この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
MIB の一覧には、シスコ独自の MIB と、他の多くのInternet Engineering Task Force(IETF)標準 MIB が掲載されています。IETF 標準 MIB は Requests for Comments(RFC)で定義されています。特定の MIB 情報を入手するには、シスコ独自の MIB 構造と、ソフトウェアでサポートされている関連の IETF 標準 MIB を調べる必要があります。
ネットワーク管理は 2 つの主要なタイプのシステム間で行われます。これらのシステムは、管理システムと呼ばれる制御する側のシステムと、管理対象システムと呼ばれる監視/制御される側のシステムです。最も一般的な管理システムは、ネットワーク管理システム(NMS)と呼ばれます。管理対象システムとなるのは、ホスト、サーバ、またはスイッチやルータのようなネットワーク コンポーネントです。
相互運用性を向上させるために、協調するシステムの間では、プロトコルと呼ばれる共通のフレームワークおよび共通の言語が使用される必要があります。インターネット標準の管理フレームワークでは、そのプロトコルは簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)になります。
管理対象ネットワークの信頼できるパフォーマンスを確保するには、管理対象ネットワーク デバイスと安定した NMS の間で情報を交換する必要があります。一部のデバイスでは管理ソフトウェアを実行する能力が限られているため、コンピュータ処理の負荷の大部分は NMS にかかります。NMS では、Cisco Data Center Network Manager などのネットワーク管理アプリケーションを実行します。これらのアプリケーションによって、管理情報がネットワーク管理者およびその他のユーザに提供されます。
管理対象デバイスには、エージェントと呼ばれる低負荷の専用ソフトウェア モジュールがあります。このモジュールが各デバイスの情報にアクセスし、NMS に提供します。管理対象デバイスには多数の変数が設定されており、要求に応じて、NMS に報告されます。たとえば、管理対象デバイスが送受信したバイト数やパケット数、または送受信したブロードキャスト メッセージ数などのデータが、エージェントを通じて報告されます。SNMP では、これらの各変数は管理対象オブジェクトと呼ばれます。管理対象オブジェクトとは、管理可能なすべての要素、またはエージェントがアクセスして NMS に報告できる任意の要素を意味します。管理対象オブジェクトはすべて、管理対象オブジェクトのデータベースである MIB に保存されています。
NMS では、管理対象デバイスを制御する場合に、管理対象デバイスのエージェントに対して要求を送信します。それに応じて、デバイスでは 1 つまたは複数の変数値が変更されます。管理対象デバイス側で応答可能な要求には、set や get などがあります。NMS では、set 要求を使用して管理対象デバイスを制御し、get 要求を使用してデバイスを監視します。set 要求と get 要求は同期イベントであるため、NMS によってアクティビティが開始され、SNMP エージェントがそれに応答します。
管理対象デバイスからは、NMS に非同期イベントまたは SNMP 通知を送信することで、NMS に最新のイベントを通知できます。SNMP 通知(トラップまたはインフォーム)は多くの MIB に含まれており、NMS が管理対象デバイスに対して get 要求を送信する回数を減らすことができます。
ACI での SNMP のサポートは次のとおりです。
SNMP 読み取りクエリー(Get、Next、Bulk、Walk)は、リーフおよびスパイン スイッチと APIC によってサポートされます。
SNMP 書き込みコマンド(Set)は、リーフおよびスパイン スイッチまたは APIC によってサポートされません。
SNMP トラップ(v1、v2c、および v3)は、リーフおよびスパイン スイッチと APIC によってサポートされます。
(注) | ACI は最大 10 個のトラップ レシーバをサポートします。 |
SNMPv3 は、リーフおよびスパイン スイッチと APIC によってサポートされます。
リリース |
説明 |
---|---|
1.2(2) |
SNMP トラップの宛先として IPv6 サポートを追加。 |
1.2(1) |
APIC コントローラの SNMP サポートを追加。以前のリリースでは、リーフおよびスパイン スイッチについてのみ SNMP がサポートされています。 |
ACI でサポートされる MIB の完全なリストについては、http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/switches/datacenter/aci/apic/sw/1-x/mib/list/mib-support.html を参照してください。
