この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
(注) この章で説明する概念については、『SCE 1000/SCE 2000 User Guides』および『SM User Guide』でさらに詳しく説明されています。詳細はこれらのマニュアルを参照してください。
この章では、SCAS BBアプリケーションにおけるサブスクライバ統合について説明します。使用可能なサブスクライバ モードを紹介し、各モードを使用する状況を示します。
SCAS BBシステムは、次のいずれかのサブスクライバ モードで運用できます。
(注) 使用するモードを制御するためのグローバルな設定は存在しないので、各サブスクライバ モードは暗黙的です。希望するモードでシステムを運用する方法については、システム マニュアルを参照してください。
ここでは、各サブスクライバ モードの機能、利点、および使用する状況を(次の表に)要約したあと、それぞれのモードについてさらに詳しく説明します。
サブスクライバレス モードは、グローバルなデバイス レベルでの制御機能およびリンク レベル解析機能を提供します。サブスクライバレス モードでは、統合は不要であり、モニタ対象のリンクを利用するサブスクライバの総数は、SCEプラットフォームの視点では無制限です。
サブスクライバがまったく存在しない場合にも、SCAS BBが役立ちます。ユーザは トラフィック ディスカバリ を使用してネットワーク アクティビティを表示し、グローバルBWリミッタおよび不明のサブスクライバ用のパッケージを使用してキャパシティ制御を実行できます。
アノニマス サブスクライバ モードは、サブスクライバの着信IPアドレスでネットワーク トラフィックを解析および制御するための手段になります(たとえば、ネットワーク アクティビティを解析してトップP2P-IPアドレスを突き止めたり、各サブスクライバのP2Pトラフィックを64 Kbpsに制限したりできます)。アノニマス サブスクライバ モードでは、統合も、使用するIPアドレスのスタティックな設定も不要です。このモードでは、SCEプラットフォームにIPアドレスの範囲を設定します。システムはこの範囲でIPアドレスをサブスクライバ名として使用し、アノニマス サブスクライバをダイナミックに作成します。
サブスクライバ単位での差別化された制御やサブスクライバ レベルのクォータ追跡が不要な場合、およびIPレベルでの解析で十分な場合に、アノニマス サブスクライバ モードを使用します。
(注) 同時にアクティブなアノニマス サブスクライバの総数は、同時にアクティブなサブスクライバの総数と同じなので、同様のライセンスに準拠します。
アノニマス サブスクライバ モードでは、各サブスクライバに異なるプールからIPアドレスを割り当てることにより、サブスクライバ別に異なるサービス コンフィギュレーションの割り当てがサポートされます。これには、SCEプラットフォームのサービス コンフィギュレーション テンプレート機能を使用します。この機能により、割り当てられたIPアドレスの範囲に応じて、それぞれのアノニマス サブスクライバに異なるパッケージを割り当てることができます。
(注) アノニマス サブスクライバ モードでは、IPアドレスのリサイクル時間(サブスクライバがネットワークからログオフしたあと、そのサブスクライバのIPアドレスが再割り当てされるまでの時間)が十分に長いことが前提になります。一般に、ブロードバンド ネットワーク(ケーブル、DSL)がこれに該当します。
SCAS BBは、着信IPアドレスをスタティックにバインドしてサブスクライバのグループにまとめる運用モードをサポートしています。このバインドにより、特定のサブスクライバとの間で送受信されるトラフィックを1つのグループとして制御(たとえば、サブスクライバとの間のP2Pトラフィックを制限)できるほか、使用状況レポートをその範囲で提供できます。
スタティック サブスクライバアウェア モードは、特定のIPアドレスまたはアドレス範囲を使用するエンティティが、ダイナミックに変更されない場合に対応します。これには、次のような状況があります。
• サブスクライバのIPアドレスがDHCP、RADIUSなどによってダイナミックに変化しない環境
• 1つのサブスクライバ グループが共通のIPアドレス プールを使用する場合(たとえば、特定のCMTS、BRASなどでサービスするすべてのサブスクライバを一括して管理し、グループ全体で帯域幅を共有させる場合など)
スタティック サブスクライバは直接SCEプラットフォームに定義することができ、外部の管理ソフトウェア(SM)は必要ありません。デバイスのCLIを使用して、サブスクライバのリスト、IPアドレス、および対応するパッケージを定義します(対話形式の設定のほか、インポート/エクスポート処理がサポートされます)。
