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この章では、デバイス上で設定可能な Cisco NX-OS QoS(Quality of Service)機能について説明します。
QoS を使用すると、ネットワーク トラフィックの分類、トラフィック フローのポリシングと優先順位付け、および輻輳回避の実現が可能になります。
QoS 機能は、ネットワークを経由するトラフィックの最も望ましいフローを提供するために使用します。QoS を使用すると、ネットワーク トラフィックの分類、トラフィック フローのポリシングと優先順位付け、および輻輳回避の実現が可能になります。トラフィックの制御は、システムを通過するパケット内のフィールドに基づいて行われます。Modular QoS CLI(MQC; モジュラ QoS コマンドライン インターフェイス)は、QoS 機能のトラフィック クラスとポリシーを作成するのに使用します。
QoS 機能は、QoS ポリシーとキューイング ポリシーを次のように使用して適用します。
• QoS ポリシーにはポリシング機能とマーキング機能が含まれます。
• キューイング ポリシーでは、キューイング機能とスケジューリング機能を使用するほか、マーキング機能の限定的なセットも使用します。
(注) 「MQC の使用」で説明するシステム定義の QoS 機能と値は、スイッチ全体にグローバルに適用され、変更はできません。VDC の詳細については、『Cisco NX-OS Virtual Device Configuration Guide』を参照してください。
• 「分類」
• 「マーキング」
• 「変換」
• 「ポリシング」
トラフィックは、ユーザによるトラフィックの分類方法と、ユーザが作成してトラフィック クラスに適用するポリシーに基づいて処理されます。
1. トラフィック クラスを作成します。これには、IP アドレスや QoS フィールドなどの基準に一致する着信パケットと発信パケットを分類します。
2. ポリシーを作成します。これには、パケットの制限、マーキング、廃棄など、トラフィック クラスに対して実行するアクションを指定します。
3. ポリシーをポート、ポート チャネル、VLAN、またはサブインターフェイスに適用します。
QoS 機能のトラフィック クラスとポリシーを作成するには、MQC を使用します。詳細については、「MQC の使用」を参照してください。
(注) QoS 機能全般のキューイングおよびスケジューリングの処理では、IPv6 および IPv4 が使用され、それ以外の機能では IPv4 のみが使用されます。
分類は、トラフィックをクラスに区分けするのに使用します。トラフィックは、ポート特性(CoS フィールド)またはパケット ヘッダー フィールドに基づいて分類します。パケット ヘッダー フィールドには、IP precedence、Differentiated Services Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)、レイヤ 2 からレイヤ 4 までのパラメータ、およびパケット長が含まれます。
トラフィックの分類に使用する値を、一致基準と呼びます。トラフィック クラスを定義する場合、複数の一致基準を指定でき、特定の基準について照合しないことを選択するか、一部または全部の基準を照合することによってトラフィック クラスを決定することができます。
どのクラスにも一致しないトラフィックは、class-default と呼ばれるデフォルトのトラフィック クラスに割り当てられます。
分類の設定の詳細については、「分類の設定」を参照してください。
マーキングとは、パケットに関連する QoS 情報を設定することです。標準の QoS フィールドである、IP precedence、DSCP、Class of Service(CoS; サービス クラス)の値、および後続のアクションで使用できる内部ラベルを設定できます。マーキングは、トラフィックのポリシング、キューイング、およびスケジューリングで使用するトラフィックのタイプを識別するのに使用します(スケジューリングでは CoS のみを使用します)。
マーキングの設定の詳細については、「マーキングの設定」を参照してください。
変換とは、パケット ヘッダーの QoS フィールドを変更することです。IP precedence、DSCP、または CoS の値を、すべての着信パケットまたは発信パケットにマッピングできます。変換は、ポリシング コマンドが含まれているポリシーでは使用できますが、キューイングおよびスケジューリング コマンドでは使用できません。変換には、設定可能なユーザ定義のテーブル マップを使用します。
変換の設定の詳細については、「変換マッピングの設定」を参照してください。
ポリシングとは、トラフィックの特定のクラスについて、データ レートをモニタリングすることです。デバイスでも、関連するバースト サイズを監視できます。
指定されるデータ レート パラメータに応じて、適合(グリーン)、超過(イエロー)、違反(レッド)の 3 つの「カラー」、つまり条件が、ポリサーによって決定されます。各条件について設定できるアクションは 1 つだけです。データ レートがユーザ指定の値を超えると、パケットはマークダウンされるか、廃棄されます。シングルレート、デュアルレート、およびカラー対応のポリサーを定義できます。
シングルレート ポリサーは、トラフィックの指定の CIR(Committed Information Rate; 認定情報レート)を監視します。デュアルレート ポリサーは、CIR と PIR(Peak Information Rate; 最大情報レート)の両方を監視します。カラー対応ポリサーは、トラフィックが事前にカラーによってにマーキングされているものとみなします。
ポリシングの設定の詳細については、「ポリシングの設定」を参照してください。