SNMP システムは 3 つの要素から構成されています。SNMP マネージャ、SNMP エージェント、および MIB です。Cisco MIB は、既存のネットワーク管理ソフトウェアを使ってコンパイルできます。デバイス上で SNMP が設定されていれば、SNMP エージェントは NMS が送信した MIB 関連のクエリーに応答します。
SNMPv1 は、このプロトコルの最初のバージョンです。SNMPv2 では 64 ビット カウンタのサポートが追加され、SNMPv3 では、アクセスの強化されたセキュリティ、認証、および管理対象データの暗号化が追加されました。
動作 |
説明 |
---|---|
get-request |
特定の変数から値を取得します。 |
get-next-request |
指定された変数の次の値を取得します。多くの場合、テーブル内から変数を取得するために使用されます。1 |
get-bulk2 |
テーブル内の複数の行など、大きなデータ ブロックを取得します。これを使用すると、小さなデータ ブロックを何度も送信せずに済みます。 |
trap |
SNMP エージェントによる要求外のメッセージ(何らかのイベントの発生を伝えるメッセージ)を、SNMP マネージャに送信します。 |
特定のイベントが発生したときに SNMP マネージャに通知を SNMP トラップとして送信するようにソフトウェアを設定できます。
通知によって伝達されるステータスを明確にするために、通知には MIB 変数(変数バインド)のリストが含まれる場合があります。通知に関連付けられている変数バインドのリストは、MIB 内の通知の定義に含まれています。標準 MIB に関し、シスコでは、通知の理由をより明確にするために変数バインドを追加して、一部の通知を拡張しています。
トラップの宛先に関する詳細情報を取得するには、SNMP-TARGET-MIB を使用します。
(注) | CLI を利用してほとんどの通知をイネーブルにする必要があります。 |
MIB では、管理情報構造(SMI)と呼ばれる IETF 標準構文を使用して、管理対象データが論理的なツリー階層で表現されます。この MIB ツリーのブランチは個別のテーブルを構成し、管理対象データがリーフ オブジェクトとして含まれています。
MIB は、論理的に表現されたツリー階層構造です。ツリーのルートには名前がなく、3 つのメイン ブランチに分かれています。国際電信電話諮問委員会(CCITT)、国際標準化機構(ISO)、および ISO と CCITT の統合ブランチです。
これらのブランチと、各カテゴリ下に属するブランチには、各ブランチを識別するための短いテキスト文字列と整数があります。テキスト文字列はオブジェクト名を表し、整数は、オブジェクト名をコンピュータ ソフトウェアでコンパクトに符号化して表現するために使用されます。
各 MIB 変数には、オブジェクト ID が 1 つ割り当てられます。オブジェクト識別子は、ルートからそのオブジェクトへのパスに従って、ノードの数値ラベルを順番に並べたものです。たとえば、MIB 変数 tftpHost は、数値 1 で表されます。tftpHost のオブジェクト識別子は、iso.org.dod.internet.private.enterprise.cisco.workgroup products.stack group.tftp group.tftpHost または .1.3.6.1.4.1.9.5.1.5.1 です。最後の値は、MIB 変数 tftpHost の数値です。
SNMP MIB では、情報がテーブルに編成されます。ネットワーク管理プロトコルによってメッセージ内で MIB オブジェクトの名前が使用される場合、各オブジェクト名には接尾辞が付加されます。この接尾辞は、インスタンス ID と呼ばれます。この ID は、対応する MIB オブジェクトが 1 回出現したことを表します。単純なスカラ オブジェクトの場合、インスタンス ID 0 は、その名前のオブジェクトのインスタンスを指します(たとえば sysUpTime.0)。
MIB には、関連するオブジェクトのテーブルが含まれることもあります。たとえば、ifOperStatus は、IF-MIB 内の ifTable に含まれている MIB オブジェクトです。ifOperStatus は、デバイス上のインターフェイスの動作状態を示します。デバイスが複数のインターフェイスを備えている場合は、ifOperStatus のインスタンスも複数作成する必要があります。このインスタンス値は、インスタンス ID として MIB オブジェクトの末尾に付加されます(たとえば、ifOperStatus.2 は、インターフェイス番号 2 の動作状態を示します)。
テーブル内の各オブジェクトは、SMI によって定義された一連の句で構成されています。これらの句には、SYNTAX 句、MAX-ACCESS 句、STATUS 句、および DESCRIPTION 句が含まれます。
次の例は、CISCO-VSAN-MIB から VSAN テーブル(vsanTable)の情報を抜粋したものです。
