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この章では、IP サービス レベル契約(SLA)UDP ジッター動作を設定して、IPv4 ネットワークで UDP トラフィックを伝送するネットワークのラウンド トリップ遅延、一方向遅延、一方向ジッター、一方向パケット損失、および接続を分析する方法について説明します。この章では、UDP ジッター動作を使用して収集されたデータを Cisco ソフトウェア コマンドを使用して表示および分析する方法についても説明します。
この章は、次の項で構成されています。
IP SLA UDP ジッター動作では、Voice over IP(VoIP)、Video over IP、またはリアルタイム会議などのリアルタイム トラフィックのアプリケーションのネットワーク適合性を診断することができます。
ジッターとは、パケット間の遅延のばらつきを意味します。複数のパケットが発信元から宛先に連続的に送信された場合、たとえば 10 ms 間隔で送信された場合、ネットワークが理想的に動作していれば、宛先は 10 ms 間隔でパケットを受信します。しかし、ネットワーク内に遅延(キューイング、代替ルートを介した受信など)が存在する場合、パケット間の到着遅延は、10 ms より大きい場合も、10 ms より小さい場合もあります。この例を使用すると、正のジッタ値は、パケットの到着間隔が 10 ミリ秒を超えていることを示します。パケットが 12 ms 間隔で到着する場合、正のジッターは 2 ms です。パケットが 8 ms 間隔で到着する場合、負のジッターは 2 ms です。VoIP など遅延に影響されやすいネットワークでは、正のジッター値は望ましくありません。0 のジッター値が理想的です。
しかし、IP SLA UDP ジッタ動作の機能は、ジッタのモニタリングだけではありません。UDP ジッター動作には IP SLA UDP 動作によって返されたデータが含まれているため、UDP ジッター動作は多目的データ収集動作に使用できます。IP SLA が生成するパケットは、シーケンス情報を送受信するパケット、および送信元および動作ターゲットからのタイム スタンプを送受信するパケットを搬送します。UDP ジッター動作では、以下を測定できます。
データの送信と受信でパスが異なることがあるので(非対称)、方向別データを使用してネットワークの輻輳などの問題が発生している場所を簡単に特定できます。
UDP ジッター動作は、合成(シミュレーション)UDP トラフィックを生成して機能します。UDP ジッター動作は、指定された頻度 F で、送信元スイッチからターゲット スイッチに、サイズ S の N 個の UDP パケットを T ミリ秒間隔で送信します。デフォルトでは、ペイロード サイズが 10 バイト(S)のパケット フレーム 10 個(N)を 10 ミリ秒(T)ごとに生成し、60 秒(F)ごとに動作を繰り返します。これらのパラメータはそれぞれ、次の表に示すように、ユーザが設定できます。
UDP ジッター動作パラメータ |
デフォルト |
コマンド |
パケット数(n) |
10 パケット |
udp-jitter コマンド、numpackets オプション |
パケットあたりのペイロード サイズ(S) |
32 バイト |
request-data-size コマンド |
パケット間隔(ミリ秒単位)(T) |
20 ms |
udp-jitter コマンド、interval オプション |
動作を繰り返すまでの経過時間(秒単位)(F) |
60 秒 |
frequency (IP SLA) コマンド |
IP SLA UDP ジッター動作を設定するための前提条件は次のとおりです。
IP SLA 動作を大規模なスケールで使用する場合、IP SLA パケットのパススルーを許可する特定の CoPP 設定が必要になる場合があります。IP SLA ではユーザ定義の UDP ポートを使用するため、コントロール プレーンへのすべての IP SLA パケットを許可する手段がありません。ただし、IP SLA が使用できる宛先/送信元ポートのそれぞれを指定することはできます。
IP SLA プローブ数の検証済みの拡張性に関する詳細については、『Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Verified Scalability Guide』を参照してください。
以下に、IP SLA パケットのパススルーを許可する CoPP 設定例を示します。この例では、宛先ポートと送信元ポートが 6500 ~ 7000 の範囲であることを前提としています。