キューイングおよびスケジューリングのプロセスによって、トラフィック クラスに割り当てられる帯域幅を制御することができるので、スループットと遅延の望ましいトレードオフを実現できます。
Weighted Random Early Detection(WRED; 重み付きランダム早期検出)をトラフィックのクラスに適用できます。これにより、CoS フィールドに基づいてパケットを廃棄できます。WRED のアルゴリズムにより、キューを予防的に管理してトラフィックの輻輳を防ぐことができます。
トラフィックのクラスに対して最大データ レートを強制してトラフィックをスケジューリングすることができます。これにより、超過パケットがキューに保持され、出力レートが平滑化(制限)されます。
キューイングおよびスケジューリングの設定の詳細については、「キューイングおよびスケジューリングの設定」を参照してください。
• qos ― マーキングおよびポリシングに使用できる MQC オブジェクトを定義します。
• キューイング ― キューイングおよびスケジューリングに使用でき、マーキング オブジェクトの限定的なセットにも使用できる MQC オブジェクトを定義します。
(注) ポリシーのデフォルト タイプは qos です。出力インターフェイスに QoS ポリシーを適用することはできません。
Cisco NX-OS デバイスは、ユーザが定義した QoS ポリシーを、その適用先が入力パケットなのか出力パケットなのかに基づいて処理します。ユーザが QoS ポリシーを qos タイプのサービス ポリシーの下で定義した場合にのみ、システムはそれらの QoS ポリシーに対してアクションを実行します。
(注) レイヤ 2 インターフェイス上の QoS ポリシーに対しては、入力トラフィック アクションのみ適用できます。レイヤ 3 インターフェイス上では、入力および出力の両方のトラフィック アクションを適用できます。
出力トラフィックに対する QoS アクションのシーケンスは次のようになります。
(注) 入力パケットでは、変換がトラフィック アクションの開始直後に発生し、それ以降の分類とポリシングは変更された QoS の値に基づきます。出力パケットでは、変換はトラフィック アクションの最後で、キューイングおよびスケジューリングの直前に発生します。
Cisco NX-OS QoS ソフトウェアは、ソフトウェアの再起動後に以前の状態を回復し、状態を失うことなく、アクティブ スーパーバイザからスタンバイ スーパーバイザに切り替えることができます。
(注) ハイ アベイラビリティの詳細については、『Cisco NX-OS High Availability and Redundancy Configuration Guide』を参照してください。
QoS 機能を設定するには MQC を使用します。 表1-1 に、MQC コンフィギュレーション コマンドを示します。
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あるフィールド値のセットから別のフィールド値のセットへのマッピングを表すテーブル マップを定義します。テーブル マップはポリシー マップから参照できます。 |
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クラス マップのセットに適用するポリシーのセットを表すポリシー マップを定義します。ポリシー マップからテーブル マップを参照できます。 |
オブジェクトがどのインターフェイスにも関連付けられていない場合、システム定義オブジェクトを除いて、MQC オブジェクトを変更または削除できます。システム定義の MQC オブジェクトについては、「MQC の使用」を参照してください。
QoS ポリシーを定義したら、 表1-2 に示すように、インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してポリシー マップをインターフェイスに付加できます。
コマンド |
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MQC の使用については、「MQC の使用」を参照してください。
各ポリシー、クラス アクション、および一致基準について、インターフェイスごとに統計情報が維持されます。統計情報の収集をイネーブルまたはディセーブルにすることができ、 show policy-map インターフェイス コマンドを使用して統計情報を表示でき、 clear qos statistics コマンドを使用してインターフェイスまたはポリシー マップに基づく統計情報をクリアできます。統計情報はデフォルトでイネーブルになっており、グローバルにディセーブルにすることができます。
QoS 統計情報のモニタリングについては、「QoS 統計情報のモニタリング」を参照してください。
QoS のキューイング機能はデフォルトでイネーブルになっています。一部の QoS タイプの機能、ポリシング、およびマーキングは、ポリシーがインターフェイスに付加された場合のみイネーブルになります。一部のポリシーは、そのポリシーがインターフェイスに付加された場合のみイネーブルになります。
デバイスでは、各ポートおよびポート チャネル上で、システムのデフォルトのキューイング ポリシーまたはシステム定義のキューイング ポリシー マップが、デフォルトで常にイネーブルになっています。キューイング ポリシーを設定して、指定したインターフェイスに新しいキューイング ポリシーを適用した場合は、デフォルトのキューイング ポリシーが新しいキューイング ポリシーによって置き換えられ、新しいキューイング ポリシーのルールが適用されます。システム定義のキューイング ポリシー、デフォルトのキューイング ポリシー、および各インターフェイスに適用されるデフォルト値の詳細については、「MQC の使用」を参照してください。
デバイスで他の QoS 機能、ポリシング、およびマーキングがイネーブルになるのは、ポリシー マップをインターフェイスに適用した場合のみです。