGRP ネットワーク内で NSF 非認識ネイバーまたは NSF 非対応ネイバーと完全に共存できます。NSF 非認識ネイバーは、NSF 対応を無視し、隣接関係をリセットするか、そうでなければピア セッションを正常に維持します。 |
OSPF の動作
OSPF NSF 対応デバイスがスーパーバイザ エンジンのスイッチオーバーを実行する場合、ルータは OSPF ネイバーとリンク ステート データベースを再同期化するため、次の作業を行う必要があります。
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ネイバー関係をリセットしないで、ネットワーク上で利用できる OSPF ネイバーを再学習する。
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ネットワークのリンクステート データベースの内容を再取得する。
スーパーバイザ エンジン スイッチオーバーのあと、NSF 対応デバイスはできるだけ迅速に OSPF NSF 信号をネイバー NSF 認識デバイスに送信します。ネイバー ネットワーキング デバイスはこの信号により、このデバイスとのネイバー関係をリセットしてはいけないことを認識します。NSF 対応デバイスはネットワーク上の他のデバイスから信号を受信し、ネイバー リストの再構築を開始できます。
ネイバー関係が再構築されると、NSF 対応デバイスはすべての NSF 認識ネイバーとデータベースの再同期化を始めます。この時点でルーティング情報は OSPF ネイバーの間で交換されます。交換が完了すると、NSF 対応デバイスはルーティング情報を使用して、失効ルートを削除し、RIB を更新して、新しい転送情報で FIB を更新します。その後、OSPF プロトコルは完全に収束されます。
(注) |
OSPF NSF では、すべてのネイバー ネットワーキング デバイスが NSF を認識する必要があります。NSF 対応デバイスは、特定のネットワーク セグメントで NSF 非認識ネイバーを検出すると、そのセグメントでは NSF 機能をディセーブルにします。NSF 対応または NSF 認識デバイスばかりで構成された他のネットワーク セグメントは、継続して NSF 機能を提供します。 |
Cisco NSF with SSO の設定方法
SSO の設定
あらゆるサポート対象プロトコルを持った NSF を使用するには、SSO を設定する必要があります。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
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ステップ 1 |
enable 例:
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特権 EXEC モードをイネーブルにします。
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ステップ 2 |
show redundancy states 例:
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動作中の冗長モードを表示します。 |
ステップ 3 |
redundancy 例:
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冗長コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
mode sso 例:
|
ステートフル スイッチオーバーを設定します。
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ステップ 5 |
end 例:
|
冗長コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show redundancy states 例:
|
動作中の冗長モードを表示します。 |
ステップ 7 |
debug redundancy status 例:
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冗長ステータス イベントのデバッグを有効にします。 |
ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーの設定例
例:SSO の設定
次に、SSO 対応としてシステムを設定し、冗長ステートを表示する例を示します。
Device(config)# redundancy
Device(config-red)# mode sso
Device(config-red)# end
Device#
show redundancy states
my state = 13 -ACTIVE
peer state = 8 -STANDBY HOT
Mode = Duplex
Unit = Primary
Unit ID = 5
Redundancy Mode (Operational) = sso
Redundancy Mode (Configured) = sso
Split Mode = Disabled
Manual Swact = Enabled
Communications = Up
client count = 29
client_notification_TMR = 30000 milliseconds
keep_alive TMR = 9000 milliseconds
keep_alive count = 1
keep_alive threshold = 18
RF debug mask = 0x0
Cisco Express Forwarding NSF の確認
手順
show cef state ネットワーク デバイスでの Cisco Express Forwarding のステートを表示します。 例:
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ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーに関するその他の関連資料
関連資料
関連項目 | 参照先 |
---|---|
この章で使用するコマンドの完全な構文および使用方法の詳細。 |
『High Availability Commands』 |
MIB
MIB | MIB リンク |
---|---|
本リリースでサポートするすべての MIB |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、およびフィーチャ セットに関する MIB を探してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
テクニカル サポート
説明 | リンク |
---|---|
シスコのサポート Web サイトでは、シスコの製品やテクノロジーに関するトラブルシューティングにお役立ていただけるように、マニュアルやツールをはじめとする豊富なオンライン リソースを提供しています。 お使いの製品のセキュリティ情報や技術情報を入手するために、Product Alert Tool(Field Notice からアクセス)、Cisco Technical Services Newsletter、Really Simple Syndication(RSS)フィードなどの各種サービスに加入できます。 シスコのサポート Web サイトのツールにアクセスする際は、Cisco.com のユーザ ID およびパスワードが必要です。 |
ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバーの機能の履歴と情報
次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースのみを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよび Cisco ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
機能名 |
リリース |
機能情報 |
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ノンストップ フォワーディング/ステートフル スイッチオーバー |
Cisco IOS XE Everest 16.6.1 |
Cisco NSF は、SSO 機能と連動します。NSF は、SSO と連動して、スイッチオーバー後にユーザがネットワークを使用できない時間を最小限に抑えます。NSF の主な目的は、ルート プロセッサ(RP)のスイッチオーバー後に、引き続き IP パケットを転送することです。 |