ip access-list copp-system-sla-allow 10 remark ### ALLOW SLA control packets from 1.1.1.0/24 20 permit udp 1.1.1.0/24 any eq 1967 30 remark ### ALLOW SLA data packets from 1.1.1.0/24 using ports 6500-7000 40 permit udp 1.1.1.0/24 any range 6500 7000 statistics per-entry ip access-list copp-system-sla-deny 10 remark ### this is a catch-all to match any other traffic 20 permit ip any any statistics per-entry class-map type control-plane match-any copp-system-class-management-allow match access-group name copp-system-sla-allow class-map type control-plane match-any copp-system-class-management-deny match access-group name copp-system-sla-deny policy-map type control-plane copp-system-policy class copp-system-class-management-allow set cos 7 police cir 4500 kbps bc 250 ms conform transmit violate drop class copp-system-class-management-deny police cir 4500 kbps bc 250 ms conform drop violate drop control-plane service-policy input copp-system-policy
IP SLA は、netstack のローカル ポート範内のポートのみを受け入れます。プローブの設定で使用される送信元と宛先ポートは、SLA の送信元および SLA の応答側でサポートされる netstack のポートと一致する必要があります。
show sockets local-port-range コマンドを使用すると、送信元/応答側のポート範囲を表示できます。
次に、netstack のポート範囲の表示例を示します。
switch# show sockets local-port-range Kstack local port range (15001 - 22002) Netstack local port range (22003 – 65535)
ここでは、UDP ジッター動作を設定およびスケジュールする方法について説明します。
ここでは、宛先デバイスで Responder を設定する方法について説明します。
(注) | Responder では、同じ送信元に対して固定ポートを設定しないでください。Responder が同じ送信元に対して固定ポートを設定すると、パケットが正常に(タイムアウトまたはパケット損失の問題が発生せずに)送信されたとしても、ジッター値はゼロになります。 |
ここでは、送信元デバイスでの基本 UDP ジッター動作を設定およびスケジュールする方法について説明します。
トラップを生成する目的、または別の動作を開始する目的で、予防的しきい値条件と反応トリガーを追加するには、「予防的しきい値モニタリングの設定」の項を参照してください。
IP SLA 動作の結果を表示し、内容を確認するには、show ip sla statistics コマンドを使用します。サービス レベル契約の基準に対応するフィールドの出力を確認すると、サービス メトリックが許容範囲内であるかどうかを判断するのに役立ちます。
ここでは、追加特性を使用して UDP ジッター動作を設定およびスケジュールする方法について説明します。
送信元デバイスで UDP ジッタ動作を設定する前に、ターゲット デバイス(動作ターゲット)で IP SLA Responder をイネーブルにしておく必要があります。IP SLA Responder を使用できるのは、Cisco NX-OS ソフトウェア ベースのデバイスだけです。Responder をイネーブルにするために、「宛先デバイスの IP SLA Responder の設定」の項の作業を実行します。
トラップを生成する目的、または別の動作を開始する目的で、予防的しきい値条件と反応トリガーを追加するには、「予防的しきい値モニタリングの設定」の項を参照してください。
IP SLA 動作の結果を表示し、内容を確認するには、show ip sla statistics コマンドを使用します。サービス レベル契約の基準に対応するフィールドの出力を確認すると、サービス メトリックが許容範囲内であるかどうかを判断する役に立ちます。
以下に、動作 2 が最初の動作の 5 秒後に開始される UDP ジッター動作として設定されている、2 つの動作を示します。どちらの動作も無期限に実行されます。
feature sla sender ip sla 1 udp-jitter 20.0.10.3 65051 num-packets 20 request-data-size 160 tos 128 frequency 30 ip sla schedule 1 start-time after 00:05:00 ip sla 2 udp-jitter 20.0.10.3 65052 num-packets 20 interval 10 request-data-size 20 tos 64 frequency 30 ip sla schedule 2 start-time after 00:05:05
ターゲット(宛先)デバイスの設定は、次のとおりです。
feature sla responder ip sla responder