vsanTable OBJECT-TYPE SYNTAX SEQUENCE OF VsanEntry MAX-ACCESS not-accessible STATUS current DESCRIPTION "A table of VSANs configured on this device." ::= { vsanConfiguration 3 } vsanEntry OBJECT-TYPE SYNTAX VsanEntry MAX-ACCESS not-accessible STATUS current DESCRIPTION "An entry (conceptual row) in the vsanTable." INDEX { vsanIndex } ::= { vsanTable 1 } VsanEntry ::= SEQUENCE { vsanIndex VsanIndex, vsanName SnmpAdminString, }
この例で、vsanTable には vsanIndex と vsanName の 2 つの変数が含まれています(実際の vsanTable には、もっと多くの変数が含まれています)。このテーブルのインデックスは、この VSAN の ID(vsanIndex)です。設定されている VSAN の数が n である場合、テーブルの行数は n になります。VSAN ID 3(vsanIndex が 3)と一致する vsanName を取得する必要がある場合は、vsanName.3 に対して SNMP get コマンドを実行します。
SYNTAX 句では、MIB 内の情報を監視または設定するときに返される、情報(値)の形式を定義します。
Cisco MIB は、RFC 1902 で規定されている、SNMPv2 管理情報構造(SMI)バージョン 2(SNMPv2-SMI)を使用して定義されています。次に、SNMPv2-SMI 構文の例を示します。
最大値に達するまで増加する負ではない整数。最大値に達すると、0 に戻ります。たとえば、Counter32 構文を使用する変数 ifInOctets では、インターフェイス上の入力オクテットの数をカウントします。
最大値に達するまで増加する負ではない整数。最大値に達すると、値はそのまま固定されます(ロールオーバーは行われません)。
最大値に達するまで増加する 64 ビットの負ではない整数。最大値に達すると、0 に戻ります。Counter64 は、短時間で高い値に達する可能性がある MIB オブジェクトに使用されます(たとえば、ギガビット イーサネット ポート用のパケット カウンタ)。
-232 ~ 232-1 の整数。
IP アドレスを表すオクテット文字列。たとえば、変数 hostConfigAddr では、デバイスにホスト コンフィギュレーション ファイルを提供したホストの IP アドレスが示されます。
イベントが発生してから経過した時間を 100 分の 1 秒単位でカウントする負ではない整数。たとえば、変数 loctcpConnElapsed では、TCP 接続の確立後に経過した時間が示されます。
MAX-ACCESS 句では、対応する MIB オブジェクトの最大アクセス レベルが示されます。この句によって表される状態は、read-create、read-write、read-only、accessible-for-notify、not-accessible の 5 種類のいずれかです。
表内の行として、オブジェクトの読み取り、変更、または作成が許可されます。
このオブジェクトの読み取りと変更が許可されます。
このオブジェクトの読み取りだけが許可されます。
このオブジェクトの読み取りまたは書き込みは許可されません。SNMP 通知では、このオブジェクトをイベント情報の一部として送信できます。
このオブジェクトの読み取りまたは書き込みは許可されません。テーブル インデックスは通常、アクセスできないオブジェクトです。
MIB II は、RFC 1213『Management Information Base for Network Management of TCP/IP-based Internets:MIB-II』で文書化されています。RFC 1213 の作成以降、MIB-II は一部変更されています。MIB-II の最新の更新内容については、IETF の Web サイト(http://www.ietf.org)を参照してください。
NMS が要求された情報を Cisco スイッチなどの管理対象デバイスから取得できない場合、特定のデータ収集を可能にする MIB が不足している可能性があります。通常、NMS が特定の MIB 変数を取得できない場合は、NMS が その MIB 変数を認識していないか、またはエージェントがその MIB 変数をサポートしていません。NMS が特定の MIB 変数を認識しない場合、その MIB を NMS にロードすべき可能性があります。これには通常、MIB コンパイラを使用します。たとえば、特定のデータを収集するために、シスコ独自の MIB またはサポートされている RFC MIB を NMS にロードしなければならない場合があります。エージェントが特定の MIB 変数をサポートしていない場合は、現在実行しているシステム ソフトウェアのバージョンを確認する必要があります。異なるソフトウェア リリースでは、サポートされる MIB も異なります。
(注) | Cisco MIB および IETF MIB は、頻繁に更新されています。ソフトウェアをアップグレードする際は、Cisco.com から最新の MIB をダウンロードしてください。 |