ダイナミック サブスクライバアウェア モードでは、サブスクライバが現在使用している(IP)アドレスにダイナミックにバインドされたサブスクライバ情報(OSS IDおよびサービス コンフィギュレーション)がSCEプラットフォームに入力されます。このモードでは、smartSUB Manager(SM)を使用してデバイスにサブスクライバ情報をプロビジョニングする必要があります。SMは、上記のような関連付けを維持するサーバ アプリケーションであり、この情報をSCEプラットフォームにリアルタイムでプロビジョニングします。
SMは最大で500,000のサブスクライバおよび20台のSCEプラットフォームをサポートします。シスコでは、展開の規模やタイプに応じて適切なプラットフォームを選択するためのサイジング ツールも提供しています。
SMはJavaベースのサーバ アプリケーションであり、サポート対象のSolarisプラットフォームにインストールできます(CD-ROMからインストール可能なバージョン)。SMの設定と管理には、CLU(コマンドライン ユーティリティ)と、モジュールのインストール時にターゲット プラットフォームにインストールされるコンフィギュレーション ファイルを使用します。
SMは、TimesTenというサードパーティ製データベース(組み込み、インメモリの市販データベース)を高性能バックエンドとして利用します。
SMは特定のデバイス上でサブスクライバ アドレスからのネットワーク アクティビティを検出すると、SE-SM pullモード を利用して、SCEプラットフォームにサブスクライバ情報をダイナミックに入力します。この機能は、次のような場合に役立ちます。
• 同じリンクを使用するサブスクライバがサポートされるサブスクライバ数(40,000)より多いが、同時にアクティブなのは40,000以下である場合。この場合、pullモード機能を使用して、サブスクライバのアクティビティが検出されるたびに、SCEプラットフォームでサブスクライバをキャッシュイン/キャッシュアウトします。
• サブスクライバ トラフィックが実際に流れるデバイスを、IPアドレス割り当てプロセスからスタティックに類推することができないトポロジー。たとえば、次の図のように、複数のSCEプラットフォームをパラレルに配置している状況です(L3スイッチにより、1つのIPアドレス宛のトラフィックは常に同じパスを使用することが保証されています)。
図6-1 ダイナミック サブスクライバアウェア(pullモード)
SCEプラットフォームはサブスクライバのわからないIPアドレスからのトラフィックを検出するたびに、SMにその情報を要求します(特定の着信IPアドレス範囲からpull動作を実行するようにプラットフォームを設定できます)。
SCEプラットフォームからサブスクライバが削除されると、そのサブスクライバの長期的なステート(使用済みクォータ)が後で使用できるようにSMに保存されます。
このトポロジーでは、同じサブスクライバが(割り当てられるIPアドレスに応じて)そのつど異なるSCEデバイスによってサービスされる可能性があります。
また、冗長SCEプラットフォームを準備して、いずれかのプライマリで障害が発生したときに処理を引き継ぐように設定することも可能です(N+1冗長構成)。pullメカニズムにより、関係するサブスクライバ情報が冗長SCEプラットフォームに入力されます。
SMおよびそのSCEプラットフォームは、サブスクライバ ステート情報も共有します。サブスクライバがログアウトするとき(またはSCEプラットフォームからキャッシュアウトされるとき)、そのサブスクライバのステート情報(クォータなど)がSMに送信され長期保存されます。そのサブスクライバが再びログインすると(またはサブスクライバに割り当てられたIPアドレスからのトラフィックが再び検出されると)、現在使用中のSCEプラットフォーム(前とは異なるデバイスの場合もある)に、この情報がプロビジョニングされます。
SMは、さまざまな環境でサブスクライバ統合を簡単に実現するために、サブスクライバ統合プロトコル(PRPC)、およびその他のツールと既成コンポーネントをサポートしています。
PRPCプロトコルは、SMへのサブスクライバ情報の伝達に使用されます。C/C++およびJava対応の統合ツールキットが用意されています。
JavaおよびCに対応する汎用SM APIが用意されています(『 smartSUB Manager User Guide 』を参照)。SCAS BBでこれらのAPIを使用する場合、ユーザはサブスクライバのパッケージIDを表す packageId プロパティに、(SCAC固有の)名前を指定する必要があります。
次に、SCAS BBにおけるSM Java APIの使用例を示します。
Cisco Network Registrar(CNR;Ciscoネットワーク レジストラ)DHCPサーバを使用するケーブル環境でサブスクライバ統合を簡単に行えるよう、シスコではそのまま使用できるCNRプラグインを提供しています。このプラグインはPRPCプロトコルを使用して、Service Control SMにIPアドレス リース情報を伝達し、CNR DHCPサーバによってCPEに割り当てられるIPアドレスに関してSMと同期を取ります。