configure replace 特権 EXEC コマンドにより、現在の実行コンフィギュレーションを、保存しておいた Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルで置換することができます。この機能は、コンフィギュレーションを保存しておいた状態へ戻すために使用することができ、そのコンフィギュレーション状態が保存された後にどのような変更が加えられても、効果的にロールバックさせることができます。
configure replace コマンドを使用するときは、現在の実行コンフィギュレーションと置換するための、保存された Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを指定する必要があります。置換ファイルは、Cisco IOS デバイスによって作成された完全なコンフィギュレーション(copy running-config destination-url コマンドによって作成されたものなど)であることが必要です。あるいは、置換ファイルを外部的に作成する場合は Cisco IOS デバイスが作成するファイル形式に完全に準拠していなければなりません。configure replace コマンドを入力すると、現在の実行コンフィギュレーションが指定された置換コンフィギュレーションと比較され、一連の diff が生成されます。2 つのファイルの比較に使用されるアルゴリズムは、show archive config differences コマンドで使用されるものと同じです。置換コンフィギュレーションの状態になるよう、diff の結果が Cisco IOS パーサーによって適用されます。diff のみが適用されるため、現在の実行コンフィギュレーション上にすでに存在していた設定コマンドを再適用することにより生じる、潜在的なサービスの中断を避けられます。このアルゴリズムでは、順序に依存するコマンド(アクセス
リストなど)へのコンフィギュレーション変更を、複数のパス プロセスを通して効果的に実行します。通常の環境では、コンフィギュレーション置換操作の完了に必要なパスは 3 つまでであり、ループ動作を防ぐためのパスは最大 5 つまでに制限されます。
Cisco IOS copy source-url running-config 特権 EXEC コマンドは、保存された Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを実行コンフィギュレーションへコピーするためによく使用されます。copy source-url running-config コマンドを configure replace target-url 特権 EXEC コマンドの代わりに使用する場合、主な相違点として次の点に注意が必要です。
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copy source-url running-config コマンドはマージ動作であり、ソースファイルと現在の実行コンフィギュレーションの両方のコマンドがすべて保持されます。このコマンドでは、現在の実行コンフィギュレーションにのみ含まれ、ソース ファイルには存在しないコマンドが削除されることはありません。これに対して、configure replace target-url コマンドでは、置換ファイルに存在しないコマンドが現在の実行コンフィギュレーションから削除され、追加する必要のあるコマンドが現在の実行コンフィギュレーションに追加されます。
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copy source-url running-config コマンドでは、現在の実行コンフィギュレーションにすでに存在しているかどうかにかかわらず、ソースファイル中のすべてのコマンドが適用されます。このアルゴリズムは効率的でない上、場合によってはサービスの停止が発生します。これに対して、configure replace target-url コマンドでは適用が必要なコマンドのみを適用し、現在の実行コンフィギュレーションに存在しているコマンドは再適用されません。
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copy source-url running-config コマンドでは部分的なコンフィギュレーション ファイルもコピー元として使用できますが、configure replace target-url コマンドの置換ファイルとして使用できるのは、完全な Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルのみです。
コンフィギュレーション置換操作にロック機能が導入されました。configure replace コマンドが使用されると、コンフィギュレーション置換の動作中、デフォルトで実行コンフィギュレーション ファイルがロックされます。このロック メカニズムによって、置換動作の実行中に他のユーザーが実行コンフィギュレーションを変更しようとしたために、置換動作の不正終了が発生することを防止できます。no lock キーワードを configure replace コマンドの実行時に使用すると、実行コンフィギュレーションのロックをディセーブルにできます。
実行コンフィギュレーションのロックは、コンフィギュレーションの置換動作終了時に自動的にクリアされます。show configuration lock コマンドを使用すると、現在実行コンフィギュレーションに適用されているロックをすべて表示できます。