Cisco MIB は、次の URL から入手できます。
http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml
Cisco MIB ファイルは、2 つのディレクトリに分かれています。SNMPv1-SMI MIB は SNMPv1 ディレクトリに、SNMPv2-SMI MIB は SNMPv2 ディレクトリにあります。また、この Web サイトでは、サポートされている IETF 標準 MIB も公開しています。このサポート リストを使用して個別の MIB ファイルにアクセスし、各ファイルをダウンロードしてください。
多くの MIB では、他の MIB の定義を利用しています。これらの定義項目は、MIB の最初のほうにある IMPORTS セクションに列記されています。
たとえば、MIB B が MIB A から定義をインポートする場合、一部の MIB コンパイラは MIB B をロードする前に MIB A をロードすることを要求します。MIB を誤った順番でロードすると、インポート内容に関するエラー メッセージが表示され、定義項目が定義されていないか、または IMPORTS に定義項目が含まれていないことが通知されます。エラーが発生した場合は、MIB の IMPORTS で、MIB の定義項目がロードされる順番を調べます。すべての MIB が、ロード順序に従ってロードされていることを確認してください。
多くの他の MIB が定義をインポートする MIB の一覧を以下に示します。これらの MIB は、ここに示されている順序でロードする必要があります。
上記の順序で MIB をロードすれば、ロード順序による定義問題のほとんどは回避できます。他の MIB(上記以外の MIB)は、任意の順序でロードしてかまいません。
HTTP またはパッシブ FTP を使用して Cisco MIB ファイルにアクセスし、ダウンロードすることができます。
(注) | 次のサイトにある SNMP Object Navigator ツールを使用し、Cisco MIB ファイルにアクセスしてダウンロードすることもできます。 http://tools.cisco.com/Support/SNMP/do/BrowseMIB.do?local=en このツールでは、SNMP オブジェクト ID(OID)のオブジェクト名への変換、オブジェクト名や説明の検索、OID ツリーの参照、および MIB ファイルのダウンロードを行うことができます。 |
ステップ 1 | 次の URL にアクセスします。http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml |
ステップ 2 | 製品のカテゴリを選択し、ドロップダウン メニューから製品を選択します。 |
ステップ 3 | 製品の MIB サポート リストから、ダウンロードすべき MIB を選択して保存します。 |
パッシブ FTP を使用して MIB ファイルにアクセスするには、ダウンロードする MIB ファイルの名前を調べておく必要があります。サポートされている MIB の名前については、MIB サポート リストを参照してください。次の手順では、お使いのパッシブ FTP ユーティリティで、UNIX と同様のコマンドを使用できることが前提になっています。
ENTITY-MIB では、ネットワーク デバイス内の物理エンティティと論理エンティティを管理および識別するための基本機能を提供します。Cisco NX-OS では、デバイス内にある物理エンティティの観点から ENTITY-MIB をサポートしています。この MIB では、スイッチのシャーシ内にある各モジュール、電源、およびファン トレイの詳細な情報を提供します。提供される情報により、スイッチ内にあるこれらのエンティティに包含される要素を正しくマッピングし、シャーシ ビューを構築することができます。
シスコでは、独自に ENTITY-MIB への多くの拡張機能を開発し、これらの物理エンティティに関するより詳細な情報を提供できるようにしています。各拡張 MIB は共通のインデックス値である entPhysicalIndex を共有しているため、管理アプリケーションを開発する際に、複数の MIB にわたって情報をリンクすることができます。
MIB |
説明 |
---|---|
CISCO-ENTITY-EXT-MIB |
プロセッサが搭載されているモジュールの entityPhysicalTable を拡張します。この MIB では、各モジュールに関するメモリの統計情報と LED 情報を提供します。 |
CISCO-ENTITY-FRU-CONTROL-MIB |
電源、ファン、およびモジュールなど、現場交換可能ユニット(FRU)を管理します。 |
CISCO-ENTITY-SENSOR-MIB |
温度計など、環境モニタのセンサー データを提供します。 |
IF-MIB では、インターフェイスとネットワーク デバイス内のサブレイヤについて、基本的な管理ステータスおよび制御のための機能を提供します。IF-MIB に含まれる ifIndex は、複数の標準 MIB とシスコ独自の MIB で、特定タイプのインターフェイスの管理を拡張するために使用されます。